実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
なお、第1、第2、又は第3として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
(実施の形態1)
本発明の一に係る液晶組成物、及び該液晶組成物を用いた液晶素子、又は液晶表示装置について、図1(A)(B)を用いて説明する。図1(A)(B)は液晶素子又は液晶表示装置の断面図である。
本発明の一は、一般式(G1)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G1)中、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G2)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G2)中、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数である。
本発明の一は、一般式(G3)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G3)中、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G4)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G4)中、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。
本発明の一は、一般式(G11)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G11)中、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G12)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G12)中、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G13)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G13)中、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G14)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G14)中、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G21)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G21)中、n及びmは1〜20の整数である。
本発明の一は、一般式(G22)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G22)中、n及びmは1〜20の整数である。
本発明の一は、一般式(G23)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G23)中、n及びmは1〜20の整数である。
本発明の一は、一般式(G24)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G24)中、n及びmは1〜20の整数である。
本発明の一は、一般式(G31)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G31)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G32)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G32)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G33)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G33)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G34)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G34)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一は、一般式(G41)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G41)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。
本発明の一は、一般式(G42)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G42)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。
本発明の一は、一般式(G43)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G43)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。
本発明の一は、一般式(G44)で表される重合性モノマーを提供するものである。
一般式(G44)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。
上記一般式(G1)で表される重合性モノマーの具体例としては、構造式(100)〜構造式(144)、構造式(200)〜構造式(249)、構造式(300)〜構造式(344)、及び構造式(400)〜構造式(449)で表される重合性モノマーを挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
本発明の一に係る液晶組成物に含まれる一般式(G1)で表される重合性モノマーの合成方法としては種々の反応を適用することができる。例えば、下記の合成スキーム(C−1)、(C−2)及び(D−1)に示す合成反応を行うことによって、一般式(G1)で表される本発明の一に係る液晶組成物に含まれる重合性モノマーを合成することができる。なお、本発明の一に係る一般式(G1)で表される重合性モノマーの合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
下記一般式(G1)の合成法を説明する。
上記一般式(G1)中、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。まず、下記反応式(C−1)〜(C−2)による一般式(G1)の合成法を説明する。
化合物1と、安息香酸誘導体(化合物2)との、エステル化反応を行うことによりヒドロキシフェニル誘導体(化合物3)を得ることができる(反応式(C−1))。反応式(C−1)において、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数を表し、R1及びR2は、水素又はメチル基を表す。
エステル化反応としては、酸触媒を用いた脱水縮合によるエステル化反応(付加脱離反応)が挙げられる。脱水縮合反応を行う場合、濃硫酸やパラ−トルエンスルホン酸等の酸触媒や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(略称:EDC)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:DCC)を用いることができる。EDC又はDCCを用いる場合、副生成物の除去が容易なためEDCを用いる方が好ましい。また、化合物3の合成はこれらの反応に限られるものではない。
次に、下記反応式(C−2)による一般式(G1)の合成法を説明する。
安息香酸誘導体(化合物4)とヒドロキシフェニル誘導体(化合物3)の、エステル化反応を行うことにより、目的の一般式(G1)で表される化合物を得ることができる(反応式(C−2))。反応式(C−2)において、kは2又は3であり、n及びmは1〜20の整数を表し、R1及びR2は、水素又はメチル基を表す。
エステル化反応としては、酸触媒を用いた脱水縮合によるエステル化反応(付加脱離反応)が挙げられる。脱水縮合反応を行う場合、濃硫酸やパラ−トルエンスルホン酸等の酸触媒や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(略称:EDC)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:DCC)を用いることができる。EDC又はDCCを用いる場合、副生成物の除去が容易なためEDCを用いる方が好ましい。また、一般式(G1)で表される重合性モノマーの合成はこれらの反応に限られるものではない。
次に、下記反応式(D−1)による一般式(G1)の合成法を説明する。下記反応式(D−1)における目的物(G1)は、前記反応式(C−1)における一般式(G1)において、n=m且つR1=R2の場合を表している。
1当量の化合物1と、2当量の安息香酸誘導体との、エステル化反応を行うことにより、目的の一般式(G1)で表される化合物を得ることができる(反応式(D−1))。反応式(D−1)において、kは2又は3であり、nは1〜20の整数を表し、R1は、水素又はメチル基を表す。
エステル化反応としては、酸触媒を用いた脱水縮合によるエステル化反応(付加脱離反応)が挙げられる。脱水縮合反応を行う場合、濃硫酸やパラ−トルエンスルホン酸等の酸触媒や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(略称:EDC)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:DCC)を用いることができる。EDC又はDCCを用いる場合、副生成物の除去が容易なためEDCを用いる方が好ましい。また、一般式(G1)で表される重合性モノマーの合成はこれらの反応に限られるものではない。
以上によって、本発明の一に係る一般式(G1)で表される重合性モノマーを合成することができる。
また、本発明の一に係る、一般式(G1)で表される重合性モノマーを含有してなる液晶組成物を作製することができる。
また、本発明の一に係る液晶組成物は、一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物である。
一般式(H1)中、n及びmは1〜20の整数である。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一に係る液晶組成物は、一般式(H2)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物である。
一般式(H2)中、n及びmは1〜20の整数である。
本発明の一に係る液晶組成物は、一般式(H3)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物である。
一般式(H3)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。また、R1、R2は、水素、又はメチル基を表す。
本発明の一に係る液晶組成物は、一般式(H4)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物である。
一般式(H4)中、n及びmは1〜20の整数であり、n=mである。
上記一般式(H1)で表される重合性モノマーの具体例としては、構造式(500)〜構造式(544)で表される重合性モノマーを挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
本発明の一に係る液晶組成物に含まれる一般式(H1)で表される重合性モノマーの合成方法としては種々の反応を適用することができる。例えば、下記の合成スキーム(E−1)、(E−2)及び(F−1)に示す合成反応を行うことによって、一般式(H1)で表される本発明の一に係る液晶組成物に含まれる重合性モノマーを合成することができる。なお、本発明の一に係る一般式(H1)で表される重合性モノマーの合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
下記一般式(H1)の合成法を説明する。
上記一般式(H1)において、n及びmは1〜20の整数を表し、R1及びR2は、水素又はメチル基を表す。まず、下記反応式(E−1)〜(E−2)による一般式(H1)の合成法を説明する。
テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジオール(化合物11)と、安息香酸誘導体(化合物12)との、エステル化反応を行うことによりヒドロキシフェニル誘導体(化合物13)を得ることができる(反応式(E−1))。反応式(E−1)において、n及びmは1〜20の整数を表し、R1及びR2は、水素又はメチル基を表す。
エステル化反応としては、酸触媒を用いた脱水縮合によるエステル化反応(付加脱離反応)が挙げられる。脱水縮合反応を行う場合、濃硫酸やパラ−トルエンスルホン酸等の酸触媒や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(略称:EDC)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:DCC)を用いることができる。EDC又はDCCを用いる場合、副生成物の除去が容易なためEDCを用いる方が好ましい。また、化合物13の合成はこれらの反応に限られるものではない。
次に、下記反応式(E−2)による一般式(H1)の合成法を説明する。
安息香酸誘導体(化合物14)とヒドロキシフェニル誘導体(化合物13)の、エステル化反応を行うことにより、目的の一般式(H1)で表される化合物を得ることができる(反応式(E−2))。反応式(E−2)において、n及びmは1〜20の整数を表し、R1及びR2は、水素又はメチル基を表す。
エステル化反応としては、酸触媒を用いた脱水縮合によるエステル化反応(付加脱離反応)が挙げられる。脱水縮合反応を行う場合、濃硫酸やパラ−トルエンスルホン酸等の酸触媒や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(略称:EDC)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:DCC)を用いることができる。EDC又はDCCを用いる場合、副生成物の除去が容易なためEDCを用いる方が好ましい。また、一般式(H1)で表される重合性モノマーの合成はこれらの反応に限られるものではない。
次に、下記反応式(F−1)による一般式(H1)の合成法を説明する。下記反応式(F−1)における目的物(H1)は、前記反応式(E−1)における一般式(H1)において、n=m且つR1=R2の場合を表している。
テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジオール(化合物11)1当量と、安息香酸誘導体(化合物12)2当量の、エステル化反応を行うことにより、目的の一般式(H1)で表される化合物を得ることができる(反応式(F−1))。反応式(F−1)において、nは1〜20の整数を表し、R1は、水素又はメチル基を表す。
エステル化反応としては、酸触媒を用いた脱水縮合によるエステル化反応(付加脱離反応)が挙げられる。脱水縮合反応を行う場合、濃硫酸やパラ−トルエンスルホン酸等の酸触媒や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(略称:EDC)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称:DCC)を用いることができる。EDC又はDCCを用いる場合、副生成物の除去が容易なためEDCを用いる方が好ましい。また、一般式(H1)で表される重合性モノマーの合成はこれらの反応に限られるものではない。
以上によって、本発明の一に係る液晶組成物に含まれる一般式(H1)で表される重合性モノマーを合成することができる。
また、本発明の一に係る、一般式(G1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物は、ブルー相を発現する液晶組成物として用いることができる。
また、本発明の一に係る、一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物は、ブルー相を発現する液晶組成物として用いることができる。
ネマティック液晶としては、特に制限されず、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、フェニルシクロヘキシル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、フェニルビシクロヘキシル系化合物、安息香酸フェニル系化合物、シクロヘキシル安息香酸フェニル系化合物、フェニル安息香酸フェニル系化合物、ビシクロヘキシルカルボン酸フェニル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾ系化合物、およびアゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、フェニルピリミジン系化合物、ビフェニルピリミジン系化合物、ピリミジン系化合物、およびビフェニルエチン系化合物等が挙げられる。
カイラル剤は、液晶組成物の捩れを誘起し、液晶組成物を螺旋構造に配向させブルー相を発現させるために用いる。カイラル剤は、不斉中心を有する化合物であり、液晶組成物に対する相溶性が良く、かつ捩れ力の強い化合物を用いる。また、カイラル剤は光学活性体であり、光学純度が高いほど好ましく99%以上が最も好ましい。
ブルー相は光学的に等方であるため視野角依存性がなく、配向膜を形成しなくとも良いため、表示画像の質の向上及びコスト削減が可能である。
本発明の一に係る液晶組成物を液晶表示装置に用いることで、液晶組成物に含まれる重合性モノマーにより、液晶表示装置において、ブルー相の発現する温度範囲を広げる高分子安定化処理を行うことができる。
本発明の一に係る液晶組成物には、重合性モノマーとして、少なくとも一般式(G1)で表される重合性モノマー、又は一般式(H1)で表される重合性モノマーが含まれる。
本発明の一に係る液晶組成物を用いることによって、液晶素子の低電圧駆動が可能となり、液晶表示装置、電子機器などの低消費電力化が達成できる。なお、本発明の一に係る液晶組成物は、光学シャッターなどの表示機能を有さない光学機器にも好適に用いることができる。
また、重合性モノマーは複数種用いてもよく、一般式(G1)で表される重合性モノマー、又は一般式(H1)で表される重合性モノマーの他に、さらに他の重合性モノマーも用いることができる。
一般式(G1)で表される重合性モノマー、又は一般式(H1)で表される重合性モノマー以外に、さらに用いることのできる、他の重合性モノマーとしては、例えば、熱により重合が進行する熱重合性(熱硬化性)モノマー、光により重合が進行する光重合性(光硬化性)モノマー、又は熱及び光により重合が進行する重合性モノマーなどを用いることができる。また、液晶組成物へ重合開始剤を添加してもよい。
他の重合性モノマーは、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマーでもよく、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多官能モノマーでもよく、これらを混合させたものでもよい。また、液晶性のものでも非液晶性のものでもよく、両者を混合させてもよい。
重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生させるラジカル重合開始剤でもよく、酸を発生させる酸発生剤でもよく、塩基を発生させる塩基発生剤でもよい。一般式(G1)で表される重合性モノマー、又は一般式(H1)で表される重合性モノマーは光重合性モノマーであるために、光重合開始剤を用いる。
光重合性モノマーである一般式(G1)で表される重合性モノマー、又は一般式(H1)で表される重合性モノマーが含まれる液晶組成物に、光重合開始剤を添加し、一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、及び光重合開始剤が反応する波長の光を照射して高分子安定化処理を行うことができる。
高分子安定化処理は、等方相を示す液晶組成物に行っても良いし、温度制御してブルー相を発現した液晶組成物に行ってもよい。なお、昇温時にブルー相から等方相に相転移する温度又は降温時に等方相からブルー相に相転移する温度をブルー相と等方相間の相転移温度という。高分子安定化処理の一例としては、光重合性モノマーを添加した液晶組成物を等方相まで加熱した後、徐々に降温させてブルー相にまで相転移させ、ブルー相が発現する温度を保持した状態で光を照射して行うことができる。
本発明の一に係る液晶素子及び液晶表示装置の例を図1(A)(B)に示す。
本発明の一に係る液晶素子は、少なくとも一対の電極層(電位の異なる画素電極層230及び共通電極層232)の間に液晶組成物208を有する。
本発明の一に係る液晶組成物は、一般式(G1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物、又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物である。本発明の一に係る液晶素子は、該本発明の一に係る液晶組成物を、液晶組成物208に用いる。
図1(A)(B)は、第1の基板200と第2の基板201とが、液晶組成物208を間に挟持して対向するように配置された液晶表示装置である。図1(A)(B)の液晶素子及び液晶表示装置は、液晶組成物208に対する画素電極層230及び共通電極層232の配置が異なる例である。
図1(A)の液晶素子及び液晶表示装置は、第1の基板200と液晶組成物208との間に画素電極層230と、共通電極層232が隣接して設けられている。図1(A)の構成であると、基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。
このような図1(A)の構成は、本発明の一に係る液晶組成物である上述のブルー相を発現する液晶組成物を液晶組成物208に用いる場合に好適に適用することができる。液晶組成物208として設けられる該液晶組成物には、有機樹脂が含まれてもよい。高分子安定化処理後の本発明の一に係る重合性モノマーは末端のアクリロイル基が重合している状態で液晶組成物に含まれる。よって、本発明の一は、このような該液晶組成物を含む液晶素子、液晶表示装置、又は電子機器である。
画素電極層230と共通電極層232との間に電界を形成することで、液晶を制御する。液晶には水平方向の電界が形成されるため、その電界を用いて液晶分子を制御できる。ブルー相を発現する液晶組成物は、高速応答が可能であるため、液晶素子及び液晶表示装置の高性能化が可能になる。また、ブルー相を呈するように配向している液晶分子を、基板と平行な方向で制御できるため、視野角が広くなる。
例えば、高速応答が可能であるため、バックライト装置にRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)や、時分割により左目用の映像と右目用の映像を交互に見るシャッター眼鏡方式による3次元表示方式に好適に採用できる。
図1(B)の液晶素子及び液晶表示装置は、液晶組成物208を挟持して第1の基板200側に画素電極層230、第2の基板201側に共通電極層232が設けられている。図1(B)の構成であると、基板に概略垂直な電界を生じさせて、基板と垂直な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。また、液晶組成物208と、画素電極層230及び共通電極層232との間に配向膜202a、配向膜202bを設けてもよい。本発明の一に係る液晶組成物は、様々な構成の液晶素子、及び様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。
液晶組成物208を介して隣接する画素電極層230と、共通電極層232との距離は、画素電極層230及び共通電極層232にそれぞれ所定の電圧を印加した時、画素電極層230及び共通電極層232間に介在する液晶組成物208の液晶が応答する距離とする。該距離に応じて印加する電圧を適宜制御する。
液晶組成物208の厚さ(膜厚)の最大値は1μm以上20μm以下とすることが好ましい。
液晶組成物208を形成する方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の基板200と第2の基板201とを貼り合わせてから毛細管現象等を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
また、図1(A)(B)では図示しないが、偏光板、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどは適宜設ける。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライトなどを用いることができる。
本明細書では、半導体素子(例えばトランジスタ)、又は画素電極層が形成されている基板を素子基板(第1の基板)といい、該素子基板と液晶組成物を介して対向する基板を対向基板(第2の基板)という。
本発明の一に係る液晶表示装置として、光源の光を透過することによって表示を行う透過型の液晶表示装置、入射する光を反射することによって表示を行う反射型の液晶表示装置、又は透過型と反射型を両方有する半透過型の液晶表示装置を提供することができる。
透過型の液晶表示装置の場合、光が透過する画素領域に存在する画素電極層、共通電極層、第1の基板、第2の基板、その他の絶縁膜、導電膜などは可視光の波長領域の光に対して透光性とする。図1(A)の構成の液晶表示装置においては、画素電極層、共通電極層は透光性が好ましいが、開口パターンを有する場合は形状によっては金属膜などの非透光性材料を用いてもよい。
一方反射型の液晶表示装置の場合、液晶組成物に対して視認側と反対側には液晶組成物を透過した光を反射する反射性の部材(反射性を有する膜や基板など)を設ければよい。よって、視認側より反射性の部材までに設けられた、光が透過する基板、絶縁膜、導電膜は可視光の波長領域の光に対して透光性とする。なお、本明細書で透光性とは少なくとも可視光の波長領域の光を透過する性質をいう。図1(B)の構成の液晶表示装置においては、視認側と反対側の画素電極層又は共通電極層を反射性とし、反射性の部材として用いることができる。
画素電極層230、共通電極層232は、インジウム錫酸化物、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合した導電材料、酸化インジウムに酸化シリコン(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、グラフェン、又はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
第1の基板200、第2の基板201にはバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、プラスチック基板などを用いることができる。なお、反射型の液晶表示装置の場合、視認側と反対側の基板にはアルミニウム基板やステンレス基板などの金属基板を用いてもよい。
以上のように、一般式(G1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる新規な液晶組成物を提供することができる。
また、以上のように、一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる新規な液晶組成物を提供することができる。
従って、該液晶組成物を用いて、より低駆動電圧化を達成する液晶素子、又は液晶表示装置を提供することができる。よって、低消費電力な液晶表示装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本発明の一に係る液晶表示装置として、パッシブマトリクス型の液晶表示装置、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を提供することができる。本実施の形態は、本発明の一に係るアクティブマトリクス型の液晶表示装置の例を、図2及び図3を用いて説明する。
図2(A)は液晶表示装置の平面図であり1画素分の画素を示している。図2(B)は図2(A)の線X1−X2における断面図である。
図2(A)において、複数のソース配線層(配線層405aを含む)が互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。複数のゲート配線層(ゲート電極層401を含む)は、ソース配線層に略直交する方向(図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間するように配置されている。共通配線層408は、複数のゲート配線層それぞれに隣接する位置に配置されており、ゲート配線層に概略平行な方向、つまり、ソース配線層に概略直交する方向(図中左右方向)に延伸している。ソース配線層と、共通配線層408及びゲート配線層とによって、略長方形の空間が囲まれているが、この空間に液晶表示装置の画素電極層及び共通電極層が配置されている。画素電極層を駆動するトランジスタ420は、図中左上の角に配置されている。画素電極層及びトランジスタは、マトリクス状に複数配置されている。
図2の液晶表示装置において、トランジスタ420に電気的に接続する第1の電極層447が画素電極層として機能し、共通配線層408と電気的に接続する第2の電極層446が共通電極層として機能する。なお、第1の電極層と共通配線層によって容量が形成されている。共通電極層はフローティング状態(電気的に孤立した状態)として動作させることも可能だが、固定電位、好ましくはコモン電位(データとして送られる画像信号の中間電位)近傍でフリッカーの生じないレベルに設定してもよい。
基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。このような方式として、図2及び図3に示すようなIPSモードで用いる電極構成が適用できる。
IPSモードなどに示される横電界モードは、液晶組成物の下方に開口パターンを有する第1の電極層(例えば各画素別に電圧が制御される画素電極層)及び第2の電極層(例えば全画素に共通の電圧が供給される共通電極層)を配置する。よって第1の基板441上には、一方が画素電極層であり、他方が共通電極層である第1の電極層447及び第2の電極層446が形成され、少なくとも第1の電極層447及び第2の電極層446の一方が絶縁膜上に形成されている。第1の電極層447及び第2の電極層446は、平面形状でなく、様々な開口パターンを有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む。第1の電極層447及び第2の電極層446はその電極間に電界を発生させるため、同形状で完全に重なる配置は避ける。
また、第1の電極層447及び第2の電極層446としてFFSモードで用いる電極構成を適用してもよい。FFSモードに示される横電界モードは、液晶組成物の下方に開口パターンを有する第1の電極層(例えば各画素別に電圧が制御される画素電極層)及びさらにその開口パターンの下方に平板状の第2の電極層(例えば全画素に共通の電圧が供給される共通電極層)を配置する。この場合、第1の基板441上には、一方が画素電極層であり、他方が共通電極層である第1の電極層及び第2の電極層が形成され、画素電極層と共通電極層とは絶縁膜(又は層間絶縁層)を介して積層するように配置される。画素電極層及び共通電極層のいずれか一方は、絶縁膜(又は層間絶縁層)の下方に形成され、かつ平板状であり、他方は絶縁膜(又は層間絶縁層)の上方に形成され、かつ様々な開口パターンを有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む形状とする。第1の電極層447及び第2の電極層446はその電極間に電界を発生させるため、同形状で完全に重なる配置は避ける。
液晶組成物444に、実施の形態1で示した一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物を用いる。また、液晶組成物444には、有機樹脂が含まれてもよい。本実施の形態では、液晶組成物444は一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含み、ブルー相を発現する液晶組成物を用い、高分子安定化処理によって、ブルー相を発現している状態(ブルー相を呈す状態、又はブルー相を示す状態ともいう)で液晶表示装置に設けられる。
画素電極層である第1の電極層447と共通電極層である第2の電極層446との間に電界を形成することで、液晶組成物444の液晶を制御する。液晶には水平方向の電界が形成されるため、その電界を用いて液晶分子を制御できる。ブルー相を呈するように配向している液晶分子を、基板と平行な方向で制御できるため、視野角が広くなる。
第1の電極層447及び第2の電極層446の他の例を図3に示す。図3(A)乃至(D)の上面図に示すように、第1の電極層447a乃至447d及び第2の電極層446a乃至446dが互い違いとなるように形成されており、図3(A)では第1の電極層447a及び第2の電極層446aはうねりを有する波状形状であり、図3(B)では第1の電極層447b及び第2の電極層446bは同心円状の開口部を有する形状であり、図3(C)では第1の電極層447c及び第2の電極層446cは櫛歯状であり一部重なっている形状であり、図3(D)では第1の電極層447d及び第2の電極層446dは櫛歯状であり電極同士がかみ合うような形状である。なお、図3(A)乃至(C)のように、第1の電極層447a、447b、447c、と第2の電極層446a、446b、446cとが重なる場合は、第1の電極層447と第2の電極層446との間には絶縁膜を形成し、異なる膜上に第1の電極層447と第2の電極層446とをそれぞれ形成する。
なお、第1の電極層447、第2の電極層446は、開口パターンを有する形状であるために、図2(B)の断面図においては分断された複数の電極層として示されている。これは本明細書において、他の図面においても同様である。
トランジスタ420は逆スタガ型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である第1の基板441上に形成され、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、半導体層403、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層405a、405bを含む。
本明細書に開示する液晶表示装置に適用できるトランジスタの構造は特に限定されず、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
トランジスタ420を覆い、半導体層403に接する絶縁膜407、絶縁膜409が設けられ、絶縁膜409上に層間膜413が積層されている。
層間膜413の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等を用いることができる。
第1の基板441と対向基板である第2の基板442とを、液晶組成物444を間に挟持させてシール材で固着する。液晶組成物444を形成する方法として、ディスペンサ法(滴下法)や、第1の基板441と第2の基板442とを貼り合わせてから毛細管現象等を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性又は熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。代表的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂などを用いることができる。また、光(代表的には紫外線)重合開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリング剤を含んでもよい。
液晶組成物444に、光重合開始剤、一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物を用いるため、光照射により高分子安定化処理を行うことができる。
該液晶組成物を第1の基板441と第2の基板442の間の間隙に充填後、光を照射して高分子安定化処理を行い、液晶組成物444を形成する。光は、液晶組成物444として用いられる液晶組成物に含まれる一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、及び光重合開始剤が反応する波長の光とする。この光照射による高分子安定化処理により、液晶組成物444がブルー相を発現する温度範囲を広く改善することができる。
シール材に紫外線などの光硬化樹脂を用い、滴下法で液晶組成物を形成する場合など、高分子安定化処理の光照射工程によってシール材の硬化も行ってもよい。
本実施の形態では、第1の基板441の外側(液晶組成物444と反対側)に偏光板443aを、第2の基板442の外側(液晶組成物444と反対側)に偏光板443bを設ける。また、偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。以上の工程で、液晶表示装置を完成させることができる。
また、大型の基板を用いて複数の液晶表示装置を作製する場合(所謂多面取り)、その分断工程は、高分子安定化処理の前か、偏光板を設ける前に行うことができる。分断工程による液晶組成物への影響(分断工程時にかかる力などによる配向乱れなど)を考慮すると、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後、高分子安定化処理の前が好ましい。
図示しないが、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。光源は素子基板である第1の基板441側から、視認側である第2の基板442へと透過するように照射される。
第1の電極層447、及び第2の電極層446は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物、グラフェンなどの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、第1の電極層447、及び第2の電極層446はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
また、第1の電極層447、及び第2の電極層446として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはアニリン、ピロール及びチオフェンの2種以上の共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
下地膜となる絶縁膜を第1の基板441とゲート電極層401の間に設けてもよい。下地膜は、第1の基板441からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による単層、又は積層構造により形成することができる。ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。また、ゲート電極層401としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜、ニッケルシリサイドなどのシリサイド膜を用いてもよい。ゲート電極層401に遮光性を有する導電膜を用いると、バックライトからの光(第1の基板441から入射する光)が、半導体層403へ入射することを防止することができる。
例えば、ゲート電極層401の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、又は銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、又は銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層又は窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金層又はアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタン層又はチタン層とを積層した積層構造とすることが好ましい。
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化シリコン膜等を用いて形成することができる。又は、ゲート絶縁層402の材料として酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、ハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート、窒素が添加されたハフニウムアルミネートなどのhigh−k材料を用いてもよい。これらのhigh−k材料を用いることでゲートリーク電流を低減できる。
また、ゲート絶縁層402として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。なお、ゲート絶縁層402は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
半導体層403に用いる材料は特に限定されず、トランジスタ420に要求される特性に応じて適宜設定すればよい。半導体層403に用いることのできる材料の例を説明する。
半導体層403を形成する材料としては、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いた化学気相成長法やスパッタリング法等の物理気相成長法で作製される非晶質(アモルファスともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタリング法、LPCVD法、又はプラズマCVD法等により成膜することができる。
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
また、酸化物半導体を用いてもよく、酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)、特にInと亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を有することが好ましい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)、あるいはIn:Ga:Zn=3:1:2(=1/2:1/6:1/3)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
しかし、酸化物半導体は、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低くすることにより移動度を上げることができる。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)2+(b−B)2+(c−C)2≦r2を満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
酸化物半導体膜は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。酸化物半導体膜は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。酸化物半導体膜は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。
酸化物半導体膜は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない。
なお、酸化物半導体膜が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、単結晶を有してもよい。
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜の一例としては、CAAC−OS膜がある。CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には明確な粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部の結晶性が低下することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
なお、酸化物半導体膜を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
また、CAAC−OSのように結晶部を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
半導体層、配線層の作製工程において、薄膜を所望の形状に加工するためにエッチング工程を用いる。エッチング工程は、ドライエッチングやウエットエッチングを用いることができる。
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層405a、405bの材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。例えば、Al単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、又は上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
ゲート絶縁層402、半導体層403、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層405a、405bを大気に触れさせることなく連続的に形成してもよい。大気に触れさせることなく連続成膜することで、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
なお、半導体層403は一部のみがエッチングされ、溝部(凹部)を有する半導体層である。
トランジスタ420を覆う絶縁膜407、絶縁膜409は、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタリング法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。また、絶縁膜407として酸化ガリウム膜を用いてもよい。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。シロキサン系樹脂は塗布法により成膜し、焼成することによって絶縁膜407として用いることができる。
なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜407、絶縁膜409を形成してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
また、多階調マスクにより形成した複数(代表的には2種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを用いると、レジストマスクの数を減らすことができるため、工程簡略化、低コスト化が図れる。
以上のように、一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物を用いて、より低駆動電圧化を達成する液晶素子、又は液晶表示装置を提供することができる。よって、低消費電力な液晶表示装置を提供することができる。
また、一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含みブルー相を発現する液晶組成物は、高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化が可能になる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
トランジスタを作製し、該トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。また、トランジスタを用いて駆動回路の一部又は全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
液晶表示装置は表示素子として液晶素子(液晶表示素子ともいう)を含む。
また、液晶表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該液晶表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
なお、本明細書中における液晶表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て液晶表示装置に含むものとする。
液晶表示装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図4を用いて説明する。図4(A1)(A2)は、第1の基板4001上に形成されたトランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図4(B)は、図4(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、液晶組成物4008と共に封止されている。
また、図4(A1)は第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。なお、図4(A2)は信号線駆動回路の一部を第1の基板4001上に設けられたトランジスタで形成する例であり、第1の基板4001上に信号線駆動回路4003bが形成され、かつ別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003aが実装されている。
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図4(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図4(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、トランジスタを複数有しており、図4(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示している。トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、層間膜4021が設けられている。
トランジスタ4010、4011は、実施の形態2又は実施の形態3のいずれかに示すトランジスタを適用することができる。
また、層間膜4021、又は絶縁層4020上において、駆動回路用のトランジスタ4011の半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層を設けてもよい。導電層は、電位がトランジスタ4011のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層の電位がGND、0V、或いは導電層はフローティング状態であってもよい。
また、層間膜4021上に画素電極層4030及び共通電極層4031が形成され、画素電極層4030はトランジスタ4010と電気的に接続されている。液晶素子4013は、画素電極層4030、共通電極層4031及び液晶組成物4008を含む。なお、第1の基板4001、第2の基板4006の外側にはそれぞれ偏光板4032a、4032bが設けられている。
液晶組成物4008に、実施の形態1で示した一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物を用いる。画素電極層4030及び共通電極層4031には、実施の形態1又は実施の形態2で示したような画素電極層及び共通電極層の構成を適用することができる。
本実施の形態では、液晶組成物4008は一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含み、ブルー相を発現する液晶組成物を用い高分子安定化処理によって、ブルー相を発現している状態(ブルー相を呈す状態、又はブルー相を示す状態ともいう)で液晶表示装置に設けられる。よって、本実施の形態では、実施の形態1の図1(A)、実施の形態2の図3で示したような画素電極層4030及び共通電極層4031が開口パターンを有する形状である。
画素電極層4030と共通電極層4031との間に電界を形成することで、液晶組成物4008の液晶を制御する。液晶には水平方向の電界が形成されるため、その電界を用いて液晶分子を制御できる。ブルー相を呈するように配向している液晶分子を、基板と平行な方向で制御できるため、視野角が広くなる。
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、透光性を有するガラス、プラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルム又はアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、液晶組成物4008の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。液晶組成物4008を用いる液晶表示装置において液晶組成物の厚さであるセルギャップは1μm以上20μm以下とすることが好ましい。なお、本明細書においてセルギャップの厚さとは、液晶組成物の厚さ(膜厚)の最大値とする。
なお図4は透過型液晶表示装置の例であるが、本発明は半透過型液晶表示装置でも、反射型液晶表示装置でも適用できる。
また、図4の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。偏光板の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光層を設けてもよい。
層間膜4021の一部としてカラーフィルタ層や遮光層を形成してもよい。図4においては、トランジスタ4010、4011上方を覆うように遮光層4034が第2の基板4006側に設けられている例である。遮光層4034を設けることにより、さらにコントラスト向上やトランジスタの安定化の効果を高めることができる。
トランジスタの保護膜として機能する絶縁層4020で覆う構成としてもよいが、特に限定されない。
なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタリング法を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。
また、平坦化絶縁膜として透光性の絶縁層をさらに形成する場合、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層を形成してもよい。
積層する絶縁層の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、スピンコート、ディップ法、スプレー塗布法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等を用いることができる。
画素電極層4030及び共通電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物、グラフェンなどの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、画素電極層4030及び共通電極層4031はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
また、画素電極層4030及び共通電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004又は画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、ゲート線又はソース線に対して、駆動回路保護用の保護回路を同一基板上に設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
図4では、接続端子電極4015が、画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
また図4においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部又は走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
以上のように、一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含有してなる液晶組成物を用いて、より低駆動電圧化を達成する液晶素子、又は液晶表示装置を提供することができる。よって、低消費電力な液晶表示装置を提供することができる。
また、一般式(G1)で表される重合性モノマー又は一般式(H1)で表される重合性モノマー、ネマティック液晶、及びカイラル剤を含みブルー相を発現する液晶組成物は、高速応答が可能であるため、液晶表示装置の高性能化が可能になる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本明細書に開示する液晶表示装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
図5(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。実施の形態1乃至3のいずれかで示した液晶表示装置を表示部3003に適用することにより、低消費電力なノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
図5(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス3022がある。実施の形態1乃至3のいずれかで示した液晶表示装置を表示部3023に適用することにより、低消費電力な携帯情報端末(PDA)とすることができる。
図5(C)は、電子書籍であり、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図5(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図5(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。実施の形態1乃至3のいずれかで示した液晶表示装置を表示部2705、表示部2707に適用することにより、低消費電力な電子書籍とすることができる。表示部2705として半透過型、又は反射型の液晶表示装置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想されるため、太陽電池を設け、太陽電池による発電、及びバッテリーでの充電を行えるようにしてもよい。なおバッテリーとしては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図5(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
また、電子書籍は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
図5(D)は、携帯電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯電話の充電を行う太陽電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵されている。実施の形態1乃至3のいずれかで示した液晶表示装置を表示パネル2802に適用することにより、低消費電力な携帯電話とすることができる。
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図5(D)には映像表示されている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図5(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
図5(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。実施の形態1乃至3のいずれかで示した液晶表示装置を表示部(A)3057、表示部(B)3055に適用することにより、低消費電力なデジタルビデオカメラとすることができる。
図5(F)は、テレビジョン装置であり、筐体9601に表示部9603などによって構成されている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。実施の形態1乃至3のいずれかで示した液晶表示装置を表示部9603に適用することにより、低消費電力なテレビジョン装置とすることができる。
テレビジョン装置の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、実施の形態1において構造式(102)で表される1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3−ジフルオロベンゼン(略称:o2F−RM257−O3)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3−ジフルオロベンゼン(略称:o2F−RM257−O3)の合成方法
構造式(102)で表されるo2F−RM257−O3(略称)の合成スキームを下記(A−1)に示す。
300mLのナスフラスコに2.0g(8.0mmol)の4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)安息香酸と、0.53g(3.6mmol)の2,3−ジフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.29g(2.4mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、1.5g(8.0mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、80mLのアセトンと、40mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で18時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を0.87g、収率40%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3−ジフルオロベンゼン(略称:o2F−RM257−O3)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=2.18−2.27(m,4H)、4.17(t,J=6.0Hz,4H)、4.39(t,J=6.2Hz,4H)、5.86(dd,J1=10.5Hz,J2=1.8Hz,2H)、6.14(dd,J1=10.5Hz,J2=17.4Hz,2H)、6.43(dd,J1=1.5Hz,J2=17.1Hz,2H)、7.00(d,J=8.7Hz、4H)、7.09(d,J=4.5Hz、2H)、8.16(d,J=8.7Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図7に示す。なお、図7(B)は、図7(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図7(C)は、図7(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、o2F−RM257−O3のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図8に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図8において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて267nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(105)で表される1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3−ジフルオロベンゼン(略称:o2F−RM257−O6)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3−ジフルオロベンゼン(略称:o2F−RM257−O6)の合成方法
構造式(105)で表されるo2F−RM257−O6(略称)の合成スキームを下記(A−2)に示す。
300mLのナスフラスコに2.2g(7.5mmol)の4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸と、0.53g(3.6mmol)の2,3−ジフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.14g(1.1mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、1.4g(7.5mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、100mLのアセトンと、50mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で115時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を1.6g、収率65%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3−ジフルオロベンゼン(略称:o2F−RM257−O6)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=1.43−1.61(m,8H)、1.69−1.78(m,4H)、1.81−1.90(m,4H)、4.06(t,J=6.5Hz,4H)、4.19(t,J=6.6Hz,4H)、5.83(dd,J1=10.4Hz,J2=1.4Hz,2H)、6.13(dd,J1=10.2Hz,J2=17.1Hz,2H)、6.41(dd,J1=1.5Hz,J2=17.1Hz,2H)、6.98(d,J=6.9Hz,4H)、7.09(d,J=4.5Hz、2H)、8.15(d,J=8.7Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図9に示す。なお、図9(B)は、図9(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図9(C)は、図9(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、o2F−RM257−O6のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図10に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図10において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて269nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(305)で表される1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O3)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O3)の合成方法
構造式(302)で表されるp2F−RM257−O3の合成スキームを下記(B−1)に示す。
500mLのナスフラスコに1.5g(6.0mmol)の4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)安息香酸と、0.44g(3.0mmol)の2,5−ジフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.22g(1.8mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、1.2g(6.0mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、100mLのアセトンと、50mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で67時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を0.36g、収率20%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O3)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=2.18−2.27(m,4H)、4.17(t,J=6.3Hz,4H)、4.39(t,J=6.2Hz,4H)、5.86(dd,J1=10.2Hz,J2=1.5Hz,2H)、6.14(dd,J1=10.5Hz,J2=17.4Hz,2H)、6.43(dd,J1=1.5Hz,J2=17.1Hz,2H)、7.00(d,J=9.0Hz、4H)、7.19(t,J=8.6Hz,2H)、8.15(d,J=8.7Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図11に示す。なお、図11(B)は、図11(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図11(C)は、図11(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、p2F−RM257−O3のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図12に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図12において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて275nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(305)で表される1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O6)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O6)の合成方法
構造式(305)で表されるp2F−RM257−O6の合成スキームを下記(B−2)に示す。
500mLのナスフラスコに2.0g(6.8mmol)の4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸と、0.45g(3.1mmol)の2,5−ジフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.13g(1.0mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、1.3g(6.8mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、80mLのアセトンと、40mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で18時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を0.20g、収率9.3%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O6)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=1.47−1.54(m,8H)、1.69−1.76(m,4H)、1.71−1.87(m,4H)、4.06(t,J=6.3Hz,4H)、4.19(t,J=6.6Hz,4H)、5.83(dd,J1=10.5Hz,J2=1.2Hz,2H)、6.13(dd,J1=10.5Hz,J2=17.4Hz,2H)、6.41(dd,J1=1.4Hz,J2=17.3Hz,2H)、6.98(d,J=8.7Hz、4H)、7.19(t,J=8.3Hz,2H)、8.14(d,J=8.7Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図13に示す。なお、図13(B)は、図13(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図13(C)は、図13(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、p2F−RM257−O6のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図14に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図14において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて276nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(307)で表される1,4−ビス−[4−(8−アクリロイルオキシ−n−オクチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O8)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(8−アクリロイルオキシ−n−オクチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O8)の合成方法
構造式(309)で表されるp2F−RM257−O8の合成スキームを下記(B−3)に示す。
300mLのナスフラスコに1.5g(4.7mmol)の4−(8−アクリロイルオキシ−n−オクチル−1−オキシ)安息香酸と、0.68g(2.3mmol)の2,5−ジフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.17g(1.4mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、0.90g(4.7mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、100mLのアセトンと、50mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で24時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を0.63g、収率36%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(8−アクリロイルオキシ−n−オクチル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,5−ジフルオロベンゼン(略称:p2F−RM257−O8)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=1.39−1.48(m,16H)、1.64−1.71(m,4H)、1.78−1.87(m,4H)、4.05(t,J=6.3Hz,4H)、4.16(t,J=6.9Hz,4H)、5.82(dd,J1=10.2Hz,J2=1.5Hz,2H)、6.13(dd,J1=10.5Hz,J2=17.1Hz,2H)、6.41(dd,J1=1.5Hz,J2=17.7Hz,2H)、6.98(d,J=8.7Hz、4H)、7.19(t,J=8.3Hz,2H)、8.14(d,J=8.7Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図15に示す。なお、図15(B)は、図15(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図15(C)は、図15(A)における1.0ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、p2F−RM257−O8のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図16に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図16において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて269nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施例1乃至5で示した本発明の一形態の液晶組成物を用いた液晶素子(液晶素子1乃至5)、及び比較として本発明の一形態の液晶組成物を用いない比較液晶素子1を作製し、それぞれの特性の評価を行った。
本実施例で作製した液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1に用いた液晶組成物の構成を表1に示す。表1では、混合の割合は全て重量百分率(wt%)で表している。
液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1では、液晶1として混合液晶E−8(株式会社LCC製)、液晶2として4−(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)−3’,4’−ジフルオロ−1,1’−ビフェニル(略称:CPP−3FF)(大立高分子工業社製)、液晶3として4−n−ペンチル安息香酸4−シアノ−3−フルオロフェニル(略称:PEP−5CNF)(大立高分子工業社製)、カイラル剤として1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ビス[4−(n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸]ソルビトール(略称:ISO−(6OBA)2)(みどり化学株式会社製)、重合性モノマーとして非液晶性紫外線重合性の重合モノマーであるメタクリル酸ドデシル(略称:DMeAc)(東京化成工業株式会社製)、及び重合開始剤としてDMPAP(略称)(東京化成工業株式会社製)を用いた。
なお、本実施例で用いた液晶2:CPP−3FF(略称)、液晶3:PEP−5CNF(略称)、カイラル剤:ISO−(6OBA)2(略称)、メタクリル酸ドデシル(DMeAc)(略称)、及び重合開始剤:DMPAP(略称)の構造式を下記に示す。
また、表1に示す液晶素子1乃至5においては、さらに重合性モノマーとしてそれぞれ、液晶素子1は下記構造式(302)で表される重合性モノマーであるp2F−RM257−O3(略称)を、液晶素子2は下記構造式(305)で表される重合性モノマーであるp2F−RM257−O6(略称)を、液晶素子3は下記構造式(307)で表される重合性モノマーであるp2F−RM257−O8(略称)を、液晶素子4は下記構造式(102)で表される重合性モノマーであるo2F−RM257−O3(略称)を、液晶素子5は下記構造式(105)で表される重合性モノマーであるo2F−RM257−O6(略称)を、比較液晶素子1は下記に示す重合性モノマーであるRM257(略称)(メルク株式会社製)を含む液晶組成物を用いた。
液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1は、画素電極層及び共通電極層が図3(D)のように櫛歯状に形成されたガラス基板と、対向基板となるガラス基板とを間に空隙(4μm)を有してシール材によって貼り合わせた後、注入法によって攪拌した表1で示す材料及び割合で混合させた各液晶組成物を、等方相の状態で、基板間に注入し作製した。
画素電極層及び共通電極層は酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を用いてスパッタリング法にて形成した。なお、その膜厚は110nmとし、画素電極層と共通電極層の各幅、及び画素電極層と共通電極層との間隔は5μmとした。また、シール材は紫外線及び熱硬化型シール材を用い、硬化処理として、90秒間の紫外線(放射照度100mW/cm2)照射処理を行い、その後120℃で1時間加熱処理を行った。
また、液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1それぞれにおいて、ブルー相を発現する温度範囲の任意の温度において恒温とし、紫外線(光源メタルハライドランプ、波長365nm、放射照度9mW/cm2)を、6分間照射することによって高分子安定化処理を行った。
液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1に電圧を印加し、印加電圧に対する透過率の特性評価を行った。特性評価は、光源はハロゲンランプ、温度は室温の測定条件で、液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1をクロスニコルの偏光子で挟んだ状態で行った。
図6に液晶素子1乃至5、及び比較液晶素子1の印加電圧と透過率の関係を示す。なお、図6において液晶素子1は白い丸印のドット、液晶素子2は白い菱形のドット、液晶素子3は白い四角形のドット、液晶素子4は黒い丸印のドット、液晶素子5は黒い三角形のドット、比較液晶素子1はバツ印のドットで示している。
図6に示すように、液晶素子1乃至5は、比較液晶素子1より低い印加電圧で高い透過率を示しており、液晶素子1乃至5は、低電圧駆動が可能であることが確認できた。
以上より、本実施例の新規重合性モノマーを含む液晶組成物を用いた液晶素子は低電圧駆動が可能であり、該液晶素子を用いた液晶表示装置、電子機器も、より低消費電力化を達成できる。
本実施例では、実施の形態1において構造式(502)で表される1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O3)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O3)の合成方法
構造式(502)で表される4F−RM257−O3(略称)の合成スキームを下記(G−1)に示す。
300mLのナスフラスコに2.0g(8.0mmol)の4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)安息香酸と、0.66g(3.6mmol)のテトラフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.29g(2.4mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、1.5g(8.0mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、80mLのアセトンと、40mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で21時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を0.79g、収率34%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(3−アクリロイルオキシ−n−プロピル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O3)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=2.19−2.27(m,4H)、4.18(t,J=6.2Hz,4H)、4.39(t,J=6.3Hz,4H)、5.85(dd,J1=10.5Hz,J2=1.2Hz,2H)、6.14(dd,J1=10.7Hz,J2=17.3Hz,2H)、6.43(dd,J1=1.5Hz,J2=17.1Hz,2H)、7.01(d,J=9.0Hz、4H)、8.17(d,J=8.7Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図18に示す。なお、図18(B)は、図18(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図18(C)は、図18(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、4F−RM257−O3のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図19に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図19において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて269nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(505)で表される1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O6)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O6)の合成方法
構造式(505)で表される4F−RM257−O6(略称)の合成スキームを下記(G−4)に示す。
300mLのナスフラスコに2.0g(6.8mmol)の4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸と、0.53g(3.2mmol)のテトラフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.15g(1.2mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、1.5g(8.0mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、100mLのアセトンと、50mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で23時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を1.1g、収率56%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(6−アクリロイルオキシ−n−ヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O6)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=1.48−1.51(m,8H)、1.69−1.88(m,8H)、4.07(t,J=6.5Hz,4H)、4.19(t,J=6.8Hz,4H)、5.83(dd,J1=10.2Hz,J2=1.5Hz,2H)、6.13(dd,J1=10.4Hz,J2=17.6Hz,2H)、6.41(dd,J1=1.7Hz,J2=17.3Hz,2H)、7.00(d,J=9.3Hz、4H)、8.16(d,J=9.3Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図20に示す。なお、図20(B)は、図20(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図20(C)は、図20(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、4F−RM257−O6のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図21に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図21において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて275nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(509)で表される1,4−ビス−[4−(10−アクリロイルオキシ−n−デシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O10)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(10−アクリロイルオキシ−n−デシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O10)の合成方法
構造式(509)で表される4F−RM257−O10(略称)の合成スキームを下記(G−5)に示す。
200mLのナスフラスコに1.0g(2.9mmol)の4−(10−アクリロイルオキシ−n−デシル−1−オキシ)安息香酸と、0.24g(1.3mmol)のテトラフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.11g(0.86mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、0.55g(2.9mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、80mLのアセトンと、40mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で19時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を0.65g、収率59%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(10−アクリロイルオキシ−n−デシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O10)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=1.26−1.48(m,24H)、1.63−1.70(m,4H)、1.78−1.87(m,4H)、4.06(t,J=6.3Hz,4H)、4.16(t,J=6.6Hz,4H)、5.82(dd,J1=10.5Hz,J2=1.2Hz,2H)、6.12(dd,J1=10.2Hz,J2=17.7Hz,2H)、6.40(dd,J1=1.2Hz,J2=17.4Hz,2H)、7.00(d,J=9.0Hz、4H)、8.16(d,J=9.0Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図22に示す。なお、図22(B)は、図22(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図22(C)は、図22(A)における1.5ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、4F−RM257−O10のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図23に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図23において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて276nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施の形態1において構造式(511)で表される1,4−ビス−[4−(12−アクリロイルオキシ−n−ドデシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O12)を合成する例を示す。
1,4−ビス−[4−(12−アクリロイルオキシ−n−ドデシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O12)の合成方法
構造式(511)で表される4F−RM257−O12(略称)の合成スキームを下記(G−6)に示す。
200mLのナスフラスコに1.5g(4.0mmol)の4−(12−アクリロイルオキシ−n−ドデシル−1−オキシ)安息香酸と、0.35g(1.9mmol)のテトラフルオロ−1,4−ベンゼンジオールと、0.15g(1.2mmol)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と、0.76g(4.0mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と、100mLのアセトンと、40mLのジクロロメタンを加え、この溶液を大気下、室温で24時間、攪拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応が終了していることを確認した。得られた溶液を濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水を加えて、有機層を取り出し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層と抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然濾過により濾別した。濾液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して白色固体物質を得た。得られた白色固体物質を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製したところ、白色固体を1.2g、収率70%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である1,4−ビス−[4−(12−アクリロイルオキシ−n−ドデシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ]−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(略称:4F−RM257−O12)であることを確認した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=1.12−1.48(m,32H)、1.63−1.69(m,4H)、1.78−1.88(m,4H)、4.06(t,J=6.6Hz,4H)、4.15(t,J=6.6Hz,4H)、5.82(dd,J1=10.2Hz,J2=1.2Hz,2H)、6.12(dd,J1=10.2Hz,J2=17.4Hz,2H)、6.40(dd,J1=1.2Hz,J2=17.4Hz,2H)、6.73(d,J=8.4Hz、4H)、8.16(d,J=9.0Hz,4H)。また、1H NMRチャートを図24に示す。なお、図24(B)は、図24(A)における5.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。なお、図24(C)は、図24(A)における1.0ppm〜4.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、4F−RM257−O12のジクロロメタン溶液の吸収スペクトルを図25に示す。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れて測定を行った。吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図25において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。吸収スペクトルにおいて275nm付近に吸収ピークが見られた。
本実施例では、実施例8乃至実施例10で示した本発明の一形態の液晶組成物を用いた液晶素子(液晶素子6、液晶素子7、及び液晶素子8)、及び比較として本発明の一形態の液晶組成物を用いない比較液晶素子2を作製し、それぞれの特性の評価を行った。
本実施例で作製した液晶素子6、液晶素子7、液晶素子8、及び比較液晶素子2に用いた液晶組成物の構成を表2及び表3に示す。表2及び表3では、混合する割合は全て重量百分率で表している。
液晶素子6、液晶素子7、及び比較液晶素子2では、液晶1として混合液晶E−8(株式会社LCC製)、液晶2として4−(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)−3’,4’−ジフルオロ−1,1’−ビフェニル(略称:CPP−3FF)(大立高分子工業社製)、液晶3として4−n−ペンチル安息香酸4−シアノ−3−フルオロフェニル(略称:PEP−5CNF)(大立高分子工業社製)、カイラル剤として1,4:3,6−ジアンヒドロ−2,5−ビス[4−(n−ヘキシル−1−オキシ)安息香酸]ソルビトール(略称:ISO−(6OBA)2)(みどり化学株式会社製)を用いた。
液晶素子8では、液晶1としてMDA−00−3506(メルク株式会社製)、液晶2として4−(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルオロフェニル(略称:CPEP−3FCNF)、液晶3として4−n−プロピル安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルオロフェニル(略称:PEP−3FCNF)、液晶4として4−n−エチル安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルオロフェニル(略称:PEP−2FCNF)、カイラル剤として(4R、5R)−4,5−ビス[ヒドロキシ−ジ(フェナントレン−9−イル)メチル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(略称:R−DOL−Pn)を用いた。
また、液晶素子6乃至8、及び比較液晶素子2において、重合性モノマーとして非液晶性紫外線重合性の重合モノマーであるメタクリル酸ドデシル(略称:DMeAc)(東京化成工業株式会社製)、及び重合開始剤としてDMPAP(略称)(東京化成工業株式会社製)を用いた。
なお、本実施例で用いたCPP−3FF(略称)、PEP−5CNF(略称)、CPEP−3FCNF(略称)、PEP−3FCNF(略称)、PEP−2FCNF(略称)、ISO−(6OBA)2(略称)、R−DOL−Pn(略称)、DMeAc(略称)、及びDMPAP(略称)の構造式を下記に示す。
また、表2に示す液晶素子6、液晶素子7、液晶素子8、及び比較液晶素子2においては、さらに重合性モノマーとしてそれぞれ、液晶素子6は下記構造式(505)で表される重合性モノマーである4F−RM257−O6(略称)を、液晶素子7は下記構造式(509)で表される重合性モノマーである4F−RM257−O10(略称)を、液晶素子8は下記構造式(511)で表される重合性モノマーである4F−RM257−O12(略称)を、比較液晶素子2は下記に示す重合性モノマーであるRM257(略称)(メルク株式会社製)を含む液晶組成物を用いた。
液晶素子6、液晶素子7、液晶素子8、及び比較液晶素子2は、画素電極層及び共通電極層が図3(D)のように櫛歯状に形成されたガラス基板と、対向基板となるガラス基板とを間に空隙(4μm)を有してシール材によって貼り合わせた後、注入法によって攪拌した表2及び表3で示す材料及び割合で混合させた各液晶組成物を、等方相の状態で、基板間に注入し作製した。
画素電極層及び共通電極層は酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を用いてスパッタリング法にて形成した。なお、その膜厚は110nmとし、画素電極層と共通電極層の各幅、及び画素電極層と共通電極層との間隔は5μmとした。また、シール材は紫外線及び熱硬化型シール材を用い、硬化処理として、90秒間の紫外線(放射照度100mW/cm2)照射処理を行い、その後120℃で1時間加熱処理を行った。
また、液晶素子6、液晶素子7、液晶素子8、及び比較液晶素子2それぞれにおいて、ブルー相を発現する温度範囲の任意の温度において恒温とし、紫外線(光源メタルハライドランプ、波長365nm、放射照度8mW/cm2)を、30分間照射することによって高分子安定化処理を行った。
液晶素子6、液晶素子7、液晶素子8、及び比較液晶素子2に電圧を印加し、印加電圧に対する透過率の特性評価を行った。特性評価は、光源はハロゲンランプ、温度は室温の測定条件で、液晶素子6、液晶素子7、液晶素子8、及び比較液晶素子2をクロスニコルの偏光子で挟んだ状態で行った。
図17に液晶素子6、液晶素子7、及び比較液晶素子2の印加電圧と透過率の関係を示す。なお、図17において液晶素子6は丸型のドット、液晶素子7は三角形のドット、比較液晶素子2はバツ印のドットで示している。
図17に示すように、液晶素子6、液晶素子7は、比較液晶素子2より低い印加電圧で高い透過率を示しており、液晶素子6、液晶素子7は、低電圧駆動が可能であることが確認できた。
図26に液晶素子8の印加電圧と透過率の関係を示す。なお、図26において液晶素子8は丸型のドットで示している。図26で示すように、液晶素子8も低い印加電圧で高い透過率を示しており、低電圧駆動が可能であることが確認できた。
以上より、本実施例の新規液晶組成物を用いた液晶素子は低電圧駆動が可能であり、該液晶素子を用いた液晶表示装置、電子機器も、より低消費電力化を達成できる。
実施例11で使用した、CPEP−3FCNF(略称)、PEP−3FCNF(略称)、PEP−2FCNF(略称)、及びR−DOL−Pn(略称)の合成方法を以下に記載する。
4−(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルオロフェニル(略称:CPEP−3FCNF)の合成方法
CPEP−3FCNF(略称)の合成スキームを下記(J−1)に示す。
4−n−プロピル安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルオロフェニル(略称:PEP−3FCNF)の合成方法
PEP−3FCNF(略称)の合成スキームを下記(K−1)に示す。
4−n−エチル安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルオロフェニル(略称:PEP−2FCNF)の合成方法
PEP−2FCNF(略称)の合成スキームを下記(K−2)に示す。
(4R、5R)−4,5−ビス[ヒドロキシ−ジ(フェナントレン−9−イル)メチル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(略称:R−DOL−Pn)の合成方法
R−DOL−Pn(略称)の合成スキームを下記(L−1)に示す。