JP6080639B2 - 加熱定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ等の、電子写真記録方式や静電記録方式を採用した画像形成装置に用いられる加熱定着装置に関するものである。
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載する加熱定着装置は、ニップ部を形成する一対の回転体を有し、一方の回転体の回転駆動に伴い他方の回転体が従動回転する構成のものが主に用いられている。この加熱定着装置は、ニップ部で未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し未定着トナー像を記録材に定着する。この加熱定着装置のウォームアップをする場合、未定着トナー像と接触する側の回転体をヒータによって加熱する又は自己発熱させることでウ未定着トナー像を記録材に定着することができる温度まで加熱する。一方、未定着トナー像と接触しない側の回転体は、ヒータで加熱されない構成であることがあり、ウォームアップの期間で十分に温まらないことがある。このように、未定着トナー像と接触しない側の回転体が温まっていない状態で、吸湿した記録材をニップ部で加熱すると、記録材から水蒸気が発生し、この水蒸気によって回転体の表面が結露することがある。未定着トナー像と接触しない側の回転体が結露すると、ニップ部における摩擦力が小さくなり、駆動側の回転体からの駆動力が被駆動側の回転体へ伝達されにくくなり被駆動側の回転体が回転しなくなって記録材が搬送されなくなる結露スリップが生じる場合がある。
そこで、未定着トナー像と接触しない側の回転体の結露を抑制するために、送風ファンを用いて未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風する構成が開示されている(特許文献1)。特許文献1の定着装置は、加圧ローラの軸方向に長いダクトを有し、ダクトの長手方向の端部にある開口部からファンで風を送り、その風はダクトの加圧ローラと対向する部分に設けられた複数の孔から加圧ローラに向けて吹き出す構成である(図10(a)(b))。特許文献1には、加圧ローラの軸方向で加圧ローラの表面に均一に空気を吹き付けるものである。このように加圧ローラの表面に均一に風を吹き付けることで、水蒸気を拡散することができ、加圧ローラの結露が抑制できるため、結露スリップの抑制が可能となる。
特開2007−206275号公報
しかしながら、特許文献1の定着装置は、送風ファンによって加圧ローラに吹き付けられた風によって加圧ローラの表面の温度は加圧ローラの軸方向の全域で低下する。従って、定着性を維持するために、ヒータにより多くの電力を供給することになりエネルギー効率が悪化するという課題がある。
そこで、本発明の目的は、エネルギー効率の低下を最小限に抑えつつ定着性の維持と結露スリップの抑制を両立することができる加熱定着装置を提供することである。
本発明の一つの側面としての定着装置は駆動源によって駆動される第1の回転体と、前記第1の回転体との間にニップ部を形成し前記第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風するための送風部材と、を有し、前記ニップ部で前記未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し前記未定着トナー像を記録材に定着する定着処理を行う定着装置において、前記送風部材は少なくとも、前記定着装置のウォームアップを開始する時に前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の温度が閾値温度より低い場合に、駆動され、前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の通紙領域に向けての風量は前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の非通紙領域に向けての風量よりも小さいことを特徴とする。
本発明のもう一つの側面としての定着装置は、駆動源によって駆動される第1の回転体と、前記第1の回転体と接触してニップ部を形成し前記第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風するための送風部材と、を有し、前記ニップ部で前記未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し前記未定着トナー像を記録材に定着する定着処理を行う定着装置において、前記送風部材は少なくとも、前記定着装置のウォームアップを開始する時に前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の温度が閾値温度より低い場合に、駆動され、前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の記録材搬送方向に直交する方向の端部のみに送風されることを特徴とする。
本願発明の更にもう一つ側面としての定着装置は、駆動源によって駆動される第1の回転体と、前記第1の回転体との間にニップ部を形成し前記第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風するための送風部材と、を有し、前記ニップ部で前記未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し前記未定着トナー像を記録材に定着する定着処理を行う定着装置において、前記送風部材は少なくとも、前記定着装置のウォームアップを開始する時に前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の温度が閾値温度より低い場合に、駆動され、記録材搬送方向に直交方向において前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の中央部に向けての風量は前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の端部に向けての風量よりも小さいことを特徴とする。
エネルギー効率の低下を最小限に抑えつつ定着性の維持と結露スリップの抑制とを両立することが可能となる。
実施例1に係る加熱定着装置の横断面の模式図 実施例1に係る加熱定着装置の縦断面の模式図 実施例1に係る定着フィルムの横断面の模式図 実施例1に係るヒータの模式図 (a) 実施例1に係る加圧ローラ及びダクトの模式図、(b)実施例1に係るダクト内部の模式図 実施例1に係る画像形成のフローチャート 実施例2に係る加圧ローラ及びダクトの模式図 比較例に係る加圧ローラ及びダクトの模式図 実施例1及び2に係る画像形成装置の断面図 (a) 従来例の定着装置及びダクト、(b)従来例のダクト
本発明の実施例を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置
図9は本実施例に係る加熱定着装置を搭載する画像形成装置の構成図である。この画像形成装置は電子写真方式のレーザープリンタであって、ホストコンピュータ等の外部装置(不図示)より入力する画像情報に応じた画像を記録材に形成する。
本実施例に示す画像形成装置は、外部装置からプリント指令を入力すると、像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)61を矢印方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動する。その感光ドラム61は感光ドラム61の外周面(表面)が帯電器62により所定の極性・電位に一様に帯電される。その感光ドラム61表面の帯電面に対して露光手段としてのレーザースキャナ63により画像情報の書き込みがなされる。レーザースキャナ63は、外部装置からプリンタに入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に応じて変調されたレーザー光Lを出力する。そしてレーザースキャナ63はそのレーザー光Lにより感光ドラム61の帯電面を走査露光する。これにより、感光ドラム61表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。その静電潜像は現像器64によりトナー(現像剤)を用いてトナー画像(現像像)として現像される。感光ドラム61表面のトナー画像(以下、トナー像と記す)は感光ドラム61の回転によって感光ドラム61表面とこの感光ドラム61表面に対向して配置されている転写ローラ67の外周面(表面)との間の転写ニップ部に送られる。以上が画像形成部の構成である。
一方、給送カセット68のシート積載台68a上に積載されている記録材Pは、所定の制御タイミングで駆動される給送ローラ69により一枚ずつピックアップされ、搬送ローラ70と搬送コロ70aとによりレジストレーション部へと送られる。レジストレーション部では、記録材Pの先端をレジストレーションローラ71とコロ71aとの間のニップ部で一旦受け止めて記録材Pの斜行矯正を行う。その後、レジストレーション部において所定のタイミングでその記録材Pを転写ニップ部へと給送する。ここで言う所定のタイミングとは、感光ドラム61の表面のトナー像の先端部位が転写ニップ部に到達したとき、記録材Pの先端部位が転写ニップ部に到達するタイミングである。
転写ニップ部に給送された記録材Pは感光ドラム61と転写ローラ67とにより挟持搬送される。そしてその記録材Pの搬送過程において転写ローラ67に印加される転写バイアスにより感光ドラム61表面のトナー像が記録材Pに転写され、記録材Pは感光ドラム61表面から分離されて加熱定着装置72へと搬送される。加熱定着装置72は、未定着トナー像を担持した記録材Pに後述のニップ部Nで熱と圧力を付与することによって未定着トナー像を記録材Pに加熱定着し、その記録材Pをニップ部Nから排出する。加熱定着装置72のニップ部Nから排出された記録材Pは中間排出ローラ73により排出ローラ74に搬送される。そして排出ローラ74がその記録材Pを排出トレイ75上に排出する。記録材Pが分離された後の感光ドラム61の表面は、クリーナー65により転写残トナーが除去され、繰り返して作像に供される。
本実施例の画像形成装置は、感光ドラム61と帯電器62と現像器64とクリーナー65を一体化してプロセスカートリッジ66としている。そしてそのカートリッジ66はプリンタの筐体を構成する画像形成装置本体76に対して取り外し可能に装着されている。
画像形成装置本体76には冷却ファン77が設けられている。この冷却ファン77は、適宜回転され、外気を画像形成装置本体76内に取り込んで画像形成部、電装基板等の昇温箇所を冷却する。冷却ファン77の近傍には、環境検知部材78が設けられ、冷却ファン77によって機外の空気を取り込んだ際に、画像形成装置が設置されている環境の温度・湿度を検知する。そして、その検知結果を加熱定着装置72の温度制御シーケンスにフィードバックしている。
給送カセット68のシート積載台68aにはサイズの異なる各種記録材を積載するための移動可能な規制ガイド(不図示)が設けられている。その規制ガイドを記録材Pのサイズに応じて変位させその記録材Pをシート積載台68a上に積載することによって、サイズの異なる各種記録材を給送カセット68から給送ローラ69により一枚ずつピックアップすることができる。
本実施例の画像形成装置は、A4サイズ紙対応の画像形成装置であって、プリントスピードが52枚/分(A4横)である。
(2)加熱定着装置
以下の説明において、加熱定着装置72及び加熱定着装置72を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。また長手方向とは後述する加熱用回転体の回転方向に直交する方向でもある。短手方向とは、記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。また、記録材に関し、幅方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。
図1は加熱定着装置72の横断面を示した図である。図2は加熱定着装置72の縦断面を示した図である。図3は定着フィルム10の横断面を示した図である。図4はヒータ31の一例の構成図である。これら図1〜図4及び図9を用いて本実施例の加熱定着装置72について説明する。
本実施例に示す加熱定着装置72は、定着フィルム10と、フィルムの内面に接触するヒータ31と、ヒータ31と共に定着フィルム10を介してニップ部を形成する加圧ローラ20と、を有する。加熱定着装置72は更に、ヒータホルダー41と、加圧ステー42と、加圧手段43と、定着フランジ45と、を有する。ヒータ31、定着フィルム10、ヒータホルダー41、加圧ステー42及び加圧ローラ20は、何れも長手方向に細長い部材である。加熱定着装置72は、加圧ローラ20を回転駆動して、定着フィルム10を加圧ローラ20との間に働く摩擦力によって従動回転させる方式の加熱定着装置である。
(2−1)定着フィルム
図3に示すように、定着フィルム10は、耐熱性と可撓性を有する材料によりエンドレスのスリーブ状に形成されている基層11と、その基層11の外周面上に設けられている離型性層12と、を有する。また、定着性向上、画質向上のために、その基層11の外周面上で、離型層12の内周面側との間にシリコーンゴムなどの弾性層13を設けても良い。
基層11として、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性樹脂により薄肉の可撓性を有するエンドレスベルトに形成したものを用いている。基層11の材料は耐熱性樹脂に限られずより熱伝導率の高いステンレス(SUS)、ニッケル(Ni)等の薄肉金属を用いても良い。
上記基層11の外周面上には、離型層12として、PFA、PTFE、FEPなどのフッ素樹脂を単品もしくはブレンドしてコーティングするか、あるいはチューブを被覆している。PFAとはパーフルオロアルコキシ樹脂のことであり、PTFEとはポリテトラフルオロエチレン樹脂のことであり、FEPとはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂のことである。離型層12の厚みは、耐久性の観点から5μm以上であることが必要である。また離型層12が厚すぎると、熱伝導度が下がってしまい定着性に悪影響を与えてしまうことから、50μm以下にする必要がある。以上に述べたように、耐久性と定着性を両立させるためには、離型層12の厚みとしては5μm以上50μm以下としている。
基層11の外周面と離型層12の内周面の間に弾性層13を設ける場合、記録材Pの担持する未定着トナー像Tを包み込むことによって均一に熱を与えることができる。そのため、記録材Pとトナー像Tとで形成される凹凸に追従し、ハーフトーン画像などでのガサツキを抑え、均一で十分な定着性を得ることが可能となる。また、弾性層13は、弾性層13の厚みが厚いほど記録材Pの担持するトナー像Tを包み込んで均一に記録材P面上に加熱定着させることができる。つまり、弾性層13の厚みが厚いほど未定着トナー像Tの包み込み効果を向上させることができる。しかし、弾性層13の厚みが厚すぎると熱容量が大きくなりすぎて定着フィルム10の立ち上がりが遅くなってしまい、フィルム加熱方式特有のオンデマンド性が低下してしまう。そのため弾性層13の厚みとしては50μm以上500μm以下としている。また、弾性層13の熱伝導度としては高いほど好ましく、0.5W/m・K以上であることが好ましく、かかる熱伝導度を達成するようにZnO、Al、SiC、金属ケイ素等の熱伝導性フィラーをシリコーンゴムに混入し、調整している。
定着フィルム10において、定着フィルム10の外径は熱容量が抑えられるため小さい方が好ましい。しかしながら、外径を小さくしすぎるとニップ部Nの幅が細くなってしまうために極度に小さくすることはできない。
従って、本実施例の定着フィルム10は、画像形成装置の速度(プロセススピード)等の条件を考慮し、基層11の材料にはSUSを用い、基層11の肉厚(厚み)は30μm、基層11の内径は24mmとしている。弾性層13は、熱伝導度1.3W/m・Kのシリコーンゴムを用い、厚みは250μmとしている。離型層12としては、PFAのコーティングを用い、離型層12の厚みは14μmである。
(2−2)ヒータホルダー
ヒータホルダー41は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイ(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性樹脂により横断面が半円形状の樋型になるように形成されている。このヒータホルダー41は、熱伝導率が低いほどヒータ31により定着フィルム10内面を加熱するときの熱効率が高くなる。よってヒータホルダー41を形成する耐熱性樹脂中に中空のフィラー、例えばガラスバルーン、シリカバルーン等を内包してあっても良い。ヒータホルダー41の下面(加圧ローラ20側の面)には、ヒータホルダー41の長手方向に沿って凹溝が設けられている。そしてこの凹溝からヒータ31の後述する保護摺動層34が露出するように凹溝によりヒータ31の基板31を保持している。そしてそのヒータホルダー41の外周には定着フィルム10がルーズに外嵌されている。定着フィルム10が外嵌されたヒータホルダー41は、ヒータホルダー41の長手方向の両端部が装置フレーム(不図示)に保持されている。
(2−3)加圧ローラ
加圧ローラ20は、芯金21と、その芯金21の外周面上に設けられている弾性層22と、その弾性層22の外周面上に設けられている離型層23と、を有する。
芯金21は、アルミ、或いは鉄などの材料により丸軸状に形成されている。芯金21の材料はアルミ、或いは鉄などに限られず高強度、低熱容量で断熱効果の高いセラミック多孔質体を用いても良い。
弾性層22は、シリコーンゴム(ソリッドゴム層)、或いは断熱効果をもたせるためにシリコーンゴムを発泡して形成されたスポンジ層などからなる。弾性層22は、シリコーンゴム、或いはスポンジ層に限られずより断熱効果を持たせるためにシリコーンゴム層内に中空フィラーや、あるいは吸水性ポリマーおよび水を添加することで形成された多孔質を有する気泡ゴム層などでもよい。上記に述べた弾性層22の上には、パープルアロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂離型性層23を形成する。この離型層23はチューブを被覆させたものでも表面を塗料でコートしたものであってもよい。
この加圧ローラ20は、定着フィルム10の下方においてヒータ31と対向して配置されている。そしてこの加圧ローラ20は、芯金21の長手方向両端部が上記装置フレームに回転自在に保持されている。
比較的高速の画像形成装置に搭載される加熱定着装置72では、ニップ部Nにおいて適正なニップ幅が形成でき、かつ熱容量をある程度確保する必要がある。そのため、肉厚(厚み)が3.5mmのソリッドゴムを用いて弾性層22を形成した加圧ローラ20を使用した。離型層23としては、耐久性を考慮し、50μmの厚みのPFAチューブを被覆させている。また、加圧ローラ20の外径をφ30mmとしている。
(2−4)ヒータ
図4はヒータ31の構成図である。ヒータ31は、定着フィルム10の内面と接触しながら定着フィルム10を加熱する板状の発熱体である。このヒータ31は長手方向に細長い基板31を有する。基板31は、アルミナや窒化アルミ等の絶縁性のセラミックス基板、或いはポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性の樹脂基板である。その基板31の表面(加圧ローラ20側の面)には、基板31の長手方向に沿って例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の発熱抵抗体32がスクリーン印刷等により線状もしくは細帯状に塗工して形成してある。発熱抵抗体32は、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度である。また、基板31の表面には、発熱抵抗体32に給電するための給電電極33が基板31の長手方向両端部の内側に設けられている。また、基板31の表面には、発熱抵抗体32の熱効率を損なわない範囲で発熱抵抗体32を保護する保護摺動層34を設けてあってもよい。ただし、保護摺動層34の厚みは十分薄く、発熱抵抗体32の表面性を良好にする程度が好ましい。保護摺動層34としては、ポリイミドやポリアミドイミドなどの耐熱性樹脂やガラスコートなどが用いられることが多い。
上記ヒータ31において、基板31として熱伝導性の良好な窒化アルミ等を使用する場合には、発熱抵抗体32は基板31の裏面(加圧ローラ20と反対側の面)に形成してあっても良い。
(2−5)加圧ステー
加圧ステー42は剛性を有する金属等の材料により横断面下向きU字形状に形成してある。この加圧ステー42は、定着フィルム10の内側においてヒータホルダー41の上面(加圧ローラ20と反対側の面)の短手方向中央に配置されている。そして装置フレームに保持されている定着フランジ45を介して加圧ステー42の長手方向の両端部をばね等の加圧手段43により加圧ローラ20の軸線に向けて付勢する。これによってヒータ31の基板31の表面を定着フィルム10を介して加圧ローラ20表面に加圧し加圧ローラ20の弾性層22が基板31に沿って弾性変形する。これによって加圧ローラ20表面と定着フィルム10表面との間にトナー像Tの加熱定着に必要な所定幅のニップ部Nが形成される。
(2−6)定着処理動作
本実施例の加熱定着装置72を用いた定着処理動作について説明する。最初に、制御部44は、プリント指令に応じて駆動源してのモータMを駆動して加圧ローラ20の芯金21の長手方向の端部に設けられている駆動ギアGを回転させる。これにより加圧ローラ20は所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向へ回転する。その際、ニップ部Nにおける加圧ローラ20の表面と定着フィルム10の表面との間の摩擦力によって定着フィルム10に加圧ローラ20の回転方向とは逆向きの回転力が作用する。これにより、定着フィルム10は、定着フィルム10内面がヒータ31の保護摺動層34に接触しながらヒータホルダー41の外周を加圧ローラ20と略同じ周速度で矢印方向へ従動回転する。
また、制御部44は、プリント指令に応じて電源37からヒータ31の給電電極33を通じて発熱抵抗体32に通電する。その通電により発熱抵抗体32が発熱しヒータ31は急速昇温して定着フィルム10を加熱する。ヒータ31の温度は基板31の裏面に設けられている第一の温度検知部材としてのサーミスタ35により検知され、そのサーミスタ35はヒータ31の温度検知信号を制御部44に出力する。このサーミスタ35は、ヒータ31の長手方向におけるニップ部Nの記録材搬送領域においてプリンタに使用可能な各種サイズの記録材Pが必ず通過する領域に配置されている。更に、制御部44は、サーミスタ35から温度検知信号を取り込み、その温度検知信号に基づいてヒータ31が目標温度を維持するように発熱抵抗体32への電力供給量を制御する。つまり、制御部44は、メインサーミスタ35からの温度検知信号に基づきヒータ31が所定の温調温度を維持するように発熱抵抗体32に印加される電圧のデューティー比や波数などを適切に制御している。
また、ヒータ31の基板31の裏面には、サーモスイッチ、温度ヒューズ等のサーモプロテクタ36が配置されている。サーモプロテクタ36の入力端子(不図示)は電源37と直列接続され、出力端子(不図示)はヒータ31の発熱抵抗体32に直列接続されている。これにより、ヒータ31がサーミスタ35の故障等により暴走状態になったときにヒータ31の異常昇温をサーモプロテクタ36が検出し、発熱抵抗体32への通電をシャットダウンする構成となっている。
加圧ローラ20及び定着フィルム10の回転が安定し且つヒータ31の検知温度が目標温度に維持された状態で、未定着トナー像Tを担持する記録材Pがニップ部Nに導入されて搬送される。その記録材Pはニップ部Nで定着フィルム10の表面と加圧ローラ20の表面とにより挟持搬送される。このニップ部Nにおける搬送過程において記録材Pには定着フィルム10からの熱供給と圧力の付加によりトナー像Tは記録材Pの面上に加熱定着される。
(2−7)結露スリップ
ここで結露スリップについて説明する。記録材Pが高湿環境下で長時間放置された場合、記録材Pには多量の水分が含まれている。この記録材に含まれる水分は、ニップ部N の熱により瞬時に蒸発し、水蒸気となる。そして、この水蒸気は記録材Pの画像形成面側よりも非画像形成面側から発生しやすい、つまり、記録材Pの両面のうち定着フィルム10の側の面よりも加圧ローラ20の側の面から発生しやすいのである。この理由は、記録材Pの画像形成面側の面は記録材上のトナーTが水蒸気の放出を妨げるためである。加圧ローラ20の側に放出された水蒸気は加圧ローラ20の回転で生じる対流によりニップ部Nの加圧ローラ20の回転方向の下流側から上流側に回り込むように広がる。そして、加圧ローラ20が温まっていない状態の場合、加圧ローラ20の近傍の水蒸気が加圧ローラ20の表面上で結露して、加圧ローラ20と定着フィルム10との間で滑りが生じやすくなる。加圧ローラ20と定着フィルム10との間で滑りが生じると、定着フィルム10が加圧ローラ20と同じ回転速度で従動回転しない場合がある。その結果、ニップ部Nでの記録材の搬送速度が転写部での搬送速度よりも大きく低下して、記録材が弛むことで転写部に押し込まれる、又は、記録材が搬送路内で擦ってしまいトナー像が飛び散るなどして画像不良が発生してしまう。このように加圧ローラ20が結露することで定着フィルム10の回転速度が低下し、画像不良に至る現象を結露スリップと呼ぶ。
ここで、加圧ローラ20の非通紙領域が結露すると通紙領域が結露するよりも加圧ローラ20と定着フィルム10との間の滑りが生じやすくなり、結露スリップが発生しやすい。この理由は、加圧ローラ20の非通紙領域は、ニップ部Nで紙を通紙している時に加圧ローラ20が定着フィルム10と直接接触する部分であって、定着フィルム10が回転するための駆動力を与える寄与度が通紙領域よりも大きいからである。更に、結露スリップは幅が広い紙ほど発生しやすい現象である。幅の狭い紙を通紙する場合、水蒸気の発生する領域が狭く、加圧ローラ20が定着フィルム10を従動回転させるための非通紙領域が広い。そのため、加圧ローラ20の非通紙領域は結露しにくく、定着フィルム10の回転速度が低下しにくい。一方、幅の広い紙を通紙する場合、水蒸気が発生する領域が広いため水蒸気量も多く、また加圧ローラ20が定着フィルム10を従動回転させるための非通紙領域は狭い。よって、加圧ローラ20は、軸方向において通紙域だけでなく非通紙領域も結露して定着フィルム10の速度が低下しやすいため、結露スリップが発生しやすいという性質がある。更に、結露スリップは、未定着トナー像と接触する側の回転体と未定着トナー像と接触しない側の回転との温まりやすさの差が大きいと発生しやすい。つまり、本実施例のように定着フィルム10が薄肉で熱容量が小さくヒータ31で直接加熱されており温まりやすく、加圧ローラ20はゴム層などを有しており熱容量が大きく温まりにくいような構成である。なぜなら、加熱定着装置のウォームアップは、未定着トナー像と接触する側の回転体の温度が定着可能な温度に達した時に完了と見なすことが多く、その時の未定着トナーが接触しない側の回転体の温度は管理されていないためである。
尚、最大幅の紙をニップ部Nで通紙する場合に、加圧ローラ20の非通紙領域の摩擦力を確保する方法として、ニップ部を最大幅の紙の通紙領域に対して加圧ローラ20の軸方向に延長する方法が考えられる。延長することで加圧ローラ20の非通紙領域が増えるため、通紙領域から発生する水蒸気に影響を受けにくく結露しない非通紙領域を増やすことができるので、結露スリップを抑制できる。しかしながら、定着フィルム10及び加圧ローラ20を延長すると、加熱定着装置72が大型化するという課題がある。
(2−8)本実施例の特徴的な構成
本実施例の加熱定着装置72の特徴的な構成について図1,5,9を用いて説明する。本実施例では、送風部材としてのファン79を画像形成装置1の側面に設け、機外の外気を機内に取り込むように吸い込み方向に回転させる。加熱定着装置72は、ファン79の風を加圧ローラ20まで誘導するためのダクト50を備える。ダクト50は、加圧ローラ20の軸方向に沿って長い形状であって、加圧ローラ20に対して定着フィルム10と反対側に設けられている。ダクト50は、記録材搬送方向に直交する方向の端部に設けられた開口部であってファン79の風を内部に取り入れるための開口部53と、その開口部53から取り入れた風を加圧ローラ20に向けて排出するための複数の孔52と、を有する。従って、ファン79からの風は、ダクト50の開口部53からダクト内部55に取り入れられた後、加圧ローラ20の軸方向に沿って流れる。その風は、ダクト50の開口部53の反対側の端部54は閉じているため、ダクト50の加圧ローラ20と対向する領域51に設けられた複数の孔52から、加圧ローラ20の表面に向けて吹き出す。
孔52を設ける場所について説明する。ニップ部Nで発生した水蒸気はニップ部Nのフィルム10の回転方向の下流側から加圧ローラ20の回転方向に回り込む。そのため、孔52は加圧ローラ20の軸中心から前記ダクト50の領域51へ下した垂線vlの近傍、又は、垂線vlより記録材搬送方向の下流側に設けると効果的に水蒸気を拡散できる。
本実施例のダクト50は、ファン79による送風の加圧ローラ20の軸方向の風量の分布として、通紙可能な最大幅の紙の通紙領域への風量がその非通紙領域への風量よりも小さくなるように構成されている。この具体的な構成を図5(a)に示す。加圧ローラ20の通紙領域に対向するダクト50の領域に設けられた加圧ローラの母線方向のダクトの単位長さ当たりの孔52の数は、非通紙領域に対向するダクト50の領域に設けられた加圧ローラの母線方向のダクトの単位長さ当たりの孔52の数よりも少ない。更に、図5(b)に示すように、ダクト内部55に仕切り56を設けることで、ファン79から各々の孔52までの距離によらず前述した風量の分布になるように構成されている。そのため、結露スリップが発生しやすい最大幅の紙(記録材)における加圧ローラ20の通紙領域への風量を減らす
ことで加圧ローラ20の表面温度を大きく下げることなく、非通紙領域への風量を必要十分に確保し結露スリップを抑制することができる。その結果、余分な電力をヒータ31に供給する必要がないのでエネルギー効率が良い。また、加圧ローラ20の非通紙領域の風量は大きくしても通紙領域よりも定着性
に対する影響は小さいのでエネルギー効率が大きく低下ことはない。
次に、ファン79の制御について説明する。結露スリップが発生しやすい条件としては、高湿環境下で且つ加圧ローラ20の温度が比較的低い場合である。そのため、画像形成装置の設置環境と加圧ローラ20の温まり具合からファン79を駆動するか否かを判断する。本実施例では、画像形成装置1を設置する環境を検知する環境検知部材として環境センサ78を、加圧ローラ20の温まり具合を検知する部材として、ヒータ31の裏面側に配置したサーミスタ35の検知温度と、プリント枚数とを用いる。ここでサーミスタ35の検知温度を用いる理由は、ヒータ31は定着フィルム10を介して加圧ローラ20とニップ部Nを形成しているので、ヒータ31の制御をする前であれば、加圧ローラ20の温度を推測できるからである。
ここで、図6のフローチャートを用いて画像形成時のファン79の制御について説明する。まず、プリント信号の受信時(Step1)に環境センサ78が高湿環境を検知(Step2)し、かつプリント開始時(加熱定着装置72のウォームアップの開始時)のサーミスタ35の検知温度が120℃未満(Step3)か否かを判断する。前述した2つの条件を満たす場合、画像形開始成(Step4)後、プリント1枚目の紙がニップ部Nに到達するタイミングでファン79の駆動を開始する(Step5)。その後、プリント開始から30枚以内に画像形成が終了する場合、画像形成の終了と同時にファン79を停止し(Step12)、終了する(Step13)。プリントが30枚以上継続する場合、30枚目までファン79を動作させ、30枚目の紙がニップ部Nを通過した時点で駆動停止させる(Step8)。31枚目以降は画像形成が終了するまでファン79を駆動停止したままとしている。
尚、step2における環境センサ78が高温環境を検知するとは、環境センサ78の検知した湿度が所定値より高い場合である。
ここでプリント開始時のサーミスタ35の検知温度が120℃以上の場合、プリントを終了するまでの期間において、いかなる条件でも加圧ローラ20が結露するような温度にならないことが確認されている。これは、連続プリント中の加圧ローラ20の温度は、プリント初期は低く連続プリント枚数が多くなるにつれて高くなる傾向があるからである。また、本実施例の加熱定着装置72においては、プリント初期の加圧ローラ20の温度によらず、連続的プリントを続ける中で加圧ローラ20が結露しない温度に到達する枚数が30枚であった。従って、プリント初期にファン79を駆動したとしても連続プリントの31枚目以降でファン79の駆動を停止した。本実施例では、サーミスタ35が検知するヒータ31の裏の温度が120℃より低い時、加圧ローラ20は結露が発生しない閾値温度より低い結露が発生する温度であると推測している。これとは逆に、サーミスタ35が検知するヒータ31の裏の温度が120℃以上の時、加圧ローラ20は結露が発生しない閾値温度以上であり結露が発生しない温度であると推測している。
以上述べたように、本実施例では、プリント開始時のサーミスタ35の検知温度とプリント枚数を併用することで加圧ローラ20の温度が結露する温度帯かどうか推定しファン79の駆動を制御する。
また、加圧ローラ20の温まり具合を判断する別の手段として、サーモパイルなどの温度検知部材により加圧ローラ表面温度を直接検知しても良い。この場合、通紙中に加圧ローラ表面温度が所定の閾値温度より低い場合にのみファン79を駆動することが可能である。また、通紙時、紙間時、停止時などでそれぞれ特有のカウント値を加減算し、加圧ローラ20の温度を予測する定着予測カウントを用いても良い。以上のように加圧ローラ20の温度が推定できる方法であれば、上述の方法に限定されるものではない。
〈性能評価〉
本実施例の性能評価として、高温高湿環境(32.5℃/80%)において、結露スリップによる画像不良の有無と定着性を確認し、下記に示す従来例2つの構成と比較する。評価紙は上述した環境に長時間放置したA4サイズ紙(60g/mm2)を用い、印字パターンは全面ベタ黒画像とし、加熱定着装置が室温と同じ温度になっている状態から連続50枚プリントした。また、使用した画像形成装置は、A4サイズ紙対応機でプリントスピードが52枚/分、FPOT7.0秒のものである。また本実施例と比較例の2つでは同じヒータ制御で検討を行う。
本実施例では、結露対策ファンからの総風量は0.007[m/min]で、通紙領域(210mm)と両端部の非通紙領域(各20mm)で総風量を3分割するように孔を配置した。
比較例1は、ダクトの孔の配置のみが異なっており、その他の構成や、ファンの制御は同様とする。図8に示す比較例1のダクトは、加圧ローラへの風量が加圧ローラの軸方向全域で略一様になるように孔が配置されたものを用いている。比較例1のダクトはファンからの総風量0.007[m/min]を加圧ローラの軸方向全域に略均一に吹き付けるように孔を配置している。
また比較例2は、比較例1のダクトを用いて、ファンの向きを逆に取り付け、加圧ローラの近傍の空気をダクトを介して機外に排気する構成とした。
以上説明した実施例1、比較例1、及び比較例2の評価結果を表1に示す。評価項目として、結露スリップによる画像不良及び定着性悪化による画像不良の発生の有無を評価した。○は画像不良の発生が無かったことを示し、×画像不良が発生したことを示す。
Figure 0006080639
比較例1においては、結露スリップによる画像不良の発生は無かった。これはダクトにより加圧ローラの軸方向全域に略一様に風を吹き付けていることにより、水蒸気が加圧ローラ全面で結露するのを抑制できたためである。しかしながら、加圧ローラの軸方向全域を一様に風を当てて冷やしたので、加圧ローラ温度が比較的低い初期の15枚でベタ黒画像の一部が白く抜けたり後続紙の紙裏を汚してしまったりする定着性悪化による画像不良は発生した。それ以降は加圧ローラが温まってきたため、定着性が改善していた。この定着不良を改善するためには、ヒータの目標温度を上げる必要があり、エネルギー効率が悪くなる。
比較例2においては、加圧ローラ近傍の空気を吸い出すだけであって、加圧ローラの軸方向全域に風を当てることが無いため、50枚の全てで定着性悪化による画像不良の発生は無かった。しかしながら、プリントした50枚中8枚で結露スリップによる画像不良が発生していた。これは、比較例1と比較すると、ダクトを介して加圧ローラの近傍の空気を機外に排気するよりも、風を加圧ローラに吹き付ける方が効果的であることを示している。ある程度通紙が続けると加圧ローラが温まってきたため結露スリップの発生が無くなった。
実施例1においては、いずれの画像不良も発生しなかった。これは定着性に影響のある通紙領域への風量は弱く、定着性に影響を抑え且つ定着フィルムを従動回転させるために重要な非通紙領域への風量を大きくして結露を抑制しているためである。
このように本実施例ではエネルギー効率を落とすことなく定着性の維持と結露スリップの抑制を両立できた。
尚、本実施例では、加熱定着装置72として、筒状の定着フィルムと、定着フィルムの内面に接触するヒータと、ヒータと共に定着フィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、を有する装置を示した。しかしながら、加熱定着装置72は、駆動源で駆動される第1の回転体と、第1の回転体との間にニップ部を形成し第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、を有するものであれば、これに限定されない。例えば、筒状の定着フィルムと、定着フィルムに内包され輻射熱で定着フィルム内面を加熱するヒータと、定着フィルムの内面に接触するニップ部形成部材と、ニップ部形成部材と共に定着フィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、を有する装置でも良い。また、自己発熱する筒状のベルトと、筒状のベルトの内面に接触するニップ部形成部材と、ニップ部形成部材と共にベルトを介してニップ部を形成する加圧ローラと、を有する装置でも良い。更に、定着ローラと、定着ローラを加熱するヒータと、筒状のベルトと、筒状のベルトの内面に接触しベルトを介して定着ローラと共にニップ部を形成するニップ部形成部材と、を有する装置でも良い。
本実施例において、風量を異なるものとした通紙領域及び非通紙領域は、加熱定着装置72のニップNで搬送可能な最大幅の紙(記録材)の通紙領域及び非通紙領域であるが、これに限定されない。結露スリップを抑制する必要のある最大幅以外のサイズの記録材の通紙領域及び非通紙領域で風量を異なるものとしても良い。
本実施例では、記録材の幅方向の中央を加熱定着装置のニップ部の記録材搬送方向に直交する方向の中央に合わせて搬送するものを示したがこれに限定されない。記録材の幅方向のいずれか一方の端部を加熱定着装置のニップ部の記録材搬送方向に直交する方向の端部に合わせて搬送するものであっても良い。
本実施例ではファン79は画像形成装置1に設けたが、加熱定着装置72に設けられていても良い。
本実施例では、ダクト50の孔52の数によって加圧ローラ20の通紙領域と非通紙領域の風量に差を設けているが、孔の大きさ等で風量に差を設けても良い。
また、ダクト50の開口部53をダクト50の加圧ローラ20に軸方向の端部に設けたが、ダクト50の中央部に設けても良い。
本実施例において、ファン79は加圧ローラ20に向けて空気を吹き付ける方向になるように駆動させたが、本実施例とは逆にファン79を加圧ローラ近傍の空気を機外に吸い出す方向に駆動することも考えられる。しかしながら、加圧ローラ20の近傍の空気を吸い出す構成は、加圧ローラ20に空気を吹き付ける構成と同等の結露対策の効果を発揮することは難しい。この理由を説明する。本実施例のよう加圧ローラ20に空気を吹き付ける場合は、ダクト50から加圧ローラ20の表面うち所定の領域を狙って吹き付けることが可能であるから、結露を抑制したい部分の水蒸気を効果的に散らすことができる。しかしながら、加圧ローラ20の近傍の空気を機外に吸い出す場合、ダクトの孔52から全方向的に空気を吸うため、加圧ローラ20の表面のうち所定の領域の近傍の空気を狙って吸い出すことが難しく結果的に広範囲の水蒸気を吸い出すことになるからである。
[実施例2]
画像形成装置は、更なるスループット向上やFPOT短縮が求められ、ますます結露スリップに不利な構成になることが考えられる。
例えば、スループット向上のために連続プリント時の先行紙と後続紙の間隔を短くすると、未定着トナー像に接触する側の回転体から未定着トナー像と接触しない側の回転体に熱供給されにくいので加圧ローラが温まりにくく結露スリップに不利になる。また、FPOT短縮のために未定着トナー像と接触する側の回転体の熱容量をより一層小さくして速く温まるようにすると、未定着トナー像と接触しない側の回転体が温まらないうちにウォームアップが完了するので結露スリップに不利になる。
そこで、本実施例では、実施例1よりも更に加圧ローラ20の温度低下を抑えつつ結露スリップを抑制することができる構成について説明する。ダクト50以外の構成は実施例1と同様であるため説明を省く。
図7に本実施例のダクト50の孔52を設ける位置と通紙可能な最大幅紙の関係を示す。ダクト50の孔52は、最大幅の紙の通紙領域の中央部には設けず、非通紙領域及び通紙領域端部のみに設けている。孔52を加圧ローラ20の非通紙領域に集中的に設けることで、加圧ローラ20をほとんど温度低下させることなく加圧ローラ20の非通紙領域における結露を抑制することができる。また、加圧ローラ20の通紙領域端部にも風を吹き付けることで、通紙領域内の水蒸気が非通紙領域に回り込むのを防止することで、より確実に非通紙領域の結露を抑制することができる。
加圧ローラ20の通紙領域端部は、非通紙部昇温の熱が回り込むため、風を吹き付けても加圧ローラ20の表面温度が低下しにくい。よって、本実施例のダクト50を用いることで、エネルギーの効率の低下を最小限に抑えつつ結露スリップの抑制をすることができる。
尚、本実施例では、通紙領域端部にも孔52を設けたが、非通紙領域のみに孔52を設ける構成であってもよい。
10 定着フィルム
20 加圧ローラ
31 ヒータ
50 ダクト
52 孔
55 ダクト内部
79 ファン

Claims (20)

  1. 駆動源によって駆動される第1の回転体と、前記第1の回転体との間にニップ部を形成し前記第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風するための送風部材と、を有し、前記ニップ部で前記未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し前記未定着トナー像を記録材に定着する定着処理を行う定着装置において、
    前記送風部材は少なくとも、前記定着装置のウォームアップを開始する時に前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の温度が閾値温度より低い場合に、駆動され、前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の通紙領域に向けての風量は前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の非通紙領域に向けての風量よりも小さいことを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着装置を備える画像形成装置は、画像形成装置が設置された環境の湿度を検知する環境検知部材を有し、前記環境検知部材の検知した湿度が所定値より高い場合に前記送風部材が駆動されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記通紙領域、及び前記非通紙領域は、前記定着装置で搬送可能な最大幅の記録材の通紙領域及び非通紙領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記送風部材の風を内部に取り入れるための開口部と、前記開口部から取り入れた風を前記未定着トナー像と接触しない側の回転体に向けて排出するための孔と、を有するダクトを備え、
    前記通紙領域に対向する前記ダクトの領域に設けられた前記回転体の母線方向における前記ダクトの単位長さ当たりの前記孔の数は、前記非通紙領域に対向する領域に設けられた前記回転体の母線方向における前記ダクトの単位長さ当たりの前記孔の数よりも少ないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記送風部材の風を内部に取り入れるための開口部と、前記開口部から取り入れた風を前記未定着トナー像と接触しない側の回転体に向けて排出するための孔と、を有するダクトを備え、
    前記通紙領域に対向する前記ダクトの領域に設けられた前記孔の大きさは、前記非通紙領域に対向する領域に設けられた前記孔の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記孔は、記録材搬送方向において、前記ニップ部よりも下流側に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の定着装置。
  7. 前記非通紙領域に対向する前記ダクトの領域に設けられた前記孔は、前記通紙領域に対向する前記ダクトの領域に設けられた前記孔よりも記録材搬送方向に広範囲に設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記第1の回転体及び前記未定着トナー像と接触しない側の回転体は加圧ローラであり、前記第2の回転体は筒状のフィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記フィルムの内面に接触するヒータを有し、前記ヒータは前記フィルムを介して前記加圧ローラと共に前記ニップ部を形成することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. 駆動源によって駆動される第1の回転体と、前記第1の回転体と接触してニップ部を形成し前記第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風するための送風部材と、を有し、前記ニップ部で前記未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し前記未定着トナー像を記録材に定着する定着処理を行う定着装置において、
    前記送風部材は少なくとも、前記定着装置のウォームアップを開始する時に前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の温度が閾値温度より低い場合に、駆動され、前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の記録材搬送方向に直交する方向の端部のみに送風されることを特徴とする定着装置。
  11. 前記定着装置を備える画像形成装置は、画像形成装置が設置された環境の湿度を検知する環境検知部材を有し、前記環境検知部材の検知した湿度が所定値より高い場合に前記送風部材が駆動されることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
  12. 前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の記録材搬送方向に直交する方向の端部であって前記送風部材で送風される端部の領域は、非通紙領域を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の定着装置。
  13. 前記非通紙領域は、前記定着装置で搬送可能な最大幅の記録材の非通紙領域であることを特徴とする請求項12に記載の定着装置。
  14. 前記送風部材の風を内部に取り入れるための開口部と、前記開口部から取り入れた風を前記未定着トナー像と接触しない側の回転体に向けて排出するための孔と、を有するダクトを備え、
    前記孔は、前記ダクトの前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の記録材搬送方向に直交する方向の端部に対向する領域のみに設けられていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の定着装置。
  15. 前記孔は、記録材搬送方向において、前記ニップ部よりも下流側に設けられていることを特徴とする請求項14に記載の定着装置。
  16. 前記ダクトの前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の記録材搬送方向に直交する方向の端部に対向する領域に設けられた孔は、記録材搬送方向に広範囲に設けられていることを特徴とする請求項14又は15に記載の定着装置。
  17. 前記第1の回転体及び前記未定着トナー像と接触しない側の回転体は加圧ローラであり、前記第2の回転体は筒状のフィルムであることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の定着装置。
  18. 前記フィルムの内面に接触するヒータを有し、前記ヒータは前記フィルムを介して前記加圧ローラと共に前記ニップ部を形成することを特徴とする請求項17に記載の定着装置。
  19. 駆動源によって駆動される第1の回転体と、前記第1の回転体との間にニップ部を形成し前記第1の回転体によって駆動される第2の回転体と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち未定着トナー像と接触しない側の回転体に送風するための送風部材と、を有し、前記ニップ部で前記未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱し前記未定着トナー像を記録材に定着する定着処理を行う定着装置において、
    前記送風部材は少なくとも、前記定着装置のウォームアップを開始する時に前記第1の回転体及び前記第2の回転体のうち前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の温度が閾値温度より低い場合に、駆動され、記録材搬送方向に直交する方向において前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の中央部に向けての風量は前記未定着トナー像と接触しない側の回転体の端部に向けての風量よりも小さいことを特徴とする定着装置。
  20. 前記定着装置を備える画像形成装置は、画像形成装置が設置された環境の湿度を検知する環境検知部材を有し、前記環境検知部材の検知した湿度が所定値より高い場合に前記送風部材が駆動されることを特徴とする請求項19に記載の定着装置。
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