JP6079368B2 - Sn合金めっき方法及びSn合金めっき液のリサイクル方法、並びにこれらの装置 - Google Patents
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Description
このめっき方法によれば、カソード室内でSn合金の電解めっきを施しながら、アノード室では使用後めっき液をSnイオン補給液として再生することができて効率的である。
なお、本明細書において、Sn合金めっきとは、例えば、Sn−Ag又はSn−CuなどのようにSnにSnより貴な金属を少なくとも1種以上含有するめっき膜を形成するためのめっきとして記載する。
図1は、本発明の一実施形態のSn合金めっき装置の全体構成を示している。このSn合金めっき装置は、めっき槽1の上下方向の中間位置に水平に陰イオン交換膜2が設けられていることにより、めっき槽1内が上下に区画されており、陰イオン交換膜2の下方の空間がアノード室3、上方の空間がカソード室4として構成されている。
アノード室3は、別に設けられたタンク5に接続され、アノード室3内のめっき液をポンプ6によって循環することができるように構成されている。カソード室4は、アノード室3と同様に別に設けたタンク7に接続され、カソード室4内のめっき液をポンプ8によって循環することができるように構成されている。
なお、陰イオン交換膜2としては、例えば、耐酸性に優れる旭硝子株式会社製「セレシオン」を用いることができる。
このSn−Ag合金のめっき液としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸といったアルキルスルホン酸等の酸と、めっき金属イオン(Sn2+,Ag+)の他、酸化防止剤や界面活性剤等の添加剤、錯化剤等が配合される。本実施形態で使用されるSn−Ag合金のめっき液は、例えば以下の配合で構成される。
アルキルスルホン酸;100〜150g/L
Sn2+;40〜90g/L
Ag+;0.1〜3.0g/L
錯化剤;180〜220g/L
添加剤;40〜60ml/L
一方、アノード室3には、既にめっき処理に使用した使用後めっき液から含有有機物を除去した後のめっき液が貯留される。
この電解めっきによりカソード室4ではめっき液に接触しているウエハ12の下面にSn−Ag合金が析出し、アノード室3ではSn製アノード11からSnイオン(Sn2+)がめっき液に供給される。電解が進むにつれて、カソード室4では、めっき液中のSnイオン及びAgイオンがSn−Ag合金としてウエハ12表面に析出されるので、めっき液中のSnイオン濃度はSnイオンの消費により下降し、そのSnイオン濃度の下降に応じて遊離酸濃度が上昇する。一方、アノード室3ではSn製アノード11からSnイオンが供給されるので、液中のSnイオン濃度が上昇し、遊離酸濃度は下降する。カソード室4とアノード室3とは陰イオン交換膜2により区画されているので、この陰イオン交換膜2を通って遊離酸は移動できるが、陽イオンであるSnイオンは通過できない。この状態でめっきを進行させ、カソード室4のめっき液及びアノード室3のめっき液をタンク5,7との間で循環しながら、カソード室4内のめっき液に対して必要に応じてめっき液の金属成分の補給液を供給する。
めっき処理が進むと、カソード室4内のめっき液には、電解やレジストの溶解等によるコンタミ等の有機不純物が含まれる可能性があり、また、遊離酸濃度が高濃度になっていることから、未使用のめっき液(新液)と比較してめっき性が低下し、めっき膜の品質を損なう。このため、めっき液中の遊離酸濃度が所定値以上に上昇したところでめっき処理を終了する。
このめっき処理の終了時点で、アノード室3内では、めっき液がSnイオンを高濃度で含有しており、例えば200g/L程度の濃度となっている。このめっき液は、前述したように、使用後めっき液から有機物が除去されためっき液が電解されてSnイオンを含有しているものであり、これをカソード室4内で用いられるめっき液のSnイオン補給液として使用することができる。
なお、有機物除去手段23は活性炭を用いたものであるので、使用後めっき液に含まれる有機物だけでなく、Agイオン(Ag+)や添加剤も除去される。このため、アノード室3ではAgイオンを含まないSnイオン補給液が生成される。
この場合、有機物除去手段23により有機物とともにAgイオンも除去され、めっき処理中は、アノード室3をカソード室4に対して陰イオン交換膜2で区画したので、カソード室4内のめっき液中に含まれるAgイオンがカソード室4からアノード室3に移動することもなく、Sn製アノード11へのAgの置換析出は発生しない。
図2は、そのようなリサイクル装置の一実施形態を示しており、使用後めっき液を貯留する回収槽31と、使用後めっき液を電解処理する電解槽32と、回収槽31から電解槽32に使用後めっき液を移送するめっき液移送手段21とを備えており、このめっき液移送手段33の途中に、使用後めっき液中に含まれる有機物を活性炭により除去する有機物除去手段23が設けられている。
有機物除去手段23は、前述しためっき装置の実施形態と同様の構成のものが適用できる。
電解槽32は、内部が陰イオン交換膜34によりアノード室35とカソード室36とに区画されており、アノード室35内にSn製アノード37が配置されるとともに、カソード室36にカソード38が配置され、電源39に接続されている。
符号22は使用後めっき液を圧送するポンプを示す。
そして、電解処理することにより、アノード室35ではSn製アノード37からSnイオン(Sn2+)が液(有機物を除去した後の使用後めっき液)内に供給され、このSnイオンの溶出に伴い、液の酸濃度は低下する。カソード室36内ではカソード電極38にSn合金めっきの電解が行われる。
検証は、新液、使用後めっき液、有機物を除去した後のめっき液、再生されためっき液について、それぞれ1Lずつ容器に取り出し、そのめっき液成分を確認することにより行った。
表1の「新液」は、めっき処理前のめっき液の組成を示している。なお、錯化剤には三菱マテリアル製のTS‐SLG、添加剤には三菱マテリアル製のTS‐202ADを用いた。「使用後」は使用後めっき液、「有機物除去後」は有機物を除去した後のめっき液、「再生後」は再生されためっき液を示す。
また、有機物除去手段としては活性炭を充填したカラムを用い、使用後めっき液を流通させてろ過した。
Sn2+については、塩酸及び酒石酸を加えてSnの加水分解を防止した後、炭酸水素ナトリウムの添加による炭酸ガス発生雰囲気中で、デンプン溶液を指示薬として速やかにヨウ素標準溶液で滴定する方法を用いた。
Ag+については、ICPを用いて波長328.068nmで吸光度を測定し、検量線によりAgの定量を行った。
遊離酸濃度は1mol/L水酸化ナトリウム溶液による中和滴定法で測定した。錯化剤及び添加剤に関しては、HPLC法を用いて特定のピークを測定することで定量を行った。
また、有機不純物については、HPLC法において新液と異なるピークの有無によって不純物の有無を判断した。
表1に結果を示す。
次いで、電解処理することにより、Snイオンが高濃度に含有しためっき液を得ることができた。この場合、アノード表面にSn以外の金属分は検出できなかった。
この結果から、可溶性のSn製アノードを用いながら置換析出の発生がなく、しかも、Snイオンの補給液として十分使用できる溶液をめっき処理に並行して作製することができることがわかる。
例えば、前述したSn−Ag系合金のめっき液以外のSn−Cu系合金などのめっき液にも本発明を適用することができる。
2 陰イオン交換膜
3 アノード室
4 カソード室
5,7 タンク
6,8 ポンプ
11 Sn製アノード
12 ウエハ(被めっき物)
13 ワーク支持部
14 電源
15 蓋体
16 オーバーフロー流路
21 めっき液移送手段
22 ポンプ
23 有機物除去手段
31 回収槽
32 電解槽
34 陰イオン交換膜
35 アノード室
36 カソード室
37 Sn製アノード
38 カソード電極
39 電源
Claims (4)
- 陰イオン交換膜により区画されためっき槽のカソード室内に設置した被めっき物に電解めっきによりSn合金めっきを施すSn合金めっき方法であって、前記めっき槽のアノード室内には、Sn製アノードを配置するとともに、前記カソード室内で使用されたSn合金めっき処理後の使用後めっき液に含まれる有機物を活性炭により除去しためっき液を前記アノード室のめっき液として用い、前記カソード室内の被めっき物と前記Sn製アノードとの間で通電して行うSn合金めっきと同時に、前記アノード室のめっき液にSnイオンを補給することを特徴とするSn合金めっき方法。
- 陰イオン交換膜により区画されたアノード室内にSn製アノードを有し、カソード室に被めっき物が配置されるめっき槽と、前記カソード室内の使用後めっき液を前記アノード室に供給するめっき液移送手段が備えられ、該めっき液移送手段には、前記使用後めっき液を通過させて活性炭により有機物を除去する有機物除去手段が設けられていることを特徴とするSn合金めっき装置。
- Sn合金の電解めっき処理に使用された使用後めっき液を再生するSn合金めっき液のリサイクル方法であって、前記使用後めっき液中に含まれる有機物を活性炭により除去した後、陰イオン交換膜によってカソードが設置されたカソード室とSn製アノードが設置されたアノード室とに区画された電解槽内の前記アノード室に供給して、前記カソードと前記Sn製アノードとの間で通電処理することにより前記アノード室内のめっき液をSnイオン補給液として再生することを特徴とするSn合金めっき液のリサイクル方法。
- Sn合金の電解めっき処理に使用された使用後めっき液を再生するSn合金めっき液のリサイクル装置であって、陰イオン交換膜でカソード室とアノード室に区画された電解槽と、使用後めっき液を貯留する回収槽と、前記回収槽から前記電解槽に使用後めっき液を移送するめっき液移送手段と、前記めっき液移送手段の途中で前記使用後めっき液から有機物を除去する有機物除去手段とを有し、前記カソード室にはカソードが設置され、前記アノード室にはSn製アノードが設置されていることを特徴とするSn合金めっき液のリサイクル装置。
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