JP6078505B2 - ロックタイプ双方向クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸(駆動側)からの正・逆回転の動力を伝達するとともに、出力軸(従動側)からの動力伝達は遮断するように機能するロックタイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターによって物品を上下に移送する昇降装置では、物品が所定の位置となったときにモーターを停止すると、物品が自動的にその位置を保持するような作動が求められる場合がある。そのため、ハウジング及び入力軸、出力軸を備えた、ロックタイプ双方向クラッチと呼ばれる伝達部品を動力伝達系に介在させることが知られている。この双方向クラッチでは、モーターで入力軸を正・逆回転したときは、出力軸が連動して正・逆回転し物品を昇降させる一方、出力軸を正・逆回転しようとすると、出力軸がハウジングと噛み合い状態となってロックされ、物品の落下を防止する。
双方向クラッチを利用する昇降装置の概要と、双方向クラッチの構造の一例とを図7、図8により説明する。図7は、ベルト及びプーリによって物品を上下する昇降装置と、その駆動装置に備えられるロックタイプ双方向クラッチの断面A−Aを表すものであり、図8では、出力軸が入力軸と連動して物品を昇降する状態の断面A−Aを(a)に、出力軸がロックされて物品の落下を阻止する状態の断面A−Aを(b)を示す。
図7の昇降装置は、上下に配置したプーリP1、P2の間にベルトBを掛け渡し、移送する物品WをベルトBに固着した装置であって、上方のプーリP1には、これを回転駆動する正・逆回転可能なモーターMが、ロックタイプ双方向クラッチLCを介して連結される。この双方向クラッチLCは、モーターMに連なる入力軸IS、プーリP1に連なる出力軸OS及び固定のハウジングHGを有している。
断面A−A図に示されるように、ロックタイプ双方向クラッチLCのハウジングHG内においては、入力軸ISが複数の扇形部に分割され、扇形部の内側に出力軸OSが嵌め込まれる。出力軸OSには、入力軸ISの隣接する扇形部の間に入り込む突起部が設けてあり、この突起部の先端に形成したV字状凹所とハウジングHGとの間には、ローラRが設置される。
図8(a)に示すように、モーターMにより入力軸ISが回転するときは、入力軸ISの扇形部の側面と出力軸OSの突起部の側面とが当接し、出力軸OSは、入力軸ISに押される形で同一方向に同一速度で回転する。入力軸ISが逆方向に回転するときも同様であって、図7の昇降装置において、モーターMを正・逆回転すると、ベルトBに固着した物品Wを上昇又は下降させることができる。
これに対し、出力軸OSが回転したときは、図8(b)に示すように、ローラRがV字状凹所の斜面に押し上げられて径方向の外方に移動し、ハウジングHGと出力軸OSの突起部との間に噛み込まれる。そのため、出力軸OSがロックされてその位置で停止し、入力軸ISに回転が伝達されることはない。図7の昇降装置では、モーターMによる駆動を停止しても、物品Wが自重により落下するのを自動的に阻止することができる。このような双方向クラッチは、本出願人の特許出願に係る特許第4850653号公報に開示されている。
また、特許第4647203号公報には、対となった2個のローラを使用するロックタイプ双方向クラッチが開示されている。2個のローラは、コイルばねにより互いに反対方向に押されており、出力軸側から駆動されたときに、出力軸の正転・逆転に応じて一方のローラがハウジングに噛み込んでロックされることとなる。
ロックタイプ双方向クラッチは、例えば、複写機のフィニッシャーにおいて、複写済みの用紙を載せた用紙テーブルを上下させる昇降装置、あるいは、建築物の窓のブラインドを昇降する昇降装置に適用することができる。これを利用すると、簡易な装置による自動的な動力伝達の制御が可能となって、例えば電磁クラッチにより制御する場合のような、電力等の使用が不必要となるとともに、出力軸側から不測の逆入力があった場合に、駆動源のモーターを保護することも可能となる。
特許第4850653号公報 特許第4647203号公報
上述のとおり、図7のロックタイプ双方向クラッチは、コンパクトであって確実に動力伝達を制御可能な部品ではあるけれども、以下のような点において、未だ改良すべき余地が残されている。
図7の双方向クラッチでは、入力軸ISの扇形部と出力軸OSの突起部との間などに間隙が存在するので、作動中に衝撃音が発生する。さらに、双方向クラッチを図7の昇降装置に適用した場合、モーターMを正転させて物品Wを上昇するときは問題ないが、モーターMを逆転させ物品Wを下降するときに、物品Wの重力に起因して出力軸OSの速度が細かな変動を繰り返し、振動や異音を生じることがある。これは、次の理由による。
物品Wを下降させるためモーターMを逆回転させた場合に、物品Wに作用する重力により、出力軸OSが入力軸ISよりも速く回転(オーバーラン)することがあり、オーバーランが起こると、図8(b)の状態となってローラRとハウジングHGとが噛み合い、出力軸OSがロックする。このロック状態は、入力軸ISの回転でローラRが押されたときに解除されるが、噛み合いと解除との繰り返しは、出力軸OSの速度に細かな変動を与えて、衝撃音や振動を生じる。
2個のローラを利用する特許文献2のロックタイプ双方向クラッチでは、出力軸の回転方向によって別々のローラを噛み合わせて出力軸をロックさせる。図7等に示す、両方向の回転に対し1個のローラを噛み合わせる双方向クラッチと比べると、出力軸の回転からロックに至るまでの遊び量を小さくすることができるため、作動時の衝撃音などを非常に小さな値に抑えることが可能となる。しかし、2個のローラが配置されているので、部品点数が増加し組み立て加工が容易でない。特に、2個のローラの間にコイルばねを組み込む作業は非常に困難となる。
本発明の課題は、対をなす2個のローラを使用して、出力軸の正転及び逆転に応じて異なるローラを噛み込ませるように構成し、しかも、一体型のばねを配置して組み立て加工を容易とし、上述の問題点を解決することにある。
上記の課題に鑑み、本発明は、ハウジングと出力部材との間に配置される全てのローラを噛み込み方向に付勢する一体型のばねを設置するとともに、出力部材にばね保持部を形成してばねのストッパ等に利用するものである。すなわち、本発明は、
「固定されたハウジングの内部に、入力軸に結合される入力部材、出力軸に結合される出力部材、及び、前記ハウジングと前記出力部材との間に配置された複数のローラを備え、前記出力部材の回転による前記入力部材の回転は、前記ローラが前記ハウジングと前記出力部材との間に噛み込まれて阻止されるとともに、前記入力部材の回転は、前記入力部材が前記ローラの噛み込みを解除して前記出力部材に伝達されるロックタイプ双方向クラッチであって、
複数の前記ローラは、前記出力部材が正回転のときに噛み込むローラと逆回転のときに噛み込むローラとが、対をなして前記ハウジングと前記出力部材との間に配置され、かつ、前記ローラの全てがばねにより噛み込み方向に付勢されており、さらに、
前記出力部材には、径方向に突出するばね保持部が形成され、
前記ばねは、前記ローラの全てを付勢する一体型のばねであって、前記出力部材の軸方向側部に当接された円周部と、前記円周部から径方向に突出する複数の連結部と、前記連結部から軸方向に曲げられた2個の板ばね部とが形成されており、前記2個の板ばね部が、前記出力部材のばね保持部を挟んで設置されている」
ことを特徴とするロックタイプ双方向クラッチとなっている。
請求項2に記載のように、前記ローラを付勢する前記ばねを薄板の鋼材から製造するとともに、前記出力部材の軸方向側部には、前記ばねの円周部に設けた中央孔を嵌め込む凸部を形成することができる。また、薄板の鋼材からなる前記ばねについては、請求項3に記載のように、前記出力部材の軸方向側部に当接される円周部に凹凸を形成したり、請求項4に記載のように、円周部の内方に、軸方向の弾性力を付与する内方ばねを設けることができる。
請求項5に記載のように、「前記入力部材には、前記出力部材と当接して回転させる伝達部と、前記ローラの噛み込みを解除する解除部とを形成した複数の突出し部を放射方向に設けるとともに、前記出力部材には、前記入力部材の突出し部の間に入り込んで伝達部と当接する複数の被伝達部を軸方向に突出して設け、かつ、前記入力部材と前記出力部材とを軸方向に重ねて、前記入力部材の回転が前記出力部材に伝達されるように組み合わせる」構成とすることが好ましい。そして、この場合には、請求項6に記載のように、前記入力部材の突出し部に形成された解除部を出力部材に向けて軸方向に延長し、噛み込みを解除するときの前記ローラとの接触部分を拡大することが好ましい。
請求項7に記載のように、前記ハウジングの内周面を円形断面とし、前記ローラが配置される部分の前記出力部材には、前記ハウジングの内周面との径方向の距離が変化するカム面を形成することが好ましい。
また、請求項8に記載のように、前記ハウジング、前記入力部材及び前記出力部材を、金属粉末の焼結により成形することが好ましい。
本発明のロックタイプ双方向クラッチは、ハウジングと出力部材との間に複数のローラを配置し、出力側からの動力伝達を阻止するに際して、そのローラを両者の間に噛み込ませ、出力部材の回転をロックするものである。本発明では、複数のローラは、出力部材が正回転のときに噛み込むローラと逆回転のときに噛み込むローラとが、対をなして配置されており、対をなす2個のローラは、ばねによって噛み込み方向に付勢されている。
つまり、対をなす2個のローラは、噛み込み状態の直前の位置に置かれていて、出力部材が回転したときには直ちに噛み込みを生じ、出力部材の回転からロックに至るまでの遊び量は、両方向の回転に対し1個のローラを噛み合わせる双方向クラッチと比べると、非常に小さな値となる。そのため、作動時の衝撃や騒音を低減できるとともに、出力部材が入力部材よりもオーバーランすることに伴って生じる、出力部材の速度変動あるいは衝撃音も小さいものに抑制することが可能である。
そして、本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、ローラを噛み込み方向に付勢するばねは、複数のローラの全てを付勢する一体型のばねであって、2個の板ばね部を有する連結部が複数個形成され、複数の連結部が円周部により一体化されている(後述の図4等参照)。この一体型のばねは、2個の板ばね部が出力部材に形成されたばね保持部を挟むように、出力部材の軸方向側部に設置される。
このように、複数のローラの全てを付勢するばねが一体化され、出力部材の軸方向側部に設置されるため、例えば、引用文献2のコイルばねを圧縮しながらローラの間に挿入する作業と比較すると、ばねを双方向クラッチに組み付ける作業が極めて容易となる。つまり、この一体型のばねは、後述の図6に示すように、出力部材に単に重ねるようにして組み込むことができ、機械的な自動組み立ても容易にできることとなる。
また、ローラを付勢する2個の板ばね部が、出力部材に形成されたばね保持部を挟んで設置されるため、ばね保持部が板ばね部のストッパとして機能し、板ばね部の過大な変形を防止する。その結果、板ばね部の耐久性が向上するとともに、ローラの過大な変位も防止されることとなり、ローラの噛み込み及びその解除が、遅れることなく迅速に行われ、ロックタイプ双方向クラッチとして的確な作動が実行される。
請求項2の発明は、複数のローラを付勢する一体型のばねを薄板の鋼材から製造するとともに、このばねの円周部に設けた中央孔を、出力部材の軸方向側部に形成した凸部に嵌め込むものである。薄板の鋼材からなるばねは、プレス加工等により簡単に製造することが可能である。そして、このばねの円周部が出力部材側面の凸部に嵌め込まれるので、出力部材とばねとの相対的なずれが防止され、出力部材に対するローラの位置のずれも回避されて、双方向クラッチとして的確な作動が確保される。
請求項3の発明は、上記のような、薄板の鋼材からなるばねの円周部に凹凸を形成し、これを出力部材の軸方向側部に当接するものであり、請求項4の発明は、円周部の内方に弾性力を有する内方ばねを設けて出力部材の軸方向側部に当接するものである。このような構造としたときは、凹凸部分あるいは内方ばねによって一体型のばねに軸方向の弾性力が付与される。そのため、ばねの円周部と出力部材の軸方向側部との間には、摩擦に基づく制動力が作用し、やはり出力部材とばねとの相対的なずれが防止される。
請求項5の発明では、入力部材に複数の突出し部を放射方向に設け、ここに、出力部材と当接して回転させる伝達部とローラの噛み込みを解除する解除部とを形成し、出力部材には、入力部材の突出し部の間に入り込んで伝達部と当接する複数の被伝達部を軸方向に突出して設ける(後述の図3等参照)。これらの入力部材と出力部材とを組み合わせると、入力部材の回転により、その伝達部が出力部材の被伝達部と当接しながら動力の伝達が可能となる。入力部材、出力部材及び一体型のばねは、順次重ね合わせながらハウジング内に組み込むことができるから(後述の図6参照)、このロックタイプ双方向クラッチは製造工程が非常に簡素化され、機械による自動組み立ても容易なものとなる。
そして、請求項6の発明のように、入力部材の突出し部における解除部を出力部材に向けて軸方向に延長すると(後述の図3(a´)参照)、噛み込みを解除する際にローラとの接触部分が拡がり、解除作動がより安定して行われることとなる。
請求項7の発明は、ハウジングの内周面を円形断面とし、ローラが配置される部分の出力部材には、ハウジングの内周面との径方向の距離が変化するカム面を形成して、ローラが噛み込むための空間を形成するものである。この構造では、カム面が出力部材の外周面側に設けられるので、正確な加工を行うことができる。
請求項8の発明は、ハウジング、入力部材及び出力部材を、金属粉末の焼結により成形するものであって、複雑な形状のものであっても寸法精度等の優れた製品を得ることが可能である。
本発明のロックタイプ双方向クラッチの一実施例の全体構造及びその作動を説明する図である。 図1の双方向クラッチのハウジングを示す単品図である。 図1の双方向クラッチの入力部材及び出力部材を示す単品図である。 図1の双方向クラッチのばねを示す単品図である。 図4のばねの変形例を示す図である。 図1の双方向クラッチの組み立て法を示す図である。 従来のロックタイプ双方向クラッチの一例を示す図である。 図7のロックタイプ双方向クラッチの作動を説明する図である。
以下、図面に基づいて、本発明のロックタイプ双方向クラッチについて説明する。図1では、本発明の一実施例であるロックタイプ双方向クラッチの全体構造を(a)に示し、基本的な作動を説明する作動説明図を(b)に示す。また、ロックタイプ双方向クラッチを構成する部品の単品図を図2乃至図5に示し、部品の組み立て方法を表す斜視図を図6に示す。
図1(a)の縦断面図に示すとおり、この実施例の双方向クラッチでは、ハウジング1の内部に入力部材2と出力部材3とが軸方向に重なるように配置され、ハウジング1と出力部材3との間には複数のローラ4が挿入されている。入力部材2と出力部材3は、図示しない入力軸又は出力軸がそれぞれ結合される中央孔2H、3Hを有しており、これらの軸を介して、例えば、入力部材2は駆動側のモーターに、出力部材3は被駆動側の昇降装置に連結される。この実施例では、入力部材2と出力部材3は入力軸又は出力軸と別体であるが、図7の双方向クラッチにおける扇形部や突起部と同じく、入力軸又は出力軸と一体に形成してもよいのはもちろんである。
ハウジング1(単品図は図2)は、円形断面の内周面11と端面12とを有するカップ状の部品であり、端面12の反対側には、内部空間を封鎖する円板状のシールド体13が嵌め込まれている(図6の組み立て図も参照)。なお、図1(a)の右側面図は、シールド体13を外して示したものである。
入力部材2(単品図は図3(a))は、中心のボス部から等角度間隔で放射方向に枝状に突き出す5個の突出し部21を備え、突出し部21には、出力部材3の被伝達部32と当接する伝達部22が中心寄りに、入力部材2側からの回転伝達時に、ローラ4の噛み込みを解除する解除部23が先端側に形成される。出力部材3(単品図は図3(b))には、ハウジング1の内周面11との距離が変化するカム面31が形成されるとともに、入力部材2側に軸方向に突出する5個の被伝達部32が設けられ、被伝達部32には、径方向に突出するばね保持部33が形成される。
入力部材2と出力部材3とは、図6の組み立て図にも示すとおり、出力部材3の5個の被伝達部32が入力部材2の伝達部22の間に入り込むよう、重ねて組み合わされる。組み合わされたときは、入力部材2の解除部23が出力部材3のカム面31の外方に突き出すこととなる。
図3(a´)に示す入力部材の変形例は、入力部材2´の突出し部21´における解除部23´を、出力部材3のカム面31側に向けて軸方向に延長したものである。こうすると、噛み込みを解除するときの解除部23´とローラ4との接触部分が拡大し、より安定した解除作動を行わせることが可能となる。
双方向クラッチを構成するハウジング1、入力部材2及び出力部材3等の各部品は、この実施例では、金属粉末を加圧成形して焼結する粉末冶金により成形されている。金属粉末の焼結で製造した場合には、これらの部品が小型であり複雑な形状のものであったとしても、寸法精度の優れた製品を安価なコストで得ることが可能となり、ロックタイプ双方向クラッチとしての安定した性能を確保することができる。
出力部材3の外方に置かれるローラ4は、ハウジング1の内周面11と出力部材3のカム面31との間に挿入され、出力部材3側から回転駆動されたときに、両方の面の間に噛み込まれて出力部材3の回転をロックする。この実施例においては、周方向に10本のローラ4が配置されており、これらのローラ4は、入力部材2の解除部23の両側にある2個のローラが対をなしている。ローラ4のそれぞれは、ばね5に形成された板ばね部53により、ハウジング1の内周面11と出力部材3のカム面31との距離が減少する方向、すなわち、噛み込み方向に付勢されている。ばね5(単品図は図4)は、ばね部53の全てを連結した一体型のもので、詳細な構造については後述する。
ここで、図1(a)のロックタイプ双方向クラッチの基本的な作動について、対となったローラ部分を拡大した図1(b)により説明する。
出力部材3のカム面31は、入力部材2の解除部23が置かれた図の中央部が最も外方に突き出し、その両側は、ハウジング1の内周面11との距離が徐々に広がる対称的な斜面の形状をなしている。右側の斜面に配置されたローラ4Rと左側の斜面に配置されたローラ4Lとは、それぞれ板ばね部53によって中央側に押圧されている。
図1(b)において、出力部材3が時計回りに回転(正回転)したときは、右側のローラ4Rが斜面に押し上げられる形でハウジング1と出力部材3との間に噛み込まれ、出力部材3の回転が阻止される。逆に、反時計回りに回転(逆回転)したときは、左側のローラ4Lがハウジング1と出力部材3との間に噛み込まれ、やはり出力部材3の回転が阻止される。こうしたロック作用は、よく知られたローラ型一方向クラッチの作用と同様であるが、ローラ4R及びローラ4Lは、板ばね部53によりいわば噛み込み直前の位置に置かれているため、出力部材3が回転すると直ちにロックされることとなる。
一方、入力部材2が、例えば時計回りに回転すると、まず、解除部23が右側ローラ4Rに当接して噛み込み解除の方向に押圧する。その直後には、入力部材2の伝達部22が出力部材3の被伝達部32に当接し、出力部材3は、入力部材2と一体となって時計回りに回転する。伝達部22と被伝達部32との間隙g2は、解除部23とローラ4Rとの間隙g1よりも大きく設定されており、入力部材2と一体となった出力部材3の回転に対しては、ローラ4Rがロック作用を及ぼすことはない。入力部材2が反時計回りに回転したときも、同様な理由で出力部材3が入力部材2と共に回転し、ロックタイプ双方向クラッチとしての機能が達成される。
次いで、本発明のロックタイプ双方向クラッチにおいて、ローラを噛み込み方向に付勢する一体型のばねについて説明する。
図4に示すとおり、一体型のばね5は、ステンレス鋼等の薄い鋼材を加工したものであって、リング状の円周部51と、この円周部51から径方向に突出する5個の連結部52と、それぞれの連結部52から軸方向に曲げられた2個の板ばね部53とが形成されている。ばね5は、図1(a)に示すように、出力部材3の軸方向側部に設置されて円周部51が側部に当接する。この実施例のばね5には、5個の凸状部を有する中央孔5Hが形成してあり、中央孔5Hが、出力部材3の軸方向側部に設けた、対応する形状を有する薄い凸部3M(図3(b)参照)に嵌め込まれ、これにより、ばね5が出力部材3に対し相対的に回転してずれの起こる事態が防止される。
図4の組み合わせ図に示すとおり、一体型のばね5をロックタイプ双方向クラッチに組み込んだときは、連結部52の2個の板ばね部53が、出力部材3に形成されたばね保持部33を挟んで設置され、それぞれの板ばね部53は、ローラ4(図では1個のみを表示)を噛み込み方向に付勢する。双方向クラッチの作動中には、ローラ4に押されて板ばね部53がばね保持部33の方向に曲げられることがあるが、このときは、ばね保持部33は板ばね部53のストッパとして機能するので、板ばね部53に過大な変形が起こることはない。したがって、板ばね部53の耐久性が向上するとともに、ローラ4の過大な変位も防止され、ロックタイプ双方向クラッチとして的確な作動が実行される。
一体型のばね5の変形例を図5に示す。この図に挙げたばね5A、5B、5B´は、いずれも、出力部材3の軸方向側部に当接する円周部51に軸方向の弾性を持たせるようにしたものである。この弾性により、円周部51と出力部材3の軸方向側部との間に摩擦に基づく制動力が作用し、出力部材3とばねとの相対的なずれが防止される。
ばね5Aでは、薄板の鋼材からなるばねの円周部51Aが軸方向に凹凸をなすように形成されている。ばね5Aをシールド体13と出力部材3との間に置き、円周部51Aを出力部材3の軸方向側部に当接したときは、その凹凸の弾性力によって、円周部51Aと出力部材3との間に摩擦に基づく制動力が作用する。
ばね5Bでは、円周部51Bの内方に軸方向の弾性力を有する内方ばね5BTを設け、これを出力部材3の軸方向側部に当接して、円周部51Bと出力部材3との間に摩擦に基づく制動力を作用させる。また、ばね5B´では、内方ばね5B´Tがリング形状をなすばねであって、内方ばね5B´Tの一つに直径の両端が円周部51B´に接続されるとともに、それと直交する部分の両端が上方に反り返るように曲げられ、これによって軸方向の弾性力が付与されている。
組み立て方法を表す図6の斜視図から分かるように、本発明のロックタイプ双方向クラッチの組み立ては、ハウジング1内に各部品を順次積み重ねて行うことができる。すなわち、ハウジング1をその開放部を上にして置き、まず、入力部材2を端面12に接するように挿入する。次に、出力部材3を、その被伝達部32を入力部材2の突出し部21の間に入り込ませて組み合わせ、さらに、一体型のばね5を、その連結部52が出力部材3のばね保持部33と重なるように設置する。この状態で、複数のローラ4をハウジング1の内周面11と出力部材3のカム面31との間に挿入し、最後にシールド体13でハウジング1の内部を封鎖する。
本発明のロックタイプ双方向クラッチは、複数のローラ4の全てを付勢するばね5が一体化されており、また、複数のローラ4は、予め治具を用いて整列させておけば、同時に挿入することが可能である。そのため、ばね5やローラ4を双方向クラッチに組み付ける作業が極めて容易であり、機械的な自動組み立ても容易にできることとなる。
以上詳述したように、本発明は、ハウジングと出力部材との間に対をなすローラを配置したロックタイプ双方向クラッチにおいて、全てのローラを噛み込み方向に付勢する一体型のばねを設置するとともに、出力部材にばね保持部を形成してばねのストッパ等に利用するものである。上記の実施例においては、対をなす5組のローラを周方向に配置しているが、この組の数は、双方向クラッチの寸法や出力部材をロックするに必要な負荷トルク等に応じて変更できるのは言うまでもない。また、入力部材及び出力部材に軸を形成して入出力軸とする、回転部品の接触部には潤滑性の優れた材料を介在させるなど、上記実施例に対し各種の変形が可能であるのは明らかである。
1 ハウジング
2、2´ 入力部材
22 伝達部
23、23´ 解除部
3 出力部材
31 カム面
32 被伝達部
33 ばね保持部
4 ローラ
5 ばね
51 円周部
53 板ばね部

Claims (8)

  1. 固定されたハウジングの内部に、入力軸に結合される入力部材、出力軸に結合される出力部材、及び、前記ハウジングと前記出力部材との間に配置された複数のローラを備え、前記出力部材の回転による前記入力部材の回転は、前記ローラが前記ハウジングと前記出力部材との間に噛み込まれて阻止されるとともに、前記入力部材の回転は、前記入力部材が前記ローラの噛み込みを解除して前記出力部材に伝達されるロックタイプ双方向クラッチであって、
    複数の前記ローラは、前記出力部材が正回転のときに噛み込むローラと逆回転のときに噛み込むローラとが、対をなして前記ハウジングと前記出力部材との間に配置され、かつ、前記ローラの全てがばねにより噛み込み方向に付勢されており、さらに、
    前記出力部材には、径方向に突出するばね保持部が形成され、
    前記ばねは、前記ローラの全てを付勢する一体型のばねであって、前記出力部材の軸方向側部に当接される円周部と、前記円周部から径方向に突出する複数の連結部と、前記連結部から軸方向に曲げられた2個の板ばね部とが形成されており、前記2個の板ばね部が、前記出力部材のばね保持部を挟んで設置されていることを特徴とするロックタイプ双方向クラッチ。
  2. 前記ローラを付勢する前記ばねが薄板の鋼材からなり、前記出力部材の軸方向側部には、前記ばねの円周部に設けた中央孔を嵌め込む凸部が形成されている請求項1に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  3. 前記ローラを付勢する前記ばねが薄板の鋼材からなり、前記出力部材の軸方向側部に当接される円周部に凹凸が形成されている請求項1に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  4. 前記ローラを付勢する前記ばねが薄板の鋼材からなり、前記出力部材の軸方向側部に当接される円周部の内方に、軸方向の弾性力を付与する内方ばねが設けられている請求項1に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  5. 前記入力部材には、前記出力部材と当接して回転させる伝達部と、前記ローラの噛み込みを解除する解除部とを形成した複数の突出し部を放射方向に設けるとともに、前記出力部材には、前記入力部材の突出し部の間に入り込んで伝達部と当接する複数の被伝達部を軸方向に突出して設け、かつ、前記入力部材と前記出力部材とを軸方向に重ねて、前記入力部材の回転が前記出力部材に伝達されるように組み合わせる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  6. 前記入力部材の突出し部に形成された解除部が出力部材に向けて軸方向に延長され、噛み込みを解除するときの前記ローラとの接触部分が拡大された請求項5に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  7. 前記ハウジングの内周面が円形断面であり、前記ローラが配置される部分の前記出力部材には、前記ハウジングの内周面との径方向の距離が変化するカム面が形成される請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  8. 前記ハウジング、前記入力部材及び前記出力部材が、金属粉末の焼結により成形される請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のロックタイプ双方向クラッチ。
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