JP6077637B2 - 多層界面構造を持つ水処理用DLC/Ti電極体及びその製造方法 - Google Patents

多層界面構造を持つ水処理用DLC/Ti電極体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は水処理用電極として使用される高い導電性・耐久性及び電気化学的特性を持つ多層構造のDLCコーティングTi電極の製造方法に関する。
水処理、次亜塩素酸ナトリウム等の物質の生産または分析用途に使われる電極は化学的安定性、高い機械的強度、広い水素-酸素発生の電気化学的電位窓(electrochemical potential window)、低いバックグラウンド電流(background current)等の特性を持つべきである。また、電極が水処理のための商業的電極として活用されるためには上で言及した特徴以外にも高い比表面的、多様な構造の大面積が必要である。一般的に大面積電極は大体に電極の素材が高価であるため、電極全体が対象電極の素材で構成された電極を使わず、母財に必要な電極成分材料のコーティングした電極体で製作したものが使われる。大面積電極に製作するためには高い機械的安定性と化学的安定性を持ち、多様な形の製作が容易且つ価格が安い母財(substrate)が必要であり、コーティング電極物質は母財に高い付着特徴を持つべきである。一般的に大面積電極の母財としては化学的耐食性と高い機械的強度を持ち、比較的に安いTiがよく使われる。
水処理用電極材料としてはPt、Ru、Ir、Sn等の金属酸化物、炭素等が使われる。一般的に実験室内でよく使われるPtは化学的には非常に安定しているが、水素の発生電位が0Vで、還元研究には適さず、高価であるため、商業的に活用するには限界がある。Ru、Ir等はRuO2、IrO2またはこれらの複合酸化物をTiの母財の表面にコーティングし、使用する。これら金属酸化物電極は耐食性が高く、亜塩素酸イオンに対する酸化の過電圧が比較的に酸素の発生より低く、塩素ガス、次亜塩素酸等を生産するchloro-Alkali産業でよく使われるが、ヒドロキシルラジカル生成の効率が多少低く、水素に対する過電圧が低いことから一般的な水処理電極としては頻繁に活用されない。一般的に炭素電極はPtより水素の発生電圧が高く、還元反応及び有機物の合成用電極として使われるが、特にGLC(glass-like carbon)とも呼ばれるGC(glassy Carbon)は機械的強度が良く、比較的に科学的安定性が高いことから実験の実績として多く使われるが、ガラスのように脆性があり割れやすく、多様な構造を持つ形態に製作することやTi等のような母財にコーティングする事が難しいので商業用の大面積電極として活用されるには限界を持っている。1990年代の後半から開発されたBをドーピングしたBDD(boron-doped diamond)電極は高い化学的安定性、機械的強度及び最も広い水素-酸素発生電位窓を持ち、ヒドロキシルラジカルの生成効率が高いことからとても優秀な水処理用電極であると評価されている。しかし、2000℃以上の高温化学気相成長(chemical vapor deposition)を通じて製作されるBDD電極は製造単価が非常に高く、大面積電極にさせるためにBDDコーティングの際一般的によく使われるTiを母財として使う場合、BDD物質との熱膨張率の差が大きく、コーティングが難しくなる問題が発生し、Siを母財としてよく使われているが、Siはやはり割れやすく、多様な構造体に作り上げることが難しいという欠点があった。BDD金属母財としては普段とても高価のNbが使われ、製作単価を大きく高めるようになる。
また違う炭素電極としてはDLC (diamond-like carbon)電極が使われることができる。1970年代に発見されたDLCは水素の合量を60%まで持ち、グラファイト(graphite-like)特性を持つC-sp2構造とダイヤモンド(diamond-like)特性を持つC-sp33の構造を持つ非晶質(amorphous)構造の炭素構造体(a-C:H)として水素化された無定形炭素(hydrogenated amorphous carbon)があり、後者はiカーボン(i-carbon)、四面体の無定形炭素(tetrahedral amorphous carbon)とも呼ばれる。このDLC構造はダイヤモンド結晶構造とは大きく差があるが、材料特徴的にダイヤモンドのような高い硬度や低い摩擦係数を持ち、高い合量の水素を含めば1010Ωcm以上の抵抗力(resistivity)を持つようになり、電極としては使われず、強い耐久性を要する部品等のコーティング材料として多く使われてきた。しかし、2000年以降、Pt, B, N成分をドーピングしDLC構造にDLCを半導体(semiconductor)物性を持つようにして表面比抵抗を低くすることで電極としての活用が可能であるということが明らかになり、特にNドーピングされた非晶質構造のDLC電極(a-C:N)がBDD電極の代りとなる試みがなされた。しかし、今まで知られている電気化学用のDLC製造はまだ比抵抗が数百Ωcm以上を持ち、多様な構造体に製作し難いことから、機械的強度が低いSi母材にコーティングする方法で製作されている。
一方、特許文献1は、Nを含めるDLCコーティングを提案しているが、DLCに伝導性を与えようとする試みは全く考慮されていなく、DLCコーティングの適用という面でも硬度の強化が必要な副材料についての項目だけが示されている。
韓国登録特許第10-0891540号
そこで、本発明は、Ti母材に従来のGCより優秀で、BDD電極の特性と類似しているTi母材にDLCコーティングをした水処理用のDLC/Ti電極の製造方法を提供することを課題とする。
より詳しくは、従来に炭素構造コーティングし難いTi母材にDLCコーティング多層構造(multi-layer)の下地層(underlayer) sub-coating multi-layerを持つようにしてから高い密着生(adhesion)をも持つようにすると当時に従来のN-doping DLC製造方法とは違う方法でDLC構造内にNをドーピングさせる新しい方法を提供し、それにより電極の表面に低い比抵抗、高い機械的な強度、高い比表面積、そして広い酸素ー水素の発生電位窓特性を与え、電極活性を持たせ、GCより優秀な物性を表す当時に、その製造の上要する費用はBDDより安くすることができるような炭素電極体の電極の製造方法を提供する。
上記の目的により本発明では、金属体のTi母材の表面に従来の炭素電極体の比べ同等以上の電気科学的特性を持つDLCがコーティングされたDLC/Ti電極体を作るため、エッチングされたTi母材の上からまずTi:N、Ti:C:N下地層を持たせた後、DLCをコーティングし、その後熱処理を通じてDLC構造内に適切なsp2構造比率を増大させ、電気科学的な特性を持つようにさせると同時にsp3構造によるダイヤモンド特性を持たせる方法を提供する。
多様な構造体のTi母材の上に優秀な機械的強度及び化学的安定性を持つ水処理用の大面積DLC電極体を作るためには基本的に2つの重要な製造工程を伴わなければならない。
まずは、電極体にして高い比表面積の形状を持たせることであり、高い比表面積を持つように処理された複雑形状の母材表面とDLCコーティング膜との強い接着力を持たせることである。次は電極体にコーティングされたDLCが高い電気伝導率及び優秀な機械的耐磨耗特性及び電気化学的活性を持たせることである。
このために本発明は、Ti、Nb、W、ステンレス鋼の中のいずれかで出来た電極体用母材;上記の母材の表面を粗くし、表面粗さ(roughness)を与え; 上記の母材に窒化層を形成し;上記の窒化層の上にCとNの混合層をコーティングすることで母材の表面に窒化層及びCとNを含めた混合層(母材:窒化層/母材:C:N混合層)で構成された下地層(under layer)を形成し;上記の下地層の上にDLC(Diamon Like Carbon)層をコーティングし、母材の表面に母材:窒化層/母材:C:N混合層/DLCの多層構造(multilayer)のコーティングを形成し;上記のDLCを含めた多層構造のコーティング層が形成された電極体を製作し;上記の製作された電極を熱処理し電気化学的活性を与えたことを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、DLCを含めた電極体を熱処理する温度は300ないし900℃であることを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、DLCを含めた電極体を熱処理する時間は温度が高いほど短縮されることを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、DLCを含めた電極体を熱処理する時間は温度が高いほど指数関数的に短縮されるようにすることを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、DLCを含めた電極体を熱処理する時間は30分ないし5時間であることを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、表面粗さ(roughness)を与えるため、母材をエッチングまたはブラストすることを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、母材に表面粗さ(roughness)を与えてから窒化層を形成する前に母材を洗浄する過程をより多く包含し、母材を入れたチェンバーの不活性ガスを注入し、プラズマを放電させプラズマの洗浄過程をより多く包含することを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記において、上記の母材に窒化層を形成するために不活性ガスと窒素を注入、蒸着させ、CとNを含めた混合層をコーティングするために不活性ガス、窒素及び炭化水素ガスを注入、蒸着し、DLC層をコーティングするために不活性ガス及び炭化水素ガスを注入し、蒸着することを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記した製造方法で製作される水処理用の電極体を提供する。
また、本発明は、Ti、Nb、W、ステンレス鋼の中のいずれかで構成された電極体用の母材; 上記の母材に対するコーティング層として窒化層及びCとNを含める混合層を含めた下地層; 及び、上記の下地層の上にDLC層を含め、上記のDLC層はsp2構造とsp3構造が混合されており、上記の下地層から拡散されたNを含めることを特徴とする水処理用電極体を提供する。
また、本発明は、上記において、上記の母材は表面粗さが付与され、微細な凹凸を持つことを特徴とする水処理用の電極体を提供する。
また、本発明は、上記において、水処理用の電極体のDLCコーティング表面層に至るまで表面粗さが付与され、微細な凹凸を持つことを特徴とする水処理用の電極体を提供する。
また、本発明は、上記において、DLC層の厚さは500nmないし10μmであり、下地層の厚さは10ないし100nmになっていることを特徴とする水処理用の電極体を提供する。
本発明によると、母材に表面粗さをを付与し、これに下地層を形成した後、DLC層をコーティングすることでDLC層た母材に強く密着することができる。特に、DLC層がコーティングされたあと実施される熱処理工程はDLC層に含まれたH(水素)を相当量排除し、DLC層の原子の結合構造を黒煙のような伝導性のある構造に変化させ、DLC固有の高硬度性と共に伝導性を兼ねて具備させる。より良いものは、熱処理は下地層のN元素を拡散させ、DLC層に漸進的な分布を持つようになり、コーティングの母材密着力をより強化させる効果を表す。
即ち、本発明による熱処理された多層構造DLC/Ti電極の製造技術は機械的強度及び化学的安定性が高く、多様な形状の構造体に製作することが可能である。Ti金属母材の上に多層構造コーティング膜を下地層に導入することでDLCコーティング膜に高い密着性を持たせ、上記の複合構造膜(TiN/TiCN/DLC)を適合な温度で熱処理することで従来のDLCが持つダイヤモンドと類似する物質特性、即ち、高い化学的安定性、高い機械的強度を持つと共に、高い電気伝導度及び優秀な電気化学的活性を持つようにした。従って、本発明の電極体は既存のglassy carbonより優れた電気化学的物性を表した。これと共に、Ti金属の表面の上にコーティングされ難く、高い製造単価及び製造条件の難しさを持つBDD電極に比べ、類似の還元条件下でBBD電極より優秀な性能を持つようにさせ、高性能の大面積水処理用の電極体として使用できるDLC/Ti大面積電極を提供した。
このような特性のDLC/Ti大面積電極を使用する商業的な水処理装置は設備の高い効率と耐久性を持たせる。また、このような電極体は化学的、電気化学的な安定性が高く、安く製作される多様な電極のセンサとしても活用されることが可能である。
多層構造を持つ本発明のDLC/Ti電極体の概念図 製造されたDLC/Ti電極体のDLCコーティング層の厚さ(A)、ショットブラストされたTi母材(B)、熱処理の前のDLC/Ti(C)、600℃(D)、800℃(E)、900℃(F)で熱処理されたDLC/Tiの表面SEMの写真 500℃〜900℃で熱処理されたDLC/Ti表面のXRD結果のグラフ 400℃〜900℃で熱処理されたDLC/Ti電極体の0.5M Na2SO4溶液から測定されたCVのグラフ 400℃〜900℃で熱処理されたDLC/Ti電極体の表面比抵抗値のグラフ 400℃〜900℃で熱処理されたDLC/Ti電極体の50mV K4Fe(CN)6を持つ0.5M Na2SO4溶液から測定されたCVのグラフ 900℃で熱処理されたDLC/Ti電極体とBDD,GC,Pt/Ti電極体の 0.5 M Na2SO4溶液から測定されたCVのグラフ 900℃で熱処理されたDLC/Ti電極体とBDD,GC,Pt/Ti電極体の50mV K4Fe(CN)6を持つM Na2SO4溶液から測定されたCVのグラフ GC電極の0.5 M硫酸で2.3 Vを1時間認可する前(A)と後(B)の電極の表面変化写真 Ti母材が表面エッチングされた場合(A)とエッチングされなく、(B)DLCコーティングがされた場合、電気化学評価を使用した後の表面状態変化写真 エッチングされたTi母材に下地層を設置しないまま、DLCコーティングをした後、表面テープテストの後テープに剥離されたDLCを見せる写真 エッチングされたTi母材に下地層を設置した場合と設置しなかった場合のDLC/Ti表面のスクラッチテストの実施結果のグラフ DLC/Tiコーティング膜の熱処理温度によるコーティング膜のラマン分析の実施結果のグラフ DLC/Ti電極体の熱処理温度による電極体の表面の硬度値のグラフ DLC/Ti電極体の熱処理により電極体の表面のH(A)とN(B)成分の変化値のグラフ
以下では、添付図面を参照し、本発明の望ましい実施例について詳しく説明する。
DLCがコーティングされた電極体を製造するために、母材としてTi、Nb、W、ステンレス鋼の中のいずれかを準備する。Si、ガラス等も母材として選択されることができるが、上記の材料の中で最も望ましい選択はTiである。従って、以下の実施例は全部Tiを母材をするものにより説明されるが、他の材料についても殆んど同じ工程が適用され、電極体を製造することが可能である。
即ち、母材を湿式/乾式エッチングまたはブラスチングでその表面に粗さを付与し、以後に蒸着されるDLCコーティング膜の密着性を強化させ、比表面積を拡大する。
表面粗さが与えられた母材を不活性ガスを利用しプラズマ洗浄し、窒素を注入し窒化層を形成し、その上にCとNを含めた混合コーティングを形成し、下地層を形成する。下地層は母材と究極的にコーティングされるであろうDLC層との密着力を強化する。下地層はnm水準に浅くコーティングされ、その上にDLC層を数百nmないしμmの厚さで充分な厚さを持つようにコーティングし、電極使用の際の剥離に備えることが望ましい。蒸着工程で形成する下地層の厚さは10ないし250nm位であるが、以下で説明される熱処理工程の実施後、その厚さは減少する。従って、最終的に製作された電極体に含まれた下地層の厚さは10ないし100nm位になる。
DLC層をコーティングした後には熱処理を行い、下地層のN、C等の成分をDLC層へと拡散させると同時にDLC層のH成分を排出させ、DLC層に対して伝導性を付与し、母材の密着力をより強化させる。熱処理温度は300ないし900℃であることが可能で、望ましくは400ないし900℃であることも可能で、より望ましくは400ないし800℃であることが可能である。900℃を超える場合、母材元素が湧出される可能性があることから望ましくない。
熱処理時間は熱処理温度に対し指数関数的に変化される。即ち、熱処理温度が高いほど指数関数的に熱処理時間が短縮される。従って、熱処理時間は30分ないし5時間、望ましくは2時間ないし3時間であることが可能である。
即ち、本発明は、エッチングされたTi母材(1)の上からまずTi:N(2)とTi:C:Nの二重複合下地層(3)を持たせた後、DLC(5)をコーティングし、その後熱処理を通じてコーティングされたDLCがTi母材に丈夫に付着されると当時にDLCコーティング炭素構造内に適切なsp2構造比率を増大させ、電気化学的特性を持たすと当時にsp3構造によるダイヤモンド特性を持たせたDLC/Ti電極体(6)を作るための方法を提供する。
DLCコーティングのための母材にはSi、Ti、Nb、ステンレス鋼等を使うことができるが、化学的に安定しており、耐食性が強く、多様な構造体の製作が可能である金属Tiが望ましい。Ti母材とDLC薄膜コーティングの密着力のためには大きく2つの要素が必要である。母材の表面に適当な粗さを与え、母材の表面とコーティング物質が形像構造的に結合できるようにすることが望ましい。即ち、母材とコーティング体が互いに交合できるように、母材がコーティング層を捕らえるようにするアンカー(anchor)の役割をし、二つの物質が互いに物理的に交合できるようにすることが必要である。また、普通高温で製作される薄膜コーティング体は母材とコーティング物質の熱膨張係数の差によりコーティング層の剥離が行われるので、これを防ぐために母材とコーティング膜の間にコーティング物質の濃度分布を与える(即ち、コーティング層濃度の漸進的変化を誘導する)下地層(under layer)を設置することが必要である。
金属母材を使う場合、表面粗さを与えるために化学的エッチング(etching)または練磨剤等により表面を打撃し表面粗さ(Roughness)を与えるショットブラスト(shot blasting)を使うことができる。本発明では平板Tiに対し、ジルコニア粒子を使用するショットブラストを行い、DLCコーティングの前に下地層を設置するために通常Ti (1)に強く結合すると知られているTi:N層(2)をまず設置し、その後コーティングされるであろう、Cを主成分とするDLC層と上記のTi:N層(2)の間にCとNの濃度勾配を形成するためにTi:C:N(3)層をコーティングし、Ti:N-Ti:C:N下地層(4)を形成し、最終的にDLC(5)をコーティングし、Ti-Ti:N-Ti:C:N-DLCでできた多層構造のDLC/Ti電極体(6)を製作した。
DLC薄膜は真空反応装置の中に設置されている二つの電極の間に直流電流を放電(DC-discharge)させ、反応機材ガスを装入し、プラズマを生成させ、化学蒸着させるDC-PECVD(DC-plasma enhanced chemical vapor deposition)方法で製作される。機材ガスにはArと共に様々な炭化水素hydrocarbon)CxHy (CH4、C2H2等)ガスまたはこれらガスと水素が混合されたガスを使用する。
本発明では、下地層とDLCコーティングのためにまずTi母材の洗浄と活性化のためにまずArだけ注入し、ArによるTi母材をスパッタリングした後、ArとN2(Ar-N2で表記する)ガスを注入しTi:N層を形成させ、その後Ar-N2-C2H2混合ガスを注入しTi:C:N層を形成し、最終的にAr-C2H2混合ガスを注入し、aC:HのDLC層を蒸着させる方法を使用した。DLCを形成させるためにhydrocarbon CxHyガスを使用すれば、形成されたDLCのC構造は非晶質のhydrocarbonated a-C:Hとなる。
最終的にコーティングされたa-C:H DLC炭素コーティング膜は上記で言及したようにグラファイト(graphite-like)特性を持つC-sp2構造とダイヤモンド(diamond-like)特性を持つC-sp3の構造が混合された非晶質(amorphous)構造を持つ。DLC層でCsp3の比率が高まると、ダイヤモンド特徴のように高い硬度を持つが、高い比抵抗のため電気化学的特性を生かせることができなくなる。DLCが電気化学的特性を持つためにはN、B等をドーピングするか、C-sp2の比率を増加させ、DLCの比抵抗を減少させることで電極としての要件である低い表面比抵抗を作り出すことができる。一般的にa-C:Nやa-C:N:H構造のDLCを作るためにはグラファイト母材の上にN2ガスを流すかSi母材にhydrocarbonガスとNガスを混合し、化学蒸着をすると報告された。グラファイト母材の上にN2ガスを使用する場合は、グラファイトの機械的強度が低いと共に多様な構造体に作り難く、本発明で言及する大面積の水処理用電極体にし難い。また、Si母材にhydrocarbonガスとN2ガスを混合し蒸着する場合も同じくSiの機械的強度が弱いことから大面積の電極に作り難い。
本発明では上記で言及されたTi母材にDLCコーティングの前に多層構造の下地層(4)を設置した後、DLCをコーティングし、熱処理したDLC/Ti電極体を提供する。即ち、Ti母材に形成された多層コーティング膜Ti:N-TiC:N-DLC(a-C:H)を熱処理し、Ti:N-TiC:N層においてTi母材とDLC膜の間にCとN成分の濃度勾配を緩慢にさせ、TiとDLC層との間に高い密着力を持たせた。これと同時に熱処理(annealing)を通じた下地層のN成分が固相拡散(solid diffusion)によりDLC構造内に拡散されるようにし、H成分をDLC層の外へと排出させることでDLC内のH成分を減少させると当時にsp2成分を増加させ、DLC構造においてa-C:Hの一部をa-C:H:N構造へと変化させることでDLC表面比抵抗を低め、電気化学的特性を持たせた。従って、下地層であるTi:N-TiC:N層はTiとa-C:H構造のDLC層との密着力を高める役割を果たすと共に製造されたDLC/Tiの熱処理の際に下地層のN成分がa-C:H構造のDLC層にN成分を供給する役割をし、DLCにNドーピングされたa-C:H:N構造を(N-dopped DLC)持たせる機能をする。このような本発明のDLC/Ti電極体の製造方法は従来に電気化学的特性を持たすためにDLCをa-C:N炭素構造の形態にするために使用されてきた方法とは全く違う方法である。本発明で製造されたDLC電極体の全体的な化学的構造はa-C:H:N-Ti:C:N-Ti:N-Tiとなり、図1にDLC/Ti電極体の概念図が表れている。
以下では本発明をその実施例を通じ、より具体的に説明する。但し、下記の実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲が下記の実施例により限られるものではない。
(実施例1)
本発明の電気化学的特性を持つ多層構造の下地層を持つDLC/Ti電極体を製作するためにショットブラスト(shot blasting)をし、表面粗さを持たせたTi母材を温度は250ないし350℃、望ましくは300℃、真空度は0.01ないし0.001torr、望ましくは約0.005torrのDC-PECVD (DC-plasma enhanced chemical vapor deposition)反応器に装着させ、まずTi母材(1)の洗浄やエッチング(etching)のためにArイオン衝撃とプラズマエッチングをそれぞれ数分(1ないし10分、望ましくは5分)間実施し、その後、下地層である窒化層(ここではTi:N層(2))形成のために不活性ガスと窒素ガスを体積の供給比5~7:1で混合したガスを注入し、1ないし10分間蒸着する。それにより、10ないし100nmの厚さを持つ窒化層を形成する。本実施例では、Ar 95 sccm、N215 sccm混合ガスを注入しながら3分間蒸着した。
次、CとNの混合コーティング層を形成するため、不活性ガスと窒素、そして炭化水素ガスを体積の供給比15〜20:2〜4:1で混合し、1ないし10分間蒸着する。それにより10ないし100nmの厚さを持つ混合コーティング層を形成する。
本実施例では、Ti:C:N層(3)を形成するためにAr 95 sccm、N2 15 sccm、C2H2 5 sccm混合ガスを注入しながら3分間蒸着を行った。
最終的にDLC層(5)をコーティングするために不活性ガスと炭化水素ガスを体積の供給比1:7~8にして供給し、1ないし5時間の間蒸着させる。それにより500nmないし10μmの厚さを持つDLC層がコーティングされる。実質的にDLC層の厚さは必ず特定値を持たなければならない必要はなく、剥離ないし磨耗の防止や製作の生産性を考慮し、適切に設定することができる。下地層の厚さもまた特定に限定される必要はないが、下地層の場合、その後行われる熱処理工程を通じ元素の拡散でその厚さが減少するか、かすかになる。
本実施例ではAr 11 sccm、C2H2 85 sccmを注入し、3時間の間蒸着をした。最終的に製作されたDLC/Ti電極体(6)のa-C:H構造のDLCをa-C:H:N構造と変換させるために真空熱処理をし、本発明の実施例では最適の熱処理条件を探すために400℃〜900℃範囲で100℃間隔に各2時間熱処理を行った。最終的に製作されたDLC電極体の物理化学的及び電気化学的特性が評価され、GC(glassy carbon)電極とBDD (boron-dopped diamond)電極と比較評価された。
研究の結果、熱処理温度の範囲は400℃〜900℃範囲で実施可能で、望ましくは400℃〜900℃、より望ましくは400℃〜800℃ができる。
図2には熱処理する前のDLC/Ti電極体のDLCコーティング層の厚さ(A)、ショットブラストされたTi母材(B)、熱処理する前のDLC/Ti(C)、600℃(D)、800℃(E)、900℃(F)で熱処理されたDLC/Tiの表面SEM(scanning electron Microscope
、Hitahi、S-4800)の写真を表した。図1の(A)でDLC層が約1.4μmになっていることを見ることができ、ショットブラストされたTi母材のDLCコーティングが小さな球形粒子が合体された形にコーティングされていることが見られる。外形的には熱処理の前と800℃まで熱処理した後の表面の変化は観察できなかったが、900℃熱処理の後の結果ではDLC表面に違う形態の結晶粒が観察される。これは900℃の高温で母材のTi成分が表面層にまで活発に拡散され、カーボンが主成分であるDLCそうと反応し、TiC結晶体が形成されたからであり、図3の500℃〜900℃で熱処理されたDLCコーティング層に対するXRD(x-ray diffraction、D8-Discovery Brucker、CuKα、40kV)分析の実施例で確認できる。DLC/Ti表面でTiC結晶構造は熱処理温度が800℃になる前には表面から観察されないが、900℃から観察されるということが分かる。
(実施例2)
本発明の多層構造の下地層を持つDLC/Ti電極体の熱処理の前後電気化学的特性を見るために、製造されたDLC/Tiを陽極に、Ptを陰極に、そして参照電極にSSE(Ag/AgCl (siver/siver chloride)でし、3 M KCl電解質を使用し、CV(cyclic voltammogram)を測定した。図4にはDLC/Ti電極体の熱処理による、酸素と水素が発生する電気化学的電位窓(electrochemical potential window)を見るために0.5 M Na2SO4溶液から20mV/secでCV測定を行った実施例が表れている。熱処理ができない、またはできなかった電極はDLC構造内の C-sp3構造が支配し、コーティングの強度自体は高いが、比表面抵抗が高く、バックグラウンド電流(background current)が低い。しかし、熱処理ができれば下地層へと設置されたTi:N、Ti:C:NのN成分がa-C:H構造のDLC内に移動され、その一部がa-C:H:N構造へと変り、電極の表面比抵抗の減少でバックグラウンド電流は増加、即ち、図4では酸素-水素発生電位内のCV電流の幅の増加が見られる。400℃〜800℃ではCV値の変化が大きくはないが、900℃ではCVの電流の幅の急激な増加が表れるようになる。これは酸素-水素発生電位内で観察しようとする物質を酸化-還元電流が明らかに表れることに障害となるため、電気化学的観点から見ると望ましい現状ではない。図5ではDLC/Ti電極体の熱処理による測定された表面比抵抗値が表れている。熱処理されていないDLC/Ti電極体の比抵抗値は100Ωcm以上であるが、熱処理温度が増加することに連れ、比抵抗値は急激に低くなり、800℃で処理した後には10ー4Ωcm位で、GC電極または金属酸化物電極の表面比抵抗値より低い電極特性を持つことが見られる。
図6は製造された電極としての活性度(activity)及び感応性(sensitivity)を見るために体表的な酸化-還元の溶液係、即ち、Fe(CN)6 3- /Fe(CN)6 4-イオン溶液係でのCV変化の特性を見るために電極の400℃〜900℃で熱処理されたDLC/Ti電極体を利用した50mV K4Fe(CN)6を持つ0.5 M Na2SO4溶液での20mV/secでCV測定を実施した結果が表れている。熱処理されていないDLC/Ti電極はFe(CN)6 3- 酸化ピークとFe(CN)6 4- 還元ピークが多く移動されており、熱処理温度が上昇するほど酸化ピークの間が狭くなり、ピーク電流が高まることが見られ、800℃で熱処理された電極で最も高いピーク電流を見せ、900℃で再び低くなることが観察される。CVで観察ピークが明らかになるほど正確なピークの解析ができ、センサーとしての活用性が高くなり、CVでピークが低く、そして広くなることは電極の表面サイトの不均質性(non-equivalent)を見せることで、電極の感応性が低くなることを意味する。900℃でピークが再び低くなることは図2と図3から見られるように900℃で熱処理をする場合、電極の表面にTi母材からTiの固体拡散により表面に生成されたTiCによって電極活性と均一性が低くなったためだと判断され、本発明で製造されたDLC/Ti電極体が最強の電気化学的活性を持つための熱処理温度は900℃を超えないようにしなければならないということが分かる。
(実施例3)
本発明により最高の電気化学的活性を持つように800℃で熱処理されたDLC/Ti電極と従来のBDD、GC、Pt/Ti電極と電気化学的特性を比較するための実施例が図7と図8に表れている。図7には比較電極の酸素と水素が発生する電気化学的電位窓(electrochemical potential window)を見るために0.5 M Na2SO4溶液から20mV/secにCV測定の比較実施例が表れている。炭素電極であるBDD、GC、DLC電極全てPt電極より水素に対する過電圧が高く、熱処理されたDLC/Ti電極はGCより酸素と水素が発生する電気化学的電位窓が広く、BDDよりは多少小さなことが見られる。図8は比較電極のFe(CN)6 3-/Fe(CN)6 4-イオン溶液係でのCV変化の特性を見るために50mV K4Fe(CN)6を持つ0.5 M Na2SO4溶液の20mV/secでのCV測定の実施結果が表れている。800℃で熱処理されたDLC/Ti電極とBDD,Pt/TiのCVは殆んど類似しており、微細ながらDLC/Ti電極が多少より著しい(sharp)ピークを表す。GC電極はバックグラウンド電流が非常に低く、全体的にCV酸化-還元ピークが低く出されることが見られる。図7と図8の実施例から本発明により製造されたDLC/TiはGC及びPt/Tiの電極より電気化学的特性が優秀で、BDD電極と比べても電気化学的電位窓が多少少ないという事実以外には電極特性が同等以上であることが確認できる。
(実施例4)
炭素Cの酸化反応、即ち、C + 2H2O=CO2+ 4H++4e-の平衡電位は0.207 VでCO2で酸化されることができる。従って、DLC/Ti電極の電気化学的安定性を見るために800℃で熱処理された電極であるDLC/Ti電極、BDD、GC電極を比較するために0.5M硫酸溶液で、2.3V(vs. SSE)の定電圧で1時間の間電流を与えた後、電極表面の変化を実施した。DLC/Ti電極とBDD電極は実施前後では電極表面の変化が観察されなかったが、GCは図9から見られるようにCの酸化反応により表面がエッチング(etching)されていることが見られ、DLC/Ti電極はGCより電気化学的な安定性が優秀であることを評価できる。
(実施例5)
エッチングにより粗さを持つTi母材にコーティングされたDLCの付着性はDLC/Ti電極の機械的安定性の観点から非常に重要な特性である。前述した通り、Ti母材の粗さはコーティング膜を母材に基本的に固定(anchor)する役割を果たす。図10にはエッチングされたTi母材とエッチングされなかったTi母材に発明からDLCコーティングをした後、各製造電極の電気化学的実験の後にコーティング膜の剥離現状の観察を実施した。エッチングされなかった Ti母材では上述したDLCコーティング前の多層構造Ti:N-TiC:N層の設置可否に関係なく、衝撃により容易く落ちた。エッチングされたTi母材にDLCコーティング前のTi:NTiC:N層の下地層によるTi母材とDLCコーティング膜の密着力の評価を実施し、その結果が図11と図12に表れている。図11ではエッチングされたTi母材にTi:N-TiC:Nの下地層を設置しないでDLCコーティングした後、表面に3Mテープに一定に力を集め付着した後剥がし、テープ面に貼ってあるコーティング物質の可否によるコーティング膜の付着性を評価するテープテスト(tape test)を実施した後のテープの写真である。黒い点はDLCコーティング膜から落ちたものであり、エッチングされたTi母材にTi:N-TiC:N下地層を設置したDLCの表面ではDLCコーティング物質が落ちなかった。図12にはTi:N-TiC:N下地層を可否に従ったDLC/Ti電極体の表面のスクラッチテスト(scratch test) (JNL tech., scratch tester)を実施した結果が表れている。図12でLc1は剥離が起きる点で、Lc2は完全剥離がなされる点で、下地層を持たない場合にはLc1とLc2はそれぞれ4.1 N、5.8 Nで起こり、下地層を持つ場合、Lc1とLc2はそれぞれ10.0 N、13.3 Nで起こりTi母材とDLCコーティング膜の間に設置される下地層は密着力をほぼ2倍以上まで増加させることが観察できる。表1には金属体にコーティングされたBDD、GC、下地層がある場合とない場合のDLC/Ti表面の表面粗さ測定器(Mitutoyo, Sj-310)で測定した粗さの値も共に表れている。Tiにコーティングされた表面の粗さは、Tiエッチングの程度により決定され、下地層を設置するかどうかは表面粗さには大きな影響がなく、DLC/Ti電極の表面はGC表面より粗さが非常に多きなことがみられ、このような比表面積の増加が図7と図8のCV測定の際、DLC/Ti電極がGC電極よりバックグラウンド電流値と酸化-還元ピークの増加の一つの原因となるものである。
(表1)
BDD、GC、下地層を持つ場合、持たない場合のDLC/Ti電極表面粗さ
Figure 0006077637
(実施例6)
本発明により製作されたDLC/Ti電極の熱処理時のDLC炭素構造の変化を把握することはDLC/Ti電極の特性を理解し改善するための重要な出発点となる。従って、熱処理温度によるDLC/Ti電極の構造変化を測定し、その実施結果が図13に表れている。図13には。DLC炭素構造を把握するために体表的に使用されるRaman spectrometer(Hobia, Jobin-Yvon)を使い、熱処理温度の変化によるDLC/Ti電極表面のRamanスペクトラムを測定した実施例が出されている。一般的にDLC構造で1325〜1375 cm-でDピークが、1550〜1575cm-1でGピークが表れる。Gピークはsp2結合をしている炭素原子のストレッチング振動によるもので、Dピークは環状構造sp2結合をしている炭素原子の呼吸モードによるものであると知られている。図13でDLC/Ti電極表面は熱処理前にはDピークとGピークが広く広まる(broad)。しかし、熱処理された後にはDピークは1375cm-1で、Gピークは1599.5cm-1で一定に表れ、熱処理する前よりピークの位置が増加したことが観察できる。これはDLC薄膜内のsp3の結合量が熱処理の後、減少したことを意味する。また、ピークは熱処理温度が上昇すると益々幅が狭くなり、DピークとGピークの強度(intensity)が増加し、比率(ID/IG)が高まることが観察できる。Gピークの幅が広いということはsp2構造がsp3構造と同じく、振動の周期が違う炭素との結合が多くなることを意味し、Dピークの幅が広まることはsp3構造炭素が違う形態のsp3及びsp2等とより多く結合されていることを意味し、sp3の無秩序度(disorder)が増加することを表すものである。熱処理温度が増加する程ID/IGの強度比が増加するが、これはsp2の成分が増加したことを意味する。即ち、熱処理温度が増加する程GとDピークの位置は増加し、幅は狭くなり、ID/IGが増加するようになる。これはDLC膜がsp3とsp2の混合構造体としてH減少及びN成分のDLC構造内への移動を通じ、Hとsp3の成分の減少によりDLC硬度が(hardness)減少するようになり、高温で熱力学的に安定した環状構造のsp2グラファイト構造の相対的増加によりDLCの比提供値が減少することを意味する。このような構造の変化により電極の表面サイトの均質度が増加することが図6で説明したように熱処理されたDLC/Ti電極の感応性が良くなる理由となる。図14には熱処理温度によるDLC/Tiの表面の硬度の変化を測定した実施例が表れている。熱処理温度が増加することに連れ、図1から見られるようにダイヤモンド特性を表すsp3構造のta(tetrahedral amorphous)-C減少しながらDLC硬度が減少する。しかし最も優秀な電気化学的特性を表す800℃で熱処理されたDLC/Ti電極表面の硬度は約4.2GPaでGC硬度である約3GPaより大きく、本発明による高い電気化学的特徴を持つDLC/Ti電極表面の機械的強度は尚高いということが分かる。
(実施例7)
図1で説明した本発明でTi母材とDLC層との間にTi:N-Ti:C:Nの下地層を置き、図11、そして図12で説明したようにDLCの密着性を増大させるだけではなく、熱処理をする時下地層のN 成分がDLC層に固体拡散し、DLC層のa-C:H構造が電気化学的特徴を表すa-C:H:Nへと変化することを確認するためにSIMS(secondary ion mass sepctrometry; Camerca, Ims6f magentic dector SIMS)により熱処理されなかったDLC/Ti電極と500℃そして800℃で熱処理されたDLC/Ti電極体の表面の深さによるH成分(A)とN成分(B)の比率の変化を測定した実施例が図15に表れている。熱処理しなかったa-C:HではH成分が非常に高いが、熱処理の温度を500℃と800℃にした場合には大きく減少することが見られる。H成分は熱処理しなかったDLC/Ti表面では非常に低く、下地層に進むほどN成分が高くなるが、500℃と800℃で熱処理した場合、表面からN成分が多量存在するということが観察できる。表2にはXPS(X-ray photoelectron spectroscopy;Thermo Fisher Scientific,Theta probe AR-XPS)によりDLC/Ti電極体を熱処理した時、DLCの表面のC、N、O、Ti成分の原子比率(atomic %)を測定した実施例が表れている。DLC/Ti電極体を熱処理しない時は表面にTiとN成分が殆んど表れないが、熱処理の温度を増加させるほどTiとN成分が母材と下地層から拡散され、これら成分が徐々に増加することが見られる。800℃で見られるT成分は図3から800℃で熱処理された電極の表面から検出されるTiCの成分によるものである。このような実施結果から本発明により製作されたDLC/Ti電極体を熱処理するとDLC層の炭素構造成分はa-C:H:N形態ということが確認できる。
(表2)
DLC/Ti電極の熱処理温度による電極表面の成分含量(atomic%)
Figure 0006077637
本発明は、上で述べた実施例に限定されなく、特許請求の範囲に記載された通りに定義され、本発明の分野で通常の知識を持つ者が特許請求の範囲内で多様な変形及び改作をすることができる。

Claims (7)

  1. Ti、Nb、W、ステンレス鋼のいずれかでできた電極体用の母材を準備し;
    上記の母材の表面を粗くし、表面粗さを与え;
    上記の母材に窒化層を形成し;
    上記の窒化層の上にCとNの混合層をコーティングすることで、母材の表面に窒化層及びCとNを含めた混合層(母材:窒化層/母材:C:N混合層)でできた下地層を形成し;
    上記の下地層の上に DLC(Diamon Like Carbon)層をコーティングし、母材の表面に母材:窒化層/母材:C:N混合層 /DLCの多層構造のコーティング層を形成し;
    上記のDLCを含めた多層構造のコーティング層で形成された電極体を製作し; 上記の製作された電極体を熱処理し、レンズを介して電気化学的な活性を付与する
    ことを特徴とする電極体の製造方法。
  2. DLCを含めた電極体を熱処理する温度は300ないし900℃である
    請求項1に記載の電極体の製造方法。
  3. DLCを含めた電極体を熱処理する時間は温度が高いほど短縮されるようにする
    請求項2に記載の電極体の製造方法。
  4. 表面粗さを与えるために、母材をエッチングまたはブラストする
    請求項1に記載の電極体の製造方法。
  5. 母材に表面粗さを与えた後、窒化層を形成する前に母材を洗浄する過程をより包含し、母材を入れたチャンバーに不活性ガスを注入し、プラズマを放電させ実施されるプラズマ洗浄の過程を含める
    請求項1に記載の電極体の製造方法。
  6. 上記の母材に窒化層を形成するために、不活性ガスと窒素を注入、蒸着し、
    CとNを含めた混合層をコーティングするために不活性ガス、窒素及び炭化ガスを注入、蒸着し、
    DLC層をコーティングするために不活性ガス及び炭化水素ガスを注入し、蒸着する
    請求項1に記載の電極体の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製作される
    ことを特徴とする水処理用の電極体。
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