以下、図面を参照して本発明の一実施形態による水栓装置について説明する。図1は本発明の一実施形態による水栓装置を示す外観斜視図、図2は本発明の一実施形態による水栓装置を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による水栓装置1は、1つの操作ハンドル6を操作することにより流量及び温度を調整した湯水を吐水ヘッド部8の吐水部8aで吐止水することができ、さらに、操作ハンドル6の操作により吐水部8aで浄水を吐止水することができる浄水機能を有する、いわゆる、シングルレバー式の混合水栓装置本体10を備える。また、水栓装置1は、図示しない給水源から供給され加熱された湯(原水)を混合水栓装置本体10へ導く給湯管2と、給水源(図示せず)から混合水栓装置本体10へ水(原水)を供給する給水管4とを備える。
混合水栓装置本体10は、台所のシンクや洗面台等のカウンター12上に配置され、操作ハンドル6を上方(図1に示されている矢印「開」の方向)に回動操作した場合には、吐水ヘッド部8の吐水部8aにおける止水から吐水への切替え操作ができるようになっている。操作ハンドル6をより上方に回動させた位置に設定する程、吐水ヘッド部8の吐水部8aから吐出される湯水の流量を大きく設定することができるようになっている。
一方、操作ハンドル6を最も下方(図1に示されている矢印「閉」の方向)の位置に回動操作した場合には、吐水ヘッド部8の吐水部8aから吐出される湯水を止水状態に設定することができるようになっている。
さらに、操作ハンドル6を正面側から混合水栓装置本体10の鉛直方向の中心軸線A1を中心に図1の矢印「C」の水平方向(図1の水平方向右側)に回動操作した場合には、吐水ヘッド部8の吐水部8aから原水による水の吐水を行うモード(以下「水吐水モード」)に設定することができるようになっている。また、この水吐水モードの状態から、操作ハンドル6を、中心軸線A1を中心に図1の矢印「C」の水平方向(図1の水平方向右側)にさらに回動操作した場合には、吐水ヘッド部8の吐水部8aから浄水の吐水を行うモード(以下「浄水吐水モード」に設定することができるようになっている。
一方、操作ハンドル6を正面側から混合水栓装置本体10の鉛直方向の中心軸線A1を中心に図1の矢印「H」の水平方向(図1の水平方向左側)に回動操作した場合には、吐水ヘッド部8の吐水部8aから原水による湯の吐水を行うモード(以下「湯吐水モード」)に設定することができるようになっている。また、操作ハンドル6を水吐水モードでの位置と湯吐水モードでの位置との間の位置に回動操作した場合には、原水による湯と水とを混合させて吐水するモード(以下「湯水混合吐水モード」)に設定することができるようになっている。
次に、図2に示すように、吐水ヘッド部8は、混合水栓装置本体10の前面から前方且つ斜め上方に突出する吐水ヘッド取付部14に取り外し可能に取り付けられている。使用者は、吐水ヘッド部8を把持して混合水栓装置本体10の吐水ヘッド取付部14から取り外し、前方側(図2の矢印Aの方向)へ引き出した状態で使用することができるようになっている。
また、吐水ヘッド部8の前端部には、吐水部8aにおいてシャワー状の吐水を行う吐水モード(以下「シャワー吐水モード」)またはストレート状の吐水を行う吐水モード(以下「ストレート吐水モード」)に切替える切替スイッチ8bが設けられている。
さらに、図1及び図2に示すように、吐水ヘッド部8の後端部(上流側)は、ホース部材16が接続され、このホース部材16の上流側は、混合水栓装置本体10に内蔵されている流路形成部材30に接続された鋼管部材18と接続部材20によって接続されている。ホース部材16、鋼管部材18及び接続部材20は、大径管の内側に小径管を有する二重管として機能する。また、混合水栓装置本体10には、混合水栓装置本体10内の複数の流路のうちから所定の流路を通水させる流路として選択して切替えるバルブカートリッジ28(流路切替部)が内蔵されている。
また、接続部材20には、混合水栓装置本体10、鋼管部材18、及び、接続部材20の水を抜くことが可能な水抜栓120が設けられている。
次に、図3及び図4を参照してバルブカートリッジ及び流路形成部材について説明する。図3は本発明の一実施形態による水栓装置の流路形成部材の断面図、図4は本発明の一実施形態による水栓装置の流路形成部材、その上方の固定弁体、及びその上方の可動弁体を概略的に示す平面図である。なお、図3においては、一次側の湯の流れ及び水の流れのそれぞれ、並びに、二次側の非浄水用原水の流れF1及び浄水用原水の流れF2のそれぞれを矢印で示している。
図3に示すように、混合水栓装置本体10に内蔵される流路形成部材30は、鉛直方向に延びる一次側湯流路30a、一次側水流路30b、二次側原水側流路30c及び二次側浄水側流路30dの4つの流路がそれぞれ形成されている。
図4に示すように、混合水栓装置本体10内の流路形成部材30の上側に設けられるバルブカートリッジ28は、固定弁体22と、この固定弁体22上に摺動可能に設けられた可動弁体24と、この可動弁体24に連結されて可動弁体24を操作する図示しない操作部とを有する。
固定弁体22は、鉛直方向に延びる一次側湯流路22a、一次側水流路22b、二次側原水側流路22c及び二次側浄水側流路22dの4つの流路がそれぞれ形成されている。一方、可動弁体24は、固定弁体22側(可動弁体24の上流側)からの吐水が流入する一次側流路24aと、この一次側流路24aから流入する吐水を固定弁体22側(可動弁体24の下流側)に吐出させる二次側流路24bとを有する。
図3及び図4に示すように、流路形成部材30の一次側湯流路30aは、その上端部(下流端部)が、バルブカートリッジ28の固定弁体22の一次側湯流路22aの下端側(上流側)と連通接続されている。一方、流路形成部材30の一次側湯流路30aの下端部(上流端部)には、給湯管2の上端部(下流端部)が挿入されて接続される。同様に、流路形成部材30の一次側水流路30bは、その上端部(下流端部)がバルブカートリッジ28の固定弁体22の一次側水流路22bの下端側(上流側)と連通接続されている。一方、流路形成部材30の一次側水流路30bの下端部(上流端部)には、給水管4の上端部(下流端部)が挿入されて接続される。
また、流路形成部材30の二次側原水側流路30c及び二次側浄水側流路30dのそれぞれの上端部(上流端部)は、固定弁体22の二次側原水側流路22c及び二次側浄水側流路22dのそれぞれの下端側(下流側)と連通接続されている。
さらに、図3に示すように、流路形成部材30の二次側原水側流路30cには、下方側から鋼管部材18が接続されている。この鋼管部材18は、細長い略円管状の外側鋼管部材36(大径管)と、この外側鋼管部材36の内部に同心状に配置された内側鋼管部材38(小径管)とからなる二重管部材である。また、内側鋼管部材38の上端部(上流端部)は、流路形成部材30の底面から所定距離上方に位置する二次側原水側流路30cの下流端部である内側鋼管部材接続部40にシール部材42を介して液密に接続されている。それにより、内側鋼管部材38の内周側は、二次側原水側流路30cから流入した非浄水用原水のみが流れる原水側流路38aを形成している。
一方、流路形成部材30の底面且つ内側鋼管部材接続部40の真下(内側鋼管部材接続部40よりも下流側)の位置には、外側鋼管部材接続部44が設けられ、外側鋼管部材36の上端部(上流端部)がシール部材46を介して液密に接続されている。さらに、流路形成部材30の外側鋼管部材接続部44よりも上流側且つ内側鋼管部材接続部40よりも下流側には、二次側浄水側流路30dの下端部と外側鋼管部材接続部44とを接続するようにほぼ水平方向に延びる接続流路48が形成されている。
また、外側鋼管部材接続部44よりも上流側に位置する流路形成部材30の二次側原水側流路30c及び二次側浄水側流路30dは、それぞれの流路断面の中心軸線が互いに偏心しているため、二次側浄水側流路30d内の浄水用の原水は、接続流路48を経て、内側鋼管部材38の外周面と外側鋼管部材36の内周面との間に形成される浄水側流路36a(図4参照)を流れるようになっている。すなわち、内側鋼管部材38の内周側の原水側流路38aと、内側鋼管部材38の外周面と外側鋼管部材36の内周面との間に形成される浄水側流路36aとは、互いに独立した流路を形成しているため、それぞれを流れる非浄水用原水と浄水用原水とは互いに混ざり合うことなく流れるようになっている。
このような構成により、操作ハンドル6の操作によりバルブカートリッジ28の操作部(図示せず)を操作すると、可動弁体24が固定弁体22の上面に沿って摺動または回動することにより、流路形成部材30の流路及び可動弁体24の流路と固定弁体22の流路との連通状態を切替えることができるようになっている。これにより、混合水栓装置本体10内の複数の流路のうちから所定の流路を通水させる流路として選択して切替えることができ、吐水ヘッド部8の吐水部8aにおける吐水モードを上述した水吐水モード、湯水混合吐水モード、湯吐水モード、または浄水吐水モードの何れかに切替えることができるようになっている。
次に、図5を参照して、ホース部材と鋼管部材との接続部の詳細について説明する。図5は、本発明の一実施形態による水栓装置のホース部材と鋼管部材との接続部を拡大した部分拡大断面図である。なお、図5では、非浄水用原水の流れF1及び浄水用原水の流れF2をそれぞれ矢印で示している。図5に示すように、鋼管部材18の下方側(下流側)には、複数の部品からなる接続部材20が接続されており、この接続部材20の下方側(下流側)には、ホース部材16が接続されるようになっている。
接続部材20は、図5の上方側から下方側に向って、ワンタッチソケット56(大径管)と、中継パイプ58(大径管)と、この中継パイプ58に内蔵されているカプラ60(小径管)及び管状のインナーホース継手62(小径管)とを備えている。また、接続部材20には、水抜栓120が設けられている。
ワンタッチソケット56は、内蔵された圧縮コイルばね(図示せず)により、外側鋼管部材36及び内側鋼管部材38と中継パイプ58とを着脱可能に接続するための接続部材である。外側鋼管部材36及び内側鋼管部材38と中継パイプ58とをワンタッチソケット56を介して接続した状態では、中継パイプ58内を延びる内側鋼管部材38の外周面と中継パイプ58の内周面との間に浄水用原水流路58aが形成されており、この浄水用原水流路58aは、その上方の外側鋼管部材36の内部の浄水用原水流路36aと連通している。
中継パイプ58に内蔵されているカプラ60は、内側鋼管部材38の下端部とその下方のインナーホース継手62の上端部とを接続するための接続部材である。このカプラ60により内側鋼管部材38の下端部とインナーホース継手62の上端部とが接続された状態では、カプラ60の内周側に形成される流路が、その上方の内側鋼管部材38の非浄水用原水流路38aと連通している非浄水用原水流路60aとなっているとともに、インナーホース継手62の内周側に形成される流路が、その上方のカプラ60の非浄水用原水流路60aと連通している非浄水用原水流路62aとなっている。また、カプラ60の外周面とこれに対向する中継パイプ58の内周面との間には、外側鋼管部材36の内部の浄水用原水流路36aと連通している浄水用原水流路58aが形成されている。
中継パイプ58は、その下端部でインナーホース継手62とホース部材16とを接続するための接続部材である。ホース部材16は、具体的には、内側から外側に向って略同心状に配置された、インナーホース72(小径管)、アウターホース74(大径管)及びフレキチューブ76を備えている。
さらに、中継パイプ58の外周面には、中継パイプ58の中心軸と直行する方向に外周面から突出する凸部58bが設けられているとともに、この凸部58bには、中継パイプ58の浄水用原水流路58aと中継パイプ58の外部とを連通させる第1水抜孔58cが設けられている。一方、カプラ60の外周面には、カプラ60の中心軸と直行する方向に外周面から窪んだ凹部60bが設けられているとともに、この凹部60bには、カプラ60の非浄水用原水流路60aと中継パイプ58の浄水用原水流路58aとを連通させる第1水抜孔58bが設けられている。なお、第1水抜孔58cと第2水抜孔60cとは、同心状に形成され、ともに雌ネジが設けられるとともに、詳細は後述する水抜栓120により、閉鎖されている。
また、インナーホース継手62は、上下方向に延びており、このインナーホース継手62の下端部は、アウターホース74の内部でインナーホース72の内周側に挿入されて接続されている。すなわち、インナーホース72の内周側には、インナーホース継手62の非浄水用原水流路62aと連通する非浄水用原水流路72aが形成されている。さらに、インナーホース継手62の外周面とアウターホース74の内周面との間には、中継パイプ58内の浄水用原水流路58aと連通する浄水用原水流路74aが形成されている。
ここで、インナーホース72は、その内周側の非浄水用原水流路72a内の水圧や、その外周側の浄水用原水流路74a内の水圧により弾性変形可能な弾性材料、例えば、塩化ビニル、シリコーン、フッ素ゴムで形成されている。また、アウターホース74の外周面は、補強層により覆われており、アウターホース74の内部の非浄水用原水流路72a内や浄水用原水流路74a内で大きな水圧が作用したとしても、アウターホース74内の流路断面が半径方向外側に所定以上に拡張することを防ぐことができるようになっており、アウターホース74が破裂する等の損傷を防ぐことができるようになっている。さらに、フレキチューブ76は、ステンレス等の材料からなる金属製の可撓性ホース部材である。
次に、図6を参照して、水抜栓について説明する。図6(a)は本発明の一実施形態による水栓装置の水抜栓の通常状態を示す部分拡大断面図であり、図6(b)は本発明の一実施形態による水栓装置の水抜栓の水抜状態を示す部分拡大断面図である。図6(a)及び(b)に示すように、水抜栓120は、略円筒状の水抜栓本体122と、この水抜栓本体122に設けられた第1のOリング124(第1弁体)及び第2のOリング126(第2弁体)とを有する。
水抜栓本体122は、第1水抜孔58b及び第2水抜孔60bへと挿入及び螺合可能なように、一端側から他端側(図6における左方から右方)に向けて段差状に縮径するとともに、その外周には雄ネジが設けられている。なお、水抜栓本体122の他端側の段差は、カプラ60の凹部60bに合致するように形成され、これにより水抜栓本体122の挿入の位置を容易に決めることができる。また、水抜栓本体122の外周には、第1のOリング124及び第2のOリング126が嵌合されている。さらに、第1水抜孔58b及び第2水抜孔60bへと挿入及び螺合した際に、中継パイプ58の外部へと露出する水抜栓本体122の一端側(図6における左端)の外面には、ドライバー等の工具を差し込むための差込穴122aが形成されている。
第1のOリング124は、水抜栓本体122が第1水抜孔58b及び第2水抜孔60bへと挿入及び螺合された際に、水栓本体122と凸部58bとの間で変形し、第1水抜孔58cを閉鎖するように水抜栓本体122に配置される。即ち、凸部58bは、第1のOリング124が離接する第1弁座として機能する。同様に、第2のOリング126は、水抜栓本体122と凹部60bとの間で変形し、第2水抜孔60cを閉鎖するように水抜栓本体122に配置される。即ち、凹部60bは、第2のOリング126が離接する第2弁座として機能する。また、水抜栓本体122を接続部材20に挿入する際、水抜栓本体122が挿入方向に向けて段差状に縮径しているため、水抜栓本体122外周に嵌合される第1のOリング124及び第2のOリング126の位置が、段差により所定の位置に保持される。そのため、凸部58bの第1のOリング124が離接する部分と凹部60bの第2のOリング126が離接する部分との間の距離は、第1のOリング124と第2のOリング126との間の距離と等しくなるように保持することができる。
次に、図7を参照して、吐水ヘッド部の内部構造の詳細について説明する。図7は本発明の一実施形態による水栓装置の吐水ヘッド部を示す平面断面図である。なお、図7では、非浄水用原水の流れF1及び浄水用原水及び浄水の流れF2をそれぞれ矢印で示している。また、図7においては、水栓装置はストレート吐水モードに設定されている。
図7に示すように、吐水ヘッド部8は、ホース部材16が接続されるホース接続部80を備えている。また、吐水ヘッド部8は、外側ケーシング部材96と、この外側ケーシング部材96の内側に設けられた内側ケーシング部材98と、この内側ケーシング部材98の内部に設けられた略円筒形状の浄水カートリッジ100(浄水部)とを備えている。
内側ケーシング部材98の外周面と外側ケーシング部材96の内周面との間には、ホース接続部80を介してインナーホース72の原水側流路72aの下流側と連通する原水側流路102が形成されている。一方、内側ケーシング部材98の内周面と浄水カートリッジ100の外周面との間には、ホース接続部80を介してインナーホース72の外周面とアウターホース74の内周面との間の浄水側流路74aの下流側と連通する浄水側流路104が原水側流路102から独立して形成されている。
浄水側流路104内の浄水用原水は、その内側の浄水カートリッジ100の中を通過することにより浄水にされた後に、吐水部8a側へ流れるようになっている。また、原水側流路102内の非浄水用原水は、浄水カートリッジ100を通過することなく、浄化されていない原水(水、湯、または混合湯水)のままで吐水部8a側へ流れるようになっている。
また、図7に示すように、吐水ヘッド部8の吐水部8aの内部には、ストレート吐水用吐水流路106及びシャワー吐水用吐水流路108がそれぞれ形成されている。
ストレート吐水用吐水流路106は、切替スイッチ8bによりストレート吐水モードが設定されている場合に、吐水ヘッド部8内の非浄水用原水流路102を流れた非浄水用原水(水、湯、若しくは混合湯水)、または、吐水ヘッド部8内の浄水用原水流路104から浄水カートリッジ100を通過した浄水が流れ込み、その下流側でストレート状に吐水させる流路となっている。このとき、シャワー吐水用吐水流路108は、切替スイッチ8bの切替弁(図示せず)により閉鎖され、吐水が流入しないようになっている。
一方、シャワー吐水用吐水流路108は、切替スイッチ8bによりシャワー吐水モードが設定されている場合に、吐水ヘッド部8内の非浄水用原水流路102を流れた非浄水用原水(水、湯、又は混合湯水)が流れ込み、その下流側でシャワー状に吐水させる流路となっている。このとき、ストレート吐水用吐水流路106は、切替スイッチ8bの切替弁(図示せず)により閉鎖され、吐水が流入しないようになっている。
また、浄水カートリッジ100よりも下流側に形成されて浄水カートリッジ100を通過した浄水が流れる浄水流路110は、切替スイッチ8bの操作位置にかかわらず、吐水部8aのストレート吐水用吐水流路106と常時連通しており、シャワー吐水用吐水流路108とは常時連通しない構造となっている。これにより、操作ハンドル6を浄水吐水モードに設定した状態で吐水ヘッド8の切替スイッチ8bをシャワー吐水モードに設定したとしても、シャワー状の浄水吐水は行われずに、ストレート状の浄水吐水のみが行われるようになっている。
次に、図1〜図8を参照して、上述した本発明の一実施形態による水栓装置1の動作について説明する。図8(a)は本発明の一実施形態による水栓装置の吐水ヘッド部における原水ストレート吐水モードの吐水動作を概略的に説明した図、(b)は本発明の一実施形態による水栓装置の吐水ヘッド部における原水シャワー吐水モードの吐水動作を概略的に説明した図、(c)本発明の一実施形態による水栓装置の吐水ヘッド部における浄水ストレート吐水モードの吐水動作を概略的に説明した図である。
まず、図8(a)に示すように、原水ストレート吐水モードとは、吐水ヘッド部8の切替スイッチ8bをストレート吐水モードに設定した状態で、操作ハンドル6を水吐水モードの操作位置、湯吐水モードの操作位置、または、湯水混合吐水モードの操作位置の何れかに設定したときの吐水モードを意味する。
この原水ストレート吐水モードに設定した場合においては、図3及び図4に示すように、操作ハンドル6を水吐水モードに設定した場合には、給水管4から供給される非浄水用の原水(水)が、流路形成部材30の一次側水流路30bから固定弁体22の一次側水流路22bを通過し、可動弁体24の一次側流路24a及び二次側流路24bから固定弁体22の二次側原水側流路22cを経て流路形成部材30の二次側原水側流路30cを通過する。そして、この非浄水用の原水(水)は、図3、図5、図7に示すように、下流側に向って、内側鋼管部材38内の原水側流路38a、インナーホース72内の原水側流路72a、吐水ヘッド部8内の原水側流路102を流れる。そして、吐水ヘッド部8の切替スイッチ8bの切替弁(図示せず)がストレート吐水用吐水流路106を開放するとともにシャワー吐水用吐水流路108を閉鎖することにより、原水(水)がストレート吐水用吐水流路106を流れ、最終的には、吐水部8aのストレート吐水口112からストレート吐水される。
同様に、操作ハンドル6を湯吐水モードや湯水混合吐水モードに設定した場合についても、流路形成部材30の二次側原水側流路30cの上流側から二次側原水側流路30c内に流入した非浄水用の原水(湯または混合湯水)が、図3、図5及び図7に示すように、下流側に向って、内側鋼管部材38内の原水側流路38a、インナーホース72内の原水側流路72aを経て吐水ヘッド部8内の原水側流路102からストレート吐水用吐水流路106を流れ、最終的には、原水(湯または混合湯水)が吐水部8aのストレート吐水口112からストレート吐水される。
次に、図8(b)に示すように、原水シャワー吐水モードとは、吐水ヘッド部8の切替スイッチ8bをシャワー吐水モードに設定した状態で、操作ハンドル6を水吐水モードの操作位置、湯吐水モードの操作位置、または、湯水混合吐水モードの操作位置の何れかに設定したときの吐水モードを意味する。
この原水シャワー吐水モードに設定した場合においては、流路形成部材30の二次側原水側流路30cの上流側から二次側原水側流路30c内に流入した非浄水用の原水(水、湯または混合湯水)が、図3、図5及び図7に示すように、下流側に向って、内側鋼管部材38内の原水側流路38a、インナーホース72内の原水側流路72aを経て吐水ヘッド部8内の原水側流路102を流れる点については、上述した原水ストレート吐水モードの場合と共通するが、吐水ヘッド部8の切替スイッチ8bの切替弁(図示せず)がストレート吐水用吐水流路106を閉鎖するとともにシャワー吐水用吐水流路108を開放する。これにより、原水(水、湯または混合湯水)がシャワー吐水用吐水流路108を流れ、最終的には、吐水部8aのシャワー吐水口114からシャワー吐水される。
次に、図8(c)に示すように、浄水ストレート吐水モードとは、吐水ヘッド部8の切替スイッチ8bをストレート吐水モードまたはシャワー吐水モードの何れかに設定した状態で、操作ハンドル6を浄水吐水モードの操作位置に設定したときの吐水モードを意味する。
この浄水ストレート吐水モードに設定した場合においては、図3及び図4に示すように、操作ハンドル6を浄水吐水モードに設定すると、給水管4から供給される非浄水用の原水(浄水化される前の原水)が、流路形成部材30の一次側水流路30bから固定弁体22の一次側水流路22bを通過し、可動弁体24の一次側流路24a及び二次側流路24bから固定弁体22の二次側浄水側流路22dを経て流路形成部材30の二次側浄水側流路30d及び接続流路48を通過する。
そして、この浄水用の原水(浄水化される前の原水)は、図3、図5及び図7に示すように、下流側に向って、内側鋼管部材38の外周側の浄水側流路36a、インナーホース72の外周側の浄水側流路74aを経て吐水ヘッド部8の内側ケーシング部材98内の浄水カートリッジ100を通過することにより浄水化される。さらに、この浄水は、ストレート吐水用吐水流路106に流れ込み、最終的には、吐水部8aのストレート吐水口112からストレート吐水される。
なお、浄水ストレート吐水モードに設定した場合においては、浄水側流路104が、切替スイッチ8bの操作位置にかかわらず、吐水部8aのストレート吐水用吐水流路106と常時連通しているため、吐水ヘッド部8の切替スイッチ8bをシャワー吐水モードに設定したとしても、シャワー状の浄水吐水は行われずに、ストレート状の浄水吐水のみが行われる。
次に、図6を参照して水抜栓の動作について説明する。
図6(a)に示すように、水抜きの必要のない通常状態においては、第1のOリング124及び第2のOリング126が、水抜栓本体122により中継パイプ58の凸部58a及びカプラ60の凹部60bに押圧され、第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cは閉鎖されている。
それに対して、気温の低下等により凍結のおそれがあるとき等の水抜きが必要な場合は、水抜栓本体122の差込穴122aにマイナスドライバー等を差込んで回転させることで、水抜栓本体122がその軸方向における中継パイプ58の外部側へと移動し、図6(b)に示すように、水抜栓122は水抜状態となる。
水抜状態においては、第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cは同時に開放され、中継パイプ58内及びカプラ60内は、第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cを介して外部と連通した状態となる。そのため、第2水抜孔60cを介して、カプラ60の非浄水用原水流路60aから、中継パイプ58の浄水用原水流路58aへと、原水が流れ込む。また、第1水抜孔58cも第2水抜孔60cと同時に開放され、第1水抜孔58cを介して、浄水用原水流路58a内に残っていた原水とともに、カプラ60の非浄水用原水流路60aから中継パイプ58の浄水用原水流路58aへ流れ込んだ原水が、外部へと流れ出す。即ち、水抜状態においては、混合水栓装置本体10内、鋼管部材18内及び接続部材20内の原水が、第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cを通過して外部へと排出される。
上述した本発明の一実施形態による水栓装置1によれば、凸部58bの第1のOリング124が離接する部分と凹部60bの第2のOリング126が離接する部分との間の距離は、第1のOリング124と第2のOリング126との間の距離と等しい。そのため、水抜栓本体122の移動に伴い中継パイプ58の浄水用原水流路58aと、浄水用原水流路58a内側に設けられるカプラ60の非浄水用原水流路60aというそれぞれ独立した2つの流路の水抜きを同時に行うことができる。従って、寒冷地などの凍結のおそれがある場所においても、水抜栓120により水抜きを行うことで、水栓装置1における凍結による破損を防止することができる。また、第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cが同心状に形成されているため、カプラ60の非浄水用原水流路60a内の水が中継パイプ58の浄水用原水流路58aへ排出され、浄水用原水流路58a内の水とともに外部へ排出される。従って、水が排出される場所が分散されることがなく、使い勝手をよくすることができる。
さらに、水抜栓本体122を接続部材20に挿入する際、水抜栓本体122が挿入方向に向けて段差状に縮径しているため、水抜栓本体122外周に嵌合される第1のOリング124及び第2のOリング126の位置が、段差により所定の位置に保持される。そのため、凸部58bの第1のOリング124が離接する部分と凹部60bの第2のOリング126が離接する部分との間の距離は、第1のOリング124と第2のOリング126との間の距離と等しくなるように保持することができる。従って、水抜栓本体122の一軸方向の移動で第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cを同時に開放または閉止することができる。
なお、上述した本発明の一実施形態においては、接続部材20に水抜栓120を設けているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、ホース部材16や鋼管部材18に設けられてもよい。ホース部材16に設けられた場合、使用者にとって手が届きやすく水抜きの操作を行いやすい位置に水抜栓120を設けることができ、使い勝手をよくすることができる。また、上述した本発明の一実施形態においては、水抜栓本体122を、接続部材20内から引抜く方向に移動させることで、水抜きを行う構成としているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、接続部材20内へと押込む方向に水抜栓本体122を移動させることで、水抜きを行う構成としてもよい。
また、上述した本発明の一実施形態においては、小径管(内側鋼管部材38、カプラ60、インナーホース継手62及びインナーホース72)内を非浄水用原水が流れ、前記小径管と大径管(外側鋼管部材36、ワンタッチソケット56、中継パイプ58及びアウターホース74)との間には浄水用原水が流れる構成となっているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。バルブカートリッジ28や流路形成部材30における流路の設計に応じて、適宜選択することができ、例えば、浄水用原水が内側、即ち、前記小径管内を流れ、非浄水用原水が外側、即ち、前記小径管と前記大径管との間を流れる構成としてもよい。浄水用原水が内側を流れ、非浄水用原水が外側を流れる構成とした場合、吐水ヘッド部8内のより内側に位置する浄水カートリッジ100に向けてより簡易な構造にて浄水用原水を流し込むことができる。さらに、通常、浄水用原水は非浄水用原水に比べて必要とされる流量は小さいため、浄水用原水が上記小径管内を流れる構成とすることで、上記小径管の内径及び周壁の厚みを小さくすることができ、上記小径管と上記大径管との間を流れる非浄水用原水の流量を容易に確保することができる。
次に、図9(a)及び(b)により、上述した一実施形態の変形例である第2実施形態について説明する。図9(a)は本発明の一実施形態の変形例による水栓装置の水抜栓の通常状態を示す部分拡大断面図であり、図9(b)は本発明の一実施形態の変形例による水栓装置の水抜栓の水抜状態を示す部分拡大断面図である。
図9に示すように、第2実施形態における水抜栓120は、第1のOリング124及び第2のOリング126がその外周に嵌合される水抜栓本体128と、この水抜栓本体128の中継パイプ58外側へ突出した突出部の一部を覆う外装ケース130とを有する。外装ケース130内には、水抜栓本体128を中継パイプ58内へ向けて付勢するコイルバネ132(付勢部材)が設けられる。また、外装ケース130の壁面には、下方に向けて開口し、水抜状態において水を外部へと排出する開口部130aが穿設されている。
さらに、中継パイプ58の内周の凸部58bと対向する部分には、第1水抜孔58cに向けて縮径するテーパ部58dが設けられる。同様に、カプラ60の内周の凹部60bと対向する部分には、第2水抜孔60cに向けて縮径するテーパ部60dが設けられる。
上述した本発明の第2実施形態においては、コイルバネ132により、水栓装置1の通常状態においては、水抜栓120からの水漏れを防ぐことができる。さらに、水抜状態においては、外装ケース130に設けた開口部132aに水が集められてそのまま排水されるため、水抜状態での排水の取り扱いが容易となる。また、テーパ部58d及びテーパ部60dにより、水抜状態において、第1水抜孔58c及び第2水抜孔60cへと水が流れ込みやすくなり、より確実に水抜きを行うことができる。