JP6075178B2 - 板厚制御方法および板厚制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間圧延における板厚制御方法および板厚制御装置に関する。
圧延機による圧延材の圧延では、圧延材の板幅方向端部の出側板厚が目標板厚となるように鋼板を通過させる圧延機の一対のワークロールの間隔(ロールギャップ量)を自動的に調整する自動板厚制御(AGC:Automatic Gauge Control)が行われる。自動板厚制御には、例えば板が圧延機に噛み込まれた時点で圧延荷重をゲージメータ式に基づいて出側板厚として記憶し(ロックオン)、以降はその荷重を維持するように圧下量を調整するBISRA−AGCや、予測出側板厚を一定にするように圧下量を調整する絶対値AGC等がある。絶対値AGCでは、BISRA−AGCを適用するにあたって必要となるロックオン時の圧延荷重やロールギャップ量等のロックオン情報を計算により取得することで、圧延材の先端部から板厚を精度よく制御できる。
絶対値AGCにおける板厚制御として、例えば特許文献1には、圧延材の板厚を目標板厚haに制御可能にする圧下位置Sを、目標板厚haの圧下時における予測圧延荷重Fを圧延機の弾性定数M1で除した値、油膜厚み補正項δ、ゲージメータ式補正項Eに基づき、S=ha−(F’/M+δ+E)によって算定する圧延機の板厚制御方法が開示されている。かかる板厚制御方法では、先行パスにおける板長L1およびゲージメータ板厚と、後続パスにおける板長L1+zとから、マスフロー一定則によって、後続パスにおける換算板厚h’を推定し、上記換算板厚(h=(L1+Z)/L1×h’)と後続パスにおけるケ−ジメータ板厚(S+F’/M+δ)との偏差に基づきゲージメータ式補正項Eを修正することで、絶対値AGCにおける推定出側板厚の精度を高め、板厚精度を向上させている。
また、特許文献2には、一定周期に計測した圧延荷重検出値、ロールギャップ検出値及び予め測定をしておいたミル剛性係数などを用いてゲージメータ板厚を演算し、そのゲージメータ板厚を用いて圧延材の板厚を目標板厚に制御する自動板厚制御が開示されている。かかる自動板厚制御では、仕上圧延機出側に設置した板厚検出器の信号と最終スタンドのゲージメータ板厚との差分で最終スタンドのゲージメータ板厚を補正し、補正後のゲージメータ板厚を仕上圧延機出側の目標板厚と一致させるか又は近づける様に最終スタンドのロールギャップを制御することで、先端部板厚の精度を向上させている。
特開昭58−212806号公報 特開平8−141614号公報
板厚制御においては製品要求板厚範囲から外れる先端部の板量が多くなるとその分歩留まり悪化につながるため、圧延材が圧延機に到達した直後から板厚制御が開始されることが望ましい。しかし、上記特許文献に記載の板厚制御方法では、圧延材が圧延機に到達した直後に絶対値AGCを開始すると急激なロール開度修正が行われるためにハンチングが発生し、板厚を制御できなくなる場合がある。このハンチングの抑制のため、通常、板厚偏差を算出後にリミッタを設ける対応が行われる。しかしながら、リミッタを設けると、圧延材の先端部の圧延が終了して板厚が落ち着くミドル部において板厚偏差が飽和し制御不能となる場合がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、絶対値AGCにおけるハンチングを適切に抑制し、板厚精度を向上させることが可能な、新規かつ改良された板厚制御方法および板厚制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、目標値と計算による出側板厚との差分である板厚偏差を所定範囲内とするリミッタを備えた絶対値AGCに基づく板厚制御装置により、圧延材を圧延する一対のワークロール間のロール開度を制御する板厚制御方法が提供される。かかる板厚制御方法は、ワークロール間に圧延材が噛み込んだときに絶対値AGCによる板厚制御を開始するステップと、圧延材の先端部の板厚制御が終了した時点でリミッタへ入力される板厚偏差をロックオンし、その後ロックオン時点におけるロックオン時板厚偏差を減算した板厚偏差をリミッタに入力するステップと、リミッタにより所定範囲内に設定された板厚偏差に基づき算出されるワークロール間のロール開度修正量に、ロックオン時板厚偏差を変換したロックオン時点におけるロール開度修正量を加算するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、絶対値AGCによる板厚制御において、過大な制御出力がなされるのを防止するために板厚偏差修正量を所定範囲内とするリミッタを設けると、圧延材の先端部では過大に板厚偏差が修正されるためリミッタが機能する可能性が高くなる。そうするとリミッタが機能することでロール開度は所定範囲内に収まるが、圧延材の先端部の板厚制御が終了して板厚が安定するミドル部の板厚制御時にリミッタ飽和が生じてしまい、板厚偏差が目標値に収束されない可能性がある。そこで、圧延材の先端部の板厚制御が終了した時点でリミッタへ入力される板厚偏差をロックオンし、その後リミッタに入力される板厚偏差からロックオン時点における板厚偏差を減算するとともに、リミッタから出力される板厚偏差に基づき算出されるワークロール間のロール開度修正量にロックオン時点におけるロール開度修正量を別の経路から加算することでリミッタ飽和を回避し、圧延材の板厚制御が不能となるのを防止する。
ここで、ロックオン時点は、圧延材のサイズまたは材料の少なくともいずれか1つを考慮して決定してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、圧延材を圧延する一対のワークロール間のロール開度を、ワークロール間通過後の板厚を測定する板厚計の測定値に基づいて、絶対値AGCにより制御する板厚制御装置が提供される。かかる板厚制御装置は、目標値と計算による出側板厚との差分である板厚偏差に基づいてワークロール間のロール開度修正量を算出する調節部と、調節部により算出されたロール開度修正量に基づいてワークロール間の圧延荷重を算出する制御対象モデルと、制御対象モデルにより算出された圧延荷重とロール開度のフィードバック値を算出するフィードバック部と、調節部に入力される板厚偏差を所定範囲内とするリミッタと、圧延材の先端部の板厚制御が終了した時点でリミッタへ入力される板厚偏差をロックオンし、その後ロックオン時点におけるロックオン時板厚偏差を減算した板厚偏差をリミッタに入力する第1ロックオン回路と、第1ロックオン回路とともに機能し、リミッタにより所定範囲内に設定された板厚偏差に基づき算出されるワークロール間のロール開度修正量に、ロックオン時板厚偏差を変換したロックオン時点におけるロール開度修正量を加算する第2ロックオン回路とを備えることを特徴とする。
以上説明したように本発明によれば、絶対値AGCにおけるハンチングを適切に抑制し、板厚精度を向上させることが可能な板厚制御方法および板厚制御装置を提供することができる。
熱延工程の概要を示す説明図である。 仕上圧延機を構成する1つの圧延機と当該圧延機の出側における板厚を測定する板厚計との位置関係を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る板厚制御装置の構成を示すブロック線図である。 同実施形態に係る板厚制御方法を示すフローチャートである。 従来の絶対値AGCによる板厚制御を行った場合の板厚偏差およびロール開度修正量の推移を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る板厚制御を行った場合の板厚偏差およびロール開度修正量の推移を示す説明図である。 圧延機実機に対して本発明の実施形態に係る板厚制御を行った場合の板厚偏差およびロール開度修正量の推移を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.熱延工程の概要>
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る板厚制御装置を適用する熱延工程の概要を説明する。なお、図1は、熱延工程の概要を示す説明図である。図2は、仕上圧延機30を構成する1つの圧延機32と当該圧延機32の出側における板厚を測定する板厚計60との位置関係を示す説明図である。
熱延工程は、製鋼工程で成分調整され鋳造されたスラブ(圧延材5)を圧延機にて連続的に圧延し、帯状の鋼板を形成する工程である。図1に示すように、加熱炉10で加熱された圧延材5は、粗圧延機20にて圧延された後、さらに仕上圧延機30にて圧延され、鋼板冷却装置40にて所定の温度まで冷却される。鋼板冷却装置40を通過した圧延材5は、捲取機50にてよってコイル状に捲き取られる。熱延工程では温度やロール表面等を管理することで、表面疵や内部欠陥が少なく加工性の良い熱延鋼板を造り込む。
熱延工程によって形成される圧延材5の最終板厚、すなわち製品要求板厚は、仕上圧延機30によって調整される。仕上圧延機30は、図1に示すように、例えばF1〜F7の複数の圧延機32からなる。各圧延機32は、図2に示すように一対のワークロール34と一対のバックアップロール36とを有して構成されている。仕上圧延機30の最終の圧延機32(F7)の出側板厚が製品要求板厚となるように、板厚制御装置100によってそれぞれのロール開度S(ワークロール34間の距離)を調整し、出側板厚を制御している。
本実施形態に係る板厚制御装置100は、板厚計60の測定結果に基づいて絶対値AGCにより圧延機32のロール開度Sを調整する。従来、絶対値AGCによる板厚制御においては、圧延材5の先端部が圧延機32に噛み込んだ後ロール開度が急激に操作されるため、過大なロール開度修正が生じ、ハンチングを起こしてしまう場合がある。ハンチングが発生すると制御不安定となり、製品要求板厚範囲に板厚を収めることが困難となる。ハンチングを抑制するため、通常板厚偏差導出後にロール開度修正量を制限するリミッタを設ける対応がなされる。しかし、リミッタを設けると絶対値AGCの作用によってリミッタが飽和し、圧延材5のミドル部における板厚制御が不能となる場合がある。
そこで、本実施形態に係る板厚制御装置100は、絶対値AGCにおいて圧延機32による圧延材噛み込み後の急峻な板厚偏差の変動が吸収された時点で板厚偏差をクリアしてから板厚制御を再開する制御を行うロックオン方式を採用する。これにより、蓄積された板厚偏差が0にリセットされるので、圧延材5のミドル部におけるリミッタ飽和による制御不能状態を回避できる。以下、本実施形態に係る板厚制御装置100の構成と、これによる板厚制御方法について詳細に説明する。
<2.板厚制御>
[板厚制御装置の構成]
まず、図3に基づいて、本実施形態に係る板厚制御装置100の構成について説明する。なお、図3は、本実施形態に係る板厚制御装置100の構成を示すブロック線図である。板厚制御装置100は、図3に示すように、ゲージメータエラー(GME)補正部110と、絶対値AGC部120と、モニターAGC部130とからなる。
GME補正部110は、ロール開度のセットアップ補正を行う。GME補正部110は、板厚計60の測定値を取得し、板先端部が板厚計60に到達したときに初期ロール開度からの板厚外れ分(すなわち、実偏差)に基づいて圧延機32のロール開度Sを補正する。なお、初期ロール開度は、プロセスコンピュータのモデル演算に基づき設定される。
絶対値AGC部120は、GME補正部110によりロール開度Sを補正した後、定常状態となったときの計算板厚が目標値に近づくようにロール開度Sを制御する。目標値は製品要求板厚である。すなわち、絶対値AGC部120では、計算板厚が製品要求板厚となるようにロール開度Sを制御している。絶対値AGC部120は、目標値と計算による出側板厚との差分である板厚偏差に基づきロール開度修正量を算出する調節部121と、調節部121により算出されたロール開度修正量に基づいて圧延機32の圧延荷重Pを算出する制御対象モデル122と、制御対象モデル122により算出された圧延荷重Pとロール開度Sとからフィードバック値h(FB)を算出するフィードバック部123とを備える。調節部121、制御対象モデル122、およびフィードバック部123によって、フィードバック値hからロール開度修正量を計算し、ロール開度Sを目標値に近づけるフィードバック制御が行われる。
また、本実施形態に係る絶対値AGC部120には、調節部121に入力される板厚偏差を制限して調整するリミッタ125と、圧延材5のミドル部におけるリミッタ飽和による制御不能状態を回避するための第1ロックオン回路126および第2ロックオン回路127とが設けられている。
リミッタ125は、圧延材5の先端部の圧延機噛み込み後に行われる急激なロール開度操作により発生する可能性のあるハンチングを抑制するため、板厚偏差導出後に板厚偏差を制限する。すなわち、リミッタ125は、ワークロール34のロール開度操作が過大とならないように、入力された板厚偏差が所定の範囲の上限値を超えている場合には板厚偏差修正量を当該上限値に設定し、所定の範囲の下限値を下回っている場合には板厚偏差修正量を当該下限値に設定する。これにより、ワークロール34のロール開度操作量は所定範囲内に抑えられ、ロール開度が過大に操作されることがなくなる。なお、リミッタ125により制限される板厚偏差修正量は、製品要求板厚が大きいほど大きく設定される。リミッタ125により設定された板厚偏差修正量は調節部121に出力される。
第1ロックオン回路126および第2ロックオン回路127は、圧延材5のミドル部におけるリミッタ飽和を回避するために設けられる。上述のように、調節部121、制御対象モデル122、およびフィードバック部123による絶対値AGCにリミッタ125を設けると、圧延材5のミドル部でリミッタ125が飽和する可能性がある。そこで、本実施形態に係る板厚制御装置100では、リミッタ125に入力される前に算出された板厚偏差を第1ロックオン回路126により操作し、制御対象モデル122に入力される操作量を第2ロックオン回路127により操作することでこれを回避する。
第1ロックオン回路126は、算出された板厚偏差がリミッタ125に入力される前に機能するように設けられる。第1ロックオン回路126は、当該第1ロックオン回路126を機能させるロックオン信号を受けて機能すると、その時点における板厚偏差をロックオン時板厚偏差として記憶する。記憶したロックオン時板厚偏差はロール開度修正量に変換され、第2ロックオン回路127にて記憶される。これとともに、第1ロックオン回路126はこれ以降の板厚偏差からロックオン時板厚偏差を減算する。すなわち、第1ロックオン回路126が機能しているとき、リミッタ125に入力される板厚偏差はロックオン時板厚偏差を差し引いた値となる。
板厚制御装置100は、圧延材5の先端部の板厚制御が終了して板厚が安定した後にロックオン信号を出力する。このロックオン信号の出力タイミングは、例えば製品要求サイズや材質、設備条件、圧延条件等の少なくともいずれか1つに基づいて予め設定することもでき、例えば圧延機32に圧延材5が噛み込んだ時点から所定時間経過後というように時間によってこれを設定することができる。一般的には、圧延機32に圧延材5が噛み込んだ時点から約2〜5秒経過すると、圧延材5の先端部の板厚制御が終了して板厚は安定する。
第1ロックオン回路126にて板厚偏差を記録した際に、リミッタ125の出力値に基づき調節部121によって算出されたワークロール間のロール開度修正量は0になる。したがって、第2ロックオン回路127は、第1ロックオン回路126にてロックオンする前のロール開度修正量をロックオンして、APCからのロール開度Sのフィードバック値およびモニターAGC部130からの入力値に対してロックオン時板厚偏差を加算する。すなわち、第2ロックオン回路127は、調節部121における操作量算出時に第1ロックオン回路126によってゼロとした板厚偏差をロール開度修正量に変換した値を、制御対象モデル122のAPCへの入力時にロックオン時ロール開度修正量に戻している。これにより、制御対象モデル122にて実際の板厚偏差に基づき圧下荷重を算出することができる。
モニターAGC部130は、板厚計60による測定値に基づいて、板厚偏差をゼロにするように板厚偏差をロール開度修正量に変換して絶対値AGC部120にフィードバックする。モニターAGC部130のフィードバックによってなだらかな板厚偏差が除去される。なお、本実施形態に係る板厚制御装置100において、モニターAGC部130は必ずしも設けなくともよい。
[板厚制御方法]
次に、図4〜図6に基づいて本実施形態に係る板厚制御装置100による板厚制御方法を説明する。なお、図4は、本実施形態に係る板厚制御方法を示すフローチャートである。図5は、従来の絶対値AGCによる板厚制御を行った場合の板厚偏差およびロール開度修正量の時間推移を示す説明図である。図6は、本実施形態に係る板厚制御を行った場合の板厚偏差およびロール開度修正量の時間推移を示す説明図である。
本実施形態に係る板厚制御方法では、まず、初期ロール開度が設定される(S100)。初期ロール開度は、プロセスコンピュータのモデル演算に基づき設定される。そして、圧延機32に圧延材5が噛み込むと(S110)、板厚制御が開始されるとともに(S120、S130)、圧延材5の先端部の板厚制御が終了したか否かについての確認が行われる(S150)。圧延材5の先端部の板厚制御が終了したか否かは、例えば圧延機32に圧延材が噛み込んでから所定時間経過したか否かによって判断できる。所定時間は、例えば約2〜5秒に設定される。
ステップS150の処理は、先端部板厚制御が終了したと判断されるまで繰り返し実行される。そして、先端部板厚制御が終了したと判断されると、板厚制御装置100はロックオン信号を出力し、絶対値AGC部120の第1ロックオン回路126および第2ロックオン回路127を作動させる(S160)。第1ロックオン回路126の作動によりリミッタ125に入力される板厚偏差が先端部板厚制御の終了した時点の値(すなわち、ロックオン時板厚偏差)を減じた値となり、板厚偏差が制限される。また、第2ロックオン回路127の作動により、制御対象モデル122のAPCへの入力時に、第1ロックオン回路126によってゼロとされた板厚偏差から変換されるロール開度修正量に対してロックオン時ロール開度修正量が加算される。
ステップS160の処理が実行されることで、圧延材5のミドル部においてリミッタ125が飽和することにより発生する制御不能状態が回避される。例えば、ステップS160の処理が実行されない場合、図5に示すように、圧延材5の噛み込み直後は板厚偏差が急峻に変動する。板厚偏差がある値を超えるとリミッタ125は飽和し、ロール開度修正量は常に上限値に設定される。そうすると、ロール開度はもはや制御不能となり、板厚偏差をゼロに収束させることが困難となる。
これに対して、ステップS160の処理が実行されると、図6に示すように、先端部板厚制御が終了した時点で第1ロックオン回路126および第2ロックオン回路127が作動する。これにより、リミッタ125に入力される板厚偏差はロックオン時板厚偏差を減算した値となるので、リミッタ125の出力値の絶対値は実際よりも小さくなる。このリミッタ125の出力値に基づきロール開度修正量を決定するため調節部121にて決定されるロール開度修正量は小さくなるが、第2ロックオン回路127によって当該ロール開度修正量にロックオン時板厚偏差をロール開度修正量に変換した値を加算した値が制御対象モデル122に入力される。したがって、図6の下のグラフのように制御対象モデル122に入力されるロール開度修正量はリミッタ125の機能によって制限されることがなく、調節部121に入力される板厚偏差の値をゼロにしても、制御対象モデル122に入力される値は変更されない。
これより、図6に示すように、ロール開度修正量は板厚偏差に応じて変動するよう制御されるので、圧延材5の板厚偏差を、圧延機32に圧延材5が噛み込んだ後の急峻な板厚偏差の変動が吸収された時点の安定した状態に維持することができる。このように、圧延材5のミドル部が圧延機32を通過するときにもリミッタ125は飽和することなく、制御不能状態となるのを回避できる。
図4の説明に戻り、ステップS160の処理が実行された後も、ステップS120およびS130の処理によって圧延材5の板厚制御は行われる。この際、第1ロックオン回路126および第2ロックオン回路127は作動し続ける。板厚制御が実行されている間は所定のタイミングで圧延材5が最終の圧延機32(図1ではF7)を通過したか否かによって板厚制御を終了するか否かが判定される(S140)。圧延材5が最終の圧延機32を通過するまではステップS120およびS130の処理が繰り返し実行される。圧延材5が最終の圧延機32を通過すると、図4に示す板厚制御処理は終了する。そして、次の圧延材5の圧延が行われるタイミングで、図4の板厚制御処理が新たに実行される。
以上、本実施形態に係る板厚制御装置100による板厚制御方法について説明した。係る板厚制御方法によれば、絶対値AGCにおいて圧延機32による圧延材噛み込み後の急峻な板厚偏差の変動が吸収された時点で板厚偏差を第1ロックオン回路126によりクリアしてから板厚制御が再開される。また、第1ロックオン回路126によるロックオン時板厚偏差はロール開度修正量に変換されて、第2ロックオン回路127によって第1ロックオン回路126とは別の、リミッタ125の影響を受けない経路から制御対象モデル122に入力される。これにより、蓄積された板厚偏差が0にリセットされるので、圧延材5のミドル部におけるリミッタ飽和による制御不能状態を回避できる。
[実施例]
図7に、実際の仕上圧延機30の圧延機32の板厚制御に本実施形態に係る板厚制御方法を適用した場合の板厚偏差およびロール開度修正量の時間推移を示す。本実施例では、圧延材として幅1193mm、板厚245mmの普通鋼を用い、目標板厚2.05mmにする板厚制御を行った。このとき、圧延材の先端部の板厚制御が終了した時点とするロックオンタイミングは3.05secとした。図7に示すように、圧延材が圧延機32に噛み込んだ直後は板厚偏差が大きいが、その後はハンチングが生じることもなく板厚偏差はゼロに近い値を推移している。このとき、ロール開度はリミッタ125による制限を受けずに板厚偏差に応じて変動していることがわかる。これより、上記実施形態に係る板厚制御方法を用いることでリミッタ飽和を回避して板厚制御が適切に行われることが示された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
60 板厚計
100 板厚制御装置
110 GME補正部
120 絶対値AGC部
121 調節部
122 制御対象モデル
123 フィードバック部
124 ロックオン回路
125 リミッタ
126 第1ロックオン回路
127 第2ロックオン回路
130 モニターAGC部

Claims (3)

  1. 目標値と計算による出側板厚との差分である板厚偏差を所定範囲内とするリミッタを備えた絶対値AGCに基づく板厚制御装置により、圧延材を圧延する一対のワークロール間のロール開度を制御する板厚制御方法であって、
    前記ワークロール間に前記圧延材が噛み込んだときに絶対値AGCによる板厚制御を開始するステップと、
    前記圧延材の先端部の板厚制御が終了した時点で前記リミッタへ入力される板厚偏差をロックオンし、その後ロックオン時点におけるロックオン時板厚偏差を減算した板厚偏差を前記リミッタに入力するステップと、
    前記リミッタにより前記所定範囲内に設定された板厚偏差に基づき算出される前記ワークロール間のロール開度修正量に、前記ロックオン時板厚偏差を変換した前記ロックオン時点におけるロール開度修正量を加算するステップと、
    を含むことを特徴とする、板厚制御方法。
  2. 前記ロックオン時点は、前記圧延材のサイズまたは材料の少なくともいずれか1つを考慮して決定されることを特徴とする、請求項1に記載の板厚制御方法。
  3. 圧延材を圧延する一対のワークロール間のロール開度を、前記ワークロール間通過後の板厚を測定する板厚計の測定値に基づいて、絶対値AGCにより制御する板厚制御装置であって、
    目標値と計算による出側板厚との差分である板厚偏差に基づいて前記ワークロール間のロール開度修正量を算出する調節部と、
    前記調節部により算出されたロール開度修正量に基づいて前記ワークロール間の圧延荷重を算出する制御対象モデルと、
    前記制御対象モデルにより算出された圧延荷重に基づき前記ロール開度のフィードバック値を算出するフィードバック部と、
    前記調節部に入力される板厚偏差を所定範囲内とするリミッタと、
    前記圧延材の先端部の板厚制御が終了した時点で前記リミッタへ入力される板厚偏差をロックオンし、その後ロックオン時点におけるロックオン時板厚偏差を減算した板厚偏差を前記リミッタに入力する第1ロックオン回路と、
    前記第1ロックオン回路とともに機能し、前記リミッタにより前記所定範囲内に設定された板厚偏差に基づき算出される前記ワークロール間のロール開度修正量に、前記ロックオン時板厚偏差を変換した前記ロックオン時点におけるロール開度修正量を加算する第2ロックオン回路と
    を備えることを特徴とする、板厚制御装置。
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