JP6075036B2 - ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリウレタン弾性糸およびその製造方法に関する。
ポリウレタン弾性糸は、その優れた伸縮特性からレッグウエア、インナーウエア、スポーツウエアなどの伸縮性衣料用途や産業資材用途に幅広く使用されている。
最近では、ポリウレタン弾性糸の最大の特徴である伸長回復特性の他に、衣料として用いた際の快適性を付与することが強く求められている。例えば、保温性もそのひとつである。
保温性を重視した従来の布帛は、一般に厚いものあるいは重いものとなる傾向がある。これらの布帛を着用した場合、着脱しにくい、着用感が悪く、動きにくい、また、ファッション性が損なわれる等の問題があった。特に弾性繊維等を使用した伸縮性布帛においては、布帛が肌に密着する場合が多く、そのような布帛において保温性を確保するため厚地の布帛とした場合は、特に上記の不具合点が顕著に現れる。またそのボディフィット性を活かして審美性を追求する用途、例えば肌着、ストッキング、タイツ等においては、厚くなることによる着用時の審美性の低下が特に問題となることが多い。
これら薄地の布帛が好まれる用途において弾性繊維を用いた布帛で保温性を確保するためには、従来種々の検討が行われており、例えば、ポリウレタン弾性糸に有機及び/又は無機系の吸放湿性微粒子を含有させたものがある(特許文献1参照)。しかし、これら吸放湿性微粒子は、吸湿時に膨潤するため布帛の外観品位の低下や物性低下が生じる欠点があった。また、同様に吸放湿成分を含有させる技術として、ポリエチレンオキシドおよび/またはその誘導体をポリウレタンに含有させる技術がある(例えば、特許文献2参照)。この技術は吸放湿性能を高めるために高分子量の誘導体を高濃度含有させる必要があるため、糸が波打った形状となったり、繊度ムラが生じたり、物性が低下する問題があった。
また、吸湿性に優れた高分子ジオールを原料として得たポリウレタン樹脂を、別に用意したポリウレタンに添加する技術(特許文献3、4参照)がある。しかし、特許文献1から4のようなポリウレタン弾性糸に吸湿性分である添加剤やポリマーを添加する技術では、20℃以下での比較的低温領域での吸湿率が低く、吸湿発熱性能は十分なレベルではなかった。
さらに、吸湿性能の高いポリエチレングリコールを使用して重合したポリウレタン樹脂を溶融紡糸する技術がある(特許文献5)。しかし、ポリウレタンの主要構成成分である高分子ジオールの全てにポリエチレングリコールを使用した場合、得られるポリウレタン弾性糸は、伸縮性、回復性に乏しく、それを使用して変性したストッキングやタイツはボディフィット性に乏しいものとなり、着用感の悪いものとなり易い。
特許3518685号公報 特許4406761号公報 特許3837024号公報 特開2000−144532号公報 特開2001−214330号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、吸湿発熱性に優れるとともに、着脱性、着用感、外観に優れたストッキング、タイツに好適なポリウレタン弾性糸およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のポリウレタン弾性糸は、前記の目的を達成するため、以下のいずれかの手段を採用する。
(1) 数平均分子量が500以上5000以下であるポリエチレングリコール(A1)および数平均分子量が500以上5000以下である前記(A1)以外の高分子ジオール(A2)からなる混合ポリオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、ならびに、水、または、水および低分子ジオールからなる鎖伸長剤(C)から重合されたポリウレタンを含むポリウレタン弾性糸であって、前記ポリエチレングリコール(A1)および前記高分子ジオール(A2)の合計末端水酸基の、前記有機ジイソシアネート化合物(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)が5.5以下、かつ、前記ポリエチレングリコール(A1)の前記高分子ジオール(A2)に対する重量比が1/9〜5/5の範囲内であることを特徴とするポリウレタン弾性糸。
(2) 数平均分子量が500以上5000以下であるポリエチレングリコール(A1)および数平均分子量が500以上5000以下である前記(A1)以外の高分子ジオール(A2)を混合した混合ポリオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、ならびに、水、または、水および低分子ジオールからなる鎖伸長剤(C)を重合してポリウレタンを得て、該ポリウレタンを含むポリウレタン弾性糸を製造するにあたり、前記ポリエチレングリコール(A1)および前記高分子ジオール(A2)の合計末端水酸基の、前記有機ジイソシアネート化合物(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)を5.5以下、かつ、前記ポリエチレングリコール(A1)の前記高分子ジオール(A2)に対する重量比を1/9〜5/5の範囲内とすることを特徴とするポリウレタン弾性糸の製造方法。
(3) 前記(1)に記載のポリウレタン弾性糸または前記(2)に記載の製法で得られたポリウレタン弾性糸を使用してなることを特徴とする布帛。
(4) 前記(1)に記載のポリウレタン弾性糸または前記(2)に記載の製法で得られたポリウレタン弾性糸を使用してなることを特徴とする丸編み地。
(5) 前記(1)に記載のポリウレタン弾性糸または前記(2)に記載の製法で得られたポリウレタン弾性糸を使用してなることを特徴とするタイツ。
本発明のポリウレタン弾性糸は、吸湿発熱性に優れるとともに、着脱性、着用感、外観に優れ、ストッキング、タイツ等に好適なものとなる。
本発明におけるポリウレタン弾性糸は、数平均分子量が500以上5000以下であるポリエチレングリコール(A1)および数平均分子量が500以上5000以下である前記(A1)以外の高分子ジオール(A2)からなる混合ポリオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、ならびに鎖伸長剤(C)から重合されたポリウレタンからなるものであり、前記ポリエチレングリコール(A1)および前記高分子ジオール(A2)の合計末端水酸基の、前記有機ジイソシアネート化合物(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)が5.5以下で、かつ、前記ポリエチレングリコール(A1)の前記高分子ジオール(A2)に対する重量比が1/9〜5/5の範囲内である。
ここで、本発明におけるポリウレタンを構成する代表的な構造単位について述べる。
ポリウレタンを構成する構造単位の高分子ポリオールとしては、ポリエチレングリコール(A1)と、(A1)以外の高分子ポリオール(A2)の2種類のポリマージオールを用いる。
ポリエチレングリコール(A1)は、数平均分子量500以上5000以下のものである。
一方、ポリエチレングリコール(A1)以外の高分子ジオール(A2)としては、数平均分子量が500以上5000以下であれば、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネートジオール等いかなるものであってもよい。特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からはポリエーテル系ジオールが使用されることが好ましい。
ポリエーテル系ジオールは、次の一般式(I)で表される単位を含む共重合ジオール化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006075036
(但し、a、cは1〜3の整数、bは0〜3の整数、R1、R2はH又は炭素数1〜3のアルキル基)
このポリエーテル系ジオール化合物としては、具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)および3−メチル−THFの共重合体である変性PTMG、THFおよび2,3−ジメチル−THFの共重合体である変性PTMG、THF及びネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、THFとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が挙げられる。これらポリエーテル系グリコール類の1種を使用してもよいし、また2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。その中でもPTMGまたは変性PTMGが好ましい。
また、ポリウレタン糸における耐摩耗性や耐光性を高める観点からは、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとポリプロピレンポリオールの混合物をアジピン酸等と縮重合することにより得られる側鎖を有するポリエステルジオールなどのポリエステル系グリコールや、3,8−ジメチルデカン二酸及び/又は3,7−ジメチルデカン二酸からなるジカルボン酸成分とジオール成分とから誘導されるジカルボン酸エステル単位を含有するポリカーボネートジオール等が好ましく使用される。
こうした高分子ジオール(A2)は単独で使用されてもよいし、2種以上を混合もしくは共重合して使用されてもよい。上記ポリエチレングリコール(A1)および高分子ジオール(A2)は、ポリウレタン弾性糸にした際の伸度、強度、耐熱性などを所望の水準とするために、数平均分子量で500〜5000であり、1800〜4000が好ましい。この範囲の分子量の高分子ポリオールが使用されることにより、伸度、強度、弾性回復力、耐熱性に優れたポリウレタン弾性糸を得ることができる。
以上のようなポリエチレングリコール(A1)および高分子ジオール(A2)は、ポリオールの段階で混合して混合ポリオール(A)として用いられる。
次に、ポリウレタンを構成する構造単位のジイソシアネート(B)としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタン糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に、ポリウレタンを構成する構造単位の鎖伸長剤(C)としては、水、または、水および低分子量ジオールを使用するのが好ましい。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール(以下、EGと略す)、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどは代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることも好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性が高く、また、強度の高い糸を得ることができるのである。
さらに、本発明におけるポリウレタンには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤として、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
また、本発明におけるポリウレタンの分子量は、耐久性や強度の高い繊維を得る観点から、数平均分子量として40000以上150000以下の範囲であることが好ましい。なお、本発明において分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算した値とする。
本発明においては、以上のような混合ポリオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)ならびに鎖伸長剤(C)を原料として重合してポリウレタンを得て、該ポリウレタンを含むポリウレタン弾性糸を製造するが、ポリウレタン弾性糸を製造するためのポリウレタン溶液、また、その溶液中の溶質であるポリウレタンを製造する方法としては、溶液重合法が好ましい。溶液重合法の場合には、ポリウレタンにゲルなどの異物の発生が少ないので、紡糸しやすく、低繊度のポリウレタン糸を製造しやすい。また、溶液重合の場合、溶液にする操作が省けるという利点がある。
かかるポリウレタンは、例えば、DMAc、DMF、DMSO、NMPなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各原料を投入、溶解させ、適度な温度に加熱し反応させてポリウレタンとする、いわゆるワンショット法特に好適な方法として採用され得る。
このとき、前記ポリエチレングリコール(A1)および高分子ジオール(A2)の合計末端水酸基の、前記有機ジイソシアネート化合物(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)が5.5以下となるようにする。より好ましくは2.5から4.0以下である。前記反応等量比が5.5を超えると、得られるポリウレタン弾性糸の破断伸度、回復性、熱セット性が低下し、これを使用した布帛や編み地の品位や最終製品の着用感が低下する。
また、吸湿発熱性能と物性のバランスから、前記ポリエチレングリコール(A1)の、前記高分子ジオール(A2)に対する重量比を、1/9〜5/5にする。より好ましくは、2/8〜4/6の範囲である。ポリエチレングリコール(A1)の重量比が1/9を下回ると、吸湿発熱性が十分に得られなくなり、一方、5/5を超えると、吸湿発熱性は十分得られるが、破断強伸度や回復応力が低下し、残留歪みが増大し、これを使用した布帛や編み地の品位、着用感が損なわれる。
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒が1種もしくは2種以上混合して使用されることも好ましい。
アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
こうして得られるポリウレタンの紡糸原液における濃度は、通常、30重量%以上80重量%以下の範囲が好ましい。
さらに本発明においては、ポリウレタン弾性糸やそれを紡糸するための後述のポリウレタン紡糸原液中に、各種安定剤や顔料など、添加剤を含有せしめてもよい。例えば、耐光剤、酸化防止剤などに2,6−ジ−tブチル−pクレゾール(BHT)や住友化学工業株式会社製の“スミライザーGA−80”(製品名)などのヒンダードフェノール系薬剤、各種のチバガイギー社製“チヌビン”(登録商標)などのベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザーP−16”(製品名)などのリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラックなどの各種無機顔料、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などが好ましく、またこれらとポリマとを反応させることも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、酸化窒素補足剤が使用されることも好ましい。
また、耐熱性向上や機能性向上の観点から、無機物や無機多孔質(例えば、竹炭、木炭、カーボンブラック、多孔質泥、粘土、ケイソウ土、ヤシガラ活性炭、石炭系活性炭、ゼオライト、パーライト等)を、本発明の効果を阻害しない範囲内で添加してもよい。
これらの添加剤は、上述のポリウレタン紡糸原液を調製する際に、ポリウレタン溶液に直接添加してもよいし、また、予めかかる添加剤の分散液を準備しておき、それをポリウレタン溶液に混合してもよい。これら添加剤の含有量は目的等に応じて適宜決定される。
以上のように構成した紡糸原液を、たとえば乾式紡糸、湿式紡糸、もしくは溶融紡糸し、巻き取ることで、本発明のポリウレタン弾性糸を得ることができる。中でも、細物から太物まであらゆる繊度において安定に紡糸できるという観点から、乾式紡糸が好ましい。
本発明のポリウレタン弾性糸の繊度、単糸数、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸は1単糸で構成されるモノフィラメントでもよく、また複数単糸で構成されるマルチフィラメントでもよい。糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平であってもよい。
そして、乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、所望する特性や紡糸設備に見合った紡糸条件等を適宜選択して紡糸すればよい。
たとえば、本発明のポリウレタン弾性糸の永久歪率と応力緩和の特性は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じて適宜決定されるのが好ましい。すなわち、所望の永久歪率と応力緩和を有するポリウレタン弾性糸を得る観点から、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.15以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましい。また、紡糸速度を高くすることによってポリウレタン弾性糸の強度を向上させることができるので、450m/分以上の紡糸速度をとることが、実用上好適な強度水準とするために好ましい。さらに工業生産の点を考慮すると、450〜1000m/分程度が好ましい。
以上に述べた本発明のポリウレタン弾性糸、あるいは本発明の製造方法により得られたポリウレタン弾性糸は、吸湿発熱性に優れるため、これを使用して薄地の布帛とした場合でも、十分な保温性が得られることから、着脱性、着用感、外観に優れた衣料を得ることができる。かかる特長は、編み地の布帛において顕著に得ることができる。とりわけ、本発明のポリウレタン弾性糸、あるいは本発明の製造方法により得られたポリウレタン弾性糸を使用した丸編み地は、衣料としたときそのボディフィット性を活かして審美性を追求する用途、例えば肌着やストッキング、タイツ等に好ましく適用することができる。
本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
[永久歪率、破断強度、破断伸度]
インストロン4502型引張試験機を用い、ポリウレタン弾性糸を引張テストすることにより、永久歪率、応力緩和、破断強度、破断伸度を測定した。測定回数はn=3で測定し、それらの平均値を採用した。
試長5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返し、5回目の100、200、300%伸長時の応力を測定し、300%伸長時の応力を(G1)とした。次に試料の長さを300%伸長のまま30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に試料の伸長を回復せしめ、200、100%伸長時の応力(回復応力)を測定し、さらに応力が0になった際の試料の長さを(L2)とした。さらに6回目に試料が切断するまで伸長した。この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。以下、上記特性は下記式により算出される。
破断強度(cN)=(G3)
永久歪率(%)=100×((L2)−(L1))/(L1)
破断伸度(%)=100×((L3)−(L1))/(L1)。
[吸湿発熱性]
試料となるポリウレタン弾性糸を105℃の乾燥機内で4時間処理し、シリカゲル入りのデシケーター内で一晩放置する。処理後の試料1gを採取し、温度センサーを巻き付けたものを測定試料とする。試料を20℃、40%RHの環境に設定した恒温恒湿槽で2時間放置した後、20℃、90RH%の環境に変化させた時の温度変化を1分毎に15分間測定し、試料の最高到達温度を測定した。測定回数n=3で測定し、それらの平均値を採用した。
[丸編み地の外観品位]
ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これに44デシテックス36フィラメントのウーリーナイロン糸(東レ(株)製)をシングルカバリングしてなるカバリング糸を用いて常法によりタイツを編成した。引き続きタイツの通常の加工条件に準じて、プレセット、精練後、MITSUI NYLON BLACK GL(三井BASF社製酸性染料)4%owfを用い、95℃で60分間染色後、タイツの通常の加工条件に準じて、スチームセットした。ウレタン弾性繊維を芯糸とし、これに44デシテックス36フィラメントのウーリーナイロン糸(東レ(株)製)をシングルカバリングしてなるカバリング糸を用いて常法によりタイツを編成した。引き続きタイツの通常の加工条件に準じて、プレセット、精練後、MITSUI NYLON BLACK GL(三井BASF社製酸性染料)4%owfを用い、95℃で60分間染色後、タイツの通常の加工条件に準じて、スチームセットした。
得られたタイツを平坦な作業台上にしわが出来ないよう静置し、目視で観察し、次の3段階で評価した。
○:たるみやスジ、糸切れが無く、実使用に全く問題ない。
△:ややたるみはあるが、スジ、糸切れが無く実使用上問題ないと思われる。
×:たるみ、糸切れ、スジがあり、使用不可である。
[実施例1]
数平均分子量1800のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2000のPTMG(A2)を(A1)/(A2)=4/6の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、およびエチレングリコール(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P1とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は2.8とした。
また、酸化防止剤として、t−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネ−ト)の反応によって生成せしめたポリウレタン溶液(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2462、d1)と、p−クレゾ−ル及びジビニルベンゼンの重合体(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2390、d2)とを2対1(重量比)で混合し、酸化防止剤DMAc溶液(濃度35重量%)を調整し、これをその他添加剤溶液D1(35重量%)とした。
ポリマ溶液P1、添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E1とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例2]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のTHFおよび3−メチル−THFの共重合体(A2)を(A1)/(A2)=1/9の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および水/エチレングリコール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P2とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は3.3とした。
ポリマ溶液P2、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E2とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例3]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のPTMG(A2)を(A1)/(A2)=4/6の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および水/エチレングリコール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P3とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は2.8とした。
ポリマ溶液P3、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E3とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例4]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のPTMG(A2)を(A1)/(A2)=4/6の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)および水/エチレングリコール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P4とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は5.2とした。
ポリマ溶液P4、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E4とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例5]
数平均分子量1800のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2000のPTMG(A2)を(A1)/(A2)=4/6の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および1,4−ブタンジオール(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P5とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は2.8とした。
ポリマ溶液P5、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E5とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例6]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のTHFおよび3−メチル−THFの共重合体(A2)を(A1)/(A2)=1/9の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および水/1,4−ブタンジオール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P6とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は3.3とした。
ポリマ溶液P6、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E6とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例7]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のPTMG(A2)を(A1)/(A2)=4/6の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および水(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P7とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は2.8とした。
ポリマ溶液P7、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E7とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[実施例8]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のTHFおよび3−メチル−THFの共重合体(A2)を(A1)/(A2)=1/9の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および水(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P8とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は3.3とした。
ポリマ溶液P8、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E8とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例1]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のTHFおよび3−メチル−THFの共重合体(A2)を0.5/9.5の重量比率で混合した混合ポリオール、MDI(B)、および水/エチレングリコール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P7とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は2.8とした。
ポリマ溶液P7、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E7とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例2]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のPTMG(A2)を6/4の重量比率で混合した混合ポリオール、MDI(B)、および水/エチレングリコール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P8とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は2.8とした。
ポリマ溶液P8、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E8とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例3]
数平均分子量2100のポリエチレングリコール(A1)及び数平均分子量2100のPTMG(A2)を4/6の重量比率で混合した混合ポリオール(A)、MDI(B)、および水/エチレングリコール=1/2(重量比)の鎖伸長剤(C)からなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P9とした。このとき、混合ポリオール(A)の末端水酸基の、MDI(A)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)は5.8とした。
ポリマ溶液P9、実施例1で調整した添加剤溶液D1を、それぞれ97重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液E9とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例4]
数平均分子量1800のPTMG(A2)とMDI(B)を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド加え、エチレンジアミン(C)、ジエチルアミンをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液へ、ジエチルアミン溶液を一気に添加し、ポリマ溶液P10(35重量%)を得た。
アクリロニトリル、アクリル酸メチル、p−スチレンスルホン酸ソーダ及び水からなる原料微粒子水分散体をヒドラジン架橋し、NaOHにて加水分解処理した、平均粒径0.5μm(光散乱光度計で測定)、膨潤度80%、20℃×65%RHにおける水分率が45%の高吸放湿性有機微粒子F1を準備した。
ポリマ溶液P10、実施例1で調整した添加剤溶液D1、高吸放湿性有機微粒子F1をそれぞれ92重量%、3重量%、5重量%で均一に混合し、紡糸溶液E10とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例5]
数平均分子量2900のPTMG(A2)、MDI(B)、およびエチレングリコール(C)からなるポリウレタンのDMAc溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P11とした。
ポリエチレングリコール(数平均分子量6000、溶融粘度80P)にDMAcを添加し、50℃で、30分間攪拌し、これをF2(35重量%)とした。
ポリマ溶液P11、実施例1で調整した添加剤溶液D1、ポリエチレングリコール分散液F2をそれぞれ89重量%、3重量%、8重量%で均一に混合し、紡糸溶液E11とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例6]
ポリエチレングリコール(数平均分子量7,000)、MDIおよび1,4−ブタンジオールからなるポリウレタン重合体のDMAC溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液P12とした。
比較例4で調整したポリマ溶液P10、実施例1で調整した添加剤溶液D1、ポリマ溶液P12をそれぞれ重量72%、3重量%、25重量%で均一に混合し、紡糸溶液E12とした。この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例7]
数平均分子量2000のポリエチレングリコールを59.8重量%、1,4−ブタンジオールを8.1重量%、イルガノックス1010を0.5重量%、チヌビンPを0.3重量%加えて均一に混合し、更に、100℃に調整後、常温のMDIを31.4重量%加えて、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を80℃の電気炉で24時間熟成させ、冷却した後、固形物を粉砕して、ポリウレタン樹脂T1を得た。
数平均分子量1000のPTMGを54.1重量%、1,4−ブタンジオールを7.8重量%、イルガノックス1010を0.5重量%、チヌビンPを0.3重量%加えて均一に混合し、更に、100℃に調整後、常温のMDIを37.3重量%加えて、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を80℃の電気炉で24時間熟成させ、冷却した後、固形物を粉砕して、ポリウレタン樹脂T2を得た。
ポリウレタン樹脂T1とT2とを4/6の重量比で均一に混合し、単軸押出機でストランド状に押出してからカットして、ペレットを得た。このペレットを80℃で20時間真空乾燥し、通常の単軸押出機付き紡糸機より、紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。
[比較例8]
110℃に加熱した数平均分子量2000のポリエチレングリコールを54.6重量%、30℃の1,4−ブタンジオールを9.8重量%、常温のMDIを31.4重量%加えて、均一に撹拌し、反応物が90℃になったところで115℃、10分間加熱し、次いでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を80℃で24時間真空乾燥させ、冷却した後、固形物を粉砕して、ポリウレタン樹脂T3を得た。
ポリウレタン樹脂T3を単軸押出機でストランド状に押出してからカットして、ペレットを得た。このペレットを80℃で20時間真空乾燥し、通常の単軸押出機付き紡糸機より、紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。このポリウレタン弾性糸の100、200%伸長時の応力および回復応力、破断伸度、破断強度、永久歪率、吸湿発熱性、丸編み地の外観品位を表2に示す。なお、実施例1および実施例5は参考例である。
Figure 0006075036
Figure 0006075036
本発明のポリウレタン弾性糸は、高強伸度、高回復性、吸湿発熱性を有するものである。したがって、このポリウレタン弾性糸を使用した衣服などは、脱着性、フィット性、着用感、保温性、外観品位などに優れたものとなる。
これらの優れた特性を有することから、本発明のポリウレタン糸は単独での使用はもとより、各種繊維との組み合わせにより、吸湿発熱性に優れたストレッチ布帛を得ることが可能で、編成、織成、紐加工に好適である。その使用可能な具体的用途としては、ソックス、ストッキング、タイツ、丸編、トリコット、スキーズボン、作業服、煙火服、ゴルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋等の各種繊維製品、締め付け材料、さらには、紙おしめなどサニタリー品の漏れ防止用締め付け材料、防水資材の締め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどが挙げられる。

Claims (5)

  1. 数平均分子量が500以上5000以下であるポリエチレングリコール(A1)および数平均分子量が500以上5000以下である前記(A1)以外の高分子ジオール(A2)からなる混合ポリオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、ならびに、水、または、水および低分子ジオールからなる鎖伸長剤(C)から重合されたポリウレタンを含むポリウレタン弾性糸であって、前記ポリエチレングリコール(A1)および前記高分子ジオール(A2)の合計末端水酸基の、前記有機ジイソシアネート化合物(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)が5.5以下、かつ、前記ポリエチレングリコール(A1)の前記高分子ジオール(A2)に対する重量比が1/9〜5/5の範囲内であることを特徴とするポリウレタン弾性糸。
  2. 数平均分子量が500以上5000以下であるポリエチレングリコール(A1)および数平均分子量が500以上5000以下である前記(A1)以外の高分子ジオール(A2)を混合した混合ポリオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、ならびに、水、または、水および低分子ジオールからなる鎖伸長剤(C)を重合してポリウレタンを得て、該ポリウレタンを含むポリウレタン弾性糸を製造するにあたり、前記ポリエチレングリコール(A1)および前記高分子ジオール(A2)の合計末端水酸基の、前記有機ジイソシアネート化合物(B)の末端イソシアネート基に対する反応当量比(モル比)を5.5以下、かつ、前記ポリエチレングリコール(A1)の前記高分子ジオール(A2)に対する重量比を1/9〜5/5の範囲内とすることを特徴とするポリウレタン弾性糸の製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリウレタン弾性糸または請求項2に記載の製法で得られたポリウレタン弾性糸を使用してなることを特徴とする布帛。
  4. 請求項1に記載のポリウレタン弾性糸または請求項2に記載の製法で得られたポリウレタン弾性糸を使用してなることを特徴とする丸編み地。
  5. 請求項1に記載のポリウレタン弾性糸または請求項2に記載の製法で得られたポリウレタン弾性糸を使用してなることを特徴とするタイツ。
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