本発明の一実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図である。純水製造装置1は、例えば、原水である水道水から脱塩水を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置で製造された脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、純水製造装置において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、純水製造装置1は、活性炭濾過器2と、安全フィルタ3と、供給水貯留タンクとしての原水タンク4と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、逆浸透膜モジュールとしての第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12と、電気脱イオンスタックとしてのEDIスタック20と、制御部30と、報知部31と、入力操作部32と、直流電源装置33とを備える。
また、純水製造装置1は、原水補給弁61と、第1流路切換弁62と、第2流路切換弁63と、第3流路切換弁64と、脱塩水リターン弁65と、第1RO弁101〜第4RO弁104と、第1EDI弁201〜第6EDI弁206と、水位センサ41と、タンク内電気伝導率センサ42と、タンク内温度センサ43と、第1電気伝導率センサ51と、圧力センサ52と、第1流量センサ53と、第2流量センサ54と、第2電気伝導率センサ55と、第3流量センサ56と、第4流量センサ57と、第1原水圧力センサ581と、濃縮水圧力センサ582と、第2原水圧力センサ583と、第1濃縮水流量センサ591と、第2濃縮水流量センサ592と、第3濃縮水流量センサ593とを備える。
図1では、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、原水補給弁61、第1流路切換弁62、第2流路切換弁63、水位センサ41、タンク内電気伝導率センサ42、タンク内温度センサ43、第1電気伝導率センサ51、第2電気伝導率センサ55、圧力センサ52、第1流量センサ53、第2流量センサ54、第3流量センサ56、第4流量センサ57、第1原水圧力センサ581、濃縮水圧力センサ582、第2原水圧力センサ583と、第1濃縮水流量センサ591、第2濃縮水流量センサ592、及び第3濃縮水流量センサ593と電気的に接続される。また、本実施形態においては、第3流路切換弁64、脱塩水リターン弁65、第1RO弁101〜第4RO弁104、及び第1EDI弁201〜第6EDI弁206は、手動により開閉状態を切り換えたり、弁開度を調整したりすることが可能な弁である。
また、純水製造装置1は、原水ラインL1と、第1透過水ラインL2と、第2透過水ラインL3と、第1RO濃縮水リターンラインL5と、第1RO濃縮水排出ラインL41と、第2RO濃縮水リターンラインL6と、第2RO透過水リターンラインL7と、第2RO透過水排出ラインL42と、脱塩水ラインL8と、脱塩水リターンラインL9と、EDI濃縮水リターンラインL10と、EDI濃縮水排出ラインL43と、EDI電極水排出ラインL44と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1には、原水W1(供給水)が流通する。原水ラインL1は、原水W1を、第1RO膜モジュール11へ流通させるラインである。原水ラインL1は、第1原水ラインL11と、第2原水ラインL12と、を有する。
第1原水ラインL11は、原水W1の供給源(不図示)と原水タンク4とをつなぐラインである。第1原水ラインL11の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。また、第1原水ラインL11の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
第1原水ラインL11には、上流側から順に、原水補給弁61、第1原水圧力センサ581、活性炭濾過器2、安全フィルタ3、及び原水タンク4が設けられている。原水補給弁61は、第1原水ラインL11を開閉可能な弁である。原水補給弁61は、制御部30と電気的に接続されている。原水補給弁61の開閉動作は、制御部30からの流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分(主として遊離塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器2は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を有している。活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分を分解除去するほか、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして原水W1を浄化する。活性炭濾過器2は、後述するRO膜モジュールにおいて膜面の閉塞を引き起こす原因となる有機成分や懸濁物質を確実に除去するため、濾材床の高さHは、250mm≦H≦1000mmの範囲に設定されている。また、同様の理由にて、濾過操作における原水W1の空間速度SV(Space Velocity)は、50h−1≦SV≦60h−1の範囲に設定される。
安全フィルタ3は、活性炭濾過器2により濾過された原水W1に含まれる微粒子を除去するフィルタである。安全フィルタ3は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメントや糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。原水タンク4は、活性炭濾過器2及び安全フィルタ3を経て浄化された原水W1を供給水として貯留し、加圧ポンプ5へ原水W1を供給するタンクである。
ここで、活性炭濾過器2に供給する原水W1は、水道法第4条に基づく「水質基準に関する省令」(平成15年5月30日厚生労働省令第101号)で規定する水質基準を満足していることが望ましい。このような水質基準を満たす水道水は、有機物(TOC量)や濁度等が予め所定値以下に抑制されている。そのため、活性炭濾過器2及び安全フィルタ3を経て浄化された水道水は、有機成分や懸濁物質をほとんど含まず、RO膜モジュールにおいて膜面の閉塞を起こし難い。
第2原水ラインL12は、原水タンク4と第1RO膜モジュール11とをつなぐラインである。第2原水ラインL12の上流側の端部は、原水タンク4に接続されている。また、第2原水ラインL12の下流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側入口ポート(原水W1の入口)に接続されている。第2原水ラインL12は、供給水としての原水W1を第1RO膜モジュール11に流通させる。
第2原水ラインL12には、上流側から順に、加圧ポンプ5、第1RO弁101、第2原水圧力センサ583、及び第1RO膜モジュール11が設けられている。第1RO弁101は、第2原水ラインL12における加圧ポンプ5と第1RO膜モジュール11との間に設けられている。第1RO弁101は、第2原水ラインL12を流通する原水W1の流量を調整可能な弁である。
加圧ポンプ5は、第2原水ラインL12を流通する供給水としての原水W1を吸入し、第1RO膜モジュール11へ向けて吐出して圧送する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数(又は電圧)が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)、又は駆動電力の電圧(以下、「駆動電圧」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数(又は駆動電圧)の駆動電力を加圧ポンプ5に出力して加圧ポンプ5を駆動する。即ち、制御部30は、インバータ6から出力される駆動周波数又は駆動電圧を制御可能である。
加圧ポンプ5から吐出された供給水が直接供給される逆浸透膜モジュールとしての第1RO膜モジュール11は、加圧ポンプ5により圧送された原水W1を、溶存塩類が除去された第1透過水W2と、溶存塩類が濃縮された第1濃縮水W3と、に分離する。第1RO膜モジュール11は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜などが例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
循環ラインとしての第1RO濃縮水リターンラインL5は、第1RO膜モジュール11で分離された第1濃縮水W3の一部を原水タンク4へ流通させて返送するラインである。第1RO濃縮水リターンラインL5は、上流側第1RO濃縮水リターンラインL51と、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52と、を有する。
上流側第1RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側出口ポート(第1濃縮水W3の出口)に接続されている。上流側第1RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、分岐部J11において、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52及び第1RO濃縮水排出ラインL41に分岐されている。
下流側第1RO濃縮水リターンラインL52の上流側の端部は、分岐部J11に接続されている。下流側第1RO濃縮水リターンラインL52の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。下流側第1RO濃縮水リターンラインL52には、第2RO弁102が設けられている。第2RO弁102は、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52を流通する第1濃縮水W3の流量を調整可能な弁である。
第1RO濃縮水排出ラインL41は、第1RO膜モジュール11で分離された第1濃縮水W3の残部を、第1RO濃縮水リターンラインL5の途中から装置の外へ排出するように流通させるラインである。第1RO濃縮水排出ラインL41の上流側の端部は、分岐部J11に接続されている。第1RO濃縮水排出ラインL41の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。第1RO濃縮水排出ラインL41には、第3RO弁103が設けられている。第3RO弁103は、第1RO濃縮水排出ラインL41を介して装置の外へ排出される第1濃縮水W3の排水流量を調整可能な弁である。
第1透過水ラインL2は、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を第2RO膜モジュール12に流通させるラインである。第1透過水ラインL2の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の二次側ポート(第1透過水W2の出口)に接続されている。第1透過水ラインL2の下流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側入口ポート(第1透過水W2の入口)に接続されている。
第2RO膜モジュール12は、第1RO膜モジュール11で分離されて加圧ポンプ5により圧送された第1透過水W2を、第1透過水W2よりも溶存塩類が除去された第2透過水W4と、溶存塩類が濃縮された第2濃縮水W5と、に分離する。第2RO膜モジュール12は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。第1RO膜モジュール11においても、第2RO膜モジュール12と同様のRO膜エレメントを使用することができる。
循環ラインとしての第2RO濃縮水リターンラインL6は、第2RO膜モジュール12で分離された第2濃縮水W5を原水タンク4へ流通させて返送するラインである。第2RO濃縮水リターンラインL6の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側出口ポート(第2濃縮水W5の出口)に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6には、第4RO弁104が設けられている。第4RO弁104は、第2RO濃縮水リターンラインL6を流通する第2濃縮水W5の流量を調整可能な弁である。
第2透過水ラインL3は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4をEDIスタック20に流通させるラインである。第2透過水ラインL3は、前段側透過水ラインL31と、中段側透過水ラインL32と、脱塩室流入ラインL321と、濃縮室流入ラインL322と、電極室流入ラインL323と、を有する。
前段側透過水ラインL31の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の二次側ポート(第2透過水W4の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL31の下流側の端部は、第1流路切換弁62を介して、中段側透過水ラインL32及び第2RO透過水リターンラインL7に接続されている。
第1流路切換弁62は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、中段側透過水ラインL32を介してEDIスタック20へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、第2RO透過水リターンラインL7を介して第3流路切換弁64へ向けて流通させる流路(循環側流路及び排水側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁62は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁62は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁62における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2RO透過水リターンラインL7は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第1RO膜モジュール11の上流側の原水タンク4へ返送するラインである。第2RO透過水リターンラインL7は、上流側第2RO透過水リターンラインL71と、下流側第2RO透過水リターンラインL72と、を有する。
上流側第2RO透過水リターンラインL71の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。上流側第2RO透過水リターンラインL71の下流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。
第3流路切換弁64は、上流側第2RO透過水リターンラインL71を流通される第2透過水W4を、下流側第2RO透過水リターンラインL72を介して原水タンク4へ向けて流通させる流路(循環側流路)、又は、第2RO透過水排出ラインL42を介して装置の外へ向けて排出させるように流通させる流路(排水側流路)に切り換え可能な弁である。第3流路切換弁64は、手動により開閉状態を切り換え可能な弁である。
下流側第2RO透過水リターンラインL72の上流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。下流側第2RO透過水リターンラインL72の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
第2RO透過水排出ラインL42は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7に合流させて装置の外へ排出するように流通させるラインである。第2RO透過水排出ラインL42の上流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。第3流路切換弁64の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第2RO透過水排出ラインL42は、接続部J12において、第1RO濃縮水排出ラインL41に合流されている。接続部J12は、第1RO濃縮水排出ラインL41における第3RO弁103よりも下流側に配置されている。第2RO透過水排出ラインL42における接続部J12よりも下流側の部分は、第1RO濃縮水排出ラインL41における接続部J12よりも下流側の部分と共通する。
中段側透過水ラインL32の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。中段側透過水ラインL32の下流側の端部は、分岐部J4において、脱塩室流入ラインL321、濃縮室流入ラインL322及び電極室流入ラインL323に分岐されている。
脱塩室流入ラインL321、濃縮室流入ラインL322及び電極室流入ラインL323の下流側の端部は、EDIスタック20の一次側ポート(脱塩室21、濃縮室22及び電極室23の各入口側)に接続されている。
EDIスタック20は、第2RO膜モジュール12で第1透過水W2から分離された第2透過水W4を脱塩処理して、脱塩水W6と濃縮水W7と電極水W8とを得る水処理機器である。EDIスタック20は、直流電源装置33と電気的に接続されている。EDIスタック20には、直流電源装置33から直流電圧が入力される。EDIスタック20は、直流電源装置33から入力された直流電圧により、通電され、動作される。
直流電源装置33は、直流電圧をEDIスタック20の一対の電極間に印加する。直流電源装置33は、制御部30と電気的に接続されている。直流電源装置33は、制御部30により入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック20に出力する。
EDIスタック20は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック20の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23に区画される。脱塩室21には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室21に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂やイオン交換繊維等が用いられる。なお、図1では、EDIスタック20の内部に区画された複数の脱塩室21、濃縮室22、及び電極室23を模式的に示す。
脱塩室21の入口側には、第2透過水W4を流入させる脱塩室流入ラインL321が接続されている。脱塩室21の出口側には、脱塩室21においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL8が接続されている。濃縮室22の入口側には、第2透過水W4を流入させる濃縮室流入ラインL322が接続されている。濃縮室22の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水リターンラインL10が接続されている。電極室23の入口側には、第2透過水W4を流入させる電極室流入ラインL323が接続されている。電極室23の出口側には、電極水W8を流通させる電極水排出ラインL44が接続されている。
脱塩室流入ラインL321には、第1EDI弁201が設けられている。濃縮室流入ラインL322には、第2EDI弁202が設けられている。電極室流入ラインL323には、第3EDI弁202が設けられている。第1EDI弁201は、脱塩室流入ラインL321を流通する第2透過水W4の流量(即ち、脱塩室21を流通する脱塩水W6の流量)を調整可能な弁である。第2EDI弁202は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量(即ち、濃縮室22を流通する濃縮水W7の流量)を調整可能な弁である。第3EDI弁203は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量(即ち、電極室23を流通する電極水W8の流量)を調整可能な弁である。
脱塩室21、濃縮室22及び電極室23それぞれには、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4が流入される。第2透過水W4に含まれる残留イオンは、脱塩室21内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL8(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室21内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、付与された電気エネルギーにより濃縮室22に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮室22からEDI濃縮水リターンラインL10及びEDI濃縮水排出ラインL43(後述)を介して濃縮水W7として排出される。また、電極室23に流入された第2透過水W4は、電極室23からEDI電極水排出ラインL44を介して電極水W8として装置の外へ排出される。
脱塩水ラインL8は、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL8は、上流側脱塩水ラインL81と、下流側脱塩水ラインL82と、を有する。
上流側脱塩水ラインL81の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(脱塩室21の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL81の下流側の端部は、第2流路切換弁63を介して、下流側脱塩水ラインL82及び脱塩水リターンラインL9(後述)に接続されている。
第2流路切換弁63は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL82を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL9を介して原水タンク4に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第2流路切換弁63は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁63は、制御部30と電気的に接続されている。第2流路切換弁63における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁63は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL8から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL82の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。下流側脱塩水ラインL82の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8の途中から、第1RO膜モジュール11の上流側の原水タンク4へ返送するラインである。本実施形態においては、脱塩水リターンラインL9の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。脱塩水リターンラインL9の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を原水タンク4へ返送する。脱塩水リターンラインL9には、脱塩水リターン弁65が設けられている。
EDI濃縮水リターンラインL10は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、脱塩水リターンラインL9に合流させて原水タンク4に返送するラインである。EDI濃縮水リターンラインL10の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(濃縮室22の出口側)に接続されている。EDI濃縮水リターンラインL10の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
EDI濃縮水リターンラインL10は、接続部J13において、脱塩水リターンラインL9に合流されている。接続部J13は、脱塩水リターンラインL9における原水タンク4と脱塩水リターン弁65との間に配置されている。EDI濃縮水リターンラインL10における接続部J13よりも下流側の部分は、脱塩水リターンラインL9における接続部J13から原水タンク4までの部分と共通する。EDI濃縮水リターンラインL10における接続部J13よりも上流側には、第5EDI弁205が設けられている。
EDI濃縮水排出ラインL43は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、EDI濃縮水リターンラインL10の途中から装置の外に排出するように流通させるラインである。EDI濃縮水排出ラインL43の上流側の端部は、接続部J9に接続されている。接続部J9は、EDI濃縮水リターンラインL10における濃縮室22と第5EDI弁205と間に配置されている。EDI濃縮水排出ラインL43の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。EDI濃縮水排出ラインL43には、第6EDI弁206が設けられている。
電極水排出ラインL44は、EDIスタック20の電極室23から排出された電極水W8を装置の外に排出するように流通させるラインである。電極水排出ラインL44の上流側の端部は、EDIスタック20の電極室23に接続されている。電極水排出ラインL44は、接続部J10において、EDI濃縮水排出ラインL43に合流されている。接続部J10は、EDI濃縮水排出ラインL43における第6EDI弁206よりも下流側に配置されている。電極水排出ラインL44における接続部J10よりも下流側の部分は、EDI濃縮水排出ラインL43における接続部J10よりも下流側の部分と共通する。
水位センサ41は、原水タンク4に貯留される原水W1の水位を測定する機器である。水位センサ41は、原水タンク4の内部の下方側に配置されている。また、水位センサ41は、制御部30と電気的に接続されている。水位センサ41で測定された原水タンク4の水位は、制御部30へ検出信号として送信される。本実施形態においては、水位センサ41は、連続式レベルセンサであり、例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等が用いられる。図1では、水位センサ41として、原水タンク4の底部に近い外壁面に圧力式センサを設けた例を示す。なお、水位センサ41は、連続式レベルセンサには制限されず、例えば、レベルスイッチであってもよい。レベルスイッチは、予め設定された液面位置の検出器であり、例えば、複数の液面位置を検出するように構成されている。レベルスイッチとしては、例えば、フロート式や電極式のものが用いられる。
タンク内電気伝導率センサ42は、原水タンク4に貯留される原水W1の電気伝導率を測定する機器である。タンク内電気伝導率センサ42は、原水タンク4の内部の下方側に配置されている。
第1電気伝導率センサ51は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の電気伝導率を測定する機器である。第1電気伝導率センサ51は、接続部J1において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J1は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。第2電気伝導率センサ55は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサ55は、接続部J6において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J6は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第4EDI弁204との間に配置されている。
タンク内電気伝導率センサ42、第1電気伝導率センサ51及び第2電気伝導率センサ55は、制御部30と電気的に接続されている。タンク内電気伝導率センサ42で測定された原水W1の電気伝導率、第1電気伝導率センサ51で測定された第2透過水W4の電気伝導率及び第2電気伝導率センサ55で測定された脱塩水W6の電気伝導率は、制御部30へ検出信号として送信される。
タンク内温度センサ43は、原水タンク4に貯留された供給水としての原水W1の温度を測定する機器である。タンク内温度センサ43は、原水タンク4の下方側に配置されている。タンク内温度センサ43は、制御部30と電気的に接続されている。タンク内温度センサ43で測定された原水W1の温度は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサ53は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第1流量センサ53は、接続部J3において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J3は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。第2流量センサ54は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定する機器である。第2流量センサ54は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定することにより、脱塩室21を流通する水の流量を測定する。第2流量センサ54は、接続部J5において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J5は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第4EDI弁204との間に配置されている。
第3流量センサ56は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第3流量センサ56は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を測定することにより、濃縮室22を流通する水の流量を測定する。第3流量センサ56は、接続部J7において、濃縮室流入ラインL322に接続されている。接続部J7は、濃縮室流入ラインL322におけるEDIスタック20と第2EDI弁202との間に配置されている。第4流量センサ57は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第4流量センサ57は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を測定することにより、電極室23を流通する水の流量を測定する。第4流量センサ57は、接続部J8において、電極室流入ラインL323に接続されている。接続部J8は、電極室流入ラインL323におけるEDIスタック20の電極室23と第3EDI弁203との間に配置されている。
第1濃縮水流量センサ591は、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52を流通する第1濃縮水W3の流量を測定する機器である。第1濃縮水流量センサ591は、接続部J22において、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52に接続されている。接続部J22は、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52における第2RO弁102と、原水タンク4との間に配置されている。第2濃縮水流量センサ592は、第1RO濃縮水排出ラインL41を流通する第1濃縮水W3の流量を測定する機器である。第2濃縮水流量センサ592は、接続部J23において、第1RO濃縮水排出ラインL41に接続されている。接続部J23は、第1RO濃縮水排出ラインL41における第3RO弁103と、接続部J12との間に配置されている。第3濃縮水流量センサ593は、第2RO濃縮水リターンラインL6を流通する第2濃縮水W5の流量を測定する機器である。第3濃縮水流量センサ593は、接続部J24において、第2RO濃縮水リターンラインL6に接続されている。接続部J24は、第2RO濃縮水リターンラインL6における第4RO弁104と、第2RO膜モジュール12との間に配置されている。
第1流量センサ53、第2流量センサ54、第3流量センサ56、第4流量センサ57、第1濃縮水流量センサ591、第2濃縮水流量センサ592、及び第3濃縮水流量センサ593は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサ53で測定された第2透過水W4の流量、第2流量センサ54で測定された脱塩水W6の流量、第3流量センサ56で測定された第2透過水W4の流量、第4流量センサ57で測定された第2透過水W4の流量、第1濃縮水流量センサ591で測定された第1濃縮水W3の返送流量、第2濃縮水流量センサ592で測定された第1濃縮水W3の排出流量、及び第3濃縮水流量センサ593で測定された第2濃縮水W5の返送流量は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力センサ52は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力を測定する機器である。圧力センサ52は、接続部J2において、第2透過水ラインL3に接続されている。圧力センサ52は、制御部30と電気的に接続されている。接続部J2は、第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。圧力センサ52で測定された第2透過水W4の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1原水圧力センサ581は、第1原水ラインL11を流通する原水W1の圧力を測定する機器である。第1原水圧力センサ581は、接続部J21において、第1原水ラインL11に接続されている。第1原水圧力センサ581は、制御部30と電気的に接続されている。接続部J21は、原水補給弁61と活性炭濾過器2との間に配置されている。第1原水圧力センサ581で測定された原水W1の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
濃縮水圧力センサ582は、上流側第1RO濃縮水リターンラインL51を流通する第1濃縮水W3の圧力を測定する機器である。濃縮水圧力センサ582は、接続部J25において、上流側第1RO濃縮水リターンラインL51に接続されている。濃縮水圧力センサ582は、制御部30と電気的に接続されている。接続部J25は、第1RO膜モジュール11と分岐部J11との間に配置されている。濃縮水圧力センサ582で測定された第1濃縮水W3の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
第2原水圧力センサ583は、第2原水ラインL12を流通する原水W1の圧力を測定する機器である。接続部J27において、第2原水ラインL12に接続されている。第2原水圧力センサ583は、制御部30と電気的に接続されている。接続部J27は、第1RO弁101と第1RO膜モジュール11との間に配置されている。第2原水圧力センサ583で測定された原水W1の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
報知部31は、所定の警報を報知する。報知部31は、制御部30に電気的に接続されている。報知は、例えば、表示、音声、発光などのうちの一つ以上である。つまり、報知部31は、表示器(液晶ディスプレイ等)、ブザーやスピーカー、ランプなどのうちの一つ以上から構成される。
入力操作部32は、装置の運転モードに係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除など)や、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザーや管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部32は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネルや、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部32は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部32から入力された情報は、制御部30に送信される。
制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するための各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサのメモリには、例えば、第2透過水W4及び脱塩水W6の電気伝導率の閾値や、EDIスタック20から排出される脱塩水W6、濃縮水W7及び電極水W8の流量の閾値に関するデータ等が記憶される。
制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、タッチパネルにおける表示等の各種の制御を実行する。また、制御部30において、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニットが組み込まれている。
次に、本実施形態に係る純水製造装置1の運転時の流量設定について説明する。先ず、加圧ポンプ5から吐出された原水W1が直接供給される逆浸透膜モジュール、即ち第1RO膜モジュール11について、当該第1RO膜モジュール11により分離された第1透過水W2の流量に対する第1濃縮水W3の流量の比率を、第1RO膜モジュール11における循環比R1と定義する。
なお、原水W1が直接供給される逆浸透膜モジュールは、複数のモジュールで構成されていてもよい。即ち、モジュールの一次側(原水W1及び第1濃縮水W3の流通側)が直列接続され、且つモジュールの二次側(第1透過水の流通側)が並列接続された複数のモジュールから構成されていてもよい。この場合、一次側膜表面での流速が最も低くなる最下流のモジュールから流出する第1透過水W2と第1濃縮水W3の各流量を用いて、原水W1が直接供給される逆浸透膜モジュールの循環比R1を定義する。
続いて、循環比R1が2≦R1≦3の範囲となるように、原水W1(供給水)の流量、第1透過水W2の流量、及び第1濃縮水W3の流量が設定される。具体的には、第1流量センサ53、第1濃縮水流量センサ591、第2濃縮水流量センサ592、及び第3濃縮水流量センサ593による流量の検出に基づいて、第1RO弁101、第2RO弁102、第3RO弁103、及び第4RO弁104が調整されると共に、加圧ポンプ5の回転速度が調整されることにより、各流量が設定される。
例えば、この設定により、第1RO膜モジュール11に吐出される原水W1の流量が3.2m3/hとされる。また、第1RO膜モジュール11により分離されて、第2RO膜モジュール12に流通される第1透過水W2の流量が1.0m3/hとされる。更に、第1RO膜モジュール11により分離された第1濃縮水W3の流量が2.2m3/hとされる。この設定例では、第1RO膜モジュール11における循環比R1は、2.2/1.0=2.2である。
上述した本実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。純水製造装置1では、加圧ポンプ5から吐出された原水W1(供給水)が直接供給される第1RO膜モジュール11により分離された第1透過水W2の流量に対する第1濃縮水W3の流量の比率を、第1RO膜モジュール11における循環比R1と定義する。そして、比率R1が2≦R1≦3となるように、原水W1(供給水)の流量、第1透過水W2の流量、及び第1濃縮水W3の流量が設定される。このため、循環比R1を低減して加圧ポンプ5を駆動させることにより、加圧ポンプ5の駆動電力を抑制することができる。この結果、加圧ポンプ5駆動時の省エネを図ることができる。
また、原水W1は、有機物(TOC量)や濁度等が予め所定値以下に抑制された水道水である。活性炭濾過器2及び安全フィルタ3を経て浄化された水道水は、有機成分や懸濁物質をほとんど含まず、第1RO膜モジュール11において膜面の閉塞を起こし難い。このため、循環比R1を更に低減して加圧ポンプ5を駆動させることが可能になり、加圧ポンプ5の駆動電力をより抑制することができる。
また、活性炭濾過器2において、濾材床の高さHは、250mm≦H≦1000mmの範囲に設定され、且つ、原水W1を濾過する際の原水W1の空間速度SVは、50h−1≦SV≦60h−1の範囲に設定される。このため、第1RO膜モジュール11において膜面の閉塞を引き起こす原因となる有機成分や懸濁物質を確実に除去することができる。
また、純水製造装置1は、安全フィルタ3からの原水W1(供給水)を貯留し、加圧ポンプ5へ原水W1を供給する原水タンク4と、循環ラインとしての第1RO濃縮水リターンラインL5及び第2RO濃縮水リターンラインL6を備える。活性炭濾過器2及び安全フィルタ3を経た原水W1は、原水タンク4に受水されることにより、大気圧まで減圧される。一方、第1RO膜モジュール11から流出する第1濃縮水W3の圧力及び第2RO膜モジュール12から流出する第2濃縮水W5の圧力は、原水タンク4に貯留された原水W1の圧力よりも高い。このため、各濃縮水リターンラインL5、L6を原水タンク4に接続するだけで、クロスフローに必要な第1濃縮水W3及び第2濃縮水W5の循環を行わせることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、原水W1(供給水)の流量、第1透過水W2の流量、及び第1濃縮水W3の流量の値は、上述の実施形態における流量の値に限定されない。即ち、循環比R1が2≦R1≦3の範囲となるように、各流量が設定されればよい。
また、実施形態においては、原水W1(供給水)の流量、第1透過水W2の流量、及び第1濃縮水W3の流量を同時に設定する場合について説明したが、これに限定されない。即ち、これら3つの流量全てが設定されなくてもよく、原水W1(供給水)の流量、第1透過水W2の流量、及び第1濃縮水W3の流量のうちの少なくとも一つが設定されればよい。
また、実施形態においては、純水製造装置1は、前段の透過水が後段の供給水となるように、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12が直列に2段で配置された構成とされたが、これに制限されない。例えば、純水製造装置1は、逆浸透膜モジュールが直列に3段以上接続された構成とされてもよい。