JP6069654B2 - 被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置 - Google Patents
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ここで、チャンバ内のプラズマを被処理基板に集束させて、効率よくエッチング処理等を施すために、静電チャック上には、被処理基板を囲むようにフォーカスリングが取り付けられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
図1に示すように、フォーカスリング1’は、プラズマ処理が施される被処理基板Sが載置される静電チャック2上に取り付けられる。具体的には、静電チャック本体21の被処理基板Sが載置される部位(上方に突出した部位)211を囲むように、静電チャック2上に取り付けられる(載置される)。従来は、フォーカスリング1’の下面のうち、静電チャック2と対向する下面1A’全体が、静電チャック2と接触している。
一方、フォーカスリング1’の上面は、被処理基板Sに集束されなかったプラズマ中のイオンが衝突することによって昇温する。従って、フォーカスリング1’の上下面には温度差が生じ、この温度差が顕著になると、熱応力によってフォーカスリング1’に割れが生じるという問題がある。
本発明に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台は、フォーカスリングの下面と該下面に対向する静電チャック本体の上面との間に上記空隙が設けられている。空隙中の空気又は真空の比誘電率は、フォーカスリングの比誘電率よりも小さいため、フォーカスリングの静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量は、従来のように空隙が無い、すなわちフォーカスリングの下面と該下面に対向する静電チャック本体の上面とが接触している場合の静電容量(フォーカスリング単体の静電容量)よりも小さくなる。従い、従来に比べて、フォーカスリング(空隙を含む)のリアクタンスが大きくなり、電流が流れにくくなるために、プラズマ中のイオンが被処理基板に向けて集束し易くなる。この結果、エッチングレートの向上等を図ることが可能である。
上記の好ましい構成によれば、空隙が静電チャック本体に設けられた冷却水路の上方に位置するように設けられるので、フォーカスリングの割れの発生を抑制可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、前記フォーカスリングの静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であり、前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、前記被処理基板がSiO 2 ウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiO 2 であり、前記被処理基板がSiCウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiCであることを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台としても提供される。
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、前記被処理基板のプラズマ処理用載置台をを具備することを特徴とするプラズマ処理装置としても提供される。
図2は、本発明の一実施形態に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台を概略的に示す図である。図2(a)は平面図を、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図を、図2(c)は図2(b)の破線で囲った領域Bの拡大図を示す。
図2に示すように、本実施形態に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台(以下、適宜、載置台と略称する)100は、プラズマ処理が施される被処理基板Sが載置される平面視円形の静電チャック2と、静電チャック2上に取り付けられたフォーカスリング1とを備えている。
以上のように、本実施形態に係る載置台100は、被処理基板Sの下方において昇降するリフトピン7や昇降手段6を備えるため、被処理基板Sの下方に位置する静電チャック本体21の部位211に冷却水路23を設け難い。このため、被処理基板Sの下方ではなく、フォーカスリング1の下方に位置する静電チャック本体21の部位に冷却水路23が設けられている。
例えば、被処理基板SがSiウェハ(比誘電率:11.8)である場合、フォーカスリング1は、Al2O3(比誘電率:9.7)やY2O3(比誘電率:11.0)から形成されることが好ましい。
以下の条件A−1で被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(より具体的には、被処理版Sの静電容量と、誘電層22のセラミック層の静電容量と、誘電層22の接着層の静電容量との合成静電容量)を計算すると、約4.2×10 −10 Fとなる。
なお、静電容量は、各要素(被処理基板S等)の面積×比誘電率×真空の誘電率/厚み(深さ)によって計算した。また、静電容量がC1、C2である2つの要素の合成静電容量Cは、1/C=1/C1+1/C2によって計算した。さらに、静電容量がC1、C2、C3である3つの要素の合成静電容量Cは、1/C=1/C1+1/C2+1/C3によって計算した。以下に示す全ての計算結果について同様である。
<条件A−1>
(1)被処理基板S:Siウェハ(比誘電率11.8)、直径150mm、厚み0.63mm
(2)誘電層22のセラミック層:アルミナセラミック層(比誘電率9.0)、直径150mm、厚み2.56mm
(3)誘電層22の接着層:比誘電率3.1、直径150mm、厚み0.12mm
一方、以下の条件A−2でフォーカスリング(ここでは、後述する座繰り部11が設けられていないフォーカスリング1’を仮定する)の静電容量を計算すると、約5.2×10−10Fとなり、以下の条件A−3でフォーカスリングの静電容量を計算すると、約5.8×10−10Fとなり、どちらの条件であっても上記条件A−1で計算した合成静電容量以上となる。しかしながら、後述する座繰り部11を設けると、上記条件A−1で計算した合成静電容量以下にすることが可能である。
<条件A−2>
フォーカスリング:Al2O3(比誘電率:9.7)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
<条件A−3>
フォーカスリング:Y2O3(比誘電率:11.0)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
以下の条件B−1で被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.2×10 −10 Fとなる。
<条件B−1>
(1)被処理基板S:SiO2ウェハ(比誘電率3.8)、直径150mm、厚み0.63mm
(2)誘電層22のセラミック層:アルミナセラミック層(比誘電率9.0)、直径150mm、厚み2.56mm
(3)誘電層22の接着層:比誘電率3.1、直径150mm、厚み0.12mm
一方、以下の条件B−2でフォーカスリング(ここでは、後述する座繰り部11が設けられていないフォーカスリング1’を仮定する)の静電容量を計算すると、約2.0×10−10Fとなり、上記条件B−1で計算した合成静電容量以下となる。後述する座繰り部11を設けても、上記条件B−1で計算した合成静電容量以下となる。
<条件B−2>
フォーカスリング:SiO2(比誘電率:3.8)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
以下の条件C−1で被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.8×10 −10 Fとなる。
<条件C−1>
(1)被処理基板S:SiCウェハ(比誘電率6.7)、直径150mm、厚み0.63mm
(2)誘電層22のセラミック層:アルミナセラミック層(比誘電率9.0)、直径150mm、厚み2.56mm
(3)誘電層22の接着層:比誘電率3.1、直径150mm、厚み0.12mm
一方、以下の条件C−2でフォーカスリング(ここでは、後述する座繰り部11が設けられていないフォーカスリング1’を仮定する)の静電容量を計算すると、約3.6×10−10Fとなり、上記条件C−1で計算した合成静電容量以下となる。後述する座繰り部11を設けても、上記条件C−1で計算した合成静電容量以下となる。
<条件C−2>
フォーカスリング:SiC(比誘電率:6.7)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
プラズマ中のイオンは、静電容量の高い金属製の静電チャック本体21に向けて移動するが、静電チャック本体21より手前(図2の上方)に存在するフォーカスリング1の静電容量が、同じく静電チャック本体21より手前に存在する誘電層22の静電容量と被処理基板Sの静電容量との合成静電容量以下である場合には、プラズマ中のイオンは、被処理基板Sに向けて集束し易くなる。
フォーカスリング1に座繰り部11が設けられることにより、フォーカスリング1の下面1Aと下面1Aに対向する静電チャック本体21の上面との間に空隙が設けられる。空隙中の空気又は真空の比誘電率は、フォーカスリング1の比誘電率よりも小さいため、フォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量は、従来のように空隙が無い、すなわち図1に示すようにフォーカスリング1’の下面と該下面に対向する静電チャック本体21の上面とが接触している場合の静電容量(フォーカスリング1’単体の静電容量)よりも小さくなる。従い、従来のフォーカスリング1’に比べて、フォーカスリング1(空隙を含む)のリアクタンスが大きくなり、電流が流れにくくなるために、プラズマ中のイオンが被処理基板Sに向けて集束し易くなる。この結果、エッチングレートの向上等を図ることが可能である。
なお、座繰り部11の深さDは、特に限定されるものではないが、例えば0.5mm程度とされる。
前述した条件A−3のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.2×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約5.8×10−10F)よりも小さくなる。この条件A−3のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約3.2×10 −10 F)は、条件A−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約4.2×10 −10 F)以下となる。
前述した条件B−2のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約1.6×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約2.0×10−10F)よりも小さくなる。この条件B−2のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約1.6×10 −10 F)は、条件B−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約3.2×10 −10 F)以下となる。
前述した条件C−2のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約2.4×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約3.6×10−10F)よりも小さくなる。この条件C−2のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約2.4×10 −10 F)は、条件C−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約3.8×10 −10 F)以下となる。
エッチング処理後の被処理基板Sの表面を顕微鏡で観察したところ、従来のフォーカスリング1’を取り付けたプラズマ処理装置の場合には、被処理基板Sの表面に約20個/cm2のパーティクルが付着していた。これは、プラズマ中のイオンがフォーカスリング1’にも衝突することで、フォーカスリング1’から飛来したパーティクルが被処理基板Sの表面に付着したものと考えられる。
一方、本実施形態に係るフォーカスリング1を取り付けた場合には、被処理基板Sの表面にはパーティクルが付着していなかった。この試験結果からも、本実施形態に係るフォーカスリング1によれば、従来のフォーカスリング1’に比べて、プラズマ中のイオンが被処理基板Sに向けてより一層集束し易くなることがわかる。
前述のように、本実施形態に係るフォーカスリング1は、静電チャック本体21と対向する下面1Aに座繰り部11が設けられているため、真空断熱により、静電チャック2によってフォーカスリング1の下面1Aが過度に冷却されることがない。また、フォーカスリング1の内側面も静電チャック2に接触していないため、フォーカスリング1の内側面が過度に冷却されることもない。このため、本実施形態のフォーカスリング1の上下面には過度に温度差が生じることなく、また、内側面と外側面とで過度に温度差が生じることもなく、熱応力による割れの発生が抑制可能である。
1A・・・フォーカスリングの静電チャック本体と対向する下面
2・・・静電チャック
11・・・座繰り部
21・・・静電チャック本体
22・・・誘電層
23・・・冷却水路
100・・・被処理基板のプラズマ処理用載置台
211・・・静電チャック本体の被処理基板が載置される部位
S・・・被処理基板
Claims (6)
- プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、
前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、
前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、
前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、
前記フォーカスリングの静電容量と前記空隙の静電容量との合成静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であることを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台。 - 前記フォーカスリングの前記静電チャック本体と対向する下面に座繰り部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台。
- 前記空隙は、前記静電チャック本体に設けられた冷却水路の上方に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台。
- 前記フォーカスリングは、前記静電チャックの径方向外側に配置された環状の絶縁部材によって支持されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台。
- プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、
前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、
前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、
前記フォーカスリングの静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であり、
前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、
前記被処理基板がSiO 2 ウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiO 2 であり、
前記被処理基板がSiCウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiCであることを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台。 - 請求項1から5の何れかに記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台を具備することを特徴とするプラズマ処理装置。
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