JP6068749B2 - チタン酸バリウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子粉体およびそれらの製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子粉体およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はナノオーダのチタン酸バリウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子粉体およびそれらを製造する方法に関する。
チタン酸バリウム微粒子(BaTiO)は、正方晶の結晶型で、高い比誘電率を有する高誘電体であることから様々な技術分野において利用されている。工業的にチタン酸バリウム微粒子が利用される場合、粒子径がなるべく小さく、粒度分布の幅が狭く均一であり分散性の良好なナノオーダのチタン酸バリウム微粒子が必要とされている。例えば、積層セラミックコンデンサの誘電材料として使用される場合には、電極に挟まれる誘電体層の高密度充填および薄層化が可能となる。
従来、チタン酸バリウム微粒子の合成法は代表的なものとして固体内あるいは固体と固体とを反応させる固相法がある。しかし、固相法において合成されたチタン酸バリウムは、ナノオーダの微粒子ではなく、不均一である。また、反応時において高温での加熱が必要となる。
もう一つは液相法であり、液相法はゾルゲル法と水熱法に分けられる。ゾルゲル法は出発物質としてアルコキシドを用いることが多く、アルコキシドは高価であるためチタン酸バリウム微粒子が高コストとなることから研究目的に限られている。水熱法は、高圧下において、水の温度を100℃以上に上昇させて、その水熱を利用して合成を行う方法である。水熱法は、固相法よりも微粒子で良好な結晶を得ることができるが、高圧を条件とすることから、例えば圧力釜(オートクレーブ)のような高温高圧設備が必要である。
ところで、チタン酸バリウム微粒子の合成反応において、液相法あるいは水熱法の反応系に有機化合物が加えられた種々の方法が以下に示すように提案されている。この有機化合物は、粒子径を制御することができ、粒子形態が均一で分散性に優れたチタン酸バリウム微粒子を得ることが目的であり、理由は定かではないが、チタン酸バリウムの粒子表面が有機化合物によって被覆されることで、粒子形態が整えられ、チタン酸バリウム微粒子が得られる。
特許文献1及び2には、酢酸に酢酸バリウムが溶解された後、ポリビニルピロリドンが加えられたバリウム化合物水溶液とn−ヘプタンにチタンイソプロポキシドが溶解されたチタン化合物水溶液との混合溶液を、−20℃で30分間冷却し撹拌した後、60℃で48時間さらに撹拌することによりチタン酸バリウム微粒子を合成する方法が提案されている。特許文献3には、バリウム塩水溶液を有機化合物としてカルボン酸塩を含む水酸化チタンコロイドに添加した後、70℃で2時間熟成したのち、100〜350℃で16時間水熱処理を行うことによりチタン酸バリウムを合成する方法が提案されている。特許文献4には、バリウム塩水溶液、チタン塩水溶液、pH調製剤として水酸化ナトリウム溶液及び有機化合物としてオレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、n−ヘキサンナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、クエン酸一水和物、ポリカルボン酸ナトリウム塩のいずれかを混合し、300〜400℃の高温、数十MPa高圧下のオートクレーブ中で30分間、水熱処理することによりチタン酸バリウムを合成する方法が提案されている。
また、特許文献5には、チタン酸バリウムの合成に限るものではないが、一次粒径の揃った均一かつ均質な金属酸化物を得る方法としてキャビテーション現象を利用する方法が提案されている。これは、エタノール等の溶媒に金属錯体、ラジカル源としての反応促進剤、OH源としての水酸化ナトリウムを撹拌、溶解させたものに常圧の空気下において、3W/cmの超音波を20分間照射することで、反応系にキャビテーション現象を誘起させる方法である。
特開2009−58840号公報 特開2012−155346号公報 特開2002−211926号公報 特開2010−30861号公報 特開2001−253711号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の方法では、合成されるチタン酸バリウムは非晶質であることから、チタン酸バリウムの単一相を得るには600℃以上の高温で更に焼成することが必要であった。また、反応溶媒として、有機溶媒が使用されているため、環境衛生上や安全性の面で問題があった。
また、上記特許文献3に記載の方法では、加熱温度が100〜350℃と高温である上に16時間もの反応時間を必要とするものである。従って、水熱合成を行うための高温高圧設備が必要となる問題があった。
また、上記特許文献4に記載の方法では、合成されるチタン酸バリウム微粒子は、その表面に反応に用いられた有機化合物が炭素量で0.10wt%以上付着していた。また、合成反応には数十Mpaの高圧条件下で加熱温度が300〜400℃と高温である必要がある。従って、水熱合成を行うための高温高圧設備が必要となる問題があった。
また、上記特許文献5に記載の方法では、キャビテーション現象を誘起するための特殊設備、例えば、超音波照射設備、高速回転スクリューを回転させる設備等が必要となる問題があった。
このように、従来において提案されているチタン酸バリウム微粒子の合成方法は、いずれも球状の粒子形状を有し分散性の良好なナノオーダのチタン酸バリウム微粒子を、環境への負荷が小さく、高温高圧設備などを必要とせず、合成することができるものではなかった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その第1の目的とするところは、スラリーや厚膜ペーストにした際に分散性、流動性の高い球状の粒子形状を有するチタン酸バリウム微粒子を提供すること、第2の目的とするところは、環境への負荷が小さく、高温高圧設備などを必要としないチタン酸バリウム微粒子の製造方法を提供することにある。
すなわち、請求項1に係る発明の要旨とするところは、球状の粒子形状を有し、平均粒子径が50から300nm、その粒子径の変動係数が25%以下であり、ポリプロピレングリコールによって包まれていることを特徴とするチタン酸バリウム微粒子にある。
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、チタンイオンとバリウムイオンとを含む水溶液に反応剤を加えて、90から120℃の温度で加熱することにより前記請求項1に記載のチタン酸バリウム微粒子を合成するに際し、前記チタンイオンとバリウムイオンとを含む水溶液にポリプロピレングリコールが含まれることを特徴とするチタン酸バリウム微粒子の製造方法にある。
また、請求項に係る発明の要旨とするところは、前記請求項2に記載のチタン酸バリウム微粒子の製造方法で得られたチタン酸バリウム微粒子を、加熱焼成することにより前記ポリプロピレングリコールが焼失されたチタン酸バリウム微粒子粉体の製造方法にある。
請求項1に係るチタン酸バリウム微粒子によれば、チタン酸バリウムがポリプロピレングリコールに包まれて反応するため、平均粒子径が50から300nmと小さく、その粒子径の変動係数がたとえば15%程度と低くなって均一で球状の粒子形状を有する。このように、平均粒子径が小さく均一で球状の粒子形状を有し、しかも上記ポリプロピレングリコールに包まれていることから、スラリーや厚膜ペーストにした際に、一層良好な分散性、流動性を有する。
請求項2に係るチタン酸バリウム微粒子の製造方法によれば、チタンイオンとバリウムイオンとに加えてポリプロピレングリコールが含まれる水溶液に反応剤が加えられ、90から120℃の温度で加熱される方法であるため、水系反応においてチタン酸バリウムが上記ポリプロピレングリコールに包まれて反応されることから、環境への負荷が小さく、粒子径が小さく均一であって球状の粒子形状を有する前記請求項1に係るチタン酸バリウム微粒子を製造する方法を提供することができる。
請求項に係るチタン酸バリウム微粒子粉体の製造方法によれば、前記請求項2に係るチタン酸バリウム微粒子の製造方法で得られたチタン酸バリウム微粒子が加熱焼成され、前記ポリプロピレングリコールが焼失させられているため、それにより得られるチタン酸バリウム微粒子粉体はその粒子径の変動係数が小さいため良好な再分散性を有するとともに焼成によって正方晶の結晶型をとることから、高誘電体の材料として積層セラミックコンデンサなどに利用される。
ここで、チタンイオンおよびバリウムイオンが含まれる反応液中においてチタン酸バリウム微粒子を合成するに際し、チタンイオンとバリウムイオンとが反応する二成分系においては、チタンイオンのみが酸化物になりやすく成長速度が早いため、合成されるチタン酸バリウム微粒子は平均粒子径が大きく、不均一なものしか製造することが困難であるという問題があったところ、ポリプロピレングリコールが反応液に含まれていると、粒子径が小さく均一であって、さらに粒子形状が球状のチタン酸バリウム微粒子が合成される。このことは、チタンイオン源とバリウムイオン源とを含む反応液に上記ポリプロピレングリコールが含まれると、チタン酸バリウムは上記ポリプロピレングリコールによって包みこまれ、チタンイオンが優勢に酸化し成長することが防がれることに起因すると考えられる。
また、前記製造方法によって得られたチタン酸バリウム微粒子は、たとえば、平均粒子径が50から300nmと小さく、粒子径の変動係数は25%以下と均一であり、粒子形状が球状であるのに加えて、前記ポリエーテル系高分子であるポリプロピレングリコールに包まれているため、上記チタン酸バリウム微粒子は分散媒中において良好な分散性を有する。
また、前記チタン酸バリウム微粒子粉体は、上記製造方法で得られたチタン酸バリウム微粒子が800から1000℃程度の温度で焼成されることにより、製造に用いられた上記ポリプロピレングリコールが焼失され、必要であれば焼成の後に粉砕工程および篩工程を経て得られる。このようにして得られるチタン酸バリウム微粒子粉体はその結晶型は高誘電体特性を示す正方晶であり、粒子径の変動係数が小さく分散媒に良好に再分散することから、積層セラミックコンデンサに利用される。
本発明の一実施例であるチタン酸バリウム微粒子の製造工程を説明する工程図である。 図1の工程で得られたチタン酸バリウム微粒子のSEM写真である。 図1の工程で得られたチタン酸バリウム微粒子粉体のX線回折パターンを示す図である。
以下、チタン酸バリウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子粉体の製造方法の一例について図1を用いて説明する。
図1において、溶解工程P1では、水と適量のチタンイオン源と適量のバリウムイオン源とを混合し、溶解することによりチタンイオンとバリウムイオンとを含む水溶液を作成する。上記チタンイオン源及びバリウムイオン源は、水溶性化合物であればよく、例えば、バリウムイオン源としては、塩化バリウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、チタンイオン源としては、四塩化チタンなどが挙げられる。また、それ等チタンイオン源及びバリウムイオン源を溶解する順番はいずれでもよく、たとえば、バリウムイオン源を溶解させた後に、チタンイオン源を溶解させても良いし、同時に溶解させても良い。また、溶解工程P1において、上記イオン源を溶解させる際に、加熱しても良いが、常温で溶解可能ならば加熱せずとも良い。
撹拌工程P2では、溶解工程P1において得られたチタンイオンとバリウムイオンとを含む水溶液にポリエーテル系高分子、ビニルアルコール重合体、ポリアクリルアミドのうち1つ以上の高分子を加え、撹拌しながら上記高分子を溶解させる。上記高分子は、上記チタンイオン源およびバリウムイオン源の溶解後に溶解されなければならないものではなく、例えば、予め上記高分子とバリウムイオン源が溶解された水溶液が、チタンイオン源が溶解された水溶液に加えられても良い。また、撹拌の回転速度は、上記高分子が溶解すれば良く、その速度については問わない。また、上記高分子を溶解させる際に、加熱しても良いが、常温で溶解可能ならば加熱せずとも良い。
反応工程P3では、撹拌工程P2後の水溶液に反応剤として機能するpH調整剤が加えられ、加熱されながら撹拌されると反応が進行し、前記高分子によって包まれてチタン酸バリウム微粒子が合成される。ここで、pH調整剤は、水溶液を一定のpH値以上、例えばpH8.5以上、のアルカリ性とするものであれば良く、例えば水酸化カリウム(KOH)溶液などが挙げられる。また、反応工程P3の加熱温度は、90から120℃の範囲内に維持される。これよりも加熱温度が低いと結晶ができず、逆に、これよりも加熱温度が高いと単一の結晶とならず異相が混在する場合がある。なお、加熱温度が100℃程度以下である場合には、反応工程P3も開放系(1気圧)で行われる。また、反応工程P3の撹拌の回転速度は、反応が進む速度であればよく、例えば、500〜800rpmが挙げられる。また、反応時間は、チタン酸バリウム微粒子の合成が終了する時間であれば良く、例えば、30分間から2時間の反応時間で所望のチタン酸バリウム微粒子が合成される。反応終了後、反応液は水冷され、遠心分離により不要な反応液が分離され、前記高分子が付着したチタン酸バリウム微粒子が回収される。
混合工程P4では、反応工程P3で合成され回収されたチタン酸バリウム微粒子が樹脂と溶剤によって分散され、チタン酸バリウムスラリー、チタン酸バリウム厚膜ペーストが得られる。チタン酸バリウムスラリー、チタン酸バリウム厚膜ペーストは上記チタン酸バリウム微粒子が前記高分子によって包まれているため高い分散性、流動性を有し、誘電体層を成膜する材料となる。
焼成工程P5では、反応工程P3で合成され回収されたチタン酸バリウム微粒子が、800〜1000℃で焼成されることで、チタン酸バリウム微粒子を包む前記高分子が焼失し、必要に応じて粉砕工程および篩工程を経ることでチタン酸バリウム微粒子粉体が得られる。このチタン酸バリウム微粒子粉体は、焼成によって立方晶から相変換された正方晶の結晶型を有しているので高誘電率を有している。また、このチタン酸バリウム微粒子粉体は、球状の粒子形状を有し、粒子径の変動係数が小さいことから分散媒中への良好な再分散性を有するとともに、高密度充填により緻密な薄層を構成することができる。
以下、本発明者が行った実験例について、表1の実施例1〜5及び比較例1〜6に基づき詳細に説明する。
表1に記載の実施例1〜5及び比較例1〜6に記載の各反応条件を満たすように、加熱温度および高分子の種類を種々変更して図1の工程に従ってチタン酸バリウム微粒子を合成した。なお、表1の反応条件におけるチタンイオン濃度、バリウムイオン濃度、高分子濃度およびpH調整剤(濃度)は、反応工程P3において反応剤として機能する水酸化カリウム溶液が撹拌工程P2後の水溶液に加えられた反応液中におけるそれぞれの濃度である。すなわち、まず、溶解工程P1および撹拌工程P2において、0.1mol/lの四塩化チタン水溶液100mlと予めポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールおよびポリアクリルアミド(比較例4においては分子量100000g/molのフェノール樹脂、比較例5においては分子量8000g/molのポリエチレン、比較例6においては液体ワックス(パラフィン))を添加した0.1mol/lの塩化バリウム水溶液100mlとを混合した。なお、比較例1においては、0.1mol/lの四塩化チタン水溶液100mlと高分子を含まない0.1mol/lの塩化バリウム水溶液100mlとを混合した。次に、反応工程P3において、上記混合溶液に、2mol/lの水酸化カリウム溶液200mlを徐々に撹拌しながら添加後、得られた反応液の加熱を開始した。加熱温度は70〜140℃に維持され、撹拌の回転速度は500〜800rpm、開放系(1気圧)で合成反応を行った。加熱時間は、2時間とした。合成反応の終了後、反応溶液を水冷し、遠心分離を行い合成されたチタン酸バリウム微粒子を回収した。
表1において、チタン酸バリウム微粒子の平均粒子径(nm)は以下のようにして求めた。走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社製)を用いて、合成されたチタン酸バリウム微粒子のSEM写真をとり、得られた写真から任意の20個の微粒子を選択して、その微粒子の径を測定し、平均することにより求めた。
また、表1において、チタン酸バリウム微粒子の粒度分布の幅は、チタン酸バリウム微粒子の粒子径の変動係数(%)として次の式により求めた。変動係数(%)=粒子径の標準偏差(nm)/平均粒子径(nm)×100。
上記反応条件及び得られた結果をチタン酸バリウム微粒子諸特性として表1に示す。評価の項目において、チタン酸バリウム微粒子の変動係数が25%以下であれば○として評価した。
表1における実施例1〜3から、チタンイオンとバリウムイオンが含まれる反応液中においてポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコールの高分子が含まれる条件下においては、加熱温度が90〜120℃の範囲内にあるとき、平均粒子径が50〜300nm、粒子径の変動係数が25%以下のチタン酸バリウム微粒子が得られた。それに対して表1における比較例2および3から、反応液中においてポリプロピレングリコールが含まれ、70℃で加熱される条件下においてはチタン酸バリウムの結晶ができず、反応液中においてポリエチレングリコールが含まれ、140℃で加熱される条件下においては、単一の結晶とはならず異相が混在していた。
また、表1における実施例1、4および5から、反応液中においてポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールが含まれ、90℃で加熱される条件下および反応液中においてポリアクリルアミドが含まれ、100℃で加熱される条件下においては、平均粒子径が50〜300nm、粒子径の変動係数が25%以下のチタン酸バリウム微粒子が得られた。それに対して表1における比較例1および4〜6から、反応液中においてポリエーテル系高分子、ビニルアルコール重合体、ポリアクリルアミドのいずれでもないフェノール樹脂、ポリエチレンおよび液体ワックスが含まれる、またはいずれの高分子も含まれず、90℃で加熱される条件下においては、チタン酸バリウムの結晶は得られなかった。
実施例1〜5の反応条件で合成したチタン酸バリウム微粒子を代表するSEM写真を図2に示す。表1から、実施例1〜5の反応条件すなわち、四塩化チタン水溶液と予めそれぞれ所定の分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドをそれぞれ所定の最終濃度となるように溶解した塩化バリウム水溶液とを混合し、水酸化カリウム溶液の濃度が1mol/lとなるように加え、90〜120℃の加熱温度で反応させる工程により得られるチタン酸バリウム微粒子は、真球状の粒子形状を有し、平均粒子径が小さく均一であった。
また、実施例1〜5において合成されたチタン酸バリウム微粒子を80℃で真空乾燥し、チタン酸バリウム微粒子粉体を得た。得られたチタン酸バリウム微粒子粉体の結晶構造を解析するため、X線解析装置(RIGAKU社製、型式RINT−TTRIIIを用いて、X線回折パターンを測定した。実施例1〜5の条件で得られたチタン酸バリウム微粒子粉体のX線回折パターンを図3に示す。
図3において、チタン酸バリウム微粒子粉体の結晶性は、結晶型が立方晶である場合のX線回折パターンと同じピークを示すかどうかで評価した。すなわち、立方晶のX線回折パターンと同じピークを示すチタン酸バリウム微粒子粉体は、その結晶型は立方晶単一と評価し、立方晶のX線回折パターンとは異なるピークを有する場合には、立方晶チタン酸バリウムと異相が混在していると評価した。
図3から、実施例1〜5の反応条件で合成したチタン酸バリウム微粒子を真空乾燥し得られたチタン酸バリウム微粒子粉体は、その結晶型は立方晶チタン酸バリウムの単一相であり、その粒子径の変動係数が小さいため良好な再分散性を有していた。
上述のように、本実施例の製造方法により得られたチタン酸バリウム微粒子は、チタン酸バリウムがポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドのうち1つ以上の高分子に包まれて反応するため、平均粒子径が50から300nmと小さく、その粒子径の変動係数が25%以下となって均一で球状の粒子形状を有する。このように、平均粒子径が小さく均一で球状の粒子形状を有し、しかも上記高分子に包まれていることから、スラリーや厚膜ペーストにした際に、一層良好な分散性、流動性を有する。
また、本実施例のチタン酸バリウム微粒子の製造方法は、四塩化チタン水溶液と予めポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドのうち1つ以上の高分子が溶解された塩化バリウム水溶液との混合溶液に水酸化カリウム溶液が加えられ反応される方法であるため、水系反応においてチタン酸バリウムが上記高分子に包まれて反応されることから、環境への負荷が小さく、原料は高価なアルコキシドなどではなく工業的に使用できる比較的安価なものであり、平均粒子径が50から300nm、その粒子径の変動係数が25%以下であって球状の粒子形状を有するチタン酸バリウム微粒子を製造する方法を提供することができる。
また、本実施例のチタン酸バリウム微粒子の製造方法によれば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイドのうち1つ以上の高分子が用いられた場合には、これらの高分子は自然環境の中で分解されるので、環境への負荷がより小さく、平均粒子径が50から300nm、その粒子径の変動係数が25%以下であって球状の粒子形状を有するチタン酸バリウム微粒子を製造する方法を提供することができる。
また、本実施例のチタン酸バリウム微粒子の製造方法によれば、ポリビニルアルコールが高分子として用いられた場合には、ポリビニルアルコールは自然環境の中で分解されるので、環境への負荷がより小さく、平均粒子径が50から300nm、その粒子径の変動係数が25%以下であって球状の粒子形状を有するチタン酸バリウム微粒子を製造する方法を提供することができる。
また、本実施例のチタン酸バリウム微粒子の製造方法は、90から120℃の温度範囲で反応される方法であるため、加熱温度が100℃程度以下である場合には常圧での反応が可能であることから、高温高圧設備などを使用した特殊な合成プロセスが不要な、平均粒子径が50から300nm、その粒子径の変動係数が25%以下であって球状の粒子形状を有するチタン酸バリウム微粒子を製造する方法を提供することができる。
また、本実施例の製造方法により得られたチタン酸バリウム微粒子粉体は、本実施例のチタン酸バリウム微粒子が加熱焼成され、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドが焼失させられているため、その粒子径の変動係数が小さいため良好な再分散性を有するとともに焼成によって正方晶の結晶型をとることから、高誘電体の材料として積層セラミックコンデンサなどに利用される。
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。

Claims (3)

  1. 球状の粒子形状を有し、平均粒子径が50から300nm、その粒子径の変動係数が25%以下であり、ポリプロピレングリコールによって包まれていることを特徴とするチタン酸バリウム微粒子。
  2. チタンイオンとバリウムイオンとを含む水溶液に反応剤を加えて、90から120℃の温度で加熱することにより請求項1に記載のチタン酸バリウム微粒子を合成するに際し、前記チタンイオンとバリウムイオンとを含む水溶液にポリプロピレングリコールが含まれることを特徴とするチタン酸バリウム微粒子の製造方法。
  3. 請求項2に記載のチタン酸バリウム微粒子の製造方法で得られたチタン酸バリウム微粒子を、加熱焼成することにより前記ポリプロピレングリコールが焼失されたチタン酸バリウム微粒子粉体の製造方法
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