JP6066580B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
特に出力電流を増大変化させる際には、出力電流の増大と共に燃料ガスの生成量を増大させるが、増量された燃料ガスがアノードに到達する前に出力電流が増大される、即ち、アノードへ供給される燃料ガスの量が増大される前にアノードでの燃料ガスの消費量が増大されることになる。そのため、燃焼部での燃焼に用いることのできる燃料成分の量が減少するため、燃焼部での失火が相対的に発生し易くなる。この現象は、先に説明した燃料利用率を出力電流に関係して制御するとき、燃料利用率を出力電流に対して一意的に固定している場合に顕著となり易い。
前記運転制御手段は、前記アノードに供給される前記燃料ガスの量に対する、前記アノードで発電反応に用いられる前記燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を前記出力電流の関数として定めている特性曲線に従って、前記出力調節手段の動作を制御して前記出力電流を調節し及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を調節するように構成されている燃料電池システムであって、
前記出力電流を所定の目標電流に向けて増大変化させるとき、前記出力電流を維持させたまま、前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を増加させて前記特性曲線で定められている増大開始時の前記燃料利用率の目標値よりも前記燃料利用率を低下させた後で、前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記出力電流及び前記燃料利用率を前記目標電流及び前記特性曲線に従って当該目標電流の関数で定められる増大完了時の前記燃料利用率の目標値に向けて変化させる過渡時運転を行い、
前記運転制御手段は、前記出力電流を前記燃焼部での前記排出燃料ガスと前記排出酸素ガスとの燃焼が不安定になる電流範囲を通って増大変化させるときに前記過渡時運転を行う点にある。
従って、燃焼部での燃焼を安定して維持した状態で出力電流を増加変化させることのできる燃料電池システムを提供できる。
また上記特徴構成によれば、例えば、燃料電池毎に燃焼が不安定になる電流範囲が分かっているのであれば、その電流範囲を通って出力電流を増大変化させるときに上記過渡時運転を行うと、燃焼部での燃焼をより安定させることができる。
前記出力電流を前記所定の目標電流に向けて増大変化させるとき、
増大開始時に、前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を増加させて、前記燃料利用率を、前記燃料利用率の目標値を前記出力電流の関数として定めている、前記特性曲線とは別で且つ前記特性曲線よりも低燃料利用率側にある過渡時特性曲線で定められている前記燃料利用率の過渡時目標値に低下させ、
引き続いて、
前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して、前記出力電流及び前記燃料利用率を、前記過渡時特性曲線で定められている値に従って変化させ、
前記出力電流が前記目標電流に到達すると、前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を減少させて、前記燃料利用率を、前記特性曲線で定められている前記燃料利用率の目標値に上昇させて、増大変化を完了する前記過渡時運転を行う点にある。
更に、そのような燃焼が安定した状態で、燃料利用率が、目標電流に対して過渡時特性曲線で定められている燃料利用率の過渡時目標値となるように、出力電流及び燃料利用率を共に変化させる。つまり、燃焼が安定した状態を維持しながら、出力電流を目標電流に到達させることができる。
また更に、出力電流が目標電流に到達した後、改質器からアノードへの燃料ガスの供給量を減少させて、燃料利用率を、特性曲線で定められている燃料利用率の目標値に上昇させて、一連の出力電流増大変化を完了することで、安定した燃焼が維持できる程度まで排出燃料ガス中の燃料成分の量を減らすことができ、それだけ発電効率を向上させることができる。
前記運転制御手段は、前記アノードに供給される前記燃料ガスの量に対する、前記アノードで発電反応に用いられる前記燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を前記出力電流の関数として定めている特性曲線に従って、前記出力調節手段の動作を制御して前記出力電流を調節し及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を調節するように構成されている燃料電池システムであって、
前記特性曲線として、
前記出力電流を増大変化させる場合に適用する増大変化時特性曲線と、
前記出力電流を増大変化させる以外の場合に適用する通常変化時特性曲線とを備え、
同一出力電流に対応する、前記増大変化時特性曲線上の燃料利用率が、前記通常変化時
特性曲線上の燃料利用率より小さく設定されており、
前記増大変化時特性曲線は、前記出力電流を前記燃焼部での前記排出燃料ガスと前記排出酸素ガスとの燃焼が不安定になる電流範囲で増大変化させる場合に適用され、
前記出力電流を所定の目標電流に向けて増大変化させるとき、前記出力電流を維持させたまま、前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を増加させて、前記燃料利用率を前記増大変化時特性曲線で定められている前記燃料利用率の目標値に低下させた後で、前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して、前記出力電流及び前記燃料利用率を前記増大変化時特性曲線に従って前記所定の目標電流に向けて変化させる点にある。
また上記特徴構成によれば、例えば、燃料電池毎に燃焼が不安定になる電流範囲が分かっているのであれば、その電流範囲を通って出力電流を増大変化させるときに上記増大変化時特性曲線を適用すると、燃焼部での燃焼をより安定させることができる。
燃焼部22は、可燃性ガスを燃焼して燃焼熱を発生させる。具体的には、上述したように、燃焼部22は、各セル26のアノード24の燃料ガス排出口24eから排出される排出燃料ガス中の燃料成分(主に水素ガス)とカソード25の空気排出口25eから排出される排出酸素ガスとを燃焼させて燃焼熱を発生させる。
改質器3は、供給される原燃料ガスを蒸発器2にて生成された水蒸気を用いて改質処理する。具体的には、改質器3の内部には改質触媒が充填されており、この改質触媒の触媒作用によって原燃料ガスが改質処理される。
次に、運転制御手段Cが燃料電池21の出力電流を増大変化させるときに行う過渡時運転について説明する。図2には、燃料電池21の出力電流を、増大開始時の出力電流I1から、所定の目標電流I2に増大変化させる場合を例示する。
更に、そのような燃焼が安定した状態で、目標電流I2に対して過渡時特性曲線Ufb(I)で定められている燃料利用率の過渡時目標値Ufb(I2)となるように、出力電流及び燃料利用率を共に変化させる。つまり、燃焼が安定した状態を維持しながら、出力電流を目標電流に到達させることができる。
また更に、出力電流が目標電流I2に到達した後、改質器3からアノード24への燃料ガスの供給量を減少させて、燃料利用率を、特性曲線Ufa(I)で定められている燃料利用率の目標値Ufa(I2)に上昇させて増大変化を完了することで、安定した燃焼が維持できる程度まで排出燃料ガス中の燃料成分の量を減らすことができ、それだけ発電効率を向上させることができる。
<1>
上記実施形態では、燃料電池システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、原燃料ガス供給管7の途中に、原燃料ガス(例えば、都市ガス等)に含まれる硫黄化合物を取り除くための脱硫器等を設けてもよい。
また、燃料電池21及び燃料改質装置Rが装置筐体1の内部に収容し、その装置筐体1の内部にガスや水などを取り込む構成について図示したが、それらの構成は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
上記実施形態では、点A(I1,Ufa(I1))から点D(I2,Ufa(I2))へ出力電流及び燃料利用率を変化させるとき、点A→点B→点C→点Dという手順で出力電流及び燃料利用率を変化させる例を説明したが、他の手順で点Aから点Dへと出力電流及び燃料利用率を変化させてもよい。例えば、点A→点B→点Dという手順で出力電流及び燃料利用率を変化させてもよい。但し、点Bから点Dへの変化において、Ufa(I)を超えないことを条件とする。
また、上記実施形態では、出力電流I1を所定の目標電流I2に向けて増大変化させるとき、先ず、出力電流I1は変更させず、且つ、燃料利用率のみを増大開始時の燃料利用率の目標値Ufa(I1)よりも低下させてUfb(I1)に変更させる例を説明したが、このとき、燃料利用率を低下させると共に出力電流を変化させるような改変も可能である。
上記実施形態において、出力電流を増大変化させるときに燃焼部での燃焼状態が不安定になるような出力電流の範囲が例えば実験的に分かっているのであれば、そのような出力電流の範囲(図2に示す例では、出力電流I1〜I2までの特定の出力電流範囲)を通って出力電流を増大変化させるときに上述した過渡時運転を行ってもよい。つまり、運転制御手段Cが、出力電流を燃焼部22での排出燃料ガスと排出酸素ガスとの燃焼が不安定になる電流範囲を通って増大変化させるときに過渡時運転を行うように(即ち、増大変化時特性曲線Ufb(I)が、出力電流を燃焼部22での排出燃料ガスと排出酸素ガスとの燃焼が不安定になる電流範囲で増大変化させる場合に適用されるように)構成してもよい。
4 原燃料流量調節弁(燃料ガス供給量調節手段 F)
9 改質水ポンプ(燃料ガス供給量調節手段 F)
21 燃料電池
22 燃焼部
24 アノード
25 カソード
C 運転制御手段
L 出力調節手段
Claims (3)
- 原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器と、前記改質器で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分と発電反応に用いられた後に前記カソードから排出される排出酸素ガスとを燃焼させ、その燃焼熱によって前記改質器を加熱する燃焼部と、前記燃料電池の出力電流を調節する出力調節手段と、前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を調節する燃料ガス供給量調節手段と、前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御する運転制御手段とを備え、
前記運転制御手段は、前記アノードに供給される前記燃料ガスの量に対する、前記アノードで発電反応に用いられる前記燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を前記出力電流の関数として定めている特性曲線に従って、前記出力調節手段の動作を制御して前記出力電流を調節し及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を調節するように構成されている燃料電池システムであって、
前記出力電流を所定の目標電流に向けて増大変化させるとき、前記出力電流を維持させたまま、前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を増加させて前記特性曲線で定められている増大開始時の前記燃料利用率の目標値よりも前記燃料利用率を低下させた後で、前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記出力電流及び前記燃料利用率を前記目標電流及び前記特性曲線に従って当該目標電流の関数で定められる増大完了時の前記燃料利用率の目標値に向けて変化させる過渡時運転を行い、
前記運転制御手段は、前記出力電流を前記燃焼部での前記排出燃料ガスと前記排出酸素ガスとの燃焼が不安定になる電流範囲を通って増大変化させるときに前記過渡時運転を行う燃料電池システム。 - 前記運転制御手段は、
前記出力電流を前記所定の目標電流に向けて増大変化させるとき、
増大開始時に、前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を増加させて、前記燃料利用率を、前記燃料利用率の目標値を前記出力電流の関数として定めている、前記特性曲線とは別で且つ前記特性曲線よりも低燃料利用率側にある過渡時特性曲線で定められている前記燃料利用率の過渡時目標値に低下させ、
引き続いて、
前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して、前記出力電流及び前記燃料利用率を、前記過渡時特性曲線で定められている値に従って変化させ、
前記出力電流が前記目標電流に到達すると、前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を減少させて、前記燃料利用率を、前記特性曲線で定められている前記燃料利用率の目標値に上昇させて、増大変化を完了する前記過渡時運転を行う請求項1に記載の燃料電池システム。 - 原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器と、前記改質器で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び、酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガス中の燃料成分と発電反応に用いられた後に前記カソードから排出される排出酸素ガスとを燃焼させ、その燃焼熱によって前記改質器を加熱する燃焼部と、前記燃料電池の出力電流を調節する出力調節手段と、前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を調節する燃料ガス供給量調節手段と、前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御する運転制御
手段とを備え、
前記運転制御手段は、前記アノードに供給される前記燃料ガスの量に対する、前記アノードで発電反応に用いられる前記燃料ガスの量の比率である燃料利用率の目標値を前記出力電流の関数として定めている特性曲線に従って、前記出力調節手段の動作を制御して前記出力電流を調節し及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を調節するように構成されている燃料電池システムであって、
前記特性曲線として、
前記出力電流を増大変化させる場合に適用する増大変化時特性曲線と、
前記出力電流を増大変化させる以外の場合に適用する通常変化時特性曲線とを備え、
同一出力電流に対応する、前記増大変化時特性曲線上の燃料利用率が、前記通常変化時特性曲線上の燃料利用率より小さく設定されており、
前記増大変化時特性曲線は、前記出力電流を前記燃焼部での前記排出燃料ガスと前記排出酸素ガスとの燃焼が不安定になる電流範囲で増大変化させる場合に適用され、
前記出力電流を所定の目標電流に向けて増大変化させるとき、前記出力電流を維持させたまま、前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して前記改質器から前記アノードへの前記燃料ガスの供給量を増加させて、前記燃料利用率を前記増大変化時特性曲線で定められている前記燃料利用率の目標値に低下させた後で、前記出力調節手段及び前記燃料ガス供給量調節手段の動作を制御して、前記出力電流及び前記燃料利用率を前記増大変化時特性曲線に従って前記所定の目標電流に向けて変化させる燃料電池システム。
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