以下、図面等を参照して本発明の一実施形態について説明する。
燃料電池は電解質膜をアノード電極(燃料極)とカソード電極(酸化剤極)とによって挟み、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)を供給することによって発電する。アノード電極及びカソード電極の両電極において進行する電極反応は以下の通りである。
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e- …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e- +O2 →2H2O …(2)
この(1)(2)の電極反応によって燃料電池は1ボルト程度の起電力を生じる。
燃料電池を自動車用動力源として使用する場合には、要求される電力が大きいため、数百枚の燃料電池を積層した燃料電池スタックとして使用する。そして、燃料電池スタックにアノードガス及びカソードガスを供給する燃料電池システムを構成して、車両駆動用の電力を取り出す。
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池システム100の概略図である。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、カソードガス給排装置2と、アノードガス給排装置3と、コントローラ4と、を備える。
燃料電池スタック1は、数百枚の燃料電池を積層したものであり、アノードガス及びカソードガスの供給を受けて、車両の駆動に必要な電力を発電する。
カソードガス給排装置2は、燃料電池スタック1にカソードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスを外気に排出する。カソードガス給排装置2は、カソードガス供給通路20と、フィルタ21と、カソードコンプレッサ22と、カソードガス排出通路23と、カソード調圧弁24と、バイパス通路25と、バイパス弁26と、第1流量センサ41と、第2流量センサ42と、圧力センサ43と、温度センサ44と、を備える。
カソードガス供給通路20は、燃料電池スタック1に供給するカソードガスが流れる通路である。カソードガス供給通路20は、一端がフィルタ21に接続され、他端が燃料電池スタック1のカソードガス入口孔に接続される。
フィルタ21は、カソードガス供給通路20に取り込むカソードガス中の異物を取り除く。
カソードコンプレッサ22は、カソードガス供給通路20に設けられる。カソードコンプレッサ22は、フィルタ21を介してカソードガスとしての空気(外気)をカソードガス供給通路20に取り込み、燃料電池スタック1に供給する。
カソードガス排出通路23は、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスが流れる通路である。カソードガス排出通路23は、一端が燃料電池スタック1のカソードガス出口孔に接続され、他端が開口端となっている。
カソード調圧弁24は、カソードガス排出通路23に設けられる。カソード調圧弁24は、コントローラ4によって開閉制御されて、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの圧力を所望の圧力に調節する。
バイパス通路25は、カソードコンプレッサ22から吐出されたカソードガスの一部を、必要に応じて燃料電池スタック1を経由させずに直接カソードガス排出通路23に排出することができるように設けられた通路である。バイパス通路25は、一端がカソードコンプレッサ23よりも下流のカソードガス供給通路21に接続され、他端がカソード調圧弁24よりも下流のカソードガス排出通路24に接続される。
バイパス弁26は、その開度が単位開度ごとに段階的に変化する開閉弁であって、バイパス通路25に設けられる。バイパス弁26は、コントローラ4によって開閉制御されて、バイパス通路25を流れるカソードガスの流量(以下「バイパス流量」という。)を調節する。
第1流量センサ41は、カソードコンプレッサ23よりも上流のカソードガス供給通路20に設けられる。第1流量センサ41は、コンプレッサ23に供給(吸入)されるカソードガスの流量(以下「コンプレッサ供給流量」という。)を検出する。
第2流量センサ42は、バイパス通路26との接続部よりも下流のカソードガス供給通路20、すなわち、燃料電池スタック1のカソードガス入口孔近傍のカソード供給通路20に設けられる。第2流量センサ42は、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの流量(以下「スタック供給流量」という。)を検出する。
圧力センサ43は、バイパス通路26との接続部よりも下流のカソードガス供給通路20、すなわち、燃料電池スタック1のカソードガス入口孔近傍のカソード供給通路20に設けられる。圧力センサ43は、燃料電池スタック1の入口圧(以下「スタック入口圧」という。)を検出する。
温度センサ44は、カソードコンプレッサ23の吐出側近傍のカソードガス供給通路20に設けられる。温度センサ44は、カソードコンプレッサ23から吐出されたカソードガスの温度(以下「吸気温度」という。)を検出する。
アノードガス給排装置3は、燃料電池スタック1にアノードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガスを、カソードガス排出通路23に排出する。アノードガス給排装置3は、高圧タンク31と、アノードガス供給通路32と、アノード調圧弁33と、アノードガス排出通路34と、パージ弁35と、を備える。
高圧タンク31は、燃料電池スタック1に供給するアノードガスを高圧状態に保って貯蔵する。
アノードガス供給通路32は、高圧タンク31から排出されるアノードガスを燃料電池スタック1に供給するための通路である。アノードガス供給通路32は、一端が高圧タンク31に接続され、他端が燃料電池スタック1のアノードガス入口孔に接続される。
アノード調圧弁33は、アノードガス供給通路32に設けられる。アノード調圧弁33は、コントローラ4によって開閉制御されて、燃料電池スタック1に供給されるアノードガスの圧力を所望の圧力に調節する。
アノードガス排出通路34は、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガスが流れる通路である。アノードガス排出通路34は、一端が燃料電池スタック1のアノードガス出口孔に接続され、他端がカソードガス排出通路23に接続される。
アノードガス排出通路34を介してカソードガス排出通路23に排出されたアノードオフガスは、カソードガス排出通路23内でカソードオフガス及びバイパス通路26を流れてきたカソードガスと混合されて燃料電池システム100の外部に排出される。アノードオフガスには、電極反応に使用されなかった余剰のアノードガス(水素)が含まれているので、このようにカソードオフガス及びカソードガスと混合させて燃料電池システム100の外部に排出することで、その排出ガス中の水素濃度が予め定められた所定濃度以下となるようにしている。
パージ弁35は、アノードガス排出通路34に設けられる。パージ弁35は、コントローラ4によって開閉制御され、アノードガス排出通路34からカソードガス排出通路23に排出するアノードオフガスの流量を制御する。
コントローラ4は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ4には、前述した第1流量センサ41や第2流量センサ42、圧力センサ43、温度センサ44の他にも、アクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル操作量」という。)45や、大気圧を検出する大気圧センサ46などの各種センサからの信号が入力される。
コントローラ4は、これらの入力信号に基づいて、燃料電池システム100の外部に排出される排出ガス中の水素濃度を所定濃度以下にするという要求(以下「希釈要求」という。)と、駆動モータなどの燃料電池システム100の各電気部品が要求する電力(以下「要求発電電力」という。)を燃料電池スタック1で発電するという要求(以下「発電要求」という。)と、の2つの要求を同時に満足するように、カソードコンプレッサ22及びバイパス弁26をフィードバック制御する。
図2は、燃料電池システム100の外部に排出される排出ガスの水素濃度を、所定濃度以下にするために必要なコンプレッサ供給流量(以下「希釈要求コンプレッサ供給流量」という。)と、要求発電電力を発電するために必要なスタック供給流量(以下「到達発電要求スタック供給流量」という。)と、の関係を、燃料電池スタック1の負荷(=要求発電電力)に応じて示した図である。
図2に示すように、中高負荷領域では、到達発電要求スタック供給流量のほうが、希釈要求コンプレッサ供給よりも大きくなる。
したがって、中負荷領域では、スタック供給流量を到達発電要求スタック供給流量にするためのコンプレッサ供給流量の目標値(以下「スタック要求コンプレッサ供給流量」という。)を、単純に目標コンプレッサ供給流量としてカソードコンプレッサ22をフィードバック制御すれば、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの流量が到達発電要求スタック供給流量となるので、燃料電池スタック1で要求発電電力を発電することができる。そして、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスによって、アノードガス排出通路34からカソードガス排出通路23に流れてきたアノードオフガスを希釈して、排出ガスの水素濃度を所定濃度以下にすることができる。
一方で、図2に示すように、低負荷領域では、希釈要求コンプレッサ供給流量のほうが、到達発電要求スタック供給流量よりも大きくなる。
したがって、低負荷領域で排出ガスの水素濃度を所定濃度以下にするためには、目標コンプレッサ供給流量を希釈要求コンプレッサ供給流量としてカソードコンプレッサ22をフィードバック制御し、燃料電池スタック1で要求発電電力を発電するために必要なカソードガス流量(到達発電要求スタック供給流量)よりも多くのカソードガスをカソードコンプレッサ22によって供給すると、発電に不要な余剰のカソードガスが燃料電池スタック1に供給されることになる。そのため、燃料電池スタック1を構成する各燃料電池の電解質膜が乾燥して燃料電池スタック1の発電効率が低下するおそれがある。
そのため、スタック要求コンプレッサ供給流量よりも希釈要求コンプレッサ供給流量のほうが大きくなったときは、目標コンプレッサ供給流量を希釈要求コンプレッサ供給流量としてカソードコンプレッサ22をフィードバック制御しつつ、バイパス弁26を開いて発電に不要な余剰のカソードガスをバイパス通路25に流す必要がある。つまり、バイパス流量が、希釈要求コンプレッサ供給流量から発電要求スタック供給流量(=スタック供給流量を到達発電要求スタック供給流量に向けて制御するときのスタック供給流量の目標値)を引いた目標バイパス流量となるように、バイパス弁26の開度を制御する必要がある。
ところが、本実施形態では、バイパス弁26の開度を、単位開度ごとに段階的に大きくしていくことしかできない。そのため、バイパス流量を目標バイパス流量に一致させることができない場合がある。そうすると、バイパス流量を目標バイパス流量に一致させるために、バイパス弁26の開閉が繰り返されてバイパス流量が目標バイパス流量を跨いで上下する場合がある。その結果、バイバス弁26の開閉による圧力変動に連動してコンプレッサ供給流量が上下に変動し、カソードコンプレッサに回転変動が生じてカソードコンプレッサから異音が発生するおそれがあるという問題点が知見された。
以下では、本発明の理解を容易にするために、本実施形態によるカソード系の制御について説明する前に、まず図6を参照して比較例によるカソード系の制御について説明する。そして、次に図7を参照して、比較例によるカソード系の制御においてこのような問題が生じてしまう原因について説明する。
図6は、比較例によるカソード系の制御ブロックを示したものである。
比較例によるカソード系の制御ブロックは、発電要求スタック供給流量算出部101と、目標スタック供給流量設定部102と、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103と、目標コンプレッサ供給流量設定部104と、カソードコンプレッサ制御部105と、バイパス弁制御部106と、を備える。
発電要求スタック供給流量算出部101には、燃料電池スタックの実発電電力と、燃料電池スタック1の負荷に応じて設定される要求発電電力と、が入力される。発電要求スタック供給流量算出部101は、実発電電力を要求発電電力にするために必要なスタック供給流量を到達発電要求スタック供給流量として設定し、その設定した到達発電要求スタック供給流量に向けてスタック供給流量を変化させる際の目標値を、発電要求スタック供給流量として算出する。
目標スタック供給流量設定部102には、発電要求スタック供給流量と、湿潤要求スタック供給流量と、が入力される。ここで湿潤要求スタック供給流量は、電解質膜の湿潤度(含水率)を、燃料電池スタック1の負荷に応じた最適な湿潤度(要求湿潤度)に制御するために必要なスタック供給流量である。目標スタック供給流量設定部102は、発電要求スタック流量と、湿潤要求スタック供給流量と、のうちの大きいほうを目標スタック供給流量として設定する。このように、目標スタック供給流量設定部102は、燃料電池スタック1の負荷に応じた最適なスタック供給流量を目標スタック供給流量として設定する。
スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103には、第2流量センサ42で検出されたスタック供給流量(以下「実スタック供給流量」という。)と、目標スタック供給流量と、が入力される。スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103は、目標スタック流量と実スタック流量との偏差に基づいて、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に向けて変化させるためのコンプレッサ供給流量の目標値を、スタック要求コンプレッサ供給流量として算出する。具体的には、目標スタック流量と実スタック流量との偏差に比例する成分と、目標スタック流量と実スタック流量との偏差を時間積分した成分と、に応じたPI制御を実施して、スタック要求コンプレッサ供給流量を算出する。
なお、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103では、操作量としてのスタック要求コンプレッサ供給流量が下限値に飽和したときは、過剰な積分演算による振動(いわゆるワインドアップ現象)を防止するため、スタック要求コンプレッサ供給流量が下限値よりも大きくなる積分演算のみを実施し、スタック要求コンプレッサ供給流量が下限値よりも小さくなる積分演算を停止するPI制御が実施される。
目標コンプレッサ供給流量設定部104には、燃料電池スタック1の負荷に応じて定まる希釈要求コンプレッサ供給流量と、スタック要求コンプレッサ供給流量と、が入力される。目標コンプレッサ供給流量設定部104は、希釈要求コンプレッサ供給流量と、スタック要求コンプレッサ供給流量と、のうちの大きいほうを、目標コンプレッサ供給流量として設定する。
このように、目標コンプレッサ供給流量設定部104では、希釈要求コンプレッサ供給流量と、スタック要求コンプレッサ供給流量と、のうちの大きいほうが、目標コンプレッサ供給流量として設定される。したがって、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定されているときは、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103からすれば、操作量としてのスタック要求コンプレッサ供給流量が下限値(ここでは希釈要求コンプレッサ供給流量)に飽和した状態と等価となる。
そのため、目標コンプレッサ供給流量設定部104において希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定されているときは、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103において、スタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量よりも小さくなる積分演算は停止されることになる。
つまり、目標コンプレッサ供給流量設定部104において希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定されているときは、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103では、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さいとき(スタック要求コンプレッサ流量を大きくする必要があるとき)のみ目標スタック流量と実スタック流量との偏差の時間積分が実施される。そして、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きいとき(スタック要求コンプレッサ流量を小さくする必要があるとき)は、目標スタック流量と実スタック流量との偏差の時間積分が停止される。
カソードコンプレッサ制御部105には、第1流量センサ41で検出されたコンプレッサ供給流量(以下「実コンプレッサ供給流量」という。)と、目標コンプレッサ供給流量と、が入力される。カソードコンプレッサ制御部105は、実コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量となるように、目標コンプレッサ供給流量と実コンプレッサ供給流量との偏差に基づいて、カソードコンプレッサ22に対する制御信号を出力する。具体的には、目標コンプレッサ供給流量と実コンプレッサ供給流量との偏差に比例する成分と、目標コンプレッサ供給流量と実コンプレッサ供給流量との偏差を時間積分した成分と、に応じたPI制御を実施してカソードコンプレッサ22に対する制御信号を出力する。
バイパス弁制御部106には、実スタック供給流量と、目標スタック供給流量と、が入力される。バイパス弁制御部106は、目標スタック流量と実スタック流量との偏差に基づいて、バイパス弁26の駆動信号を出力する。具体的には、目標スタック流量と実スタック流量との偏差に比例する成分と、目標スタック流量と実スタック流量との偏差を時間積分した成分と、に応じたPI制御を実施してバイパス弁操作量を算出し、このバイパス弁操作量が所定量を超えたときにバイパス弁26の駆動信号を出力する。
ここで、前述したように、本実施形態では、バイパス弁26の開度を、単位開度ごとに段階的に大きくさせることしかできない。そのため、比較例によるカソード系の制御では、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定されたときに、バイパス流量を目標バイパス流量に一致させることができず、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができない場合がある。この場合に生じる前述した問題点について、図7を参照して説明する。
図7は、バイパス流量を目標バイパス流量に一致させることができない場合に生じる問題点について説明する図であり、比較例によるカソード系の制御の動作を示すタイムチャートである。
時刻t1で、例えばアクセル操作量が減少して要求発電電力が低下し、到達発電要求スタック供給流量が低下すると、到達発電要求スタック供給流量に向かって目標スタック供給流量(発電要求スタック供給流量)が低下していく(図7(A))。その結果、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きくなるので、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103で算出されるスタック要求コンプレッサ供給流量も低下していく(図7(B))。なお、ここでは、発電要求スタック供給流量が湿潤要求スタック供給流量よりも大きいことを前提に説明している。
時刻t1から時刻t2までの間は、スタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量よりも大きいので、スタック要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定される(図7(B))。その結果、実コンプレッサ供給流量が、スタック要求コンプレッサ供給流量となるように応答性の良いカソードコンプレッサが制御されるので、実スタック供給流量が目標スタック供給流量にほぼ追従するように低下する(図7(A))。
時刻t2で、スタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量を下回ると、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定され、実コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量となるように、カソードコンプレッサが制御される(図7(B))。その結果、実スタック供給流量が目標スタック供給流量に追従して低下せずに一定となる(図7(A))。そして、時刻t2以降も目標スタック供給流量は低下しているため、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも徐々に大きくなり、目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差が徐々に拡大していく(図7(B))。
このように目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差が拡大していくと、バイパス弁制御部106のPI制御によって算出されるバイパス弁操作量が徐々に大きくなっていく。なお、以下の説明において特に区別する必要があるときは、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きいときに算出されるバイパス弁操作量のことを「開き側バイパス弁操作量」といい、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さいときに算出されるバイパス弁操作量のことを「閉じ側バイパス弁操作量」という。
時刻t3で、開き側バイパス弁操作量が所定量を超えると、バイパス弁26の駆動信号が出力され、バイパス弁26が単位開度だけ開かれる(図7(C))。その結果、燃料電池スタック1に供給されていた余剰のカソードガスがバイパス通路25に流れ、実スタック供給流量が目標スタック供給流量まで減少し(図7(A))、バイパス流量が目標バイパス流量まで増加する(図7(D))。
しかしながら、時刻t3以降も、目標スタック供給流量は低下しているので、再び実スタック供給流量が徐々に目標スタック供給流量よりも大きくなっていき(図7(A))、時刻t4でバイパス弁26がさらに単位開度だけ開かれる(図7(C))。その結果、再び実スタック供給流量が目標スタック供給流量まで減少し(図7(A))、バイパス流量が目標バイパス流量まで増加する(図7(D))。
時刻t5で、発電要求スタック供給流量が到達発電要求スタック供給流量まで低下して目標スタック供給流量が一定になると、その後は目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差は一定となる(図7(A))。時刻t5の時点では、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定され、かつ、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きい状態となっているので、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103のPI制御では、偏差の時間積分の演算が停止されている。そのため、時刻t5で目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差が一定になったことに伴って、スタック要求コンプレッサ供給流量は一定となる(図7(B))。
一方、バイパス弁制御部106のPI制御では、偏差の時間積分の演算は実施されるので、バイパス弁制御部106のPI制御によって算出される開き側バイパス弁操作量は、時刻t5以降も大きくなっていく。
時刻t6で、開き側バイパス弁操作量が所定量を超えると、バイパス弁26の駆動信号が出力されてバイパス弁26がさらに単位開度だけ開かれるが(図7(C))、今度は実スタック供給流量を目標スタック供給流量に制御することができず(バイパス流量を目標バイパス流量に制御することができず)、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さくなる(図7(A))。その結果、バイパス弁制御部106のPI制御によって、今度は閉じ側バイパス弁操作量が徐々に大きくなっていく。
また、時刻t6でバイパス弁26が単位開度だけ開かれ、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さい状態になると、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103のPI制御で偏差の時間積分の演算が再開される。そのため、スタック要求コンプレッサ供給流量が増加する(図7(B))。
時刻t7で閉じ側バイパス弁操作量が所定量を超えると、バイパス弁26の駆動信号が出力されて、今度はバイパス弁26が単位開度だけ閉じられ(図7(C))、再び実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きくなる(図7(A))。
また、時刻t7でバイパス弁26が単位開度だけ閉じられると、再び実スタック供給が目標スタック供給流量よりも大きい状態になるので、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103では、偏差の時間積分の演算が停止され、スタック要求コンプレッサ供給流量は一定となる(図7(B))。そして、時刻t8でバイパス弁26が単位開度だけ開かれて実スタック供給が目標スタック供給流量よりも小さい状態になると、再び偏差の時間積分の演算が実施されて、スタック要求コンプレッサ供給流量が増加する(図7(B))。
このように、時刻t6以降は、バイパス弁26の開閉が繰り返され、スタック要求コンプレッサ供給流量が徐々に増加していくことになる。
そして、時刻t9でバイパス弁26が単位開度だけ開かれると、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さくなるので(図7(A))、スタック供給コンプレッサ供給流量が増加する(図7(B))。その結果、スタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量よりも大きくなり(図7(B))、スタック要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定され、実コンプレッサ供給流量が増大する(図7(B))。
時刻t10で、バイパス弁26が単位開度だけ閉じられると、その分実スタック供給流量が増加する。その結果、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きくなり(図7(A))、今度はスタック要求コンプレッサ供給流量が低下する(図7(B))。
そして、時刻t11で、スタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求スタック要求コンプレッサ流量まで低下すると(図7(B))、実コンプレッサ供給流量が希釈要求スタック要求コンプレッサとなるようにカソードコンプレッサが制御され、実コンプレッサ供給流量が一定となる(図7(B))。時刻t11から時刻t12の間は、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きいので(図7(A))、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103での偏差の時間積分の演算は停止される。したがって、スタック要求コンプレッサ供給流量も希釈要求コンプレッサ供給流量のまま一定となる(図7(B))。
そして、時刻t12でバイパス弁26が単位開度だけ開かれると(図7(C))、再びスタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量よりも大きくなり(図7(B))、スタック要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定され、実コンプレッサ供給流量が増大する(図7(A))。
このように、バイパス弁26の開閉が繰り返されることで、最終的に時刻t9以降のように実コンプレッサ供給流量が上下に変動してしまい、カソードコンプレッサ22の回転変動が生じてカソードコンプレッサ22から異音が生じるのである。
ここで、バイパス弁26の開閉の繰り返しを防止する方法としては、例えば実スタック供給流量と目標スタック供給流量との偏差が所定量以下の状態、すなわち、バイパス弁26を開いたら実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回る状態になったら、バイパス弁26の駆動を禁止してバイパス弁26を固定する方法が考えられる。
しかしながら、このような方法では、バイパス弁26の開閉の繰り返しを防止することはできるものの、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができないという問題点がある。以下、図8を参照してこの問題点について説明する。
図8は、比較例によるカソード系の制御において、バイパス弁26を開いたら実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回る状態になった場合にバイパス弁26の駆動を禁止させたときの動作を示すタイムチャートである。
図8に示すように、時刻t4以降は、実スタック供給流量と目標スタック供給流量との偏差が所定量以下の状態、すなわち、バイパス弁26を開いたら実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回る状態である。したがって、時刻t4以降においてバイパス弁26の駆動を禁止すると、時刻t5以降は、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標スタック供給流量として設定された状態、かつ、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きい状態で、目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差が一定となる。
そうすると、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103のPI制御において、目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差の時間積分の演算は停止されることになるので、時刻t5以降はスタック要求コンプレッサ供給流量が一定となってしまう(図8(B))。そのため、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標スタック供給流量として設定され続けてしまうので、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができなくなる。
このように、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きい状態でバイパス弁26を固定してしまうと、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができずに実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きい状態のままとなってしまい、各燃料電池の電解質膜が過乾燥状態になって発電効率が低下してしまう。
そこで本実施形態では、このようなバイパス弁26の開閉の繰り返しを防止しつつ、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができるように、バイパス弁26の駆動を禁止(バイパス弁26を固定)するタイミングをさらに細かく設定することした。以下、本実施形態によるカソード系の制御について説明する。
図3は、本実施形態によるカソード系の制御ブロックを示したものである。なお、本実施形態によるカソード系の制御ブロックにおいて、比較例によるカソード系の制御ブロックと同様の機能を果たす部分は、同一の符号を用いて重複する説明を適宜省略する。
本実施形態によるカソード系の制御ブロックは、バイパス弁固定信号出力部107をさらに備える。
バイパス弁固定信号出力部107には、実スタック供給流量と、目標スタック供給流量と、が入力される。バイパス弁固定信号出力部107は、これらの入力信号に基づいて、バイパス弁26の駆動を禁止してバイパス弁26を現在位置に固定するためのバイパス弁固定信号を出力する。バイパス弁固定信号は、バイパス弁制御部106に入力される。バイパス弁固定信号出力部の詳細な制御内容については、図4のフローチャートを参照して後述する。
図4は、コントローラ4がバイパス弁固定信号出力部107で実施する制御内容について説明するフローチャートである。
ステップS1において、コントローラ4は、実スタック供給流量がバイパス弁固定範囲内にあるか否かを判定する。バイパス弁固定範囲は、目標スタック供給流量に所定値αを加算した流量(以下「固定範囲上限流量」という。)を上限とし、目標スタック供給流量から所定値βを減算した流量(以下、「固定範囲下限流量」という。)を下限とする範囲である。なお、所定値αは、実スタック供給流量を検出する第2流量センサ42の検出誤差やフィードバック制御の制御誤差等を考慮して設定される微小値である。所定値βは、所定値αよりも大きい値であって、バイパス弁26を単位開度だけ開いたときに、バイパス通路25を通過するカソードガス流量の増量分にほぼ等しい値に設定される。コントローラ4は、実スタック供給流量がバイパス弁固定範囲内にあれば、ステップS2の処理を行う。一方で、実スタック供給流量がバイパス弁固定範囲内になければ、ステップS5の処理を行う。
ステップS2において、コントローラ4は、バイパス弁固定信号がONに設定されているか否かを判定する。コントローラ4は、バイパス弁固定信号がONに設定されていれば、ステップS4の処理を行う。一方で、バイパス弁固定信号がOFFに設定されていれば、ステップS3の処理を行う。
ステップS3において、コントローラ4は、実スタック供給流量が目標スタック供給流量以下か否かを判定する。コントローラ4は、実スタック供給流量が目標スタック供給流量以下であれば、ステップS4の処理を行う。一方で、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きければステップS5の処理を行う。
ステップS4において、コントローラ4は、バイパス弁固定信号をONにする。
ステップS5において、コントローラ4は、バイパス弁固定信号をOFFにする。
このように本実施形態では、バイパス弁固定信号がOFFに設定されているときは、実スタック供給流量がバイパス弁固定範囲内(実スタック供給流量が目標スタック供給流量から固定範囲上限流量までの範囲内)にあっても、実スタック供給流量が目標スタック供給流量以下になるまで(すなわち実スタック供給流量が固定範囲下限流量から目標スタック供給流量までの範囲内に収まるまで)はバイパス弁固定信号をONに設定しないようにしている。そして、一度バイパス弁固定信号をONに設定した後は、実スタック供給流量がバイパス弁固定範囲外となるまで、バイパス弁固定信号をONにすることとしている。以下、その理由について、図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態によるカソード系の制御の動作について説明するタイムチャートである。以下の説明では、図4のフローチャートとの対応を明確にするため、フローチャートのステップ番号を併記して説明する。
時刻t6までは、実スタック供給流量は、バイパス弁固定範囲外にあるか(図5(A);S1でNo)、又は、バイパス弁固定範囲内にあっても目標スタック供給流量よりも大きい状態になっている(図5(A);S1でYes,S2でNo,S3でNo)。そのため、バイパス弁固定信号はOFFに設定され、比較例のときと同様に、時刻t3、時刻t4、時刻t6で、段階的にバイパス弁26が単位開度ずつ開かれる(図5(C))。
そして、時刻t6でバイパス弁26が開かれたことによって、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さくなって、実スタック供給流量が固定範囲下限流量から目標スタック供給流量までの範囲内に収まると、バイパス弁固定信号がONとなる(図5(A)(C);S1でYes,S2でNo,S3でYes)。
また、時刻t2から時刻t6までの間は、希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定され、かつ、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きい状態となっているので、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103のPI制御では、偏差の時間積分の演算が停止されている。そのため、時刻t5で目標スタック供給流量と実スタック供給流量との偏差が一定になったことに伴って、スタック要求コンプレッサ供給流量は一定となる(図5(B))。そして、時刻t6で実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さくなったことで、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103でのPI制御で偏差の時間積分の演算が再開され、スタック要求コンプレッサ供給流量が徐々に増加していく(図5(B))。
そして、時刻t21でスタック要求コンプレッサ供給流量が希釈要求コンプレッサ供給流量を上回ると(図5(B))、スタック要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定される。
時刻t21以降も、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さいので(図5(A))、スタック要求コンプレッサ供給流量は増大していき、それに合わせて目標コンプレッサ供給流量も増大していく。これにより、目標コンプレッサ供給流量の増大に合わせて実スタック供給流量も増大していき(図5(B))、時刻t22で実スタック供給流量と目標スタック供給流量とが一致する。
ところが、実スタック供給流量は第2流量センサ42で検出されるものであるため、図5に破線で囲った部分で示されるように、時刻t22以降の実スタック供給流量と目標スタック供給流量とが一致している領域において、センサノイズ等の影響によって、一時的に実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きくなる場合がある。
そうすると、このような領域においてバイパス弁固定信号がONに設定されていないと、バイパス弁制御部106のPI制御では、偏差の時間積分の演算は実施されるので、バイパス弁制御部106のPI制御によって算出される開き側バイパス弁操作量が徐々に増加してしまい、実スタック供給流量と目標スタック供給流量とが一致しているにもかかわらず、バイパス弁26が開かれてしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回ってバイパス弁固定信号が一度ONになった後は、実スタック供給流量がバイパス弁固定範囲外となるまで、すなわち実スタック供給流量が、センサノイズや制御誤差分を考慮した固定範囲上限流量を超えるまでは、バイパス弁固定信号をONのまま保持することとしたのである。
このようにすることで、実スタック供給流量と目標スタック供給流量とが一致している領域において、一時的に実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きくなっても、バイパス弁が不要に開かれるのを防止することができる。
以上説明した本実施形態によれば、実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回り、実スタック供給流量が固定範囲下限流量から目標スタック供給流量までのバイパス弁固定範囲内に収まったら、バイパス弁固定信号をONにして、バイパス弁26の開度を固定することにした。
これにより、バイパス弁26の開閉の繰り返しを禁止できるので、目標コンプレッサ供給流量が上下に変動することがない。そのため、カソードコンプレッサ22から異音が生じるのを防止することができる。また、実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回ってからバイパス弁26を固定するので、電解質膜の過乾燥を防止することができる。
また、本実施形態では、ワインドアップ現象防止のため、目標コンプレッサ供給流量設定部104において希釈要求コンプレッサ供給流量が目標コンプレッサ供給流量として設定されているときは、スタック要求コンプレッサ供給流量算出部103において、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも小さいとき(スタック要求コンプレッサ流量を大きくする必要があるとき)のみ目標スタック流量と実スタック流量との偏差の時間積分を実施することにしている。そして、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きいとき(スタック要求コンプレッサ流量を小さくする必要があるとき)は、目標スタック流量と実スタック流量との偏差の時間積分を停止することにしている。
そのため、実スタック供給流量が目標スタック供給流量よりも大きい状態でバイパス弁26の駆動を禁止してしまうと、バイパス弁26の駆動を禁止したことに伴って実スタック供給流量と目標スタック供給流量との偏差が一定となったときに、偏差の時間積分が停止されて実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができなくなる。
これに対して、本実施形態では実スタック供給流量が目標スタック供給流量を下回ってからバイパス弁26の駆動を禁止することで、実スタック供給流量と目標スタック供給流量との偏差が一定になった場合であっても、偏差の時間積分が実施させることができる。そのため、スタック要求コンプレッサ供給流量を増大させて、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に一致させることができる。したがって、各燃料電池の電解質膜が過乾燥状態になってしまうのを抑制できるので、発電効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、バイパス弁固定信号を一度ONにした後は、実スタック供給流量が、センサノイズや制御誤差分を考慮した固定範囲上限流量を超えるまでは、バイパス弁固定信号をONのまま保持することとした。
これにより、実スタック供給流量が目標スタック供給流量に一致した後、センサノイズや制御誤差等の影響によって、一時的に実スタック供給流量が目標スタック供給流量より大きくなったとしても、不要にバイパス弁26が開かれることがない。
実スタック供給流量が目標スタック供給流量に一致した状態でバイパス弁26が開かれると、その分実スタック供給流量が減少するため、実スタック供給流量を目標スタック供給流量に制御するためにはコンプレッサ供給流量を増大させる必要があり、その結果、燃費が悪化する。本実施形態のように不要にバイパス弁26が開かれるのを防止することで、このような燃費の悪化を防止することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
上記実施形態では、目標スタック供給流量算出部103に、発電要求スタック供給流量と湿潤要求スタック供給流量とを入力していたが、これ以外に、燃料電池スタック1の負荷に応じて定まるフラッディング防止用のスタック供給流量を入力し、これらの最大値を目標スタック供給流量としても良い。
また、上記実施形態では、目標コンプレッサ供給流量設定部104に、希釈要求コンプレッサ供給流量とスタック要求コンプレッサ供給流量とを入力していたが、これ以外に、カソードコンプレッサ22のサージング防止用のコンプレッサ供給流量を入力し、これらの最大値を目標コンプレッサ供給流量としても良い。
また、上記実施形態では、カソードコンプレッサ制御部105において、目標コンプレッサ供給流量と実コンプレッサ供給流量とに基づくフィードバック制御を実施していたが、目標コンプレッサ供給流量に基づくフィードフォワード制御を実施しても良い。
また、上記実施形態では、バイパス弁固定範囲内においてバイパス弁26を固定していたが、バイパス弁26の駆動速度を、その範囲外にあるときよりも遅くなるように規制しても良い。