上述したように、VA型の液晶表示素子においては、視野角特性の向上が求められている。併せて、マルチプレックス駆動特性の向上が求められており、それらを両立する技術が求められている。
本発明者は、こうした要求に応えるべく、鋭意検討を行った。
図1は、VA型の液晶表示素子の電極構造の一部を模式的に示す平面図である。
VA型の液晶表示素子1は、フルドット表示を可能とするように構成されている。
すなわち、液晶表示素子1は、視認側となる前面側に配置され、横方向(水平方向)に伸びる短冊状に形成された複数の第1の電極である走査電極2を有する第1の基板(図示されない)を有する。また、第1の基板の背面側に配置され、走査電極2と直交する上下方向に伸びる短冊状に形成された複数の第2の電極である信号電極3を有する第2の基板(図示されない)を有する。
そして、液晶表示素子1は、第1の基板の走査電極2の形成面と第2の基板の信号電極3の形成面とにより挟持され、それら電極間で液晶(図示されない)が垂直配向する液晶層(図示されない)を有して構成される。液晶層の液晶は、負の誘電異方性(Δε)を有する液晶である。また、液晶表示素子1は、第1の基板上の走査電極2と液晶層との間、および、第2の基板上の信号電極3と液晶層との間に、垂直配向性の液晶配向膜(図示されない)を配置することが可能である。
さらに、液晶表示素子1は、第1の基板の走査電極2側と反対の側となる前面側に、第1の偏光板であるF偏光板(図示されない)が配置され、第2の基板の信号電極3側の反対側となる背面側には、第2の偏光板であるR偏光板(図示されない)が配置される。これら一対の偏光板は、上述の液晶層を挟持して、それぞれの吸収軸が互いに直交するように配置される。
すなわち、液晶表示素子1では、視認側に配置されるF偏光板と、そのF偏光板の偏光軸と直交する偏光軸を有して反視認側に配置されるR偏光板との間に、第1の電極である走査電極2と第2の電極である信号電極3と、走査電極2と信号電極3とに挟持されて液晶が垂直配向する液晶層とを有して構成される。また、液晶表示素子1において、R偏光板のさらに背面側には、バックライト(図示されない)を設けることが好ましい。
以上の構成を有する液晶表示素子1は、図1のように平面視した状態で、走査電極2と信号電極3の各重なり部分がそれぞれ1つの画素4を構成する。そして、液晶表示素子1は、上下左右のマトリクス状に配置された画素4を用いて、フルドット表示を可能とし、所望とする高精細な画像表示を可能とする。
こうした構造のVA型の液晶表示素子1では、上述したように、さらなる視野角依存性の改善が求められている。そのため、各画素4を、電界印加時の液晶の傾き方向が異なる複数の領域(ドメイン)に分割し、視野角依存性を改善または制御するマルチドメイン化が検討されている。
図2は、4−ドメイン化された画素を模式的に示す図である。
図2では、4−ドメイン化によって、4種類のサブ画素11、12、13、14に分割され、便宜的に4分割された画素4aを示す。そして、図2では、走査電極(図示されない)と信号電極(図示されない)とを用いて画素4aにON電圧が印加された場合(以下、ON時と言う)に、各サブ画素11〜14の液晶が傾き動作することで形成される主視角の方向を、各サブ画素11〜14内の矢印によって示している。
図2に示すように、VA型の液晶表示素子1では、視野角依存性を改善するために、画素4aを4−ドメイン化する方法が知られている。4−ドメインでは、90度ずつ液晶の傾き動作方向が変化し、それによって90度ずつ主視角の方向が変化した4種のサブ画素11〜14に画素4aを分割する。
このとき、F偏光板(図示されない)の偏光軸15は、例えば、横方向(水平方向)に配置され、各サブ画素11〜14の液晶の主視角方向と45度の角度をなすようにされている。このような4−ドメインは、主視角方向が90度ずつ回転したサブ画素11、12、13、14が4種類存在するため、上下方向と左右方向のいずれにおいても同様のコントラスト特性が得られ、最も視野角依存性に優れるとされている。
しかしながら、実際に、表示素子を使用する場合、視認者が、上下方向と左右方向のいずれからも画像を観察する使用状況は稀である。例えば、上方向と左右方向等、ある一つの方向が中心として規定され、その一つの方向に加え、その左右方向または上下方向にずれた方向から表示画像を観察する方法が多いと解される。そのため、そのような使用方法に対応して、より表示性能の向上された視野角特性が求められることが多い。
そして、ある一つの視角方向を規定した使用方法の場合、4−ドメインは、結果として、好ましい視野角特性を備えたドメイン(サブ画素)と好ましくない視野角特性のドメイン(サブ画素)とを共存させることになる。すなわち、ある1方向から観察した場合、好ましくない視野角特性の領域が50%存在することが避けられない。
その結果、4−ドメイン化された液晶表示素子と最も単純なモノドメインの液晶表示素子とを比較した場合に、表示性能が低下することは不可避であった。具体的な特性については、従来のマルチドメイン化により視野角依存性は少なくなるものの、表示の明るさが低下するという欠点を併せ持っていた。
そこで、本発明者は、2−ドメインの技術を好適に適用し、上述した4−ドメインの欠点の改善を実現する。
図3は、本発明の2−ドメイン化された画素を模式的に示す図である。
本発明の2−ドメインにおいては、画素4bが、ON時の液晶の傾き動作の方向が互いに、好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度だけ異なる2種類のサブ画素21、22に分割される。尚、図3では、便宜的に、1つの画素4bが2つのサブ画素21、22に分割されるように記載されているが、実際には、2種類のサブ画素21、22が画素4b内に2個以上の多数含まれることになる。
このとき、F偏光板(図示されない)の偏光軸25は、例えば、横方向(水平方向)に配置され、各サブ画素21、22の液晶の傾き動作の方向と、好ましくは40度〜50度、より好ましくは45度の角度をなすようにされている。したがって、F偏光板の偏光軸は、各サブ画素21、22の主視角方向と、好ましくは40度〜50度、より好ましくは45度の角度をなすように配置されることになる。
図4は、液晶表示素子の画素のサブ画素における透過率の角度依存性を示すグラフである。
図4では、図2の画素4aのサブ画素13、14、および、図3の画素4bのサブ画素21、22における、垂直方向(紙面と垂直な方向)から、上下方向(サブ画素13、14、21、22の主視角方向と45度程度の角度をなす方向)に角度θだけ傾けた場合のON時の相対透過率を示している。図4では、x軸に角度θをとり、y軸に相対透過率を取って、角度θに依存して、サブ画素13、14、21、22の透過率が変化する状況を模式的に示す。
尚、液晶表示素子1において、図2の画素4aのサブ画素13、14と、図3の画素4bのサブ画素21、22とは、それぞれ同様の透過率の角度θ依存性を示す。一方、画素4aのサブ画素11、12では、それらに対し、垂直方向の0度を境にして対称となる透過率の角度θ依存性を示す。
図4に示すように、垂直方向から下方向に向かう間に位置する一つの方向であるθ0度の方向の透過率(相対値)は、画素4aのサブ画素13、14と画素4bのサブ画素21、22では1となる。そして、逆方向の−θ0度の方向の透過率は、画素4aのサブ画素13、14と画素4bのサブ画素21、22において、1より小さな値のaとなる。尚、それらサブ画素13、14、21、22と対称な角度θ依存性を示す画素4aのサブ画素11、12においては、θ0度の方向の透過率がaとなり、−θ0度の方向の透過率が1となる。
その結果、図2に示した4−ドメインの画素4aでは、θ0度の方向の透過率が、サブ画素13、14およびサブ画素11、12を考慮したものとなり、{(1+a)/2}となる。また、−θ0度の方向の透過率もサブ画素13、14およびサブ画素11、12を考慮したものとなり、同様の{(1+a)/2}となり、それらは同じ透過率となる。
一方、図3に示した本発明の2−ドメインの画素4bでは、θ0度の方向の透過率がサブ画素21、22を考慮したものとなり、1となる。また、−θ0度の方向の透過率は、aとなって、それらは異なる値となる。このとき、本発明の2−ドメインの画素4bでは、θ0度の方向の透過率が、4−ドメインの画素4aのθ0度の方向の透過率より大きくなる。
したがって、図2の4−ドメインの場合、図3の本発明の2−ドメインより視野角は広いものの、得られる透過率の最大値は低い。一方、図3の本発明の2−ドメインでは、例えば、好ましい方向がθ0度方向である場合、その方向の透過率は4−ドメインより高く、その反対側の−θ0度方向では、透過率は低くなる。その結果、視認者による観察される方向が決められている場合に本発明の2−ドメインは、その観察方向に、サブ画素21、22の主視角方向の平均方向、すなわち、上述のθ0の方向を合わせることで、4−ドメインに比べて明るい表示を、広い視野角で得ることができる。
また、本発明の2−ドメインは、2−ドメインの他の例と比較しても、好ましい視野角特性を有する。
図5は、2−ドメインの他の例を模式的に示す図である。
図5に示す2−ドメイン化された画素4cでは、矢印により示される主視角方向が180度異なる2種類のサブ画素31、32に分割されている。このとき、F偏光板(図示されない)の偏光軸35は、例えば、横方向(水平方向)に配置され、各サブ画素31、32の主視角方向と、直交するように配置される。
VA型の液晶表示素子の2−ドメインは、上述した図3の本発明の2−ドメインの他に、図5に示すような2−ドメインも可能である。これらの効果の違いについて、以下で説明する。
図6は、液晶表示素子の1つのサブ画素の主視角方向を示す模式図である。
図7は、図6のサブ画素における透過率の角度依存性を示すグラフである。
図7では、x軸に角度θをとり、y軸に透過率を取って、角度θに依存して、図6のサブ画素41の透過率が変化する状況を模式的に示す。
図6および図7は、液晶表示素子1の画素4のある1つのサブ画素41における透過率の角度依存性を示す図となる。
図6に示すように、液晶表示素子1の画素4(図しされない)のサブ画素41は、矢印により示されるように、例えば、下方側に向かう方向に主視角を有する。
そのような図6のサブ画素41に対し、図7のグラフAでは、図6の一点鎖線Aで示されるように、垂直方向(紙面と垂直な方向)から上下方向に角度θだけ傾けた場合のON時の透過率を示している。このとき、θ0度方向では透過率はa1となり、−θ0度方向では、透過率はa1’となる。
また、図7のグラフBでは、図6の一点鎖線Bで示されるように、垂直方向(紙面と垂直な方向)から上下方向と45度の角度をなす斜め方向に角度θだけ傾けた場合のON時の透過率を示している。このとき、θ0度方向では透過率はb1となり、−θ0度方向では、透過率はb1’となる。
また、図7のグラフCでは、図6の一点鎖線Cで示されるように、垂直方向(紙面と垂直な方向)から上下方向と直交する水平方向(横方向)に角度θだけ傾けた場合のON時の透過率を示している。このとき、θ0度方向では透過率はc1となり、−θ0度方向では、同じ透過率はc1となる。
図8は、液晶表示素子の画素の視角方向の定義を説明する図である。
図8に示すように、例えば、液晶表示素子1の画素4に対し、図の下方側の視角が6時視角となる。また、図の上下方向と45度の角度をなす右斜め方向の視角が、4時30分視角となる。
したがって、図5に示す配置の2−ドメインにおいては、図8に示す図の下方側である6時の方向の画素4cの透過率を、図7のグラフAから見積もることができ、その値は(a1+a1’)/2となる。そして、上下方向と45度の角度をなす斜め方向となる4時30分の方向の画素4cの透過率は、図7のグラフBから見積もることができて、その値は(b1+b1’)/2となる。
一方、図3に示す本発明の2−ドメインにおいては、図8に示す図の下方側である6時の方向の画素4bの透過率を、図7のグラフBから見積もることができて、その値は(b1+b1)/2=b1となる。そして、上下方向と45度の角度をなす斜め方向となる4時30分の方向の画素4bの透過率は、図7のグラフAとグラフCから見積もることができて、(a1+c1)/2となる。
ここで、各画素4b、4cのそれぞれにおいて、便宜的に6時の方向と4時30分の方向の透過率を加算し、得られた値を画素4cと画素4bとの間で比較すると、その差(「4b」−「4c」)は、{(b1+c1)−(a1’+b1’)}となる。そして、特に、4時30分の方向の透過率を比較すると、その差は、{(a1+c1)−(b1+b1’)}/2となる。このとき、a1>b1およびc1>b1’であることから、その差は、明らかに0より大きな値となる。したがって、本発明の2−ドメインの方が、図5の2−ドメインに比べて、広い視角範囲で明るい表示を提供できることがわかる。
その結果、視認者による観察される方向が決められている場合に、本発明の2−ドメイン化された液晶表示素子1は、明るい表示を得ることができる。すなわち、視認者による観察方向に、サブ画素21、22の主視角方向の平均方向、すなわち、上述のθ0の方向を合わせることで、液晶表示素子1は、主視角方向が180度異なる2つのサブ画素からなる2−ドメインに比べて広い視角で、明るい表示を得ることができる。
以上の本発明の2−ドメインは、図1の液晶表示素子1の画素4の走査電極2や信号電極3にスリットを設ける方法によって実現することができる。
以下では、本発明の2−ドメインを実現する本発明の実施形態の液晶表示素子について説明する。特に、上述した本発明の2−ドメインの実現に有効なスリットを備えた、本実施形態の液晶表示素子の画素構造について、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図9は、本発明の第1実施形態の液晶表示素子の構造を示す模式的な断面図である。
図9に示す本発明の第1実施形態の液晶表示素子101は、視認側に配置される第1の偏光板であるF偏光板108と、F偏光板108の偏光軸と直交する偏光軸を有して反視認側に配置される第2の偏光板であるR偏光板109との間に、第1の電極である走査電極106を有する第1の基板102と、第1の基板102の背面側に配置されて、第2の電極である信号電極107を有する第2の基板103とを有する。
そして、液晶表示素子101は、第1の基板102の走査電極106の形成面と第2の基板103の信号電極107の形成面とにより挟持され、それら電極間で液晶(図示されない)が垂直配向する液晶層104を有して構成される。
また、液晶表示素子101において、R偏光板109のさらに背面側には、バックライト110を設けることができる。
液晶表示素子101において、液晶層104の液晶は、負の誘電異方性(Δε)を有する液晶である。そして、第1の基板102上の走査電極の106と液晶層104との間、および、第2の基板103上の信号電極107と液晶層104との間には、垂直配向性の液晶配向膜(図示されない)を配置することが可能である。
液晶表示素子101の第1の基板102上の走査電極106の構造と配置、および、第2の基板103上の信号電極107の構造と配置は、図1に示したVA型の液晶表示素子1と同様である。
すなわち、F偏光板108とR偏光板109との間に、視認側となる前面側に配置され、横方向(第1の方向)に伸びる短冊状に形成された複数の第1の電極である走査電極106を有する第1の基板102が配置される。そして、第1の基板102の背面側に、走査電極106と直交する上下方向(第2の方向)に伸びる短冊状に形成された複数の第2の電極である信号電極107を有する第2の基板103が配置される。
そして、液晶表示素子101では、平面視で、走査電極106と信号電極107との重なり部分が、走査電極106の縁部および信号電極107の縁部をエッジとする画素105(図9中では図示されない)を構成する。すなわち、液晶表示素子101の画素105は、図1の液晶表示素子1の画素4と同様に構成される。
本発明の第1実施形態の液晶表示素子101は、液晶層104を挟持する第1の基板102上の走査電極106と、第2の基板103上の信号電極107とのそれぞれに、電極の開口部となるスリット(図9中では図示されない)を設ける。そして、走査電極106および信号電極107のそれぞれに、互いに離間する複数のスリットを規則的に配置して、画素105において、液晶層104に電圧を印加するときに、電極間に所望とする方向の斜め電界を形成させる。
その結果、本実施形態の液晶表示素子101は、第1の基板102と第2の基板103との間で垂直配向する液晶層104に対し、走査電極106と信号電極107との間の電圧印加によって傾く方向を規定することができる。そして、液晶表示素子101は、走査電極106および信号電極107におけるスリットの構造と配置により2−ドメインを実現する。すなわち、液晶表示素子101は、画素105をスリットによって、上述の図3に示したものと同様の、2−ドメインを実現する。より具体的には、液晶表示素子101は、画素105のスリットにより、視角方向が、好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なる、2種類のサブ画素(図9中では図示されない)に分割し、2−ドメイン化を実現する。
そしてさらに、液晶表示素子101は、スリットの構造と配置によって、画素105のエッジに対する、各サブ画素の液晶層104の液晶の傾き動作の方向を規定する。すなわち、各サブ画素の液晶が、走査電極106と信号電極107との間の電圧印加によって、走査電極106の縁部による画素105のエッジと40度〜50度の角度をなす方向に、好ましくは45度の角度をなす方向に、傾き動作をするように構成する。
このとき、F偏光板108の偏光軸は、走査電極106が伸びる横方向(第1の方向)に設定されることが好ましい。そして、R偏光板109の偏光軸は、上下方向(第2の方向)に設定されることになる。その場合、F偏光板108の偏光軸は、走査電極106の縁部による画素105のエッジと平行となり、R偏光板109の偏光軸は、そのエッジと垂直となる。
その結果、液晶表示素子101は、図1の液晶表示素子1と同様、上下左右のマトリクス状に配置された画素105を用いて、フルドット表示を可能とし、所望とする広視角で高精細な画像表示を可能とする。
次に、本発明の第1実施形態の液晶表示素子101において、上述した画素105の2−ドメイン化を実現する電極構造について説明する。
図10は、本発明の第1実施形態の液晶表示素子の電極のスリットの構造を模式的に示す図であり、図10(a)は第1の基板上の走査電極のスリットの構造を示す模式的に図であり、図10(b)は第2の基板上の信号電極のスリットの構造を模式的に示す図である。
図11は、本発明の第1実施形態の液晶表示素子の電極の構造を模式的に説明する図である。
図10(a)に示すように、液晶表示素子101(図10(a)に図示されない)の第1の基板102上には、上述したように、走査電極106が配置され、走査電極106には複数のスリット115が規則的な配置で設けられている。
図10(a)では、走査電極106上、便宜的に、上下方向および左右方向の繰り返し単位となる4つのスリット115のみが示されている。この4つのスリット115は、走査電極106に設けられるスリット115の一部を示しており、後述する信号電極107のスリット116とともに4つのサブ画素を構成することができる。尚、本実施形態において、画素105に設けられるサブ画素の数は、4個に限られず、2個以上の複数が可能である。したがって、スリット115の数も図に示した4個には限られず、1つの画素105中に設けられる図11のサブ画素121〜124のサイズと数によって、図10(a)の配置パターンを維持しながら適宜増減される。
液晶表示素子101の画素105の走査電極106のスリット115は、走査電極106の縁部によって構成される画素105のエッジと平行な方向に伸びる部分と、そのエッジと垂直な方向に伸びる部分とを備えた形状を有することが好ましい。具体的には、図10(a)に示すように、そのエッジと平行な方向に伸びる長方形状の第1の部分115aと第1の部分115aの1つの長辺の中央部からその長辺と垂直な方向に伸びる長方形状の第2の部分115bとからなる、平面視でT字状のT字形状を有することができる。
また、図10(b)に示すように、液晶表示素子101(図10(b)に図示されない)の第2の基板103上には、上述したように、信号電極107が配置され、信号電極107には複数のスリット116が規則的な配置で設けられている。
図10(b)では、信号電極107上、便宜的に、上下方向および左右方向の繰り返し単位となる4つのスリット116のみが示されている。この4つのスリット116は、信号電極107に設けられるスリット116の一部を示しており、上述の走査電極106のスリット115とともに4つのサブ画素を構成することができる。尚、上述したように、本実施形態において、画素105に設けられるサブ画素の数は、4個に限られず、2個以上の複数が可能である。したがって、スリット116の数も図に示した4個には限られず、1つの画素105中に設けられるサブ画素のサイズと数によって、走査電極106のスリット115の配置に対応し、図10(b)の配置パターンを維持しながら適宜増減される。
液晶表示素子101の画素105の信号電極107のスリット116は、走査電極106の縁部によって構成される画素105のエッジと平行な方向に伸びる部分と、そのエッジと垂直な方向に伸びる部分とを備えた形状を有することが好ましい。具体的には、図10(b)に示すように、そのエッジと平行な方向に伸びる長方形状の第1の部分116aと第1の部分116aの1つの長辺の中央部からその長辺と垂直な方向に伸びる長方形状の第2の部分116bとからなる、平面視で逆T字状の逆T字形状を有することができる。
このとき、走査電極106のスリット115と、信号電極107のスリット116とは、平面視での配置の向きが異なるのみで、同一の形状を有し、それぞれ同様のT字形状を有している。すなわち、第2の部分115bが図の上方に伸びるスリット115に対し、スリット116では、第2の部分116bが図の下方に伸びるように配置され、互いの形状は同じである。
そして、図11に示すように、第1の基板102と第2の基板103とは、液晶層(図11中に図示されない)を挟んで、走査電極106と信号電極107とが対向するように配置され、その重なり部分が画素105を構成する。
その結果、図11に示すように、走査電極106および信号電極107の重なりによる画素105を平面視した場合、1つの画素105が複数のサブ画素121、122、123、124に分割される。
尚、図11では、上述した図10に対応して、画素105内に含まれる多数のサブ画素の内、4つのサブ画素121〜124のみが便宜的に示されている。しかし、上述したように、本実施形態において、サブ画素の数は4つに限られるわけではない。1つの画素105内には、同様の複数のサブ画素が余すことなく設けられ、例えば、画素105の上下方向に6個で左右方向に6個の合計36個等とすることができる。すなわち、所望とするサブ画素のサイズに対応し、走査電極106のスリット115および信号電極107のスリット116それぞれの数と配置によって適宜増減される。その場合、各サブ画素121〜124は、以下の構造を有する。
この複数のサブ画素121〜124はそれぞれ、平面視で、走査電極106のT字形状のスリット115の第1の部分115aと第2の部分115bにより1つの角およびその角から伸びる2辺が規定され、信号電極107の逆T字形状のスリット116により、そのスリット115による1つの角と対角位置にある角およびその角から伸びる2辺が規定されて、略矩形状を有する。
そして、図11に示すように、走査電極106のT字形状のスリット115と信号電極107の逆T字形状のスリット116とは、平面視で、互いの第1の部分115a、116aの第2の部分115b、116bが設けられない側の長辺同士を接触させるか、または、互いのその長辺側の一部を重畳させて、略十字状の形状をなしている。
以上の電極構造により、液晶表示素子101の画素105においては、走査電極106のスリット115および信号電極107のスリット116の形成による斜め電界の影響を受けて、上下左右に隣接するサブ画素121〜124のON時の液晶の傾き方向が、好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なるようになる。そして、サブ画素121とサブ画素123とは、同じ液晶の傾き方向を有し、サブ画素122とサブ画素124とは、同じ液晶の傾き方向を有する。したがって、液晶表示素子101では、走査電極106および信号電極107のスリット115、116によって画素105が、液晶の傾き方向が互いに好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なる2種類のサブ画素に分割されることになる。
その結果、液晶表示素子101の画素105のサブ画素121〜124のそれぞれの主視角方向は、図11で矢印(図中、主視角方向と表示)を用いて示される方向となる。そして、サブ画素121とサブ画素123とは、同じ主視角方向を有し、サブ画素122とサブ画素124とは、同じ主視角方向を有する。すなわち、液晶表示素子101では、図11に示すように、走査電極106および信号電極107のスリット115、116によって画素105が、主視角方向が互いに好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なる2種類のサブ画素に分割されることになる。
このとき、本実施形態の液晶表示素子101では、上述したように、F偏光板108(図示されない)の偏光軸135は、走査電極106の縁部による画素105のエッジと平行となり、R偏光板109(図示されない)の偏光軸136は、そのエッジと垂直となる。尚、図11においては、F偏光板108の偏光軸135およびR偏光板109の偏光軸136を、矢印を用いて模式的に示している。
その結果、画素105のサブ画素121〜124では、電極エッジにおいてエッジクロストーク現象が発生しても、それが見え難くなるように構成されている。すなわち、電極エッジでのクロストーク現象は、電極エッジと垂直な方向に発生する電界に液晶が反応して傾き動作し、それが感知されて発生する。しかし、第1の偏光板108の偏光軸135を、電極エッジと平行(または、垂直)に設定することで、液晶表示素子101は、そのような液晶の傾き動作を感知され難くすることができる。
また、従来のVA型の液晶表示素子の場合、走査線(走査電極)数が増加に伴って、エッジクロストーク現象が顕著になることがわかっている。具体的には走査電極数が16程度より、エッジクロストーク現象が問題になり、32以上では著しく表示品質を損なうことになる。それに対し、本実施形態の液晶表示素子101では、エッジクロストーク現象に対する耐性が強化されている。したがって、走査電極数が16以上であっても、特に、32以上であっても、エッジクロストーク現象を許容できるレベルに抑制することができる。すなわち、本実施形態の液晶表示素子101は、エッジクロストーク現象の観点から、走査電極数32以上の場合に、特に優れた表示の液晶表示素子となる。
次に、本実施形態の液晶表示素子101においては、以下で説明するような画素105の構造が求められる。こうすることで、液晶表示素子101は、走査電極106のスリット115および信号電極107のスリット116の形成による斜め電界の形成を高精度に制御し、上述のような画素105の2種類のサブ画素への分割を高精度に実現することができる。
先ず、液晶表示素子101の画素105において、平面視で、スリット115の第1の部分115aと、スリット116の第1の部分116aとは、第2の部分115b、116bが設けられない側の長辺同士を接触させるか、または、互いのその長辺側の一部を重畳させるように設けられる。第1の部分115a、116a同士が、平面視で、完全に重なる状態は好ましくない。
図12は、本発明の第1実施形態の液晶表示素子の画素のスリットを拡大して示す図である。
図12に示すように、スリット115の第1の部分115aと、スリット116の第1の部分116aとは、上下方向に互いにずれて設けられる必要がある。このような配置をしない場合、スリット115の第1の部分115aと、スリット116の第1の部分116aとの互いの効果が相殺され、スリット115、116の第1の部分115a、116aの形成効果が失われるためである。その結果、上述した高精度の2−ドメイン化が実現できなくなる。
このとき、図12にΔで示される、第1の部分115a、116aの重ならない部分の上下方向の幅は5μm以上であることが好ましい。Δが5μmより小さい場合、スリット115の第1の部分115aによる斜め電界の形成がスリット116の第1の部分116aの影響を受け、不安定化する恐れがある。
次に、図12にLで示される、スリット115、116の第1の部分115a、116aの1つのサブ画素の形成に用いられる部分の長さと、図12にTで示されるスリット115、116の第2の部分115b、116bの長さとは、等しいことが好ましい。
尚、後述するように、図12にTで示されるスリット115、116の第2の部分115b、116bの長さを、スリット長さと定義する。上述のように、TとLは実質的に等しく、スリット長さとしてTを規定することで、Lも同時に規定することができる。
スリット115、116の構造をこのようにすることで、走査電極106のスリット115および信号電極107のスリット116の形成による斜め電界の形成を高精度に制御し、上述のような画素105の2種類のサブ画素への分割を高精度に実現することができる。
次に、図11に示すように、液晶表示素子101のサブ画素121〜124はそれぞれ、平面視で、T字形状のスリット115により規定される角の頂点および逆T字形状のスリット116により規定される角の頂点を結んだ軸Aに対して対称となる形状を有することが好ましい。
また、液晶表示素子101のサブ画素121〜124はそれぞれ、平面視で、T字形状のスリット115のサブ画素121〜124の角を規定する部分と、逆T字形状のスリット116の対応するサブ画素121〜124の角を規定する部分とが、残りの角の頂点を結んだ軸Bに対して、対称に配置される構造となることが好ましい。
そのため、サブ画素121〜124はそれぞれ、対向する2つの角およびそれらから伸びる2つの辺が、スリット115とスリット116とにより規定されて、実質的に正方形状を有することが好ましい。
画素105のサブ画素121〜124の構造をこのようにすることで、走査電極106のスリット115および信号電極107のスリット116の形成による斜め電界の形成を高精度に制御し、上述のような画素105の2種類のサブ画素への分割を高精度に実現することができる。
次に、画素105をサブ画素121〜124に分割するために好適なスリット115、116のサイズについて説明する。
スリット115、116の好適なサイズの検討には、光学計算ソフト(Shintech社製、名称:LCD Master)を用いた計算手法を使用した。
計算の対象となる液晶表示素子の構造は、図9に示した液晶表示素子101の構造に基づく。すなわち、液晶表示素子は、視認側に配置される第1の偏光板であるF偏光板と、そのF偏光板の偏光軸と直交する偏光軸を有して反視認側に配置される第2の偏光板であるR偏光板との間に、水平方向に伸びる短冊状の複数の第1の電極と、その第1の電極と直交する上下方向に伸びる短冊状の複数の第2の電極と、第1の電極と第2の電極とに挟持されて液晶が90度の垂直配向をする液晶層とを有する構成とした。
また、液晶には、負の誘電異方性を有する通常のVA用液晶を使用し、液晶層の厚みは6.0μmとし、液晶表示素子のΔndは538nmとした。
また、第1の電極のスリットと第2の電極のスリットの構造は等しいものとし、図12に示されるスリット115、116の第2の部分115b、116bの長さTを、上述したように、スリット長さとして定義した。尚、スリットの各部の幅、すなわち、第1の部分115a、116aや、第2の部分116a、116bの長手方向と直交する短手方向の幅は、10μmとした。
そして、波長550nmの光が液晶表示素子に垂直に入射するようにして、スリット長さを様々変えて、各場合のON時の液晶の配向状態をシミュレートするとともに、各場合のON時の相対的な明るさ(サブ画素面積に対するON部分の割合)を評価した。
尚、計算手法を用いたON時の液晶の配向状態を評価することで、上述した電極エッジでのエッジクロストーク現象の影響の軽重も同時に評価することができる。したがって、スリット長さを様々変えることによる、ON時の液晶の配向状態の評価では、エッジクロストーク現象の影響も併せて評価した。
その結果、画素内で分割される正方形状のサブ画素の一辺の長さを40μmとした場合、スリット長さが10μmでは、明るさは70であった。スリット長さが20μmでは、明るさは90であった。スリット長さが25μmでは、明るさは95であった。スリット長さが30μmでは、明るさは100であった。スリット長さが35μmでは、明るさは90であった。スリット長さが40μmでは、明るさは80であった。
そして、上述のいずれの例においても、エッジクロストーク現象が抑制されている状況が確認された。
以上の評価結果から、画素のスリットの構造は、サブ画素の一辺の長さに対し、25%〜90%の長さとなるスリット長さを備えた構造が好ましく、50%〜88%の長さとなるスリット長さを備えた構造がより好ましいことがわかった。
図13は、本発明の第1実施形態のシミュレーションによる液晶表示素子の評価結果を示す図である。
図13では、分割された複数のサブ画素それぞれの一辺の長さが40μmで、スリット長さが30μmである例の液晶表示素子におけるON時の状態を示している。
図13に示すように、スリット長さが30μmである例の液晶表示素子では、画素が、液晶の傾き方向が互いに90度異なる2種類のサブ画素に分割されて2−ドメイン化が実現され、また、エッジクロストーク現象が抑制されて、画素の各サブ画素内でほぼ均一なON状態が形成されていることがわかった。
以上より、本発明の第1実施形態の液晶表示素子101は、好ましい視野角特性を備える2−ドメイン化を実現するとともに、優れたマルチプレックス駆動特性を有することがわかった。
実施の形態2.
本発明の第2実施形態の液晶表示素子は、図11等に示した第1実施形態の液晶表示素子101と比較して、画素に設けられたスリットの構造が異なる以外、同様の構造を有し、また、同様の2−ドメイン化を実現する。すなわち、電極に設けられたスリットによって、画素を、液晶の傾き方向が、好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なる、2種類のサブ画素に分割し、2−ドメイン化を実現する。さらに、液晶表示素子201では、液晶の傾き方向が画素のエッジに対して40度〜50度の角度をなすよう構成される。
したがって、以下の第2実施形態の液晶表示素子201の説明では、その画素の2−ドメイン化を実現するための電極構造について主に説明し、第1実施形態の液晶表示素子101と共通する構成要素については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14は、本発明の第2実施形態の液晶表示素子の電極のスリットの構造を模式的に示す図であり、図14(a)は第1の基板上の走査電極のスリットおよび点状スリットの構造を模式的に示す図であり、図14(b)は第2の基板上の信号電極のスリットおよび点状スリットの構造を模式的に示す図である。
図15は、本発明の第2実施形態の液晶表示素子の電極の構造を模式的に説明する図である。
図14(a)に示すように、液晶表示素子201(図14(a)に図示されない)の第1の基板202上には、走査電極206が配置され、走査電極206には複数のスリット215と点状スリット217、218が規則的な配置で設けられている。
図14(a)では、上述した図10(a)と同様に、走査電極206上、便宜的に、上下方向および左右方向の繰り返し単位となる5つのスリット215と8個の点状スリット217と3個の点状スリット218のみが示されている。これらのスリット215と点状スリット217、218は、走査電極206に設けられるスリット215等の一部を示しており、後述する信号電極207のスリット216および点状スリット219、220とともに4つのサブ画素を構成することができる。尚、本実施形態において、画素205に設けられるサブ画素の数は、4個に限られず、2個以上の複数が可能である。したがって、スリット215等の数も図に示した個数には限られず、1つの画素205中に設けられるサブ画素のサイズと数によって、図14(a)の配置パターンを維持しながら適宜増減される。
液晶表示素子201の画素205の走査電極206のスリット215は、走査電極206の縁部によって構成される画素205のエッジと平行な方向に伸びる部分と、そのエッジと垂直な方向に伸びる部分とを備えた形状を有することが好ましい。具体的には、図14(a)に示すように、そのエッジと平行な方向に伸びる長方形状の第1の部分215aと第1の部分215aの1つの長辺の中央部からその長辺と垂直な方向に伸びる長方形状の第2の部分215bとからなる、平面視でT字状のT字形状を有することができる。
そして、図の水平方向に隣接する2つのスリット215の間には、離間する2つの点状の点状スリット217が設けられている。また、各スリット215の第2の部分215bが伸びる方向には、その第2の部分215bの先端と離間するように、1つの点状の点状スリット218が設けられている。
点状スリット217、218の形状としては、正方形状の他、長方形状とすることができる。
また、図14(b)に示すように、液晶表示素子201(図14(b)に図示されない)の第2の基板203上には、信号電極207が配置され、信号電極207には複数のスリット216と点状スリット219、220が設けられている。
図14(b)では、上述した図10(b)と同様に、信号電極207上、便宜的に、上下方向および左右方向の繰り返し単位となる5つのスリット216と8個の点状スリット219と3個の点状スリット220のみが示されている。これらのスリット216と点状スリット219、220は、信号電極207に設けられるスリット216等の一部を示しており、上述した走査電極206のスリット215および点状スリット217、218とともに4つのサブ画素を構成することができる。尚、本実施形態において、画素205に設けられるサブ画素の数は、4個に限られず、2個以上の複数が可能である。したがって、スリット216等の数も図に示した個数には限られず、1つの画素205中に設けられるサブ画素のサイズと数によって、図14(b)の配置パターンを維持しながら適宜増減される。
液晶表示素子201の画素205の信号電極207のスリット216は、走査電極206の縁部によって構成される画素205のエッジと平行な方向に伸びる部分と、そのエッジと垂直な方向に伸びる部分とを備えた形状を有することが好ましい。具体的には、図14(b)に示すように、そのエッジと平行な方向に伸びる長方形状の第1の部分216aと第1の部分216aの1つの長辺の中央部からその長辺と垂直な方向に伸びる長方形状の第2の部分216bとからなる、平面視で逆T字状の逆T字形状を有することができる。
尚、液晶表示素子201の画素205の走査電極206のスリット215は、上述した第1実施形態の液晶表示素子101の画素105の走査電極106のスリット115と同様の構造となる。また、液晶表示素子201の画素205の信号電極207のスリット216は、上述した第1実施形態の液晶表示素子101の画素105の信号電極107のスリット116と同様の構造となる。
そして、図の水平方向に隣接する2つのスリット216の間には、離間する2つの点状の点状スリット219が設けられている。また、各スリット216の第2の部分216bが伸びる方向には、その第2の部分216bの先端と離間するように、1つの点状の点状スリット220が設けられている。
点状スリット219、220の形状としては、正方形状の他、長方形状とすることができる。
このとき、走査電極206のスリット215と、信号電極207のスリット216とは、平面視での配置の向きが異なるのみで、同一の形状を有し、それぞれ同様のT字形状を有している。すなわち、第2の部分215bが図の上方に伸びるスリット215に対し、スリット216では、第2の部分216bが図の下方に伸びるように配置され、互いの形状は同じである。
そして、図15に示すように、第1の基板202と第2の基板203とは、液晶層(図15中に図示されない)を挟んで、走査電極206と信号電極207とが対向するように配置され、その重なり部分が画素205を構成する。
その結果、図15に示すように、走査電極206および信号電極207の重なりによる画素205を平面視した場合、1つの画素205が複数のサブ画素221、222、223、224に分割される。
尚、図15では、上述した図14に対応して、画素205内に含まれる多数のサブ画素の内、4つのサブ画素221〜224のみが便宜的に示されている。このことは、上述した図11の場合と同様である。しかし、上述したように、本実施形態において、サブ画素の数は4つに限られるわけではない。1つの画素205内には、同様の複数のサブ画素が余すことなく設けられ、例えば、画素205の上下方向に6個で左右方向に6個の合計36個等とすることができる。すなわち、所望とするサブ画素のサイズに対応し、走査電極206のスリット215と点状スリット217、218、および、信号電極107のスリット216と点状スリット219、220のそれぞれの数と配置によって適宜増減される。その場合、各サブ画素221〜224は、以下の構造を有する。
この複数のサブ画素221〜224はそれぞれ、平面視で、走査電極206のT字形状のスリット215の第1の部分215aと第2の部分215bにより1つの角およびその角から伸びる2辺が規定され、信号電極207の逆T字形状のスリット216により、そのスリット215による1つの角と対角位置にある角およびその角から伸びる2辺が規定されて、略矩形状を有する。
そして、図15に示すように、走査電極206のT字形状のスリット215と信号電極207の逆T字形状のスリット216とは、平面視で、互いの第1の部分215a、216aの第2の部分215b、216bが設けられない側の長辺同士を接触させるか、または、互いのその長辺側の一部を重畳させて、略十字状の形状をなしている。
また、サブ画素221〜224においては、T字形状のスリット215により規定される1つの角から伸びる2辺に沿って、それぞれ走査電極206に設けられた点状のスリット217、218が配置される。点状のスリット217、218は、上述したように、正方形状または、設けられる辺の方向が長手方向となる長方形状を有する。
そして、スリット215により規定される上述の1つの角と対向する角であって、逆T字形状のスリット216により規定される角から伸びる2辺に沿って、それぞれ信号電極207に設けられた点状のスリット219、220が配置される。点状のスリット219、220は、上述したように、正方形状または、設けられる辺の方向が長手方向となる長方形状を有する。
このとき、図15示すように、水平方向に隣接する2つのスリット215の間に設けられた2つの点状スリット217と、水平方向に隣接する2つのスリット216の間に設けられた2つの点状スリット219とは、T字形状のスリット215および逆T字形状のスリット216と同様に、それぞれ互いの一部が重畳する。
以上の電極構造により、液晶表示素子201の画素205においては、走査電極206のスリット215および点状スリット217、218並びに信号電極207のスリット216および点状スリット219、220の形成による斜め電界の影響を受ける。そして、上下左右に隣接するサブ画素221〜224のON時の液晶の傾き方向が、好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なるようになる。このとき、サブ画素221とサブ画素223とは、同じ液晶の傾き方向を有し、サブ画素222とサブ画素224とは、同じ液晶の傾き方向を有する。したがって、液晶表示素子201では、走査電極206および信号電極207のスリット215、216および点状スリット217〜220により、画素205が、液晶の傾き方向が互いに好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なる2種類のサブ画素に分割されることになる。
その結果、液晶表示素子201の画素205のサブ画素221〜224のそれぞれの主視角方向は、図15で矢印(図中、主視角方向と表示)を用いて示される方向となる。そして、サブ画素221とサブ画素223とは、同じ主視角方向を有し、サブ画素222とサブ画素224とは、同じ主視角方向を有する。すなわち、液晶表示素子201では、図15に示すように、走査電極206および信号電極207のスリット215、216および点状スリット217〜220によって画素205が、主視角方向が互いに好ましくは85度〜95度、より好ましくは90度異なる2種類のサブ画素に分割されることになる。
また、本実施形態の液晶表示素子201は、画素205の走査電極206にT字形状のスリット215とともに点状のスリット217、218を設けることにより、スリット215の大きさ、具体的には上述したスリット長さを小さくすることができる。同様に、本実施形態の液晶表示素子201は、画素205の信号電極207に逆T字形状のスリット216とともに点状のスリット219、220を設けることにより、スリット216の大きさ、具体的にはスリット長さを小さくすることができる。
画素の201のT字形状のスリット215と逆T字形状のスリット216は、電極の開口部であり、その部分は表示に利用できない。そのため、スリット215、216の大きさが大きくなると、画素205の有効表示領域が少なくなり、表示の明るさが低下する。これに対し、点状のスリット217〜220を設けることで、T字形状のスリット215および逆T字形状のスリット216を小さくすることができれば、画素205の有効表示領域を大きくすることができ、表示の明るさを向上させることができる。
また、本実施形態の液晶表示素子201では、第1実施形態の液晶表示素子101と同様に、F偏光板108(図示されない)の偏光軸235は、走査電極206の縁部による画素205のエッジと平行となり、R偏光板109(図示されない)の偏光軸236は、そのエッジと垂直となる。尚、図15においては、F偏光板108の偏光軸235およびR偏光板109の偏光軸236を、矢印を用いて模式的に示している。
その結果、画素205のサブ画素221〜224では、電極エッジにおいてエッジクロストーク現象が発生しても、それが見え難くなるように構成されている。すなわち、電極エッジでのクロストーク現象は、電極エッジと垂直な方向に発生する電界に液晶が反応して傾き動作し、それが感知されて発生する。しかし、F偏光板108の偏光軸235を、電極エッジと平行(または、垂直)に設定することで、液晶表示素子201は、そうした液晶の傾き動作を感知され難くすることができる。
すなわち、本実施形態の液晶表示素子201では、エッジクロストーク現象に対する耐性が強化されている。したがって、走査電極数が16以上であっても、特に、32以上であっても、エッジクロストーク現象を許容できる範囲に抑制することができる。したがって、本実施形態の液晶表示素子201は、エッジクロストーク現象の観点から、走査電極数32以上の場合に、特に優れた表示の液晶表示素子となる。
また、本実施形態の液晶表示素子201においては、走査電極206のスリット215および点状スリット217、218並びに信号電極207のスリット216および点状スリット219、220の形成による斜め電界の形成を高精度に制御し、上述のような画素205の2種類のサブ画素への分割を高精度に実現する。そのために、液晶表示素子201では、第1実施形態の液晶表示素子101の画素105の構造と同様の画素205の構造が求められる。
特に、図12で第1実施形態の液晶表示素子101について示されたΔについては、それ対応する、第1の部分215a、216aの重ならない部分の上下方向の幅が、5μm以上となることが好ましい。そのΔに対応する幅が5μmより小さい場合、スリット215の第1の部分215aによる斜め電界の形成がスリット216の第1の部分216aの影響を受け、不安定化する恐れがある。
また、液晶表示素子201のサブ画素221〜224はそれぞれ、平面視で、T字形状のスリット215により規定される角の頂点および逆T字形状のスリット216により規定される角の頂点を結んだ軸Aに対して対称となる形状を有することが好ましい。
そして、液晶表示素子201のサブ画素221〜224はそれぞれ、平面視で、T字形状のスリット215のサブ画素221〜224の角を規定する部分と、逆T字形状のスリット216の対応するサブ画素221〜224の角を規定する部分とが、残りの角の頂点を結んだ軸Bに対して、対称に配置される構造となることが好ましい。同様に、サブ画素221〜224のそれぞれにおいて、その軸Bに対して、点状スリット217と点状スリット220とが対称に配置され、点状スリット218と点状スリット219とが対称に配置される。
そのため、サブ画素221〜224はそれぞれ、対向する2つの角およびそれら伸びる2つの辺が、スリット215、216および点状スリット217〜220により規定されて、実質的に正方形状を有することが好ましい。
画素205のサブ画素221〜224の構造をこのようにすることで、走査電極206のスリット215と点状スリット217、218、および、信号電極207のスリット116と点状スリット219、220による斜め電界の形成を高精度に制御し、上述のような画素205の2種類のサブ画素への分割を高精度に実現することができる。
次に、画素205をサブ画素221〜224に分割するために好適なスリット215、216および点状スリット217〜220のサイズについて説明する。
T字形状のスリット215、逆T字形状の216および点状スリット217〜220の好適なサイズの検討には、上述の第1実施形態の液晶表示素子101の場合と同様に、光学計算ソフト(Shintech社製、名称:LCD Master)を用いた計算手法を用いた。計算の対象となる液晶表示素子の構造も点状スリットを設けた以外の構造は、上述のものと同様とした。
尚、点状スリット217〜220に対応する各点状スリットの形状については、いずれも互いに同じ形状とした。そして、サブ画素221〜224に対応する正方形状のサブ画素の一辺の長さを40μmとした場合について評価を行った。
計算手法を用いた評価の結果、スリットのスリット長さが20μmで、点状スリットが一辺の長さが10μmの正方形状とした場合は、明るさは100であった。スリットのスリット長さが10μmで、点状スリットが一辺の長さが20μmで幅が10μmの長方形状とした場合は、明るさは70であった。スリットのスリット長さが15μmで、点状スリットが一辺の長さが15μmで幅が10μmの長方形状とした場合は、明るさは75であった。
以上の評価結果から、点状のスリットを設けることで、スリットのスリット長さを短くすることができ、スリットを小さくすることができる。具体的には、上述した評価結果より、スリット長さが30μmでは、明るさは100であった。それに対し、本実施形態での評価結果では、スリットのスリット長さが20μmで、点状スリットが一辺の長さが10μm正方形状とした場合は、明るさは100となる。したがって、点状のスリットを設けることで、スリットのスリット長さを短くすることができ、スリットを小さくすることができることがわかる。
そして、上述のいずれの例においても、エッジクロストーク現象の抑制が確認された。
次に、上述のΔに対応する、スリットの重ならない部分の上下方向の幅の影響を評価した。評価は、画素における、スリットのスリット長さを20μmとし、点状スリットは一辺の長さが10μmの正方形状とした。
計算手法を用いた評価の結果、上述のΔに対応する幅が5μmである場合、明るさは100であった。上述のΔに対応する幅が4μmである場合、明るさは90であった。上述のΔに対応する幅が3μmである場合、明るさは80であった。上述のΔに対応する幅が2μmである場合、明るさは60であった。
以上の評価結果から、図12のΔに対応する、スリットの重ならない部分の上下方向の幅は5μm以上であることが好ましいことがわかった。
図16は、本発明の第2実施形態のシミュレーションによる液晶表示素子の評価結果を示す図である。
図16では、サブ画素の一辺の長さが40μmで、スリット長さが20μmで、点状スリットが一辺の長さが10μm正方形状である例の液晶表示素子におけるON時の状態を示している。
図16に示すように、上述の例の液晶表示素子では、画素が、液晶の傾き方向が互いに90度異なる2種類のサブ画素に分割されて2−ドメイン化が実現され、また、エッジクロストーク現象が抑制されて、画素の各サブ画素内で均一なON状態が形成されていることがわかった。
以上より、本発明の第2実施形態の液晶表示素子201は、好ましい視野角特性を備える2−ドメイン化を実現するとともに、優れたマルチプレックス駆動特性を有することがわかった。
尚、本発明の第2実施形態の液晶表示素子201においては、平面視で、サブ画素221〜224の各辺に、1つの点状スリットまたは、2つの点状スリットが重なり合った1組の点状スリットが配置されているが、各辺に配置する点状スリットの数は上述のものに限られない。本発明において、点状スリットは、各辺同様に、複数または2つの点状スリットが重畳する複数組を設けることも可能である。
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1.
本発明の第1実施例の液晶表示素子を製造するため、ITO膜付きの一対のガラス基板を準備した。そして、そのガラス基板の一方を用い、公知の方法でITOをパターニングして、図10(a)に示したのと同様の構造のT字形状のスリットを複数、規則的に配置して有する走査電極を備えた第1の基板を製造した。スリットのサイズについては、上述したスリット長さを30μmとし、形成されるサブ画素の一辺の長さが40μmとなるようにそれらを配置した。尚、後に形成される画素において、サブ画素は上下方向に6個、左右方向に6個の合計36個が設けられる。
次いで、ガラス基板のもう一方を用い、公知の方法でITOをパターニングして、図10(b)に示したのと同様の構造の逆T字形状のスリットを複数、規則的に配置して有する信号電極を備えた第2の基板を製造した。スリットのサイズについては、上述したスリット長さを30μmとし、形成されるサブ画素の一辺の長さが40μmとなるようにそれらを配置した。
こうして得られた第1の基板と第2の基板は、電極形成面を対向させて重ね合わせることにより、上述した図11に示したものと同様の電極の構造が実現される。
次いで、垂直性の配向膜を第1の基板と第2の基板の両方の電極形成面に成膜し、液晶を挟持してVA型の液晶パネルを製造した。液晶としては、誘電異方性(Δε)が−5.6のものを用いた。液晶パネルのリタデーション(Δn・d)は538nmに設定した。
製造された液晶パネルは、上述した図1の液晶表示素子の電極構造と同様の電極構造を有する。したがって、液晶パネルは、図1のように平面視した状態で、走査電極と信号電極の各重なり部分が、走査電極の縁部および信号電極の縁部をエッジとする、それぞれ1つの画素を構成する。そして、製造された液晶パネルを用いる液晶表示素子は、上下左右のマトリクス状に配置された画素を用いて、フルドット表示を可能とする。
また、液晶パネルでは、上述した図11に示す電極の構造が実現され、画素が、上述したように36個のサブ画素を含んで構成される。そして、画素は、主視角方向が互いに90度異なる2種類のサブ画素に分割されるとともに、その2種類のサブ画素はそれぞれ、液晶の傾き方向が走査電極の縁部によるエッジに対して45度の角度をなすよう構成される。
次に、液晶パネルを前面側のF偏光板と背面側のR偏光板の一対の偏光板で挟持してVA型の液晶表示素子を製造した。F偏光板としては、株式会社ポラテクノ製のVHC−128UL2SZ−K1を用い、R偏光板としては、株式会社ポラテクノ製の000R220N−VH39L2S(Re≦7nm,Rth=220nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。
このとき、液晶パネルの各走査電極の伸びる方向、すなわち、(水平方向)を基準軸として、視認側となる前面側から見たときの基準軸からF偏光板の偏光軸までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=0度になるようにし、R偏光板の偏光軸までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=90度になるようにした。尚、F偏光板とR偏光板の各偏光軸が互いに直交するようにしたが、吸収軸が直交するようにしてもよい。
以上のようにして製造した液晶表示素子を用い、デューティ比1/32で駆動させたところ、エッジクロストーク現象抑制されるとともに、2−ドメイン化の効果によって、主視角方向で明るく、広い視野角特性の画像表示が確認された。
実施例2.
本発明の第2実施例の液晶表示素子を製造するため、ITO膜付きの一対のガラス基板を準備した。そして、そのガラス基板の一方を用いて、公知の方法でITOをパターニングして、図14(a)に示したのと同様の構造のT字形状のスリットと点状スリットを複数、規則的に配置して有する走査電極を備えた第1の基板を製造した。スリットのサイズについては、上述したスリット長さを20μmとし、点状スリットを一辺が10μmの正方形状とし、形成されるサブ画素の一辺の長さが40μmとなるようにそれらを配置した。尚、後に形成される画素において、サブ画素は上下方向に6個、左右方向に6個の合計36個が設けられる。
次いで、ガラス基板のもう一方を用い、公知の方法でITOをパターニングして、図14(b)に示したのと同様の構造の逆T字形状のスリットと点状スリットを複数、規則的に配置して有する信号電極を備えた第2の基板を製造した。スリットのサイズについては、上述したスリット長さを20μmとし、点状スリットを一辺が10μmの正方形状とし、形成されるサブ画素の一辺の長さが40μmとなるようにそれらを配置した。
こうして得られた第1の基板と第2の基板は、電極形成面を対向させて重ね合わせることにより、上述した図15に示したのと同様の電極の構造が実現される。
次いで、垂直性の配向膜を第1の基板と第2の基板の両方の電極形成面に成膜し、液晶を挟持してVA型の液晶パネルを製造した。液晶としては、誘電異方性(Δε)が−5.6のものを用いた。液晶パネルのリタデーション(Δn・d)は538nmに設定した。
製造された液晶パネルは、上述した図1の液晶表示素子の電極構造と同様の電極構造を有する。したがって、液晶パネルは、図1のように平面視した状態で、走査電極と信号電極の各重なり部分が、走査電極の縁部および信号電極の縁部をエッジとする、それぞれ1つの画素を構成する。そして、製造された液晶パネルを用いる液晶表示素子は、上下左右のマトリクス状に配置された画素を用いて、フルドット表示を可能とする。
また、液晶パネルでは、上述した図15に示す電極の構造が実現され、画素が、上述したように36個のサブ画素を含んで構成される。そして、画素は、主視角方向が互いに90度異なる2種類のサブ画素に分割されるとともに、その2種類のサブ画素はそれぞれ、液晶の傾き方向が走査電極の縁部によるエッジに対して45度の角度をなすよう構成される。
次に、液晶パネルを前面側のF偏光板と背面側のR偏光板の一対の偏光板で挟持してVA型の液晶表示素子を製造した。F偏光板としては、株式会社ポラテクノ製のVHC−128UL2SZ−K1を用い、R偏光板としては、株式会社ポラテクノ製の000R220N−VH39L2S(Re≦7nm,Rth=220nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。
このとき、液晶パネルの各走査電極の伸びる方向、すなわち、(水平方向)を基準軸として、視認側となる前面側から見たときの基準軸からF偏光板の偏光軸までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=0度になるようにし、R偏光板の偏光軸までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=90度になるようにした。尚、F偏光板とR偏光板の各偏光軸が互いに直交するようにしたが、吸収軸が直交するようにしてもよい。
以上のようにして製造した液晶表示素子を用い、デューティ比1/32で駆動させたところ、エッジクロストーク現象抑制されるとともに、2−ドメイン化の効果によって、主視角方向で明るく、広い視野角特性の画像表示が確認された。
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。