JP6063045B2 - 炭素化方法及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、前駆体繊維の炭素化方法及び炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系繊維、レーヨン系繊維、セルロース系繊維及びピッチ系繊維等から製造された前駆体繊維を焼成して製造される。例えば、ポリアクリロニトリル系繊維から製造された前駆体繊維の焼成は、酸素を含む雰囲気中(耐炎化炉内)で加熱する耐炎化工程、耐炎化工程を経た繊維(以下、「耐炎繊維」という。)を不活性雰囲気中(炭素化炉)で加熱する炭素化工程を経て行われる。なお、上記焼成は、耐炎化炉及び炭素化炉を繊維が通過(走行)することで行われる。
炭素化工程では、機械的特性を高めるために、工程中の繊維に対して適した張力を作用させる必要がある。このため、炭素化工程では、温度の異なる2個(以上)の炉を設け、温度の低い炉から順に耐炎繊維を通過させるようにした技術もある(例えば、特許文献1)。
炭素化工程における加熱は、電気ヒータ等を利用している。つまり、炉内雰囲気を電気ヒータ等で加熱して、この加熱された炉内を耐炎繊維が通過することで、耐炎繊維を間接的に加熱している。この場合、炉内全体を加熱する必要があるため耐炎繊維への加熱効率が低かった(低加熱効率)り、炉内の熱が耐炎繊維束の外側から内側へと徐々に伝わるため炭素化に時間を要した(長時間化)りする。
このような電気ヒータ等を用いた際の低加熱効率や炭素化の長時間化を改善する方法として、耐炎繊維を直接加熱する方法等が検討されている。
直接加熱する方法として、例えば、マイクロ波を利用する方法(例えば、特許文献2,3)、プラズマを利用する方法(例えば、特許文献4)、マイクロ波とプラズマとの双方を利用する方法(例えば、特許文献5)、高周波電磁波を利用する方法(例えば、特許文献6)等がある。
日本国特許第4838595号 日本国特許第1483314号 日本国特許第1401146号 米国特許第6,372,192号 米国特許第8,679,592号 日本国特許第5191004号
しかしながら、特許文献2〜4の技術は、所定長さの耐炎繊維を容器等に配した状態で加熱するものであり、炉内を走行する耐炎繊維に対して適用することはできない。
特許文献5の技術は、1つの導波管内にマイクロ波とプラズマとを同時に発生しているため、導波管内の耐炎繊維に対して繊維の状態に適した張力を作用させるのが困難である。特許文献6の技術は、高周波電磁波を同軸ケーブルのように繊維に直接結合させていることから、処理体内で放電が一度起こるとその後の安定的な処理ができなくなることがある。
本発明は、上記した課題に鑑み、高い加熱効率で炭素化の時間短縮を図りつつ、炭素工程中の繊維の状態に適した張力を作用させることができる炭素化方法及び炭素繊維の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る炭素化方法は、走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化方法において、繊維を加熱する炭素化炉が走行方向に複数個存在し、複数個の炭素化炉のうち、少なくとも1個の炭素化炉において、プラズマを利用して炉内を通過する繊維を加熱することを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法は、走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化工程を含む炭素繊維の製造方法において、前記炭素化工程は、上記の炭素化方法により行われることを特徴としている。
本発明の一態様に係る炭素化方法及び炭素繊維の製造方法は、少なくとも1個の炭素化炉内を通過する繊維に対してプラズマを利用して加熱している。このため、高い加熱効率で繊維を加熱できる。また、複数の炭素化炉を備えているため、各炭素化炉内の繊維に適した張力を作用させることができる。
炭素繊維の製造工程を示す概略図である。 第1の炭素化工程における加熱状態を示す概念図であり、(a)は第1の炭素化炉を示し、(b)は第1の炭素化炉内を通過する耐炎繊維に照射されるマイクロ波の強度分布を示し、(c)は第1の炭素化炉内の電界強度調整機構の概略を示し、(d)は電界強度調整機構のスリットによる開口面積比を示す。 実施形態2に係る第2の炭素化炉の概略図を示す図である。 変形例1に係る第1の炭素化炉を説明する図であり、(a)は第1の炭素化炉を示し、(b)は第1の炭素化炉内を通過する耐炎繊維に照射されるマイクロ波の強度分布を示す。 変形例2に係る第1の炭素化工程における加熱状態を示す概念図であり、(a)は第1の炭素化炉を示し、(b)は第1の炭素化炉内を通過する耐炎繊維に照射されるマイクロ波の強度分布を示し、(c)は第1の炭素化炉内の電界強度調整機構の概略を示す。
<<概要>>
本発明の一態様に係る炭素化工程は、走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化方法において、繊維を加熱する炭素化炉が走行方向に複数個存在し、複数個の炭素化炉のうち、少なくとも1個の炭素化炉において、プラズマを利用して炉内を通過する繊維を加熱する。
ここでいう「複数個の炭素化炉」は、他の炭素化炉と独立した形態のものをいう。「独立した形態」とは、繊維の走行方向に隣接する炭素化炉間で繊維に対して張力調整を行えるような形態をいう。したがって、1個の炭素化炉であっても、繊維の走行方向に沿って内部が複数の領域に分かれ、隣接する領域間で繊維に対して張力調整できるような形態であれば、内部の領域が炭素化炉に相当する。
「前駆体繊維」は、耐炎化された繊維、耐炎化されていない繊維を含む。なお、生産性を考慮すると、耐炎化されている方が好ましい。
「繊維」は、前駆体繊維や1個又は複数個の炭素化炉内を通過した繊維を含む。つまり、前駆体繊維を炭素化する炭素化工程では、前駆体繊維(炭素化炉通過後の繊維を含む。)が通過すべき炭素化炉が複数個あり、前駆体繊維の走行方向の上流側から1番目の炭素化炉内に進入する繊維は前駆体繊維である。上流側から2番目の炭素化炉内に進入する繊維は、1番目の炭素化炉内を通過した繊維であり、上流側から3番目の炭素化炉内に進入する繊維は、2番目の炭素化炉内を通過した繊維である。
また、前記少なくとも1個の炭素化炉では、プラズマを発生させて、発生したプラズマ中に繊維を通すことで、加熱する。又は、前記少なくとも1個の炭素化炉では、プラズマを発生させて、発生したプラズマを繊維に照射することで、加熱する。これにより、繊維を効率的に加熱することができる。
また、前記少なくとも1個の炭素化炉は、繊維の走行方向の上流側から2番目以降に存在する炭素化炉である。これにより、2番目以降に存在する炭素化炉内を通過する繊維の炭素化が進んで導電性が向上しても、繊維で放電するようなことを抑制することができる。なお、放電が生じると、繊維が切断しやすくなる。
また、繊維の走行方向の上流側から1番目に存在する炭素化炉は、マイクロ波及びプラズマの少なくとも一方を利用して、繊維を加熱する。これにより、1番目に存在する炭素化炉内を通過する繊維を効率的に加熱することができる。
また、前記1番目に存在する炭素化炉では、繊維が一定又は増加する熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第1段階と、前記第1段階の後に繊維が前記第1段階終了時に受けていた熱に転換されるエネルギよりも弱い熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第2段階とがあり、前記第1段階は、加熱により繊維から発生するガス量がピークとなる前に、終了する。これにより、1番目に存在する炭素化炉内を通過する繊維に対して、繊維が熱分解反応するのに必要な熱に変換されるエネルギが供給される。
また、前記第2段階では、前記繊維の反応が緩やかに進行するように、前記繊維の受ける熱に転換されるエネルギを徐々に弱めて加熱する。ここでいう「徐々に弱める」は、直線的に弱める場合、曲線的に弱める場合、段差状に弱める場合を含む。弱める度合いは、繊維が自身の蓄熱により切断する場合の弱め方以上であればよい。換言すると、切断が生じる蓄熱量にならないように、弱めればよい。これにより、1番目に存在する炭素化炉内を通過する繊維が繊維自身に蓄熱した熱により切断するのを防止することができる。
また、前記第1段階を終了した繊維の密度が1.60g/cm以下である。これにより、炭素化を安定して行うことができる。
また、前記1番目の炭素化炉を通過した繊維の密度が1.50g/cm以上である。これにより、2番目以降の炭素化炉において炭素化を一層進めることができる。
上記の炭素化方法は炭素化炉に着目しているが、炉内での繊維の炭素化に着目すると、炭素化方法は以下のようになる。
炭素化方法は、炭素化炉内を通過する繊維を加熱する炭素化工程を複数有し、少なくとも1つの炭素化工程においてプラズマを利用して繊維を加熱している。
少なくとも1つの炭素化工程では、プラズマを発生させて、発生したプラズマ中に繊維を通過させることで、加熱する。あるいは、少なくとも1つの炭素化工程では、プラズマを発生させて、発生したプラズマを繊維に照射することで、加熱する。
少なくとも1つの炭素化工程は、繊維の走行方向の上流側から2番目以降で行われる炭素化工程である。このとき、少なくとも1つの炭素化工程の上流側で行われる炭素化工程は、マイクロ波及びプラズマの少なくとも一方を利用して、繊維を加熱する。
繊維の走行方向の上流側から一番目に行われる炭素化工程(最初に行われる炭素化工程)は、炭素化炉内を通過する繊維が一定又は増加する熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第1段階と、前記第1段階の後に繊維が前記第1段階終了時に受けていた熱に転換されるエネルギよりも弱い熱に変換されるエネルギが受けるように加熱する第2段階とがあり、前記第1段階は、加熱により繊維から発生するガス量がピークになる前に、終了する。
前記第2段階では、前記繊維の反応が緩やかに進行するように、前記繊維の受ける熱に転換されるエネルギを徐々に弱めて加熱する。ここでいう「徐々に弱める」は、上述の通りである。
また、前記第1段階を終了した繊維の密度が1.60g/cm以下である。前記1番目の炭素化工程を通過した繊維の密度が1.50g/cm以上である。
本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法は、走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化工程を含む炭素繊維の製造方法において、前記炭素化工程は、上記記載の炭素化方法により行われる。このため、効率良く炭素繊維を製造することができる。
<<実施形態>>
炭素化方法及び当該炭素化方法を利用した炭素繊維の製造方法について、前駆体繊維がアクリロニトリル系繊維である場合を例にとって以下説明する。
本発明の一態様に係る炭素化方法及び炭素繊維の製造方法は、前駆体繊維を炭素化する際に、複数個の炭素化炉を用い、これら複数個の炭素化炉のうち、少なくとも1つの炭素化炉でプラズマを利用すればよく、以下のような実施形態1〜11がある。
実施形態1〜11に係る炭素化方法や炭素繊維の製造方法の一実施例を表1〜2に示す。各実施形態における炭素化方法や炭素繊維の製造方法は、表中の各実施例で示す数字に限定されるものではない。なお、表示中の実施例に付された番号は、実施形態を示す番号に対応している。つまり、表中の「実施例1」は、実施形態1の実施例である。
また、従来の電気ヒータを利用した例を比較例として表1及び表2に記載している。すべての実施例1〜11において、比較例よりも炉内での滞留時間が短くなっている。
なお、繊維の走行方向の上流側からn番目に存在する炭素化炉を、「第nの炭素化炉」といい、第n番目の炭素化炉による炭素化工程を「第nの炭素化工程」という。「n」は2以上の自然数である。
<実施形態1>
実施形態1では、繊維を加熱する炭素化炉が2個あり、繊維の走行方向の上流側から1番目に存在する炭素化炉を「第1の炭素化炉」とし、2番目に存在する炭素化炉を「第2の炭素化炉」としている。プラズマを利用した加熱は、第2の炭素化炉で行われる。
第1の炭素化炉の加熱手段は特に限定しないが、ここでは、マイクロ波を利用している。また、第1の炭素化炉内に進入する前駆体繊維は、耐炎化された耐炎繊維である。ここでいう耐炎繊維は、例えば、密度が1.3[g/cm]〜[1.45g/cm]の繊維である。
1.炭素繊維の製造工程
図1は、炭素繊維の製造工程を示す概略図である。
炭素繊維は、前駆体繊維であるプリカーサを用いて製造される。1本のプリカーサは、複数本、例えば、12,000本のフィラメントが束になったものである。場合によっては、前駆体繊維束や炭素繊維束ということもある。
プリカーサ1aは、アクリロニトリルを90質量%以上含有する単量体を重合した紡糸溶液を湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法において紡糸した後、水洗・乾燥・延伸して得られる。なお、共重合する単量体としては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリルアミド、イタコン酸、マレイン酸等が利用される。
通常、プリカーサ1aを製造する速さと、プリカーサ1aを炭素化して炭素繊維を製造する速さが異なる。このため、製造されたプリカーサ1aは、一旦、カートンに収容されたり、ボビンに巻き取られたりする。
プリカーサ1aは、図1に示すように、例えばボビンから引き出され、下流側に向かって走行する。その途中で、各種の処理がなされて、炭素繊維としてボビン39に巻き取られる。
炭素繊維は、図1に示すように、プリカーサ1aを耐炎化する耐炎化工程と、耐炎化された繊維(以下、「耐炎繊維」という。)1bを延伸させながら炭素化する炭素化工程と、炭素化された繊維(以下、「炭素化後の繊維」ともいう。)1dの表面を改善する表面処理工程と、表面が改善された繊維1eに樹脂を付着させるサイジング工程と、樹脂が付着した繊維1fを乾燥させる乾燥工程とを経て製造される。
乾燥された繊維1gは、炭素繊維1gとしてボビン39に巻き取られる。なお、各工程を終えた繊維を、例えば耐炎繊維1bのように、区別しているが、単に「繊維」として説明する際の符号は、「1」を用いる。
ここで、プリカーサ1aを耐炎化する処理を耐炎化処理、耐炎繊維1bを炭素化する処理を炭素化処理、炭素化後の繊維1dの表面を改善する処理を表面処理、表面が改善された繊維1eに樹脂を付着させる処理をサイジング処理、樹脂が付着した繊維1fを乾燥させる処理を乾燥処理とそれぞれいう。以下、処理、工程について説明する。
(1)耐炎化工程(耐炎化処理)
耐炎化工程は、炉内が200[℃]〜350[℃]の酸化性雰囲気に設定された耐炎化炉3を利用して行う。具体的には、耐炎化は、空気雰囲気中の耐炎化炉3内をプリカーサ1aが1回又は複数回通過することで行われる。なお、酸化性雰囲気は、酸素、二酸化窒素等を含んでいてもよい。
耐炎化工程中のプリカーサ1aは、製造する炭素繊維に合わせて所定の張力で延伸される。耐炎化工程での延伸倍率は、例えば、0.7〜1.3の範囲内である。プリカーサ1aの延伸は複数のローラにより行われる。例えば、延伸は、耐炎化炉3の入口の2個のローラ5,7や出口の3個のローラ9,11,13により行われる。
(2)炭素化工程(炭素化処理)
炭素化工程は、耐炎繊維1bを加熱することで熱分解反応を生じさせて炭素化を行う工程である。炭素化は、耐炎繊維1bが第1の炭素化炉15を通過し、さらに、第1の炭素化炉15を通過した繊維1cが第2の炭素化炉17を通過することで行われる。つまり、炭素化は、少なくとも2個の炭素化炉15,17を通過することで行われる。
ここで、第1の炭素化炉15で行われる炭素化を「第1の炭素化」や「第1の炭素化処理」とし、第1の炭素化処理を終えた(第1の炭素化炉15を出た)繊維1cを「第1の炭素化処理後の繊維」とする。
同様に、第2の炭素化炉17で行われる炭素化を「第2の炭素化」や「第2の炭素化処理」とし、第2の炭素化処理を終えた(第2の炭素化炉17を出た)繊維1dを「第2の炭素化処理後の繊維」又は「炭素化後の繊維」という。
複数個の炭素化炉は、互いに独立した形態で設けられている。ここでは、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17とは互いに独立して設けられ、各炭素化炉15,17の間には繊維の張力を調整する調整手段を設けることができる。
第1の炭素化炉15の外であって入口側にはローラ19が、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17との間にはローラ21が、第2の炭素化炉17の外であって出口側にはローラ23がそれぞれ設けられている。なお、炭素化工程については、後で詳細に説明する。
(3)表面処理工程(表面処理)
表面処理工程は、炭素化後の繊維1dが表面処理装置25内を通過することで行われる。表面処理装置25の外であって出口側にはローラ25が設けられている。なお、表面処理することで、炭素繊維1gを利用して複合材料とした場合、炭素繊維1gとマトリックス樹脂との親和性や接着性が向上する。
表面処理は、一般に炭素繊維1dの表面を酸化することにより行われる。表面処理として、例えば、液相中又は気相中の処理がある。
液相中での処理は、酸化剤に炭素繊維1dを浸漬することによる化学酸化や、炭素繊維1dが浸漬する電解液中で通電することによる陽極電解酸化等が工業的に用いられる。気相中での処理は、炭素繊維1dを酸化性気体の中を通過させたり、放電等によって発生した活性種を吹き付けたりすることにより行なうことができる。
(4)サイジング工程(サイジング処理)
サイジング工程は、繊維1eが樹脂液29内を通過することで行われる。樹脂液29は、樹脂浴27に貯留されている。なお、サイジング工程により、表面処理された繊維1eの収束性が高まる。
サイジング工程中の繊維1eは、樹脂浴27の内部や樹脂浴27の周辺に配された複数のローラ31,33等により走行方向を変更しながら樹脂液29内を通過する。樹脂液29は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を溶剤に溶解させた液やエマルション液が利用される。
(5)乾燥工程(乾燥処理)
乾燥工程は、繊維1fが乾燥炉35内を通過することで行われる。なお、乾燥した繊維1gは、乾燥炉35の外であって下流側のローラ37を介してボビン39に巻き取られる(巻取工程である。)。
2.炭素化工程
炭素工程における炭素化は、耐炎繊維1bを第1の炭素化炉15内でマイクロ波を利用して急速均一加熱して熱分解反応させる第1の炭素化工程と、マイクロ波で加熱した繊維1cを第2の炭素化炉17内で延伸しながらプラズマを利用して急速均一加熱して炭素化を進行させる第2の炭素化工程とを含んでいる。
なお、ここでいう「急速均一加熱」とは、昇温速度が500[℃/分]以上、繊維の表層と中心の温度差が25[℃]のような加熱をいう。
(1)第1の炭素化工程
第1の炭素化工程は、加熱することで熱分解し、耐炎繊維1bを延伸させて、配向を整えて炭素化し易い構造を形成する。
第1の炭素化工程は、不活性ガス雰囲気の第1の炭素化炉15内を走行する耐炎繊維1bに対して、加熱が途中で弱くなるように熱に転換されるエネルギを与えている。なお、不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴン等が利用される。
第1の炭素化炉15は、ここでは、マイクロ波を利用した加熱手段を有し、耐炎繊維1bが受けるマイクロ波の強度を変更できる構成を有している。一例として、第1の炭素化炉15は、第1炉本体と、マイクロ波を第1炉本体内で発生させる発振器であるマグネトロンと、第1炉本体内における耐炎繊維1bの走行領域へ印加するマイクロ波の電界強度を調整する調整機構とを備える。
図2は、第1の炭素化炉を示す概念図である。
図2の(a)は第1の炭素化炉を示し、(b)は第1の炭素化炉内を通過する耐炎繊維に照射されるマイクロ波の強度分布を示し、(c)は第1の炭素化炉内の電界強度調整機構の概略図であり、(d)は電界強度調整機構のスリットによる開口面積を示す。
なお、図2の(b)、(c)、(d)の横軸は、第1の炭素化炉15における耐炎繊維1bが走行する方向の長さを示している。
第1の炭素化炉15は、図2の(a)に示すように、耐炎繊維1bの走行領域に沿って、入り口側の第1領域15aと出口側の第2領域15bとを内部に有している。第1領域15aの耐炎繊維1bの走行方向の長さは「L1」であり、第2領域15bの耐炎繊維1bの走行方向の長さは「L2」である。
なお、第1の炭素化炉15の第1領域15aは、電界強度調整機構51における第1領域15aに対応する領域も「第1領域」とし、第1炭素化炉15の第2領域15bは、電界強度調整機構51における第2領域15bに対応する領域も「第2領域」とする。
電界強度調整機構51は、マイクロ波の透過を遮断する材料から構成され、図2の(c)に示すように、その周壁にマイクロ波の通過を許容するスリット51aを有する。このスリット51aの密度(量)により、耐炎繊維1bに印加されるマイクロ波の電界強度を調整している。
第1領域15aの複数のスリット51aは走行方向に等間隔で設けられている。第2領域15bの複数のスリット51aは、走行方向に沿って出口側に近づくに従って間隔が広くなる状態で設けられており、この電界強度の強弱により熱に転換されるエネルギが増減する。
第2領域15bのスリット51aの間隔は、第1領域15aのスリット51aの間隔よりも広い。つまり、第1領域15aの方が、第2領域15bよりも、耐炎繊維1bへのマイクロ波の照射量が多い。
電界強度調整機構51のスリット51aによる開口面積は、図2の(d)に示すように、第1領域15aでは耐炎繊維1bの走行方向に関係なく一定であり、第2領域15bでは出口に近づくに従って減少している。
第1の炭素化炉15では、上記構成により、第1の炭素化炉15内を走行している耐炎繊維1bに対して、図2の(b)に示すような強度分布を有するマイクロ波を照射する。つまり、第1の炭素化工程では、入口側に位置する第1領域15aでは一定の強度でマイクロ波S1を印加し、その後、第2領域15bでは出口に近づくに従って徐々に強度が低下するようにマイクロ波S2を印加している。
各領域15a,15bで上記のマイクロ波を照射することにより、第1領域15aでは耐炎繊維1bが一定の熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第1段階となり、第2領域15bでは耐炎繊維1bが第1段階終了時に受けていた熱に転換されるエネルギよりも弱い熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第2段階となる。
第1領域15aと第2領域15bとの境界は、マイクロ波により加熱された耐炎繊維1bの熱分解の進行度合いにより規定される。つまり、第1段階は、熱分解により耐炎繊維1bから発生する分解ガスの発生量がピークとなる前に終了する。
ここでの「ピークとなる前」とは、ピークに対して、10[%]以上100[%]未満であればよく、100[%]に近いほど、効率性が向上する。
第2段階では、耐炎繊維1bの反応が緩やかに進行するように、耐炎繊維1bが受ける熱に転換されるエネルギが徐々に弱くなるように、加熱している。第2段階においてマイクロ波の強度を漸次低下させる理由は、耐炎繊維1bの加熱により耐炎繊維1bが蓄熱し、当該蓄積した熱により耐炎繊維1bが切断するのを防止するためである。
換言すると、第1段階は、耐炎繊維1bが熱分解反応するのに必要な熱に転換されるエネルギを与え、第2段階は、蓄熱により耐炎繊維1bが切断しない範囲で炭素化に必要な熱に転換されるエネルギを与えている。
分解ガスは、例えば、ポリアクリロニトリルの分解によって生じた有機化合物やアンモニア(NH)、シアン化水素(HCN)であり、耐炎繊維1bの温度が350[℃]〜500[℃]で、発生量が最も多くなる。ガス量がピークとなる温度での耐炎繊維1bの密度は、略1.5[g/cm]である。
したがって、第1段階は、耐炎繊維1bの密度が1.40[g/cm]〜1.50[g/cm]となるまで、耐炎繊維1bに対してマイクロ波を照射する工程とも言える。
第1の炭素化工程で与えられる熱に転換されるエネルギの総量は、加熱と発熱とによる炭素化が急激に進行しない量である。具体的には、熱に転換されるエネルギ量は、熱分解による分解ガスが大量に発生した後、発熱せずに、炭素化が緩やかに進行するような量である(この量を、複数段に分けて、例えば、2段階に分けて与えている。)。
耐炎繊維1bの密度を利用して換言すると、第1の炭素化工程中での熱エネルギ量は、耐炎繊維1bの密度が1.50[g/cm]〜1.60[g/cm]の範囲となるような量である。このため、耐炎繊維1bの第1の炭素化処理を安定して行うことができる。
第1段階においてマイクロ波を照射する時間は、分解ガスの発生量のピーク、耐炎繊維1bの密度及び温度について予め実験することで、必要な熱に転換されるエネルギが得られ、マイクロ波の強度との関係で求まる。
第1の炭素化工程における耐炎繊維1bの張力は、加熱状態にある耐炎繊維1bが切断されない範囲で設定されている。加熱状態にある耐炎繊維1bは、構造変化をしているため切断しやすく、予め実験することで、切断しない張力の範囲が得られる。
なお、耐炎繊維1bの張力は、熱分解の速度、熱分解が生じる範囲等により変動するが、延伸倍率が0.9〜1.1の範囲が好ましい。
(2)第2の炭素化工程
第2の炭素化工程は、第1の炭素化炉15を通過した第1の炭素化処理後の繊維1cに対して、第2の炭素化炉17内において、不活性ガス雰囲気中で、第1の炭素化炉15内での張力とは異なる張力下で、急速均一加熱する。なお、不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴン等が利用される。また、第1の炭素化炉17内での張力とは異なる張力は、例えば、第1の炭素化炉17内の張力よりも高い張力である。具体的には、第2の炭素化工程での張力は、第1の炭素化工程の張力の1.0倍〜5.0倍である。
第2の炭素化工程では、第1の炭素化処理後の繊維1cの炭素化を一層進行させる工程である。したがって、第2の炭素化工程は、繊維の密度が1.70[g/cm]〜1.90[g/cm]となるまで、第1の炭素化処理後の繊維1cに対して急速均一加熱を行う工程とも言える。
加熱手段の例として、プラズマを利用している。具体的には、加熱手段は、例えば、第1の炭素化処理後の繊維1cの走行領域を例えば上下方向から挟む状態で配された一対の電極間にアーク放電を繰り返し生じさせることで、第2の炭素化炉17内にプラズマを発生させて、加熱している。
第1の炭素化処理後の繊維1cは、プラズマ中を通過することで加熱される。加熱は、第2の炭素化処理後の繊維1dの構造が既存の雰囲気加熱(例えば、電気ヒータによる加熱である。)で処理された繊維の物性と同等となるように、発生するプラズマの濃度が調整されている。なお、既存の雰囲気加熱は、900[℃]〜2500[℃]相当の温度範囲の加熱である。
耐炎繊維1bは、縮合芳香環の配向を整えるために、炭素化工程で耐炎繊維1b(第1の炭素化処理後の繊維1cも含む)の状態に適した張力で延伸される。この際、実施形態1の炭素化工程では、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17とが別個に独立した形態で存在するため、各炭素化炉15,17内の繊維1b,1cの状態に合わせた張力を繊維1b,1cに作用させることができる。
特に、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17との間には、上下一対のローラで第1の炭素化処理後の繊維1cを狭持するニップローラ21が配されている。これにより、第2の炭素化炉17の外であって出口側のローラ23を利用して、第2の炭素化炉17内の第1の炭素化処理後の繊維1cを延伸しても、第1の炭素化炉15内の耐炎繊維1bに張力が作用することはない。
以下、実施形態1の一実施例について説明する。
ここでは、密度が1.36[g/cm]の耐炎繊維1bを、密度が1.77[g/cm]の炭素化後の繊維1dにまで炭素化する炭素化工程について説明する。
(1)第1の炭素化工程
第1の炭素化炉15で利用するマイクロ波は、波長が0.705[m]〜0.00737[m]の範囲内に、周波数が425[MHz]〜40680[MHz]の範囲内にそれぞれあり、例えば、マグネトロンタイプの発振装置を利用している。
図2の(b)で示す長さL1は0.1[m]〜10[m]の範囲内に、長さL2は、0.2[m]〜10[m]の範囲内にある。マイクロ波の出力は、0.1[kW]〜1000[kW]の範囲内である。
耐炎繊維1bの走行速度は、0.1[m/min]〜50[m/min]の範囲内である。耐炎繊維1bに作用する張力は、0.1[mN/dtex]〜5[mN/dtex]の範囲内である。
第1の炭素化炉15内は、窒素雰囲気下で、91000[Pa]〜122000[Pa]に保たれている。第1の炭素化工程では、耐炎繊維1bを、密度が例えば1.50[g/cm]〜1.60[g/cm]になるまで炭素化する。
(2)第2の炭素化工程
第2の炭素化炉17で利用するプラズマは、例えば、マイクロ波プラズマである。マグネトロンタイプの発振装置によって第2の炭素化炉17内でマイクロ波を発生させ、炉内の窒素を励起させることで、炉内にプラズマを充満させている。
第2の炭素化炉17内は、窒素雰囲気下で、100[Pa]〜122000[Pa]に保たれている。第1の炭素化処理後の繊維1cの速度は、0.08[m/min]〜55[m/min]の範囲にある。第1の炭素化処理後の繊維1cに作用する張力は、0.2[mN/dtex]〜5[mN/dtex]の範囲内である。また、プラズマを発生させる際のマイクロ波の出力は、0.1[kW]〜1000[kW]の範囲内である。
<実施形態2>
以下、実施形態2の一実施例について説明する。
実施形態1では、第2の炭素化工程において第1の炭素化処理後の繊維1cをプラズマ雰囲気中を通過させている。実施形態2では、第2の炭素化工程において第1の炭素化処理後の繊維1cにプラズマを照射する例を説明する。
実施形態2に係る炭素繊維の製造方法は、耐炎化工程、炭素化工程、表面処理工程、サイジング工程、乾燥工程を含む。実施形態2における、耐炎化工程、炭素化工程の第1の炭素化工程、表面処理工程、サイジング工程及び乾燥工程は、実施形態1で説明したこれらの工程と同じである。このため、ここでは、実施形態2に係る炭素化工程の第2の炭素化工程について説明する。
実施形態2に係る炭素化工程では、第1炭素化炉15を通過した第1の炭素化処理後の繊維1cに対して、表裏が相互に反転する撚りを掛ける撚掛け工程を含んでいる。つまり、炭素化工程は、第1の炭素化工程と、第2の炭素化工程との間に、撚掛け工程を含んでいる。なお、撚掛け工程を行う理由については後述するが、フィラメント間のばらつきを少なくするためである。
図3は、実施形態2に係る第2の炭素化炉の概略図を示す図である。
第2の炭素化炉101は、第1の炭素化処理後の繊維1cが通過する炉本体103と、炉本体103の上部から内部へとプラズマ105を照射するプラズマ照射装置107と、炉本体103の内部を不活性雰囲気にするための導入管109と排気管111とを備える。なお、ここでは、不活性ガスとして窒素が利用されている。
プラズマ照射装置107は、ここでは、スロットアンテナ方式を利用した表面波プラズマを発生させる。このため、第2の炭素化炉101内を通過している第1の炭素化処理後の繊維1cの上面に対してのみプラズマが照射されることになる。
発明者は、プラズマ照射装置107を炉本体103の上下に設け、第2の炭素化炉内の第1の炭素化処理後の繊維1cに対してその表裏からプラズマを照射する両面照射技術を検討している。その一方で、図3のような、炉本体103の上下の一方、ここでの例では上側にプラズマ照射装置107を配置し、第2の炭素化炉101内の第1の炭素化処理後の繊維1cに対してその上面にプラズマを照射させる片面照射技術についても検討している。
発明者の片面照射技術の検討によれば、第2の炭素化炉101内において、第1の炭素化処理後の繊維1cの上面が加熱されると、炭素化後の繊維1dを構成するフィラメント間のばらつきが大きくなることが判明した。
ここでのフィラメントは、複数本が束になった繊維束の状態である。このフィラメント長のばらつきは、第2の炭素化炉101内を走行する第1の炭素化処理後の繊維(束)1cにおいて、繊維束の上面に近い位置を走行しているフィラメントの温度が、繊維束の下面に近い位置を走行しているフィラメントの温度よりも高くなり、第1の炭素化処理後の繊維(束)1cの上部と下部とで炭素化度に違いが生じるためと推測している。
実施形態2に係る炭素化工程では、上述のように、撚掛け工程を含んでいる。したがって、第2の炭素化炉101内を走行する第1の炭素化処理後の繊維1cが表裏(上下)反転することとなる。これにより、第2の炭素化炉101内の第1の炭素化処理後の繊維1cの上面と下面との温度差を小さくでき、フィラメント間の熱収縮ばらつきを小さくすることができる。
撚り数は、第1の炭素化処理後の繊維1cが第2の炭素化炉101内を通過する間に、表裏反転して、プラズマ照射される回数が表裏で同じであればよい。つまり、上面にプラズマが照射される回数(時間)と、下面にプラズマが照射される回数(時間)とが同じであればよい。
但し、第2の炭素化炉101内に進入した際の第1の炭素化処理後の繊維1cの初期の温度上昇分を考慮すると、反転回数が10[回/m]以上、つまり、撚り数が5[回/m]以上あるのが好ましい。なお、ここでいう撚り数は、1[m]あたりの繊維束の回転数とする。
撚掛装置としては、例えば、仮撚り機を利用することができる。
<実施形態3>
以下、実施形態3の一実施例について説明する。
実施形態3は、炭素化炉が2個あり、2個の炭素化炉でプラズマを利用して、繊維を加熱する形態である。なお、実施形態3〜11におけるプラズマを利用した加熱は、実施形態1のようにプラズマ雰囲気中に繊維を走行させてもよいし、実施形態2のように走行中の繊維にプラズマを照射してもよい。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、1[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は1.0[kW]である。炉内の滞留時間は15[sec]で、耐炎繊維を密度1.55[g/cm]になるまで炭素化できる。
第1の炭素化炉において、プラズマを利用する場合、例えば、実施形態1の第2の炭素化炉17のプラズマの熱に転換されるエネルギを調整することで実施できる。より具体的には、第2の炭素化炉17で発生させるプラズマの濃度を調整(薄く)することで利用できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、8[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は3.0[kW]である。炉内の滞留時間は30[sec]で、密度1.80[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が3.5[GPa]であり、引張弾性率が235[GPa]であった。
<実施形態4>
以下、実施形態4の一実施例について説明する。
実施形態4は、炭素化炉が2個あり、第1の炭素化炉はプラズマを利用し、第2の炭素化炉は電気ヒータを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、1[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は1.5[kW]である。炉内の滞留時間が30[sec]で、耐炎繊維を密度1.76[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより1400[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が240[sec]で、密度1.79[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が5.0[GPa]であり、引張弾性率が240[GPa]であった。
<実施形態5>
以下、実施形態5の一実施例について説明する。
実施形態5は、炭素化炉が2個あり、第1の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第2の炭素化炉はプラズマを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより600[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が180[sec]で、密度1.55[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、4[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は0.5[kW]である。炉内の滞留時間が50[sec]で、密度1.77[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が4.0[GPa]であり、引張弾性率が240[GPa]であった。
<実施形態6>
以下、実施形態6の一実施例について説明する。
実施形態6は、炭素化炉が3個あり、第1の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第2の炭素化炉はプラズマを利用し、第3の炭素化炉は電気ヒータを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより600[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が180[sec]で、密度1.55[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、4[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は0.5[kW]である。炉内の滞留時間が50[sec]で、密度1.77[g/cm]になるまで炭素化できる。
第3の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより1600[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が300[sec]で、密度1.80[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が4.2[GPa]であり、引張弾性率が285[GPa]であった。
<実施形態7>
以下、実施形態7の一実施例について説明する。
実施形態7は、炭素化炉が3個あり、第1の炭素化炉はマイクロ波を利用し、第2の炭素化炉はプラズマを利用し、第3の炭素化炉は電気ヒータを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。マイクロ波の出力は1.5[kW]である。炉内の滞留時間が120[sec]で、密度1.60[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、4[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は0.5[kW]である。炉内の滞留時間が60[sec]で、密度1.78[g/cm]になるまで炭素化できる。
第3の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより1650[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が360[sec]で、密度1.80[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が3.8[GPa]であり、引張弾性率が290[GPa]であった。
<実施形態8>
以下、実施形態8の一実施例について説明する。
実施形態8は、炭素化炉が3個あり、第1の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第2の炭素化炉はプラズマを利用し、第3の炭素化炉はプラズマを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより500[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が120[sec]で、密度1.50[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、1[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は1.0[kW]である。炉内の滞留時間が20[sec]で、密度1.70[g/cm]になるまで炭素化できる。
第3の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、10[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は5.0[kW]である。炉内の滞留時間が20[sec]で、密度1.80[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が4.0[GPa]であり、引張弾性率が235[GPa]であった。
<実施形態9>
以下、実施形態9の一実施例について説明する。
実施形態9は、炭素化炉が3個あり、第1の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第2の炭素化炉はマイクロ波を利用し、第3の炭素化炉はプラズマを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより500[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が120[sec]で、密度1.50[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。マイクロ波を発生させる際の出力は1.5[kW]である。炉内の滞留時間が30[sec]で、密度1.60[g/cm]になるまで炭素化できる。
第3の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、10[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は5.0[kW]である。炉内の滞留時間が30[sec]で、密度1.78[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が3.8[GPa]であり、引張弾性率が235[GPa]であった。
<実施形態10>
以下、実施形態10の一実施例について説明する。
実施形態10は、炭素化炉が3個あり、第1の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第2の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第3の炭素化炉はプラズマを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより600[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が180[sec]で、密度1.55[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより500[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が300[sec]で、密度1.78[g/cm]になるまで炭素化できる。
第3の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、10[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は5.0[kW]である。炉内の滞留時間が60[sec]で、密度1.80[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が4.5[GPa]であり、引張弾性率が290[GPa]であった。
<実施形態11>
以下、実施形態11の一実施例について説明する。
実施形態11は、炭素化炉が3個あり、第1の炭素化炉はマイクロ波を利用し、第2の炭素化炉は電気ヒータを利用し、第3の炭素化炉はプラズマを利用して、繊維を加熱する形態である。
第1の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。マイクロ波の出力は1.5[kW]である。炉内の滞留時間が120[sec]で、密度1.60[g/cm]になるまで炭素化できる。
第2の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、100[kPa]に保たれている。炉内の温度は電気ヒータにより500[℃]に設定されている。炉内の滞留時間が240[sec]で、密度1.77[g/cm]になるまで炭素化できる。
第3の炭素化炉内は、窒素雰囲気下で、10[kPa]に保たれている。プラズマを発生させる際の出力は5.0[kW]である。炉内の滞留時間が90[sec]で、密度1.80[g/cm]になるまで炭素化できる。
なお、得られた炭素繊維は、引張強度が4.3[GPa]であり、引張弾性率が300[GPa]であった。
Figure 0006063045
Figure 0006063045
<<変形例>>
以上、実施形態1〜11に基づいて説明したが、本発明は実施形態1〜11に限られない。例えば、以下で説明する変形例と実施形態1〜11のいずれかを適宜組み合わせてもよいし、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
1.炭素繊維
実施形態では、フィラメント数が12,000本の炭素繊維の製造方法について説明したが、フィラメント数が3,000本、6,000本、24,000本等の他の本数の前駆体繊維の炭素化及び炭素繊維の製造方法にも適用できる。
実施形態では、炭素化工程を含んだ炭素繊維の製造方法について説明したが、例えば、さらに、黒鉛化処理を表面処理工程前に行ってもよい。つまり、実施形態では、主に汎用品(弾性率240[GPa]の炭素繊維の製造方法について説明したが、炭素化工程は、高弾性品、中弾性高強度品等の高性能品の炭素繊維用の前駆体繊維の炭素化にも利用できる。当然に、高性能品の炭素繊維の製造方法にも利用できる。
2.マイクロ波による加熱
(1)マイクロ波の強度
実施形態1では、第1の炭素化炉15内における耐炎繊維1bが通過する領域に金属製の電界強度調整機構51を配置し、当該電界強度調整機構51にマイクロ波が通過できるスリット51aを設け、スリット51aの数(密度)で、マイクロ波の強度を調整している。
しかしながら、他の方法で、マイクロ波の強度を調整してもよい。ここでは、耐炎繊維の走行方向に沿って第1の炭素化炉内を複数の領域に区画し、各領域でマイクロ波の強度を変える例を変形例1として、以下説明する。
図4は、変形例1に係る第1の炭素化炉を説明する図である。
第1の炭素化炉201は、図4に示すように、入り口と当該入口から出口側に距離1L1だけ移った位置との間に存在する第1領域201aと、入り口から距離1L1だけ移った位置と当該位置から距離1L2だけ移った出口との間に存在する第2領域201bとを有する。
第1領域201aにはマイクロ波の発振器であるマグネトロンが設けられている。第1領域201aでのマイクロ波1S1の出力は一定に維持されている。
第2領域201bは、内部がさらに複数の小領域に分かれている。ここでは、3つの小領域に分かれている。3つの小領域は、第1領域201a側から耐炎繊維1bの走行方向に沿って、順に、第1小領域201ba、第2小領域201bb、第3小領域201bcである。
各小領域201ba,201bb,201bcの走行方向の距離(長さ)は、図4の(a)に示すように、1L21、1L22、1L23となっている。ここでは、1L21、1L22、1L23は同じ長さである。
各小領域201ba,201bb,201bcのそれぞれには、マイクロ波の発振器であるマグネトロンが対応して設けられ、各小領域201ba,201bb,201bcで、他の小領域と独立したマイクロ波の出力ができるようになっている。
各小領域201ba,201bb,201bcのマイクロ波1S2の出力は、図4の(b)に示すように、出口に近づくに従って段階的に小さくなっている。なお、各小領域201ba,201bb,201bcでのマイクロ波1S2の出力は、第1領域201aでのマイクロ波1S1の出力よりも小さい。
(2)マイクロ波の強度分布
実施形態1では、図2の(b)に示すように、炭素化工程中の第1の炭素化工程において耐炎繊維1bに印加するマイクロ波S1の強度を第1領域15aで一定としている。
しかしながら、第1の炭素化工程の第1領域で印加するマイクロ波の強度は一定でなくても良く、マイクロ波の強度を変化させる例を変形例2として、以下説明する。
図5は、変形例2に係る第1の炭素化工程における加熱状態を示す概念図である。
図5の(a)は第1の炭素化炉を示し、(b)は第1の炭素化炉内を通過する耐炎繊維に照射されるマイクロ波の強度分布を示し、(c)は第1の炭素化炉内の電界強度調整機構の概略図である。
なお、図5の(b)及び(c)の横軸は、耐炎繊維1bが走行する方向の第1の炭素化炉の長さを示している。
変形例2に係る第1の炭素化炉では、第1の炭素化炉の入口から耐炎繊維1bの走行方向に離れるに従って、耐炎繊維1bに照射するマイクロ波の強度を高めた後、その強度を一定に維持した後、第1の炭素化炉の出口に近づくに従って強度を弱めるような強度分布で、マイクロ波を照射する。以下、このような強度分布を実施するための構成について説明する。
第1の炭素化炉251は、基本的な構成は実施形態1に係る第1の炭素化炉15と同じ構成である。つまり、第1の炭素化炉251は、第1炉本体、マグネトロン、スリット253aが複数形成されている電界強度調整機構253を備える。なお、スリット253aの密度により、耐炎繊維1bに印加されるマイクロ波の強度を調整している
第1の炭素化炉251は、図5の(a)に示すように、第1領域251aと第2領域251bとを有している。第1領域251aの耐炎繊維の1bの走行方向の長さは「2L1」であり、第2領域251bの耐炎繊維1bの走行方向の長さは「2L2」である。
第1領域251aに対応する部分の複数のスリット253aは、入り口から走行方向の略半分までの領域で入口から離れるに従って間隔が小さくなる状態で、略半分から第2領域251bの境界までの領域で等間隔となる状態でそれぞれ設けられている。
第2領域251bに対応する部分の複数のスリット253aは、実施形態1と同様に、耐炎繊維1bの走行方向に沿って出口側に近づくに従って間隔が広くなる状態で設けられている。
上記の構成により、第1の炭素化炉251の内部を走行している耐炎繊維1bに対して、図5の(b)に示すような、第1領域251aで強度が変化する強度分布を有するマイクロ波2S1を照射できる。
3.プラズマによる加熱
(1)加熱手段
実施形態1ではアーク放電を利用してプラズマを発生させ、実施形態2では表面波を利用してプラズマを発生させている。しかしながら、他の方法を利用してプラズマを発生してもよい。他の方法としては、高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法等がある。
(2)プラズマの種類
実施形態1〜11では、窒素雰囲気中で、プラズマを発生させているが、他の不活性ガスを利用してプラズマを発生させてもよい。
図面の符号
1 繊維
1a プリカーサ
1b 耐炎繊維
1c 第1の炭素化処理後の繊維
15 第1の炭素化炉
15a 第1領域
15b 第2領域
17 第2の炭素化炉
21 ローラ
23 ローラ
51 電界強度調整機構
51a スペーサ

Claims (9)

  1. 走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化方法において、
    繊維を加熱する炭素化炉が走行方向に複数個存在し、
    複数個の炭素化炉のうち、繊維の走行方向の上流側から2番目以降に存在する少なくとも1個の炭素化炉において、プラズマを利用して炉内を通過する繊維を加熱し、
    前記走行方向の上流側から1番目の炭素化炉を通過した繊維の密度が1.50g/cm 以上である
    ことを特徴とする炭素化方法。
  2. 前記少なくとも1個の炭素化炉では、プラズマを発生させて、発生したプラズマ中に繊維を通すことで、加熱する
    請求項1に記載の炭素化方法。
  3. 前記少なくとも1個の炭素化炉では、プラズマを発生させて、発生したプラズマを繊維に照射することで、加熱する
    請求項1に記載の炭素化方法。
  4. 繊維の走行方向の上流側から1番目に存在する炭素化炉は、マイクロ波及びプラズマの少なくとも一方を利用して、繊維を加熱する
    請求項に記載の炭素化方法。
  5. 前記1番目に存在する炭素化炉では、繊維が一定又は増加する熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第1段階と、前記第1段階の後に繊維が前記第1段階終了時に受けていた熱に転換されるエネルギよりも弱い熱に転換されるエネルギを受けるように加熱する第2段階とがあり、
    前記第1段階は、加熱により繊維から発生するガス量がピークとなる前に、終了する
    請求項に記載の炭素化方法。
  6. 前記第2段階では、前記繊維の反応が緩やかに進行するように、前記繊維の受ける熱に転換されるエネルギを徐々に弱めて加熱する
    請求項に記載の炭素化方法。
  7. 前記第1段階を終了した繊維の密度が1.60g/cm以下である
    請求項又はに記載の炭素化方法。
  8. 走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化方法において、
    密度が1.50g/cm 以上の繊維に対してプラズマを利用して加熱する
    ことを特徴とする炭素化方法。
  9. 走行中の前駆体繊維を炭素化する炭素化工程を含む炭素繊維の製造方法において、
    前記炭素化工程は、請求項1〜の何れか1項に記載の炭素化方法により行われる
    ことを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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