JP6056836B2 - 直噴エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、直噴エンジンの燃焼室構造に関する。
特許文献1には、ピストンの頂面から凹陥するキャビティによって構成される燃焼室内に、燃料を噴射する火花点火式直噴エンジンが記載されている。この直噴エンジンでは、シリンダ内に導入する吸気にオゾンを添加することによって燃焼を早めており、シリンダのボア中心に配設した燃料噴射弁から噴射した燃料噴霧が飛翔することに伴い燃焼室の中心部から外周部に広がる火炎が、キャビティの壁面に到達する前に、燃焼を終了させる。こうすることにより、燃焼室(つまり、キャビティ内)における中心部の燃焼ガスと、キャビティ壁面との間に、燃焼に寄与しないガス層が形成されることになり、冷却損失を大幅に低減することが可能になる。特許文献1に記載されている直噴エンジンはまた、幾何学的圧縮比が15以上の高い圧縮比となるように構成されており、前述した冷却損失の低減と組み合わさって、熱効率が大幅に向上する。
特開2013−194712号公報
本願出願人はまた、冷却損失を低減する別の技術として、圧縮行程の後半に燃焼室内に燃料を噴射すると共に、そのときの燃料の噴射形態を工夫することによって、燃焼室内の中心部に混合気層を設けると共に、その混合気層の周囲に断熱ガス層を形成し、その状態で、混合気を燃焼させることを提案している(例えば、特願2013−242597号)。尚、ここでいう混合気層は、可燃混合気によって構成及び形成される層であり、可燃混合気は、例えば当量比φ=0.1以上の混合気としてもよい。燃焼室内に混合気層と、それを囲む断熱ガス層とを形成することによって、断熱ガス層が燃焼ガスと壁面との接触を抑制するから、特許文献1に記載されている技術と同様に、冷却損失を大幅に低減することが可能になる。
この技術において、噴射軸心がシリンダの軸線に沿う方向となるように燃料噴射弁を配置する一方で、この燃料噴射弁の噴射先端に対して向かい合うように、燃料噴射弁の噴射軸心に対して対称な形状のキャビティを、ピストンに設けることが、燃焼室の中心部に混合気層を形成する上で有利になる。ここで、前記の先行出願において開示している技術も、エンジンの幾何学的圧縮比を15以上に設定しており、先行出願においては、シリンダヘッドの天井面をペントルーフ型にしていることに対応して、ピストンの頂面を、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて傾斜する2つの傾斜面によって三角屋根状に***させている。ピストンの頂面の中央部に設けられるキャビティは、ピストンの頂面の各傾斜面の一部を抉るようにして設けられる。
火花点火式直噴エンジンにおいては一般的に、点火プラグがシリンダのボア中心付近に配設されるから、燃料噴射弁も、ボア中心付近に配設しようとしたときに、燃料噴射弁及び点火プラグをそれぞれ、シリンダのボア中心から、エンジン出力軸方向に若干ずらして配設する場合がある。混合気層の周囲に断熱ガス層を形成する上で、ピストンに設けるキャビティは、燃料噴射弁の噴射軸心に対して対称となるように設けることが望ましい。燃料噴射弁をシリンダのボア中心からずらして配設することに伴い、キャビティもまた、シリンダのボア中心からずらして設けることになる。前述したように、三角屋根状に***したピストンの頂面にキャビティを設けると、各傾斜面の一部が抉られるようになるが、キャビティをシリンダのボア中心からずらして設けることに伴い、傾斜面が抉られる箇所もまた、シリンダのボア中心からずれるようになる。
混合気層の周囲に断熱ガス層を形成して、混合気層の燃焼室壁面への接触を抑制する技術においては、燃焼室内に燃料を噴射する圧縮行程の後半において、燃焼室内のガス流動はできるだけ弱いことが望ましい。そのため、吸気ポートはスワール流やタンブル流ができるだけ弱くなるように構成される。しかしながら、そうした対策を施しても、圧縮行程の後半において、燃焼室内には弱いタンブル流が残り得る。本願発明者らが検討したところ、ピストン頂面のキャビティを、シリンダのボア中心からずらして設けることに起因して、タンブル流の方向が偏向され、そのことが、圧縮行程の後半に燃料噴射弁から燃料を噴射することによって混合気層を形成したときに、混合気層が、特定の方向に広がってしまうことを招き、燃焼室の壁面(つまり、キャビティ壁面)に接触し得ることが判明した。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃焼室内に混合気層と断熱ガス層とを形成する直噴エンジンにおいて、特定方向に混合気層が広がって当該混合気層が燃焼室の壁面と接触することを抑制することにある。
先ず、図8を参照しながら、混合気層が特定の方向に広がってしまうという前記の課題が生じるメカニズムについて、さらに詳細に説明をする。図8は、シリンダヘッドの天井部、ピストン16の頂面、及びシリンダ11の内周面によって区画される燃焼室17を上から見た平面図に相当する。尚、ここでいう燃焼室17は広義の意味であり、ピストンが圧縮上死点に至ったときに限らず、シリンダヘッドの天井部、ピストン16の頂面、及びシリンダ11の内周面によって区画される空間を意味する。
図8の紙面左側が排気側であり、紙面右側が吸気側であり、吸気側には、破線で示す2つの吸気ポートの開口部180が、エンジン出力軸方向(つまり、紙面上下方向)に並んで配置され、排気側にも同様に、破線で示す2つの排気ポートの開口部190が、エンジン出力軸方向に並んで配置されている。図8からは明らかではないが、吸気ポートのスロート部の軸線は、シリンダ11のボア中心に対して対称となるように配設されている。
図8からは明らかではないが、シリンダヘッドの天井部は、吸気側斜面と排気側斜面とを有しており、燃焼室17は、ペントルーフ型の燃焼室を構成している。また、ピストン16の頂面は、ペントルーフ型の天井部に対応するように、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて傾斜する傾斜面を有しており、ピストン16の頂面は、三角屋根状に***している。これにより、このエンジンの幾何学的圧縮比は高く設定されている。
燃焼室17内に燃料を噴射する燃料噴射弁6は、破線で示すように、ペントルーフの稜線上で、シリンダ11のボア中心に対してエンジン出力軸方向の一側(つまり、紙面下側であり、例えばエンジンの前側に相当)にずれて配設されている。燃料噴射弁6の噴射軸心は、シリンダ11の軸心方向(つまり、紙面に直交する方向)に沿うように配設されている。また、点火プラグ7は、破線で示すように、ペントルーフの稜線上で、シリンダ11のボア中心に対してエンジン出力軸方向の他側(つまり、紙面上側であり、例えばエンジンの後側に相当)にずれて配設されている。
三角屋根状に***したピストン16の頂面には、平面視で略楕円形状となるキャビティ163が凹陥している。燃焼室17内(つまり、キャビティ163内)に混合気層と、その周囲の断熱ガス層とを形成するように、このキャビティ163の中心は、燃料噴射弁6の噴射軸心と一致するように設定されている。従って、略楕円形状のキャビティ163は、シリンダ11のボア中心に対してエンジン出力軸方向の一側にずれている。
このような構成の燃焼室17において、前述したように、2つの吸気ポートはシリンダのボア中心に対して対称となるように配設されていることから、2つの吸気ポートの開口部180を通じてシリンダ11内に流入する吸気の流れ(つまり、タンブル流)は、シリンダ11のボア中心に対して均等な流れとなる。尚、吸気ポートは、混合気層と断熱ガス層とを形成するために、タンブル流はできるだけ弱くなるように構成されている。
タンブル流は、排気側においてシリンダ11の内周面に沿うように下降した後、ピストン16の頂面において吸気側に向かうように流れるが、三角屋根状に***するピストン16の頂面に設けたキャビティ163の位置が、エンジン出力軸方向の一側にずれていることに伴い、ピストン16の傾斜面においてキャビティ163により抉られる箇所が、シリンダ11のボア中心から、エンジン出力軸方向の一側にずれることになる。その抉られた箇所はピストン16の頂面の高さが低くなっている。この箇所は、キャビティ163が設けられておらず、それによりピストン16の頂面の高さが相対的に高い箇所よりも、タンブル流が流れやすくなる。そのため、タンブルの下降流は、図8に破線の矢印で示すように、排気側のエンジン出力軸方向の他側から、吸気側のエンジン出力軸方向の一側に向かう方向に、偏向するようになる。
偏向したタンブルの下降流は、図8に一点鎖線で囲むように、排気側のピストン傾斜面に沿って、上昇する方向の流れ(第1流れF1)、キャビティ163内に流入した後、そのキャビティ163内において、エンジン出力軸方向の一側におけるキャビティ側壁に沿って上向きに流れる流れ(第2流れF2)、及び、キャビティ163を通過した後、吸気側のピストン傾斜面に沿ってシリンダ11の内周面に向かう流れ(第3流れF3)に分かれる。
圧縮行程においてピストン16が上昇するに伴い、白抜きの矢印で示すように、上向きの第2流れF2が加速され、キャビティ163内において、排気側のエンジン出力軸方向の他側から、吸気側のエンジン出力軸方向の一側に向かう方向に偏向した縦渦が生じる。また、第1流れF1は、白抜きの矢印で示すように、圧縮行程の後半においてキャビティ163の内方に向かうスキッシュとなる。さらに、第3流れF3は、白抜きの矢印で示すように、シリンダ11の内周面に沿ってエンジン出力軸方向の一側及び他側に分かれるようになり、第3流れF3は、圧縮行程の後半においてもキャビティ163の内方に向かう流れとはならない。
三角屋根状の***したピストン16の頂面に、エンジン出力軸方向の一側にずれて、キャビティ163を設けることにより、燃料の噴射を行うタイミングである圧縮行程の後半における燃焼室17内のガスの流れは、前述した状態となる。この状態において、キャビティ163の内方に向かうガス流れが弱くなる箇所は、キャビティ163内の縦渦に対し、吸気側でエンジン出力軸方向の他側に隣接する箇所である。燃料噴射弁6から燃料を噴射して混合気層を形成したときに、混合気層は、図8に矢印で示すように、吸気側のエンジン出力軸方向の他側の方向に広がりやすくなる。その結果、当該箇所において、混合気層が、キャビティ163の側壁及び/又は底壁に接触し得る。つまり、キャビティ163をエンジン出力軸方向にずらして配置したときに、そのずれ方向とは逆側の吸気側において、混合気層が広がりやすくなるのである。
ここに開示する技術は、本願発明者等が前述した課題を見出したことにより完成に至ったものであり、混合気層が広がりやすい特定箇所において、混合気層が壁面に接触しないように、キャビティの形状を、他の箇所とは変更することにした。
具体的に、ここに開示する技術は、直噴エンジンの燃焼室構造に係り、この燃焼室構造は、シリンダに内挿されかつ、その頂面から凹陥するキャビティを有するピストンと、2つの吸気ポートの開口部がエンジン出力軸方向に並んで配置された吸気側斜面と、排気ポートの開口部が設けられた排気側斜面とを有しかつ、前記シリンダ及び前記ピストンと共に、ペントルーフ型の燃焼室を区画するよう構成されたシリンダヘッドの天井部と、前記シリンダヘッドの前記天井部において、前記吸気側斜面と前記排気側斜面とが交差するペントルーフの稜線上で、前記シリンダのボア中心に対し、前記エンジン出力軸方向の一側にずれた位置でかつ、噴射軸心が前記シリンダの軸線に沿う方向となるように配設されかつ、噴射先端から、それに向かい合う前記キャビティ内に燃料を噴射するよう構成された燃料噴射弁と、を備える。
そして、前記ピストンの頂面は、前記天井部の前記吸気側斜面及び前記排気側斜面のそれぞれに対応するように、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて傾斜した傾斜面によって***しており、前記キャビティは、前記燃料噴射弁の噴射軸心に対応するように前記エンジン出力軸方向の一側にずれた位置に、前記傾斜面の一部を抉るように設けられ、前記燃焼室内を、前記燃料噴射弁の配設位置を中心として、前記ペントルーフの稜線を挟んだ吸気側でかつ前記エンジン出力軸方向の一側である吸気一側領域、吸気側でかつ前記エンジン出力軸方向の他側である吸気他側領域、前記ペントルーフの稜線を挟んだ排気側でかつ前記エンジン出力軸方向の一側である排気一側領域、及び、排気側でかつ前記エンジン出力軸方向の他側である排気他側領域の、4つの領域に分割したときの、前記吸気他側領域内の特定位置と、前記燃料噴射弁の配設位置とを通る平面で切った縦断面において、前記キャビティの前記特定位置における壁面形状は、前記特定位置に対して前記燃料噴射弁を挟んだ逆側の対称位置における前記キャビティの壁面形状よりも、前記燃料噴射弁の前記噴射先端からの距離が、長くなるように構成されている。
この構成によると、シリンダヘッドの天井部は、吸気側斜面と排気側斜面とによって、ペントルーフ型の燃焼室となるように構成されている。ピストンの頂面は、この天井部に対応するように、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて傾斜した傾斜面によって、いわば三角屋根状に***している。これにより、この直噴エンジンは、幾何学的圧縮比が比較的高く設定される。幾何学的圧縮比は、例えば15以上としてもよい。尚、ペントルーフの稜線と、シリンダのボア中心とは一致する場合、及び、一致しない場合の両方が含まれる。
燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁は、天井部におけるペントルーフの稜線上で、シリンダのボア中心に対してエンジン出力軸方向の一側にずれた位置に配設される。この配置は、燃料噴射弁と点火プラグとを、シリンダのボア中心付近で隣り合って配設するときに有効なレイアウトである。燃料噴射弁はまた、その噴射軸心がシリンダの軸線に沿うように配設される。
ピストンの、***した頂面には、キャビティが凹陥して設けられている。キャビティは、傾斜面の一部を抉るように設けられる。燃料噴射弁から噴射された燃料によって構成される混合気層は、キャビティ内に形成される。
そうして、燃焼室内を、燃料噴射弁の配設位置を中心として、吸気一側領域、吸気他側領域、排気一側領域、及び排気他側領域の4つの領域に分割したときに、燃料噴射弁は、エンジン出力軸方向の一側にずれており、キャビティもまた、燃料噴射弁に向かい合うように、エンジン出力軸方向の一側にずれた位置に設けられる。エンジン出力軸方向に広がるキャビティの、一側の端縁と他側の端縁との中点が、燃料噴射弁の噴射軸心に一致するとすればよい。キャビティがずれた位置に設けられているため、前述したようにタンブル流が偏向し、それに伴い、キャビティ内の混合気層は、キャビティのずれた方向とは逆側である吸気他側領域において、その外方に広がりやすくなる。
そこで、前記の構成では、吸気他側領域内の特定位置と、燃料噴射弁の配設位置とを通る平面で切った縦断面において、キャビティの特定位置における壁面形状を、その特定位置に対して燃料噴射弁を挟んだ対称位置におけるキャビティの壁面形状よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるように構成する。尚、対称位置は、排気一側領域内に含まれる。
こうすることで、キャビティ内の混合気は、吸気他側領域において、その外方に広がりやすくなるものの、キャビティの壁面は、燃料噴射弁の噴射先端に対して相対的に遠い位置になるから、混合気層がキャビティの壁面に接触してしまうことが抑制される。その結果、冷却損失が低減する。ここで、吸気他側領域内の特定位置は、適宜、設定することが可能である。吸気他側領域内の全体に亘って、キャビティの壁面形状が、排気一側領域内の対称位置におけるキャビティの壁面形状よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるように構成してもよい。また、吸気他側領域内の一部において、キャビティの壁面形状が、排気一側領域内の対称位置におけるキャビティの壁面形状よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるように構成してもよい。
キャビティの壁面は、吸気他側領域の全域に亘って、排気一側領域におけるキャビティの壁面形状よりも、噴射先端からの距離が長くなるように構成してもよい。この場合、吸気他側領域の特定位置は、吸気他側領域内の任意の位置となる。また、吸気他側領域の一部において、キャビティの壁面を、排気一側領域におけるキャビティの壁面形状よりも、噴射先端からの距離が長くなるように構成してもよい。
ここで、キャビティの壁面は、キャビティの頂面から凹陥したキャビティにおける側壁及び底壁を含むものである。
前記特定位置における前記キャビティの側壁が、前記対称位置における前記キャビティの側壁よりも、前記ピストンの外方に位置するように、前記キャビティの前記特定位置における形状が構成されている、としてもよい。
こうすることで、吸気他側領域の特定位置におけるキャビティの側壁は、排気一側領域の対称位置におけるキャビティの側壁よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるため、キャビティ内に形成した混合気層が、キャビティの側壁に接触することが抑制される。
キャビティの側壁は、ピストンの頂面との境界から、キャビティの底壁との境界までの間であり、ピストンの頂面及びキャビティの底壁に対して角度を有する部分である。前記縦断面の同じ高さにおいて、特定位置におけるキャビティの側壁と、対称位置におけるキャビティの側壁とを比較したときに、特定位置におけるキャビティの側壁の方が、ピストンの外方に位置していればよい。例えば特定位置におけるキャビティの側壁の角度と、対称位置におけるキャビティの側壁の角度とを同じにした上で、特定位置におけるキャビティの側壁の位置を、ピストンの外方に位置させてもよい。また、特定位置におけるキャビティの側壁の角度と、対称位置におけるキャビティの側壁の角度とを異ならせることによって、特定位置におけるキャビティの側壁の位置を、相対的にピストンの外方に位置させてもよい。さらに、特定位置におけるキャビティの側壁の角度を、対称位置におけるキャビティの側壁の角度とは異ならせつつ、特定位置におけるキャビティの側壁の位置を、相対的にピストンの外方に位置させてもよい。
前記特定位置における前記キャビティの開口縁は、前記対称位置における前記キャビティの開口縁よりも、前記ピストンの外方に位置している、としてもよい。
つまり、特定位置におけるキャビティの側壁の位置を、ピストンの外方に位置することに伴い、キャビティの開口縁も、ピストンの外方に位置するようにしてもよい。
前記特定位置における前記キャビティの底壁が、前記対称位置における前記キャビティの底壁よりも深くなるように、前記キャビティの前記特定位置における形状が構成されている、としてもよい。
こうすることで、吸気他側領域の特定位置におけるキャビティの底壁は、排気一側領域の対称位置におけるキャビティの底壁よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるため、キャビティ内に形成した混合気層が、キャビティの底壁に接触することが抑制される。
ここで、前記縦断面において燃料噴射弁の噴射先端に対し同じ径方向の距離となる箇所において、特定位置におけるキャビティの底壁と、排気一側領域の対称位置におけるキャビティの底壁とを比較したときに、特定位置におけるキャビティの底壁が、相対的に深くなっていればよい。
前述した各形状は、少なくとも吸気他側領域におけるキャビティの壁面形状が、排気一側領域におけるキャビティの壁面形状とは相違するものである。吸気一側領域におけるキャビティの壁面形状及び排気他側領域におけるキャビティ形状は、特に規定していない。例えば、吸気他側領域におけるキャビティの壁面形状のみを、他の3つの領域におけるキャビティの壁面形状と異ならせた場合、キャビティの全体形状は、非対称の形状となる。
これとは異なり、前記キャビティは、前記ペントルーフの稜線に対して対称でかつ前記エンジン出力軸方向に長い楕円状であると共に、前記燃料噴射弁から前記エンジン出力軸方向の他側の端縁までの距離が、前記燃料噴射弁から前記エンジン出力軸方向の一側の端縁までの距離よりも長い形状に構成されている、としてもよい。
ここで、楕円状は、広義の楕円状であり、一平面上で2定点からの距離の和が一定であるような点の軌跡である楕円の他に、滑らかにつながる曲線、又は、曲線及び直線によって無端に構成される長円状の形状も、ここでいう楕円状に含まれる。
前記の構成によると、キャビティは、ペントルーフの稜線に対して対称な楕円状であると共に、燃料噴射弁からエンジン出力軸方向の他側の端縁までの距離が、燃料噴射弁からエンジン出力軸方向の一側の端縁までの距離よりも長い形状に構成されている。これにより、少なくとも吸気他側領域においては、キャビティの側壁が、排気一側領域及び吸気一側領域のキャビティの側壁よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるように構成される。従って、前記の構成と同様に、キャビティ内に形成した混合気層がキャビティの壁面に接触することが回避される。
前記の構成はまた、排気他側領域においても、吸気他側領域と同様に、キャビティの側壁が、排気一側領域及び吸気一側領域のキャビティの側壁よりも、燃料噴射弁の噴射先端からの距離が長くなるように構成される。この構成のキャビティは、燃料噴射弁の配設位置に対応するようエンジン出力軸の一側にずらして設けたキャビティを、エンジン出力軸の他側に引き延ばしたような形状となるが、当該キャビティのエンジン出力軸方向の一側の端縁と他側の端縁との中点は、シリンダのボア中心に対して、エンジン出力軸方向の一側にずれている。
キャビティを、エンジン出力軸の他側に引き延ばすように形成することにより、ピストンの頂面における排気側の傾斜面において、キャビティによって抉られる箇所はエンジン出力軸の他側の方向に広がることになるから、前述した、タンブル流の偏向が緩和されることになる。そのため、キャビティ内の混合気層が、吸気他側領域において外方に広がること自体が抑制されるから、前記の構成は、混合気層がキャビティの壁面に接触することを防止する上で有利になる。
前記の直噴エンジンの燃焼室構造によると、燃料噴射弁をエンジン出力軸の一側にずらして配設した直噴エンジンにおいて、***した頂面を有するピストンに設けたキャビティの、吸気他側領域の特定位置における壁面形状を、燃料噴射弁の噴射先端から遠ざけるようにしたから、キャビティ内に形成した混合気層が、特定方向に広がっても、混合気層とキャビティの壁面との接触を回避して、冷却損失を抑制することができる。
エンジンの構成を示す概略図である。 燃焼室の構成を示す、エンジン出力軸方向の縦断面図である。 ピストンの頂面形状を示す斜視図である。 ピストンの頂面に設けたキャビティの構成を示す、(a)平面図、(b)吸排気方向の縦断面図、(c)エンジン出力軸方向の縦断面図、(d)特定位置と対称位置とを含む縦断面図である。 ピストンの頂面に設けた、図4とは異なるキャビティの構成を示す、(a)平面図、(b)吸排気方向の縦断面図、(c)エンジン出力軸方向の縦断面図、(d)特定位置と対称位置とを含む縦断面図である。 ピストンの頂面に設けた、図4とは異なるキャビティの構成を示す、(a)平面図、(b)吸排気方向の縦断面図、(c)エンジン出力軸方向の縦断面図、(d)特定位置と対称位置とを含む縦断面図である。 ピストンの頂面に設けた、図4とは異なるキャビティの構成を示す平面図である。 燃焼室内のガス流れを示す平面説明図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明は例示である。
(エンジンの全体構成)
図1は、実施形態に係るエンジン1の構成を示している。エンジン1のクランクシャフト15は、図示しないが、変速機を介して駆動輪に連結されている。エンジン1の出力が駆動輪に伝達されることによって、車両が推進する。ここで、エンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンであるが、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよく、少なくともガソリンを含む液体燃料であれば、どのような燃料であってもよい。
エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11が形成されている(図1では、1つのみ示す)。エンジン1は、多気筒エンジンである。シリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、図示は省略するが冷却水が流れるウォータージャケットが形成されている。各シリンダ11内には、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されたピストン16が摺動自在に嵌挿されている。ピストン16は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。
本実施形態では、燃焼室17の天井部170(シリンダヘッド13の下面)は、吸気ポート18の開口部180が設けられかつ、シリンダ11の中央に向かって登り勾配となった吸気側斜面171と、排気ポート19の開口部190が設けられかつ、シリンダ11の中央に向かって登り勾配となった排気側斜面172とを備えて構成されている。燃焼室17は、ペントルーフ型の燃焼室である。尚、ペントルーフの稜線は、シリンダ11のボア中心に一致する場合、及び一致しない場合の両方があり得る。また、ピストン16の頂面160は、天井部170の吸気側斜面171及び排気側斜面172に対応するように、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて、ピストンの中央に向かって登り勾配となった傾斜面161、162によって、三角屋根状に***している。これにより、このエンジン1の幾何学的圧縮比は、15以上の高い圧縮比に設定されている。また、ピストン16の頂面160には、凹状のキャビティ163が形成されている。ピストン16の頂面160の形状については、後で詳述する。
図1には1つのみ示すが、シリンダ11毎に2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成されている。吸気ポート18の開口部180は、シリンダヘッド13の吸気側斜面171に、エンジン出力軸(つまり、クランクシャフト15)の方向に並んで設けられ(図4(a)参照)、吸気ポート18は、この開口部180を通じて燃焼室17に連通している。2つの吸気ポート18の開口部180は、シリンダ11のボア中心に対して対称に配設されていると共に、図4には明示しないが、吸気ポート18のスロート部の軸線は、シリンダ11のボア中心に対して対称となるように設けられている。同様に、シリンダ11毎に2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成されている。排気ポート19の開口部190は、シリンダヘッド13の排気側斜面172に、エンジン出力軸の方向に並んで設けられ(図4(a)参照)、排気ポート19は、この開口部190を通じて燃焼室17に連通している。2つの排気ポート19の開口部190は、シリンダ11のボア中心に対して対称に配設されている。
吸気ポート18は、吸気通路181に接続されている。吸気通路181には、図示は省略するが、吸気流量を調節するスロットル弁が介設されている。排気ポート19は、排気通路191に接続されている。排気通路191には、図示は省略するが、1つ以上の触媒コンバータを有する排気ガス浄化システムが配設されている。触媒コンバータは、三元触媒を含む。
シリンダヘッド13には、吸気弁21及び排気弁22が、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を燃焼室17から遮断(閉)することができるように配設されている。吸気弁21は吸気弁駆動機構により、排気弁22は排気弁駆動機構により、それぞれ駆動される。吸気弁21及び排気弁22は所定のタイミングで往復動して、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を開閉し、シリンダ11内のガス交換を行う。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、図示は省略するが、それぞれ、クランクシャフト15に駆動連結された吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有し、これらのカムシャフトはクランクシャフト15の回転と同期して回転する。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、この例では、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は電動式の位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)23、24を、少なくとも含んで構成されている。尚、吸気弁駆動機構及び/又は排気弁駆動機構は、VVT23、24と共に、弁リフト量を変更可能なリフト可変機構を備えるようにしてもよい。リフト可変機構は、リフト量を連続的に変更可能なCVVL(Continuous Variable Valve Lift)としてもよい。尚、吸気弁21及び排気弁22を駆動する動弁機構は、どのようなものであってもよく、例えば油圧式や電磁式の駆動機構を採用してもよい。
シリンダヘッド13には、燃焼室17内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁6が取り付けられている。燃料噴射弁6は、吸気側斜面171と排気側斜面172とが公差するペントルーフの稜線上であってかつ、図2に示すように、シリンダ11のボア中心に対して、エンジン出力軸方向の一側(図2における紙面左側であり、これは、この実施形態ではエンジン1において反トランスミッション側の、いわゆるエンジン前側に相当する)に、ずれて配設されている。燃料噴射弁6はまた、その噴射軸心が、シリンダ11の軸心に沿うように配設されて、噴射先端が、燃焼室17内に臨んでいる。ピストン16のキャビティ163は、この燃料噴射弁6に向かい合うように設けられている。燃料噴射弁6は、このキャビティ163内に向かって、燃料を噴射する。
燃料噴射弁6は、詳細は後述するが、図2に概念的に示すように、燃焼室17内(つまり、キャビティ163内)に、(可燃)混合気層と、その周囲の断熱ガス層とが形成可能に構成されている。燃料噴射弁6は、例えば外開弁式の燃料噴射弁としてもよい。外開弁式の燃料噴射弁は、リフト量を調整することにより、噴射する燃料噴霧の粒径を変更することが可能である。本願出願人が先に出願した特願2013−242597号に開示しているように、この外開弁式の燃料噴射弁の特性を利用して、多段噴射を基本とした燃料噴射態様を、適宜制御することにより、燃料噴霧の進行方向への飛散距離及び燃料噴霧の噴射軸心に対する広がりを調整することができるため、圧縮上死点付近のタイミングで燃料を噴射することにより、キャビティ163の中央部に混合気層を、その外周囲に断熱ガス層を形成することが可能である。また、外開弁式の燃料噴射弁に限らず、VOC(Valve Covered Orifice)ノズルタイプのインジェクタも、ノズル口に発生するキャビテーションの度合い調整することにより、噴口の有効断面積を変更して、噴射する燃料噴霧の粒径を変更することが可能である。従って、外開弁式の燃料噴射弁と同様に、圧縮上死点付近のタイミングで噴射する燃料噴霧の進行方向への飛散距離及び燃料噴霧の噴射軸心に対する広がりを調整することにより、キャビティ163内の中央部に混合気層を、その外周囲に断熱ガス層を形成することが可能である。
また、ヒータによって所定の温度まで加熱した燃料を、高圧雰囲気の燃焼室17内に噴射することにより、燃料を超臨界状態とすることによっても、キャビティ163内の中央部に混合気層を、その外周囲に断熱ガス層を形成することが可能である。この技術は、燃焼室17内に噴射した燃料を瞬時に気化させることによって燃料噴霧のペネトレーションが短くなり、図2に示すように、キャビティ163内における燃料噴射弁6の近傍に、混合気層を形成するものである。尚、燃料噴射弁は、例えば複数の噴口を有するマルチホールタイプの燃料噴射弁において、燃料を加熱するヒータを備えて構成される。また、この構成以外の燃料噴射弁であってもよい。こうした燃料噴射弁の構成は、公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
シリンダヘッド13には、点火プラグ7が取り付けられている。点火プラグ7は、図2に示すように、ペントルーフの稜線上でかつ、シリンダ11のボア中心に対してエンジン出力軸方向の他側(つまり、エンジン後側)にずれて配設されている。点火プラグ7は、燃料噴射弁6に近づく方向に、シリンダ11の軸線に対し傾いて配設されている。これにより、燃料噴射弁6と点火プラグ7とは、シリンダ11のボア中心近傍に、互いに近接して配設される。
このエンジン1は、前述したように、幾何学的圧縮比εが15以上に設定されている。幾何学的圧縮比は、40以下とすればよく、特に20以上35以下が好ましい。エンジン1は圧縮比が高いほど膨張比も高くなる構成から、高圧縮比と同時に、比較的高い膨張比を有するエンジン1でもある。このエンジン1は、基本的には全運転領域でシリンダ11内に噴射した燃料を圧縮着火により燃焼させるよう構成されており、高い幾何学的圧縮比は、圧縮着火燃焼を安定化する。
燃焼室17は、シリンダ11の内周面と、ピストン16の頂面160と、シリンダヘッド13の下面(天井部170)と、吸気弁21及び排気弁22それぞれのバルブヘッドの面と、によって区画形成されている。冷却損失を低減すべく、これらの区画面に、遮熱層を設けることによって、燃焼室17が遮熱化されている。遮熱層は、これらの区画面の全てに設けてもよいし、これらの区画面の一部に設けてもよい。また、燃焼室17を直接区画する壁面ではないが、吸気ポート18や排気ポート19における、燃焼室17の天井部170側の開口近傍のポート壁面に遮熱層を設けてもよい。
これらの遮熱層は、燃焼室17内の燃焼ガスの熱が、区画面を通じて放出されることを抑制するため、燃焼室17を構成する金属製の母材よりも熱伝導率が低く設定される。
また、遮熱層は、冷却損失を低減する上で、母材よりも容積比熱が小さいことが好ましい。つまり、遮熱層の熱容量を小さくして、燃焼室17の区画面の温度が、燃焼室17内のガス温度の変動に追従して変化するようにすることが好ましい。
前記遮熱層は、例えば、母材上にZrO等のセラミック材料をプラズマ溶射によってコーティングして形成すればよい。このセラミック材料の中には、多数の気孔を含んでいてもよい。このようにすれば、遮熱層の熱伝導率及び容積比熱をより低くすることができる。
本実施形態では、前記の燃焼室の遮熱構造に加えて、シリンダ11内(つまり、燃焼室17内)においてガス層による断熱層を形成することで、冷却損失を大幅に低減するようにしている。
具体的には、燃焼室17内の外周部に新気を含むガス層が形成されかつ中心部に混合気層が形成されるように、圧縮行程以降において燃料噴射弁6の噴射先端からキャビティ163内に燃料を噴射させることにより、図2に示すように、燃料噴射弁6の近傍の、キャビティ163内の中心部に混合気層が形成されかつ、その周囲に新気を含むガス層が形成されるという、成層化が実現する。このガス層は、新気のみであってもよく、新気に加えて、既燃ガス(EGRガス)を含んでいてもよい。尚、ガス層に少量の燃料が混じっても問題はなく、ガス層が断熱層の役割を果たせるように混合気層よりも燃料リーンであればよい。
前記のようにガス層と混合気層とが形成された状態で燃料が圧縮着火燃焼すれば、混合気層とシリンダ11の壁面との間のガス層により、混合気層の火炎がシリンダ11の壁面に接触することがなく、そのガス層が断熱層となって、シリンダ11の壁面からの熱の放出を抑えることができるようになる。この結果、冷却損失を大幅に低減することができる。
尚、冷却損失を低減させるだけでは、その冷却損失の低減分が排気損失に転換されて図示熱効率の向上にはあまり寄与しないところ、このエンジン1では、高圧縮比化に伴う高膨張比化によって、冷却損失の低減分に相当する燃焼ガスのエネルギを、機械仕事に効率よく変換している。すなわち、エンジン1は、冷却損失及び排気損失を共に低減させる構成を採用することによって、図示熱効率を大幅に向上させているということができる。
このような混合気層とガス層とを燃焼室17内に形成するために、燃料を噴射するタイミングにおいては、燃焼室17内のガス流動は弱いことが望ましい。そのため、吸気ポートは、燃焼室17内でスワールが生じない、又は、生じ難いようなストレート形状を有していると共に、タンブル流もできるだけ弱くなるように、構成されている。
次に、燃焼室を構成するピストンの頂面の形状について、図を参照しながらさらに詳細に説明をする。図3は、ピストン16の頂面の形状を示す斜視図である。図3における紙面右手前が吸気側、紙面左奥が排気側であり、紙面左手前がエンジン出力軸方向の一側(つまり、エンジン前側)、紙面右奥がエンジン出力軸方向の他側(つまり、エンジン後側)である。
前述したように、ピストン16の頂面160は、吸気側の傾斜面161と、排気側の傾斜面162とがそれぞれ、ピストン16の中央に向かって登り勾配となって構成されており、これにより、ピストン16の頂面は、エンジン出力軸における一方の側から、エンジン出力軸に沿う方向にピストン16を見たときに、両側それぞれから中央部に向かって次第に***した三角屋根状を成している。吸気側の傾斜面161及び排気側の傾斜面162には、それぞれバルブリセスが形成されている。この内、吸気側の傾斜面162では、エンジン出力軸の方向に並んだ2つの吸気弁21のバルブヘッドの間に相当する部分も、バルブリセスと共に、傾斜面161が削られており、吸気側の傾斜面161は、バルブリセスが設けられているものの、実質的に平坦な面を構成する。一方、排気側の傾斜面162では、エンジン出力軸の方向に並んだ2つの排気弁22のバルブヘッドの間に相当する部分は、削られずに残されている。この部分は、ピストン16が上死点付近に至ったときに、排気側から燃焼室17の中央に向かうスキッシュを発生させるスキッシュエリア164となる。
ピストン16の頂面160の稜線付近における、エンジン出力軸方向の両側端部は、図2にも示すように、頂面160に向かってピストン径が縮小するように湾曲している。この湾曲は、シリンダヘッド13の天井部170の湾曲形状に対応して設けられている。これは、エンジン1の幾何学的圧縮比を高くする上で有利な構成である。
前述したように、ピストン16の頂面160にはキャビティ163が凹陥している。キャビティ163は、図2に示すように、開口縁から凹陥するに従い、その大きさが次第に縮小するように設けられており、キャビティ163は、ピストン16の頂面160に連続する側壁1631と、側壁1631に連続する底壁1632とから構成されている。図2に示すように、ピストン16の中心を通る縦断面において、キャビティ163は、バスタブのような形状を有している。側壁1631は、ピストン16の頂面160及び底壁1632とは異なる角度を有しており、ピストン16の頂面160と側壁1631との間、及び、側壁1631と底壁1632との間には、それぞれアールが設けられている。
以下においては、ピストン16の頂面160と側壁1631との間のアールは、ピストン16の頂面160に含まれるとして、アールと側壁1631とが接する位置を、頂面160と側壁1631との境界とする。この境界は、キャビティ163の開口縁を構成する。また、側壁1631と底壁1632との間のアールは、側壁1631に含まれるとして、アールと底壁1632とが接する位置を、側壁1631と底壁1632との境界とする。尚、頂面160と側壁1631との境界、及び、側壁1631と底壁1632との境界はそれぞれ、前述した定義とは異なるように設定することも可能である。例えば、頂面160と側壁1631との間のアールは、側壁1631に含まれるとして、頂面160とアールとが接する位置を、頂面160と側壁1631との境界としてもよい。また、そのアールの中央を、頂面160と側壁1631との境界とすることも可能である。同様に、側壁1631と底壁1632との間のアールは、底壁1632に含まれるとして、アールと側壁1631とが接する位置を、側壁1631と底壁1632との境界としてもよい。また、そのアールの中央を、側壁1631と底壁1632との境界とすることも可能である。頂面160、側壁1631及び底壁1632をどのように定義しても、以下に説明するキャビティ形状に関する構成は、全て成立し得る。
キャビティ163は、図3に示すように、略楕円形状の開口縁を有する。この楕円は、広義の楕円である。キャビティ163はまた、図2及び図4に示すように、その中心位置、より正確には、キャビティ163の最大幅に相当する箇所において吸気側の端縁と排気側との端縁との中点でかつ、エンジン出力軸方向の一側の端縁と他側の端点との中点である中心位置が、燃料噴射弁6の噴射軸心に一致するように設けられている。これは、前述したように、キャビティ163内の中心部に混合気層を形成する上で有利な構成である。前述したように、燃料噴射弁6の噴射軸心は、エンジン出力軸方向の一側にずれているため、キャビティ163もまた、ピストン16の頂面160において、ピストン16の中心に対し、エンジン出力軸方向の一側にずれて位置することになる。
キャビティ163は、三角屋根状に***したピストン16の頂面160に設けられているため、図3からもわかるように、このキャビティ163によって、吸気側の傾斜面161及び排気側の傾斜面162の一部はそれぞれ、抉られる。キャビティ163がずれて設けられることに伴い、吸気側の傾斜面161及び排気側の傾斜面162において抉られる箇所もまた、図2に示すように、シリンダ11のボア中心に対称となるのではなく、エンジン出力軸方向の一側にずれることになる。また、キャビティ163がエンジン出力軸方向の一側にずれることに伴い、このキャビティ163を挟んだ両側それぞれに残るピストン16の頂面160における稜線部分は、エンジン出力軸方向の一側の部分が相対的に短くかつ、エンジン出力軸方向の他側の部分が相対的に長くなる。
前述したように、このエンジン1は、燃焼室17内のガス流動が弱くなるように構成されているが、燃焼室17内で、弱いタンブル流は発生し得る。三角屋根状に***したピストン16の頂面160に、略楕円形状のキャビティ163を、エンジン出力軸方向の一側にずれて配設することに伴い、図8を参照しながら説明をしたように、タンブル流が、シリンダ11のボア中心からずれたキャビティ163の方向に流れやすくなり、図4(a)に破線の矢印で示すように、タンブル流は、燃焼室17内において、排気側のエンジン出力軸方向の他側から、吸気側のエンジン出力軸方向の一側に向かう方向に、偏向するようになる。
タンブル流が偏向する結果、燃料噴射弁6から噴射した燃料により、キャビティ163内に形成される混合気層は、図4(a)に実線の矢印で示すように、吸気側のエンジン出力軸方向の他側の方向に広がりやすくなり、混合気層が、キャビティ163の壁面に接触する可能性が高まる。そこで、このエンジン1では、ピストン16に設けたキャビティ163の形状を工夫することによって、混合気層がキャビティ163の壁面に接触することを防止するようにしている。
具体的には、図4(a)に示すように、燃焼室17内を、燃料噴射弁6の配設位置を中心として、ペントルーフの稜線を挟んだ吸気側でかつエンジン出力軸方向の一側である吸気一側領域(図の右下の領域)、吸気側でかつエンジン出力軸方向の他側である吸気他側領域(図の右上の領域)、ペントルーフの稜線を挟んだ排気側でかつエンジン出力軸方向の一側である排気一側領域(図の左下の領域)、及び、排気側でかつエンジン出力軸方向の他側である排気他側領域(図の左上の領域)の、4つの領域に分割したときの、吸気他側領域内の特定位置と、燃料噴射弁6の配設位置と、を通る平面で切った縦断面(図4(d)参照)において、キャビティ163の特定位置における壁面形状(図4(d)の右上側に示す壁面形状)を、特定位置に対して燃料噴射弁6を挟んだ逆側の対称位置におけるキャビティ163の壁面形状(図4(d)の左下側に示す壁面形状)よりも、燃料噴射弁6の噴射先端からの距離が、長くなるように構成している。より具体的に、図4(d)の紙面右上側に示す実線は、特定位置におけるキャビティ163の側壁1631を示し、破線は、対称位置におけるキャビティ163の側壁1631を示している。つまり、破線は、図4(d)の紙面左下側に示す側壁1631の対称形状に相当する。同図に示すように、特定位置におけるキャビティ163の側壁1631は、対称位置におけるキャビティ163の側壁に対して、側壁1631と底壁1632との境界位置を同じにしつつ、アールを含む側壁1631を寝かせる(つまり、側壁1631の水平面に対する角度が小さくなる)ように構成する結果、その位置を、ピストン16の外方となるようにしている。これに伴い、特定位置におけるキャビティ163の開口縁の位置も、対称位置における開口縁よりも、ピストン16の外方に位置づけられる。その結果、図4(a)に示すように、キャビティ163の開口縁は、燃料噴射弁6の噴射軸心に対して対称な形状ではなくなり、吸気他側領域において、開口縁が、ピストン16の外方に膨らむように、キャビティ163が構成される。
こうして、吸気他側領域において、キャビティ163の側壁1631と、燃料噴射弁6の噴射先端との距離を離すことにより、吸気側のエンジン出力軸方向の他側の方向に混合気層が広がったとしても、混合気層がキャビティ163の壁面に接触することが抑制され、冷却損失の低減が図られる。尚、特定位置におけるキャビティ163の側壁1631の位置と、対称位置におけるキャビティ163の側壁1631との位置との差は、適宜設定すればよい。
ここで、図4に示す構成例では、同図(a)から明らかなように、吸気他側領域の全体に亘って、キャビティ163の側壁を、ピストン16の外方に位置させるようにしている。これとは異なり、図示は省略するが、吸気他側領域における一部分において、キャビティ163の側壁を、ピストン16の外方に位置させるようにしてもよい。この構成は、キャビティ163の容積をできる限り小さくすることになり、幾何学的圧縮比を高く維持する上で有利になる。さらに、吸気他側領域に(連続して)隣り合う、吸気一側領域及び/又は排気他側領域の一部においても、吸気他側領域と同じように、キャビティ163の側壁1631を、ピストン16の外方に位置させるようにしてもよい。つまり、キャビティ163の壁面形状を変更する範囲を、吸気他側領域内に限定するのではなく、吸気他側領域から、吸気一側領域及び/又は排気他側領域の一部にまで拡大してもよい。
また、図示は省略するが、特定位置においては、キャビティ163の側壁1631の角度を、対称位置におけるキャビティ163の側壁1631の角度と同じにしつつ、特定位置におけるキャビティ163の側壁1631の位置を、ピストン16の外方に位置づけるようにしてもよい。この構成では、特定位置において、側壁1631と底壁1632との境界の位置、及び、開口縁の位置が共に、ピストンの外方に位置づけられる。
さらに、図示は省略するが、例えばキャビティ163の開口縁の位置を変更せずに、特定位置において、側壁1631を立たせる(つまり、側壁1631の水平面に対する角度が大きくなる)ように構成する結果、側壁1631の位置を、ピストン16の外方となるようにしてもよい。この構成では、側壁1631と底壁1632との境界の位置が、ピストンの外方に位置づけられる。
図5は、図4とは異なる構成例を示している。図5に示す構成例においては、キャビティ163の底壁1632の位置を変更している。具体的には、吸気他側領域の特定位置におけるキャビティ163の底壁1632は、図5(d)の紙面右上側において実線で示される。破線は、図5(d)の紙面左下側に示す対称位置におけるキャビティ163の底壁1632に相当する。特定位置におけるキャビティ163の底壁1632は、対称位置におけるキャビティ163の底壁1632よりも、深くなるように構成されている。これにより、吸気他側領域内の特定位置と、燃料噴射弁6の配設位置とを通る平面で切った縦断面(図5(d)参照)において、キャビティ163の特定位置における壁面形状は、対称位置におけるキャビティ163の壁面形状よりも、燃料噴射弁6の噴射先端からの距離が、長くなる。その結果、キャビティ163内に形成した混合気層は、吸気側のエンジン出力軸方向の他側の方向に広がりやすいものの、キャビティ163の底壁1632に接触し難くなり、冷却損失の低減が図られる。
この構成では、図4に示す構成例とは異なり、キャビティ163の開口縁の位置は、吸気他側領域においても変更されないため、図5(a)に示すように、キャビティ163の開口縁の形状は、燃料噴射弁6の噴射軸心に対し、対称な形状となる。
尚、特定位置におけるキャビティ163の底壁1632の深さと、対称位置におけるキャビティ163の底壁1632との深さとの差は、適宜設定すればよい。
また、キャビティ163の底壁1632の深さは、吸気他側領域の全体に亘って、相対的に深くしてもよいが、吸気他側領域における一部分において、キャビティ163の底壁を、相対的に深くするようにしてもよい。さらに、吸気他側領域に(連続して)隣り合う、吸気一側領域及び/又は排気他側領域の一部においても、吸気他側領域と同じように、キャビティ163の底壁1632の深さを、相対的に深くしてもよい。つまり、キャビティ163の壁面形状を変更する範囲を、吸気他側領域内に限定するのではなく、吸気他側領域から、吸気一側領域及び/又は排気他側領域の一部にまで拡大してもよい。
図6は、キャビティ163の側壁1631をピストンの外方に位置づける構成例と、キャビティ163の底壁1632をより深くする構成例とを組み合わせた構成を示している。つまり、図6に示す構成例においては、吸気他側領域の特定位置において、キャビティ163の側壁1631及び底壁1632の位置それぞれを、排気一側領域の対称位置におけるキャビティ163の側壁1631及び底壁1632の位置とは異ならせている。具体的には、吸気他側領域の特定位置におけるキャビティ163の側壁1631及び底壁1632は、図6(d)の紙面右上側において実線で示される。破線は、図6(d)の紙面左下側に示す対称位置におけるキャビティ163の側壁1631及び底壁1632に相当する。特定位置におけるキャビティ163の側壁1631は、相対的にピストン16の外方に位置すると共に、底壁1632は、対称位置におけるキャビティ163の底壁1632よりも、深くなるように構成されている。これにより、吸気他側領域内の特定位置と、燃料噴射弁6の配設位置とを通る平面で切った縦断面(図6(d)参照)において、キャビティ163の特定位置における壁面形状は、対称位置におけるキャビティ163の壁面形状よりも、燃料噴射弁6の噴射先端からの距離が長くなる。その結果、キャビティ163内に形成した混合気層は、吸気側のエンジン出力軸方向の他側の方向に広がりやすいものの、キャビティ163の底壁1632に接触し難くなり、冷却損失の低減が図られる。
尚、図6に示す構成例では、図4に示す構成例と同様に、吸気他側領域においては、キャビティ163の開口縁が、ピストン16の外方に膨らむように構成される。
図4〜図6に示す構成例はそれぞれ、吸気他側領域のみにおいて、キャビティ163の壁面形状を、他の領域におけるキャビティ163の壁面形状と異ならせている。これとは異なり、図7に示す構成例は、吸気他側領域と共に、排気他側領域におけるキャビティ163の壁面形状を、吸気一側領域及び排気一側領域におけるキャビティ163の壁面形状とは異ならせている。
具体的に、図7に示すキャビティ構成は、燃料噴射弁6が配設されるペントルーフの稜線に対して対称な、略楕円形状を有している。一方で、略楕円形状のキャビティ163は、燃料噴射弁6からエンジン出力軸方向の一側の端縁までの距離と、燃料噴射弁からエンジン出力軸方向の他側の端縁までの距離とを比較したときに、他側の端縁までの距離の方が長くなるように形成されている。これは、略楕円形状のキャビティにおいて、最も幅の広い箇所(つまり、燃料噴射弁6の配設位置に相当する箇所)を、エンジン出力軸方向の他側に向かって拡張したような形状を有している。但し、このキャビティ163においても、エンジン出力軸方向の一側の端縁と他側の端縁との中点は、シリンダ11のボア中心よりも、エンジン出力軸方向の一側にずれている。
このキャビティ構成において、図7に破線で示す形状(この形状は、吸気一側領域及び排気一側領域におけるキャビティの開口縁の対称形状に相当する)に対し、吸気他側領域において、キャビティ163の側壁1631は、ピストン16の外方に位置することになる。これにより、前述したように、混合気層が、燃料噴射弁6から吸気他側領域の方向に広がっても、混合気層がキャビティ163の側壁1631に接触してしまうことが抑制される。
また、図7に示す構成例では、排気他側領域においても、キャビティ163の側壁1631が、破線で示す対称形状に対して、ピストン16の外方に位置することになる。これは、ピストン16の頂面160の排気側の傾斜面162において、キャビティ163によって抉られる箇所が、エンジン出力軸方向の他側に広がることと等価である。つまり、抉られた箇所が、エンジン出力軸方向の一側に片寄らないため、図7に示す構成例では、同図に破線の矢印で示すように、タンブル流の偏向が抑制される。このことにより、燃料噴射弁6から吸気他側領域の方向に混合気層が広がること自体が抑制される。こうして、図7に示す構成例でも、キャビティ163内に形成した混合気層が、キャビティ163の壁面に接触してしまうことが、効果的に抑制される。
尚、図4〜図6の構成例においても、ペントルーフの稜線に対して対称な形状となるように、排気他側領域におけるキャビティ163の壁面形状を、吸気他側領域におけるキャビティ163の壁面形状に対応する形状にしてもよい。
1 エンジン
11 シリンダ
13 シリンダヘッド
15 クランクシャフト(エンジン出力軸)
16 ピストン
163 キャビティ
1631 側壁
1632 底壁
17 燃焼室
170 天井部
18 吸気ポート
19 排気ポート
6 燃料噴射弁

Claims (5)

  1. シリンダに内挿されかつ、その頂面から凹陥するキャビティを有するピストンと、
    2つの吸気ポートの開口部がエンジン出力軸方向に並んで配置された吸気側斜面と、排気ポートの開口部が設けられた排気側斜面とを有しかつ、前記シリンダ及び前記ピストンと共に、ペントルーフ型の燃焼室を区画するよう構成されたシリンダヘッドの天井部と、
    前記シリンダヘッドの前記天井部において、前記吸気側斜面と前記排気側斜面とが交差するペントルーフの稜線上で、前記シリンダのボア中心に対し、前記エンジン出力軸方向の一側にずれた位置でかつ、噴射軸心が前記シリンダの軸線に沿う方向となるように配設されかつ、噴射先端から、それに向かい合う前記キャビティ内に燃料を噴射するよう構成された燃料噴射弁と、を備え、
    前記ピストンの頂面は、前記天井部の前記吸気側斜面及び前記排気側斜面のそれぞれに対応するように、吸気側及び排気側のそれぞれにおいて傾斜した傾斜面によって***しており、
    前記キャビティは、前記燃料噴射弁の噴射軸心に対応するように前記エンジン出力軸方向の一側にずれた位置に、前記傾斜面の一部を抉るように設けられ、
    前記燃焼室内を、前記燃料噴射弁の配設位置を中心として、前記ペントルーフの稜線を挟んだ吸気側でかつ前記エンジン出力軸方向の一側である吸気一側領域、吸気側でかつ前記エンジン出力軸方向の他側である吸気他側領域、前記ペントルーフの稜線を挟んだ排気側でかつ前記エンジン出力軸方向の一側である排気一側領域、及び、排気側でかつ前記エンジン出力軸方向の他側である排気他側領域の、4つの領域に分割したときの、前記吸気他側領域内の特定位置と、前記燃料噴射弁の配設位置とを通る平面で切った縦断面において、前記キャビティの前記特定位置における壁面形状は、前記特定位置に対して前記燃料噴射弁を挟んだ逆側の対称位置における前記キャビティの壁面形状よりも、前記燃料噴射弁の前記噴射先端からの距離が、長くなるように構成されている直噴エンジンの燃焼室構造。
  2. 請求項1に記載の直噴エンジンの燃焼室構造において、
    前記特定位置における前記キャビティの側壁が、前記対称位置における前記キャビティの側壁よりも、前記ピストンの外方に位置するように、前記キャビティの前記特定位置における形状が構成されている直噴エンジンの燃焼室構造。
  3. 請求項2に記載の直噴エンジンの燃焼室構造において、
    前記特定位置における前記キャビティの開口縁は、前記対称位置における前記キャビティの開口縁よりも、前記ピストンの外方に位置している直噴エンジンの燃焼室構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の直噴エンジンの燃焼室構造において、
    前記特定位置における前記キャビティの底壁が、前記対称位置における前記キャビティの底壁よりも深くなるように、前記キャビティの前記特定位置における形状が構成されている直噴エンジンの燃焼室構造。
  5. 請求項3に記載の直噴エンジンの燃焼室構造において、
    前記キャビティは、前記ペントルーフの稜線に対して対称でかつ前記エンジン出力軸方向に長い楕円状であると共に、前記燃料噴射弁から前記エンジン出力軸方向の他側の端縁までの距離が、前記燃料噴射弁から前記エンジン出力軸方向の一側の端縁までの距離よりも長い形状に構成されている直噴エンジンの燃焼室構造。
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