以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(非接触電力伝送システムの概要の説明)
図1は、本発明の実施の形態による非接触電力伝送システムの全体構成図である。図2は、車両が充電ステーション内の駐車位置に駐車する様子を説明するための図である。最初に、図1,図2を用いて本実施の形態についての概要を説明する。
図1,図2を参照して、本実施の形態の非接触電力伝送システムは、車両10と、充電ステーション90とを備える。充電ステーション90は、通信部810と、駐車区画A〜Cと、各駐車区画A〜C内に設けられた送電部700A〜700Cとを含む。図2の「車両停車領域R」は、車両10の受電部100と充電ステーション90の送電部700A〜700Cのいずれかが対向するように、車両10が停車したときに車両10が位置する領域を示す。
なお、図2においては、送電装置20Cの送電部700Cに関する車両停車領域について示したが、当然のことながら、送電装置20A,20Bの送電部700A,700Bの各々においても、車両停車領域を有する。
通信部810は、車両停車領域R内および車両停車領域R外に達するように信号を発信可能とされている。具体的には、通信部810の発信エリアは、通信部810を中心として、たとえば半径5m〜10mの範囲である。
換言すれば、通信部810は、駐車区画A〜C内のみならず、駐車区画A〜Cから数メートル離れた位置まで達するように信号を発信する。仮に、駐車区画A〜C内または各駐車区画A〜Cから数メートルの範囲内に車両10があると、車両10は、充電ステーション90からの信号を受信することができる。
車両10は、駐車区画内のみならず、駐車区画A〜Cの外(たとえば5〜10m程度離れた位置)から充電ステーション90に信号を送信して、充電ステーション90に受信させることが可能な通信部510と、送電部700A〜700Cから非接触で受電可能に構成された受電部100と、受電部100と送電部700A〜700Cとの相対的な位置関係をユーザに報知するための表示部520と、通信部510、受電部100および表示部520を制御する制御部(車両ECU500)とを備える。
好ましくは、充電ステーション90は、各駐車区画内A〜Cに設けられたセンサ21A〜21Cを含む。センサ21A〜21Cは、駐車区画A〜C内に停車している車両の有無を検知する。充電ステーション90は、センサ21A〜21Cからの出力に基づいて、駐車区画A〜Cの少なくとも1つの駐車区画に車両が停車していないと判断すると、充電ステーション90が送電可能であることを知らせるブロードキャスト信号を周囲に発信する。その一方で、充電ステーション90は、センサ21A〜21Cからの出力に基づいて、駐車区画A〜Cの全てに車両が停車していると判断すると、上記ブロードキャスト信号を周囲に発信しない。これにより、駐車区画が空いているときに車両10が充電ステーション90内に案内されることになる。
車両10は、充電ステーション90から上記ブロードキャスト信号を受信すると、受電部100を構成する共振回路に関する情報を周囲に発信する。すなわち、受電部100は、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成されている。受電部100の共振回路は、S構成、P構成、SP構成およびPS構成のいずれかの構成を有しており(具体的な構成については後述)、車両10から発信される上記情報には、少なくとも受電部100の共振回路の構成に関する情報が含まれる。
送電部700A〜700Cの各々も、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。送電部700A〜700Cの各々は、共振回路の構成を切替可能に構成される。具体的には、送電部700A〜700Cの各々は、S構成およびSP構成のいずれかの共振回路に切替可能に構成される(形成される共振回路の具体的な構成および切替手段については後述)。
そして、充電ステーション90は、受電部100の共振回路に関する上記情報を受信すると、車両が停車していない駐車区画に対応する送電部において、受電部100の共振回路の構成に応じた共振回路が形成される。具体的には、受電部100の共振回路がS構成またはP構成のときは、上記の送電部においてS構成の共振回路が形成され、受電部100の共振回路がSP構成またはPS構成のときは、上記の送電部においてSP構成の共振回路が形成される。このように、各送電部700A〜700Cは、受電部100の共振回路の構成に応じてS構成、P構成、SP構成およびPS構成の全てに切替可能ではなく、S構成およびSP構成のいずれかのみに切替可能な構成であり、各送電部の構成が簡素化されている。
次いで、車両10は、駐車区画に対して車両10の位置合わせを行なうための位置確認用電力の出力を要求する信号を周囲に発信する。なお、位置確認用電力とは、駐車区画に対して車両10の位置合わせを行なう際に充電ステーション90から出力される電力であり、この位置確認用電力を車両10で受電したときの受電電圧に基づいて車両10の位置合わせが行なわれる。なお、上記の要求信号は、車両10を中心として、5m〜10m程度の範囲に届くように発信される。これにより、車両10が駐車区画A〜Cの外側に位置していたとしても、充電ステーション90は、要求信号を受信することができる。
そして、充電ステーション90が上記要求信号を受信すると、充電ステーション90は、少なくとも空いている駐車区画A〜C内に設けられた送電部700A〜700Cに位置確認用電力を供給する。そして、車両ECU500は、受電部100で受電された電力によって生じる受電電圧VRに基づいて、受電部100と送電部700A〜700Cのいずれかとの位置関係を表示部520に表示させる。このような構成とすることにより、実際に送電部と受電部との間で電力伝送を行なわせて、その結果に応じて位置合わせを行なうことができるので、確実に車両10の充電をすることができる。
好ましくは、車両10は、使用者によって操作される非接触充電スイッチ530を含み、非接触充電スイッチ530がONのときに上記ブロードキャスト信号を受信すると、位置確認用電力の出力を要求する上記要求信号を周囲に発信する。このような構成により、たとえば、使用者が充電をしたいときには、非接触充電スイッチ530をONとすることで、受電電圧に基づいて受電部と送電部との位置あわせを実施することができる。
好ましくは、車両ECU500は、充電ステーション90の送電部700A〜700Cのいずれかと受電部100との位置合わせが完了すると、受電部100が位置合わせされたのが送電部700A〜700Cのいずれであるかを充電ステーション90に特定させるためのペアリング処理を充電ステーション90との間で実行する。このペアリング処理によって、充電ステーションが、複数の送電部700A〜700Cを有する充電ステーション90である場合でも、位置合わせを行なった送電部を特定することができる。
好ましくは、上記のペアリング処理は、互いに異なる複数のパターン送電がそれぞれ送電部700A〜700Cから送電され、受電部100が受電したパターン送電に対応した信号を通信部510から通信部810に送信する処理を含む。
より好ましくは、複数のパターン送電は、所定期間中に互いに異なる送電時間で電力送電を行なう送電である(図9)。あるいは、複数のパターン送電は、所定期間中に互いに異なるパターンでオン・オフを繰返すように電力送電を行なう送電であってもよい(図12)。
次に、非接触電力伝送システムの各構成の詳細についてさらに説明する。
(非接触電力伝送システムの詳細な構成)
図1を参照して、本実施の形態の非接触電力伝送システムは、非接触で受電可能に構成された受電装置140を搭載する車両10と、車外から受電部100に送電する送電装置20A,20B,20Cを備えた充電ステーション90とによって構成される。
車両10は、受電装置140と、蓄電装置300と、動力生成装置400と、車両ECU500と、通信部510と、表示部520と、非接触充電スイッチ530とを備える。受電装置140は、受電部100と、フィルタ回路150と、整流部200とを含む。
充電ステーション90は、外部電源900と、送電装置20A,20B,20Cと、電源ECU800と、通信部810とを含む。送電装置20A,20B,20Cは、それぞれ、電源部600A,600B,600Cと、フィルタ回路610A,610B,610Cと、送電部700A,700B,700Cとを含む。
たとえば、図2に示されるように、送電装置20A,20B,20Cがそれぞれ駐車位置A,B,Cの地表または地中に設けられ、受電装置140は、車体下部に配置される。なお、受電装置140の配置箇所はこれに限定されるものではない。たとえば、仮に送電装置20A,20B,20Cが車両10上方に設けられる場合には、受電装置140を車体上部に設けてもよい。
受電部100は、送電装置20A,20B,20Cの送電部700A,700B,700Cのいずれかから出力される電力(交流)を非接触で受電するための共振回路を含む。共振回路は、コイルとキャパシタとによって構成される。共振回路の構成については、後ほど説明する。受電部100は、受電した電力を整流部200へ出力する。整流部200は、受電部100によって受電された交流電力を整流して蓄電装置300へ出力する。フィルタ回路150は、受電部100と整流部200との間に設けられ、受電時に発生する高調波ノイズを抑制する。フィルタ回路150は、たとえば、インダクタおよびキャパシタを含むLCフィルタによって構成される。
蓄電装置300は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池によって構成される。蓄電装置300の電圧は、たとえば200V程度である。蓄電装置300は、整流部200から出力される電力を蓄えるほか、動力生成装置400によって発電される電力も蓄える。そして、蓄電装置300は、その蓄えられた電力を動力生成装置400へ供給する。なお、蓄電装置300として大容量のキャパシタも採用可能である。特に図示しないが、整流部200と蓄電装置300との間に、整流部200の出力電圧を調整するDC−DCコンバータを設けてもよい。
動力生成装置400は、蓄電装置300に蓄えられる電力を用いて車両10の走行駆動力を発生する。特に図示しないが、動力生成装置400は、たとえば、蓄電装置300から電力を受けるインバータ、インバータによって駆動されるモータ、モータによって駆動される駆動輪等を含む。なお、動力生成装置400は、蓄電装置300を充電するための発電機と、その発電機を駆動可能なエンジンとを含んでもよい。
車両ECU500は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、入出力バッファ等を含み(いずれも図示せず)、各種センサからの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両10における各機器の制御を行なう。一例として、車両ECU500は、車両10の走行制御や、蓄電装置300の充電制御を実行する。また、車両ECU500は、受電部100の共振回路に関する情報を通信部510によって充電ステーション90へ送信する。これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
なお、整流部200と蓄電装置300との間には、リレー210が設けられる。リレー210は、送電装置20A,20B,20Cによる蓄電装置300の充電時に車両ECU500によってオンされる。また、蓄電装置300と動力生成装置400との間には、システムメインリレー(SMR)310が設けられる。SMR310は、動力生成装置400の起動が要求されると、車両ECU500によってオンされる。さらに、整流部200とリレー210の間の電力線対間に抵抗201が設けられ、抵抗201に直列にリレー202が接続される。抵抗201の両端の電圧VRは、電圧センサ203によって検出され、車両ECU500へ送られる。
なお、車両ECU500は、通信部510を用いて充電ステーション90の通信部810と通信を行ない、受電部100を構成する共振回路に関する情報を充電ステーション90へ送信するほか、電力伝送の開始/停止や車両10の受電状況等の情報を電源ECU800とやり取りする。
図1,図2を参照して、図示しない車載カメラや、送電部700Aから出力される位置確認用電力の車両10における受電強度等によって、送電装置20Aの送電部700Aに対して車両10の受電部100の位置が合っているかを車両10または充電ステーション90が判断し、表示部520によってユーザに報知される。ユーザは、表示部520から得た情報に基づいて、受電装置140と送電装置20Aとの位置関係が送受電に良好な位置関係になるように、車両10を移動させる。なお、必ずしもユーザがハンドル操作やアクセル操作をしなくてもよく、車両10が自動的に移動して位置を合わせ、ユーザがそれを表示部520で見守るようにしてもよい。なお、ユーザに視覚的に情報を報知する表示部520に代えて、音声によってユーザに情報を報知してもよい。
再び図1を参照して、充電ステーション90において、電源部600A,600B,600Cは、商用系統電源等の外部電源900から電力を受け、所定の伝送周波数を有する交流電力を発生する。
送電部700A,700B,700Cの各々は、S構成およびSP構成のいずれかの共振回路を形成可能に構成される。各送電部は、コイルおよびキャパシタ、ならびにコイルとキャパシタとの接続構成を切替えることによって共振回路の構成をS構成またはSP構成に切替えるための切替手段を含む。各送電部の構成については、後ほど説明する。そして、送電部700A,700B,700Cは、伝送周波数を有する交流電力をそれぞれ電源部600A,600B,600Cから受け、送電部700A,700B,700Cの周囲に生成される電磁界を介して、車両10の受電部100へ非接触で送電する。
フィルタ回路610A,610B,610Cは、電源部600A,600B,600Cと送電部700A,700B,700Cとの間に設けられ、電源部600A,600B,600Cから発生する高調波ノイズを抑制する。フィルタ回路610A,610B,610Cは、インダクタおよびキャパシタを含むLCフィルタによって構成される。
電源ECU800は、CPU、記憶装置、入出力バッファ等を含み(いずれも図示せず)、各種センサからの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、充電ステーション90における各機器の制御を行なう。一例として、電源ECU800は、伝送周波数を有する交流電力を電源部600A,600B,600Cが生成するように、電源部600A,600B,600Cのスイッチング制御を行なう。
さらに、電源ECU800により実行される主要な制御として、電源ECU800は、車両10の受電部100を構成する共振回路に関する情報を通信部810によって車両10から受信すると、車両が停車していない駐車区画に対応する送電部において、受電部100の共振回路の構成に応じてS構成またはSP構成の共振回路が形成されるように、送電部700A〜700Cを制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
なお、電源ECU800は、通信部810を用いて車両10の通信部510と通信を行ない、受電部100の共振回路に関する情報を車両10から受けるほか、送電の開始/停止や車両10の受電状況等の情報を車両10とやり取りする。
電源部600A,600B,600Cからフィルタ回路610A,610B,610Cを介して送電部700A,700B,700Cへ、所定の伝送周波数を有する交流電力が供給される。送電部700A,700B,700Cおよび車両10の受電部100の各々は、コイルとキャパシタとを含み、伝送周波数において共振するように設計されている。送電部700A,700B,700Cおよび受電部100の共振強度を示すQ値は、100以上であることが好ましい。
電源部600A,600B,600Cから送電部700A,700B,700Cへ交流電力が供給されると、送電部700A,700B,700Cのいずれかに含まれるコイルと、受電部100のコイルとの間に形成される電磁界を通じて、送電部700A,700B,700Cのいずれかから受電部100へエネルギ(電力)が移動する。そして、受電部100へ移動したエネルギ(電力)は、フィルタ回路150および整流部200を介して蓄電装置300へ供給される。
なお、特に図示しないが、送電装置20A,20B,20Cにおいて、送電部700A,700B,700Cと電源部600A,600B,600Cとの間(たとえば送電部700A,700B,700Cとフィルタ回路610A,610B,610Cとの間)に絶縁トランスを設けてもよい。また、車両10においても、受電部100と整流部200との間(たとえば受電部100とフィルタ回路150との間)に絶縁トランスを設けてもよい。
(受電部の構成)
図3から図6は、車両10の受電部100を構成する共振回路の構成例を示した図である。受電部100は、図3〜図6のいずれかに示される共振回路によって構成される。
図3を参照して、受電部100は、コイル110と、キャパシタ120とを含む。キャパシタ120は、コイル110に直列に接続される。すなわち、この受電部100は、S構成の共振回路によって構成される。
図4を参照して、他の例の受電部100は、コイル110と、キャパシタ130とを含む。キャパシタ130は、コイル110に並列に接続される。すなわち、この受電部100は、P構成の共振回路によって構成される。
図5を参照して、さらに他の例の受電部100は、コイル110と、キャパシタ120,130とを含む。キャパシタ120は、コイル110に直列に接続される。キャパシタ130は、キャパシタ120よりもコイル110側においてコイル110に並列に接続される。言い換えると、キャパシタ130は、コイル110に並列に接続され、コイル110およびキャパシタ130から成る回路にキャパシタ120が直列に接続される。すなわち、この受電部100は、PS構成の共振回路によって構成される。
図6を参照して、さらに他の例の受電部100は、コイル110と、キャパシタ120,130とを含む。キャパシタ130は、コイル110に並列に接続される。キャパシタ120は、キャパシタ130よりもコイル110側においてコイル110に直列に接続される。言い換えると、キャパシタ120は、コイル110に直列に接続され、コイル110およびキャパシタ120から成る回路にキャパシタ130が並列に接続される。すなわち、この受電部100は、SP構成の共振回路によって構成される。
(送電部の構成)
図7は、送電装置20Aの送電部700Aの構成例を示した図である。なお、この実施の形態では、充電ステーション90は、送電部700B,700Cを備えているが、送電部700B,700Cの構成も、送電部700Aの構成と同じである。
図7を参照して、送電部700Aは、コイル710と、キャパシタ720,730,740と、リレー750,760とを含む。キャパシタ720は、ノードN1,N2間に設けられる。リレー750は、ノードN1,N2間においてキャパシタ720に直列に接続され、電源ECU800(図1)によってオンまたはオフに制御される。図7では、リレー750は、キャパシタ720とノードN2との間に設けられているが、ノードN1とキャパシタ720との間にリレー750を設けてもよい。
キャパシタ730は、ノードN1と、フィルタ回路610A(図1)に接続される端子T3との間に接続される。キャパシタ740は、キャパシタ730に並列に設けられる。リレー760は、ノードN1,N3間においてキャパシタ740に直列に接続され、電源ECU800によってオンまたはオフに制御される。図7では、リレー760は、キャパシタ740とノードN3との間に設けられているが、ノードN1とキャパシタ740との間にリレー760を設けてもよい。
キャパシタ720は、コイル710に並列に設けられる。キャパシタ730,740は、コイル710に直列に設けられる。リレー750,760は、電源ECU800(図1)によってオンまたはオフに制御される。
このような構成とすることにより、送電部700Aは、S構成およびSP構成のいずれかの共振回路を形成することができる。すなわち、リレー750,760をそれぞれオフ,オンとすることによって、S構成の共振回路が形成される。また、リレー750,760をそれぞれオン,オフとすることによって、SP構成の共振回路が形成される。SP構成の共振回路においては、S構成の共振回路に比べて、コイル710に直列接続されるキャパシタの容量を、コイル710に並列接続されるキャパシタ720の分だけ小さくする必要がある。このために、キャパシタ730に並列に接続され、かつ、キャパシタ730と同容量のキャパシタ740とリレー760とが設けられる。そして、SP構成の共振回路が構成される場合には、リレー760をオフにすることによってキャパシタ740が回路から切り離される。
この実施の形態においては、受電部100の共振回路に関する情報(共振回路の構成タイプに関する情報を含む。)が車両10から充電ステーション90へ送信される。そして、車両が停車していない送電部700A〜700Cにおいて、リレー750,760を適宜操作することによって、受電部100の共振回路の構成に応じた共振回路が形成される。送電部および受電部の各々がS構成の共振回路から成る場合に、送電部から受電部へ高効率に送電可能である。また、送電部および受電部がそれぞれS構成およびP構成の共振回路から成る場合も、理想トランス構成になることが知られており、送電部から受電部へ高効率に送電可能である。さらに、受電部がSP構成またはPS構成の共振回路によって構成される場合は、送電部をSP構成の共振回路で構成することによって高効率の送電を実現可能であることが発明者によって確認された。
そこで、この実施の形態では、図8に示すように、受電部100がS構成またはP構成の共振回路から成る場合には、リレー750,760(図7)をそれぞれオフ,オンにして送電部700A〜700CにおいてS構成の共振回路を形成し、受電部100がSP構成またはPS構成の共振回路から成る場合には、リレー750,760をそれぞれオン,オフにして送電部700A〜700CにおいてSP構成の共振回路を形成することとしたものである。これにより、送電部700A〜700Cを、S構成、P構成、SP構成およびPS構成の全てに切替可能に構成する必要がないので、簡易な構成で送電部700A〜700Cを形成することができる。
なお、この実施の形態では、各送電部700A〜700Cにおいて、リレー750,760を用いて回路構成を切替えることによってS構成またはSP構成の共振回路を形成するものとしたが、各送電部700A〜700Cが、S構成およびSP構成の各共振回路を含んで共振回路そのものを切替可能としてもよい。
(非接触電力伝送の手順)
図9は、非接触電力伝送を実行する際に車両10と充電ステーション90が実行する処理の概略を説明するためのフローチャートである。図10は、図9の処理の過程で変化する送電電力および受電電圧の変化を表わすタイミングチャートである。
図1、図9、図10を参照して、充電ステーション90において、電源ECU800は、センサ21A〜21Cからの出力に基づいて駐車区画A〜Cの少なくとも1つの駐車区画が空いているものと判断すると、充電ステーション90が送電可能な状況であることを知らせるブロードキャスト信号を周囲に発信する(ステップS510)。
車両10では、車両ECU500は、非接触充電スイッチ530が「ON」であるか否かを判定する(ステップS10)。非接触充電スイッチ530は、使用者によって操作されなければ「ON」の状態であり、使用者によって操作されることで「OFF」となる。非接触充電スイッチ530は「OFF」であると判定されると(ステップS10においてNO)、車両ECU500は、以降の一連の処理を実行することなく処理を終了する。
ステップS10において非接触充電スイッチ530は「ON」であると判定されると(ステップS10においてYES)、車両ECU500は、充電ステーション90からブロードキャスト信号を受信したか否かを判定する(ステップS20)。ブロードキャスト信号が受信されていないときは(ステップS20においてNO)、ステップS10へ処理が戻される。
車両10においてブロードキャスト信号が受信されると(ステップS20においてYES)、受電部100の共振回路に関する情報が車両10から充電ステーション90へ送信され、車両10の車両ECU500および充電ステーション90の電源ECU800において、充電ステーション90から車両10へ電力伝送が可能か否かを判定する判定処理が実行される(ステップS30,S530)。この判定処理については、後ほど詳しく説明する。
充電ステーション90から車両10への電力伝送は不可能であると判定されると、車両10および充電ステーション90において処理が終了する。一方、充電ステーション90から車両10への電力伝送が可能であると判定されると、車両10の車両ECU500は、位置確認用電力の出力を要求する信号を充電ステーション90へ送信する(ステップS40)。
充電ステーション90において上記の要求信号が受信されると、電源ECU800は、車両が停車していない駐車区画の送電部から位置確認用電力が出力されるように電源部600A〜600Cを制御する(ステップS550)。なお、センサ21A〜21Cが設けられていない場合には、電源ECU800は、どの駐車区画に車両が駐車しようとしているのかわからない。そこで、この場合は、電源ECU800は、蓄電装置300を充電するための本格送電を実施していない駐車区画の送電部の全てから位置確認用電力が出力されるように、電源部600A〜600Cを制御する。
車両10において位置確認用電力が受電されると、車両ECU500は、受電電圧に基づいて、自動または手動で車両10を移動させることにより位置合わせを実行する(ステップS50)(図10の時刻t1参照)。位置合わせ時には、車両ECU500は、リレー202を導通させ、電圧センサ203で検出される抵抗201の両端に生じる受電電圧VRを取得する。この位置合わせ時の受電電圧VRは、蓄電装置300を充電する本格送電時の受電電圧(充電電圧)よりも小さいので、電圧検出時に蓄電装置300の影響を受けないようにリレー210はオフされる。
そして、受電電圧VRが閾値THを超えると、位置合わせが完了した旨が表示部520に表示される。その後、ユーザが車両10内のパーキングスイッチを押すことによって駐車位置がOKであると判定されると(ステップS60においてYES)、車両ECU500は、位置確認用送電の停止を要求する信号を充電ステーション90へ送信する(ステップS70)(図10の時刻t2参照)。
充電ステーション90において、上記の停止要求信号が受信されると、電源ECU800は、送電装置20A,20B,20Cによる位置確認用送電を停止する(ステップS560)(図10の時刻t3参照)。
なお、一定の送電電圧(送電装置20A,20B,20Cからの出力電圧)に対して、車両10における受電電圧VRは、送電装置20A,20B,20Cのコイルと受電装置140のコイルとの間の距離に応じて変化する。そこで、送電側のコイルのコア重心O1と受電側のコイルのコア重心O2との水平方向の位置の差と、受電電圧VRとの関係を予め測定しておき、コア重心O1とコア重心O2との水平方向の位置差の許容値に対する受電電圧VRが閾値THとして設定される。
次いで、車両ECU500および電源ECU800は、送電装置20A,20B,20Cのうちのいずれと位置合わせが行なわれたかを特定するペアリング処理を実行する(ステップS80,S580)。電源ECU800は、送電装置ごとに、送電電力のオンの継続時間を異ならせる。すなわち、送電装置20Aは、送電電力をTA時間オンにし、送電装置20Bは、送電電力をTB時間オンにし、送電装置20Cは、送電電力をTC時間オンにする(図10の時刻t4参照)。
そして、車両ECU500は、受電電力のオンの継続時間を電源ECU800に通知する。図2の例では、受電装置140は、送電装置20Aからの送電電力を受電する。車両ECU500は、受電電力のオンの継続時間はTAである旨を電源ECU800に通知する。これによって、電源ECU800は、送電装置20Aと位置合わせが行なわれたことを認識する。
ステップS590において、充電ステーション90は、位置合わせが行なわれ、かつ、ペアリングによる特定が完了した送電装置によって、蓄電装置300を充電するための本格的な送電処理を行なう(図10の時刻t6参照)。図2の例では、送電装置20Aが送電処理を行なう。一方、車両10においては、受電装置140によって、蓄電装置300を充電するための本格的な受電処理が行なわれ、受電した電力で蓄電装置300が充電される。そして、蓄電装置300の充電が完了すると、車両10および充電ステーション90での処理が終了する。
(電力伝送の可否判定)
図11は、図9に示したステップS30,S530において実行される電力伝送可否の判定処理を説明するフローチャートである。図11を参照して、車両ECU500は、受電部100の共振回路に関する情報を充電ステーション90へ送信する(ステップS100)。この共振回路に関する情報には、少なくとも共振回路がS構成、P構成、SP構成、PS構成のいずれによって構成されているかについての情報が含まれ、さらに、キャパシタ120(130)の容量やコイル110のサイズ等の情報が含まれてもよい。
充電ステーション90において、受電部100の共振回路に関する情報が受信されると(ステップS102)、電源ECU800は、その受信された情報に基づいて、充電ステーション90から車両10への電力伝送の可否を判定する(ステップS104)。具体的には、受電部100のコイル110が適切なサイズであるか否か等に基づいて、充電ステーション90から車両10への電力伝送の可否が判定される。
ステップS104において、充電ステーション90から車両10への電力伝送が可能であると判定されると(ステップS104においてYES)、電源ECU800は、車両が停車していない駐車区画の送電部において、受電部100の共振回路の構成に応じた共振回路が形成されるようにリレー750,760(図7)を制御する(ステップS105)。具体的には、受電部100の共振回路がS構成またはP構成の場合には、上記の送電部においてS構成の共振回路が形成されるようにリレー750,760がそれぞれオフ,オンされる。また、受電部100の共振回路がSP構成またはPS構成の場合には、上記の送電部においてSP構成の共振回路が形成されるようにリレー750,760がそれぞれオン,オフされる。そして、電源ECU800は、充電ステーション90から車両10への電力伝送に関する情報を車両10へ送信する(ステップS106)。なお、この情報には、たとえば、充電ステーション90から出力可能な電力の範囲に関する情報等が含まれる。
なお、ステップS104において充電ステーション90から車両10への電力伝送が不可能であると判定されると(ステップS104においてNO)、電源ECU800は、電力伝送が不可能であることを示す情報を車両10へ送信する(ステップS108)。
車両10では、充電ステーション90から情報(電力伝送に関する情報、または電力伝送が不可能であることを示す情報)が受信されると(ステップS110)、その受信された情報に基づいて、車両ECU500は、充電ステーション90から受電可能であるか否かを判定する(ステップS112)。そして、受電可能であると判定されると(ステップS112においてYES)、車両ECU500は、充電ステーション90から受電する受電電力の大きさを確定する(ステップS114)。なお、ステップS112において受電不可能であると判定されると(ステップS112においてNO)、受電不可能である旨のアラームが出力される(ステップS116)。
以上のように、この実施の形態においては、車両10の受電部100の共振回路の構成がS構成およびP構成のいずれかであるとき、車両が停車していない駐車区画に対応する送電部においてS構成の共振回路が形成され、受電部100の共振回路の構成がSP構成およびPS構成のいずれかであるときは、送電部においてSP構成の共振回路が形成される。このように、各送電部700A〜700Cは、S構成およびP構成のいずれかのみに切替可能に構成すればよいので、4つの全てのタイプに切替可能に構成する場合に比べて各送電部700A〜700Cの構成を簡易にできる。したがって、この実施の形態によれば、受電部100の共振回路の構成に応じて送電部700A〜700Cにおいて共振回路の構成を切替可能とし、かつ、簡易な構成で切替を実現することができる。
[変形例1]
上記においては、図11に示したように、電力伝送の可否判定は、充電ステーション90において行なわれるものとしたが、車両10において行なわれてもよい。
図12は、この変形例1における電力伝送可否の判定処理を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートは、図11に対応するものであり、電力伝送の全体処理については、図9に示した実施の形態1における処理と同じである。
図12を参照して、充電ステーション90において、電源ECU800は、送電部700A〜700Cの共振回路に関する情報を車両10へ送信する(ステップS200)。なお、この情報には、送電部700A〜700Cにおけるキャパシタ720〜740(図7)の容量やコイル710のサイズ等の情報が含まれる。
車両10において、送電部700A〜700Cの共振回路に関する情報が受信されると(ステップS202)、車両ECU500は、その受信された情報に基づいて、充電ステーション90から車両10への電力伝送の可否を判定する(ステップS204)。具体的には、送電部700A〜700Cのコイル710が適切なサイズであるか否か等に基づいて、充電ステーション90から車両10への電力伝送の可否が判定される。
ステップS204において、充電ステーション90から車両10への電力伝送が可能であると判定されると(ステップS204においてYES)、車両ECU500は、電力伝送に関する情報、および受電部100の共振回路に関する情報を充電ステーション90へ送信する(ステップS206)。電力伝送に関する情報には、たとえば、車両10が受電可能な電力の範囲に関する情報などが含まれる。また、受電部100の共振回路に関する情報には、少なくとも共振回路がS構成、P構成、SP構成、PS構成のいずれによって構成されているかについての情報が含まれ、さらに、キャパシタ120(130)の容量やコイル110のサイズ等の情報が含まれてもよい。
なお、ステップS204において充電ステーション90から車両10への電力伝送が不可能であると判定されると(ステップS204においてNO)、車両ECU500は、電力伝送が不可能であることを示す情報を充電ステーション90へ送信する(ステップS208)。
充電ステーション90では、車両10から情報(電力伝送および共振回路に関する情報、または電力伝送が不可能であることを示す情報)が受信されると(ステップS212)、その受信された情報に基づいて、電源ECU800は、車両10へ送電可能であるか否かを判定する(ステップS214)。そして、送電可能であると判定されると(ステップS214においてYES)、電源ECU800は、車両が停車していない駐車区画の送電部において、受電部100の共振回路の構成に応じた共振回路が形成されるようにリレー750,760(図7)を制御する(ステップS216)。すなわち、受電部100の共振回路がS構成またはP構成の場合には、上記の送電部においてS構成の共振回路が形成されるようにリレー750,760がそれぞれオフ,オンされ、受電部100の共振回路がSP構成またはPS構成の場合には、送電部においてSP構成の共振回路が形成されるようにリレー750,760がそれぞれオン,オフされる。なお、ステップS214において送電不可能であると判定されると、ステップS216の処理を実行することなく処理が終了する。
[変形例2]
この変形例2では、ペアリング処理の変形例が示される。
図13は、ペアリング処理の変形例を説明するための図である。図13を参照して、電源ECU800は、送電装置ごとに、送電電力のオン/オフの切替周期を異ならせる。すなわち、送電装置20Aは、周期ΔTAごとに送電電力のオンとオフを切替え、送電装置20Bは、周期ΔTBごとに送電電力のオンとオフを切替え、送電装置20Cは、周期ΔTCごとに送電電力のオンとオフを切替える(図13の時刻t4〜t5参照)。
車両ECU500は、受電電力のオンとオフの切替周期を電源ECU800に通知する。図13の例では、受電装置140は、送電装置20Aからの送電電力を受電する。車両ECU500は、受電電力のオンとオフの切替周期はΔTAである旨を電源ECU800に通知する。これによって、電源ECU800は、送電装置20Aと位置合わせが行なわれたことがわかる(図13の時刻t5参照)。
この変形例2は、送電電力を用いてペアリングを行なう変形例であったが、ペアリング処理の方法はこれに限定されるものではない。ペアリングは、各種の技術で可能であり、たとえば、ペアリングは、RFID(Radio Frequency IDentification:無線周波数識別)技術を用いて、RFIDタグと、RFIDリーダを車両と送電部にそれぞれ設けて行なってもよい。
なお、特に図示しないが、その他の変形例として、上記の実施の形態1およびその変形例1,2では、車両10の受電部100がある構成の共振回路を有し、充電ステーションの各送電部700A〜700CにおいてS構成の共振回路およびSP構成の共振回路のいずれかを選択して形成可能としたが、充電ステーションの送電部がある構成の共振回路を有し、車両の受電部においてS構成の共振回路およびSP構成の共振回路のいずれかを選択して形成可能としてもよい。
なお、上記において、図3に示したS構成の共振回路は、この発明における「第1の共振回路」の一実施例に対応し、図4に示したP構成の共振回路は、この発明における「第2の共振回路」の一実施例に対応する。また、図5に示したPS構成の共振回路は、この発明における「第3の共振回路」の一実施例に対応し、図6に示したSP構成の共振回路は、この発明における「第4の共振回路」の一実施例に対応する。さらに、図7においてリレー750,760をそれぞれオフ,オンすることにより形成されるS構成の共振回路は、この発明における「第5の共振回路」の一実施例に対応する。また、さらに、図7においてリレー750,760をそれぞれオン,オフすることにより形成されるSP構成の共振回路は、この発明における「第6の共振回路」の一実施例に対応する。
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。