JP6053155B2 - 電力変換装置、突入電流抑制方法 - Google Patents

電力変換装置、突入電流抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力変換装置及び突入電流抑制方法に関し、更に詳しくは、瞬時停電時に発生する突入電流を抑制するための技術に関する。
スイッチング電源などの電力変換装置は、電源投入時の突入電流を抑制する突入電流抑制回路を備えている。また、電源投入時のみならず、瞬時停電時の突入電流を抑制するための技術も知られている(特許文献1)。この技術によれば、瞬時停電が発生した場合、突入電流抑制回路を構成する抵抗と並列接続された電界効果トランジスタ(FET; Field Effect Transistor)等を非導通状態に制御することにより、給電側が瞬時停電から復旧する際に発生する突入電流を上記抵抗に流し込んで抑制する。
ところで、近年、高電圧直流入力(例えば192V〜410V)仕様の電力変換装置に対する要請が高まっている。この種の電力変換装置は、電圧を安定化させるための昇圧コンバータを備えており、高電圧直流入力の電圧値が変動しても、昇圧コンバータにより高電圧直流入力が一定の目標電圧(例えば380V)に昇圧される。この昇圧された電圧を電力変換することにより、所望の出力電圧を安定的に得ることができる。この種の電力変換装置では、高電圧直流入力の電圧値が上述の電圧安定化用の昇圧コンバータの出力電圧に近づくと、その動作の原理上、昇圧コンバータが間欠発振を起こし、発振動作が不安定になる。このため、一般に、高電圧直流入力の電圧値が昇圧コンバータの出力電圧に近づいた場合、昇圧コンバータの発振動作を停止させている。
特開平6−22543号公報
上述の電圧安定化用の昇圧コンバータを備えた電力変換装置によれば、高電圧直流入力の電圧値が昇圧コンバータの出力電圧に近づいたために昇圧コンバータを停止させている状態で給電側の異常により瞬時停電が発生すると、この瞬時停電から給電側が復旧する際に、電力変換装置の入力インピーダンスを形成する例えば入力コンデンサの充電に伴って過大な突入電流が発生する場合がある。
上述の特許文献1の技術によれば、給電側が瞬時停電から復旧する際の突入電流を抑制することはできるが、昇圧コンバータの動作とは無関係に突入電流抑制回路が機能する。ここで、通常、昇圧コンバータはチョークコイルを備え、このチョークコイルをスイッチング駆動する過程で給電側からチョークコイルに電流が断続的に流し込まれる。このため、昇圧コンバータ自体も動作中は突入電流を吸収する機能を有していると言える。従って、昇圧コンバータが動作している状態で突入電流抑制回路が機能すると、双方の機能が相俟って入力電流が過剰に抑制される場合が起こり得る。この場合、電力変換動作が不安定になるおそれがある。
本発明は、電力変換動作に与える影響を抑制しつつ、瞬時停電から給電側が復旧する際に発生する突入電流を抑制することができる電力変換装置及び突入電流抑制方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様による電力変換装置は、直流入力電圧を所定電圧に昇圧するための昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータを通して流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路とを備え、前記昇圧コンバータから出力される電圧を電力変換するように構成された電力変換装置であって、前記直流入力電圧が前記直流入力電圧が昇圧コンバータから出力される直流電圧に接近したことによる前記昇圧コンバータの不安定動作を防止するために予め設定された所定電圧を示す値である規定値を上回った状態で、前記直流入力電圧を供給する給電側の停電が発生した場合、前記停電の時間が所定時間に達したときに、前記給電側が停電したことを検出する停電検出部と、前記停電検出部が前記給電側の停電を検出した場合、前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する初期化部と、を備え、前記停電検出部は、前記直流入力電圧が前記所定電圧以下に低下した時点から前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間の計時を終了した後、前記計時が終了した旨の信号を発生させ、
前記初期化部は、前記停電検出部から前記計時が終了した旨の信号が入力されると、前記突入電流抑制回路の回路状態をオフ状態にし、前記突入電流抑制回路は、前記回路状態が前記初期化部によりオフ状態にされた後、前記直流入力電圧が上昇し、入力される入力電圧が電源投入時のローレベルから所定の参照電圧になるまでの所定遅延時間が経過するまで、前記回路状態のオフ状態を維持する、電力変換装置の構成を有する。
えば、前記停電検出部は、前記直流入力電圧が前記規定値を上回った状態から所定電圧以下に低下したことを検出する電圧検出部と、前記直流入力電圧が前記所定電圧以下に低下したことを前記電圧検出部が検出した場合に前記所定時間の計時を開始する計時部と、前記計時部が前記所定時間の計時を終了したときに、前記計時が終了した旨の信号を発生させる信号発生部と、を備える。
例えば、前記突入電流抑制回路は、前記給電側が停電から復旧したときに発生する突入電流の経路上に介挿された抵抗と、前記抵抗に対して並列接続されたスイッチ素子と、前記初期化部に並列に接続され、前記直流入力電圧を分圧して得られる分圧電圧を検出する検出部と、前記検出部の出力電圧が、電源投入時のローレベルから所定の参照電圧になるまでの所定遅延時間が経過するまで、前記スイッチ素子をオフ状態に維持し、前記所定遅延時間が経過した後に、前記スイッチ素子をオン状態に制御する制御部と、を備えて構成され、前記初期化部は、前記停電検出部が前記給電側の停電を検出した場合、前記スイッチ素子がオフ状態となるように前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する。
例えば、前記直流入力電圧は、商用電源から供給される電力を整流して得られた電圧である。
本発明の一態様による電力変換方法は、直流入力電圧を所定電圧に昇圧するための昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータを通して流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路とを備え、前記昇圧コンバータから出力される電圧を電力変換するように構成された電力変換装置において、前記突入電流を抑制する突入電流抑制方法であって、停電検出部が、前記直流入力電圧が前記直流入力電圧が昇圧コンバータから出力される直流電圧に接近したことによる前記昇圧コンバータの不安定動作を防止するために予め設定された所定電圧を示す値である規定値を上回った状態で、前記直流入力電圧を供給する給電側の停電が発生した場合、前記停電の時間が所定時間に達したときに、前記給電側が停電したことを検出する段階と、初期化部が、前記給電側の停電が検出された場合、前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する段階と、を含み、前記停電検出部が、前記直流入力電圧が前記所定電圧以下に低下した時点から前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間の計時を終了した後、前記計時が終了した旨の信号を発生させる信号発生段階と、前記初期化部が、前記停電検出部から前記計時が終了した旨の信号が入力されると、前記突入電流抑制回路の回路状態をオフ状態にするオフ状態化段階と、前記突入電流抑制回路が、前記回路状態が前記初期化部によりオフ状態にされた後、前記直流入力電圧が上昇し、入力される入力電圧が電源投入時のローレベルから所定の参照電圧になるまでの所定遅延時間が経過するまで、前記回路状態のオフ状態を維持するオフ状態維持段階とをさらに含む突入電流抑制方法の構成を有する。
本発明の一態様によれば、電力変換動作に与える影響を抑制しつつ、瞬時停電から給電側が復旧する際に発生する突入電流を抑制することができる。
本発明の第1実施形態による電力変換装置の構成の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置が備える昇圧コンバータの構成の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置の電源投入時の動作の一例を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置の瞬時停電時の全体動作(瞬時停電時間が短い場合)の一例を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置の瞬時停電時の全体動作(瞬時停電時間が長い場合)の一例を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置の瞬時停電時の詳細動作の一例を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置の動作を補足説明するための図である。
(第1実施形態)
[構成の説明]
図1は、本発明の第1実施形態による電力変換装置1の構成の一例を示す。
電力変換装置1は、概略的には、外部の給電側の直流電源Eから供給される直流入力電圧Vinを所定の直流電圧Vpに昇圧するための昇圧コンバータ20と、昇圧コンバータ20を通して流れる突入電流Irushを抑制するための突入電流抑制回路40とを備え、昇圧コンバータ20の出力(昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vp)を電力変換するように構成される。
詳細には、電力変換装置1は、入力端子TIH,TIL、ヒューズF1,F2、電源スイッチSW、フィルタ10、逆接防止用ダイオードD1,D2、昇圧コンバータ20、入力コンデンサCin、DC/DC変換部30、突入電流抑制回路40、停電検出部50、初期化部60、制御部70、電圧検出用抵抗R1,R2,R3,R4、昇圧コンバータ発振停止回路80、入力電圧監視回路90、出力端子TOH,TOLを備える。入力端子TILはグランドGNDに接地されている。
入力端子TIHと入力端子TILとの間には直流電源Eが接続され、この直流電源Eから直流入力電圧Vinが電力変換装置1に入力される。本実施形態では、直流入力電圧Vinは、例えば192V〜410Vの高電圧であり、電力変換装置1は、このような高電圧に対応した高電圧入力仕様となっている。ただし、直流入力電圧Vinの電圧範囲は、このような例に限定されず、任意である。直流電源Eの正極が接続される入力端子TIHから入力コンデンサCinの正極端子に至る経路は電源ラインDHを形成する。また、直流電源Eの負極が接続される入力端子TILから入力コンデンサCinの負極端子に至る経路はグランドラインDLを形成する。
入力端子TIHとフィルタ10の一方の入力部との間の電源ラインDH上には、ヒューズF1と電源スイッチSWとが直列接続されている。また、入力端子TILとフィルタ10の他方の入力部との間のグランドラインDL上にはヒューズF2が接続されている。これらヒューズF1,F2は、電力変換装置1で短絡障害が発生した場合に発生する短絡電流を遮断して装置を短絡電流から保護するためのものである。また、電源スイッチSWは、電力変換装置1の電源を投入するためのものであり、電源スイッチSWが閉じられると、直流電源Eから直流入力電圧Vinが電力変換装置1に供給され、電力変換装置1が電力変換動作を開始する。なお、本実施形態では、ヒューズF1,F2は必須の構成要素ではなく、必要に応じて省略してもよい。
図1において、ヒューズF2とフィルタ10の他方の入力部との間に表記された入力インピーダンスZinは、入力端子TIH,TILから見た電力変換装置1の入力インピーダンスを表している。本実施形態では、入力インピーダンスZinは、主として、入力端子TIHから入力コンデンサCinを経由して第2入力端子TILに至る入力コンデンサCinの充電経路のインピーダンスであり、この充電経路を構成する配線等のインピーダンスZs(不図示)と、突入電流抑制回路40内の抵抗41の抵抗値rを含む。
フィルタ10は、後段の昇圧コンバータ20またはDC/DC変換部30のスイッチング動作によって発生するスイッチングノイズの漏洩を防止するためのものであり、例えばコモンモードチョークコイルから構成される。
なお、突入電流Irushを抑制する本発明の課題との関係では、フィルタ10は必須の構成要素ではなく、必要に応じて省略してもよい。
フィルタ10の一方の出力部は、電源ラインDH上の逆接防止用ダイオードD1を通じて昇圧コンバータ部20の一方の入力部に接続されている。また、フィルタ10の他方の出力部は、グランドラインDL上に介挿された突入電流抑制回路40内の抵抗41を通じて昇圧コンバータ部20の他方の入力部に接続されている。
昇圧コンバータ部20は、直流入力電圧Vinを所定の直流電圧Vp(例えば380V)に昇圧するためのものである。
図2は、昇圧コンバータ20の構成の一例を示す図である。同図に示すように、昇圧コンバータ20は、チョークコイル(昇圧インダクタ)L20、nチャネル型電界効果トランジスタQ20、ダイオードD21,D22、コンデンサC20から構成されている。ここで、チョークコイルL20の一端は昇圧コンバータ20の一方の入力部をなし、上述の電源ラインDH上のダイオードD1を通じてフィルタ10の出力部に接続されている。また、チョークコイルL20の他端は、ダイオードD21のアノードに接続されている。このダイオードD21のカソードは昇圧コンバータ20の一方の出力部をなす。昇圧コンバータ20の一方の入力部と一方の出力部との間にはバイパス用のダイオードD22が接続されている。
チョークコイルL20の他端には、nチャネル型電界効果トランジスタQ20のドレインが接続され、そのソースは、昇圧コンバータ20の他方の入力部および他方の出力部に接続されている。この昇圧コンバータ20の他方の入力部は、上述のグランドラインDL上の抵抗41を通じてフィルタ10の出力部に接続されている。nチャネル型電界効果トランジスタQ20のゲートには、後述する制御部70から駆動信号SD(発振信号)が供給される。昇圧コンバータ20の一方の出力部と他方の出力部との間にはコンデンサC20が接続される。
なお、上述した昇圧コンバータ20の構成は一例に過ぎず、昇圧インダクタを用いて入力電圧を昇圧する構成であれば、その回路形式は任意である。
説明を図1に戻す。上述の昇圧コンバータ20の後段に設けられた入力コンデンサCinは、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpを安定化させるためのものであり、例えば電解コンデンサが用いられる。入力コンデンサCinの正極端子は、昇圧コンバータ20の一方の出力部に接続され、入力コンデンサCinの負極端子は、昇圧コンバータ20の他方の出力部に接続されている。入力コンデンサCinは、上述のヒューズF1,F2、電源スイッチSW、フィルタ10、昇圧コンバータ20等を介して、入力端子TIHと端子TILとの間に接続されている。
DC/DC変換部30は、昇圧コンバータ20から供給される直流電圧Vpを電力変換して所望の出力電圧Voutを発生させるものである。本実施形態では、DC/DC変換部30は、このDC/DC変換部30を構成するスイッチング素子(不図示)のスイッチング動作により直流電圧Vpを交流電圧に一旦変換し、この交流電圧をトランス(不図示)により電圧変換して所望の出力電圧Voutを得るように構成されている。DC/DC変換部30により発生された出力電圧Voutは出力端子TOH,TOLを介して出力される。なお、DC/DC変換部30の回路形式は任意である。
突入電流抑制回路40は、昇圧コンバータ20を通して流れる突入電流Irushを抑制するためのものであり、抵抗41、nチャネル型電界効果トランジスタ42(スイッチ素子)、抵抗43,44、コンパレータ45、遅延部46、駆動部47から構成される。抵抗41は、電源スイッチSWが閉じられて電力変換装置1の電源が投入された際、または、給電側の直流電源Eが瞬時停電から復旧する際に、入力コンデンサCinの充電経路に発生する突入電流Irushを抑制するためのものである。抵抗41の一端は、フィルタ10の他方の出力部に接続され、このフィルタ10およびヒューズF2を通じて入力端子TILに接続されている。また、抵抗41の他端は昇圧コンバータ20の他方の入力部に接続され、この昇圧コンバータ20を通じて入力コンデンサCinの負極端子に接続されている。即ち、抵抗41は、入力端子TIHと入力端子TILとの間に、昇圧コンバータ20を介して入力コンデンサCinと直列に接続されている。
また、抵抗41は、給電側の直流電源Eが瞬時停電から復旧したときに発生する突入電流Irushの経路上に介挿されている。図1の例では、抵抗41は、入力端子TILから入力コンデンサCinの負極端子に至るグランドラインDL上に設けられているが、この例に限定されず、入力端子TIHから入力コンデンサCinの正極端子に至る電源ラインDH上に設けられてもよく、入力コンデンサCinの充電経路上であれば、どこに設けられてもよい。
nチャネル型電界効果トランジスタ42は、通常の電力変換動作において抵抗41による電力損失を抑制するために、抵抗41の端子間を短絡するものである。nチャネル型電界効果トランジスタ42は、抵抗41に対して並列接続されている。具体的には、nチャネル型電界効果トランジスタ42のソースは、フィルタ10の出力部に接続された抵抗41の一端に接続され、そのドレインは、昇圧コンバータの入力部に接続された抵抗41の他端に接続されている。また、nチャネル型電界効果トランジスタ42のゲートには、後述の駆動部47から駆動信号SGが供給される。
なお、nチャネル型電界効果トランジスタ42に代えて、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やサイリスタなど、他の任意の素子を用いることができる。
抵抗43,44、コンパレータ45、遅延部46、駆動部47は、nチャネル型電界効果トランジスタ42のオン・オフを制御するトランジスタ制御部を構成する。このトランジスタ制御部は、電源の投入から突入電流Irushが消失した状態になるまでの所定時間Tsが経過するまで、nチャネル型電界効果トランジスタ42をオフ状態に維持し、所定時間Tsの経過後にnチャネル型電界効果トランジスタ42をオン状態に制御する。所定時間Tsは、突入電流Irushに関する電源変換装置1の特性に応じて任意に設定し得る。
抵抗43,44およびコンパレータ45は、電源スイッチSWが閉じられたことによる電源の投入を検知する検知部として機能する。ここで、抵抗43,44は、直流入力電圧Vinを検出するためのものであり、入力端子TIHに繋がる電源ラインDHとグランドラインDLに繋がる配線GL(即ちグランドラインDLの一部)との間に直列接続されている。具体的には、抵抗43の一端は、逆接防止用のダイオードD2を通じて電源ラインDHに接続されている。抵抗43の他端には抵抗44の一端が接続され、抵抗44の他端は配線GLに接続されている。抵抗43と抵抗44との間の接続ノードN40には、電源ラインDL上の直流入力電圧Vinを抵抗43,44により分圧して得られる電圧V40が発生する。
接続ノードN40には、電圧V40と所定の参照電圧Vrefとを比較するためのコンパレータ45の入力部が接続されている。抵抗43,44の各抵抗値と参照電圧Vrefの値は、電源が投入された際の電源ラインDHの電圧上昇をコンパレータ45で判別できるような適切な値に設定されている。コンパレータ45は、電圧V40が参照電圧Vrefを超えると、電源が投入されたことを示すハイレベルの信号を出力する。本実施形態では、コンパレータ45の入出力特性は、検知動作の安定化のため、ヒステリシス特性を有するが、この例に限定されない。
遅延部46は、電源の投入が検知されたときにコンパレータ45から出力される信号を上記所定時間Tsだけ遅延させるものである。換言すれば、遅延部46は、電源の投入が検知されたときに所定時間Tsの計時を開始し、所定時間Tsが経過したときにコンパレータ45の出力信号と同じ信号レベルを有する信号を出力する。本実施形態では、遅延部46は、コンデンサCdの充放電時間を利用してコンパレータ45の出力信号を所定時間Tsだけ遅延させる遅延回路から構成され、コンデンサCdの容量値等により所定時間Tsの調整が可能となっている。遅延部46は、電源の投入が検知されない場合、ローレベルの信号を出力する。遅延部46は、上述の遅延回路のほか、所定周波数のクロック信号をカウントすることにより所定時間Tsを計時するカウンタ回路等、種々の形式の回路により実現可能である。
駆動部47は、遅延部46の出力信号に基づいてnチャネル型電界効果トランジスタ42のオン・オフを制御するための駆動信号SGを発生させるものである。駆動部47は、遅延部46から出力される信号に応答して、nチャネル型電界効果トランジスタ42をオン状態にする信号レベルを有する駆動信号SGをnチャネル型電界効果トランジスタ42のゲートに出力する。
停電検出部50は、直流入力電圧Vinが第1規定値VT1を上回った状態で、直流入力電圧Vinを供給する給電側の直流電源Eの瞬時停電が発生した場合、この瞬時停電の時間が所定時間T1に達したときに、給電側の直流電源Eが停電したことを検出するものである。ここで、第1規定値VT1は、直流入力電圧Vinが昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpに接近したことによる昇圧コンバータ20の不安定動作(例えば間欠動作)を防止するために予め設定された所定電圧を示す値である。第1規定値VT1は、例えば、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpの目標値(例えば380V)よりも一定値(例えば20V)だけ低い電圧値(例えば360V)に設定される。このような第1規定値VT1は、昇圧コンバータ20の動作が不安定にならない電圧範囲の上限値を示すものとして定義される。ただし、このような定義に限定されず、第1規定値VT1は、昇圧コンバータ20の動作が不安定になる電圧範囲の下限値を示すものとして定義してもよい。
上述の所定時間T1は、給電側の直流電源Eが瞬時停電から復旧した際に発生する突入電流Irushが許容範囲内の値となる瞬時停電時間の上限値を示す。瞬時停電時間が所定時間T1を超えた場合、許容範囲を超える突入電流Irushが発生することとなる。本実施形態では、突入電流Irushは、主として、入力コンデンサCinの充電電流によって形成される。停電検出部50は、瞬時停電が発生したかどうかについて、直流入力電圧Vinが第2規定値VT2を下回ったかどうかによって判定する。ここで、第2規定値VT2は、直流入力電圧Vinの通常的な電圧範囲(例えば192V〜410V)よりも低い任意の所定電圧に設定され、例えば100Vに設定される。
本実施形態では、直流入力電圧Vinが第1規定値VT1で示される電圧値以上にある状態から低下し、直流入力電圧Vinが第2規定値で示される電圧値を下回った場合の瞬時停電を検出の対象としている。このことは、前述したように、本発明が、昇圧コンバータ20が停止状態にある場合に発生する瞬時停電による突入電流Irushを抑制することを目的としていることに対応している。
停電検出部50の構成を詳細に説明すると、停電検出部50は、電圧検出部51、計時部52、信号発生部53から構成される。ここで、電圧検出部51は、直流入力電圧Vinが上記規定値VT1で示される電圧(360V)を上回った状態から第2規定値VT2で示される所定電圧(100V)以下に低下したことを検出するものである。計時部52は、直流入力電圧Vinが第2規定値VT2で示される所定電圧以下に低下したことを電圧検出部51が検出した場合に上記所定時間T1の計時を開始するものである。この計時部52は、上述の遅延部46と同様に、遅延部として構成してもよい。信号発生部53は、計時部52が所定時間T1の計時を終了したときに、所定時間T1の計時が終了した旨の信号SPを発生させるものである。本実施形態では、信号発生部53は、パルス幅Tspのワンショットパルスを信号SPとして発生させる。以下では、信号SPをワンショットパルス信号SPと称す。
初期化部60は、停電検出部50が給電側の直流電源Eの瞬時停電を検出した場合、突入電流抑制回路40の回路状態を初期化するものである。本実施形態では、初期化部60は、停電検出部50が給電側の瞬時停電を検出した場合、突入電流抑制回路40を構成するnチャネル型電界効果トランジスタ42がオフ状態となるように突入電流抑制回路40の回路状態を初期化する。初期化部60は、突入電流抑制回路40を構成する抵抗44に対して並列接続されたnチャネル型電界効果トランジスタ61から構成される。このnチャネル型電界効果トランジスタ61のドレインは、突入電流抑制回路40を構成する抵抗43と抵抗44との間の接続ノードN40に接続され、そのソースは、配線GLに接続されている。nチャネル型電界効果トランジスタ61のゲートには、上述の停電検出部50からワンショットパルス信号SPが供給される。このワンショットパルス信号SPに応答してnチャネル型電界効果トランジスタ61がオン状態になることによりコンパレータ45の回路状態が初期化される。
また、図1には示されていないが、初期化部60は、ワンショットパルス信号SPに応答して遅延部46および駆動部47の各回路状態を初期化するためのnチャネル型電界効果トランジスタを更に備えている。本実施形態では、適宜、nチャネル型電界効果トランジスタ61が、コンパレータ45、遅延部46、駆動部47の各回路状態を初期化するための複数のnチャネル型電界効果トランジスタを代表しているものとして説明する。
制御部70は、昇圧コンバータ20の昇圧動作(発振動作)を制御するためのものである。抵抗R1,R2は、昇圧コンバータ20が出力する直流電圧Vpの低下を検出するためのものであり、電源ラインDHと配線GLとの間に直列接続されている。制御部70は、抵抗R1,R2により検出された直流電圧Vpを一定に維持するようにフィードバック動作を実施する。また、制御部70は、上述の駆動信号SGにより電源の投入が示された場合、または、直流入力電圧Vinが昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpに近づいた場合、昇圧コンバータ20の昇圧動作を停止させる。
昇圧コンバータ発振停止回路80は、直流入力電圧Vinが昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpに近づいた場合、昇圧コンバータ20の昇圧動作の停止を指示する信号を制御部70に出力するものである。制御部70は、昇圧コンバータ発振停止回路80からの信号に基づいて、直流入力電圧Vinが直流電圧Vpに近づいた場合に昇圧コンバータ20の昇圧動作を停止させる。
抵抗R3,R4は、昇圧コンバータ20が出力する直流電圧Vpの上昇を検出するためのものであり、電源ラインDHと配線GLとの間に直列接続されている。入力電圧監視回路90は、電源投入時に、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpを抵抗R3,R4により分圧して得られる電圧V90に基づいて直流電圧Vpの電圧レベルを監視し、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpの電圧レベルが安定化した場合にDC/DC変換部30の電力変換動作を起動させるためのものである。本実施形態では、瞬時停電が発生した場合にも、停電検出部50から出力されるワンショットパルス信号SPに基づいて、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpの電圧レベルが安定化した場合にDC/DC変換部30の電力変換動作が起動される。
なお、上述した突入電流抑制回路40、停電検出部50、初期化部60、制御部70、昇圧コンバータ発振停止回路80、入力電圧監視回路90は、基本的には、グランドラインDLに繋がる配線GLの電位(例えばグランド電位)を基準とした所定の電源電圧で動作するように構成されている。
次に、本実施形態による電力変換装置1の動作について突入電流Irushに着目して説明する。
最初に、図3を参照して、電源投入時の動作を説明する。図3は、電力変換装置1の電源投入時の動作を説明するための図である。図3において、時刻t01以前の電源投入前の初期状態では、図1の電源ラインDHおよびグランドラインDLは共にグランドレベルにあり、入力コンデンサCinは放電された状態にある。
電源投入前の初期状態では、突入電流抑制回路40を構成する抵抗43と抵抗44との間の接続ノードN40の電圧V40はローレベル(グランドレベル)となっており、これを入力するコンパレータ45の出力信号もローレベルになっている。また、コンパレータ45からローレベルが入力される遅延部46の出力信号もローレベルになっており、駆動部47から出力される駆動信号SGもローレベルになっている。このため、時刻t01以前の電源投入前の状態では、nチャネル型電界効果トランジスタ42はオフ状態になっている。
このような初期状態から、時刻t01で電源スイッチSWが閉じられ、電源が投入されると、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpが直流入力電圧Vinに追従して上昇を開始する。これにより、入力コンデンサCinの充電が開始される。このときの入力コンデンサCinの充電電流により、入力端子TIHから入力コンデンサCinを介して第2入力端子TILに至る充電経路に突入電流Irushが発生する。
ここで、電源が投入されれば、突入電流抑制回路40内の接続ノードN40の電圧V40も上昇を開始し、電圧V40が参照電圧Vref以上になると、コンパレータ45はハイレベルの信号を出力する。しかし、遅延部46により、突入電流Irushが消失した状態になるまで、所定期間Tsにわたってコンパレータ45の信号が遅延され、駆動信号SGがローレベルに維持される。これにより、電源投入後も所定期間Tsだけnチャネル型電界効果トランジスタ42がオフ状態に維持される。このため、電源投入時に、突入電流Irushは、nチャネル型電界効果トランジスタ42には流れ込まず、抵抗41に流れ込み、この抵抗41により突入電流Irushのピーク値Ipeakが抑制される。
この後、所定期間Tsが経過した時刻t02で、遅延部46から出力される信号レベルがハイレベルに遷移し、これを受けて駆動部47が駆動信号SGとしてハイレベルを出力する。この駆動信号SGによりnチャネル型電界効果トランジスタ42がオン状態になる。これにより、グランドラインDL上に抵抗41が顕在化しなくなるため、この後の電力変換動作において、抵抗41による電力損失が防止される。
また、駆動信号SGを受けて、制御部70が昇圧コンバータ20の昇圧動作を起動させる。この結果、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpが上昇する。ここで、時刻t02でnチャネル型電界効果トランジスタ42がオン状態になると、グランドラインDLのインピーダンスが低下するので、電力変換装置1に流れ込む入力電流Iinは瞬時的に上昇する。しかし、そのピーク値は突入電流ほどではないため、突入電流のような障害を引き起こすことはない。その後、昇圧コンバータ20の動作が安定して直流電圧Vpが目標値(380V)に安定すると、時刻t03で、入力電圧監視回路90からの信号に基づいてDC/DC変換部30が電力変換動作を開始して所望の出力電圧Voutを発生させる。
次に、図4から図6を参照して、瞬時停電時の動作を説明する。
<瞬時停電時間が短い場合>
図4は、電力変換装置1の瞬時停電時の全体動作を説明するための図であり、瞬時停電時間Tdipが短い場合の説明図である。図4に示す時刻t1で瞬時停電が発生すると、直流入力電圧Vinの低下に伴って、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpも徐々に低下する。この例では、給電側が瞬時停電から復旧する時刻t2で、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpは電圧ΔV1だけ低下した状態となっている。
このように時停電の期間Tdipが所定時間T1よりも短い場合には、停電検出部50を構成する計時部52は所定時間T1の計時を終了しないので、停電検出部50はワンショットパルス信号SPを出力しない。このため、初期化部60を構成するnチャネル型電界効果トランジスタ61はオフ状態に維持され、初期化部60は、突入電流抑制回路40の回路状態を初期化しない。従って、nチャネル型電界効果トランジスタ42は瞬時停電の期間中、オン状態に維持される。
時刻t2で給電側が復旧すると、このときの直流入力電圧Vinの上昇に伴って、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpも目標値(380V)に復帰する。このとき、電圧ΔV1に応じて入力コンデンサCinの充電電流が発生し、この充電電流が突入電流Irushとなる。ただし、この場合、電圧ΔV1は小さいため、突入電流Irushのピーク値Ipは許容範囲内となり、例えば10A程度である。
このように、時停電時間Tdipが所定時間T1よりも短い場合、瞬時停電の影響が顕在化することなく、電力変換装置1は通常の動作を継続する。
<瞬時停電時間が長い場合>
次に、瞬時停電時間Tdipが所定時間T1よりも長い場合の動作を説明する。
図5は、電力変換装置1の瞬時停電時の全体動作を説明するための図であり、瞬時停電の期間Tdipが長い場合の説明図である。図5に示す時刻t1で瞬時停電が発生すると、直流入力電圧Vinの低下に伴って、昇圧コンバータ20から出力される直流電圧Vpも徐々に低下する。時刻t3で瞬時停電時間Tdipが所定時間T1に達すると、停電検出部50は、ワンショットパルス信号SPを発生させる。これを受けて初期化部60は突入電流抑制回路40を初期化する。これにより、突入電流抑制回路40を構成するnチャネル型電界効果トランジスタ42が時刻t3で強制的にオフ状態に制御され、グランドラインDL上に抵抗41が顕在化する。その詳細については後述する。
この後、時刻t4で給電側が瞬時停電から復旧する。時刻t4では、昇圧コンバータ20から出力されていた直流電圧Vpは目標値(例えば380V)から電圧ΔV2だけ低下した状態にある。この電圧ΔV2は、瞬時停電時間Tdipが長い分だけ、上述の電圧ΔV1よりも大きくなる。このため、仮に突入電流抑制回路40のnチャネル型電界効果トランジスタ42がオン状態に維持された状態で給電側が復旧すれば、電圧ΔV2に応じた入力コンデンサCinの充電電流が発生し、これが過大な突入電流Irushとなる。しかしながら、本実施形態によれば、次に詳細に説明するように、瞬時停電時間Tdipが所定時間T1を超えると、突入電流抑制回路40の回路状態が初期化される。これにより、突入電流抑制回路40を構成するnチャネル型電界効果トランジスタ42が強制的にオフ状態に制御され、グランドラインDL上に抵抗41が顕在化する。このため、時刻t4で給電側が復旧した際に発生する突入電流Irushが抵抗41により例えば10A程度に抑制される。
図6を参照して、瞬時停電時間Tdipが所定時間T1を超えた場合の電力変換装置1の詳細動作を説明する。
図6は、電力変換装置1の瞬時停電時の詳細動作を説明するための図であり、瞬時停電時間Tdipが所定時間T1を超えた場合の動作を説明するための図である。
前述したように、電源投入後、電力変換装置1が通常の電力変換動作を実施し、直流入力電圧Vinが規定値VT1で示される電圧値(例えば360V)よりも高い状態にあるときに、時刻t1で瞬時停電が発生すると、直流入力電圧Vinが低下を開始する。
そして、時刻t1aで直流入力電圧Vinが第2規定値VT2で示される所定電圧(例えば100V)以下に低下すると、停電検出部50の電圧検出部51は、その旨の信号を計時部52に出力する。計時部52は、停電検出部50からの信号を受けて所定時間T1の計時を開始する。時刻t3で瞬時停電時間Tdipが所定時間T1に到達すると、計時部52が所定時間T1の計時を終了し、その旨の信号を信号発生部53に出力する。信号発生部53は、時刻t3で計時部52からの信号を受けてワンショットパルス信号SPを発生させる。これにより、停電検出部50は、瞬時停電を検出したことを初期化部60に示す。
初期化部60は、時刻t3で停電検出部50から出力されたワンショットパルス信号SPに基づいて突入電流抑制回路40の回路状態を初期化する。具体的には、初期化部60を構成するnチャネル型電界効果トランジスタ61がワンショットパルス信号SPにより、そのパルス幅に相当する時間Tspだけオン状態となる。nチャネル型電界効果トランジスタ61がオン状態になると、抵抗43と抵抗44との間の接続ノードN40の電圧V40がグランドレベル(0V)に引き落とされる。電圧V40がグランドレベルになると、これが入力されるコンパレータ45が即座に初期化され、コンパレータ45の出力信号がローレベルになる。また、初期化部60は、コンパレータ45と共に、遅延部46および駆動部47の各回路状態も初期化する。
初期化部60によりコンパレータ45、遅延部46、駆動部47の各回路状態が初期化されると、駆動部47からnチャネル型電界効果トランジスタ42のゲートに供給される駆動信号SGがローレベルになる。駆動信号SGがローレベルになると、nチャネル型電界効果トランジスタ42がオフ状態になり、突入電流Irushの経路となるグランドラインDL上に抵抗41が顕在化する。これにより、突入電流抑制回路40が初期化された状態となる。初期化された突入電流抑制回路40の回路状態は、電源投入前の回路状態に対応する。
続いて、時刻t3aでワンショットパルス信号SPがハイレベルからローレベルに遷移すると、接続ノードN40の電圧V40は、抵抗43,44により直流入力電圧Vinを分圧して得られる電圧を示すようになる。ただし、時刻t3aでは、給電側が瞬時停電から復旧していないので、直流入力電圧Vinは低下した状態にあり、電圧V40は参照電圧Vrefを下回ったレベルのままである。この後、時刻t4で給電側が瞬時停電から復旧すると、直流入力電圧Vinが上昇を開始する。
時刻t4で直流入力電圧Vinが上昇すると、電源投入時と同様に突入電流抑制回路40が機能する。即ち、直流入力電圧Vinの上昇に伴って電圧V40が参照電圧Vrefを超えると、コンパレータ45の出力信号がハイレベルに遷移する。コンパレータ45の出力信号がハイレベルに遷移してから所定時間Tsだけ遅れて、時刻t5で遅延部46の出力信号がハイレベルに遷移し、駆動部46がハイレベルの駆動信号SGを出力する。駆動信号SGがハイレベルになると、突入電流抑制回路40のnチャネル型電界効果トランジスタ42がオフ状態からオン状態に復帰する。
ここで、給電側が瞬時停電から復旧する時刻t4から所定時間Tsが経過する時刻t5までの期間、nチャネル型電界効果トランジスタ42はオフ状態に維持される。このため、時刻t4で給電側が瞬時停電から復旧した際に発生する突入電流Irushは、nチャネル型電界効果トランジスタ42には流れ込まず、抵抗41に流れ込む。これにより、突入電流Irushは抵抗41により許容範囲内の例えば10A程度に抑制される。
このように、本実施形態によれば、瞬時停電が発生した場合、突入電流抑制回路40が電源投入前の状態に初期化されるため、給電側が瞬時停電から復旧した場合、突入電流抑制回路40は、電源投入時と同様に動作して突入電流Irushを抑制する。
次に、参考までに、図7を参照して、本実施形態の主要な特徴部である上述の停電検出部50および初期化部60を備えない場合の従来装置に相当する動作を補足説明する。
図7は、電力変換装置1の動作を補足説明するための図であり、本実施形態による図1の構成において停電検出部50および初期化部60を備えない場合の動作を説明するための図である。
停電検出部50および初期化部60を備えない場合、上述のワンショットパルス信号SPは発生されず、初期化部60により突入電流抑制回路40の回路状態が初期化されることもなくなる。従ってこの場合、瞬時停電期間中も駆動信号SGがハイレベルに維持され、給電側が瞬時停電から復旧する時刻t4でnチャネル型電界効果トランジスタ42がオン状態となっている。このため、給電側が復旧する際に入力コンデンサCinの充電電流によって形成される突入電流Irushはnチャネル型電界効果トランジスタ42を流れ、抵抗41により抑制されない。図7の例では、給電側が瞬時停電から復旧する時刻t4で直流電圧Vpが電圧ΔV3だけ低下しているが、瞬時停電時間Tdipが上述の図4の例よりもながく、例えば上述の図5の例と同じであれば、電圧ΔV3は図4の例における電圧ΔV1よりも大きくなり、図5の例における電圧ΔV2と等しくなる。従って、時刻t4で例えば35Aもの過大な突入電流Irushが発生することになる。しかしながら、本実施形態によれば、上述したように、突入電流Irushが発生する時刻t4を含む時刻t3から時刻t5までの期間、突入電流抑制回路40を構成するnチャネル型電界効果トランジスタ42がオフ状態に維持されるので、入力コンデンサCinの充電経路上に抵抗41が顕在化し、突入電流Irushが抵抗41により抑制される。
なお、時刻t5で電界効果トランジスタ42がオン状態になると、抵抗41の端子間がnチャネル型電界効果トランジスタ42により短絡されるため、この抵抗41がグランドラインDL上に顕在化しなくなる。このため、時刻t5以降においてDC/DC変換部30がスイッチング動作を開始し、電力変換動作に伴う通常の動作電流がグランドラインDLに流れても、抵抗41による電力損失は発生しない。
上述した第1実施形態によれば、直流入力電圧Vinが第1規定値VT1で示される電圧値を上回った状態で瞬時停電が発生した場合に突入電流抑制回路40が初期化され、入力コンデンサCinの充電経路上に抵抗41が顕在化する。これにより、昇圧コンバータ20が停止した状態で発生する突入電流Irushを抑制することができる。従って、入力電流を過剰に制限することなく、突入電流Irushを有効に抑制することができ、突入電流Irushを抑制する際に電力変換装置1の電力変換動作に与える影響を最小限に留めることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。上述した第1実施形態では、直流電源Eから直流入力電圧Vinが電力変換装置1に入力されるものとしたが、本実施形態では、電力変換装置1は、商用電源から供給される交流電力を上記の直流入力電圧Vinに整流するための整流部(不図示)を更に備える。即ち、本実施形態では、直流入力電圧Vinは、商用電源から供給される電力を整流して得られた電圧である。その他の構成および動作は、第1実施形態と同様である。
上述した本発明の第1および第2実施形態では、本発明を電力変換装置として表現したが、本発明は、突入電流抑制方法として表現することもできる。この場合、本発明による突入電流抑制方法は、直流入力電圧を所定電圧に昇圧するための昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータを通して流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路とを備え、前記昇圧コンバータから出力される電圧を電力変換するように構成された電力変換装置において、前記突入電流を抑制する突入電流抑制方法であって、前記直流入力電圧が規定値を上回った状態で、前記直流入力電圧を供給する給電側の停電が発生した場合、前記停電の時間が所定時間に達したときに、前記給電側が停電したことを検出する段階(停電検出部50の機能に相当する段階)と、前記給電側の停電が検出された場合、前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する段階(初期化部60の機能に相当する段階)と、を含む突入電流抑制方法として表現することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態では、電源検出部50において、電源ラインDH上の直流入力電圧Vinが第1規定値VT1で示される電圧値(例えば360V)を上回った状態(昇圧コンバータ20の昇圧動作が停止している状態)にあるかどうかを検出する必要があるが、昇圧コンバータ20の昇圧動作を制御する制御部70から昇圧コンバータ20に出力される制御信号SDを利用して、直流入力電圧Vinが第1規定値VT1を上回った状態にあるかどうかを判定してもよい。この場合、制御信号SDとして、クロック信号ではなく、一定の信号レベルが継続して出力されていれば、直流入力電圧Vinが第1規定値VT1を上回った状態、即ち昇圧コンバータ20の昇圧動作が停止している状態にある。
1…電力変換装置
10…フィルタ
20…昇圧コンバータ
30…DC/DC変換部
40…突入電流抑制回路
41…抵抗
42…nチャネル型電界効果トランジスタ
43,44…抵抗
45…コンパレータ
46…遅延部
47…駆動部
50…停電検出部
51…電圧検出部
52…計時部
53…信号発生部
60…初期化部
61…nチャネル型電界効果トランジスタ
70…制御部
80…昇圧コンバータ発振停止回路
90…入力電圧監視回路
DH…電源ライン
DL…グランドライン
F1,F2…ヒューズ
GL…配線
R1,R2,R3,R4…抵抗
SW…電源スイッチ
TIH,TIL…入力端子
TOH,TOL…出力端子

Claims (5)

  1. 直流入力電圧を所定電圧に昇圧するための昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータを通して流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路とを備え、前記昇圧コンバータから出力される電圧を電力変換するように構成された電力変換装置であって、
    前記直流入力電圧が前記直流入力電圧が昇圧コンバータから出力される直流電圧に接近したことによる前記昇圧コンバータの不安定動作を防止するために予め設定された所定電圧を示す値である規定値を上回った状態で、前記直流入力電圧を供給する給電側の停電が発生した場合、前記停電の時間が所定時間に達したときに、前記給電側が停電したことを検出する停電検出部と、
    前記停電検出部が前記給電側の停電を検出した場合、前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する初期化部と、
    を備え
    前記停電検出部は、前記直流入力電圧が前記所定電圧以下に低下した時点から前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間の計時を終了した後、前記計時が終了した旨の信号を発生させ、
    前記初期化部は、前記停電検出部から前記計時が終了した旨の信号が入力されると、前記突入電流抑制回路の回路状態をオフ状態にし、
    前記突入電流抑制回路は、
    前記回路状態が前記初期化部によりオフ状態にされた後、前記直流入力電圧が上昇し、入力される入力電圧が電源投入時のローレベルから所定の参照電圧になるまでの所定遅延時間が経過するまで、前記回路状態のオフ状態を維持する、
    電力変換装置。
  2. 前記停電検出部は、
    前記直流入力電圧が前記規定値を上回った状態から所定電圧以下に低下したことを検出する電圧検出部と、
    前記直流入力電圧が前記所定電圧以下に低下したことを前記電圧検出部が検出した場合に前記所定時間の計時を開始する計時部と、
    前記計時部が前記所定時間の計時を終了したときに、前記計時が終了した旨の信号を発生させる信号発生部と、
    を備えた、請求項に記載の電力変換装置。
  3. 前記突入電流抑制回路は、
    前記給電側が停電から復旧したときに発生する突入電流の経路上に介挿された抵抗と、前記抵抗に対して並列接続されたスイッチ素子と
    前記初期化部に並列に接続され、前記直流入力電圧を分圧して得られる分圧電圧を検出する検出部と、
    前記検出部の出力電圧が、電源投入時のローレベルから所定の参照電圧になるまでの所定遅延時間が経過するまで、前記スイッチ素子をオフ状態に維持し、前記所定遅延時間が経過した後に、前記スイッチ素子をオン状態に制御する制御部と、
    を備えて構成され、
    前記初期化部は、
    前記停電検出部が前記給電側の停電を検出した場合、前記スイッチ素子がオフ状態となるように前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する、請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記直流入力電圧は、商用電源から供給される電力を整流して得られた電圧である、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電力変換装置。
  5. 直流入力電圧を所定電圧に昇圧するための昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータを通して流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路とを備え、前記昇圧コンバータから出力される電圧を電力変換するように構成された電力変換装置において、前記突入電流を抑制する突入電流抑制方法であって、
    停電検出部が、前記直流入力電圧が前記直流入力電圧が昇圧コンバータから出力される直流電圧に接近したことによる前記昇圧コンバータの不安定動作を防止するために予め設定された所定電圧を示す値である規定値を上回った状態で、前記直流入力電圧を供給する給電側の停電が発生した場合、前記停電の時間が所定時間に達したときに、前記給電側が停電したことを検出する段階と、
    初期化部が、前記給電側の停電が検出された場合、前記突入電流抑制回路の回路状態を初期化する段階と、
    を含み、
    前記停電検出部が、前記直流入力電圧が前記所定電圧以下に低下した時点から前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間の計時を終了した後、前記計時が終了した旨の信号を発生させる信号発生段階と、
    前記初期化部が、前記停電検出部から前記計時が終了した旨の信号が入力されると、前記突入電流抑制回路の回路状態をオフ状態にするオフ状態化段階と、
    前記突入電流抑制回路が、
    前記回路状態が前記初期化部によりオフ状態にされた後、前記直流入力電圧が上昇し、入力される入力電圧が電源投入時のローレベルから所定の参照電圧になるまでの所定遅延時間が経過するまで、前記回路状態のオフ状態を維持するオフ状態維持段階と
    をさらに含む突入電流抑制方法。
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