JP6051112B2 - 白金族金属の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、使用済み触媒コンバータの触媒含有ウォッシュコートから白金族金属を回収する方法に関する。
近年、大半のガソリン車が、三元触媒コンバータを使用した排ガス浄化システムを搭載している。この三元触媒コンバータは、一酸化炭素(CO)、チッソ酸化物(NO)、未燃焼の炭化水素を、二酸化炭素、チッソ、水に変換して、ガソリンエンジンからの排ガスを浄化する。
触媒コンバータは、基本構造としてハニカム(モノリス)構造を有しており、ハニカム構造体の表面には触媒コーティングが施されている。触媒コーティングを行う際は、まず、ウォッシュコート(触媒担体保持材)の薄膜でハニカムの表面を被覆し、そのウォッシュコート上に触媒を被覆する。触媒としては、主に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの白金族金属(PGM:Platinum Group Metals)が用いられる。
なお、コンバータの触媒能を大きくするためには、反応が起きる表面の面積を大きくする必要がある。これは、ハニカム構造と多孔質のウォッシュコートにより達成される。このため、ウォッシュコートの材質としては、通常、多孔質の無機酸化物(アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナなどの一般に触媒担体として用いられる無機酸化物)が用いられる。特に、活性アルミナが多く使われている。活性アルミナは、ランタンやセリウム等の希土類元素やバリウム等のアルカリ土類元素を含んでいる場合も多い。
このように、触媒コンバータのウォッシュコート上に被覆された触媒は、高価な白金族金属を含む。白金族金属は産業の必須元素であり、特にPt、Pd、Rhの多くが自動車用の触媒コンバータの触媒として使用されている。安定的な白金族金属の供給を維持するためには、触媒コンバータからの白金族金属のリサイクル技術を確立することは意義深い。触媒コンバータから白金族金属を回収する方法として、従来は、触媒コンバータ全体を粉砕し、高温・乾式処理の溶錬・抽出法などが知られていた。しかしながら、この方法では高温に加熱するための多くのエネルギーが必要となるため、低エネルギー・低環境負荷型のシステムにより白金族金属を回収できる新たな回収方法の提供が望まれていた。
一方、低エネルギー・低環境負荷型の回収方法として、非特許文献1(小西康裕、「微生物機能を活用するレアメタル回収への挑戦」、化学工学、Vol.74、No.3、p.109−111、2010年)には、プリント基板などから、金属イオン還元細菌(鉄還元細菌)を用いて白金族金属を回収する方法が開示されている。この方法では、プリント基板などから、王水を用いて白金族金属を含む金属を浸出し、この浸出液から金属イオン還元細菌を用いて白金族金属を回収する。しかし、この方法を触媒含有ウォッシュコートに適用した場合、上述のように触媒含有ウォッシュコートは白金族金属以外のアルミニウムや他の金属も含むため、王水を用いた浸出処理の後に溶液pHを調整する際に浸出貴液がゲル化してしまい、後の処理を行うことができないという問題がある。
そこで、特許文献1(特開2012−107294号公報)には、まず、触媒含有ウォッシュコートを無機酸で浸出して無機酸可溶元素を溶出させた後に、浸出残渣を王水で浸出して得た浸出液を鉄還元菌で処理することにより、白金族金属を回収する方法が開示されている。この方法によれば、まず無機酸を用いた浸出を行うことにより、王水による浸出処理時のゲル化の原因となる元素を取り除くことができるため、触媒中の白金を回収することができる。しかしながら、白金の回収率は更に改善の余地があった。また、触媒(白金族金属)中のパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)は、王水による浸出液を水酸化ナトリウムでpH調整する段階で他の金属の水酸化物と共沈してしまうため、バイオ回収することが難しかった。
特開2012−107294号公報
小西康裕、「微生物機能を活用するレアメタル回収への挑戦」、化学工学、Vol.74、No.3、p.109−111、2010年
本発明の目的は、低エネルギー・低環境負荷型の簡易な処理により、触媒含有ウォッシュコートから効率的に白金族金属を回収する方法を提供することである。
本発明は、触媒含有ウォッシュコートから白金族金属を回収する方法であって、
触媒含有ウォッシュコートをアルカリまたは無機酸の水溶液である第1浸出液で浸出し、浸出残渣を得る第1浸出工程と、
前記浸出残渣を、濃塩酸を含有する第2浸出液で浸出し、浸出貴液を得る第2浸出工程と、
前記浸出貴液にリン酸塩を添加するとともに、アルカリを用いてpHを6〜7に調整するpH調整工程と、
前記浸出貴液中に含まれる白金族金属イオンを、金属イオン還元細菌を用いて還元することにより白金族金属を析出させるバイオ還元工程とを
含む、白金族金属の回収方法である。
前記第1浸出液は、アルカリの水溶液であることが好ましい。また、前記白金族金属は、白金、パラジウムおよびロジウムであることが好ましい。また、前記第2浸出液は、濃塩酸および酸化剤を含有することが好ましい。
本発明によれば、低エネルギー・低環境負荷型の簡易な処理により、触媒含有ウォッシュコートから効率的に白金族金属を回収する方法を提供することができる。
本発明の白金族金属の回収方法の概要を示すフロー図である。 実施例1の第2浸出工程における白金族金属の浸出率と経過時間との関係を示すグラフである。 実施例1のバイオ還元工程における白金族金属の回収率と経過時間との関係を示すグラフである。
[触媒含有ウォッシュコート]
本発明の回収方法の対象となる「触媒含有ウォッシュコート」とは、使用済みの触媒コンバータのハニカム表面から分離した、廃触媒を含むウォッシュコートである。ここで、触媒は白金族金属(主にPt,Pd,Rh)である。触媒含有ウォッシュコートは、触媒コンバータから、触媒を含むウォッシュコートの層を剥離することで得られる。従って、「触媒含有ウォッシュコート」は、触媒やウォッシュコートの材料(助触媒など)以外に、触媒コンバータのハニカムを構成する成分(鉄、セラミックスなど)を含んでいてもよい。助触媒としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化セシウムが挙げられる。
触媒含有ウォッシュコートを分離する方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えば、研削材を含む気体を触媒コンバータの貫通孔内(触媒担持表面)に送り込み、貫通孔内を通過させることにより、触媒含有ウォッシュコートを研削する方法(特開2011−104581号公報、特開2012−693号公報参照)を好適に使用することができる。
触媒含有ウォッシュコートは、後述の第1浸出工程の前に、必要に応じて粉砕してもよい。粉砕方法は特に制限されず、公知の方法を用いて粉砕すればよい。粉砕に用いる装置としては、例えば、ローラー式粉砕機(フレットミル)、振動ミル、ボールミル、ポットミル、乳鉢、自動乳鉢などが挙げられる。
[金属イオン還元細菌]
金属イオン還元細菌とは、金属イオンを還元する能力を有する細菌である。金属イオン還元細菌は、電子供与体から電子の供給を受けて(有機物を酸化して発生する電子を利用して)、金属イオンを金属に還元し、析出させる機能を持つ。例えば、自然界の水環境の底泥などに生息する通性嫌気性細菌が挙げられる。工業的応用では、病原性細菌ではなく安全性が確保できる点、また培養の栄養源コストが低く、増殖が速い点(低コスト・迅速に菌体を供給可能)が、大きなメリットとなる。
金属イオン還元細菌としては、例えば、シワネラ属(Shewanella algae:シワネラ アルゲ(以下、「S.algae」という):ATCC(American Type Culture Collection)51181株、Shewanella oneidensis:シワネラ オネイデンシス:ATCC700550株など)、ゲオバクター属(代表種:Geobacter metallireducens:ゲオバクター メタリレデューセンス:TCC53774株)、デスルフォモナス属(代表種:Desulfuromonas palmitatis:デスルフォモナス パルミタティス:ATCC51701株)、デスルフォムサ属(代表種:Desulfuromusa kysingii:デスルフォムサ キシンリ:DSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen)7343株)、ペロバクター属(代表種:Pelobacter venetianus:ペロバクター ベネティアヌス:ATCC2394株)、フェリモナス属(Ferrimonas balearica:フェリモナス バレアリカ:DSM9799株)、エアロモナス属(Aeromonas hydrophila:エアロモナス ヒドロフィラ:ATCC15467株)、スルフロスピリルム属(代表種:Sulfurospirillum barnesii:スルフロスピリルム バーネシイ:ATCC700032株)、ウォリネラ属(代表種:ウォリネラ スシノゲネス:Wolinella succinogenes:ATCC29543株)、デスルフォビブリオ属(代表種:Desulfovibrio desulfuricans:デスルフォビブリオ デスルフリカンス:ATCC29577株)、ゲオトリクス属(代表種:Geothrix fermentans:ゲオトリクス フェルメンタンス:ATCC700665株)、デフェリバクター属(代表種:Deferribacter thermophilus:デフェリバクター テルモフィルス:DSM14813株)、ゲオビブリオ属(代表種:Geovibrio ferrireducens:ゲオビブリオ フェリレデューセンス:ATCC51996株)、ピロバクルム属(代表種:Pyrobaculum islandicum:テルモプロテウス アイランディカム:DSM4184株)、テルモトガ属(代表種:Thermotoga maritima:テルモトガ マリティマ:DSM3109株)、アルカエグロブス属(代表種:Archaeoglobus fulgidus:アルカエグロブス フルギダス:ATCC49558株)、ピロコックス属(代表種:Pyrococcus furiosus:ピロコックス フリオサス:ATCC43587株)、ピロディクティウム属(代表種:Pyrodictium abyssi:ピロディクティウム アビーシイ:DSM6158株)が挙げられる。好ましくはシワネラ属であり、特に好ましくはS.algaeである。これらの金属イオン還元細菌は、嫌気性細菌(通性嫌気性細菌)である。
本発明で用いる金属イオン還元細菌は、当該細菌に適した培地を用いて、増殖・維持を行えばよい。例えば、S.algaeは、pHが7.0で、電子供与体として乳酸ナトリウム(32mol/m)、電子受容体としてFe(III)イオン(56mol/m)を含むクエン酸第二鉄培地(ATCC No.1931)を用いて、嫌気性雰囲気下で回分培養して増殖させ、維持することができる。鉄イオンの塩は、この例では、クエン酸塩であるが、使用する培地、使用する金属イオン還元細菌の種類により、適宜選択すればよい。また、S.algaeは、TSB(トリプトソイブロス)液体培地(pH7.2)を用いて,好気培養することもできる。
以下、本発明の白金族金属の回収方法における各工程の詳細について説明する。本発明の回収方法は、基本的に、
(第1浸出工程) 触媒含有ウォッシュコートをアルカリまたは無機酸の水溶液である第1浸出液で浸出し、浸出残渣を得る工程と、
(第2浸出工程) 浸出残渣を、濃塩酸を含有する第2浸出液で浸出し、浸出貴液を得る工程と、
(pH調整工程) リン酸塩を添加するとともに、アルカリ(例えば水酸化ナトリウム)用いてpHを6〜7に調整する工程と、
(バイオ還元工程) 浸出貴液中に含まれる白金族金属イオンを、金属イオン還元細菌を用いて還元することにより白金族金属を析出させる工程とを含む。
図1に、このような本発明の白金族金属の回収方法の概要をフロー図で示す。なお、図1では、第1浸出工程でアルカリ水溶液を使用し、第2浸出工程で王水を使用した場合を示すが、本発明の回収方法はこれに限定されるものではない。
[第1浸出工程]
上記触媒含有ウォッシュコートは、まず、第1浸出液で浸出し、白金族金属は溶解させずに浸出残渣中に濃縮して回収する。第1浸出液は、アルカリの水溶液(アルカリ水溶液)または無機酸の水溶液(無機酸水溶液)であり、好ましくはアルカリ水溶液である。この第1浸出工程により、後に第2浸出液(王水など)で処理した後に、溶液pHを調整する際に浸出貴液のゲル化の原因となる元素を取り除くことができる。
(第1浸出液がアルカリ水溶液の場合)
例えば、触媒含有ウォッシュコートの粉末を第1浸出液(アルカリ水溶液)に添加し、混合することにより、アルカリ可溶成分(主としてAl)を第1浸出液中に浸出させる。浸出残渣を種々公知の方法により分離することで、アルミニウム等の白金族金属の回収を妨害する金属類の多くを除去することができる。
アルカリとは、水に溶解したときに塩基性を示す物質であり、触媒含有ウォッシュオート中のAl等を十分に浸出させることができ、白金族金属を浸出させないものであれば特に限定されない。アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)が挙げられる。
アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、触媒含有ウォッシュコートの処理量等から適宜決定すればよいが、例えば4mol/Lである。
第1浸出液に対する触媒含有ウォッシュコートの混合割合は、好ましくは30〜200kg/mである。
第1浸出液の温度は、第2浸出工程の後での浸出貴液のゲル化の原因元素が十分に取り除けるように適宜決定すればよいが、例えば160℃である。
第1浸出液としてアルカリ水溶液を用いる場合、アルカリ水溶液はステンレスに対する腐食性が低いため、通常のステンレス製容器等を使用できるという実用的メリットがある。一方、第1浸出液として無機酸水溶液を用いる場合は、高温・高圧容器を耐酸性金属(例えば、チタン、ハステロイ)で製造する必要がある。
また、第1浸出液としてアルカリ水溶液を用いる場合、主に触媒含有ウォッシュコート中のAlのみが浸出し、除去されるため、第1浸出工程の浸出残渣は白金族金属以外にCe、Fe、La等も含んでいる。したがって、この浸出残渣が後述の第2浸出工程およびpH調整工程を経ることにより生じた沈殿物から、レアアースであるCe、Laの濃縮物を回収することができるという利点がある。一方、第1浸出液として無機酸水溶液を用いる場合は、Ce、Fe、La等も第1浸出工程で液中に浸出して除去されてしまうため、別途の回収処理を行わなければ、そのようなCe、La等を含む濃縮物(沈殿物)を得ることはできない。
なお、第1浸出工程で分離されたアルミニウム(アルカリ水溶液を用いる場合)や、鉄など(無機酸水溶液を用いる場合)を含む浸出液を廃液として排出する場合は、必要に応じて、中和により中和屑としてアルミニウムなどを沈殿させ、除去するといった廃液処理が実施される。
(第1浸出液が無機酸水溶液の場合)
以下、第1浸出液が無機酸水溶液の場合について説明するが、第1浸出液がアルカリ水溶液である場合と同様の点については説明を省略する。
例えば、触媒含有ウォッシュコートの粉末を第1浸出液(無機酸水溶液)に添加し、混合することにより、無機酸可溶成分(Al、Fe、Ce、La等)を第1浸出液中に浸出させる。浸出残渣を公知の方法により分離することで、Al、Fe、Ce、La等の第2浸出工程を妨害する金属類の多くを除去することができる。
無機酸とは、水に溶解したときに酸性を示す無機化合物であり、触媒含有ウォッシュオート中のFe、Al、Ce、La等を十分に浸出させることができ、白金族金属を浸出させないものであれば特に限定されないが、好ましくは硫酸である。
無機酸水溶液中の無機酸の濃度は、Al、Fe、Ce、La等を浸出でき、白金族金属が浸出しないような濃度であれば特に限定されず、触媒含有ウォッシュコートの処理量から適宜決定すればよい。例えば、硫酸の濃度は5mol/Lである。
[第2浸出工程]
次に得られた前記浸出残渣を、第2浸出液(濃塩酸を含有する液)を用いて浸出する。第2浸出液は、濃塩酸に酸化剤を添加した液であってもよい。酸化剤は、塩化水素を酸化して塩素ガスまたは塩化ニトロシルを発生させるものであれば特に限定されないが、適当な酸化剤としては、例えば濃硝酸や過酸化水素水を用いることができる。第一浸出残渣がCeOを十分に含有している場合、このCeOを酸化剤として利用することもできる。第2浸出液中の濃塩酸および酸化剤の濃度は、白金族金属が浸出するような濃度であれば特に限定されず、浸出残渣の処理量等を勘案して適宜決定すればよい。第2浸出液としては、例えば、王水(濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合した液)を好適に用いることができる。
また、浸出残渣の量に対する第2浸出液の混合割合は、浸出残渣から白金をはじめとする白金族金属が十分に溶出する量であれば、特に制限はないが、例えば25kg/mである。
このような第2浸出工程により、触媒含有ウォッシュコートに含まれる白金族金属(白金、パラジウム、ロジウムなど)イオンを高い濃度で含有する浸出貴液を得ることができる。
[pH調整工程]
上記第2浸出工程で得られた浸出貴液は、リン酸塩を添加するとともに、アルカリ(例えば水酸化ナトリウム)用いてそのpHが6〜7に調整される。
リン酸塩としては、例えば、リン酸二水素カリウム(KHPO)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)が挙げられる。
リン酸塩とアルカリを用いてpH調整処理を行うことにより、浸出貴液中に含まれる白金族金属以外の金属(アルミニウム、鉄など)を沈殿として除去でき、一方で沈殿を除去した浸出貴液中に白金族金属の大部分を残存させることができる。このため、本発明の回収方法によれば、Pt以外のPd、Rh等の白金族金属も回収することが可能であり、また、白金族金属を高い収率で回収することが可能である。
アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)が挙げられる。
[バイオ還元工程]
本工程では、上記第2工程で得られた浸出貴液中に含まれる白金族金属イオンを、金属イオン還元細菌を用いて還元することにより白金族金属を析出させる。
具体的には、例えば、浸出貴液と金属イオン還元細菌の懸濁液とを嫌気性雰囲気中、常温で混合することにより、液中の白金族金属イオンが還元されて白金族金属が菌体内に析出する。
本工程で用いる金属イオン還元細菌の数は、特には制限されない。一般的に細胞数が多いほど、処理時間が短くなる。金属イオン還元細菌の懸濁液と浸出貴液との混合液中の細菌数(細胞濃度)は、好ましくは1.0×1014cells/m〜1.0×1016cells/m、より好ましくは1.0×1015cells/m〜8.0×1015cells/mである。
本工程では、上記第2浸出液による浸出処理で得られた浸出液を用いる。金属イオン還元細菌の懸濁液の調製は、まず指数増殖末期に達した金属イオン還元細菌培養液を、窒素ガスにより嫌気状態にしたグローブボックス内で採取し、遠心分離機で集菌する。集菌した菌液を、水(蒸留水、イオン交換水、純水などを含む)を用いて所定の濃度に調整する。
第2浸出液と金属イオン還元細菌の懸濁液の混合液中には、電子供与体が添加されていることが好ましい。電子供与体としては、例えば、有機酸塩が挙げられる。有機酸塩としては、例えば、炭素数1〜7のカルボン酸塩(ギ酸塩、酢酸塩など)、芳香族カルボン酸塩(脂式カルボン酸塩(脂肪酸塩)、安息香酸塩など)、オキソカルボン酸塩(ピルビン酸塩など)、その他のカルボン酸塩(乳酸塩など)が挙げられる。また、有機酸塩以外の電子供与体としては、例えば、アルコール(エタノールなど)、不飽和芳香族(トルエンフェノールなど)、水素ガス(分子状水素)が挙げられる。なお、アルコールおよび不飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは1〜7である。
好適な電子供与体は、使用する金属イオン還元細菌の種類により異なり、適宜選択すればよい。例えば、S.algaeについては、有機酸塩を電子供与体として好適に用いることができる。電子供与体の混合液中の初期濃度は、好ましくは10〜1000mMであり、より好ましくは20〜200mMである。
バイオ還元工程の処理時間は、特に制限はされないが、処理効率を考慮し、白金族金属の濃度と使用する金属イオン還元細菌の数を調整して、白金族金属の回収率が高くなるように調整すればよい。
金属イオン還元細菌に回収された白金族金属は、例えば、菌体を液中から分離し、乾燥させた後、焼成等により菌体等の有機物を除去することで、回収できる。
ここで、白金族金属は、3種の白金族金属(Pt,Pd,Rh)の混合物として回収されるが、該混合物中の白金族金属の個々の濃度は十分に高いことから、種々公知の手法により1種づつ分離精製・回収することができる。
本発明の白金族金属の回収方法を用いれば、極めて簡易な操作で、短時間に高い効率で、白金族金属を回収することができる。したがって、従来法よりも簡便な方法で、低コストで、三元触媒コンバータから、白金族金属を回収し、有効に再利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
金属イオン還元細菌の懸濁液の調製は、まず指数増殖末期に達した金属イオン還元細菌培養液を、窒素ガスにより嫌気状態にしたグローブボックス内で採取し、遠心分離機で集菌した。次に、集菌した菌液をイオン交換水で再懸濁し所定の濃度に調整した。
[実施例1]
まず、使用済み自動車用触媒コンバータから回収した粉末状の触媒含有ウォッシュコート(Al:29%,Ce:14%,Fe:0.97%,La:5.9%,Pd:0.24%,Pt:0.40%,Rh:0.083%)を用意した。なお、触媒含有ウォッシュコート中の各金属含有率は、王水で溶解させた後、溶液中の金属濃度を誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光法により測定して求めた値である。
(第1浸出工程)
次に、触媒ウォッシュコートの粉末を4kmol/mの水酸化ナトリウム水溶液(第1浸出液)に、初期固液混合比率(第1浸出液に対する触媒ウォッシュコート粉末の配合比率)が58.8kg/mとなるように添加した。第1浸出工程は、オートクレーブを用い、温度160℃、圧力5.8atmで、3時間の回分操作を行った。なお、第1浸出工程は、触媒含有ウォッシュコート中の約6割を占めるAlを白金族金属から分離することを目的とする。
(第2浸出工程)
次に、第1浸出工程の浸出残渣に対して、第2浸出液による白金族金属の浸出を行った。第2浸出液として王水(濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合した液)を用いた。ここで、濃塩酸とは35w/v%HCl水溶液であり、濃硝酸とは60w/v%HNO水溶液である。第2浸出液に対する浸出残渣の混合比率(初期固液混合比率)は、25kg/m、温度は90℃、大気圧下で、浸出時間は3時間(180分間)とした。
なお、第2浸出工程の所定時間毎に液相金属濃度(浸出貴液中の各白金族金属濃度)を誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光法により測定した。液相金属濃度の測定値と、上記触媒含有ウォッシュコート中の各金属含有率から算出した白金族金属の浸出率と経過時間との関係を図2に示す。
図2に示される結果から、初期固液混合比25kg/m、温度90℃、大気圧下で浸出した場合には、時間経過に伴い白金族金属の浸出率が増大し、2時間後に白金族金属(Pd、Pt、Rh)の大部分が浸出貴液中に浸出していることが分かる。
(pH調整工程)
次に、第2浸出工程を経て得られた浸出貴液に、該浸出液中の重金属成分(Al,Fe,Ce,La)のモル数の和の5倍以上の量のリン酸二水素カリウム(KHPO)を浸出液に添加した後、さらに水酸化ナトリウム溶液を添加してpHが6付近になるように調整した。なお、このpH調整工程により、白金族金属以外の重金属成分の大部分を沈殿除去でき、この沈殿に伴う白金族金属の共沈殿はほとんど生じないことも確認できた。
(バイオ還元工程)
次に、pH調整工程後の浸出貴液(Pt,Pd,Rhを含有)を対象に、白金族金属のバイオ還元工程を回分操作で行った。すなわち、浸出貴液と金属イオン還元細菌の懸濁液とを混合し、電子供与体(ギ酸ナトリウム)を添加した後に、培養を行った。金属イオン還元細菌としては、S. algae(ATCC51181株)を用いた。バイオ還元工程の主な操作条件は、細胞濃度:5.0×1015cells/m、電子供与体(ギ酸塩)初期濃度:100mol/m、溶液pH6、室温、嫌気環境下、操作時間:2hとした。
所定時間毎に培養液をサンプリングし、培養液中の各白金族金属イオンの濃度をICP発光分光法により測定した。なお、比較として、浸出貴液と、金属イオン還元細菌を含まない100mol/mのギ酸ナトリウム水溶液とを混合し、上記と同様の操作および測定を行った。測定値から求めた各白金族金属(Pt,Pd,Rh)の回収率と、操作時間との関係を図3に示す。図3に示される結果から、白金族金属(Pt,PdおよびRhの全て)を2時間以内の回分操作(バイオ還元工程)により、高効率(回収率:95%以上)で回収できることが分かる。したがって、本発明の白金族金属の回収方法によれば、触媒含有ウォッシュコートから白金族金属を効率的に高い収率で回収できることが分かる。
[実施例2]
第2浸出工程で用いる第2浸出液として濃塩酸(35w/v%HCl水溶液)を用い、第2浸出液に対する第1浸出工程の浸出残渣の混合比率(初期固液混合比率)は、第2浸出液100mLに対して0.4gとした点以外は、実施例1と同様にして第2浸出工程までの操作を行った。
その結果、本実施例において、第2浸出工程後の白金、パラジウムおよびロジウムの浸出率は全て100%であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (4)

  1. 触媒含有ウォッシュコートから白金族金属を回収する方法であって、
    触媒含有ウォッシュコートをアルカリまたは無機酸の水溶液である第1浸出液で浸出し、浸出残渣を得る第1浸出工程と、
    前記浸出残渣を、濃塩酸を含有する第2浸出液で浸出し、浸出貴液を得る第2浸出工程と、
    前記浸出貴液にリン酸塩を添加するとともに、アルカリを用いてpHを6〜7に調整するpH調整工程と、
    前記浸出貴液中に含まれる白金族金属イオンを、金属イオン還元細菌を用いて還元することにより白金族金属を析出させるバイオ還元工程とを
    含む、白金族金属の回収方法。
  2. 前記第1浸出液は、アルカリの水溶液である、請求項1に記載の白金族金属の回収方法。
  3. 前記白金族金属は、白金、パラジウムおよびロジウムである、請求項1または2に記載の白金族金属の回収方法。
  4. 前記第2浸出液は、濃塩酸および酸化剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の白金族金属の回収方法。
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