JP6050289B2 - 組換え蛋白質高発現細胞株の選択法 - Google Patents

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Description

本発明は,組換え蛋白質を高発現する細胞株の簡易な選択法に関し,詳しくは,無血清培地で培養した組換え蛋白質発現細胞株の培養上清に含まれる組換え蛋白質を,逆相クロマトグラフィーで分析することにより,組換え蛋白質を高発現する細胞株を選択する方法に関する。
所望の蛋白質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターで形質転換された哺乳動物細胞を用いて,組換え蛋白質を製造する方法は,医薬品製造等の産業分野で広く普及した技術であり,α−ガラクトシダーゼA,イズロン酸2−スルファターゼ,グルコセレブロシダーゼ,ガルスルファーゼ,α−L−イズロニダーゼ,酸性α−グルコシダーゼ等のリソソーム酵素,組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA),血液凝固第VII因子,血液凝固第VIII因子,血液凝固第IX因子等の血液凝固因子,エリスロポエチン,インターフェロン,トロンボモジュリン,卵胞刺激ホルモン,顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF),各種抗体医薬等がこの技術を用いて製造され,医薬品として市販されている。
組換え蛋白質を哺乳動物細胞を用いて製造する場合,組換え蛋白質の生産効率を高めるため,所望の蛋白質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターで形質転換された哺乳動物細胞の中から,組換え蛋白質を高発現する細胞を選択する必要がある。かかる選択は,選択マーカーとしてピューロマイシン,ネオマイシン等の薬剤を分解する酵素(薬剤耐性マーカー)を発現ベクターに組み込み,このような発現ベクターで形質転換された細胞を,選択マーカーに対応する薬剤をある一定濃度含む培地中で培養することにより,一般的に行われる。選択マーカーに対応する薬剤存在下で培養することにより,薬剤選択マーカーを高レベルで発現する細胞のみが増殖して,それらが選択される結果となる。薬剤選択マーカーを高レベルで発現する細胞は,発現ベクターに同時に組み込んだ所望の蛋白質をコードする遺伝子も高レベルに発現する傾向があるので,結果として,所望の蛋白質を高レベルで発現する哺乳動物細胞が得られる。
選択マーカーにより選択された細胞は,所望の蛋白質を高レベルに発現する傾向があるものの,その発現レベルは個々の細胞毎に異なる。そこで,組換え蛋白質の生産効率をより高めるため,選択マーカーにより選択された細胞から,所望の蛋白質をより高レベルで発現する細胞を更に選択する必要がある。このような細胞の更なる選択は,一般に,細胞を株化し,細胞株毎に培地中に分泌される組換え蛋白質をELISA法により定量することにより行われている(特許文献1)。しかしながら,ELISA法による定量は,組換え蛋白質に対する抗体を準備する必要がある。
また,所望の蛋白質をより高レベルで発現する細胞を選択する方法として,組換え蛋白質の受容体との親和性を利用する方法もある(特許文献2)。しかしながら,受容体との親和性を利用する方法は,別途受容体蛋白質を遺伝子組換え技術等を用いて準備することを必要とする。
特許第2657816号公報 国際公開第2009/020142号
上記背景の下で,本発明の目的は,組換え蛋白質を高発現する細胞株の簡易な選択法を提供することを目的とする。
上記目的に向けた研究において,本発明者らは,無血清培地で培養した組換え蛋白質発現細胞株の培養上清に含まれる組換え蛋白質を,逆相クロマトグラフィーで分析することにより,組換え蛋白質を高発現する細胞株を選択することができることを見出し,本発明を完成した。すなわち,本発明は以下を提供する。
(1)組換え蛋白質を高発現する細胞株を選択する方法であって,
(a)細胞を所望の蛋白質をコードする遺伝子と選択マーカーとを組み込んだ発現ベクターで形質転換させて形質転換細胞を得るステップと,
(b)該形質転換細胞を,該選択マーカーに対応する薬剤存在下で選択培養することにより,複数の細胞株を選択するステップと,
(c)該細胞株を,それぞれ無血清培地で培養し,該培養後に該細胞株の培養上清をそれぞれ回収するステップと,
(d)回収した該細胞株の培養上清をそれぞれ逆相クロマトグラフィーに付し,次いで,逆相カラムからの流出液を,連続的に流路に導き,該流路中を流れる該流出液の吸光度を連続的に測定するステップと,
(e)該測定により該組換え蛋白質に対応する吸光度のピークを同定するとともに,該細胞株の培養上清毎に得られる該ピークの面積を比較するステップと,
(f)該細胞株の中から,相対的に大きい該面積を示す細胞株を選択するステップと,を含む方法。
(2)該細胞が哺乳動物細胞である,上記(1)に記載の方法。
(3)該哺乳動物細胞がCHO細胞である,上記(2)に記載の方法。
(4)該逆相クロマトグラフィーが,オクタデシルシリル基で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲルを固定相とし,0.08〜0.12%トリフルオロ酢酸を含有する20〜40%プロパノール水溶液を第1の移動相とし,そして,第1の移動相と比較して,トリフルオロ酢酸の濃度が同一である一方,プロパノールの濃度が高められた水溶液を第2の移動相として行うものである,上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法。
(5)該組換え蛋白質が,α−ガラクトシダーゼA,イズロン酸2−スルファターゼ,グルコセレブロシダーゼ,ガルスルファーゼ,α−L−イズロニダーゼ,酸性α−グルコシダーゼ等のリソソーム酵素,組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA),血液凝固第VII因子,血液凝固第VIII因子,血液凝固第IX因子等の血液凝固因子,エリスロポエチン,ダルベポエチン,インターフェロン,トロンボモジュリン,卵胞刺激ホルモン,顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF),抗体,若しくはこれらの類縁体からなる群から選択されるものである,上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法。
(6)該組換え蛋白質が,エリスロポエチン又はダルベポエチン,若しくはこれらの類縁体からなる群から選択されるものである,上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば,組換え蛋白質を高発現する細胞株を,簡易に選択することができる。
細胞株(細胞株1)の培養上清とコントロール液の逆相クロマトグラフィーによる分析結果を示すクロマトグラム。破線が細胞株の培養上清,実線がコントロール液のクロマトグラムを示す。縦軸は吸光度,横軸はサンプル負荷完了後の経過時間(分)を示す。(A)はダルベポエチンに由来するピークを示す。 細胞株1〜3の培養上清の逆相クロマトグラフィーによる分析結果を示すクロマトグラム。(1)が細胞株1,(2)が細胞株2,(3)が細胞株3の培養上清のクロマトグラムを示す。縦軸は吸光度,横軸はサンプル負荷完了後の経過時間(分)を示す。
本発明において,「細胞」というときは,所望の組換え蛋白質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターで形質転換させることにより,組換え蛋白質を発現させることができる細胞であれば特に限定はないが,好ましくは酵母,昆虫細胞,カルス等の植物細胞,哺乳動物細胞である。細胞が哺乳動物細胞である場合,その細胞の種類について特に限定はないが,好ましくはヒト,マウス,ハムスター由来の細胞であり,特にCHO細胞,COS細胞が好適に使用し得る。
本発明において,「細胞株」というときは,細胞を,所望の組換え蛋白質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターで形質転換させた後に,選択培養することにより得られる,単一細胞に由来する形質が均一(又はほぼ均一)且つ安定な細胞のことをいう。また,本発明において,「組換え蛋白質を高発現する細胞株」というときは,組換え蛋白質の発現量を複数の細胞株について比較したときに,相対的に発現量が高い細胞株のことをいい,例えば,100個の細胞株について発現量を比較したときに,好ましくは発現量が上位1〜10位までの細胞株であり,より好ましくは発現量が上位1〜5位までの細胞株であり,更に好ましくは発現量が最も高い細胞株である。
本発明で,細胞を形質転換するために用いる発現ベクターは,そのベクターに組み込んだ所望の蛋白質をコードする遺伝子と選択マーカーを,その発現ベクターを導入した細胞内で発現させることができるものであれば特に限定はない。所望の蛋白質をコードする遺伝子は,その下流に存在する遺伝子の転写の頻度を制御(調節)することができるDNA上の領域であるプロモーター(遺伝子発現制御部位)の制御化に置かれる。このとき用いることのできる遺伝子発現制御部位は,細胞が哺乳動物細胞である場合,その下流に組み込んだ遺伝子の転写を,哺乳動物細胞内において強力に誘導することができるものである限り特に限定はないが,好ましくはサイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーター,SV40初期プロモーター等のウイルス由来のプロモーター,及び伸長因子1α(EF−1α)プロモーター等である。
本発明において,所望の組換え蛋白質をコードする遺伝子として発現ベクターに組み込むことのできる遺伝子は,当該組換え蛋白質を高発現する細胞株を本発明の方法により選択することができるものである限り特に制限はないが,α−ガラクトシダーゼA,イズロン酸2−スルファターゼ,グルコセレブロシダーゼ,ガルスルファーゼ,α−L−イズロニダーゼ,酸性α−グルコシダーゼ等のリソソーム酵素,組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA),血液凝固第VII因子,血液凝固第VIII因子,血液凝固第IX因子等の血液凝固因子,エリスロポエチン,ダルベポエチン,インターフェロン,トロンボモジュリン,卵胞刺激ホルモン,顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF),顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF),マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF),抗体,若しくはこれらの類縁体をコードする遺伝子等である。特に,本発明の方法は,エリスロポエチン又はダルベポエチン,若しくはこれらの類縁体を高発現する細胞株を選択するために好適に使用し得る。
本発明で,「選択マーカー」というときは,発現ベクターにより形質転換された細胞を選択するために機能する,発現ベクターに組み込まれた遺伝子,又はその遺伝子によりコードされた蛋白質のことをいう。選択マーカーとして最も一般的なものはピューロマイシン,ネオマイシン等の薬剤を分解する酵素(薬剤耐性マーカー)である。また,この他,ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR),グルタミン合成酵素(GS)も選択マーカーとして使用できる。ピューロマイシン,ネオマイシン等の薬剤を分解する酵素(薬剤耐性マーカー)を選択マーカーとして使用する場合,選択マーカーに対応する薬剤とは,これらの酵素により分解される細胞毒性を有する薬剤であり,例えば,選択マーカーがピューロマイシン耐性遺伝子の場合は,ピューロマイシンである。また,選択マーカーがジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の場合はメトトレキサート(MTX)が,選択マーカーがグルタミン合成酵素(GS)の場合はメチオニンスルホキシミン(MSX)が,それぞれ選択マーカーに対応する薬剤として使用し得る。
なお,本発明において,選択マーカーの導入された細胞を選択するための培養を「選択培養」といい,導入された細胞を選択するために使用される培地を「選択培地」という。また,選択培養では,単一細胞に由来する細胞株を得るため,多穴ウェルプレート(96ウェルプレート等)の各ウェルに形質転換細胞が1個含まれるように,細胞を希釈して播種して培養する操作を行う。選択培養では,複数の細胞株が選択される。選択される細胞株の数は任意であるが,概ね10〜100種類の細胞株が選択される。
選択培養で選択された細胞は,無血清培地で培養される。このとき用いることのできる無血清培地に特に限定はないが,例えば:
アミノ酸・・・3〜700mg/L,
ビタミン類・・・0.001〜50mg/L,
単糖類・・・0.3〜10g/L,
無機塩・・・0.1〜10000mg/L,
微量元素・・・0.001〜0.1mg/L,
ヌクレオシド・・・0.1〜50mg/L,
脂肪酸・・・0.001〜10mg/L,
ビオチン・・・0.01〜1mg/L,
ヒドロコルチゾン・・・0.1〜20μg/L,
インシュリン・・・0.1〜20mg/L,
ビタミンB12・・・0.1〜10mg/L,
プトレッシン・・・0.01〜1mg/L,
ピルビン酸ナトリウム・・・10〜500mg/L,及び
水溶性鉄化合物を含有する培地が好適に用いられる。所望により,チミジン,ヒポキサンチン,慣用のpH指示薬および抗生物質を添加してもよい。
また無血清培地として,DMEM/F12培地(DMEMとF12の混合培地)を基本培地として用いてもよく,これら各培地は当業者に周知である。更にまた無血清培地として,炭酸水素ナトリウム,L−グルタミン,D−グルコース,インスリン,ナトリウムセレナイト,ジアミノブタン,ヒドロコルチゾン,硫酸鉄(II),アスパラギン,アスパラギン酸,セリン及びポリビニルアルコールを含むものである,DMEM(HG)HAM改良型(R5)培地を使用してもよい。更には市販の無血清培地,例えば,CDoptiCHO,CHO−S−SFMII又はCD CHO(インビトロジェン社),IS CHO−V又はIS CHO−V−GS(アーバイン社),EX−CELL302又はEX−CELL305(JRH社)等を基本培地として使用してもよい。
細胞株の無血清培地中での培養は,全ての細胞株について培養開始時の細胞密度を含めて同一の条件で行い,好ましくは,全ての細胞株について同時に培養を開始して行う。培養終了後に回収した培養上清は,フィルターでろ過してから逆相クロマトグラフィーでの分析に供される。このとき用いるフィルターの孔径は,好ましくは0.1〜2.0μmであり,例えば,孔径0.45μmである。また,培養上清は,直ちに分析に供するのではなく,後の分析のために凍結して保存することもできる。
本発明において,培養上清を分析するための逆相クロマトグラフィーにおいて用いることのできる固定相としては,下記の第1の移動相で平衡化させたときに,組換え蛋白質が吸着し得るものであれば,特に限定なく使用できるが,好ましくは,オクタデシルシリル(Octa Decyl Silyl)基(C1837Si)で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲルである。
逆相クロマトグラフィーにおいて,混合して又は単独で移動相をなす溶液A及び溶液Bはともに水溶液である。溶液Bの比率を高めるには,連続的に高めても,断続的に高めてもよいが,好ましくは連続的に高められ,また特に好ましくは,直線的に(すなわち,一定の速度で連続的に)高められる。本発明において,「第1の移動相」とは,試料を負荷する前にカラムを平衡化させるための平衡化液である。「第2の移動相」とは,カラムに第1の移動相を通した後に,カラムから組換え蛋白質を溶離させるためにカラムに通す移動相のことをいう。単に「移動相」というときは,第1の移動相及び第2の移動相2を区別することなく示す。本発明における,移動相の好適な一例は,第1の移動相が0.08〜0.12%トリフルオロ酢酸,20〜40%プロパノール水溶液であり,第2の移動相が,第1の移動相と比較して,トリフルオロ酢酸の濃度が同一である一方,プロパノールの濃度が高められた水溶液であり,特に,第2の移動相が,逆相クロマトグラフィーにおいて,第1の移動相に対して,プロパノールの濃度が20%から80%のいずれかの間で直線的に高められる水溶液であるものである。移動相の更なる好適な一例は,第1の移動相が0.08〜0.12%トリフルオロ酢酸,35%プロパノール水溶液であり,第2の移動相が,逆相クロマトグラフィーにおいて,第1の移動相と比較して,プロパノールの濃度が35%から70%にまで直線的に高められる水溶液であるものである。
逆相クロマトグラフィーでチャートとして得られた各細胞株の培養上清の分析結果は,コントロールとして分析した無血清培地のチャートと比較される。組換え蛋白質を発現する細胞株のチャートを,無血清培地のチャートと比較したときに,細胞株のチャートにのみ出現するピークが組換え蛋白質のピークとして同定される。このピークの面積を細胞株毎に比較して,ピーク面積が相対的に大きい細胞を,高発現細胞株として選択する。選択された高発現細胞株は,所望により発現した組換え蛋白質の性状等について更に分析され,最適なものが当該組換え蛋白質の実製造用の細胞として使用される。
以下,実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明が実施例に限定されることは意図しない。
〔ダルベポエチン発現ベクターの作成〕
発現ベクターとしては,選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだ,先行文献(特表2010−511378公報)に開示のpE−neoベクターを用いた。ダルベポエチン(ネスプ)は,天然型エリスロポエチンのペプチド鎖を構成する165個のアミノ酸残基に,Ala30Asn,His32Thr,Pro87Val,Trp88Asn及びPro90Thrの5箇所の変異を導入した変異型エリスロポエチンであり,先行文献(特表平08−506023)に開示されたものである。
ヒトエリスロポエチンのcDNAを,プライマーEPO−5’(配列番号1)及びプライマーEPO−3’(配列番号2)のセットを用いて,ヒト胎児肝臓由来のcDNAライブラリー(Clontech社)を鋳型として,PCRで増幅した。次いで,増幅させたヒトエリスロポエチンのcDNAに,サイトダイレクト変異法により,Ala30Asn,His32Thr,Pro87Val,Trp88Asn及びPro90Thrとなる変異を導入し,ダルベポエチンのcDNAを得た。ダルベポエチンのcDNAをEcoRlとXbalで消化し,pE−neoベクターのEcoRlとXbalの間に挿入し,ダルベポエチン発現ベクター(pE−neo(DAR))とした。
〔ダルベポエチン発現細胞株の作成〕
CHO細胞(CHO−K1:American Type Culture Collectionより購入)にLipofectamine2000(Invitrogen社)を用いて,ダルベポエチン発現ベクター(pE−neo(DAR))をトランスフェクトした。トランスフェクション後,細胞を,5%FCSを含むD−MEM/F12(D−MEM/F12/5%FCS)培地に交換して5%炭酸ガス通気下37℃で2日間培養した。その後,0.6mg/mLG418を含むD−MEM/F12/5%FCS培地に交換して5%炭酸ガス通気下37℃で選択培養を行った。選択培地中で増殖する細胞を数代継代し,組換え細胞を得た。
次に,限界希釈法にて96穴プレートに1穴あたり1個以下の細胞が播種される条件で組換え細胞を播種し,10日間ほど選択培地中で培養し,単一コロニーを形成させた。ここで,単一コロニーから得られた細胞を3種類選択し,細胞株(細胞株1〜3)とした。
〔培養上清の調製〕
各細胞株を,細胞濃度が2×10個/mLの濃度となるように,4mM L−グルタミン,10mg/Lヒポキサンチン,4mg/L チミジン及び120mg/L G418を添加した市販の無血清培地EX−CELL302培地(JRH社)で希釈し,4日間,37℃で5%CO存在の下に静置培養した。培養後,培養上清を回収し,孔径0.45μmの膜フィルターでろ過した。このとき,細胞を加えない無血清培地のみも同条件下で静置し,これを培養後に穴径0.45μmの膜フィルターでろ過したものをコントロール液とした。
〔逆相カラムクロマトグラフィーによる培養上清の分析〕
(1)装置
島津HPLCシステムLC−20A(島津製作所)に逆相カラムであるAerisTM widepore XB−C18(充填剤:非多孔質シリカゲルの表面に多孔質シリカゲルを被覆したもの,細孔径:300Å,カラムサイズ:4.6mm径×250mm長,Phenomenex社)をセットし,更にこのカラムを25℃の恒温槽(カラム恒温槽)内に設置した。また,カラムの下流に吸光光度計を設置し,カラムからの流出液の吸光度(測定波長215nm)を連続して測定できるようにした。
(2)移動相用の溶液の作成
1mLのトリフルオロ酢酸に純水を加えて1Lとした溶液を溶液A(0.1%TFA水溶液)とした。また,1mLのトリフルオロ酢酸と700mLの1−プロパノールに純水を加えて1Lとした溶液を溶液B(0.1%TFA,70%プロパノール水溶液)とした。
(3)操作手順
上記のフィルター濾過した細胞株の培養上清及びコントロール液を,各々100μLずつ,溶液Aと溶液Bとを当容量混合させた第1の移動相で平衡化させた逆相カラムに負荷した。負荷後,0.2mL/分の流速で30分かけて溶液Bの体積比率を100%まで直線的に高め,更に10分間溶液Bを同一流速で流し,その後,35分間第1の移動相を同一流速で流した。この間,カラムからの流出液の吸光度(測定波長215nm)を連続して測定してチャートを得た。
〔分析結果の評価〕
細胞株(細胞株1)の培養上清とコントロール液とを逆相クロマトグラフィーで分析して得られたチャートを比較した(図1)。その結果,細胞株の培養上清では,コントロール液では現れない,ダルベポエチンに由来するピーク(ピークA)が検出され,無血清培地を用いて細胞株を培養した場合,フィルター濾過した細胞株の培養上清を逆相カラムクロマトグラフィーで分析することにより,ダルベポエチンを発現する細胞株を判別できることがわかった。
次いで,上記の選択培養により得た3種類の細胞株(細胞株1〜3)について,逆相クロマトグラフィーで分析して得られたチャートを比較したところ,細胞株毎にダルベポエチンに由来するピーク面積が相違した(図2)。ピーク面積はダルベポエチンの発現量に比例するので,3種類の細胞株の中で最もピーク面積の大きい,細胞株1が最もダルベポエチンを高発現することがわかった。このように,本法によれば,ピーク面積の大きい分析結果を与えた細胞株を選択することにより,ダルベポエチンの高発現株を選択できる。
本発明によれば,無血清培地で培養して組換え蛋白質を製造するために使用する,組換え蛋白質の高発現細胞株を選択することができる。
配列番号1:Primer EPO−5’,synthetic sequence
配列番号2:Primer EPO−3’,synthetic sequence
【配列表】
1189P

Claims (5)

  1. 組換え蛋白質を高発現する細胞株を選択する方法であって,
    (a)細胞を所望の蛋白質をコードする遺伝子と選択マーカーとを組み込んだ発現ベクターで形質転換させて形質転換細胞を得るステップと,
    (b)該形質転換細胞を,該選択マーカーに対応する薬剤存在下で選択培養することにより,複数の細胞株を選択するステップと,
    (c)該細胞株を,それぞれ無血清培地で培養し,該培養後に該細胞株の培養上清をそれぞれ回収するステップと,
    (d)回収した該細胞株の培養上清をそれぞれ逆相クロマトグラフィーに付し,次いで,逆相カラムからの流出液を,連続的に流路に導き,該流路中を流れる該流出液の吸光度を連続的に測定するステップであって,該逆相クロマトグラフィーが,オクタデシルシリル基で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲルを固定相とし,0.08〜0.12%トリフルオロ酢酸を含有する20〜40%プロパノール水溶液を第1の移動相とし,そして,第1の移動相と比較して,トリフルオロ酢酸の濃度が同一である一方,プロパノールの濃度が高められた水溶液を第2の移動相として行うものであるステップと,
    (e)該測定により該組換え蛋白質に対応する吸光度のピークを同定するとともに,該細胞株の培養上清毎に得られる該ピークの面積を比較するステップと,
    (f)該細胞株の中から,相対的に大きい該面積を示す細胞株を選択するステップと,
    を含む方法。
  2. 該細胞が哺乳動物細胞である,請求項1に記載の方法。
  3. 該哺乳動物細胞がCHO細胞である,請求項2に記載の方法。
  4. 該組換え蛋白質が,α−ガラクトシダーゼA,イズロン酸2−スルファターゼ,グルコセレブロシダーゼ,ガルスルファーゼ,α−L−イズロニダーゼ,酸性α−グルコシダーゼ等のリソソーム酵素,組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA),血液凝固第VII因子,血液凝固第VIII因子,血液凝固第IX因子等の血液凝固因子,エリスロポエチン,ダルベポエチン,インターフェロン,トロンボモジュリン,卵胞刺激ホルモン,顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF),抗体,若しくはこれらの類縁体からなる群から選択されるものである,請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
  5. 該組換え蛋白質が,エリスロポエチン又はダルベポエチン,若しくはこれらの類縁体からなる群から選択されるものである,請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
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