JP6048975B2 - タンパク質固定化固相、及びポリヌクレオチド固定化固相、並びに、核酸回収方法 - Google Patents
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Description
本願は、2011年11月4日に、日本に出願された特願2011−242789号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ピューロマイシンは、アミノアシル−tRNAの3’末端と類似する構造を有するタンパク質合成阻害剤であり、所定の条件下ではリボソーム上で伸長中のタンパク質のC末端に特異的に共有結合する。
cDNAディスプレイ法を用いた有用タンパク質のスクリーニング方法は、以下の一連の工程を有する。
先ず、ピューロマイシンを有する核酸リンカーとmRNAとを結合させ、無細胞翻訳系を用いてmRNAからタンパク質を合成し、合成されたタンパク質とこれをコードするmRNAとがピューロマイシンを介して結合している複合体(mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体)が生じる(非特許文献1参照)。
次に、このmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体のライブラリーを作製し、作製したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を逆転写酵素により逆転写し、cDNAを合成することにより、mRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体のライブラリーを作製し、所望の機能をもつタンパク質を選択する。選択したmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体中のcDNAの塩基配列を解析することによりタンパク質を同定する。逆転写のタイミングは、タンパク質を選択する前でもよい。(非特許文献2参照)。
しかし、固相担体又は固相基板から有用タンパク質と対応づけられるmRNA又はcDNAを選択的に効率よく回収することは容易ではない。
(1)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、光切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とする。
(2)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、1つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の光切断部位を有し、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の光切断部位、及び、前記第1の光切断部位と前記第2の光切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とする。
(3)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、光切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とする。
(4)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、1つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の光切断部位を有し、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の光切断部位、及び、前記第1の光切断部位と前記第2の光切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とする。
(5)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、前記タンパク質の連結部が、前記アーム部の末端にピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、または3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドが結合されてなることが好ましい。
(6)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相において、前記タンパク質は、酵素、抗体、抗原、アプタマー、及びペプチドのうちいずれか1つを構成することが好ましい。
(7)本発明の一実施態様におけるポリヌクレオチド固定化固相は、ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分を含み、前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、光切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とする。
(8)本発明の一実施態様におけるポリヌクレオチド固定化固相は、ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、1つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の光切断部位を有し、前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の光切断部位、及び、前記第1の光切断部位と前記第2の光切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とする。
(9)本発明の一実施態様における核酸回収方法は、先に記載の固定化固相を用いて、該固定化固相を光照射し、前記核酸リンカーの有する光切断部位で前記核酸リンカーを切断することにより、mRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドを回収する工程を有することを特徴とする。
(10)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とする。
(11)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、1つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の切断部位を有し、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の切断部位、及び、前記第1の切断部位と前記第2の切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とする。
(12)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とする。
(13)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、1つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の切断部位を有し、前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の切断部位、及び、前記第1の切断部位と前記第2の切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とする。
(14)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相は、前記タンパク質の連結部が、前記アーム部の末端にピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、または3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドが結合されてなることが好ましい。
(15)本発明の一実施態様におけるタンパク質固定化固相において、前記タンパク質は、酵素、抗体、抗原、アプタマー、及びペプチドのうちいずれか1つを構成することが好ましい。
(16)本発明の一実施態様におけるポリヌクレオチド固定化固相は、ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分を含み、前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とする。
(17)本発明の一実施態様におけるポリヌクレオチド固定化固相は、ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、前記核酸リンカーは、1つの3’末端領域と、1つの5’末端領域と、からなり、前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の切断部位を有し、前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の切断部位、及び、前記第1の切断部位と前記第2の切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とする。
(18)本発明の一実施態様における核酸回収方法は、先に記載の固定化固相を用いて、前記核酸リンカーの有する切断部位で前記核酸リンカーを切断することにより、mRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドを回収する工程を有することを特徴とする。
[第1実施形態]
本実施形態のタンパク質固定化固相は、mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、切断部位(例、光切断部位)及び固相結合部位を有する。
先ず、本実施形態に用いられるmRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体の構造について、図1を用いて説明する。
本実施形態に用いられる核酸リンカー2は、mRNA23と、これがコードするタンパク質33とを連結するためのリンカーである。
図1中、Pはピューロマイシンを示している。
後述するようにスクリーニングすべきタンパク質をコードするmRNAを逆転写させる必要がある場合には、アーム部51bの5’末端は、1本鎖ポリヌクレオチド部51aの3’末端から数塩基5’側の位置で1本鎖ポリヌクレオチド部51aと結合し、T字型の構造を形成していることが好ましい。逆転写の際に1本鎖ポリヌクレオチド部51aの3’末端がプライマーとして機能するからである。
ピューロマイシンは、アミノアシル−tRNAの3’末端と類似する構造を有するタンパク質合成阻害剤である。タンパク質33の連結部2aとしては、伸張中のタンパク質33のC末端に特異的に結合する機能を有する限り、任意の物質を用いることができ、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド(PANS−アミノ酸)、または3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド(AANS−アミノ酸)などのピューロマイシン誘導体を用いることができる。
PANS−アミノ酸としては、アミノ酸部がグリシンのPANS−Gly、バリンのPANS−Val、アラニンのPANS−Ala、又はアミノ酸部が全ての各アミノ酸に対応するPANS−アミノ酸混合物を挙げることができる。
AANS−アミノ酸としては、アミノ酸部がグリシンのAANS−Gly、バリンのAANS−Val、アラニンのAANS−Ala、又はアミノ酸部が全アミノ酸の各アミノ酸に対応するAANS−アミノ酸混合物を挙げることができる。
ピューロマイシン以外に好適に使用できるアミノアシルtRNA3’末端アナログとしては、リボシチジルピューロマイシン(rCpPur)、デオキシシチジルピューロマイシン(dCpPur)、デオキシウリジルピューロマイシン(dUpPur)などを挙げることができる。
アーム部51bにはさらに、ピューロマイシンの安定性を高めるための修飾や、複合体の検出のための標識が付加されていてもよい。
mRNA23とハイブリダイズし得る1本鎖ポリヌクレオチド部51aとの結合を強固なものとするため、一方の領域52の5’末端は、mRNA23の3’末端とライゲーションされることが好ましい。
光切断部位とは、紫外線などの光を照射すると切断される性質を有する基をいい、かかる基を用いたものとして、例えば、PC Linker Phosphoramidite(Glen research社)、フラーレンを含有してなる核酸の光切断用組成物(核酸の光切断用組成物:特開2005−245223)などが挙げられる。
光切断部位としては、当該技術分野において市販されているか、または知られているいずれの基を用いてもよく、例えばニトロベンジル基が挙げられる。
また、本実施形態の核酸リンカー2の他方の領域53は、例えば、1本鎖核酸切断酵素切断部位を含む。1本鎖核酸切断酵素切断部位とは、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼなどの1本鎖核酸切断酵素により切断されることができる核酸基をいい、ヌクレオチドおよびその誘導体が含まれ、例えば、エンドヌクレアーゼVに認識されるデオキシイノシンが挙げられる。
核酸リンカー2の固定化には、アビジン−ビオチン結合を利用する方法の他、核酸リンカー2をアミノ基、ホルミル基、SH基、などの官能基で修飾し、固相をアミノ基、ホルミル基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤で表面処理したものを利用する方法や、金-チオール結合を利用する方法などを用いることができ、特に、アビジン−ビオチン結合を利用した方法が好ましい。
3’末端領域61は、5’末端側に第1の光切断部位2c1を含み、5’末端領域62は、第2の光切断部位2c2を含む。
5’末端領域62は、5’末端側から順に、mRNA23の3’末端との結合部位、第2の光切断部位2c2、及び、前記第1の光切断部位2c1と前記第2の切断部位2c2の間から枝分かれした固相結合部位2bを有する。該固相結合部位2bを末端に有する分岐領域63は、ループ領域64から分岐し、T字型の構造を形成していることが好ましい。分岐領域63を合成するには、塩基部分からスペーサーを介して分岐鎖合成が可能な修飾ヌクレオチドアミダイトや、分岐用リン酸基アミダイト、及び塩基部分にスペーサーを介して固相結合部位が修飾されているヌクレオチドアミダイトが使用される。
mRNA23とハイブリダイズし得る1本鎖ポリヌクレオチド部51aとの結合を強固なものとするため、5’末端領域62の5’末端は、mRNA23の3’末端とライゲーションされていることが好ましい。
次いで、核酸リンカー2を用いて、mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体を製造する。
mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体の製造方法は、
(a)mRNA23と核酸リンカー2とをアニールさせる工程と、
(b)mRNA23の3’末端と核酸リンカー2の5’末端とをライゲーションさせる工程と、
(c)無細胞タンパク質翻訳系を用いてmRNA23からタンパク質33を合成することにより、タンパク質33のC末端が核酸リンカー2のタンパク質の連結部2aと結合しているmRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体を作製する工程と、
を有する。
以下、各工程について説明する。
mRNA23は、スクリーニングすべきタンパク質をコードするDNAを調製し、RNAポリメラーゼにより転写させることにより得られる。RNAポリメラーゼとしては、例えばT7RNAポリメラーゼが挙げられる。
前記DNAとしては、標的分子との結合に関して調べたい任意のDNAまたはDNAライブラリーを利用することができる。例えば、サンプル組織から得たcDNAライブラリー、配列をランダムに合成したDNAライブラリー、配列の一部を変異させたDNAライブラリーなどを用いることができる。
転写前のDNAの3’末端に共通のタグ配列を挿入し、転写後のmRNAの3’側が、核酸リンカー2の1本鎖ポリヌクレオチド部51aとハイブリダイズするように設計しておく。
更に、翻訳に必要な要素が独立に精製された因子のみからなる再構成型無細胞タンパク質合成系が挙げられる。再構成型無細胞タンパク質合成系は、従来の細胞抽出液を使用する場合よりもヌクレアーゼやプロテアーゼの混入を容易に防ぐことができるため、翻訳効率を高めることができる。
このような系を用いることにより、mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体が製造される。
固相としては、基板又はビーズ担体が好ましく挙げられる。
上述したmRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体を基板上に固定化することによりタンパク質アレイが製造される。用いられる基板としては、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体の核酸リンカー2には、5’末端に固相結合部位が設けられており、その固相結合部位と、基板に結合させた固相結合部位認識部位との結合を利用して、mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体を基板上に固定化する。
このような固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせとしては、核酸リンカー2の固定化には、アビジン−ビオチン結合を利用する方法の他、核酸リンカー2をアミノ基、ホルミル基、SH基、などの官能基で修飾し、固相をアミノ基、ホルミル基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤で表面処理したものを利用する方法や、金-チオール結合などを用いることができ、特に、アビジン−ビオチン結合を利用した方法が好ましい。
上述したmRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体をビーズ担体上に固定化することによりタンパク質結合ビーズが製造される。用いられるビーズ担体としては、磁気ビーズ、金ナノ粒子、アガロースビーズ、プラスチックビーズ等が挙げられ、磁性を利用したハンドリングが容易であることから磁気ビーズが好ましい。タンパク質結合ビーズを用いて、複数の反応槽が配設されたビーズ配置用基板中の反応槽に配列させることにより、タンパク質アレイを構成することもできる。
mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33複合体の固定化には、タンパク質アレイにおける固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせと同様に、アビジン−ビオチン結合を利用する方法の他、核酸リンカー2をアミノ基、ホルミル基、SH基、などの官能基で修飾し、ビーズ担体をアミノ基、ホルミル基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤で表面処理したものを利用する方法や、金-チオール結合を利用する方法などを用いることができ、特に、アビジン−ビオチン結合を利用した方法が好ましい。
例えば、光切断部位2cとしてニトロベンジル基を有する核酸リンカー2を用い、固相として金基板を用いる場合、金基板とニトロベンジル基との距離が短いと、ニトロベンジル基の切断に要する光エネルギーを金基板が吸収してしまうおそれがある。本実施形態においては、かかるおそれがなく、光照射により効率よく核酸リンカー2を切断し、タンパク質33と対応づけられるmRNA23を効率よく回収することができる。
本実施形態のタンパク質固定化固相は、mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、切断部位(例、光切断部位)及び固相結合部位を有する。
本実施形態に用いられるmRNA23/cDNA7−核酸リンカー2複合体の構造について、図3を用いて説明する。
図3において、第1実施形態において説明されたものと同じ構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
mRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体の製造方法は、上述したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体の製造方法に加えて工程(d)を有する。
工程(d)は、mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質複合体33を逆転写反応に供して、mRNA23/cDNA7−核酸リンカー2複合体を作製する工程である。
工程(d)において、逆転写に用いられる逆転写酵素としては、従来公知のものが用いられ、例えば、Moloney Murine Leukemia Virus由来の逆転写酵素等が挙げられる。
逆転写されたcDNA7は、mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質複合体33のmRNA23とハイブリッドを形成する。mRNA23−核酸リンカー2−タンパク質複合体33中のmRNA23は、cDNAと比べて昜分解性である他、アプタマーとして非特異的相互作用する可能性が高いため、タンパク質間相互作用解析を行う場合には、このようなmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を作製しておくことが好ましい。
また、スクリーニングにより有用性を見出されたタンパク質をコードするcDNAを解析するためには、この複合体の作製が必須である。
本実施形態のポリヌクレオチド固定化固相は、DNA又はRNAと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、切断部位(例、光切断部位)及び固相結合部位を有する。
先ず、本実施形態に用いられるポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体の構造について、図4を用いて説明する。図4において、タンパク質固定化固相の実施形態に示されたものと同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に用いられる核酸リンカー12は、ポリヌクレオチド23aと連結するリンカーである。
核酸リンカー12は、タンパク質固定化固相の実施形態に示されたものと同様に、1つの3’末端領域71と、枝分かれした2つの5’末端領域(一方の領域52,他方の領域53)と、からなる。3’末端領域71は、スクリーニングすべきポリヌクレオチド23aの3’末端側の配列とハイブリダイズし得る1本鎖ポリヌクレオチド部51aを含む。
スクリーニングすべきポリヌクレオチド23aとしては、リボザイムやデオキシリボザイム、RNAアプタマーやDNAアプタマーなどの機能性ポリヌクレオチドが想定されるため、本実施形態においては、1本鎖ポリヌクレオチド部51aがハイブリダイズしうるポリヌクレオチド23aはmRNAに限定されない。また、3’末端領域71は、末端にタンパク質の連結部を有するアーム部を含まなくともよい。
3’末端領域81は、5’末端側に第1の光切断部位2c1を含み、5’末端領域62は、第2の光切断部位2c2を含む。
5’末端領域62は、5’末端側から順に、ポリヌクレオチド23aの3’末端との結合部位、第2の光切断部位2c2、及び、前記第1の光切断部位2c1と前記第2の切断部位2c2の間から枝分かれした固相結合部位2bを有する。該固相結合部位2bを末端に有する分岐領域63は、ループ領域64から分岐し、T字型の構造を形成していることが好ましい。分岐領域63を合成するには、塩基部分からスペーサーを介して分岐鎖合成が可能な修飾ヌクレオチドアミダイトや、分岐用リン酸基アミダイト、及び塩基部分にスペーサーを介して固相結合部位が修飾されているヌクレオチドアミダイトが使用される。
mRNA23とハイブリダイズし得る1本鎖ポリヌクレオチド部51aとの結合を強固なものとするため、5’末端領域62の5’末端は、ポリヌクレオチド23aの3’末端とライゲーションされていることが好ましい。
次いで、核酸リンカー12を用いて、ポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体を製造する。
ポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体の製造方法は、
(a’) ポリヌクレオチド23aと核酸リンカー12とをアニールさせる工程と、
(b’) ポリヌクレオチド23aの3’末端と核酸リンカー12の5’末端とをライゲーションさせる工程と、を有する。
工程(a’)及び工程(b’)は、mRNA23がポリヌクレオチド23aに変更され、核酸リンカー2が核酸リンカー12に変更された以外は、上述したmRNA23−核酸リンカー2−タンパク質33の製造方法における工程(a)及び工程(b)と同様である。
固相としては、基板又はビーズ担体が好ましく挙げられる。
上述したポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体を基板上に固定化することによりポリヌクレオチドマイクロアレイが製造される。用いられる基板としては、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。ポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体の核酸リンカー12には、5’末端に固相結合部位が設けられており、その固相結合部位と、基板に結合させた固相結合部位認識部位との結合を利用して、ポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体を基板上に固定化する。
このような固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせとしては、タンパク質固定化固相の実施形態に示されたものと同様のものが挙げられ、特に、アビジン−ビオチン結合を利用した方法が好ましい。
上述したポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体をビーズ担体上に固定化することによりポリヌクレオチド結合ビーズが製造される。用いられるビーズ担体としては、磁気ビーズ、金ナノ粒子、アガロースビーズ、プラスチックビーズ等が挙げられ、磁性を利用したハンドリングが容易であることから磁気ビーズであることが好ましい。ポリヌクレオチド結合ビーズを用いて、複数の反応槽が配設されたビーズ配置用基板中の反応槽に配列させることにより、ポリヌクレオチドマイクロアレイを構成することができる。ポリヌクレオチド23a−核酸リンカー12複合体の固定化には、タンパク質アレイにおける固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせと同様に、アビジン−ビオチン結合を利用する方法の他、核酸リンカー12をアミノ基、ホルミル基、SH基、などの官能基で修飾し、ビーズ担体をアミノ基、ホルミル基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤で表面処理したものを利用する方法や金-チオール結合などを用いることができ、特に、アビジン−ビオチン結合を利用した方法が好ましい。
本実施形態の核酸回収方法は、上述した固定化固相を用いて、該固定化固相を光照射し、前記核酸リンカーの有する切断部位(例、光切断部位)で前記核酸リンカーを切断することにより、mRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドを回収する工程を有する。
上述したタンパク質固定化固相又はポリヌクレオチド固定化固相を用いて、スクリーニングを行うことにより見出されたスポットには、核酸リンカーを介してmRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドが固定化されている。該核酸リンカーは光切断部位を有するため、特定のスポットに光照射することにより、切断され、該スポットからmRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドが遊離する。これら核酸の塩基配列を解析することにより、有用タンパク質又は有用ポリヌクレオチドが同定される。
固相としては、固相担体又は固相基板が挙げられ、後述する実施例に示されるように、光照射による核酸切断反応を行う際の蓋として用いることができる点から、固相基板を用いることが好ましい。
固相担体としては、磁気ビーズ、金ナノ粒子、アガロースビーズ、プラスチックビーズ等が挙げられる。
固相基板としては、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。
これら固相は、正電荷を有することにより、負電荷を有する核酸を捕捉することができる。かかる電荷の制御手段としては、固相を化学修飾することにより、正電荷を有する官能基を固相表面に導入する方法が挙げられる。
正電荷を有する官能基としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノエチル基等のジアルキルアミノ基;イミノ基、グアニジノ基等が挙げられ、アミノ基が好ましい。
例えば、固相としてガラス基板を用いる場合には、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いることにより、容易に表面処理をすることができる。
また、電気的制御手段により、固相が正のゼータ電位を帯びるように制御し、固相と、核酸との静電的相互作用を増強させる方法も挙げられる。
電荷を切り替える方法としては、リン酸緩衝液を用いて溶液のpHを変化させる方法、核酸様の構造を有する分子の溶解液を用いて捕捉された核酸を溶出する方法、電気的制御手段により、固相が負のゼータ電位を帯びるように制御する方法等が挙げられる。
1−1 材料
下記3種のDNAオリゴマーの合成を日本バイオサービスに委託し、自動核酸合成装置を使用して、ホスホロアミダイト法に従って合成した。
(1)PC−Branch−Thiol−Segment
[配列:5’−(HO−C6H12−SS−C6H12)−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−(PC)−TTT(C−CCC−5’)−X1−(T−NH2)−CCT−3’]
X1は以下の配列を表す。
CCCCGCCGCCCCCCG(配列番号1:15mer)。
(2)PC−Branch−Biotin−Segment
[配列:5’−(B)−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−(PC)−TTT(C−CCC−5’)−X1−(T−NH2)−CCT−3’]
X1は上記のとおりである。
(3)Puromycin−segment
[配列:5’− (HO−C6H12−SS−C6H12)−TCT−(spc18)−(spc18)−(spc18)−CC−(Puromycin)−3’]
ここで、(HO−C6H12−SS−C6H12)は、(1−O−Dimethoxytrityl−hexyl−disulfide,1’−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramidite)を用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Thiol−Modifier C6 S−S)。
(PC)は、[4−(4,4’−Dimethoxytrityloxy)butyramidomethyl]−1−(2−nitrophenyl)−ethyl]−2−cyanoethyl−(N,N−diisopropyl)−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:PC Spacer Phosphoramidite)。
(C−CCC−5’)は、5'−Dimethoxytrityl−N4−(O−levulinyl−6−oxyhexyl)−5−Methyl−2'−deoxyCytidine,3’−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramiditeを用いて、塩基側分岐鎖にデオキシシトシンを3’→5’方向に3塩基縮合したものを表す(Glen Research社製、商品名:5−Me−dC Brancher Phosphoramidite)。
(T−NH2)は、5'−Dimethoxytrityl−5−[N−(trifluoroacetylaminohexyl)−3−acrylimido]−2'−deoxyUridine,3'−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl))−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Amino−Modifier C6 dT)。
(B)は、[1−N−(4,4'−Dimethoxytrityl)−biotinyl−6−aminohexyl]−2−cyanoethyl−(N,N−diisopropyl)−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:5’−Biotin Phosphoramidite)。
(spc18)は、18−O−Dimethoxytritylhexaethyleneglycol,1−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Spacer Phosphoramidite 18)。
(Puromycin)は、5'-Dimethoxytrityl−N-trifluoroacetyl−puromycin,2'-succinoyl−long chain alkylamino−CPGを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Puromycin−CPG)。
(1)Puromycin−Segmentの還元
2.5mMのPuromycin−Segment 18μlを1Mリン酸バッファー(pH 9.0)90μlと混合し、1M DTTを10μl加え、室温で1時間反応させ、Puromycin−Segmentの5’側にあるジスルフィド基をチオール基に還元した。その後、20mMリン酸バッファー(pH 7.2)で平衡化したNAP−5 Columns(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて、過剰なDTTを除去した。
1mMのPC−Branch−Thiol−Segment10μlを0.2Mリン酸バッファー(pH 7.2)100μlと混合し、0.1Mの二価性架橋剤EMCS (6−Maleimidohexanoic acid N−hydroxysuccinide ester)(同仁化学研究所社製)を20μl加えてよく撹拌し、37℃で30分間反応させた。その後、エタノール沈澱を行って、反応物を沈澱させ、未反応のEMCSを除去した。沈澱物を200μlの70%エタノールにて洗浄した。
前記PC−Branch−Thiol−SegmentのEMCS架橋物の沈澱物、又は前記PC−Branch−Biotin−SegmentのEMCS架橋物の沈澱物を、還元後の前記Puromycin−Segmentの溶解液(約20nmol)に溶解し、4℃で一晩放置した。
その後、エタノール沈澱を行って、反応物を沈澱させた。沈澱物を200μlの70%エタノールにて洗浄した後、30μlの滅菌水に溶解した。得られた架橋物を8M尿素12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、SybrGold (Invitrogen社製)で染色した。
結果を図6に示す。レーン1は10bp DNA step ladder (プロメガ社製)、レーン2はPC−Branch−Thiol−Segment、レーン3はPC−Branch−Thiol−SegmentとPuromycin−Segmentの架橋物、レーン4はPC−Branch−Biotin−Segment、レーン5はPC−Branch−Biotin−SegmentとPuromycin−Segmentの架橋物である。レーン3,5より目的の架橋物(Puro−PC−Thiol−Linker、及びPuro−PC−Biotin−Linker)が得られていることが確認された。
上記の様に合成したPuro−PC−Thiol−Linker及びPuro−PC−Biotin−LinkerをHPLCにより精製した。
5’上流にT7プロモーター配列と翻訳促進配列、3’側下流にスペーサー領域及びPuro−PC−Thiol−Linker又はPuro−PC−Biotin−Linkerとの相補鎖領域を有する配列を付加したProteinAのB−domain(以下、BDAという。配列番号2:367bp)をPCRにより増幅した。
前記mRNA 5pmolと、前記Puro−PC−Thiol−Linker 10pmol又はPuro−PC−Biotin−Linker 10pmolをT4 RNA Ligase buffer (タカラバイオ社製)中で混合し、90℃に加熱した後、15分間かけて25℃まで冷却した。この溶液に、0.5μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl、東洋紡績社製)と、0.5μlのT4 RNAリガーゼ(40U/μl、タカラバイオ社製)を加えて混合し、25℃で15分間反応させた。
反応産物を8M尿素8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、SybrGold(Invitrogen社製)にて染色した。結果を図7に示す。
レーン1は100bp DNA ladder (プロメガ社製)、レーン2はmRNA(BDA)、レーン3はPuro−PC−Thiol−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン4はPuro−PC−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物である。
Puro−PC−Thiol−Linker、Puro−PC−Biotin−LinkerともにmRNAと連結し、高分子量側にバンドがシフトしていることが観察でき、合成した核酸リンカーがmRNAと連結する能力を有していることが確認できた。
上記のように合成した、核酸リンカーとmRNAのライゲーション産物を用いて翻訳反応を行った。1pmolのmRNA−核酸リンカーライゲーション産物(mRNA−Linkerライゲーション産物)と0.72μlの20x translation Mix (Ambion社製)と、10.2μlのウサギ網状赤血球の細胞溶解液であるRabbit Retic Lysate(Ambion社製)と0.3 μlのFluorotect (promega社製)に、RNaseフリー水を加えて混合し、15μlの混合液とした。
この混合液を30℃にて20分間反応させた後、6μlの3M 塩化カルシウム溶液と1.8 μlの1 M 塩化マグネシウム溶液を加え、混合した。この混合液を更に37℃で30分間反応させ、BDA遺伝子のポリペプチド鎖を合成し、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を形成させた。反応産物を8M尿素含有SDS−6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離し、タンパク質中に取り込まれたFluorotectの蛍光シグナルを検出した。
更に、反応産物をSybrGold (Invitrogen社製)にて染色し、mRNAを検出した。結果を図9に示す。
レーン1はPuro−PC−Thiol−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン2はPuro−PC−Thiol−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物の翻訳産物、レーン3は、Puro−PC−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン4は、Puro−PC−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物の翻訳産物である。
この泳動結果より、mRNAより高分子量側に蛍光シグナルを示すmRNA−タンパク質複合体のバンドを確認でき、合成された核酸リンカーがタンパク質ディスプレイ能を有していることが確認できた。
下記ニトロベンジル基挿入DNAの合成を日本バイオサービスに委託し、自動核酸合成装置を使用して、ホスホロアミダイト法に従って合成した。
[配列:5’−(B)−(PC)−X2−(F)−3’]
X2は以下の配列を表す。
N46(A:T:G:C=1:1:1:1の46merのランダム配列)
(F)はFluorescent−dTを示し、(B)及び(PC)は上記と同様である。
蛍光分光光度計を用いて、石英キュベット中、上記ニトロベンジル基挿入DNAの水溶液 (10μM) 400 μlに対して300−420nmの光を照射し、照射後のサンプル10 μl (1 pmol) をPAGE分析した。結果を図10に示す。照射条件は以下のとおりである
光源:15W Xeランプ
光強度: 0.15〜0.31mW/mm2
光照射面積:50mm2(5mmx10mm)
照射時間:180秒
石英キュベット寸法: 2.5mm x 13 mm x 10 mm, (照射面 2.5mm x 13 mm)
温度:室温
光強度詳細
300 nm:0.15mW/mm2
320 nm:0.20mW/mm2
340 nm:0.25 mW/mm2
360 nm:0.30 mW/mm2
377 nm:0.31 mW/mm2
400 nm:0.26 mW/mm2
420 nm:0.24 mW/mm2
図10から、300nm付近の波長を有する光によって切断されるが、DNAの損傷に影響の少ない350−400nmの波長を有する光によってもニトロベンジル基挿入DNAを切断できることが確認された。
以下に示すオリゴヌクレオチドのセット(DR(2His)PC−BTB又はDRBio(2His)、及びAnti−Dr(GFPuv5)TexasRed)を用いてビオチン修飾ニトロベンジル基挿入二本鎖DNAを調整した。
用いたオリゴヌクレオチドの配列を以下に示す。
(1)DR(2His)PC−BTB
[配列:5’−(B)−T−(B)−TTTTTTTTT−(PC)−X3−3’]
X3は以下の配列を表す。
TATTCATTATTAGTGGTGGTGGTGGTG(配列番号3:27mer)。(B)、(PC)は前記と同様である。
(2)DRBio(2His)
[配列:5’−(B)−X3−3’]
X3は前記と同様である。
(3)Anti−Dr(GFPuv5)TexasRed
[配列:5’−TexasRed−X5−3’]
X4は以下の配列を表す。
CACCACCACCACCACTAATAATGAATA(配列番号4:27mer)。
表1に示す組成の反応液を調製し、室温で30分間静置した。
ストレプトアビジン修飾磁気ビーズ(SPHERO StreptAvidin Coated Magnetic Particle SVM−80−5,φ8.8μm,1.0% w/v)35μl分を1xBinding buffer 35 μlで3回washした後、1xBinding buffer 35 μlに懸濁した。
前処理済みのストレプトアビジン修飾磁気ビーズ懸濁液10μlの上清を除去し、表1に示した組成の反応後の溶液に懸濁し、室温で30分間攪拌した。次いで、1xBinding buffer 20μlで懸濁液中のビーズを3回Washした後、1xBinding buffer 100μlに懸濁した。懸濁液をドロップしたカバーガラスに共焦点レーザースキャン顕微鏡 (Nikon C1)を用いて、光照射し、観察を行った。結果を図11に示す。尚、光照射及び観察の条件は以下のとおりである。
対物レンズ:20xS Fluor (NA 0.75)
光源:377nm レーザー
光強度:18μW
照射領域:19.7x19.7μm2
スキャン密度:1024x1024pixels
このように、ニトロベンジル基が挿入されたビオチン修飾二本鎖DNA固定化磁気ビーズにおいては、光照射によりDNAが切断され、溶媒中に遊離したことが確認された。
18mmx18mmカバーガラス(松浪硝子製)を、濃硫酸と過酸化水素水を体積比1:1で混合させた溶液に浸漬し、200℃で15分間反応させた後、超純水にて洗浄し、窒素ガスブローにて乾燥させた(以下、SPM洗浄という。)。
次いで、上記カバーガラスを0.1MのNaOH溶液に1分間浸した後、窒素ガスブローにてカバーガラス上の溶液を除去した。
次いで、1%APTES(3-aminopropyltriethoxysilane, 東京化成製)含有0.1%酢酸水溶液に上記カバーガラスを浸漬し、90℃、60分間加熱し、エタノールで1分間洗浄した後、超純水で1分間洗浄し、窒素ガスブローにてガラスを乾燥させてアミノシラン修飾ガラス基板を得た。
20mmx20mm、厚さ0.5mmのガラスをSPM洗浄し、上記ガラスにCr,250W,30秒、Au,100W,3分の順でスパッタリングし、厚さ200nmの金薄膜ガラス基板を作製した。
下記光切断性DNAオリゴマー(DR(2His)−PC−T30−SH)を通常のホスホロアミダイト法に基づいて、自動核酸合成装置を用いて合成した。尚、合成は、株式会社日本バイオサービスに依頼し、5’末端のチオール基はDTTで還元された状態で納品された。また、ネガティブコントロールとして、光切断部位を有しないDNAオリゴマー(S−(T20)Lin)を合成した。
(1)DR(2His)−PC−T30−SH
[配列:5’−(Thiol) −(T30) −(PC) −X5−3’]
X5は以下の配列を表す。
CCCGCCGCCCCCCGTCCT(配列番号5:18mer)。ここで(Thiol)はチオール基を表し、試薬名:Thiol−Modifier C6 S−S (Glen research社製)を用いて合成した。
(T30)はデオキシチミジンが30塩基並んだものを表す。(PC)は上記と同様である。
(2)S−(T20)Lin
[配列:5'−(Thiol)−T20−X6−3']
X6 は以下の配列を表す。
CCCGCCGCCCCCCGTCC(配列番号6:17mer)。(T20)はデオキシチミジンが20塩基並んだものを表す。(Thiol)は上記と同様である。
上記のように作製した金基板をSPM洗浄し、金基板表面に1xPBSで1μMに調製した光切断性DNAオリゴマー500μLに浸し、室温で4時間反応させ、金−チオール結合により、光切断性DNAオリゴマーを、金基板上に、薄膜状に固定化した。
次いで、金基板を1mM 6−mercapto−1−hexanol水溶液中で1時間反応させた後、1xPBSで5回洗浄し、スピンドライした。
5'上流にT7プロモーター配列と翻訳促進配列、3'側下流にスペーサー領域及び上記光切断性DNAオリゴマーリンカーのDNA部分との相補な配列を有し、終始コドンを削ったGFP(配列番号7:869bp)をPCRにより増幅した。
PCRにより得られたDNAからT7 RiboMAX Express Large Scale RNA Production System(プロメガ社製)および、Cy5−UTP(GEヘルスケア社製)を用いて、添付のプロトコールに従って5〜30pmol/μlのCy5導入mRNAを合成した(839b)。
上記Cy5導入mRNAを、0.1%SDS含有3xPBSに溶解し、0.6pmol/μLのmRNA溶液を調製した。4℃の条件下、mRNA溶液10μLを金基板に滴下し、その上にカバーガラスを置いた。尚、金基板とカバーガラスの間は、シリコングリースを用いて密閉した。
その金基板を、サーマルサイクラーを用いて、70℃に加熱した後、15分かけて10℃まで徐冷し、光切断性オリゴマーDR(2His)−PC−T30−SHと、Cy5導入mRNAをハイブリダイズさせた。この金基板を、0.2%tween20含有3xPBSで2回、3xPBSで2回、0.1xPBSで2回洗浄した。
金基板上に7μLの0.1xPBSを滴下し、上記アミノ基修飾カバーガラスを、アミノ基修飾面を金基板側に向けて置いた。尚、金基板とアミノ基修飾カバーガラスの間は、シリコングリースを用いて密閉した。
次いで、共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて、Cy5の蛍光像を観察し(Ex:633nm,Em:655−710nmBP)、Cy5導入mRNAがハイブリダイズされていることを確認した。
次いで、共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて、図12Aに示すように、金基板上の50μmx50μmの領域に377nmのレーザー光(8.3μW)を120秒間照射し、固定化されているDNAの光切断基を切断した。377nmレーザー光照射後、室温で30分間放置し、アミノ基修飾カバーガラスを外し、金基板上のDNA切断パターン、及びアミノ基修飾カバーガラス上のDNA吸着パターンを、mRNAに修飾されたCy5の蛍光を指標に共焦点レーザースキャン顕微鏡で観察した。金基板上のDNA切断パターンを図12Bに、アミノ基修飾カバーガラス上のDNA吸着パターンを図12Cに示す。
図12Bにおいて、図12Aで示されたレーザー照射エリア相当箇所の蛍光が検出されないことから、レーザー照射によりDNAの光切断箇所が切断されていることが確認された。
一方、図12Cにおいて、図12Aで示されたレーザー照射エリア相当箇所の蛍光が検出されていることから、光切断されたDNAがアミノ基修飾カバーガラスに吸着していることが確認された。
このように、領域特異的に金薄膜上での光切断・回収が可能であることが確認された。
Claims (18)
- mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、
前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、光切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
1つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の光切断部位を有し、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の光切断部位、及び、前記第1の光切断部位と前記第2の光切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、
前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、光切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
1つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の光切断部位を有し、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の光切断部位、及び、前記第1の光切断部位と前記第2の光切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - 前記タンパク質の連結部は、前記アーム部の末端にピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、または3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドが結合されてなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質固定化固相。
- 前記タンパク質は、酵素、抗体、抗原、アプタマー、及びペプチドのうちいずれか1つを構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質固定化固相。
- ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分を含み、
前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、
前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、光切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とするポリヌクレオチド固定化固相。 - ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
1つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の光切断部位を有し、
前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の光切断部位、及び、前記第1の光切断部位と前記第2の光切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とするポリヌクレオチド固定化固相。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の固定化固相を用いて、該固定化固相を光照射し、前記核酸リンカーの有する光切断部位で前記核酸リンカーを切断することにより、mRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドを回収する工程を有することを特徴とする核酸回収方法。
- mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、
前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - mRNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
1つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の切断部位を有し、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の切断部位、及び、前記第1の切断部位と前記第2の切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、
前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - mRNA及び該mRNAに相補的なcDNAからなるmRNA/cDNAと該mRNAによりコードされるタンパク質が核酸リンカーを介して連結されてなるmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体が、固相上に固定化されてなるタンパク質固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
1つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記mRNAの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の切断部位を有し、
前記1本鎖ポリヌクレオチド部分から枝分かれし、末端に前記タンパク質の連結部を有するアーム部分と、を含み、
前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記mRNAの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の切断部位、及び、前記第1の切断部位と前記第2の切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とするタンパク質固定化固相。 - 前記タンパク質の連結部は、前記アーム部の末端にピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、または3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドが結合されてなる請求項10〜13のいずれか一項に記載のタンパク質固定化固相。
- 前記タンパク質は、酵素、抗体、抗原、アプタマー、及びペプチドのうちいずれか1つを構成することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載のタンパク質固定化固相。
- ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
枝分かれした2つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分を含み、
前記2つの5’末端領域のうちの一方の領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位を有し、
前記2つの5’末端領域のうちの他方の領域は、切断部位を有し、5’末端に固相結合部位を有することを特徴とするポリヌクレオチド固定化固相。 - ポリヌクレオチドと核酸リンカーが連結されてなるポリヌクレオチド−核酸リンカー複合体が固相上に固定化されてなるポリヌクレオチド固定化固相であって、
前記核酸リンカーは、
1つの3’末端領域と、
1つの5’末端領域と、からなり、
前記3’末端領域は、前記ポリヌクレオチドの3’末端側の配列とハイブリダイズしうる1本鎖ポリヌクレオチド部分と、5’末端側に第1の切断部位を有し、
前記5’末端領域は、5’末端側から順に、前記ポリヌクレオチドの3’末端との結合部位又は前記mRNAの3’末端とハイブリダイズする部位、第2の切断部位、及び、前記第1の切断部位と前記第2の切断部位の間から枝分かれした固相結合部位を有することを特徴とするポリヌクレオチド固定化固相。 - 請求項10〜17のいずれか一項に記載の固定化固相を用いて、前記核酸リンカーの有する切断部位で前記核酸リンカーを切断することにより、mRNA−タンパク質複合体、mRNA/cDNA−タンパク質複合体、又はポリヌクレオチドを回収する工程を有することを特徴とする核酸回収方法。
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