JP6046518B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、逆止弁の弁体の異常摩耗を抑制可能なバルブタイミング調整装置を提供することである。
本発明の第2態様では、スプールの接続通路の内壁は、弁体の開弁方向への移動を制限可能であって開弁方向へ行くほど内径が小さい円錐面状のストッパ面を有している。弁体のうち開弁方向の一端部は、開弁方向へ行くほど外径が小さい先細り形状である。弁体の一端部は、スプールのストッパ面と当接可能な円錐面状の当接面を有している。
したがって、弁体は、全開位置で一端部がスプールのストッパ面に当接するときの姿勢が安定する。そのため、弁体には局所的な応力が作用しにくく、異常摩耗を抑制することができる。よって、弁体の破損を回避し、逆止弁の信頼性が向上する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1に示す。バルブタイミング調整装置10は、エンジンのクランク軸(図示しない)とカム軸5との回転位相を変化させることにより、カム軸5が開閉駆動する吸気弁の開閉タイミングを調整するものであり、エンジンのクランク軸からカム軸5までの回転伝達経路に設けられている。クランク軸に対しカム軸5の回転を進めることを「進角させる」といい、またクランク軸に対しカム軸5の回転を遅らせることを「遅角させる」という。
ハウジング20は、中空筒状の外郭部21と、外郭部21から径方向内側に突き出す複数の隔壁部22と、外郭部21から径方向外側に突き出すスプロケット23とを形成している。各隔壁部22は、回転方向で互いに離間するように配置されている。ハウジング20は、スプロケット23に掛けられるタイミングチェーンを介してクランク軸に連結され、クランク軸と連動して回転する。
以上のように構成されたバルブタイミング調整装置10は、カム軸5の回転位相が目標値よりも遅角側である場合、進角室33に作動油を供給しつつ遅角室34から作動油を排出する。これにより、ベーンロータ30がハウジング20に対し進角側に相対回動する。
また、バルブタイミング調整装置10は、カム軸5の回転位相が目標値と一致する場合、進角室33および遅角室34の作動油を保持する。これにより、ベーンロータ30とハウジング20との回転位相が保持される。
スリーブ40は、径方向へ貫通する各種ポートを有している。上記ポートには、供給ポート50、ドレンポート51、遅角ポート52および進角ポート53があり、リニアソレノイド48側から上述の順序で設けられている。
図7に拡大して示すように、有底筒状部材60の底面66は、弁体80の開弁方向への移動を制限可能なストッパ面67を有している。ストッパ面67は、開弁方向へ行くほど内径が小さい円錐面状である。図7に示すように、有底筒状部材60の軸心8を含む断面において、ストッパ面67を構成する一対の斜面同士がなす角度(以下、「第1角度」と記載する)θ1は、90度以上である。本実施形態では、第1角度θ1は例えば90度に設定されている。
第1実施形態における弁体80の閉弁→開弁作動時のストロークを示す図8と、従来形態における弁体の閉弁→開弁作動時のストロークを示す図9とを比較すると、従来形態では図9中に二点鎖線の丸印で示すように全開位置において弁体の跳ね返りが起こるのに対し、第1実施形態では全開位置において弁体80の跳ね返りが起こらない。つまり、第1実施形態では、弁体80は、全開位置で一端部82がスプール45のストッパ面67に当接するときの姿勢が安定する。そのため、弁体80には局所的な応力が作用しにくく、異常摩耗を抑制することができる。よって、弁体80の破損を回避し、逆止弁の信頼性が向上する。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置の弁体を図10に基づき説明する。弁体90の一端部91は、全閉位置においてスプール45のストッパ面67と当接可能な当接面92を有している。当接面92は、軸心8を含む断面の形状が曲面状である。本実施形態では、当接面92は球面状である。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、弁体90の一端部91が全開位置でスプール45のストッパ面67に当接するときの姿勢が安定する。そのため、弁体90には局所的な応力が作用しにくく、異常摩耗を抑制することができる。
本発明の他の実施形態では、第2角度は、90度より大きくてもよい。
本発明の他の実施形態では、第1角度および第2角度は、90度より小さくてもよい。
本発明の他の実施形態では、第2角度は、第1角度以下であってもよい。
本発明の他の実施形態では、弁体の底部の着座部は、例えば平面状または円錐面状であってもよい。
本発明の他の実施形態では、スプールは、1つの部材、または3つ以上の部材から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、スリーブの各ポートは、軸方向にどのような順序で形成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ベーンロータは、圧入に限らず、例えばねじ締結等の他の方法でカム軸に固定されてもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整装置は、エンジンの排気バルブの開閉タイミングを調整してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
30・・・ベーンロータ 33・・・進角室
34・・・遅角室 40・・・スリーブ
45・・・スプール 50・・・供給ポート
52・・・遅角ポート(導入ポート) 53・・・進角ポート(導入ポート)
67・・・ストッパ面 76・・・接続通路
77・・・弁座 80、90・・・弁体
82、91・・・一端部
Claims (6)
- エンジンのクランク軸とカム軸(5)との回転位相を変化させて、吸気弁または排気弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記クランク軸および前記カム軸の一方と一体に回転可能なハウジング(20)と、
前記クランク軸および前記カム軸の他方と一体に回転可能であり、前記ハウジング内で進角室(33)および遅角室(34)を区画形成し、前記進角室および前記遅角室の油圧に応じて前記ハウジングに対し進角側または遅角側に相対回動するベーンロータ(30)と、
前記ベーンロータの中心部で軸方向へ延びるように中空筒状に形成され、外部の油供給源に連通する供給ポート(50)、および、前記進角室または前記遅角室に連通する導入ポート(52、53)を有するスリーブ(40)と、
前記スリーブの内部で軸方向へ移動可能に設けられ、軸方向位置に応じて前記スリーブの前記供給ポートを前記導入ポートに接続する接続通路(76)を有しているスプール(45)と、
前記スプールの前記接続通路内で軸方向へ移動可能に設けられ、前記接続通路の内壁が有する弁座(77)に着座および離座可能であり、前記弁座に着座すると前記接続通路において前記導入ポート側から前記供給ポート側に向かう作動油の流れを阻止する筒状の弁体(80、90)と、
を備え、
前記接続通路は、前記弁体を収容している弁体収容空間を有し、
前記弁体は、有底筒状に形成されており、底部が半球状に形成され且つ前記弁座側に位置するように配置されており、前記弁体収容空間の内壁によりガイドされて軸方向へ移動可能に設けられており、
前記スプールの前記接続通路の内壁は、前記弁体の開弁方向への移動を制限可能であって開弁方向へ行くほど内径が小さい円錐面状のストッパ面(67)を有し、
前記弁体のうち開弁方向の一端部(82、91)は、開弁方向へ行くほど外径が小さい先細り形状であることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記弁体(80)の前記一端部(82)は、前記スプールの前記ストッパ面と当接可能な円錐面状の当接面(83)を有していることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- エンジンのクランク軸とカム軸(5)との回転位相を変化させて、吸気弁または排気弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記クランク軸および前記カム軸の一方と一体に回転可能なハウジング(20)と、
前記クランク軸および前記カム軸の他方と一体に回転可能であり、前記ハウジング内で進角室(33)および遅角室(34)を区画形成し、前記進角室および前記遅角室の油圧に応じて前記ハウジングに対し進角側または遅角側に相対回動するベーンロータ(30)と、
前記ベーンロータの中心部で軸方向へ延びるように中空筒状に形成され、外部の油供給源に連通する供給ポート(50)、および、前記進角室または前記遅角室に連通する導入ポート(52、53)を有するスリーブ(40)と、
前記スリーブの内部で軸方向へ移動可能に設けられ、軸方向位置に応じて前記スリーブの前記供給ポートを前記導入ポートに接続する接続通路(76)を有しているスプール(45)と、
前記スプールの前記接続通路内で軸方向へ移動可能に設けられ、前記接続通路の内壁が有する弁座(77)に着座および離座可能であり、前記弁座に着座すると前記接続通路において前記導入ポート側から前記供給ポート側に向かう作動油の流れを阻止する筒状の弁体(80)と、
を備え、
前記スプールの前記接続通路の内壁は、前記弁体の開弁方向への移動を制限可能であって開弁方向へ行くほど内径が小さい円錐面状のストッパ面(67)を有し、
前記弁体のうち開弁方向の一端部(82、91)は、開弁方向へ行くほど外径が小さい先細り形状であり、
前記弁体(80)の前記一端部(82)は、前記スプールの前記ストッパ面と当接可能な円錐面状の当接面(83)を有していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 軸心(8)を含む断面において前記スプールの前記ストッパ面を構成する一対の斜面同士がなす角度を第1角度(θ1)とし、軸心(8)を含む断面において前記弁体の前記当接面を構成する一対の斜面同士がなす角度を第2角度(θ2)とすると、
前記第2角度は前記第1角度よりも大きいことを特徴とする請求項2または3に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記第1角度および前記第2角度は90度以上であることを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記弁体(90)の前記一端部(91)は、前記スプールの前記ストッパ面と当接可能であって、軸心を含む断面の形状が曲面状である当接面(92)を有していることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
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