JP6045875B2 - 表面修飾された複合金属酸化物微粒子の製造方法 - Google Patents

表面修飾された複合金属酸化物微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定の構造を有するケイ素化合物により表面修飾された複合金属酸化物微粒子、及びその製造方法に関する。
従来、高い透明性が求められる光学材料の分野では、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂が広く用いられているが、発光ダイオード(LED)封止材のように高温となる使用環境又は短波長の光を吸収するような使用条件では光学樹脂が徐々に劣化し、黄変又はクラックが生じることが問題となっている。そこで、高い耐久性が求められる用途では、耐熱性及び耐光性の高いシリコーン樹脂が使用されている。しかしながら、シリコーン樹脂は、従来の光学樹脂と比較して屈折率が低く、例えば、LED封止材又はレンズとして使用する場合には光利用効率が低下してしまうという問題があった。より屈折率の高いフェニルシリコーンも使用されているが、フェニル基の導入により耐熱性及び耐光性が低下することから、その使用範囲は限定される。
そこで、シリコーン樹脂に屈折率の高い無機フィラーを分散させて高屈折率化させる方法が検討されており、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化亜鉛等の金属酸化物を分散させたシリコーン樹脂の開発が進められている(例えば、特許文献1〜3)。また、チタン酸バリウムに代表される複合金属酸化物は、さらに高い屈折率を有していることから、高屈折率化を目的とする無機フィラーとして好ましいと言える。
特開2010−138270号公報 特開2010−241935号公報 特開2009−173866号公報
しかしながら、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物は光触媒性を示すことが知られており、使用条件によっては樹脂の劣化を促進する懸念があることが知られている。一方、チタン酸バリウムに代表される複合金属酸化物の利用も検討されているが、従来の金属酸化物と比較してその微粒子の凝集性が強く、また、金属成分に由来して分散液が塩基性を示すなど、適切な表面修飾によりシリコーン樹脂への分散性を付与することが困難であった。
前記した状況に鑑み、本発明は、シリコーン樹脂への均一分散が可能であり、シリコーン樹脂の透明性を維持し、且つ高屈折率化させる為の無機フィラーとして好適な表面修飾複合金属酸化物微粒子を提供することを課題とする。また、上記表面修飾複合金属酸化物微粒子を用いることにより、有機溶媒中に均一分散した溶液、並びにLED封止剤及びレンズ等の光学材料として好適な硬化物の提供を課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するケイ素化合物を用いて表面処理された複合金属酸化物微粒子は、シリコーン樹脂への均一分散が可能であり、かつ高屈折率化等の物性向上を目的とする無機フィラーとして有用であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 複合金属酸化物微粒子の表面に、下記一般式(1):
1Si−A−SiR (3−n) (1)
{式中、R1〜Rは、各々独立に、炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換されていてもよいシロキシ基であり、Rは、炭素数1〜4の炭化水素基であり、Aは、炭素数2〜6の二価の炭化水素基であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは、0又は1である。}
で表されるケイ素化合物に由来する構造部位を有する、表面修飾複合金属酸化物微粒子。
[2] 前記複合金属酸化物微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上40nm以下である、[1]に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子。
[3] 前記複合金属酸化物微粒子は、チタン酸バリウム微粒子である、[1]又は[2]に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子。
[4] アルコール及び水を含む前記複合金属酸化物微粒子の均一分散液に、前記一般式(1)で表されるケイ素化合物を添加する工程を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子の製造方法。
[5] [1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子、及び有機溶媒を含む均一分散液。
[6] [1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子を、溶媒を用いずに成型して得られる成形体を硬化させる工程、又は[5]に記載の均一分散液を基板上に塗布して得られる薄膜を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法。
[7] [6]に記載の製造方法により得られる硬化物。
本発明により、シリコーン樹脂への均一分散が可能であり、シリコーン樹脂の透明性を維持し、且つ高屈折率化させる為の無機フィラーとして好適な表面修飾複合金属酸化物微粒子が提供される。また、本発明の表面修飾複合金属酸化物微粒子を用いることにより、微粒子の凝集が抑制された透明性の高い均一分散液が提供される。さらに、LED封止剤及びレンズ等の光学材料として好適な、高透明かつ高屈折率の硬化物が提供される。
本発明の実施形態で使用されるケイ素化合物S−1の1H−NMRスペクトルである。 本発明の別の実施形態で使用されるケイ素化合物S−6の1H−NMRスペクトルである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の表面修飾複合金属酸化物微粒子は、複合金属酸化物微粒子の表面に、下記一般式(1):
1Si−A−SiR (3−n) (1)
{式中、R1〜Rは、各々独立に、炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換されていてもよいシロキシ基であり、Rは、炭素数1〜4の炭化水素基であり、Aは、炭素数2〜6の二価の炭化水素基であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは、0又は1である。}
で表されるケイ素化合物に由来する構造部位を表面に有するものである。
上記表面修飾複合金属酸化物微粒子は、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物を用いて、複合金属酸化物微粒子を表面修飾することにより得られる。
<ケイ素化合物>
上記一般式(1)において、R1〜Rは、炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換されていてもよいシロキシ基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。炭素数1〜18の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、isо−プロピル基、n−ブチル基、isо−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、オクタデシル基等の非環式又は環式の飽和炭化水素基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の芳香族炭化水素基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の非環式及び環式の不飽和炭化水素基、及びベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。また、置換されていてもよいシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、メチルジエチルシロキシ基、ジメチルエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基、ジメチルシクロヘキシルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、メチルジフェニルシロキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、複合金属酸化物微粒子との表面修飾反応が容易に進行し、表面修飾基による屈折率の低下を抑制するという観点から、R1〜Rは、メチル基、エチル基、トリメチルシロキシ基、又はジメチルフェニルシロキシ基であることが好ましく、より好ましくはメチル基又はトリメチルシロキシ基である。
上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜4の炭化水素基である。炭素数1〜4の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、isо−プロピル基、n−ブチル基、isо−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。中でも、複合金属酸化物微粒子との表面修飾反応が容易に進行するという観点から、Rはメチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)において、Aは、炭素数2〜6の二価の炭化水素基である。炭素数2〜6の二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、合成の容易さという観点から、Aは、炭素数2又は3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数2の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物において、上記一般式(1)におけるAは、該ケイ素化合物の反応性及び安定性に大きく影響している。例えば、後述の複合金属酸化物微粒子との表面修飾反応において、同一ケイ素原子上に反応性の置換基{上記一般式(1)におけるXに相当する。}とトリメチルシロキシ基等のシロキシ基が存在する場合、上記ケイ素化合物のみの加水分解反応及び縮合反応が優先的に進行し、目的とする表面修飾反応が進行しない。このように反応性が大きく異なる理由は定かではないが、複合金属酸化物微粒子の表面水酸基に由来する塩基性により、上記ケイ素化合物の分解反応が進行するためであると考えられる。
また、上記一般式(1)におけるAは、二種以上が混合していてもよい。後述のように、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物の製造方法の一例として、対応するヒドロシラン化合物とアルケニルシラン化合物のヒドロシリル化反応が挙げられる。本反応においては、一般的に、付加生成物としてシス−トランス異性体の混合物が得られるが、本実施形態においては両者を分離することなく複合金属酸化物微粒子との反応において好適に用いることができる。
上記一般式(1)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。また、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシロキシ基等が挙げられる。また、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基としては、例えば、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、反応制御の容易さという観点から、Xは、水素原子又はアルコキシ基であることが好ましく、より好ましくは水素原子、メトキシ基、又はエトキシ基である。
上記一般式(1)において、nは0又は1である。複合金属酸化物微粒子との表面修飾反応が容易に進行するという観点から、nは0又は1であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物は、例えば、対応するヒドロシラン化合物とアルケニルシラン化合物とのヒドロシリル化反応により製造することができる。具体的には、炭化水素系の有機溶媒中もしくは無溶媒において、ヒドロシラン化合物とアルケニルシラン化合物を等モル量又は一方の化合物がわずかに過剰になるように溶解させ、金属触媒を加えて加熱撹拌することにより製造される。
上記ヒドロシラン化合物及びアルケニルシラン化合物としては、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物に対応して、下記一般式(2):
1Si−H (2)
{式中、R1〜Rは一般式(1)で定義した通りであるが、不飽和炭化水素基を除くものである。}
で表されるヒドロシラン化合物及び下記一般式(3):
B−SiR (3−n) (3)
{式中、R、X及びnは、一般式(1)で定義した通りであるが、Xは水素原子を除くものであり、そしてBは、炭素数2〜6の不飽和炭化水素基である。}
で表されるアルケニルシラン化合物、
又は下記一般式(4):
1Si−B (4)
{式中、R1〜Rは一般式(1)で定義した通りであり、そしてBは、炭素数2〜6の不飽和炭化水素基である。}
で表されるアルケニルシラン化合物及び下記一般式(5):
H−SiR (3−n) (5)
{式中、R、X及びnは、一般式(1)で定義した通りである。}
で表されるヒドロシラン化合物を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(3)及び(4)におけるBは、炭素数2〜6の不飽和炭化水素基である。Bにおいて、不飽和結合の位置、立体構造、及び分岐構造の有無については特に限定されないが、原料物質の入手、或いは合成の容易さという観点から、Bはビニル基及びアリル基であることが好ましい。
上記ヒドロシラン化合物とアルケニルシラン化合物とのモル比には特に制限はないが、一般的には、ヒドロシラン化合物1モルに対して、アルケニルシラン化合物を0.9〜1.1モルの範囲で使用することが好ましい。
上記炭化水素系の有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系有機溶媒が挙げられる。また、上記有機溶媒は任意の量で使用することができる。
上記金属触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の白金族金属、該白金族金属をカーボン、アルミナ、シリカ、ポリマー等の担体に担持した担持触媒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン又はアセチレン錯体、白金のビニルシロキサン錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が挙げられる。これらの中でも、塩化白金酸(Speier触媒)、白金のテトラメチルジビニルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)、及びクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(Wilkinson触媒)が好ましい。また、これらの金属触媒は、単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。
上記金属触媒の使用量は、上記ヒドロシラン化合物1モルに対して、1×10−6〜0.01モルの範囲で使用することができる。
上記ヒドロシリル化反応の反応温度は0〜150℃の範囲であることが好ましく、反応時間は0.5〜48時間の範囲であることが好ましい。
上記ヒドロシリル化反応により上記一般式(1)で表されるケイ素化合物を合成する場合、ヒドロシランがアルケニルシランの不飽和結合部位に付加する際にシス体及びトランス体が生成し、これらの異性体混合物が得られる場合がある。この異性体混合物は蒸留、カラムクロマトグラフィー等の分離操作により分離することも可能であるが、シス−トランス異性体混合物であっても後述の複合金属酸化物微粒子との表面修飾反応において好適に使用することができる。
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物のうち、上記一般式(1)におけるXが水素原子であるケイ素化合物については、例えば、上記一般式(1)におけるXがハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であるケイ素化合物を上述の方法により製造した後、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いて還元反応を行うことにより製造することができる。
<複合金属酸化物微粒子>
本実施形態では、複合金属酸化物微粒子は、2種以上の金属原子及び酸素原子を含む複合金属酸化物の微粒子から構成される。複合金属酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、珪酸ジルコニウム、ジルコン酸鉛、酸化インジウムスズ、酸化スズアンチモン、ニオブ酸リチウム、コバルト酸リチウム等が挙げられる。これらの中でも、屈折率を向上させるという観点からは、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムが好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
複合金属酸化物微粒子は、好ましくは、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であり、より好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等も含む略球状を意味する。
複合金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、光の散乱による透明性への悪影響を避けるため、目的とする用途で使用する光の波長以下であることが好ましい。該平均一次粒子径は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上40nm以下である。上記平均一次粒子径が1nm以上であれば、複合金属酸化物微粒子の分散性が良好であり、100nm以下であれば、有機溶剤又は樹脂中に分散させた際の透明性が良好である。なお本開示において、平均一次粒子径とは数平均での値を意味する。上記平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察により求めることができる。
複合金属酸化物微粒子は、水熱法、ゾルゲル法、共沈法等により製造することが可能であり、製造条件を変更することにより、平均一次粒子径を制御することができる。
複合金属酸化物微粒子の具体的な製造方法については、例えば、チタン酸バリウムの場合には、2−メトキシエタノール中において、等モル量の金属バリウムとオルトチタン酸テトラエチルとを加熱溶解させた後、水を添加することによって加水分解反応及び縮合反応を進行させ、チタン酸バリウム微粒子の分散液を得る方法等が挙げられる。必要に応じて、スプレードライ、真空乾燥等の乾燥処理を行うことにより、粉末状のチタン酸バリウム微粒子が得られる。また、電気炉等において焼結処理を行うことにより、焼結処理時間に応じて、チタン酸バリウム微粒子の表面水酸基量を制御できる。
<表面処理>
本実施形態では、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物を上記複合金属酸化物微粒子に作用させて表面修飾反応を行い、該ケイ素化合物に由来する構造部位を表面に有する表面修飾複合金属酸化物微粒子を製造する方法が開示される。
具体的には、例えば、アルコール及び水を含む複合金属酸化物微粒子の均一分散液に、上記ケイ素化合物を添加する工程により製造される。使用できるアルコールとしては、水と容易に混合できるという観点から、炭素数1以上4以下のアルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられる。
上記均一分散液は、複合金属酸化物微粒子を製造する際の、加水分解工程において用いられる水をそのまま含んでいてもよく、その一部を除去又は水を追加することにより、水の含有量を制御することもできる。上記ケイ素化合物は、そのまま添加しても、アルコール、水又はその他の有機溶媒等で希釈してから添加してもよい。
上記表面修飾反応の反応温度は、0℃〜120℃であることが好ましく、より好ましくは30℃〜100℃である。また、反応時間は、0.5時間〜24時間であることが好ましく、より好ましくは0.5時間〜3時間である。
表面修飾反応に用いる複合金属酸化物微粒子は、水、有機溶媒、又はこれらの混合物に分散された状態であっても、乾燥処理によって得られる粉末でもよい。粉末状の複合金属酸化物微粒子を用いて表面修飾反応を行う場合には、ビーズミル等の分散装置中で表面修飾反応を行ってもよい。
ビーズミルは、ローター、ステータ及び撹拌粒子であるビーズを分離するビーズ分離機構を備える分散装置である。撹拌粒子であるビーズは、超微小ビーズであることが必要であり、その粒子径は3μm〜300μmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmである。粒子径が3μm以上であれば、分散に必要な衝撃エネルギーが得られ、300μm以下であれば、過剰な衝撃エネルギーによる再凝集が抑制できる。
上記撹拌粒子としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカ、ガラス、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられる。これらの中でも、撹拌粒子としての強度と安定性に優れるという観点からジルコニアが好ましい。
表面修飾反応において、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物の反応性官能基Xと複合金属酸化物微粒子の表面水酸基(M−OH)が縮合反応することにより、酸素原子を介した共有結合(M−O−Si)が生成する。
酸素原子を介した共有結合(M−O−Si)の有無については、透過型、又は拡散反射型赤外線分光装置等により、当該共有結合に由来する吸収ピークを検出することにより確認できる。
<均一分散液>
本実施形態の別の態様は、上記表面修飾複合金属酸化物微粒子、及び有機溶媒を含む均一分散液を提供する。上記有機溶媒は、複合金属酸化物微粒子を均一に分散できるものであることが好ましく、さらに、樹脂、分散剤、保存安定剤等を添加する場合には、それらの添加剤に対して高い溶解性を有することが好ましい。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が挙げられる。
上記のアルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素溶媒としては、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソアミルケトン、エチルヘキシルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等のケトン;酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル;ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよい。
<硬化物>
本実施形態の別の態様は、上述の表面修飾された複合金属酸化物微粒子を、溶媒を用いずに成型して得られる成形体を硬化させる工程、又は上記均一分散液を基板上に塗布して得られる薄膜を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法を提供する。
上記成形体は、表面処理された複合金属酸化物を、金属、樹脂、又はガラス等の金型、シート、スタンプ等を用いて成形することにより得られる。また、上記薄膜は、上記均一分散液を基板上に塗布することにより得られる。上記成形体及び薄膜の表面には、凹状、凸状、微細レンズ形状、微細周期構造などのパターン形状を付与することもできる。
上記表面修飾された複合金属酸化物微粒子の成型体又は上記薄膜を、熱又は光等を用いて硬化処理することにより、光学材料として好ましい透明の硬化物が得られる。
熱による硬化処理を行う場合の硬化温度は、30℃〜300℃であることが好ましく、より好ましくは、70℃〜200℃である。また、硬化時間は10分〜12時間であることが好ましく、より好ましくは10分〜3時間である。熱による硬化処理は、大気下で行っても、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
光による硬化処理を行う場合には、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用できる。光源としては、例えば、低圧若しくは高圧の水銀ランプ、重水素ランプ、又はアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、又はXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF若しくはArCl等のエキシマレーザー等を使用することができる。これらの光源の出力は、10〜5,000Wであることが好ましい。
本実施形態の更に別の態様は、上記製造方法により得られる硬化物を提供する。上記硬化物は、発光素子における封止剤、及びレンズ等の光学材料として好適に利用できる。
以下、実施例及び比較例により本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
なお、各製造例、実施例、比較例中の物性は以下の方法により測定した。
(1)結晶構造の確認方法
複合金属酸化物微粒子の粉末、又は分散液を乾燥させたサンプルを、日本ブルカー株式会社製X線回折(XRD)装置、D8 ADVANCEを用いて測定し、文献記載の回折パターンと比較することにより結晶構造の確認を行った。
(2)平均一次粒子径の算出方法
複合金属酸化物微粒子の分散液を微細試料捕集用の膜(コロジオン膜)に滴下して乾燥させた後、株式会社日立ハイテクノロジーズ製透過型電子顕微鏡(FE−TEM)、HF−2000を用いて加速電圧200kVで一次粒子径の測定を行い、50個の粒子の数平均から平均一次粒子径を算出した。
(3)ガスクロマトグラフィー(GC)による反応の追跡
反応混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で測定し、原料に由来するピークの信号強度を記録した。反応混合液中に含まれる原料の量は、別途作成した検量線を用いて算出した。
[GC測定条件]
・GC装置:GC−14B(島津製作所製)
・カラム:DB−1(30m×250μm×0.25μmF)(アジレントテクノロジー製)
・カラム温度:50℃で5分間ホールドした後、300℃まで毎分10℃ずつ昇温
・キャリアガス:He(流量1.0mL/min)
(4)プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルの測定
ケイ素化合物の濃度が5質量%になるように重水素化クロロホルムに溶解させ、得られた溶液のプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルを、日本ブルカー株式会社製FT−NMR装置、AVANCE400を用いて16回積算することにより測定した。
(5)重量平均分子量(Mw)の測定
シリコーン樹脂のイソプロピルアルコール溶液、又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液を、シリコーン樹脂成分の濃度が1質量%になるようにテトラヒドロフランで希釈して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。重量平均分子量(Mw)は、標準物質であるポリスチレン換算の値として求めた。
[GPC測定条件]
・カラム:TSKgel G1000H−HR、G3000H−HR、及びG5000H−HR(いずれも東ソー製) 3本直列
・溶離液:テトラヒドロフラン(流量:1mL/min)
・カラム使用温度:40℃
(6)表面修飾率の算出方法
表面修飾された複合金属酸化物微粒子の粉末1.0gと結晶セルロース(商品名:アビセル、フナコシ製)2.0gを混合し、自動メノウ乳鉢で30分撹拌した。得られた粉末を25mmφの塩化ビニル製リングに充填して錠剤成形機でサンプルを作製し、リガク製走査型蛍光X線分析装置、ZSX PrimusIIを用いてFPオーダー分析を行うことにより、バリウム原子に対するケイ素原子のモル比を測定し、複合金属酸化物微粒子の表面に存在するケイ素化合物の量を算出した。
上記平均一次粒子径から複合金属酸化物微粒子の表面積を算出し、ケイ素化合物1分子当たりの占有面積を1.3×10−19とした場合に、該複合金属酸化物微粒子の表面全体が被覆される状態を表面修飾率100%、該ケイ素化合物が全く存在しない状態を表面修飾率0%とした。
(7)有機溶媒及びシリコーン樹脂への分散性評価
20mLサンプル管に、表面修飾された複合金属酸化物微粒子0.5g、及びトルエン4.5gを入れ、超音波処理を行った。有機溶媒への分散性については、トルエン中に溶解して透明な均一分散液となったものを○、分散して沈降しないが濁りのあるものを△、溶解しなかったものを×とした。
また、300mLフラスコに、表面修飾された複合金属酸化物微粒子0.5g、下記製造例10で得られたシリコーン樹脂4.5g、及びトルエン100gを加えて撹拌し、均一分散液とした。70℃に設定したウォーターバスで加熱しながら、エバポレータにより溶媒を留去し、複合金属酸化物微粒子の分散したシリコーン樹脂を調製した。複合金属酸化物微粒子がシリコーン樹脂中に均一分散しており、透明性が維持されているものを○、透明性は維持されているが濁りのあるものを△、相分離等により白濁して透明性を失っているものを×とした。
<チタン酸バリウム微粒子の製造方法>
[製造例1]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコを窒素雰囲気に置換した後、2−メトキシエタノール(ME)120.3g、金属バリウム2.75g、テトラエトキシチタン4.19mLを入れ、撹拌しながら120℃で2時間加熱した。ME102.9g及びイオン交換水18.0gの混合物を滴下しながら加え、120℃で3時間加熱撹拌を継続することにより、チタン酸バリウムの分散液(BT−1)を得た。XRD測定において、チタン酸バリウムの回折パターンと一致することを確認した。また、TEM測定において、BT−1の平均一次粒子径は約7nmであった。
[製造例2]
イオン交換水36.0gを用いる以外は上記製造例1と同様にして、チタン酸バリウム微粒子の分散液(BT−2)を得た。XRD測定において、チタン酸バリウムの回折パターンと一致することを確認した。また、TEM測定において、BT−2の平均一次粒子径は約14nmであった。
[製造例3]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた2Lセパラブルフラスコを窒素雰囲気に置換した後、エタノール855mL、金属バリウム24.7g、テトラエトキシチタン37.7mLを入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱した。エタノール576mLとイオン交換水324mLの混合物を滴下しながら加え、70℃で3時間加熱を継続することにより、チタン酸バリウム微粒子のエタノール懸濁液を得た。
上記懸濁液を遠心分離器を用いて8,000rpmで30分処理することによりエタノール及び水を除去し、固形分を分離した。この固形分をエタノールで洗浄した後、70℃の真空乾燥機で8時間減圧乾燥させることにより、チタン酸バリウム微粒子の粉末(BT−3)を得た。XRD測定において、チタン酸バリウムの回折パターンと一致することを確認した。また、TEM測定において、BT−3の平均一次粒子径は約7nmであった。
<ケイ素化合物の製造方法>
[製造例4]
還流管、及び攪拌機を備えた2Lセパラブルフラスコを窒素雰囲気に置換した後、脱水トルエン800g、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン128.6g、トリメトキシビニルシラン71.4g、及び白金のテトラメチルジビニルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)の2質量%キシレン溶液110μLを入れ、ガスクロマトグラフィーにおいて、原料のトリメトキシビニルシランのピークが消失するまで60℃で8時間加熱撹拌した。エバポレータでトルエンを減圧留去した後、減圧蒸留により目的とする1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−2−(2−トリメトキシシリルエチル)トリシロキサン(S−1)を得た。S−1の沸点は、0.57kPaにおいて103℃であった。S−1の1H−NMRチャートを図1に示す。
[製造例5]
原料として、トリメチルビニルシラン及びトリエトキシシランを用いる以外は上記製造例4と同様にして、目的とする(2−トリメチルシリルエチル)トリエトキシシラン(S−2)を得た。
[製造例6]
1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンの代わりにペンタメチルジシロキサンを用いる以外は上記製造例4と同様にして、目的とするペンタメチル(2−トリメトキシシリルエチル)ジシロキサン(S−3)を得た。
[製造例7]
1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンの代わりにトリス(トリメチルシロキシ)シランを用いる以外は上記製造例4と同様にして、目的とするトリス(トリメチルシロキシ)(2−トリメトキシシリルエチル)シラン(S−4)を得た。
[製造例8]
トリメトキシビニルシランの代わりにメチルジメトキシビニルシランを用いる以外は上記製造例4と同様にして、目的とする,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−2−(2−メチルジメトキシシリルエチル)トリシロキサン(S−5)を得た。
[製造例9]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lフラスコを窒素雰囲気に置換した後、氷水で冷却しながら水素化リチウムアルミニウム3.8g、及び超脱水ジエチルエーテル200mLを入れた。この溶液に、上記製造例4で合成したケイ素化合物(S−1)26.4g及び超脱水ジエチルエーテル50mLの混合物を、フラスコの内温が15℃を超えないように滴下した後、室温で1時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーにおいて、原料であるS−1のピークが消失したことを確認した後、再度氷水で冷却し、酢酸エチル17.6gをフラスコの内温が15℃を超えないように滴下した後、室温で8時間撹拌した。この反応液をセライト545を用いて減圧濾過した後、ジエチルエーテル及び過剰の酢酸エチルをエバポレータで減圧留去した。減圧蒸留により、目的とする1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−2−(2−トリヒドロシリルエチル)トリシロキサン(S−6)を得た。S−6の沸点は、0.5kPaにおいて58℃であった。S−6の1H−NMRチャートを図2に示す。
<シリコーン樹脂の製造方法>
[製造例10]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン149.9g、エトキシトリメチルシラン32.5g、及びイソプロピルアルコール(IPA)120gを入れて撹拌し、さらに1M塩酸58mgとイオン交換水128.7gとの混合物を滴下しながら加え、80℃に設定したオイルバスで2時間加熱して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を360g加え、エバポレータでIPA及び水を留去した。さらに、シリコーン樹脂成分が33.3質量%になるまで濃縮し、シリコーン樹脂のPGMEA溶液を得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は957であった。
別に準備した還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、上記シリコーン樹脂のPGMEA溶液288g、ピリジン90.1g、及びPGMEA100gを入れて撹拌し、さらにビニルジメチルクロロシラン68.8g及びトリメチルクロロシラン62.0gの混合物を滴下しながら加え、室温で1時間撹拌した。
シクロヘキサン100g、及びイオン交換水100gを加えたのち、分液操作により水層を除去し、得られた有機層をイオン交換水100gで2度洗浄した。エバポレータで有機溶媒を留去し、目的とするシリコーン樹脂146gを得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は2,092であった。
<表面修飾反応>
[実施例1]
上記製造例1で得られたチタン酸バリウム微粒子の分散液(BT−1)に、ケイ素化合物(S−1)3.31gを加え、70℃で1時間加熱することにより、白色の懸濁液が得られた。遠心分離機を用いて7,000rpmで30分処理することにより溶媒を除去し、得られた固形成分をアセトン及びエタノールで洗浄した後、40℃で真空乾燥することにより目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−1)を得た。P−1の表面修飾率は29%であった。
[実施例2]
S−1の代わりにS−2を用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−2)を得た。
[実施例3]
S−1の代わりにS−3を用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−3)を得た。
[実施例4]
S−1の代わりにS−4を用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−4)を得た。
[実施例5]
S−1の代わりにS−5を用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−5)を得た。
[実施例6]
S−1の代わりにS−6を用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−6)を得た。
[実施例7]
BT−1の代わりにBT−2を用いた以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−7)を得た。
[実施例8]
還流管及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに上記製造例3で得られたチタン酸バリウム微粒子の粉末(BT−3)10g、トルエン323g、及びケイ素化合物(S−6)8.02gを入れ、40℃に設定したオイルバス中で1時間加熱撹拌した。
この反応液をビーズミル(UAM−015、寿工業株式会社製)のタンクに入れ、トルエン100gを追加した。粒子径15μmのジルコニアビーズ(DZB、型番φ15、大研化学工業株式会社製)350gを用いて、ローター回転数12m/秒、流速70mL/分の条件で分散処理することにより、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子のトルエン分散液(P−8)を得た。P−8の表面修飾率は90%であった。
[比較例1]
上記製造例3で得られたチタン酸バリウム微粒子の粉末(BT−3)を表面修飾することなく、そのままP−9とした。
[比較例2]
S−1の代わりにデシルトリメトキシシランを用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−10)を得た。
[比較例3]
S−1の代わりにビニルトリメトキシシランを用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−11)を得た。
[比較例4]
S−1の代わりに(3−メチルメタクリル)プロピルトリメトキシシランを用いる以外は上記実施例1と同様にして、目的とする表面修飾されたチタン酸バリウム微粒子(P−12)を得た。
[比較例5]
S−1の代わりにメチルトリメトキシシランを用いる以外は上記実施例1と同様にして実施したが、不溶性のゲル状生成物が得られた。
[比較例6]
S−1の代わりに1,1,1−トリメチル−3,3,3−トリメトキシジシロキサン(表1では「トリメチルシロキシトリメトキシシラン」と略記する)を用いる以外は上記実施例1と同様にして実施したが、不溶性のゲル状生成物が得られた。
<有機溶媒及びシリコーン樹脂への分散性評価>
上記実施例1〜8及び比較例1〜6で得られた複合金属酸化物微粒子P−1〜14について、有機溶媒及びシリコーン樹脂への分散性評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0006045875
本発明の複合金属酸化物微粒子は、レンズ、封止材、及びコーティング剤等の光学材料として利用可能な、高透明かつ高屈折率な有機無機複合樹脂の原料として好適に使用できる。

Claims (5)

  1. アルコール及び水を含む複合金属酸化物微粒子の均一分散液に、下記一般式(1):
    1 Si−A−SiR (3−n) (1)
    {式中、R 1 〜R は、各々独立に、炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換されていてもよいシロキシ基であり、R は、炭素数1〜4の炭化水素基であり、Aは、炭素数2〜6の二価の炭化水素基であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは、0又は1である。}
    で表されるケイ素化合物を添加する工程を含む、
    前記複合金属酸化物微粒子の表面に、記一般式(1)で表されるケイ素化合物に由来する構造部位を有する、表面修飾複合金属酸化物微粒子の製造方法
  2. 前記複合金属酸化物微粒子の平均一次粒子径が、1nm以上40nm以下である、請求項1に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子の製造方法
  3. 前記複合金属酸化物微粒子は、チタン酸バリウム微粒子である、請求項1又は2に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子の製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子の製造方法により得られる表面修飾複合金属酸化物微粒子を有機溶媒に均一に分散させる工程を含む前記表面修飾複合金属酸化物微粒子及び前記有機溶媒を含む均一分散液の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面修飾複合金属酸化物微粒子の製造方法により得られる表面修飾複合金属酸化物微粒子を、溶媒を用いずに成型して得られる成形体を硬化させる工程、又は請求項に記載の均一分散液の製造方法により得られる均一分散液を、基板上に塗布して得られる薄膜を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法。
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