JP6044116B2 - レーダ装置、測角方法およびプログラム - Google Patents

レーダ装置、測角方法およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6044116B2
JP6044116B2 JP2012117622A JP2012117622A JP6044116B2 JP 6044116 B2 JP6044116 B2 JP 6044116B2 JP 2012117622 A JP2012117622 A JP 2012117622A JP 2012117622 A JP2012117622 A JP 2012117622A JP 6044116 B2 JP6044116 B2 JP 6044116B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
multipath
beams
reception
phase difference
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012117622A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013245949A (ja
Inventor
徳昭 安道
徳昭 安道
昇平 池田
昇平 池田
健太郎 工藤
健太郎 工藤
誠二 野本
誠二 野本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2012117622A priority Critical patent/JP6044116B2/ja
Publication of JP2013245949A publication Critical patent/JP2013245949A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6044116B2 publication Critical patent/JP6044116B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Description

本発明は、目標を検出するレーダ装置に関し、特に目標の仰角情報を検出する際に地面や海面等からの反射波があるマルチパス環境下であるか否かを判定するマルチパス有無判定技術に関する。
レーダ装置は、一般に空間に電波を発射し、目標にて反射された電波を受信することにより、目標の存在を探知し、目標の位置や目標の運動状況などを観測する。
レーダ装置においては、電波である送信ビームが、空中線から空間に発射され、目標に当たって反射された後、再び空中線で受信され、空中線から受信器等へレーダ受信信号として出力される。レーダ受信信号は、所定のサンプリング間隔でA/D変換されてディジタル受信信号となる。各サンプリング点のディジタル受信信号の振幅値はしきい値と比較され、しきい値以上のディジタル受信信号が、目標の存在を示す目標信号として検出される。また、レーダ装置は、電波を発射した時刻と目標信号を検出した時刻との差分により、目標の距離情報を得る。この目標の探知と距離情報の測定が、レーダ装置の基本機能である。
また、レーダ装置は、送信ビームの方位を変化させ、方位の異なるレーダ受信信号を得て方位測角処理を行うことにより、目標の方位情報を得ることができる。
さらに、レーダ装置は、仰角の異なる複数の送信ビームを発射し、同じ目標から反射信号を受信して仰角の異なる受信信号の振幅差や位相差を使って仰角測角処理を行うことによって目標の高度情報を得ることができる。
観測したい空間に一通り電波を発射することをスキャンと呼び、レーダ装置はスキャンの動作を繰り返し行うことで、目標情報を所定の間隔で連続して取得することができる。
代表的な仰角方向の測角方式として、例えば振幅比較方式やモノパルス方式が知られている。
振幅比較方式では、レーダ装置は、仰角方向に連続して形成した複数の受信ビームで目標を検出し、目標仰角(目標の仰角)と各受信ビームにおける目標信号の振幅または位相の比が一定の関係にあることを利用して目標仰角を求める。
振幅比較方式では、マルチパスが有る場合、測角精度が劣化することが特許文献1に記載されている。
図23は、レーダ装置の空中線1が、目標Tからの直接波に加え、地面または海面からの反射波であるマルチパス波を受信している様子を示している。
空中線1に入力される直接波とマルチパス波の位相関係は、目標Tまでの距離等に依存する。マルチパスが有る場合、直接波とマルチパス波の合成波が目標信号として検出されるため、上記関係が成立しなくなり、測角精度が劣化する。
モノパルス方式では、レーダ装置は、Σ(和)ビームとΔ(差)ビームの2種類の受信ビームパターンを同時に形成して和差除算信号Δ/Σが目標仰角に対して一定の特性曲線を描く関係となることを利用して直接波の到来角を求める。
モノパルス方式でも、マルチパスが有る場合は、振幅比較方式の場合と同様、測角精度が劣化することが非特許文献1および特許文献2に記載されている。
マルチパス対策として、様々な手法が知られている。
一般的なマルチパス対策としてはダイバーシティ方式がある。ダイバーシティ方式は、複数の周波数やアンテナを使用して、マルチパスの影響が異なる複数のデータを取得して処理することにより、マルチパスの影響を軽減するものである。
ダイバーシティ方式以外で、特に振幅比較方式における対策としては、受信ビームの指向中心を上方にずらして設定(オフボア)する方式が知られている。このオフボア方式により、地面や海面からのマルチパス波の受信電力を低減してその影響を軽減する。
また、モノパルス方式における対策として、測角精度を向上させるために、直接波とマルチパス波の到来角を推定する測角方法が、特許文献3に記載されている。
特開2006−078342号公報 特開2000−28704号公報 特開2002−243824号公報
Samuel M. Sherman;"Monopulse Principles and Techniques" , Artech House, Inc. 1983
マルチパス環境外の受信ビームに対して上記マルチパス対策を行うと、以下の問題が生ずる。
マルチパス対策としてオフボア方式を採用した場合、低い仰角の目標からの受信信号も弱くなってしまい、オフボアをしない場合に比べて目標検出が困難になるという問題がある。
特許文献3に記載の測角方法においては、直接波とマルチパス波の到来角を推定するため演算負荷が大きくなるという問題がある。
周波数ダイバーシティ方式においては、複数の周波数の信号を送受信するため、同時に複数の周波数で送信できないレーダ装置においては同一方向に複数回送信を行う必要があり、データレートが低下するという問題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決可能なレーダ装置、測角方法およびプログラムを提供することにある。
本発明のレーダ装置は、
互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成部と、
前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出部と、
前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定部と、
前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理部と、を有し、
前記マルチパス有無判定部は、
前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出部と、
前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測部と、
前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定部と、を含み、
前記ビーム形成部は、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
前記マルチパス有無判定部は、さらに、前記位相差を予測する上で必要となるパラメータを前記位相差予測部に出力する出力部を含み、
前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの仰角と前記パラメータとに基づいて、前記位相差を予測する
本発明の測角方法は、レーダ装置での測角方法であって、
互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成ステップと、
前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出ステップと、
前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定ステップと、
前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理ステップと、を有し、
前記マルチパス有無判定ステップは、
前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出ステップと、
前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測ステップと、
前記位相差の算出結果と前記位相差の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定ステップと、を含み、
前記ビーム形成ステップでは、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
前記マルチパス有無判定ステップでは、さらに、前記位相差を予測する上で必要となるパラメータを前記位相差予測部に出力し、
前記位相差予測ステップでは、前記2本の特定受信ビームの仰角と前記パラメータとに基づいて、前記位相差を予測する
本発明のプログラムは、コンピュータに、
互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成手順と、
前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出手順と、
前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定手順と、
前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理手順と、を実行させ、
前記マルチパス有無判定手順は、
前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出手順と、
前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測手順と、
前記位相差の算出結果と前記位相差の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定手順と、を含み、
前記ビーム形成手順では、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
前記マルチパス有無判定手順では、さらに、前記位相差を予測する上で必要となるパラメータを前記位相差予測部に出力し、
前記位相差予測手順では、前記2本の特定受信ビームの仰角と前記パラメータとに基づいて、前記位相差を予測する
本発明によれば、マルチパスがない状況でマルチパス対策によって発生する不具合を回避することが可能になる。
本発明の実施形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態1におけるマルチパス有無判定器の構成を示すブロック図である。 電波がリニアアレイアンテナ正面方向に対して角度αの方向から到来した状態を示す図である。 本発明の実施形態1においてマルチパスが無い場合に得られる受信信号Σ1と受信信号Σ2を複素平面で示した図である。 本発明の実施形態1においてマルチパスが無い場合に得られる受信信号の位相とその受信信号を得る際に用いた受信ビームのノーズ仰角との関係を示す図である。 本発明の実施形態1においてマルチパスが有る場合に得られる受信信号Σ1と受信信号Σ2を複素平面で示した図である。 本発明の実施形態1においてマルチパスが有る場合に得られる受信信号の位相とその受信信号を得る際に用いた受信ビームのノーズ仰角との関係を示す図である。 本発明の実施形態1においてマルチパスが無い場合に得られる2本のビームのノーズ仰角の差分と、受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差の関係を示す図である。 本発明の実施形態1においてマルチパスが有る場合に得られる2本のビームのノーズ仰角の差分と、受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差の関係を示す図である。 本発明の実施形態2におけるマルチパス有無判定器の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態2においてマルチパスが無い場合に得られるビーム仰角と受信信号の位相の関係を示す図である。 本発明の実施形態2においてマルチパスが有る場合に得られるビーム仰角と受信信号の位相の関係を示す図である。 本発明の実施形態2における補正値算出部66での処理内容をビーム仰角と受信信号の位相の関係を用いて説明した図である。 本発明の実施形態2においてマルチパスが無い場合に得られる受信信号の位相とその受信信号を得る際に用いた受信ビームのノーズ仰角との関係を示す図である。 本発明の実施形態2においてマルチパスが有る場合に得られる受信信号の位相とその受信信号を得る際に用いた受信ビームのノーズ仰角との関係を示す図である。 本発明の実施形態3におけるマルチパス有無判定器の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態3においてマルチパスが無い場合に得られる受信信号Σと受信信号Δを複素平面で示した図である。 本発明の実施形態3においてマルチパスが有る場合に得られる受信信号Σと受信信号Δを複素平面で示した図である。 本発明の実施形態4に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態1において、マルチパスが有る場合に得られる受信信号Σ1とΣ2の位相差が、位相差予測値φ0と同じ値になる例を示す図である。 本発明の実施形態3において、マルチパスが有る場合に得られる受信信号Σと受信信号Δの位相差が、位相差予測値φ0と同じ値になる例を示す図である。 本発明の実施形態5に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。 マルチパスの様子を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1のレーダ装置10を示すブロック図である。
図1において、本実施形態1のレーダ装置10は、空中線1、送受信部2、ビーム形成器3、目標信号検出器4、ビーム選択器5、マルチパス有無判定器6、切替器7、マルチパス外測角処理器81、およびマルチパス内測角処理器82を含む。切替器7とマルチパス外測角処理器81とマルチパス内測角処理器82は、処理部Aに含まれる。ビーム形成器3と目標信号検出器4とビーム選択器5とマルチパス有無判定器6と処理部Aは、信号処理器Bに含まれる。
送受信部2は、送信波信号(例えば、高周波信号)を空中線1へ出力する。
空中線1は、複数のアンテナを含み、送信波信号に応じた電波を空中の所定の方向に向けて放射する。また、空中線1は、目標にて反射された電波を受信し、受信した電波に応じた信号を送受信部2へ出力する。
送受信部2は、空中線1より送られた信号を検波し、その信号をA/D変換してディジタル受信信号を生成し、ディジタル受信信号をビーム形成器3に出力する。なお、送受信部2は、アンテナごとにディジタル受信信号を生成し、アンテナごとのディジタル受信信号をビーム形成器3に出力する。
ビーム形成器3は、ビーム形成部の一例である。ビーム形成器3は、送受信部2から送られてくる複数のディジタル受信信号に基づいて、目標信号が検出された受信ビームを含む2本以上の受信用マルチビームを同時に形成するとともに、形成した各受信ビームでの受信信号を算出する。通常、受信マルチビーム形成を行う場合はディジタルビーム形成(DBF)技術が使われるが、アナログビーム形成(ABF)技術が使用されても良い。
目標信号検出器4は、目標検出部の一例である。目標信号検出器4は、ビーム形成器3で形成された各受信ビームの受信信号をあらかじめ設定された目標検出閾値と比較して、目標検出閾値以上の受信信号を目標信号として検出する。目標信号検出器4は、目標信号を用いて、距離情報および方位角情報を検出する。例えば、目標信号検出器4は、空中線1が電波を発射した時刻と目標信号を検出した時刻との差分により、目標の距離情報を得る。また、目標信号検出器4は、目標信号の元となった電波の放射(送信)方向から、目標の方位角情報を得る。目標信号検出器4は、ビーム形成器3の出力と目標信号検出器4の検出結果とをビーム選択器5に出力する。
ビーム選択器5は、ビーム形成器3が形成した同時マルチビームの数が2本以上の場合に、目標信号が検出された受信ビームを含む2本の受信ビーム(選択受信ビーム)、およびその受信ビーム(選択受信ビーム)により算出された受信信号を選択し、選択した2本の受信ビームおよび受信信号を、マルチパス有無判定器6に出力する。
また、ビーム選択器5は、マルチパス有無判定器6において判定された結果を基に、測角に必要な受信ビーム、およびその受信ビームにより算出された受信信号を選択し、その選択結果(測角に必要な受信ビームと、その受信ビームにより算出された受信信号)を、切替器7に出力する。
また、ビーム選択器5は、ビーム形成器3が形成した同時マルチビームの数が2本の場合は、全ての受信ビーム(選択受信ビーム)の仰角、およびその受信ビームにより算出された受信信号を、マルチパス有無判定器6、および切替器7に出力する。
マルチパス有無判定器6は、マルチパス有無判定部の一例である。マルチパス有無判定器6は、ビーム選択器5より選択された2本の受信ビーム(選択受信ビーム)の仰角、およびその受信ビーム(選択受信ビーム)により算出された受信信号を基に、マルチパスの有無を判定し、その判定結果をビーム選択器5および切替器7に出力する。構成の詳細は後述する。
切替器7は、マルチパス有無判定器6においてマルチパス無しと判定された場合はマルチパス外測角処理器81で測角処理を行うことを選択し、マルチパス有りと判定された場合はマルチパス内測角処理器82で測角処理を行うことを選択する。
マルチパス外測角処理器81、マルチパス内測角処理器82は、ともに、検出された目標に対して測角演算を行って目標仰角を算出する。
マルチパス外測角処理器81は、振幅比較測角方式等のマルチパス対策を施さない通常の測角処理(第1測角処理)により目標仰角を算出するのに対し、マルチパス内測角処理器82は、例えばオフボア方式を採用した振幅比較測角方式等のマルチパス対処を施した測角処理(第2測角処理)により目標仰角を算出する。
処理部Aは、マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う。
信号処理器Bは、例えば、コンピュータである。
図2は、第1実施形態のマルチパス有無判定器6を示したブロック図である。なお、図2において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
図2において、マルチパス有無判定器6は、位相差算出部61、位相差予測部62、比例係数出力部63、許容誤差設定部64、および判定部65を含む。
位相差算出部61は、ビーム選択器5から入力された2つの受信信号の位相差を算出する。なお、入力された2つの受信信号は、ビーム選択器5にて選択された2本の選択受信ビームである2本の特定受信ビームでの受信信号である。
位相差予測部62は、マルチパスが無い場合において、ビーム選択器5にて選択された2つの受信ビーム(特定受信ビーム)より得られた各受信信号の位相差として取りうる理論値を予測値として算出する。
比例係数出力部63は、出力部の一例である。比例係数出力部63は、位相差予測部62が位相差の予測値を算出する上で必要となる情報(パラメータ)を、位相差予測部62に出力する。
許容誤差設定部64は、設定部の一例である。許容誤差設定部64は、マルチパス無しに相当する位相差の値の範囲を設定する上で必要となる位相差の許容誤差を設定する。
判定部65は、位相差算出部61で算出された値と位相差予測部62で算出された値の差に基づいて、マルチパスの有無を判定する。本実施形態では、判定部65は、位相差算出部61で算出された値と位相差予測部62で算出された値の差が許容誤差設定部64で設定した許容誤差以内であればマルチパス無しと判定し、その差が許容誤差を超えている場合はマルチパス有りと判定する。判定部65は、判定結果をビーム選択器5および切替器7に出力する。
ここで、位相差算出部61に入力される2つの受信信号は、2本の受信ビーム(特定受信ビーム)で同時に受信された信号であり、2本の受信ビームをビーム1、ビーム2とし、ビーム1についての受信信号を受信信号1とし、ビーム2についての受信信号を受信信号2とする。なお、受信信号1および2はいずれも複素数で表される。
位相差予測部62は、マルチパスが無い場合において、2つの受信ビーム(特定受信ビーム)より得られた受信信号の位相差として取りうる理論値を出力するが、この値の算出方法は受信ビームの形成方法、すなわち測角方法により異なる。
本実施形態1では2本の受信ビームとしては、互いに仰角の異なる2本の同時Σビームが用いられるが、2本の同時Σビームの代わりにモノパルスビーム(Σ、Δビーム)が用いられることも可能である。モノパルスビーム使用時における判定基準設定については実施形態3で述べる。
図3に示したように、空中線1が、N個のアンテナ素子#1〜#Nが等間隔に配置されたリニアアレイ(間隔d)により形成されているとする。
なお、図3では、電波(平面波)がアンテナ正面方向に対して角度αの方向から到来した状態を示す。
各アンテナ素子を左から順にアンテナ#1、アンテナ#2、・・・アンテナ#Nとすると、各アンテナ素子の出力(受信された信号)は、それぞれ可変移相器31を経て加算器32で加算される。可変移相器31と加算器32はビーム形成器3に含まれる。図3では、説明の簡略化を図るため、送受信部2が省略されている。
ここで、説明の簡略化を図るため各アンテナ素子の受信特性は互いに等しいとし、アンテナ#1での受信信号をE1(t,α)とする。このときアンテナ#nとアンテナ#1との経路差はd・(n−1)・sinαとなるため、送信周波数における波長をλとすると、アンテナ#nでの受信信号En(t,α)は以下の式で表される。
n(t,α)=E1(t,α)exp[−j2π(d/λ)・(n−1)sinα]
・・・(1)
ここで、アレーアンテナの受信ビームのノーズ方向がアンテナ正面方向から角度θk(k=1、2)となるようにビームを形成したとすると、このビームkにおけるアンテナ#nの受信信号は可変移相器を経た時点で、
n(t,α)・exp[j2π(d/λ)・(n−1)sinθk
=E1(t,α)exp[j2π(d/λ)・(n−1)・(sinθk−sinα)]
・・・(2)
ビームkで受信された受信信号Σkは式(2)の合成出力であることから、受信信号Σkは以下の式で表される。
Σk=E1(t,α)・Σexp[j2π(d/λ)・(n−1)・(sinθk−sinα)]
・・・(3)
ただし、式(3)での右式のΣはn=0〜N−1までの和を表す。このとき受信信号Σkの位相argΣkは以下の式となる。
argΣk=arg[E1(t,α)]
+arg(Σexp[j2π(d/λ)・(n−1)・(sinθk−sinα)])
・・・(4)
ここでθk−αが十分に小さい場合、以下の近似が成り立つ。
sinθk−sinα=sinθk−sin(θk−(θk−α))
≒sinθk−[sinθk−cosθk・(θk−α)]
=cosθk・(θk−α) ・・・(5)
となる。式(5)が成立するとき、受信信号Σkの位相は以下の通りとなる。
argΣk=arg[E1(t,α)]
+arg(Σexp[j2π(d/λ)・(n−1)・cosθk・(θk−α)])
=arg[E1(t,α)]+ψ(xk) ・・・(6)
ただし、
ψ(xk)=arg(Σexp[j2π(d/λ)・(n−1)・xk]) ・・・(7)
k=cosθk・(θk−α) ・・・(8)
としたとき、θk−αは十分に小さいとしているため、xkも十分に小さいとみなせる。よって、ψ(xn)をxnの1次関数と近似的に表すことが可能となり、以下の関係が成り立つ。
ψ(xk)=ψ(0)+ψ ’(0)・xk ・・・(9)
ただし、ψ’(x)はψ(x)の導関数であり、ψ’(0)はθk、αには依存しない定数である。また、
ψ(0)=arg(Σexp[2π(d/λ)・0])=argN=0
より、式(9)は以下のように変形できる。
ψ(xk)=C・xk=C・cosθk・(θk−α) (C≡ψ ’(0))・・・(10)
ここで、ビーム1およびビーム2の間隔が狭い場合、
cosθ1≒cosθ2 ・・・(11)
と見なせる。通常マルチパスが問題となるのは、ビームのノーズ仰角方向、および到来波方向がともに水平方向に近い場合であるため、θk−αは十分に小さいと考えて良い。また、ビーム間隔についても、例えばθ1=+0°の場合、−8°<θ2<8°であれば、cosθ2>0.99となり、両者の差は1%以下となるため、通常はcosθ1≒cosθ2≒1が成立しているとみなしても実用上差し支えない。
以上より、ビーム1で受信された受信信号Σ1の位相、およびビーム2で受信された受信信号Σ2の位相は式(6)、(10)および(11)より以下の通りとなる。
argΣ1=arg[E1(t,α)]+ψ(x1
=arg[E1(t,α)]+C・cosθ1・(θ1−α) ・・・(12)
argΣ2=arg[E1(t,α)]+ψ(x2
=arg[E1(t,α)]+C・cosθ1・(θ2−α) ・・・(13)
よって受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差は以下の通りとなる。
argΣ2−argΣ1=C・cosθ1・(θ2−θ1)=φ0 ・・・(14)
定数C=ψ’(0)はアンテナ素子数N、アンテナ素子間隔d、および波長λの関数となるが、これらは既知のため算出可能である。また、ビームノーズ仰角θ1およびθ2ともに既知であるため、マルチパスが無い場合は受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差φ0
はあらかじめ予測可能である。
ここで、式(6)を使って、到来波方向がαでマルチパスが無い場合の受信信号Σkを以下の通りに表すことができる。
Σ1=R1t・exp(jχ)・exp[jψ(x1)] ・・・(15)
Σ2=R2t・exp(jχ)・exp[jψ(x2)] ・・・(16)
kt: ビームkより得られる直接波受信信号の振幅強度
χ=arg[E1(t,α)]
このとき、マルチパスが無い場合における受信信号Σ1と受信信号Σ2を複素平面で表すと、図4に示す通りである。図5はマルチパスが無い場合における受信信号の位相とその受信信号を得る際に用いた受信ビームのノーズ仰角との関係を示す。図5において黒丸は受信ビーム1より得られた点を、黒四角は受信ビーム2より得られた点をそれぞれ示す。式(12)および(13)が示す通り、この黒丸と黒四角を通過する直線の傾きは、一定値C・cosθ1となる。
一方、マルチパス波がアンテナ正面方向に対して角度βの方向から到来した場合の受信電力は、直接波による寄与とマルチパス波による寄与との和となり、以下の式で表される。
Σ1=Rt・exp(jχ)・exp[jψ1(x1)]+Rt’・exp(jχ’)・exp[jψ1(x1’)] ・・・(17)
Σ2=Rt・exp(jχ)・exp[jψ2(x2)]+Rt’・exp(jχ’)・exp[jψ2(x2’)] ・・・(18)
R’t:ビームkより得られるマルチパス波受信信号の振幅強度
χ’=arg[E1(t,β)]
n’=cosθn・(θn−β) ・・・(19)
このとき、マルチパスが有る場合における受信信号Σ1と受信信号Σ2を複素平面で表すと、図6に示す通りである。図6において、点線が直接波による寄与を表し、破線がマルチパス波による寄与を表す。マルチパス波による寄与が加算されるため、受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相がマルチパスの無い場合とは異なる値を取ることが図6より分かる。
図7はマルチパスが有る場合における受信信号の位相とその受信信号を得る際に使用した受信ビームのノーズ仰角との関係を示す。
図7において黒丸は受信ビーム1より得られた点を、黒四角は受信ビーム2より得られた点をそれぞれ示す。比較のために、マルチパスが無い場合において、受信ビーム1より得られた点を白丸で、受信ビーム2より得られた点を白四角でそれぞれ示す。マルチパスが無い場合に得られる2点については、白丸を通る傾きC・cosθ1の直線上に白四角が乗っているのに対して、マルチパスが有る場合に得られる2点については、黒丸を通る傾きC・cosθ1の直線から外れた位置に黒四角が通常存在することが分かる。
マルチパスが無い場合に受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差として取りうる値を位相差予測値φ0とすると、以下の関係が成り立つ。
φ0=C・cosθ1・(θ2−θ1) ・・・(20)
位相差予測値φ0と、実際に得られた受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差の値を比較したときに、両者の値が異なっていればマルチパスが有ると推定でき、また両者の値が近ければマルチパスが無いと推定できる。
判定部65は、位相差算出部61で算出された値であるΣ2−Σ1と、位相差予測部62で算出された位相差予測値φ0を比較し、両者の差が許容誤差設定部64で設定した許容誤差δφ以内であればマルチパス無しと判定し、許容誤差δφを超えている場合はマルチパス有りと判定し、その判定結果をビーム選択器5および切替器7に出力する。
図8と図9はともに使用した2本の受信ビームのノーズ仰角の差分θ2−θ1と、受信信号Σ1と受信信号Σ2の位相差の関係を示す。argΣ2−argΣ1は実際に得られた受信信号から算出された値であり、位相差予測値φ0は式(20)より得られた値である。図8はargΣ2−argΣ1とφ0の差分が許容誤差δφ以内であることからマルチパス無しと判定されるケースに相当し、argΣ2−argΣ1とφ0の差分が許容誤差δφ以内であることが分かる。一方、図9はマルチパス有りと判定されるケースに相当する。
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態1のレーダ装置10によれば、位相差算出部61、位相差予測部62、比例係数出力部63、許容誤差設定部64、判定部65を備えたマルチパス有無判定器6を用いたことにより、マルチパスの有無判定が可能となる。また、切替器7、マルチパス外測角処理器81、マルチパス内測角処理器82を組み合わせることにより、マルチパスが有る場合にのみマルチパス対策処理を行うことが可能となる。
本実施形態によれば、ビーム形成器3は、互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出する。目標信号検出器4は、各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する。マルチパス有無判定器6は、複数の受信ビームのうち目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定する。処理部Aは、マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う。
マルチパス有無判定器6は、位相差算出部61と、位相差予測部62と、判定部65と、を含む。位相差算出部61は、複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する。位相差予測部62は、前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する。判定部65は、位相差算出部61の算出結果と位相差予測部62の予測結果との差に基づいて、マルチパスの有無を判定する。
このため、2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差と、マルチパスがない状況での予測位相差と、を用いて、マルチパスの有無を判定することが可能になる。そして、マルチパスの有無を判定することによって、マルチパスが有る場合にのみマルチパス対策処理を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、許容誤差設定部64は、位相差算出部61の算出結果と位相差予測部62の予測結果との差の許容値を設定する。判定部65は、位相差算出部61の算出結果と位相差予測部62の予測結果との差が許容値よりも大きい場合に、マルチパスが有ると判定し、その差が許容値以下である場合に、マルチパスが無いと判定する。このため、許容値の設定の仕方によって、マルチパス有無判定の精度を調整することが可能になる。
また、本実施形態では、ビーム形成器3は、複数の受信ビームとして、目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成する。マルチパス有無判定器6は、位相差を予測する上で必要となるパラメータを位相差予測部62に出力する比例係数出力部63を含む。位相差予測部62は、2本の特定受信ビームの仰角と比例係数出力部63からのパラメータとに基づいて、マルチパスがない状況での位相差を予測する。
このため、複数の受信ビームとして、目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成されても、位相差予測部62は、マルチパスがない状況での位相差を予測することが可能になる。
また、本実施形態では、複数の選択受信ビームおよび2本の特定受信ビームは、ビーム形成器3が形成した2本以上の同時Σビームのうち、目標信号が検出された同時Σビームを含む2本の同時Σビームである。位相差予測部62は、2本の特定受信ビームの仰角に基づいて、マルチパスがない状況における2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する。
このため、2本の同時Σビームを用いてマルチパスの有無を判定可能になる。
<実施形態2>
実施形態1においては、使用するビームの間隔が狭い場合、つまり式(11)の関係が成り立つことを前提としているが、実施形態2では、使用するビームの間隔が広く、式(11)の関係が成り立たない場合についてもマルチパスの有無判定が可能となる。ただし、実施形態1では同時マルチビームとして2本以上あれば良いのに対して、実施形態2では同時マルチビームとして3本以上が必要となる。
図10は、実施形態2におけるマルチパス有無判定器6Aを示すブロック図である。図10において、図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
実施形態2において、実施形態1と異なる点は、実施形態1で用いられたビーム選択器5およびマルチパス有無判定器6の代わりに、ビーム選択器5Aおよびマルチパス有無判定器6Aが用いられ、実施形態1ではビーム選択器5が、目標信号が検出されたビームを含む2本同時ビームを使用したのに対し、実施形態2においてはビーム選択器5Aが、目標信号が検出されたビームを含む3本同時ビームを使用し、マルチパス有無判定器6A内に、マルチパス有無判定器6の構成に加えて補正値算出部66が追加されている点である。
ビーム選択器5Aは、ビーム形成器3が形成した同時マルチビーム(複数の同時Σビーム)の数が4本以上の場合に3本の受信ビーム(選択受信ビーム)、およびその受信ビームにより算出された受信信号を選択し、その選択結果(選択受信ビームの仰角と受信信号)をマルチパス有無判定器6Aに出力する。
また、ビーム選択器5Aは、マルチパス有無判定器6Aにおいて判定された結果を基に、測角に必要な受信ビーム、およびその受信ビームにより算出された受信信号を選択し、その選択結果を切替器7に出力する。
なお、ビーム形成器3が形成した同時マルチビームの数が3本の場合は、ビーム選択器5Aは、全ての受信ビーム(選択受信ビーム)、およびその受信ビームにより算出された受信信号をマルチパス有無判定器6Aに出力する。
ここで、図10が示す通り、ビーム選択器5Aで選択された3本の受信ビームおよびその受信ビームにより得られた受信信号のうち、2本の受信ビーム(2本の受信ビームの仰角)およびその受信ビームにより得られた受信信号については、マルチパス有無判定器6A内の補正値算出部66に送られる。
比例係数出力部63は、実施形態1同様に位相差の予測値を算出する上で必要となる情報を位相差予測部62に出力するほか、補正値算出部66が算出する受信信号(2本の特定受信ビームの一方)の位相argΣ'および2本の特定受信ビームの一方(以下「補正したビーム」とも称する)のノーズ仰角θ'を算出する上で必要となる情報を補正値算出部66にも出力する。
補正値算出部66は、算出部の一例である。補正値算出部66は、ビーム選択器5Aから入力される2本の受信ビームについてのノーズ仰角および受信信号の位相と、比例係数出力部63から入力される定数Cを元に、補正した受信信号(2本の特定受信ビームの一方での受信信号)の位相argΣ2'および補正したビーム(2本の特定受信ビームの一方)のノーズ仰角θ2'を算出し、補正した受信信号の位相argΣ2'を位相差算出部61に、補正したビームのノーズ仰角θ2'を位相差予測部62に出力する。
補正値算出部66で算出される補正したビームのノーズ仰角θ2'は、実施形態1におけるビーム2のノーズ仰角θ2に相当し、補正した受信信号の位相argΣ2'は実施形態1におけるビーム2で受信された受信信号の位相Σ2に相当するため、位相差算出部61、位相差予測部62、許容誤差設定部64、判定部65における処理は、実施形態1と同じである。
マルチパスが無い場合、ビーム選択器5Aで選択された3本の受信ビームにより得られた受信信号の位相は、式(6)、(10)より以下の通りとなる。
ビーム1:argΣ1=arg[E1(t,α)]+ψ(x1
=arg[E1(t,α)]+C・cosθ1・(θ1−α)・・・(21)
ビーム2:argΣ2=arg[E1(t,α)]+ψ(x2
=arg[E1(t,α)]+C・cosθ2・(θ2−α)・・・(22)
ビーム3:argΣ3=arg[E1(t,α)]+ψ(x3
=arg[E1(t,α)]+C・cosθ3・(θ3−α)・・・(23)
図11はマルチパスが無い場合におけるビーム仰角と受信信号の位相の関係を、図12はマルチパスが有る場合におけるビーム仰角と受信信号の位相の関係を示す。いずれの図も横軸が仰角θ、縦軸が受信信号の位相argΣに相当する。
k=1、2、3とすると、いずれの図においても、黒丸で示した点(θk,argΣk)は、それぞれビームノーズ仰角θkのときに得られる受信信号の位相がargΣkであることを示している。
ここで、点(θ1,argΣ1)を通り傾きがC・cosθ1となる直線を実線、点(θ2,argΣ2)を通り傾きがC・cosθ2となる直線を点線、点(θ3,argΣ3)を通り傾きがC・cosθ3となる直線を一点破線で表すと、マルスパスが無い場合には図11が示すとおり、3本の直線が横軸θ=αにおいて一点(α,arg[E1(t,α)])で必ず交わる。
これに対し、マルスパスが有る場合には、図12が示すとおり通常3本の直線は一点では交わらない。
この特性の違いを利用することにより、マルチパスの有無判定が可能となる。以下、マルチパスの有無判定の手順を示す。
図13は補正値算出部66における処理内容をビーム仰角と受信信号の位相の関係を用いて説明した図である。図13では、横軸が仰角θ、縦軸が受信信号の位相argΣに相当する。
ビーム選択器5Aから入力される2本受信ビームをそれぞれ受信ビーム2、受信ビーム3とし、それぞれのビームから得られた点を(θ2,argΣ2)および(θ3,argΣ3)とする。このとき図13において、点(θ2,argΣ2)を通り傾きがC・cosθ2となる直線と、点(θ3,argΣ3)を通り傾きがC・cosθ3となる直線と、を引くことにより交点が得られる。この交点の横軸座標が、補正したビームのノーズ仰角θ2'に相当し、交点の縦軸座標が、補正した受信信号の位相argΣ2'に相当する。これより、補正した受信信号の位相argΣ2'および補正したビームのノーズ仰角θ2'が算出される。なお、補正した受信信号の位相argΣ2は式(21)におけるarg[E1(t,α)]に、また補正したビームのノーズ仰角θ2'は電波の到来波方向αになる。
図14はマルチパスが無い場合における受信信号の位相とその受信信号を得る際に用いた受信ビームのノーズ仰角との関係を示す。図14において黒丸は受信ビーム1より得られた点を、白丸は補正したビームより得られた点をそれぞれ示す。図11が示す通り、図14のおける黒丸と白丸を通過する直線の傾きは、一定値C・cosθ1となる。
図15はマルチパスが有る場合における受信信号の位相とその受信信号を得る際に使用した受信ビームのノーズ仰角との関係を示す。図15において黒丸は受信ビーム1より得られた点を、白丸は補正したビームより得られた点をそれぞれ示す。マルチパスが無い場合、図14が示す通り白丸を通る傾きC・cosθ1の直線上に黒丸が乗っているのに対して、マルチパスが有る場合に得られる2点については、白丸を通る傾きC・cosθ1の直線から外れた位置に黒丸が通常存在することが分かる。
図5と図14、もしくは図7と図15を比較することにより、実施形態2における補正したビームのノーズ仰角θ2'は、実施形態1におけるビーム2のノーズ仰角θ2に相当し、補正した受信信号の位相argΣ2'は実施形態1におけるビーム2で受信された受信信号の位相Σ2に相当することが分かる。
マルチパスが無い場合に受信信号Σ1と補正した受信信号Σ2'の位相差として取りうる値を位相差予測値φ0とすると、以下の関係が成り立つ。
φ0=C・cosθ1・(θ2'−θ1) ・・・(24)
判定部65は、位相差算出部61で算出された値であるargΣ2'− argΣ1と、位相差予測部62で算出された位相差予測値φ0を比較し、両者の差が許容誤差設定部64で設定した許容誤差δφ以内であればマルチパス無しと判定し、許容誤差δφを超えている場合はマルチパス有りと判定し、その判定結果をビーム選択器5Aおよび切替器7に出力する。
本実施形態では、ビーム形成器3は、複数の受信ビームとして、目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる3本以上の同時Σビームを形成する。複数の選択受信ビームは、ビーム形成器3が形成した3本以上の同時Σビームのうち、目標信号が検出された同時Σビームを含む3本の同時Σビームである。補正値算出部66は、選択受信ビームである3本の同時Σビームのうちの2本の同時Σビームの各仰角とこの2本の同時Σビームでの各受信信号とに基づいて、2本の特定受信ビームの一方の特定受信ビームの仰角と、この一方の特定受信ビームでの受信信号を生成する。選択受信ビームである3本の同時Σビームのうち残りの1本の同時Σビームは、2本の特定受信ビームの他方の特定受信ビームとなる。位相差予測部62は、2本の特定受信ビームの仰角に基づいて、マルチパスが無い状況における2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を予測する。
このため、本実施形態2のレーダ装置10によれば、使用するビームの間隔が広く、式(11)の関係が成り立たない場合についてもマルチパスの有無判定が可能となるため、実施形態1同様にマルチパスが有る場合にのみマルチパス対策処理を行うことが可能となる。
<実施形態3>
実施形態1、および実施形態2においては、振幅比較測角方式を採用することを前提としているが、実施形態3では、モノパルス方式を採用する場合についてもマルチパスの有無判定が可能となる。
図16は、実施形態3におけるマルチパス有無判定器6Bの構成を示すブロック図である。図16において、図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
実施形態3において、実施形態1と異なる点は、ビーム選択部5およびマルチパス有無判定器6の代わりに、ビーム選択器5Bおよびマルチパス有無判定器6Bが用いられ、マルチパス有無判定器6Bが、マルチパス有無判定器6の構成から比例係数出力部63を除かれた構成を有する点である。
ΣビームのパターンをS(θ)、ΔビームのパターンをD(θ)とすると、各受信ビームでの受信信号Σ、Δはそれぞれ以下の式で表される。
Σ=Rt・exp(jχΣΔ)・[S(α)+γ・S(β)・exp(jψΣΔ)]
・・・(25)
Δ=Rt・exp(jχΣΔ)・[D(α)+γ・D(β)・exp(jψΣΔ)]
・・・(26)
α: 直接波の仰角
β: マルチパス波の仰角
t: 直接波の振幅強度
χΣΔ: 直接波の絶対位相
γ: 直接波に対するマルチパス波の相対振幅比
ψΣΔ: 直接波に対するマルチパス波の相対位相差
マルチパスが無い状況ではマルチパス波を受けないため、直接波に対するマルチパス波の相対振幅比γ=0となり、式(25)および式(26)より、以下の通りとなる。
argΔ−argΣ=arg(D(α)/S(α)) ・・・(27)
ここで、式(27)においてD(α)/S(α)が実数となることが非特許文献1より知られているため、マルチパスが無い状況でモノパルス方式により得られるΣ、Δ信号の位相差は、アンテナ素子数やアンテナ素子間隔によらず0またはπとなることから、以下の関係が成立する。
φ0=argΔ−argΣ=0またはπ ・・・(28)
位相差予測値φ0を求める上で実施形態1において必要となったパラメータCは不要となるため、実施形態3においては、図16に示す通り比例係数出力部63は必要なくなる。
図17はマルチパスが無い状況における受信信号Σ、Δを式(25)および式(26)に基づき複素平面上で示した図である。黒丸がΣ信号、黒四角がΔ信号をそれぞれ示す。図17ではΔ/Σが負の値を取る例を示しており、受信信号Σ、Δの位相差がπとなっていることが分かる。
一方、図18はマルチパスが有る状況における受信信号Σ、Δを式(25)および式(26)に基づき複素平面上で示した図である。黒丸が受信信号Σ、黒四角が受信信号Δをそれぞれ示す。点線が直接波による寄与を、破線がマルチパス波による寄与をそれぞれ示している。さらに比較のため、マルチパスが無い状況におけるΣ信号を白丸で、Σ信号を白四角でそれぞれ示している。受信信号Σ、Δの位相差が0でもなく、またπでも無い値となっていることが分かる。
よって、式(28)で与えられる位相差予測値φ0と、実際に得られた受信信号Σ、Δの位相差の値を比較したときに、両者の値が異なっていればマルチパスが有ることが推定でき、また両者の値が近ければマルチパスが無いことが推定できる。
判定部65は、位相差算出部61で算出された値であるargΔ−argΣと、位相差予測部62から出力される位相差予測値φ0を比較し、両者の差が許容誤差設定部64で設定した許容誤差δφ以内であればマルチパス無しと判定し、許容誤差δφを超えている場合はマルチパス有りと判定し、その判定結果をビーム選択器5Bおよび切替器7に出力する。
なお、本実施形態では、マルチパス外測角処理器81は、マルチパス対策を施さない通常のモノパルス方式の測角処理(第1測角処理)を行い、マルチパス内測角処理器82は、特許文献3に示されたような、マルチパス対策を施したモノパルス方式の測角処理(第2測角処理)を行う。
本実施形態では、ビーム形成器3は、複数の受信ビームとして、ΣビームとΔビームとを有するモノパルスビームを形成する。モノパルスビームは、複数の選択受信ビームおよび2本の特定受信ビームとなる。このため、測角方式をモノパルス方式とした場合についてもマルチパスの有無判定が可能となるため、実施形態1同様にマルチパスが有る場合にのみマルチパス対策処理を行うことが可能となる。
<実施形態4>
実施形態1〜3では、受信ビーム、および受信ビームにより算出された受信信号といったマルチパスの有無判定に必要な1組のデータをビーム選択器5、5Aまたは5Bで選択し、マルチパス有無判定器6、6Aまたは6Bに出力するが、実施形態4では、マルチパスの有無判定に必要なデータを複数用いて、多数決処理により、マルチパスの有無判定を行う。これにより、マルチパスの有無判定の精度が向上する。
図19は、実施形態4におけるレーダ装置10Cを示すブロック図である。図19において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
実施形態4において、実施形態1と異なる点は、実施形態1の構成に、メモリ91と多数決処理器92が追加されている点である。メモリ91と多数決処理器92は、判定処理部Cに含まれる。なお、図19において、ビーム選択器5およびマルチパス有無判定器6の代わりに、ビーム選択器5Aおよびマルチパス有無判定器6A、または、ビーム選択器5Bおよびマルチパス有無判定器6Bが用いられてもよい。
マルチパス無しの時には、異なる受信ビームで得られた受信信号の位相差を予測できるのに対し、マルチパス有りの場合は空中線1と目標の位置や、電波伝搬経路により、マルチパスの影響が複雑に変化するため、位相差の予測は通常不可能である。
しかしながら、マルチパス有りの場合における受信信号の位相差が偶然位相差予測値φ0に対して許容誤差δφ以内の値となり、判定部65においてマルチパス無しと誤判定される場合も起こりうる。
図20は実施形態1において、マルチパス有りの場合における受信信号Σ1、Σ2の位相差が、位相差予測値φ0と同じ値になる例を示す。図20では受信信号Σ1における直接波成分とマルチパス波成分の位相差が0、受信信号Σ2における直接波成分とマルチパス波成分の位相差がπとなった場合の例であるが、実施形態1の場合、受信信号Σ1、Σ2それぞれについて、直接波成分とマルチパス波成分の位相差が0またはπとなる場合、マルチパスが存在したとしても、受信信号Σ1、Σ2の位相差は偶然位相差予測値φ0に対して許容誤差δφ以内の値になる。
図21は実施形態3において、マルチパス有りの場合における位相差が位相差予測値φ0に対して許容誤差δφ以内の値になる例を示す。実施形態1の場合と同様に、実施形態3においても受信信号Σ、Δそれぞれについて、直接波成分とマルチパス波成分の位相差が0またはπとなる場合、マルチパスが存在したとしても、受信信号Σ、Δの位相差は偶然位相差予測値φ0に対して許容誤差δφ以内の値になる。
この場合、マルチパスの影響を受けているにも関わらず、マルチパス対策を施さない通常の測角処理を行うため、測角精度が低下する。
しかしながら、マルチパス無し時における受信信号の位相差が必ず位相差予測値φ0と一致するのに対し、マルチパス有りの場合における位相差が位相差予測値φ0と偶然同じ値となるケースは極めて稀であるため、複数個のデータを取ることにより、判定の精度を上げることが可能となる。
複数個のデータとしては、例えば複数目標が近接した距離範囲内で検出された場合、複数目標から得られるデータを組み合わせて複数個のデータとすることが可能である。
また、同時マルチビームによる振幅比較測角を採用する実施形態1や実施形態2においては、マルチパスの有無判定に必要な本数以上の受信ビームをビーム選択器5または5Aにて選択することにより、複数個のデータを取ることが可能となる。例えば実施形態1において4本の受信ビームをビーム選択器5にて選択した場合、組み合わせとしてビーム1とビーム2、ビーム1とビーム3、ビーム1とビーム4、ビーム2とビーム3、ビーム2とビーム4、ビーム3とビーム4の計6つ組み合わせが可能となる。
マルチパス有無判定器6、6Aまたは6Bで得られた複数個のデータについてのマルチパス有無判定結果はメモリ91に記憶される。メモリ91に所定の数の組み合わせのデータ(マルチパス有無判定結果)が記憶されたら、それらのデータは多数決処理器92に出力される。
多数決処理器92では、メモリ91から入力されるマルチパス有無に関する複数個の判定結果を元に多数決処理を行うことによりマルチパス有無の判定を行う。多数決処理器92は、マルチパス有無判定器6、6Aまたは6Bでマルチパス無しと判定されたデータ数が所定の数以上であればマルチパス無しと判定し、所定の数未満であればマルチパス有りと判定する。
本実施形態では、位相差算出部61は、複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームの組み合わせごとに、2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する。位相差予測部62は、2本の特定受信ビームの組み合わせごとに、マルチパスがない状況における2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する。判定部65は、2本の特定受信ビームの組み合わせごとに、位相差算出部61の算出結果と位相差予測部62の予測結果との差に基づいてマルチパスの有無を判定する。判定処理部Cは、2本の特定受信ビームの組み合わせごとの判定部65の判定結果に基づいて、マルチパスの有無を判定する。処理部Aは、判定処理部Cがマルチパス無しと判定した場合に第1測角処理を行い、判定処理部Cがマルチパス有りと判定した場合に第2測角処理を行う。
このため、2本の特定受信ビームの組み合わせごとの複数の判定結果に基づいてマルチパスの有無を判定するため、マルチパスの有無判定の精度向上が可能となる。
<実施形態5>
実施形態4では、マルチパスの有無判定に必要なデータを複数用いてマルチパスの有無判定を行うことにより、マルチパス有りの場合にマルチパス無しと誤判定される確率を低減させることが可能となっているが、実施形態5では、ある目標距離、仰角、方位角におけるマルチパス有無に関する過去の情報を参照することにより、実施形態4に比べてマルチパス有りの場合にマルチパス無しと誤判定される確率をさらに低減させることが可能となっている。
図22は、実施形態5におけるレーダ装置10Dの構成を示すブロック図である。図22において、図19に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
実施形態5において、図19に示した実施形態4と異なる点は、実施形態4の構成に、マップ発生器100とマップメモリ110が追加されている点である。
マップ発生器100は、判定制御部の一例である。マップ発生器100は、目標信号検出器4で検出された目標の距離、方位角、および検出に用いたビーム仰角から、所定の距離範囲、方位角範囲、ビーム仰角範囲毎に区分した小領域単位に、多数決処理器92によるマルチパス有無の判定結果をマッピングしてマップ情報を生成して、そのマップ情報をマップメモリ110に出力する。
マップメモリ110は、記憶部の一例である。マップメモリ110には、過去のマップ情報が記録されており、マップ発生器100でマップ情報が新たに発生するとマップ情報が更新される。なお、マップ情報は、目標の距離情報、目標の方位角情報および処理部Aの測角処理の結果と、判定処理部Cの判定結果と、の関係の履歴を表す関係履歴情報の一例である。
マップ発生器100におけるマルチパス有無に関するマップ情報の生成方法について以下詳細を述べる。
マップ発生器100にはマップメモリ110より過去のマップ情報が入力されるとともに、目標信号検出器4と多数決処理器92より最新情報が入力される。目標信号検出器4から入力されるのは、目標の距離、方位角、および検出に用いたビーム仰角に関する情報であり、多数決処理器92から入力されるのはマルチパス有無に関する情報である。
マップ発生器100は、マップメモリ110より入力された過去複数スキャンのマップ情報と、上述の最新情報と、を用いて多数決処理を行う。マップ発生器100は、マルチパス無しと判定された回数が所定の数以上である場合はマルチパス無しというマップ情報を発生し、マルチパス無しと判定された回数が所定の数未満である場合はマルチパス有りというマップ情報を発生する。マップ発生器100は、この新たに発生したマップ情報をマップメモリ110に記録して、マップメモリ110に記録されているマップ情報を更新する。
マップメモリ110内のマップ情報に記載されたマルチパス有無の判定結果は、切替器7に送られる。
本実施形態では、目標信号検出器4は、目標信号に基づいて、目標の距離情報および目標の方位角情報を生成する。マップメモリ110は、目標の距離情報、目標の方位角情報および処理部Aの測角処理の結果と、判定処理部Cの判定結果と、の関係の履歴を表すマップ情報(関係履歴情報)を記憶する。マップ発生器100は、マップメモリ110内のマップ情報に基づいて、マルチパスの有無を判定する。処理部Aは、判定処理部Cの代わりにマップ発生器100がマルチパス無しと判定した場合に第1測角処理を行い、判定処理部Cの代わりにマップ発生器100がマルチパス有りと判定した場合に第2測角処理を行う。
このため、本実施形態5のレーダ装置10Dによれば、過去のマルチパス有無に関するマップ情報を用いることから、実施形態4に比べてマルチパス有りの場合にマルチパス無しと誤判定される確率をさらに低減させることが可能となる。
なお、上記各実施形態において、信号処理器Bはコンピュータにて実現されてもよい。この場合、このコンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、信号処理器Bが有する機能を実行する。なお、記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
1 空中線
#1〜#N アンテナ
2 送受信部
3 ビーム形成器
31 可変移相器
32 加算器
4 目標信号検出器
5、5A、5B ビーム選択器
6、6A、6B マルチパス有無判定器
61 位相差算出部
62 位相差予測部
63 比例係数出力部
64 許容誤差設定部
65 判定部
66 補正値算出部
7 切替器
81 マルチパス外測角処理器
82 マルチパス内測角処理器
91 メモリ
92 多数決処理部
100 マップ発生器
110 マップメモリ
10、10C、10D レーダ装置
A 処理部
B 信号処理器
C 判定処理部

Claims (10)

  1. 互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成部と、
    前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出部と、
    前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定部と、
    前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理部と、を有し、
    前記マルチパス有無判定部は、
    前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出部と、
    前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測部と、
    前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定部と、を含み、
    前記ビーム形成部は、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
    前記マルチパス有無判定部は、さらに、前記位相差を予測する上で必要となるパラメータを前記位相差予測部に出力する出力部を含み、
    前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの仰角と前記パラメータとに基づいて、前記位相差を予測する、レーダ装置。
  2. 互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成部と、
    前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出部と、
    前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定部と、
    前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理部と、を有し、
    前記マルチパス有無判定部は、
    前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出部と、
    前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測部と、
    前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定部と、を含み、
    前記ビーム形成部は、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
    前記複数の選択受信ビームおよび前記2本の特定受信ビームは、前記2本以上の同時Σビームのうち、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む2本の同時Σビームであり、
    前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの仰角に基づいて、前記位相差を予測する、レーダ装置。
  3. 互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成部と、
    前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出部と、
    前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定部と、
    前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理部と、を有し、
    前記マルチパス有無判定部は、
    前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出部と、
    前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測部と、
    前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定部と、を含み、
    前記ビーム形成部は、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる3本以上の同時Σビームを形成し、
    前記複数の選択受信ビームは、前記3本以上の同時Σビームのうち、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む3本の同時Σビームであり、
    前記マルチパス有無判定部は、前記3本の同時Σビームのうちの2本の同時Σビームの各仰角と前記2本の同時Σビームでの各受信信号とに基づいて、前記2本の特定受信ビームの一方の仰角と前記一方での受信信号を生成する算出部を含み、
    前記3本の同時Σビームのうち残りの1本の同時Σビームは、前記2本の特定受信ビームの他方となり、
    前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの仰角に基づいて、前記位相差を予測する、レーダ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記マルチパス有無判定部は、さらに、前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差の許容値を設定する設定部を含み、
    前記判定部は、前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差が前記許容値よりも大きい場合に、前記マルチパスが有ると判定し、前記差が前記許容値以下である場合に、前記マルチパスが無いと判定する、レーダ装置。
  5. 請求項1に記載のレーダ装置において、
    前記ビーム形成部は、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
    前記複数の選択受信ビームおよび前記2本の特定受信ビームは、前記2本以上の同時Σビームのうち、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む2本の同時Σビームであり、
    前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの仰角に基づいて、前記位相差を予測する、レーダ装置。
  6. 請求項1に記載のレーダ装置において、
    前記ビーム形成部は、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる3本以上の同時Σビームを形成し、
    前記複数の選択受信ビームは、前記3本以上の同時Σビームのうち、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む3本の同時Σビームであり、
    前記マルチパス有無判定部は、前記3本の同時Σビームのうちの2本の同時Σビームの各仰角と前記2本の同時Σビームでの各受信信号とに基づいて、前記2本の特定受信ビームの一方の仰角と前記一方での受信信号を生成する算出部を含み、
    前記3本の同時Σビームのうち残りの1本の同時Σビームは、前記2本の特定受信ビームの他方となり、
    前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの仰角に基づいて、前記位相差を予測する、レーダ装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のレーダ装置において、
    前記位相差算出部は、前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームの組み合わせごとに、前記2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出し、
    前記位相差予測部は、前記2本の特定受信ビームの組み合わせごとに、前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測し、
    前記判定部は、前記2本の特定受信ビームの組み合わせごとに、前記位相差算出部の算出結果と前記位相差予測部の予測結果との差に基づいて前記マルチパスの有無を判定し、
    前記2本の特定受信ビームの組み合わせごとの前記判定部の判定結果に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定処理部を含み、
    前記処理部は、前記判定処理部が前記マルチパス無しと判定した場合に前記第1測角処理を行い、前記判定処理部が前記マルチパス有りと判定した場合に前記第2測角処理を行う、レーダ装置。
  8. 請求項7に記載のレーダ装置において、
    前記目標検出部は、前記目標信号に基づいて、前記目標の距離情報および前記目標の方位角情報を生成し、
    前記目標の距離情報、前記目標の方位角情報および前記処理部の測角処理の結果と、前記判定処理部の判定結果と、の関係の履歴を表す関係履歴情報を記憶する記憶部と、
    前記関係履歴情報に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定制御部と、を含み、
    前記処理部は、前記判定処理部の代わりに前記判定制御部が前記マルチパス無しと判定した場合に前記第1測角処理を行い、前記判定処理部の代わりに前記判定制御部が前記マルチパス有りと判定した場合に前記第2測角処理を行う、レーダ装置。
  9. レーダ装置での測角方法であって、
    互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成ステップと、
    前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出ステップと、
    前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定ステップと、
    前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理ステップと、を有し、
    前記マルチパス有無判定ステップは、
    前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出ステップと、
    前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測ステップと、
    前記位相差の算出結果と前記位相差の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定ステップと、を含み、
    前記ビーム形成ステップでは、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
    前記マルチパス有無判定ステップでは、さらに、前記位相差を予測する上で必要となるパラメータを前記位相差予測部に出力し、
    前記位相差予測ステップでは、前記2本の特定受信ビームの仰角と前記パラメータとに基づいて、前記位相差を予測する、測角方法。
  10. コンピュータに、
    互いに仰角の異なる複数の受信ビームを形成し、各受信ビームでの受信信号を抽出するビーム形成手順と、
    前記各受信ビームでの受信信号に基づいて、目標の存在を示す目標信号を検出する目標検出手順と、
    前記複数の受信ビームのうち前記目標信号が検出された受信ビームを含む複数の選択受信ビームでの受信信号に基づいて、マルチパスの有無を判定するマルチパス有無判定手順と、
    前記マルチパスが無しと判定された場合に、マルチパス対策が施されていない第1測角処理を行い、前記マルチパスが有りと判定された場合に、マルチパス対策が施された第2測角処理を行う処理手順と、を実行させ、
    前記マルチパス有無判定手順は、
    前記複数の選択受信ビームから特定される2本の特定受信ビームでの受信信号の位相差を算出する位相差算出手順と、
    前記マルチパスがない状況における前記2本の特定受信ビームでの各受信信号の位相差を予測する位相差予測手順と、
    前記位相差の算出結果と前記位相差の予測結果との差に基づいて、前記マルチパスの有無を判定する判定手順と、を含み、
    前記ビーム形成手順では、前記複数の受信ビームとして、前記目標信号が検出された同時Σビームを含む互いに仰角の異なる2本以上の同時Σビームを形成し、
    前記マルチパス有無判定手順では、さらに、前記位相差を予測する上で必要となるパラメータを前記位相差予測部に出力し、
    前記位相差予測手順では、前記2本の特定受信ビームの仰角と前記パラメータとに基づいて、前記位相差を予測する、プログラム。
JP2012117622A 2012-05-23 2012-05-23 レーダ装置、測角方法およびプログラム Active JP6044116B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012117622A JP6044116B2 (ja) 2012-05-23 2012-05-23 レーダ装置、測角方法およびプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012117622A JP6044116B2 (ja) 2012-05-23 2012-05-23 レーダ装置、測角方法およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013245949A JP2013245949A (ja) 2013-12-09
JP6044116B2 true JP6044116B2 (ja) 2016-12-14

Family

ID=49845859

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012117622A Active JP6044116B2 (ja) 2012-05-23 2012-05-23 レーダ装置、測角方法およびプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6044116B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013175558A1 (ja) * 2012-05-21 2013-11-28 トヨタ自動車株式会社 レーダ装置、角度検証方法
RU2561950C1 (ru) * 2014-06-25 2015-09-10 Акционерное общество "Конструкторское бюро приборостроения им. академика А.Г. Шипунова" Способ третичной обработки радиолокационной информации в вычислительной системе пункта управления
US11137490B2 (en) 2014-09-16 2021-10-05 Teknologian Tutkimuskeskus Vtt Navigational aid with adaptive radar
RU2630686C1 (ru) * 2016-11-29 2017-09-12 федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Московский государственный технический университет имени Н.Э. Баумана (национальный исследовательский университет)" (МГТУ им. Н.Э. Баумана) Способ измерения угла места (высоты) низколетящих целей под малыми углами места в радиолокаторах кругового обзора при наличии мешающих отражений от подстилающей поверхности
CN109407055B (zh) * 2018-10-24 2023-02-10 西安电子科技大学 基于多径利用的波束形成方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5844990B2 (ja) * 1976-07-06 1983-10-06 三菱電機株式会社 電波的測角装置
US4449127A (en) * 1981-03-10 1984-05-15 Westinghouse Electric Corp. System and method for tracking targets in a multipath environment
JPH0552944A (ja) * 1990-10-01 1993-03-02 Mitsubishi Electric Corp ホログラフイツクレーダ
NL9101394A (nl) * 1991-08-16 1993-03-16 Hollandse Signaalapparaten Bv Werkwijze en inrichting voor het bepalen van de hoogte van een doel.
JP3353991B2 (ja) * 1994-02-23 2002-12-09 三菱電機株式会社 角度検出装置及び角度検出方法及びレーダ装置
JP2000028704A (ja) * 1998-07-07 2000-01-28 Nec Corp レーダ装置
JP3639179B2 (ja) * 2000-03-23 2005-04-20 株式会社東芝 レーダ装置
JP3634258B2 (ja) * 2000-11-20 2005-03-30 三菱電機株式会社 レーダ信号処理装置
JP5093781B2 (ja) * 2008-10-16 2012-12-12 三菱電機株式会社 レーダ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013245949A (ja) 2013-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4737165B2 (ja) レーダの物標検知方法、およびこの物標検知方法を用いたレーダ装置
US20210072350A1 (en) Method for the phase calibration of high-frequency components of a radar sensor
US9470782B2 (en) Method and apparatus for increasing angular resolution in an automotive radar system
JP6044116B2 (ja) レーダ装置、測角方法およびプログラム
US9910150B2 (en) Method, antenna array, radar system and vehicle
US20100225523A1 (en) Radar apparatus configured to suppress effectes of grating lobes upon detection of direction of target based on phase difference between received reflected waves
JP2015505043A (ja) 入射放射の到来方向を決定する方法及びセンサ
EP3019888A1 (en) Interference nulling of multipath signals in stacked beam pulse radar
JP2019158498A (ja) 無線受信機、無線受信方法及び無線システム
JP2008026035A (ja) レーダ
IL144486A (en) Radar system comprising a system for use in a monopulse radar
JP4802031B2 (ja) レーダ装置
US5731783A (en) Method and apparatus for estimating radar signal polarisation
JP5163765B2 (ja) 測角装置、レーダ装置、測角方法及び測角プログラム
JP5277693B2 (ja) レーダ装置
JP2005189107A (ja) レーダ装置
JP4594680B2 (ja) 測高レーダ装置とその測角処理方法
JP2005207837A (ja) 方向探知機
CN114265051A (zh) 一种脉冲多普勒雷达比幅测角方法
JP4660437B2 (ja) 測高レーダ装置
JP4521238B2 (ja) 測高レーダ装置とその測角処理方法
JP2005148013A (ja) レーダ装置
JP2005233673A (ja) レーダ装置
JP2005283167A (ja) ビーム切替式レーダ装置
KR102599085B1 (ko) 레이다 클러터 신호에 의한 오경보 판단 방법 및 시스템

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140508

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150408

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6044116

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150