JP6042645B2 - メタクリル系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
今後期待される新たな用途の展開例としては、浴槽や洗面化粧台、キッチンカウンターといった水周り用途や、OA機器、AV機器、ゲーム機等の各種筐体が挙げられる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
メタクリル酸エステル単量体単位:80〜98.5質量%と、
前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、少なくとも1種の他のビニル単量体
単位:1.5〜20質量%と、を含むメタクリル系樹脂(A):100質量部と、
以下の(i)及び(ii)の条件を満たすテトラフルオロエチレン樹脂(B):0.0
1〜10質量部と、
を、含有する
溶融成形用メタクリル系樹脂組成物。
(i)数平均分子量(Mn)が0.5万以上25万以下
(ii)平均粒子径が0.5μm以上8μm以下
〔2〕
前記テトラフルオロエチレン樹脂(B)の平均粒子径が0.5μm以上5μm以下であ
る、前記〔1〕に記載の溶融成形用メタクリル系樹脂組成物。
〔3〕
有機ゴム粒子、無機充填剤、及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加
物(C)を、さらに含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の溶融成形用メタクリル系樹脂組成物。
〔4〕
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の溶融成形用メタクリル系樹脂組成物を含有する溶融成形体。
なお、本明細書において、重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」といい、「単量体」を省略することもある。
また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、単に「〜単位」と表記することもある。
なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、
メタクリル酸エステル単量体単位:80〜98.5質量%と、
前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、少なくとも1種の他のビニル単量体単位:1.5〜20質量%と、を含むメタクリル系樹脂(A):100質量部と、
以下の(i)及び(ii)の条件を満たすテトラフルオロエチレン樹脂(B):0.01〜10質量部と、
を、含有する
メタクリル系樹脂組成物である。
(i)数平均分子量(Mn)が0.5万以上50万未満
(ii)平均粒子径が0.5μm以上8μm以下
メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単量体単位:80〜98.5質量%と、前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、少なくとも1種の他のビニル単量体単位:1.5〜20質量%とを含む。すなわち、メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単量体を80〜98.5質量%、前記メタクリル酸エステル単量体単位に共重合可能な、少なくとも1種の他のビニル単量体を1.5〜20質量%含む単量体成分の共重合体である。
メタクリル系樹脂(A)を構成するメタクリル酸エステル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に制限されないが、好ましい例としては、下記一般式(1)で示される単量体が挙げられる。
また、R2は炭素数が1〜12の基を表し、炭素上に水酸基を有していてもよい。
メタクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられ、代表的なものはメタクリル酸メチルである。
上記メタクリル酸エステル単量体は、一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
含有量を80質量%以上とすることにより、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物において耐熱性の効果が得られ、98.5質量%以下とすることにより流動性の効果が得られる。好ましくは88〜98質量%であり、より好ましくは90〜97質量%である。
メタクリル系樹脂(A)を構成する、上述したメタクリル酸エステル単量体に共重合可能な他のビニル単量体としては、下記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
含有量を1.5質量%以上とすることにより、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物において流動性と耐熱性の向上を図ることができ、20質量%以下とすることにより優れた耐熱性が得られる。
好ましくは1.5〜15質量%であり、より好ましくは2〜12質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂(A)の分子量及び分子量分布について説明する。
メタクリル系樹脂(A)の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)が50000〜200000が好ましい。
成形体の機械的強度及び耐溶剤性を満足させるためには、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、50000以上が好ましく、100000以上がより好ましい。
また、メタクリル系樹脂(A)が良好な流動性を示すためには、重量平均分子量(Mw)は200000以下であることが好ましく、180000以下であることがより好ましい。
前記分子量範囲であることにより、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物において、流動性と機械的強度、耐溶剤性のバランスを図ることができ、良好な成形加工性が維持される。
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCで測定することができる。
具体的には、あらかじめ単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。続いて得られた検量線を元に、各試料の分子量を求めることができる。
数平均分子量とは、単純な分子1本あたりの分子量の平均であり、系の全重量/系中の分子数で定義される。重量平均分子量とは、重量分率による分子量の平均で定義される。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂(A)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかの方法により重合でき、好ましい重合方法は、塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法であり、より好ましくは懸濁重合法である。
重合温度は、重合方法に応じて適宜最適の重合温度を選択して製造すればよいが、好ましくは、50℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上90℃以下である。
重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
これらは一種単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施してもよい。
これらの重合開始剤は、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選択することができる。
また、メタクリル系樹脂(A)を重合する際に、90℃以上の高温下で溶液重合法を行う場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等を用いることが好ましい。過酸化物、アゾビス開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。
以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができる。また、これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することが可能である。
前記連鎖移動剤としては、取扱性や安定性の観点から、アルキルメルカプタン類が好適に用いられ、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これらは、目的とするメタクリル系樹脂(A)の分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001質量部〜3質量部の範囲で用いられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法のみを用いてもよく、二種以上の方法を併用してもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、(B)成分:下記(i)、(ii)を満たすテトラフルオロエチレン樹脂を、上述したメタクリル系樹脂(A)100質量部に対して0.01〜10質量部含有する。
(i)数平均分子量(Mn)が0.5万以上50万未満
(ii)平均粒子径が0.5μm以上8μm以下
テトラフルオロエチレン樹脂(B)の形態としては、その他、水中に分散している場合や一時的に外力等により凝集している場合もあるが、いずれにおいても、上記(i)、(ii)の要件を満たすものとする。
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)としては、テトラフルオロエチレンホモポリマーが好ましいが、その他、テトラフルオロエチレンと共に少量の変性剤として、例えばパーフルオロオレフィン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロビニルエーテル等を共重合したものであってもよい。
テトラフルオロエチレン樹脂(B)の粉末(PTFE粉末と記載する場合もある。)は、上記単量体を乳化重合又は懸濁重合することにより得られる。
数平均分子量が50万未満であることより、ベース樹脂であるメタクリル系樹脂(A)と混合する際に、ストランドの切れや分散不良が生じ難くなる。また、0.5万以上であることにより、樹脂組成物の機械強度や耐ケミカルクラック性の向上に繋がる。
PTFE粉末の数平均分子量(Mn)は、以下のようにして特定できる。
すなわち、ベース樹脂であるメタクリル系樹脂(A)を可溶媒に溶解し、不溶分のPTFEを濾過分取した後、上述の示差走査熱量計(DSC)を用いて、結晶化熱(ΔHc(cal/g))を測定することにより求められる。メタクリル系樹脂の可溶媒としては、テトラヒドロフランやアセトンが好ましい。
平均粒子径は、レーザー回折法、遠心沈降法、画像解析等の方法により測定することができる。例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(日本電子社製)を用い、カスケードは使用せず、圧力0.1MPa、測定時間3秒で粒度分布を測定し、得られた粒度分布積算の50%に対応する粒子径を、平均粒子径として求めることができる。
PTFE粒子の平均粒子径が8μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは5μm未満であることにより、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の機械的強度や耐ケミカルクラック性の向上効果が顕著となる。0.5μm以上であることにより、PTFE粒子の凝集が起こり難く、メタクリル系樹脂(A)との混合が容易になる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物やこの成形体からPTFE粒子(B)の平均粒子径を測定する方法としては、以下の方法が挙げられる。
すなわち、ベース樹脂であるメタクリル系樹脂(A)を可溶媒に溶解し、不溶分のPTFEを濾過分取した後、上述の粒子径測定により測定する方法や樹脂組成物のペレットや成形体の断面等を画像解析し特定化する方法が挙げられる。メタクリル系樹脂(A)の可溶媒としては、テトラヒドロフランやアセトンが好ましいものとして挙げられる。
なお、ここで「耐熱温度」とは、当該温度において連続使用した際に分解反応等により化学的に変性する下限温度(熱分解温度)のことである。
耐熱温度が250℃以上のものを用いることによって、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の調製時や成形時における高温下においても形状が変性することがなく、成形体の耐衝撃性及び耐ケミカルクラック性を向上させることができる。
また、PTFEの粉末を添加することにより、フッ素基の撥水効果によって本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の吸水による寸法変形の抑制を図ることができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、上述した(A)成分:メタクリル系樹脂と、(B)成分:特定のテトラフルオロエチレン樹脂に加え、(C)成分:有機ゴム粒子、無機充填剤、及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加物を含有してもよい。
有機ゴム粒子としては、特に限定されず、例えば、一般的なブタジエン系ABSゴム、アクリル系、ポリオレフィン系、シリコン系、フッ素ゴム等の多層構造を有するゴム粒子を使用することができる。
特に、三層構造以上の多層構造を有する粒子が好ましく、上述したメタクリル系樹脂(A)との相溶性の点より、三層構造以上の多層構造を有するアクリル系ゴム粒子がより好ましい。
三層構造以上の多層構造を有するゴム粒子を用いることにより、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、成形加工時の熱劣化や、加熱による有機ゴム粒子の変形が抑制され、成形体の耐熱性の維持や熱変形が抑制される傾向にある。
三層構造以上の多層構造を有する有機ゴム粒子とは、ゴム状ポリマーからなる軟質層と、ガラス状ポリマーからなる硬質層とが積層した多層構造のゴム粒子を言い、好ましくは、内側から硬質層−軟質層−硬質層の順に形成された三層構造を有する粒子である。
硬質層を最内層と最外層に有することにより、有機ゴム粒子の変形が抑制される傾向にあり、中央層に軟質成分を有することにより良好な靭性が付与される傾向にある。
有機ゴム粒子が、芳香族ビニル化合物単量体単位を共重合体成分として含む場合、芳香族ビニル化合物単量体単位としては、メタクリル系樹脂(A)に使用される単量体と同様のものを用いることができるが、好ましくは、スチレン又はその誘導体が用いられる。
前記共重合体中に、共重合性多官能単量体単位を含む場合、当該共重合性多官能単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、トリアリルイソシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、一種又は二種以上を併用して用いることができる。
上記化合物の中でも特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸アリルである。
中央層(b−ii)を形成する共重合体を構成するアクリル酸エステル単量体単位としては、特に限定されないが、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を併用して用いることができる。
特に、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルがより好ましい。
また、アクリル酸エステルと共重合される単量体として、芳香族ビニル化合物単量体を用いる場合、当該芳香族ビニル化合物単量体としては、スチレン又はその誘導体が好ましい。
前記共重合体中に、共重合性多官能単量体単位を含む場合、当該共重合性多官能単量体単位としては、上述した最内層(b−i)で用いられる共重合性多官能単量体と同様のものを用いることができ、その含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下であると、良好な架橋効果を有し、かつ、架橋が適度でゴム弾性効果が大きくなる傾向にあるため好ましい。
有機ゴム粒子を三層構造のアクリル系ゴムにより形成する場合、乳化剤、開始剤の存在下、初めに最内層(b−i)の単量体混合物を添加し重合を完結させ、次に中央層(b−ii)の単量体混合物を添加して重合を完結させ、次いで最外層(b−iii)の単量体混合物を添加して重合を完結させることにより、容易に多層構造粒子をラテックスとして得ることができる。
有機ゴム粒子はラテックスから塩析、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の方法により粉体として回収できる。
無機充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイト等が挙げられる。
無機充填剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
剛性及び強度等の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイト等が好ましい。
また、これらの無機充填剤は、メタクリル系樹脂(A)とより馴染ませることを目的として、適宜表面処理を施してもよい。
着色剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペリレン系染料、ペリノン系染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、クマリン染料、キノフタロン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、アンスラキノン系染料、アスドラピリドン系染料、チオインジゴ系染料、クマリン系染料、イソインドリノン系顔料、シケトピロロピロール系顔料、縮合アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジオキサジン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ニッケル錯体系化合物、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、硫酸バリウム、ポリメチルシルセスキオキサン、ハロゲン化銅フタロシアニン、エチレンビスステアリン酸アマイド、群青、群青バイオレット、酸化鉄、二酸化ケイ素、マイカ、タルク、流動パラフィン、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
着色剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した樹脂粒子の粉末、有機ゴム粒子、無機充填剤、着色剤よりなる添加物(C)は、一種類を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の樹脂>
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂(A)は、溶融成形可能であれば、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。
使用に供される樹脂は、何等規定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。
熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体)、メタクリル系樹脂、AS系樹脂(アクリロニトリル−スチレン系共重合体)、BAAS系樹脂(ブタジエン−アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン系共重合体、MBS系樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン系共重合体)、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるために好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるために好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるために好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が期待できる。
また、硬化性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
これらの樹脂は、一種単独で用いても、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂(A)には、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系等の可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、又はトリグリセリド系等の離型剤、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等の帯電防止剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の安定剤、難燃剤、難燃助剤、硬化剤、硬化促進剤、導電性付与剤、応力緩和剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防黴剤、防汚剤、導電性高分子等を添加することもできる。
具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられ、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
これらは単独で用いてもよく、一種単独で用いても、二種以上を併用して用いてもよい。
また、紫外線吸収剤を添加する場合、成形加工性の観点から、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下であるものが好ましく、より好ましくは1.0×10-6Pa以下であり、さらに好ましくは1.0×10-8Pa以下である。
成形加工性に優れるとは、例えば射出成形時に、金型表面への紫外線吸収剤の付着が少ないことや、フィルム成形時に、紫外線吸収剤のロールへの付着が少ないこと等を示す。
ロールへ付着すると、例えば成形体表面へ付着し外観、光学特性を悪化させるおそれがあるため、成形体を光学用材料として使用する場合は好ましくない。
また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は80℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上、さらにより好ましくは160℃以上である。
前記紫外線吸収剤は、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、よりさらに好ましくは5%以下である。
例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練が、生産性の面で好ましい。
混練温度は、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂(A)や混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、上述したメタクリル系樹脂(A)及び特定のテトラフルオロエチレン樹脂(B)を混練することにより得られる。さらに、適宜、各種添加物(C)を混練することにより得られる。
(A)成分であるメタクリル系樹脂は、上記<メタクリル系樹脂の製造方法>において記載した方法により製造できる。
(A)成分と(B)成分、さらには必要に応じて(C)成分をさらに加えて混練する方法としては、従来公知の方法を用いればよく、特に限定されるものではない。
例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。
特に、押出機による混練が、生産性の面で好ましい。
混練温度は、本発明により製造される重合体や混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を成形することにより所望の成形体が得られる。
メタクリル系樹脂組成物は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成型、プレス成形、押出成形等の溶融状態で成形する公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて樹脂組成物を混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。
各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば、特に規定するものではない。
また、熱硬化性樹脂を混合し、溶融成形した後の硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。
例えば、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられる。
(耐ケミカルクラック性)
後述する実施例における耐ケミカルクラック溶剤性評価において、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を用いた成形体の臨界歪(%)は、0.45%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、0.55%以上であることがさらに好ましい。0.45%以上であることより、高い耐溶剤性を有する。
(シャルピー衝撃強度)
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、後述する実施例における、成形体のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)が、26kJ/m2以上であることが好ましく、28kJ/m2以上であることがより好ましく、30kJ/m2以上であることがさらに好ましい。シャルピー衝撃強度が26kJ/m2以上であることより、機械強度が要求される用途に好適に使用可能となる。
(表面鉛筆硬度)
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、後述する実施例における、成形体の表面鉛筆硬度が、3H以上であることが好ましく、4H以上であることがより好ましい。3H以上であることより、耐キズ付き性が要求される用途や表面外観を重視する用途に好適に使用可能となる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、各種溶融成形体に好適に用いることができる。
例えば、家具類、家庭用品、収納・備蓄用品、玩具・遊具、医療・福祉用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、車両用部品、特に自動車部品用途、ハウジング用途、キッチン、トイレ、バス、洗面化粧台などの水周り用途に用いることができる。
特に、耐溶剤性や機械強度の有する用途で、更には表面外観を重視する用途に好適に用いることが可能である。
メタクリル系樹脂組成物を用いた成形体には、適宜、例えばハードコート処理、反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をすることもできる。
(原料)
・ メタクリル酸メチル(MMA):旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4−di−methyl−6−tert−butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
・ アクリル酸メチル(MA):三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4−メトキシフェノール(4−methoxyphenol)が14ppm添加されているもの)
・ n−オクチルメルカプタン(n−octylmercaptan):アルケマ製
・ 2−エチルヘキシルチオグリコレート(2−ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製
・ ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製
・ 第3リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
・ 炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
・ ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
<I.メタクリル系樹脂組成物を構成するメタクリル系樹脂の重量平均分子量、分子量分布の解析>
メタクリル系樹脂の重量平均分子量、分子量分布を下記の装置、及び条件で測定した。
測定装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC)
カラム:TSKgel SuperH2500 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKguardcolumn SuperH−H 1本、直列接続
本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器 :RI(示差屈折)検出器
検出感度 :3.0mV/min
カラム温度:40℃
サンプル :0.02gのメタクリル系樹脂のテトラヒドロフラン10mL溶液
注入量 :10μL
展開溶媒 :テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/min
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymethyl methacrylate Calibration Kit PL2020−0101 M−M−10)を用いた。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準資料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、7次近似式の検量線を基にメタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)PTFE粉末の数平均分子量(Mn)測定
PTFE粉末を数mg計りとり、示差走査熱量計(DSC)を用いて、20mL/minの窒素フローの下、20℃/minの速度にて25℃から350℃まで昇温後、20℃/minの速度にて350℃から25℃まで冷却を行い、結晶化熱(ΔHc(cal/g))を測定した。
測定により得られたΔHcを下記式(3)に代入し、PTFE粒子の数平均分子量(Mn)を求めた。
レーザー回折式粒度分布測定装置(日本電子社製)を用い、カスケードは使用せず、圧力0.1MPa、測定時間3秒で粒度分布を測定し、得られた粒度分布積算の50%に対応する粒子径を、平均粒子径として求めた。
(1) ベンディングフォーム法による耐ケミカルクラック測定方法
ベンディングフォーム法による測定方法で耐ケミカルクラック性を評価した。
図1に、ベンディングフォーム法による耐ケミカルクラック測定の実施形態の概略斜視図を示す。
射出成形機:住友重機械工業成形機 (SH25)
射出成形品:肉厚2mm、幅30mm、長さ125mm
射出条件
成形温度:250℃
金型温度:70℃
冷却時間:20sec
上記条件で成形した、後述する実施例及び比較例のメタクリル系樹脂組成物の成形体を、吸水を防止するためにデシケーター内に1日保存した。
その後、図1に示すように、所定のサイズを有する、断面が1/4楕円の冶具の側面部に前記射出成形品(試験片)を、サンプル固定冶具1を用いて固定し、設置した。
前記射出成形品(試験片)の中央部であって、試験片の長辺方向に、消毒用エタノール(76.9〜81.4v/v%)を含んだガーゼ2を設置し、エタノールが揮発しないように周辺をサランラップ(登録商標)で包んだ状態で、24hr、23℃、50%RH条件下で静置した。
なお、図1中、楕円の短軸近傍においては歪みが小さくなり、この状態を「低歪み」と表記し、長軸近傍においては歪みが大きくなり、この状態を「高歪み」と表記する。
24hr後、成形体を固定冶具1から外し、クラック発生点Y(mm)を読み取り、下記の式(4)に従い、クラックが入り始める歪みである臨界歪みε(%)を算出した。
成形した試験片3本に対し、上記測定を行い、平均値(%)を求めた。
これを耐ケミカルクラック溶剤性評価の指標とした。
下記式(4)中、a、b、tについては、図1に示されているように、a=127mm、b=38.1mmであり、tは、試験片の厚みである2mmであるものとした。
ISO 179/1eU規格に準拠して測定を行い、耐衝撃性の指標とした。
JIS−K5600規格に準拠して測定を行い、表面鉛筆硬度の指標とした。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(a')を得た。
次いで、60Lの反応器に、水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a')及びメタクリル酸メチル21.2kg、アクリル酸メチル0.43kg、ラウロイルパーオキサイド27g、n−オクチルメルカプタン62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。
その後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
凝集物は80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させて重量を測り、凝集物生成量を算出したところ、0.4%であった。更に、JIS−Z8801に基づいて測定したポリマー微粒子の平均粒子径は0.3μmであった。
得られたビーズの重量平均分子量は10.6万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(b')を得た。
次いで、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(b')及びメタクリル酸メチル21.2kg、アクリル酸メチル1.35kg、ラウロイルパーオキサイド27g、n−オクチルメルカプタン32.8gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。
その後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
凝集物は80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させて重量を測り、凝集物生成量を算出したところ、0.52%であった。更に、JIS−Z8801に基づいて測定したポリマー微粒子の平均粒子径は0.28μmであった。
得られたビーズの重量平均分子量は17.6万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(c’)を得た。
次いで、60Lの反応器に、水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(c’)及びメタクリル酸メチル21.2kg、アクリル酸エチル0.43kg、ラウロイルパーオキサイド27g、n−オクチルメルカプタン62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。
その後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
凝集物は80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させて重量を測り、凝集物生成量を算出したところ、0.4%であった。更に、JIS−Z8801に基づいて測定したポリマー微粒子の平均粒子径は0.3μmであった。
得られたビーズの重量平均分子量は10.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(d')を得た。
次いで、60Lの反応器に、水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(d')及びメタクリル酸メチル21.2kg、アクリル酸エチル0.23kg、スチレン0.2kg、ラウロイルパーオキサイド28g、n−オクチルメルカプタン59gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。
その後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
凝集物は80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させて重量を測り、凝集物生成量を算出したところ、0.45%であった。更に、JIS−Z8801に基づいて測定したポリマー微粒子の平均粒子径は0.29μmであった。
得られたビーズの重量平均分子量は11.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.95であった。
市販のPTFE(粉末状)を用い、各PTFE粒子の数平均分子量(Mn)及び平均粒子径を測定し、下記表1に示した。
添加物(C)として、
無機充填材:ウォラストナイト、キンセイマティック(株)社製、SH−1250、
無機充填材:チタン酸カリウムウィスカ、大塚化学(株)社製、ティスモ−D、
着色剤:タイオキサイド社製、チタンRTC−30、
及び有機ゴム粒子:下記製造例(I)により製造したもの、
を使用した。
<有機ゴム粒子の製造例(I)>
内容積10Lの還流冷却器付反応器に、イオン交換水:6868mL、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム:13.7gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。
メタクリル酸メチル:590g、スチレン:135g、アクリル酸ブチル:13g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.22g及びアリルメタクリレ−ト:0.73gからなる混合物(I−1)のうち175gを一括添加し、5分後に過硫酸アンモニウム:0.2gを添加した。
40分後、前記混合物(I−1)の残部565gを20分間かけて連続的に添加し、添加終了後、60分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム:1.01gを添加し、その後、アクリル酸ブチル:1060g、スチレン:210g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.37g、アリルメタクリレ−ト:26.3gからなる混合物(I−2)を140分間かけて連続的に添加した。添加終了後さらに180分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム:0.40gを添加し、その後、メタクリル酸メチル:920g、アクリル酸ブチル:33.5g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.28g、n−オクチルメルカプタン:0.96gからなる混合物(I−3)を50分間かけて連続的に添加した。添加終了後95℃に昇温し、30分間保持した。
重合乳化液(ラテックス)を3質量%硫酸ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩拆・凝固させ、次に、脱水・洗浄を繰り返して行い、その後、乾燥処理を施し、三層構造の有機ゴム粒子をパウダーとして得た。
得られた有機ゴム粒子の平均粒子径は、0.23μmであった。
有機ゴム粒子の平均粒子径は、得られた乳化液をサンプリングして、固形分500ppmになるように水で希釈し、UV1200V分光光度計(株式会社島津製作所製)を用いて波長550nmでの吸光度を測定し、この値から、透過型電子顕微鏡写真より粒子径を計測したサンプルについて同様に吸光度を測定して作成した検量線を用いることにより求めた。
(メタクリル系樹脂(A)、テトラフルオロエチレン樹脂(B)、添加物(C)の混合)
メタクリル系樹脂(A)100質量部に、前記表1に記載の各種PTFE粉末(B)、各種添加物(C)をタンブラーにてドライブレンドし、250℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断してメタクリル系樹脂組成物のペレットを得た。
メタクリル系樹脂(A)、PTFE粉末(B)、添加物(C)の配合量を表2及び表3に示す。
また、各メタクリル系樹脂組成物の物性評価結果を表4に示す。
メタクリル系樹脂組成物ペレットを250℃の温度条件下で成形し、上記物性評価法に従い各評価を行った。適切なテトラフルオロエチレン樹脂を用いたため、臨界歪み0.5%、シャルピー衝撃強度28kJ/m2、表面鉛筆硬度4Hを達成できた。
同様に実施例2〜6においても、高い耐溶剤性と機械強度を有し、表面鉛筆硬度4Hを達成した。
添加物(C):無機充填剤の添加により、他の実施例に比べて、やや衝撃強度が低下傾向にあったが、高い耐溶剤性と表面鉛筆硬度を示した。
この結果より、特定のメタクリル系樹脂に対して、適切なテトラフルオロエチレン樹脂を用いることにより、無機充填剤や着色剤を混合した場合においても、強度低下が抑制されるため、前記無機充填剤や着色剤による機能を発揮することができ、種々の用途への展開が可能となることが分かった。
これらの結果により、特定のメタクリル系樹脂に対して適切なテトラフルオロエチレン樹脂を適量添加したことにより、有機ゴム粒子を添加しているにも関わらず、表面鉛筆硬度3Hを達成でき、実用上十分な表面硬度が得られた。
また、実施例13は、製造例3により調整したメタクリル系樹脂100質量部に対して、粉末状のテトラフルオロエチレン樹脂(B−1)3質量部と、無機充填剤として、ティスモDを2質量部混合したものであるが、実施例1と同様に高い耐溶剤性を有しており、表面鉛筆硬度4Hを達成した。
また、比較例11では、粉末状のテトラフルオロエチレン樹脂を構成するテトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均粒子径が小さ過ぎたために、ブレンド時にPTFEの粒子が凝集化し、サンプル採取できなかった。
2 消毒用エタノール(76.9〜81.4v/v%)を含んだガーゼ
Claims (4)
- メタクリル酸エステル単量体単位:80〜98.5質量%と、
前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、少なくとも1種の他のビニル単量体
単位:1.5〜20質量%と、を含むメタクリル系樹脂(A):100質量部と、
以下の(i)及び(ii)の条件を満たすテトラフルオロエチレン樹脂(B):0.0
1〜10質量部と、
を、含有する
溶融成形用メタクリル系樹脂組成物。
(i)数平均分子量(Mn)が0.5万以上25万以下
(ii)平均粒子径が0.5μm以上8μm以下 - 前記テトラフルオロエチレン樹脂(B)の平均粒子径が0.5μm以上5μm以下であ
る、請求項1に記載の溶融成形用メタクリル系樹脂組成物。 - 有機ゴム粒子、無機充填剤、及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加
物(C)を、さらに含有する、請求項1又は2に記載の溶融成形用メタクリル系樹脂組成物。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の溶融成形用メタクリル系樹脂組成物を含有する溶融成形体。
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