JP6039921B2 - 電子写真装置および電子写真装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真装置およびその製造方法に関する。
電子写真装置に用いられる像保持部材として、積層型の有機電子写真感光体がある。積層型の感光体においては、像露光光源としてレーザ光が使用された場合、感光体内部における露光光の多重反射によって潜像に干渉縞が発生するという問題が生じる。
この問題を解決するために、特許文献1には、反射面となる感光体の基体を粗面化するという手法が記載されている。
一方、特許文献2には、干渉縞を防止する粗面化基体の評価方法が記載されている。
また、特許文献3には、粗面化基体を用いた感光体の干渉縞防止能力を測定する方法が記載されている。
特開2000−075528号公報 特開2004−117454号公報 特開2008−122999号公報
電子写真装置のさらなる高画質化に対応するために、露光ビームスポットの小径化が進んでいる。このため、干渉縞を防止するために施す基体の粗面化は、細線再現性に影響を及ぼす。また、細線再現性向上の要求から、感光層をより薄膜化した感光体を用いることが要請されている。さらに、感光層と基体の間に中間層を設ける場合においては、感光体の繰り返し安定性の観点から、中間層をより薄膜化した感光体を用いることが要請されている。
このため、従来用いられてきた基体を薄膜感光体に用いると、基体の粗面化が原因で発生する黒ポチや、基体からのホール注入が起因で発生するカブリが抑えられないという課題もある。
そこで、干渉縞を感光層の基体の粗面化で防止することを考えたとき、より効率的な粗し形状を探索する必要が生じている。しかし、効率的な粗し形状を探索、あるいは規定するためには、従来使われている粗面化に関するパラメータでは不十分であったこともあり、改良の余地が残されている。
本発明の目的は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、使用初期から耐久寿命が尽きるまで干渉縞の発生を抑えつつ、黒ポチやカブリといった画像欠陥の少ない画像形成を維持し、細線再現性の高い電子写真装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、波長λのレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、該電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有しており、該導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が、下記式(1)(式(1)中、Tは、前記レーザ光が前記導電性支持体に到達するまでの透過率を示す)を満たし、
該導電性支持体上に接触して設けられた層を第1層とし、その上に接触して設けられた層を第2層として前記電荷発生層に至るまで名前付けした場合、前記平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、前記最大値(Rmk,max)以下かつ前記最大値(Rmk,max)の3分の2以上のRmkが発現し、第i層と第i+1層(iは1以上の整数)との界面の形状が、下記式(2)
(式(2)中、Ti+1は、前記レーザ光が前記導電性支持体上の第i層に到達するまでの透過率を示し、n、ni+1は、それぞれ前記導電性支持体上に接触して設けられた第i層と第i+1層の屈折率を示す)を満たすことを特徴とする電子写真装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、波長λのレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、該電子写真感光体は、樹脂導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有しており、該樹脂導電性支持体を第0層とし、該樹脂導電性支持体上に接触して設けられた層を第1層とし、その上に接触して設けられた層を第2層として前記電荷発生層に至るまで名前付けした場合、前記樹脂導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、前記最大値(Rmk,max)以下かつ前記最大値(Rmk,max)の3分の2以上のRmkが発現し、第i層と第i+1層(iは1以上の整数)との界面の形状が、下記式(2)
(式(2)中、Ti+1は、前記レーザ光が前記樹脂導電性支持体上の第i層に到達するまでの透過率を示し、n、ni+1は、それぞれ前記樹脂導電性支持体上に接触して設けられた第i層と第i+1層の屈折率を示す)を満たすことを特徴とする電子写真装置が提供される。
さらに本発明の一態様によれば、上記した電子写真装置を製造する電子写真装置の製造方法であって、前記導電性支持体または前記樹脂導電性支持体の前記表面形状を形成する粗面化工程を有し、該粗面化工程が、複数回のレーザアブレーションを含むことを特徴とする電子写真装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、使用初期から耐久寿命が尽きるまで干渉縞の発生を抑えつつ、常温常湿下だけでなく、低温低湿下であっても、ゴーストや黒ポチといった画像欠陥の少ない画像形成を維持しつつ、細線再現性の高い電子写真装置およびその製造方法を提供することができる。
(i)は、Rmk(L)を計算する際、3次元表面形状データをメッシュ分割することを示す図であり、(ii)は、計算したRmk(L)データを、横軸をLの対数にしてグラフ化した例である。 (i)はランダムネスの効果を調べるために用意した人工粗さ形状5種(a)〜(e)における2次元および3次元表面粗し形状のそれぞれのグラフであり、(ii)はランダムネスの効果を調べるために用意した人工粗さ形状5種(a)〜(e)のRmk(L)グラフであり、(iii)はランダムネスの効果を調べるために用意した人工粗さ形状5種(a)〜(e)におけるフレネル係数を用いた数値計算で求めた干渉縞レベルを示すグラフであり、(iv)は(b)および(e)の形状について、Rmod(λ/(2n))を横軸、出現頻度を縦軸にとり、両者に偏りの違いがあることを示したグラフである。 (i)は3次元表面形状データの中身と変数の概念を示す図であり、(ii)は3次元表面形状データをメッシュ分割するときの詳細を説明する図である。 フレネル係数を用いた数値計算の概略を説明するための、感光体層構成と変数の定義を示す図である。 (i)はRmk,aveを計算するときのRmk(L)データの重み付け平均の概念を示す図であり、(ii)はRmk,ave,sを計算するときの、Rmk(L)データの重み付け平均の概念を示す図であり、(iii)はRmk,ave,lを計算するときの、Rmk(L)データの重み付け平均の概念を示す図である。 (i)は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられる配列マスクパターンの例(部分拡大図)を示す図であり、(ii)は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられる配列マスクパターンの例(部分拡大図)を示す図であり、(iii)は本発明における電子写真感光体の最表面断面形状の例を示す図であり、(iv)は本発明におけるレーザ加工装置の例の概略を示す図である。 本発明による電子写真装置の例の構成を概略的に示す図である。 (i)は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられる配列マスクパターンの例(部分拡大図)を示す図であり、(ii)は本発明におけるレーザアブレーションにおいて用いられる配列マスクパターンの例(部分拡大図)を示す図である。 (i)は、粗面化された支持体の表面形状より計算したRmk(L)データを、横軸をLの対数にしてグラフ化した図であり、(ii)は、粗面化され導電層の表面形状より計算したRmk(L)データを、横軸をLの対数にしてグラフ化した図である。 (i)は、横軸を露光レーザ波長、縦軸をRmk,max/Tとして実施例/比較例の一部をプロットした図であり、(ii)は、横軸を√(ni−ni+1)/(ni+ni+1)(i=1)、縦軸を(Rmk,max)/Tλとして実施例/比較例の一部をプロットした図である。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った。
効率的な粗し形状を実現するために、適切な評価パラメータとして平均局所高低差 (Rmk) の算出長さ(L)依存性を考案した。本発明の電子写真装置は、Rmk によって規定した粗し形状を支持体と電荷発生層との間に持つ電子写真感光体を有することによって、効率的に干渉縞を消し(または干渉縞の発生を抑制し)、上記目的を達成したものである。
すなわち、本発明の電子写真装置は、例えば、波長λのレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有する場合、導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk(μm))の算出長さ(L(μm))依存性を示すグラフにおいて、
(1):平均局所高低差(Rmk(μm))の最大値(Rmk,max(μm))が発現した算出長さ(Lm(μm))に対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、 最大値(Rmk,max)以下かつ最大値(Rmk,max)の3分の2以上の Rmk が発現し、且つ、
(2):平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が、下記式(1)
(式(1)中、Tはレーザ光が導電性支持体に到達するまでの透過率を示す)を満たすことを特徴とする。
ここで、平均局所高低差Rmkの算出長さL依存性について説明する。このパラメータは、以下の(1)〜(5)の手順により計算される。粗さ形状の3次元表面形状データz(x、y) を測定した後、
(1):得られた表面形状データを、一辺の長さがLのメッシュに分割する(図1(i)左図参照))。
(2):一辺の長さLの各メッシュ内で、高さz(x、y)を平均化する(図1(i)右図参照)。
(3):各メッシュにおいて、周りのメッシュとの高さの差から局所高低差を計算する。
(4):得られた局所高低差を、全てのメッシュに渡って平均化する。これを、平均局所高低差Rmkと呼ぶ。
(5):(1)〜(4)の手順を、Lを変化させて繰り返し、平均局所高低差Rmkの算出長さL依存性、すなわち関数Rmk(L)を得る。
こうして得られたRmk(L)を、横軸を算出長さL(μm)の対数、縦軸を平均局所高低差Rmk(μm)としてグラフ化すると、例えば図1(ii)のようになる。
図1(ii)において、Rmkの最大値とは、L=Lm=18.3(μm)におけるRmk=0.206の値を指す。これを、Rmk,max=0.206と書く。また、L=Lm・0.1=18.3・0.1=1.83(μm)以下の算出長さと、L=Lm・10=18.3・10=183(μm)以上の算出長さにおいて、Rmk,max×2/3=0.14(μm)以上の Rmk が発現していない。つまり、この例は本発明に係る電子写真感光体の条件を満たさないことになる。
本発明によれば、ミクロな干渉縞を多数発生させることによる平均化効果を効率的に発現させることができ、マクロな干渉縞の発生を抑え、高解像度の静電潜像を得ることができる。
「平均局所高低差(Rmk(μm))の最大値(Rmk,max(μm))が発現した算出長さ(Lm(μm)に対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、最大値(Rmk,max)以下かつ最大値(Rmk,max)の3分の2以上の Rmk が発現する」ような表面粗し形状では、干渉縞を効率的に防止できる。ここで言う「効率的に防止」は、同じ十点平均粗さRzを持つ表面形状同士を比較したときに、上記の特徴を満たすかどうかで、発現する干渉縞レベルが異なる、という意味である。
干渉縞が効率的に防止できるメカニズムについて説明する。そのために、まず表面粗し形状の「ランダムネス」という概念を導入する。
ランダムネスとは、表面粗し形状の不規則具合を意味しており、粗し形状の周期や振幅(高さ)が揃っている場合をランダムネスの無い形状、揃っていない場合をランダムネスの有る形状と呼ぶ。これは、正弦波(余弦波)の重ね合わせで表現すると分かりやすい。
下記式には、様々な周期と振幅(高さ)とを持つ正弦波(余弦波)およびそれらの組み合わせから成る、人工的な2次元表面粗し形状と、それを自然に拡張した3次元表面粗し形状とをそれぞれ5種類示している。この5種それぞれをグラフ化したものを、図2(i)(a)〜(e)に示す。
上記式や図2(i)を見れば、図2(i)(b)、および(c)の形状が単純な正弦波(余弦波)であって、非常に規則的なランダムネスの無い構造を持っていることが分かる。
一方で図2(i)(a)、(d)、および(e)は単純な正弦波(余弦波)ではなく、周期や振幅(高さ)が異なるものが重畳された形状になっている。しかし、図2(i)(a)のように、振幅が0.4(μm)、および0.1(μm)のように大きく異なる正弦波(余弦波)を重畳している場合には、図2(i)(a)を見て分かるとおり、図2(i)(d)や(e)に比べて規則性が高く、ランダムネスは小さい。
前述した「ランダムネス」の大小をより客観的に数値化できるのが、Rmk(L)である。図2(ii)には、上記5種類の人工粗し形状に対してRmk(L)を計算した結果をグラフ化している。
図2(ii)を見ると、図2(i)(a)(b)、および(c)の Rmk(L)グラフはピークが尖っている(シャープ)のに対して、図2(i)(d)や(e)のグラフはピークが2つあり、これらピークはブロードになっていることが分かる。すなわち、ランダムネスの大小と Rmk(L)グラフのピークの尖り具合(形)は対応していることを示している。
ここで、図2(i)(a)〜(e)の形状は全て、全体の振幅が等しいことに注意する。すなわち、図2(i)(a)〜(e)の形状は全て、同じ十点平均粗さRz=1.0(μm)を持っている。それにも関わらず、Rmk(L)のグラフが各5種類でそれぞれ異なる形をしていることは、Rmk(L)の持つ情報量の多さを意味している。
以上のことは、そもそもRmk(L)が、どのスケール(算出長さ)にどれだけの高低差が存在しているかを反映するパラメータであることから理解される。すなわち、単一の正弦波(余弦波)で基体表面形状の特徴がほとんど決定されているランダムネスの小さな粗さ形状の場合、その正弦波(余弦波)の周期とRmk(L)の算出長さLが一致するときに、Rmk(L)は大きな値を持つ。一方、ランダムネスの大きな粗さ形状の場合には、異なる周期を持つ複数の正弦波(余弦波)が重畳されているので、Rmk(L)のピークも複数存在し、結果、グラフの形状はブロードなものになる。
したがって、基体表面粗さ形状のランダムネスの大小を知るには、Rmk(L)のグラフにおけるピークの鋭さを見ればよい。これを客観的に数値化すると、「平均局所高低差(Rmk(μm))の最大値(Rmk,max(μm))が発現した算出長さ(Lm(μm))に対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、最大値(Rmk,max)以下かつ最大値(Rmk,max)の3分の2以上の Rmk が発現する」という表現になる。つまり、この特徴を持つ粗さ形状はランダムネスが大きく、この特徴を持たない粗さ形状はランダムネスが小さい、と定義される。
次に、ランダムネスが大きいときに干渉縞防止能力が高く、ランダムネスが小さいときに干渉縞防止能力が低いことを説明する。
図2(iii)に示したグラフは、感光体各層の膜厚や屈折率などからフレネル係数を求めることで数値計算した、図2(i)(a)〜(e)の各形状における干渉縞レベル(電位差コントラスト)である。縦軸の数値が大きいほど干渉縞が発生することを意味する。この結果によると、ランダムネスの小さな図2(i)(a)〜(c)の形状に比べて、ランダムネスの大きな図2(i)(d)および(e)の形状では干渉縞レベルが低い。
図2(i)(a)〜(e)の5種類の形状でRzは同じであるにも関わらず、ランダムネスの大きな図2(i)(d)と(e)の粗し形状では干渉縞防止効果が高いことが数値計算によって示されたが、このことは次のようにして理解される。
粗し形状によって干渉縞が消えるメカニズムは、ミクロな光路差が形成されることによってミクロな干渉縞を多数出現させ、そのコントラストの平均化作用によってマクロな干渉縞を見えなくさせる、というものである。このとき、光路差をつけるという観点においては、λ/(2n)(iは1以上の整数)の整数倍だけ異なる2つの高低差は同等の働きをすることが重要である。すなわち、R(μm)という局所的な高低差とR+λ/(2n)(μm)という局所的な高低差は、光学位相差という意味では位相が2π(rad)だけ異なるだけで、強めあい・弱めあいの干渉条件に与える寄与としては同じ、ということである。
さてここで、λ/(2n)の整数倍だけずれた高低差は光学位相差が同等だということは、いくら粗し形状の高低差が大きくても、その高低差があるRに対してλ/(2n)の整数倍だけずれた大きさばかりに偏っていた場合、発生するミクロな干渉縞の明部と暗部に偏りが生じ、十分な平均化作用が得られないことになる。
このことを別の言い方で表現すると、粗し形状の高さ頻度分布P(R)がRmod(λ/(2n))において偏りを持っている場合には、十分な干渉縞防止能が得られない、ということになる。そして、そのような偏りが小さいこととランダムネスが大きいこととは対応している。実際、図2(iv)に、図2(i)(b)および(e)の形状について、Rmod(λ/(2n))を横軸、出現頻度を縦軸にとったグラフを示したが、図2(i)(e)の出現頻度は、偏りが無く、分布が平坦であることが分かる。
ただし、ランダムネスの無い形状でも、レーザ波長λと粗し振幅Rとの関係を上手く設定すれば、大きな干渉縞防止効果を得ることは可能である。しかし、実際の感光体においては、感光体ドラムの上下端でRzがλ/(2n)〜0.2(μm)程度変化することを防ぐのは難しい。従って、感光体ドラムの全面に渡って干渉縞を防止することが要請されることを考えると、このようなピンポイントの設計は現実的ではない。ランダムネスが有る粗し形状は、0.2(μm)程度のRzの振れに対しても干渉縞防止効果を安定的に発揮でき、ランダムネスの無い形状に比べて広いラチチュードを持つ。
本発明は、これら知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものであって、次の発明を提供する。
波長λ(μm)のレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、該電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有しており、該導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk(μm))の算出長さ(L(μm))依存性を示すグラフにおいて、前記平均局所高低差(Rmk(μm))の最大値(Rmk,max(μm))が、下記式(1)(式(1)中、Tは、前記レーザ光が前記導電性支持体に到達するまでの透過率を示す)を満たし、
該導電性支持体上に接触して設けられた層を第1層とし、その上に接触して設けられた層を第2層として前記電荷発生層に至るまで名前付けした場合、前記平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、前記平均局所高低差(Rmk)の最大値((Rmk,max)が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、前記最大値(Rmk,max)以下かつ前記最大値(Rmk,max)の3分の2以上のRmkが発現し、第i層と第i+1層(iは1以上の整数)との界面の形状が、下記式(2)
(式(2)中、Ti+1は、前記レーザ光が前記導電性支持体上の第i層に到達するまでの透過率を示し、n、ni+1は、それぞれ前記導電性支持体上に接触して設けられた第i層と第i+1層の屈折率を示す)を満たすことを特徴とする電子写真装置。
波長λ(μm)のレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、該電子写真感光体は、樹脂導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有しており、該樹脂導電性支持体を第0層とし、該樹脂導電性支持体上に接触して設けられた層を第1層とし、その上に接触して設けられた層を第2層として前記電荷発生層に至るまで名前付けした場合、前記樹脂導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、前記最大値(Rmk,max)以下かつ前記最大値(Rmk,max)の3分の2以上のRmkが発現し、第i層と第i+1層(iは1以上の整数)との界面の形状が、下記式(2)
(式(2)中、Ti+1は、前記レーザ光が前記樹脂導電性支持体上の第i層に到達するまでの透過率を示し、n、ni+1は、それぞれ前記樹脂導電性支持体上に接触して設けられた第i層と第i+1層の屈折率を示す)を満たすことを特徴とする電子写真装置。
Rmk(L)の概念は既に述べたことに尽きているが、ここでは実際に計算を行ったときの方法に沿って、より詳しく説明する。ただし、Rmk(L)の具体的計算方法は以下に述べるものに限定されるものではない。
まず、原子間力顕微鏡やレーザ顕微鏡などを用いて、図3(i)に示すような3次元表面形状データを得る。3次元表面形状データでは、水平方向の座標(連続変数の場合は(x、y)、離散変数の場合は(i、j)と表記)を一つ指定する。それに対応する高さデータ(連続変数の場合はz(x、y)、離散変数の場合はZi、jと表記)が決まる。実際の測定においては、全ての変数は離散変数である。水平方向の量子化スケールをpxy(μm)とおく。また、図3(i)には正方格子の場合を示したが、三角格子や六方格子であっても構わない。
(1)得られた3次元表面形状データを、一辺の長さがL(μm)のメッシュに分割する。水平方向の量子化スケールよりもLは大きく、3次元表面形状データの領域長さ(3次元表面形状データの領域が長方形であるとして、x方向とy方向の領域長さをそれぞれΛ、Λとする)よりもLは小さい。また、計算上Lはpxyの整数倍に選ばれる。L=pxyMによってM(Mは1以上の整数)を定義する。さらに、Λ=pxy、Λ=pxyによってN、N(N、Nは1以上の整数)を定義する。
(2)分割したそれぞれのメッシュ内で、高さデータを算術平均する。高さデータは、離散変数の場合と連続変数の場合を併記すれば、下記式のように処理される。
この処理を、図3(ii)に示したように、M/2マスずつ(あるいは、L/2(μm)ずつ)計算領域をずらしながら全領域pxy×pxy(Λ×Λ(μm))に渡って行う。離散変数(i、j)のとりうる値は、下記式のようになる。
(3)メッシュごとに得られた高さデータ算術平均値から、注目点(i、j)(あるいは(x、y))における局所高低差を、下記式のようにして求める。
式(6)の連続変換における積分は、直径L(μm)の円周に沿った閉路積分である。また、離散変換においては、注目メッシュと周りのメッシュとの高低差を計算している。ここで言う周りのメッシュとは、注目メッシュと中心を共有する直径L(μm)の円周がメッシュの内部を通過するようなメッシュのことであり、正方格子の場合には8個ある。
(4)得られた局所高低差を、下記式のように、全領域pxy×pxy(Λ×Λ(μm))(離散の場合には、全メッシュと言ってもよい)に渡って平均化する。
こうして得られた値を平均局所高低差と呼び、離散と連続のどちらの場合も、メッシュの長さL(μm)に依存している(L=pxyMより、MはLと結びついている)。これを改めてRmk(L)(μm)と書く。
(5)こうして得られる平均局所高低差Rmk(L)は、最初にメッシュの長さL(μm)を設定することで、変わってくる。そこで、Lを色々な値に変化させて、その都度Rmk(L)を計算することにより、Rmk(L)がLの関数として求まる。Lの変化幅は、Rmk(L)が十分滑らかであれば任意に選んで良いが、干渉縞防止能を捉える本発明の目的においては、Lの値を下記式でn=0、1、2、…ように変化させるのが適している。ただし、β=2のとき、sは、1以下が好ましく、0.25以下がさらに好ましい。
感光体各層の膜厚や屈折率などからフレネル係数を求めることで行った数値計算について、その概略を説明する。
図4に、数値計算を行う上で用いたモデルの概念図を示す。図4では一番下の基体上に5つの層が形成された感光体の構成になっているが、本発明はこの構成に限らず、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む2層以上の感光体であればよい。
図4のn(i=1、2、…)は各層の屈折率を、d(i=1、2、…)は各層の膜厚を、r(i=0、1、…)は各層間の振幅反射率を意味している。ここで、吸収を考慮して屈折率は複素数であってもよい。振幅反射率は、屈折率を用いて下記式のように表される。ただし、rは基体の振幅反射率なので、基体が金属の場合には上記式からは決まらない。
これらのパラメータとレーザ波長λのみから、入射光量に対する電荷発生層での光量の割合を求めることができる。その割合は、各層の膜厚に依存して変化するので、図4においては5層目に相当する層、つまり感光体の最表面層の粗し形状のデータを用いて計算すると、光量の割合が粗し形状に沿って変化し、ミクロな干渉縞の発生度合いを数値計算できる。その発生度合いから、マクロな干渉縞の発生に対する防止効果、すなわち干渉縞レベルが求まる。
粗さ形状によって引き起こされる、干渉縞とは別の画質劣化要因について述べる。最表面層に形成される粗さ形状においては、凹凸ドメインの水平方向のサイズが大きくなると、その凹凸に対応した感度ムラが絵出し画像における画質劣化となって現れるようになる。その程度を定量的に見積もるために、Rmk(L)データから求まる別のパラメータとして、下記式で表される、Rmk(L)の重み付け平均値Rmk,ave、Rmk,ave,sおよびRmk,ave,lを定義する。
Rmk,ave、Rmk,ave,s、およびRmk,ave,lは、横軸の算出長さLを対数プロットしたRmk(L)グラフにおいて、それぞれ図5(i)、(ii)、および(iii)に示したような重み付けをしてRmk(L)の平均値を求めたパラメータである。さらに、この3つの値から、次式で表されるパラメータRmk,ave,mdrを定義する。
このRmk,ave,mdrが大きいほど、細線再現性は悪化する。検討の結果、Rmk,ave,mdrの値は0.065μm以下が好ましく、0.050μm以下がより好ましい。
また、細線再現性は凹凸形状の水平方向サイズに依存することから、前出のRmk,ave,mdr値の条件に加えて、Rmkの最大値Rmk,maxが発現する算出長さLmが7(μm)以下であるとさらに好ましい。
本発明においては、凹凸形状の水平方向サイズのみならず、垂直方向サイズ、すなわち高低差も細線再現性に影響する。これはRz値に対応しており、1.3(μm)以下が好ましい。また、凹凸形状の垂直方向サイズとその密度のバランスを考慮すると、Rmk,max値の大きさも画質に関係することが分かる。感度ムラによる画質劣化防止の観点からは、Rmk,maxが0.18(μm)以下が好ましく、0.15(μm)以下がより好ましい。
本発明における、最表面の3次元表面形状データの測定方法について述べる。3次元表面形状データの測定には特に制約はない。例えば、市販の原子間力顕微鏡、電子顕微鏡、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡、光干渉方式の3次元表面形状測定機が利用できる。
原子間力顕微鏡としては、例えば、走査型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)、ナノスケールハイブリッド顕微鏡(VN−8000、(株)キーエンス社製)、走査型プローブ顕微鏡(NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)、走査型プローブ顕微鏡(SPM−9600、(株)島津製作所社製)などが利用できる。
電子顕微鏡としては、例えば、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡(VE−9800、(株)キーエンス社製)、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡(VE−8800、(株)キーエンス社製)、走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)、走査型電子顕微鏡(SUPERSCAN SS−550、(株)島津製作所社製)などが利用できる。
レーザ顕微鏡としては、例えば、超深度形状測定顕微鏡(VK−8550、(株)キーエンス社製)、超深度形状測定顕微鏡(VK9500、(株)キーエンス社製)、および超深度形状測定顕微鏡(VK−9700、(株)キーエンス社製)、表面形状測定システム(Surface Explorer SX−520DR型機、(株)菱化システム社製)、走査型共焦点レーザ顕微鏡(OLS4000、オリンパス(株)社製)、リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクス(C130、レーザーテック(株)社製)などが利用できる。
光学顕微鏡としては、例えば、デジタルマイクロスコープ(VHX−500、(株)キーエンス社製)およびデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、(株)キーエンス社製)、3Dデジタルマイクロスコープ(VC−7700、オムロン(株)社製)などが利用できる。
光干渉方式の3次元表面形状測定機としては、例えば、白色干渉計測システム(R6500H、(株)菱化システム社製)、非接触3次元表面性状・段差測定機タリサーフ(CCI6000、アメテック(株)社製)などが利用できる。
上記の測定機を用いて、水平方向座標(x、y)に対応する垂直方向高さデータz(x、y)を計測し、3次元表面形状データを得ることができる。また、得られた3次元表面形状データからRmk(L)を導出する手順は、前述したとおりである。
次に、本発明に係わる電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真装置に用いる感光体は、以下3種類の構成をとりうる。
1:金属支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層がこの順に形成されている。
2:樹脂導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層がこの順に形成されている。
3:金属支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層がこの順に形成されている。
以下、各項目について説明する。
<金属支持体>
アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタンや、これらの合金が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムまたは3000(Al−Mn)系、5000(Al−Mg)系あるいは6000(Al−Mg−Si)系のアルミニウム合金が好ましい。
金属支持体に対し、レーザアブレーションによる複数回加工を行うことで、本発明の条件を満たす粗面形状を得ることができる。
一方で、従来技術であるレーザアブレーションの単数回加工や、ホーニング加工では、本発明の条件を満たす粗面形状を得ることができない。
レーザアブレーション加工により表面粗さ形状を形成する場合、用いるレーザの発振パルス幅は1(ps)以上100(ns)以下が好ましい。発振パルス幅が1(ps)より短いと、水平方向座標の変化に対する垂直方向高さの変化率が大きい粗さ形状が形成されやすくなる。しかし、本発明においては、そのような切り立った(シャープな)粗さ形状はランダムネスを大きくするという観点からは好ましくなく、生産コストも高くなる。また、発振パルス幅が100(ns)より長いと、熱による表面ダメージが大きくなり、所望の粗さ形状が得られにくくなる。発振パルス幅が1(ps)以上100(ns)以下のレーザとしては、エキシマレーザが好適に利用できる。
本発明で用いるエキシマレーザは、Ar、Kr、Xeの如き希ガスとF、Clの如きハロゲンガスとの混合気体を放電、電子ビームまたはX線でエネルギーを与えて励起して結合した後、基底状態に落ちることで解離する際に放出するレーザ光である。
エキシマレーザにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeCl、XeFが挙げられる。特にKrFまたはArFが好ましい。凹凸形状の形成方法としては、図6(i)、(ii)に示すような、レーザ光透過部aとレーザ光遮蔽部bを適宜配列したマスクを使用する。マスクを通過したレーザ光のみがレンズで集光され、集光されたレーザ光が被加工物に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凹凸形状の形成が可能となる。ただし、透過部および遮蔽部のマスクの厚みは連続的に変化しており、これにより、図6(iii)に示した凹凸形状の断面図のように、なめらかな凹凸形状を形成することができる。一定面積内の多数の凹凸を、凹凸の形状、面積に関わらず瞬時に同時に形成できるため、こうした工程は短時間で済む。
図6(iv)においてマスクを用いたレーザ照射は、エキシマレーザ光照射器cで1回照射あたり数mmから数cmの加工が実施される。レーザ加工においては、図6(iv)に示すように、支持体fをワーク回転用モータdで自転させつつ、支持体のレーザ照射位置をワーク移動装置eで支持体の軸方向に移動させることにより、支持体の表面全域に効率よく凹凸部を形成することができる。本発明によれば、凹凸部の大きさ、形状、配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い粗面加工が実現できる。
また、図6(i)に示したようなマスクパターンを用いてレーザ照射を行った後、図6(ii)に示すような、光透過部の面積が図6(i)とは異なるマスクパターンを用いてレーザ照射を行えば、2つの周期が重畳された凹凸形状を形成することができる。例えば2回重畳すれば図2(i)(d)に示した2次元粗さ形状が作製でき、4回重畳すれば図2(i)(e)に示した2次元粗さ形状が作製できる。
<樹脂導電性支持体>
プラスチックに導電性処理を施したものを単独で用いてもよいし、もしくは、金属支持体上にプラスチックに導電性処理を施した導電層を設けて樹脂導電性支持体としても良い。
樹脂導電性支持体に対しても、上記のようなレーザアブレーションによる複数回加工を行うことで、本願発明の粗面形状を得ることができる。
塗工系の導電層を設ける場合、従来、導電層を粗面化するための表面粗し付与材を導電層に添加することが行われていたが、公知の方法では本発明の条件を満たす粗面形状を得ることができない。
レーザアブレーションの複数回加工で、つまり追加工なしで、導電層の粗面形状が本発明の条件を満たすようにするためには、以下のプロセスの組み合わせを従来行われていなかったレベルで精緻に行わなければならない。これは、本発明の粗面状態は、多様な横方向スケールを具備する粗さが必要なためである。
1:導電性粒子と結着樹脂のみによる粗さ形成のコントロール
2:粗し粒子(以下、「表面粗し付与材」ともいう。)による粗面化度合いのコントロール
<導電性粒子と結着樹脂のみによる粗さ形成のコントロール>
導電層に用いる導電性材料としては、各種の金属、金属酸化物がある。その中でも、粉体抵抗率が通常10乃至10Ω・cmの範囲にある酸化スズ(以下、「SnO」ともいう。)は、抵抗特性に優れており好ましい。また、SnOの導電性材料の製造時に、酸化アンチモンなどのスズとは異なる価数の金属の化合物や非金属元素などを混合して(ドープして)、粉体抵抗率を1/1000乃至1/100000に小さくした導電性材料も使用可能である。また、構成元素を増やさずにノンドープでSnOの抵抗をアンチモンドープと同程度に小さくした酸素欠損型SnOの導電性材料は好適に使用できる。さらには酸素欠損型SnOにて被覆されたTiO粒子はより好適に使用される。
導電性粒子として酸素欠損型SnOにて被覆されたTiO粒子を用いる場合、導電層用塗布液における酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(P)と結着樹脂(B)との質量比(P:B)は、2.3:1.0乃至3.3:1.0の範囲にあることが好ましい。酸素欠損型SnO被覆TiO粒子が少なすぎると、導電層の体積抵抗率を調節することが難しくなる。酸素欠損型SnO被覆TiO粒子が多すぎると、導電層における酸素欠損型SnO被覆TiO粒子の結着が難しくなり、クラックが発生しやすくなる。
導電性粒子の粒径は、従来、数十nm〜数百nmのものが好適に使用されてきた。しかし、本発明においては粗面形状の形成の観点から100nm〜500nmのものが好ましい。
また、導電層の下地表面が鏡面である場合には、この導電層において入射光を散乱させることが好ましい。最大散乱出力が高い屈折率を示すときの導電性粒子の粒子径(D)は以下のWeberの式で求められる。なお、nは導電性粒子の屈折率、nは結着樹脂の屈折率を示す。
すなわち、導電性粒子がルチル型酸化チタン(屈折率2.7)であって、結着樹脂がフェノール樹脂(屈折率1.62)であって、像露光λが655nmである場合には、導電性粒子の平均粒径が386nmであって、粒度分布が鋭いことが最も好ましい。
導電層の結着樹脂としては、従来、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステルのような樹脂が用いられてきた。しかし、導電性粒子として酸素欠損型SnOにて被覆されたTiO粒子を用いる場合、ポリウレタン樹脂を用いると、塗工乾燥後の導電層表面に微小な粗れが形成されず、本発明では好ましくない。
導電性粒子として酸素欠損型SnOにて被覆されたTiO粒子を用いる場合、結着樹脂に熱硬化型のフェノール樹脂を用いることで、塗工乾燥後の導電層表面に微小な粗れを形成させることができる。
また、粗さ形成のコントロールのため、導電層用塗布液にレベリング剤を添加することが好ましい。
<粗し粒子による粗面化度合いのコントロール>
本発明に必要なRmk,maxを得ること、および多様な横方向スケールをもった粗さを得ることのために、導電層の表面を粗面化するための表面粗し付与材を導電層用塗布液に添加することが好ましい。
このとき、先にも述べたように、Rmk,ave,mdrの値が 0.065μm以下となるように表面粗し付与材を導電層用塗布液に添加することが細線再現性のために好ましく、Rmk,ave,mdrの値が0.050μm以下とすることがより好ましい。
従来、表面粗し付与材としては、平均粒径が1μm以上3μm以下の樹脂粒子が用いられてきた。例えば、硬化性ゴム、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂のような硬化性樹脂の粒子などが好適に使用されてきた。
しかし、導電性粒子として酸素欠損型SnOにて被覆されたTiO粒子を用い、結着樹脂として熱硬化型のフェノール樹脂を用いる場合、表面粗し付与材としてシリコーン樹脂を用いると、上記Rmk,ave,mdrの条件を満たす導電層を得ることができない。これはシリコーン粒子がTiO粒子/フェノール樹脂溶液中で凝集しやすいためである。
導電性粒子として酸素欠損型SnOにて被覆されたTiO粒子を用い、結着樹脂として熱硬化型のフェノール樹脂を用いる場合、表面粗し付与材として、ポリメチルメタクリレート粒子を用い、導電層の膜厚を制御することで、必要なRmk,maxを確保しつつ、Rmk,ave,mdrが0.065μm以下である導電層を得ることができる。
このとき、ポリメチルメタクリレート粒子の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、平均粒径の異なる2種類以上の粒子を混合して用いることがより好ましい。
<導電性粒子と結着樹脂のみによる粗さ形成のコントロールと、粗し粒子による粗面化度合いのコントロールの組み合わせ>
ただし、繰り返しになるが、重要であるので再度記する。例えば、表面粗し付与材(以下、「粗し付与粒子」ともいう。)として、平均粒径2μmのポリメチルメタクリレート粒子および平均粒径4μmのポリメチルメタクリレート粒子の2種を用いたとしても、導電性粒子と結着樹脂のみによる粗さ形成のコントロールがなされていない場合には、本発明に係る感光体は製造できない(ランダムネス不足)。
このとき、ランダムネス不足を解消するために、粗し付与粒子として、上記のような従来公知の粒子を用いようとすれば、平均粒径のより大きい粒子の添加が必要となる。しかし、大径粒子を投入するとRmk,ave,mdrが0.065μmより大きくなって細線再現が悪化してしまう。
従って、導電性粒子と結着樹脂のみによる粗さ形成のコントロールと、粗し粒子による粗面化度合いのコントロールの組み合わせが、後加工レスで本発明の条件を満たす形状を達成するために重要である。
<中間層>
中間層は、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を支持体上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷんのような水溶性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステル樹脂が挙げられる。電気的バリア性を効果的に発現させることに加え、塗工性、密着性、耐溶剤性、抵抗などの観点を考慮すると、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。また、中間層の膜厚は0.1μm〜3μmであることが好ましく、電位変動を抑える観点から0.1μm〜0.5μmであることがより好ましい。
さらに、前記導電層と前記中間層を積層したサンプルの積層方向に電界を印加し、電界印加時間t(sec)における電流値をI(t)とした場合に、0≦t≦300の範囲における電流値I(t)の最小値をIminとしたときに0.2≦Imin/I(0)≦5である特性を持つことが好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。
<電荷発生層>
本発明における電子写真感光体の電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾのようなアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴのようなインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドのようなペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンのような多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩、チアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンのような無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
上記の各種電荷発生物質の中でも、高感度であり、本発明がより有効に作用するという点で、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚を厚くして感度を高くしようとすると、ゴーストが発生しやすくなるという点を考慮すると、本発明が最大限に活用されるのは、フタロシアニン顔料を用いた場合である。フタロシアニン顔料とその他の電荷発生物質とを併用する場合は、フタロシアニン顔料が電荷発生物質の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
フタロシアニン顔料の中でも、金属フタロシアニン顔料が好ましく、特には、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンがより好ましく、その中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが特に好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン結晶が好ましい。
クロロガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の6.8°、17.3°、23.6°および26.9°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°および28.8°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
ジクロロスズフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.3°、12.2°、13.7°、15.9°、18.9°および28.2°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.5、11.2°、14.5°および27.2°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.7°、9.9°、10.9°、13.1°、15.2°、16.3°、17.4°、21.9°および25.5°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.2°、12.2°、13.4°、14.6°、17.0°および25.3°に強いピークを有する結晶形のジクロロスズフタロシアニン結晶が好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
本発明において、フタロシアニン結晶の結晶形のCuKα特性X線回折におけるブラッグ角は、以下の条件で測定した。
測定装置:(株)マック・サイエンス製全自動X線回折装置(商品名:MXP18)
X線管球:Cu、管電圧:50kV、管電流:300mA、
スキャン方法:2θ/θスキャン、スキャン速度:2deg./min、サンプリング間隔:0.020deg.、
スタート角度(2θ):5deg.、ストップ角度(2θ):40deg.、
ダイバージェンススリット:0.5deg.、スキャッタリングスリット:0.5deg.、レシービングスリット:0.3deg.、
湾曲モノクロメーター使用
電荷発生物質の粒径は0.01μm〜0.5μmであることが好ましく、特には0.01μm〜0.3μmであることがより好ましく、さらには0.01μm〜0.2μmであることがより一層好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、セルロース樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルメタクリレート樹脂、ポリビニルアクリレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独で、または、2種以上の混合物もしくは共重合体として用いることができる。
このような電荷発生層は、あらかじめ電荷発生物質、結着樹脂および溶剤を含有させた電荷発生層用塗布液を支持体上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生物質、結着樹脂および溶剤を含有する塗布液は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質や電子輸送物質の溶解性や分散安定性の観点から選択される。有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は0.05μm〜2.00μmであることが好ましく、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いる場合、ゴーストによる画像劣化を防止するという観点からは0.05μm〜0.18μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
粒径が0.01μm〜0.2μmであるフタロシアニン粒子を、結着樹脂との割合として、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲で溶媒に分散させ、塗工乾燥後に膜厚0.18μm以下の電荷発生層を得るためには、電荷発生層用塗布液の粘度は2cP〜20cPであることが好ましく、2cP〜5cPであることがより好ましい。
上述の様にして電荷発生層を作製した電子写真感光体においては、導電性支持体ないし、導電性支持体および電荷発生層の間にある層と電荷発生層との界面の形状としてRmk,ave,mdrの値を0.065μm 以下とすることが、細線再現性を確保する上で好ましく、0.050以下であることがより好ましい。
これは、電荷発生層との界面の下地形状としてRmk,ave,mdrの値を0.065μm 以下とすることにより、上述した組成の電荷発生層用塗布液が均一に塗工されるためである。
<電荷輸送層>
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら正孔輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、特には、ポリアリレート樹脂がより好ましい。これら樹脂は単独で、または、2種以上の混合物もしくは共重合体として用いることができる。
ポリアリレート樹脂の中でも、下記式(15)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂が好ましい。
31〜R34は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜3のアルコシキ基を示し、少なくとも1つの部位はアルキル基を有する。Xは、酸素原子、硫黄原子、
を示す。R35、R36は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アリール基、およびR35とR36が結合することによって形成させるアルキリデン基、フルオレニリデン基を示す。Yは2価の有機基を示す。
結着樹脂の重量平均分子量は50000〜200000であることが好ましく、特には100000〜180000であることが好ましい。
本発明において、重量平均分子量は、東ソー(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC−8120を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算で計算して求めた。展開溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)を用いた。測定対象試料は0.1質量%溶液とした。カラムとしては排除限界分子量(ポリスチレン換算)4×106のカラム(商品名:TSKgel SuperHM−N、東ソー(株)製)を用いた。検出器としてはRIを用いた。カラム温度は40℃とした。インジェクション量は20μlとした。流速は1.0ml/minとした。
電荷輸送層は、電荷輸送物質である正孔輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液(以下、「正孔輸送層用塗布液」ともいう。)を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
正孔輸送物質の割合は、電荷輸送層(以下、「正孔輸送層」ともいう。)全体の質量に対して30重量%〜70重量%の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素のようなハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
電荷輸送層の膜厚は5μm〜40μmであることが好ましく、特には10μm〜30μmであることがより好ましい。
なお、電荷輸送層上には、該電荷輸送層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を電荷輸送層に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、結着樹脂のモノマー・オリゴマーを溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を電荷輸送層に塗布し、これを硬化および/または乾燥させることによって保護層を形成してもよい。硬化には、光、熱または放射線(電子線など)を用いることができる。
保護層の結着樹脂としては、上記の各種樹脂を用いることができる。また、保護層には、抵抗制御の目的で、導電性酸化スズや導電性酸化チタンのような導電性粒子を分散してもよい。保護層の膜厚は0.2μm〜10μmであることが好ましく、特には1μm〜5μmであることが好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法のような塗布方法を用いることができる。
また、電子写真感光体の表面層には、電子写真感光体のクリーニング性や耐摩耗性を向上させる目的で、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系グラフトポリマー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系ブロックポリマー、シリコーン系ブロックポリマー、シリコーン系オイルのような潤滑剤を含有させてもよい。また、耐候性を向上させる目的で、ヒンダードフェノールやヒンダードアミンのような酸化防止剤を添加してもよい。さらには、強度を補強するためにシリコーン粒子のような膜強度補強剤を添加してもよい。
なお、電子写真感光体に保護層を設ける場合は保護層が電子写真感光体の表面層であり、保護層を設けない場合は正孔輸送層が電子写真感光体の表面層である。
図7に、本発明に係る電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図7において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、接触帯電部材(帯電ローラーなど)を有する接触帯電手段3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、レーザービーム走査露光による露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄化され、さらに前露光手段(不図示)から出力される前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、本発明のように、帯電手段が接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1および接触帯電手段3を容器に納めてプロセスカートリッジとしてこれらを一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図7では、電子写真感光体1、接触帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段7を一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールのような案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(電子写真感光体の作製例)
(電子写真感光体A−1の作製)
・支持体
長さ357.5mm、直径30mmの鏡面加工されたアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
・支持体の粗面化と評価
上記支持体にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて凹凸部を形成した。このとき、異なる配列マスクパターンを用いて、2度レーザ加工を行い、異なる周期を持つ粗さ形状を重畳した。
1度目のレーザ加工では、図8(i)に示すような、レーザ光透過部aが60(μm)間隔で配列しており、透過部aと遮蔽部bのマスクの厚みが連続的に変化している配列パターンを有するクロムマスクを用いた。レーザの照射エネルギーは2.2(J/cm)とし、1回照射あたりの照射面積は1.4(mm)四方とした。図6(iv)に示すように、支持体を回転させ、レーザ照射位置を支持体の軸方向にずらしつつレーザ照射を行った。
2度目のレーザ加工では、図8(ii)に示すような、レーザ光透過部の配列周期が12(μm)であること以外は1度目のレーザ加工に用いたのと同様のマスクを用いた。レーザの照射エネルギーは2.1(J/cm)とし、1回照射あたりの照射面積は1.4(mm)四方とした。図6(iv)に示すように、支持感光体を回転させ、レーザ照射位置を支持体の軸方向にずらしつつレーザ照射を行った。
得られた支持体の粗面形状を、操作型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察したところ、図2(i)(d)に示した形状と同様のものが形成されていることを確認できた。Rmk(L)を計算したところ、図2(ii)(d)に示したグラフと同様のものが得られた。結果を図9(i)に示す。Rmk は、算出長さLm=6.0μmにおいて、最大値0.057μmとなった。次に、Lm=0.6μmにおいて、0.038μmのRmkが得られていることから、Rmk,max が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、Rmk,max以下かつ Rmk,maxの3分の2以上のRmkが発現していることが判る。すなわち、ランダムネスの有る粗さ形状であった。また、Rmk,ave,l、Rmk,ave,s、Rmk,ave、Rmk,ave,mdr、はそれぞれ0.034(μm)、0.058(μm)、0.047(μm)、0.027(μm)であった。
得られた支持体の粗面形状の十点平均粗さRzと粗さ曲線要素の平均長さRsmを測定したところ、それぞれ0.73(μm)、4(μm)であった。測定はJIS−B0601(1994)に準じ、表面粗さ計サーフコーダー SE3500((株)小坂研究所製)を用い、送り速度0.1(mm/s)、カットオフλc0.08(mm)、測定長さ2.50(mm)の設定で行った。支持体の表面形状データを表1にまとめて示す。
得られた支持体の全反射率は波長780nmにおいて0.91であった。
・中間層の形成と評価
次に、上記支持体上に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4.5部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)1.5部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液を浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.4μmの中間層を形成した。
得られた中間層の表面形状を、走査型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察したところ、図2(i)(d)に示した形状と同様のものが形成されていることを確認できた。Rmk(L)を計算したところ、図2(ii)(d)に示したグラフと同様のものが得られ、Rmk の最大値Rmk,maxが発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、 Rmk,max以下かつ Rmk,maxの2分の1以上の Rmk が発現した。すなわち、ランダムネスの有る粗さ形状であった。また、Rmk,maxと Rmk,maxが発現する算出長さLm、Rmk,ave,l、Rmk,ave,s、Rmk,ave,mdrはそれぞれ0.51(μm)、6.0(μm)、0.031(μm)、0.052(μm)、0.042(μm)、0.024(μm)であった。中間層の表面形状データを表2にまとめて示す。
得られた中間層の表面形状の十点平均粗さRzと粗さ曲線要素の平均長さRsmを測定したところ、それぞれ0.66(μm)、4(μm)であった。測定はJIS−B0601(1994)に準じ、表面粗さ計サーフコーダー SE3500((株)小坂研究所製)を用い、送り速度0.1(mm/s)、カットオフλc0.08(mm)、測定長さ2.50(mm)の設定で行った。
また、別途、この中間層用塗布液を石英基板上へ膜厚3μmの厚さに塗布し、これを乾燥させることによって、屈折率測定用サンプルを作製した。この塗膜の屈折率をアッベ屈折率にて測定したところ、屈折率nは1.53であった。
・電荷発生層
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業(株)製)10部、ならびに、シクロヘキサノン350部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散し、酢酸エチル1200部を加え(このときの電荷発生物質のCAPA−700(堀場製作所(株)製)で測定した分散粒径は0.15μm)電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.14μmの電荷発生層を形成した。
中間層と同様にして屈折率測定用サンプルを作製し、屈折率を測定したところ、波長780nmにおける屈折率nは1.65であった。
・電荷輸送層
次に、下記式(16)で示される構造を有する化合物(正孔輸送物質)9部、
下記式(17)で示される化合物(正孔輸送物質)1部、
および、下記式(18)で示される繰り返し構造単位(ビスフェノールC型)を有するポリアリレート樹脂(テレフタル酸骨格とイソフタル酸骨格の質量比:テレフタル酸/イソフタル酸=50/50)5部
を、モノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン10部の混合溶媒に溶解させ正孔輸送層用塗布液とした。
この正孔輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを1時間110℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの正孔輸送層を形成した。
このようにして、支持体、導電層、中間層、電荷発生層および正孔輸送層をこの順に有し、該正孔輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
・透過率測定用サンプルの作製と評価
厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、長さ357.5mm、直径30mmの鏡面加工されたアルミニウムシリンダー上に巻きつけ、上述の中間層、電荷発生層、電荷輸送層を同様に塗工し、透過率測定用サンプルとした。
巻きつけたフィルムをアルミニウムシリンダー上から剥がし、何も塗工していないフィルムを参照として塗工皮膜の透過率を測定したところ、波長780nmにおける透過率(T)は0.484であった。同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に電荷発生層、電荷輸送層を塗工し、塗工皮膜の透過率を測定したところ、波長780nmにおける透過率(T)は0.494であった。
(電子写真感光体A−2の作製)
支持体の粗面化を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−2を作製した。
・支持体の粗面化
上記支持体にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて凹凸部を形成した。このとき、異なる配列マスクパターンを用いて、3度レーザ加工を行い、異なる周期を持つ粗さ形状を重畳した。
1度目のレーザ加工では、図8(i)に示すような、レーザ光透過部aが60(μm)間隔で配列しており、透過部aと遮蔽部bのマスクの厚みが連続的に変化している配列パターンを有するクロムマスクを用いた。レーザの照射エネルギーは 3.0(J/cm)とし、1回照射あたりの照射面積は 1.4(mm)四方とした。図6(iv)に示すように、支持体を回転させ、レーザ照射位置を支持体の軸方向にずらしつつレーザ照射を行った。
2度目のレーザ加工では、レーザ光透過部の配列周期が30(μm)であること以外は1度目のレーザ加工に用いたのと同様のマスクを用いた。レーザの照射エネルギーは 3.0(J/cm)とし、1回照射あたりの照射面積は 1.4(mm)四方とした。図6(iv)に示すように、支持体を回転させ、レーザ照射位置を支持体の軸方向にずらしつつレーザ照射を行った。
3度目のレーザ加工では、レーザ光透過部の配列周期が6(μm)であること以外は1度目のレーザ加工に用いたのと同様のマスクを用いた。レーザの照射エネルギーは 3.0(J/cm)とし、1回照射あたりの照射面積は 1.4(mm)四方とした。図6(iv)に示すように、支持体を回転させ、レーザ照射位置を支持体の軸方向にずらしつつレーザ照射を行った。
得られた支持体の表面形状を、操作型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察し、Rmk(L)を計算した結果を図9(ii)に示す。Rmk,maxは0.094、Rmk,maxが発現する算出長さLmは3.9μmであった。図9(ii)より、Rmk,maxが発現した算出長さに対して0.1倍以下である算出長さにおいて、Rmk,maxの3分の2以上のRmkが発現していることが判る。すなわち、ランダムネスの有る粗さ形状であった。
支持体の表面形状の評価値を表2に、また、中間層の表面形状の評価値を表3に示す。なお、表中数値の単位は[μm]である。
(電子写真感光体A−3の作製)
支持体の粗面化と中間層の形成を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−3を作製した。
・支持体の粗面化
照射エネルギーを3.0(J/cm)とした以外は電子写真感光体A−1と同様にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて基体に凹凸部を形成した。
・中間層の形成
膜厚を1.0μmとした以外は電子写真感光体A−1と同様に中間層を形成した。
(電子写真感光体A−4の作製)
支持体の粗面化と中間層の形成を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−4を作製した。
・支持体の粗面化
照射エネルギーを3.0(J/cm)とした以外は電子写真感光体A−1と同様にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて基体に凹凸部を形成した。
・中間層の形成
膜厚を1.8μmとした以外は電子写真感光体A−1と同様に中間層を形成した。
(電子写真感光体A−5の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを1.9(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−5を作製した。
(電子写真感光体A−6の作製)
電荷輸送層の形成を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−6を作製した。
・電荷輸送層
下記成分をモノクロロベンゼン600部、およびメチラール200部の混合溶媒中に溶解して、電荷輸送層用塗布液を調製した。
・上記化学式(16)で示される正孔輸送性化合物:70部
・ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製):100部
このように調製した電荷輸送層用塗布液を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を浸漬塗布し、温度120℃のオーブンで60分間加熱乾燥することにより、膜厚が18(μm)の電荷輸送層を形成した。
(電子写真感光体A−7の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを1.3(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−6と同様にして電子写真感光体A−7を作製した。
(電子写真感光体A−8の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを2.8(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−6と同様にして電子写真感光体A−8を作製した。
(電子写真感光体A−9の作製)
支持体の粗面化を行う際に用いたマスクを以下のものに替え、粗面化を行う際のレーザの照射エネルギーを1.9(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−9を作製した。
・1度目のレーザ加工:図8(i)と相似形状で、レーザ光透過部aの間隔を 60μmから150(μm)間隔に変更したもの。
・2度目のレーザ加工:図8(i)に示す形状のもの(レーザ光透過部の間隔60(μm))。
(電子写真感光体A−10の作製)
支持体の粗面化を行う際に用いたマスクを以下のものに替え、粗面化を行う際のレーザの照射エネルギーを1.9(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−2と同様にして電子写真感光体A−10を作製した。
・1度目のレーザ加工:図8(i)と相似形状で、レーザ光透過部aの間隔を 60μmから150(μm)間隔に変更したもの。
・2度目のレーザ加工:図8(i)に示す形状のもの(レーザ光透過部の間隔60(μm))。
・3度目のレーザ加工:図8(ii)に示す形状のもの(レーザ光透過部の間隔12(μm))。
(電子写真感光体A−11の作製)
支持体の粗面化と中間層の形成を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−9と同様にして電子写真感光体A−11を作製した。
・支持体の粗面化
照射エネルギーを2.7(J/cm)とした以外は電子写真感光体A−9と同様にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて基体に凹凸部を形成した。
・中間層の形成
膜厚を1.0μmとした以外は電子写真感光体A−9と同様に中間層を形成した。
(電子写真感光体A−12の作製)
支持体の粗面化と中間層の形成を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−9と同様にして電子写真感光体A−12を作製した。
・支持体の粗面化
照射エネルギーを2.7(J/cm)とした以外は電子写真感光体A−9と同様にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて基体に凹凸部を形成した。
・中間層の形成
膜厚を1.8μmとした以外は電子写真感光体A−9と同様に中間層を形成した。
(電子写真感光体A−13の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを1.7(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−13を作製した。
(電子写真感光体A−14の作製)
支持体の粗面化を行う際に用いたマスクを以下のものに替え、粗面化を行う際のレーザの照射エネルギーを1.9(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−6と同様にして電子写真感光体A−14を作製した。
・1度目のレーザ加工:図8(i)と相似形状で、レーザ光透過部aの間隔を 60μmから150(μm)間隔に変更したもの。
・2度目のレーザ加工:図8(i)に示す形状のもの(レーザ光透過部の間隔60(μm))。
(電子写真感光体A−15の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを1.2(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−14と同様にして電子写真感光体A−15を作製した。
(電子写真感光体A−16の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを2.5(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−14と同様にして電子写真感光体A−16を作製した。
(電子写真感光体A−17の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを2.9(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−17を作製した。
(電子写真感光体A−18の作製)
支持体の粗面化を行う際の照射エネルギーを2.8(J/cm)に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−18を作製した。
(電子写真感光体A−19の作製)
中間層を形成させなかった以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体A−19を作製した。
(電子写真感光体A−20の作製)
中間層を形成させなかった以外は電子写真感光体A−2と同様にして電子写真感光体A−20を作製した。
(電子写真感光体C−1の作製)
支持体の粗面化を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体C−1を作製した。
・支持体の粗面化
上記支持体にKrFエキシマレーザ(波長248(nm)、パルス幅17(ns))を用いて凹凸部を形成した。このとき、単一の配列マスクパターンを用いて、1度のみレーザ加工を行い、単一周期を持つ粗さ形状を重畳した。
レーザ加工では、図8(i)に示すような、レーザ光透過部aが60(μm)間隔で配列しており、透過部aと遮蔽部bのマスクの厚みが連続的に変化している配列パターンを有するクロムマスクを用いた。レーザの照射エネルギーは 3.6(J/cm)とし、1回照射あたりの照射面積は1.4(mm)四方とした。図6(iv)に示すように、支持体を回転させ、レーザ照射位置を支持体の軸方向にずらしつつレーザ照射を行った。
得られた支持体の表面形状を、操作型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察し、Rmk(L)を計算した結果を図9(iii)に示す。Rmk,maxは0.110、Rmk,maxが発現する算出長さLmは6.7μmであった。図9(iii)に示したグラフより、Rmkの最大値Rmk,maxが発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、Rmk,maxの3分の2以上のRmkが発現していないことが判る。すなわち、ランダムネスの無い粗さ形状であった。
(電子写真感光体C−2の作製)
支持体の粗面化を行う際に用いたマスクを図8(ii)に変更したものに替えた以外は電子写真感光C−1と同様にして電子写真感光体C−2を作製した。
(電子写真感光体C−3の作製)
支持体の粗面化を行う際に用いたマスクを図8(ii)と相似形状で、レーザ光透過部aの間隔を 12μmから150μm間隔に変更したものに替えた以外は電子写真感光C−1と同様にして電子写真感光体C−3を作製した。
(電子写真感光体C−4の作製)
支持体の粗面化を以下の様に変更した以外は電子写真感光体A−1と同様にして電子写真感光体C−4を作製した。
・支持体の粗面化
支持体に、湿式ホーニング処理装置(不二精機製造所(株)製)を用い、以下の条件にて凹凸部を形成した。
・液体ホーニング条件
研磨材砥粒:球状アルミナビーズ(商品名:CB−A30S 昭和電工株式会社製)
懸濁媒体:水
研磨材/懸濁媒体:1/9(体積比)
アルミニウム管の回転数:1.67s−1
エアー吹き付け圧力:0.165MPa
ガン移動速度:13.3mm/s
ガンノズルとアルミニウム管の距離:190mm
ホーニング砥粒吐出角度:45°
研磨液投射回数:1回
得られた支持体の表面形状を、操作型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察し、Rmk(L)を計算した結果を図9(iV)に示す。Rmk,maxは0.171、Rmk,maxが発現する算出長さLmは5.9μmであった。図9(iV)に示したグラフより、Rmkの最大値Rmk,maxが発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、Rmk,maxの3分の2以上のRmkが発現していないことが判る。すなわち、ランダムネスの無い粗さ形状であった。
(電子写真感光体C−5の作製)
ガンノズルとアルミニウム管の距離を150mmに変更した以外は電子写真感光体C−4と同様にして電子写真感光体C−5を作製した。
(電子写真感光体C−6の作製)
エアー吹き付け圧力を0.02MPaに変更した以外は電子写真感光体C−5と同様にして電子写真感光体C−6を作製した。
(電子写真感光体B−1の作製)
・支持体
長さ357.5mm、直径30mmの鏡面加工されたアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
・導電層
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散して、分散液を調製した。
・酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(SnOの被覆率(質量比率)は35%):73部
・フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%):27部
・1−メトキシ−2−プロパノール:45部
上記分散液に、粗し付与粒子として以下の材料を添加した。
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−102、積水化成品工業(株)製、平均粒径2μm):5部
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−104、積水化成品工業(株)製、平均粒径4μm)5部
さらに、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
得られた導電層の粗面形状を、操作型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察し、Rmk(L)を計算した結果を図9(V)に示す。グラフより、Rmk,maxが発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、Rmk,max以下かつRmk,maxの3分の2以上のRmkが発現していることが判る。すなわち、ランダムネスの有る粗さ形状であった。
上述の様に、導電層の表面のRzを測定したところ、0.85μmであった。中間層の表面形状データを表3にまとめて示す。
・中間層、電荷発生層、電荷輸送層の形成
次に、上記導電層上へ、中間層、電荷発生層、電荷輸送層を感光体A−1と同様に形成した。
(電子写真感光体B−2の作製)
感光体B−1の作製時において、導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−1と同様に感光体B−2を作製した。
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−103、積水化成品工業(株)製、平均粒径3μm):6部
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−104、積水化成品工業(株)製、平均粒径4μm):6部
(電子写真感光体B−3の作製)
感光体B−2の作製時において、導電層の膜厚を18μmとした以外は、感光体B−2と同様に感光体B−3を作製した。
(電子写真感光体B−4の作製)
感光体B−3の作製時において、導電層の膜厚を21μmに変更した以外は、感光体B−3と同様に感光体B−4を作製した。
(電子写真感光体B−5の作製)
感光体B−2の作製時において、導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−2と同様に感光体B−5を作製した。
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−102、積水化成品工業(株)製、平均粒径2μm):10部
(電子写真感光体B−6の作製)
感光体B−5の作製時において、導電層の膜厚を10μmに変更した以外は、感光体B−5と同様に感光体B−6を作製した。
(電子写真感光体B−7の作製)
粗し付与粒子を添加する前の分散液の調整方法を以下の様に変更した以外は、感光体B−4と同様にして感光体B−7を作製した。
・酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(SnOの被覆率(質量比率)は35%):68部
・フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%):32部
・1−メトキシ−2−プロパノール:45部
(電子写真感光体B−8の作製)
感光体B−7の作製時において、粗し付与粒子を添加する前の分散液の調整方法を以下の様に変更し、導電層の膜厚を15μmとした以外は、感光体B−7と同様に感光体B−8を作製した。
・酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(SnOの被覆率(質量比率)は35%):34部
・酸素欠損型SnO被覆BaSO粒子(SnOの被覆率(質量比率)は40%):34部
・フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%):32部
・1−メトキシ−2−プロパノール:45部
(電子写真感光体B−9の作製)
感光体B−8の作製時において、導電層の膜厚を21μmに変更した以外は、感光体B−8と同様に感光体B−9を作製した。
(電子写真感光体B−10の作製)
感光体B−9の作製時において、粗し付与粒子を添加する前の分散液の調整方法を以下の様に変更した以外は、感光体B−9と同様に感光体B−10を作製した。
・酸素欠損型SnO被覆BaSO粒子(SnOの被覆率(質量比率)は40%):68部
・フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%):32部
・1−メトキシ−2−プロパノール:45部
(電子写真感光体B−11の作製)
感光体B−10の作製時において、導電層の膜厚を26μmに変更した以外は、感光体B−10と同様に感光体B−11を作製した。
(電子写真感光体B−12の作製)
感光体B−7の作製時において、導電層の膜厚を20μmに変更した以外は、感光体B−7と同様に感光体B−12を作製した。
(電子写真感光体B−13の作製)
感光体B−4の作製時において、支持体を導電性樹脂シリンダーに変え、導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−1と同様に感光体B−13を作製した。
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−105、積水化成品工業(株)製、平均粒径5μm):10部
(電子写真感光体B−14の作製)
導電層の膜厚を20μmとした以外は感光体B−13と同様に感光体B−14を作製した。
(電子写真感光体B−15の作製)
導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−14と同様に感光体B−15を作製した。
・シリコーン樹脂粒子(商品名:KMP−590、信越シリコーン(株)製、平均粒径2μm):10部
(電子写真感光体D−1の作製)
感光体B−1の作製時において、導電層に粗し付与粒子を使用しなかった以外は、感光体B−1と同様に感光体D−1を作製した。
得られた支持体の表面形状を、操作型プローブ顕微鏡ネオス(ブルーカー・ナノ社製)で拡大観察し、Rmk(L)を計算した結果を図9(Vi)に示す。Rmk,maxは0.041、Rmk,maxが発現する算出長さLmは0.9μmであった。図9(iV)に示したグラフより、Rmkの最大値Rmk,maxが発現した算出長さに対して10倍以上である算出長さにおいて、Rmk,maxの3分の2以上のRmkが発現していないことが判る。すなわち、ランダムネスの無い粗さ形状であった。
(電子写真感光体D−2の作製)
感光体B−1の作製時において、導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−1と同様に感光体D−2を作製した。
・シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、平均粒径2μm):10部
(電子写真感光体D−3の作製)
感光体B−1の作製時において、導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−1と同様に感光体D−3を作製した。
・シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、平均粒径2μm):1.5部
(電子写真感光体D−4の作製)
感光体B−3の作製時において、導電層に使用した粗し付与粒子を以下の様に変更した以外は、感光体B−1と同様に感光体D−4を作製した。
・ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(商品名:SSX−103、積水化成品工業(株)製、平均粒径2μm):12部
(電子写真感光体D−5の作製)
感光体B−5の作製時において、酸素欠損型SnO被覆TiO粒子の分散時間を8時間から24時間に変更した以外は、感光体B−5と同様に感光体D−5を作製した。
(電子写真感光体D−6の作製)
感光体B−1の作製時において、導電層を以下の様に変更した以外は、感光体D−5と同様に感光体D−6を作製した。
・導電層
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで2時間分散して、分散液を調製した。
・シランカップリング剤による表面処理を施した酸化亜鉛(シランカップリング剤の被覆率(質量比率)は1.5%):60部
・ブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製):15部
・ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルウレタン(株)製):15部
・1−メトキシ−2−プロパノール:200部
上記分散液に、粗し付与粒子として以下の材料を添加した。
・シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、平均粒径2μm):9部
さらに、ジラウリン酸ジブチルすず(東京化成工業(株)製)0.023部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度170℃で40分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が18μmの導電層を形成した。
(電子写真感光体D−7の作製)
感光体D−6の作製時において、シランカップリング剤による表面処理を施した酸化亜鉛に変えて、以下のアリザリン染色酸化亜鉛を用い、シリコーン樹脂粒子の添加量を12部とした以外は感光体B−5と同様に感光体D−7を作製した。
アリザリン染色酸化亜鉛の作製は以下の通りである。
以下の材料を混合し、50℃にて5時間攪拌し、分散液を調整した。
・テトラヒドロフラン500部にシランカップリング剤による表面処理を施した酸化亜鉛(シランカップリング剤の被覆率(質量比率)は1.5%)100部を投入し攪拌させた混合液
・テトラトラヒドロフラン50部にアリザリン1部を溶解させた溶液
上記分散液を減圧濾過し、アリザリン染色された酸化亜鉛をろ別した後、60℃で減圧乾燥を行うことによりアリザリン染色酸化亜鉛を作製した。
(実施例1〜13,19〜36および比較例1〜8,10〜17
作製した電子写真感光体を、以下の評価装置に装着して画像出力を行った。
・画像出力装置
画像出力には、キヤノン株式会社製複写機「image RUNNER ADVANCEiR−ADV C5051」の改造機(1200DPIの1ラインを像露光として感光体に書き込めるよう改造)を用いた。この複写機のカラー画像出力用ドラムに対する帯電手段は、帯電ローラーを備えた接触帯電手段であり、帯電ローラーには直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。露光光(画像露光光)としては発振波長780nm、655nm、405nm、850nmの半導体レーザを用い、光量が可変となるようにした。
・干渉縞評価
干渉縞の有無は、上記の画像出力装置から出力された桂馬パターンハーフトーン画像の目視評価および感光体の反射スペクトルから判断した。反射スペクトル測定には反射分光膜厚計FE−3000(大塚電子株式会社製)を用いた。干渉縞評価は、以下のa〜eの5段階にランク付けした。評価結果を表4および表5に示す。
a:画像上干渉縞が全く確認されず、像露光の波長域における反射スペクトル強度にも波長揺らぎが見られない
b:画像上干渉縞が全く確認されず、反射スペクトル強度には波長揺らぎが確認される。c:画像上に干渉縞がわずかに観測される
d:干渉縞が観測され、実用上好ましくない画像
e:激しく干渉縞が発生し、実用的でない画像
また、図10(i)に、実施例1〜3、5〜9、および比較例7〜8について、横軸を露光レーザ波長、縦軸を Rmk,max/Tとしてプロットしたグラフを示す。図10(i)中のa、b、およびdは、上記定義した干渉縞評価のランクである。また、図10(i)中の直線は、下記式
において、n=0.15を代入したものである。
図10(i)より、下記式
を電子写真感光体を有する電子写真装置が満たすとき、確かに干渉縞の発生による画質劣化が起こっていないことが分かる。
また、図10(ii)に、実施例10〜13,19〜23、および比較例17について、
横軸を
とし(i=1)、縦軸を
としてプロットしたグラフを示す。図10(ii)中のa、b、およびdは、上記定義した干渉縞評価のランクである。また、図10(ii)中の直線は、下記式
において、n=0.62を代入したものである。
図10(ii)より、下記式
を電子写真感光体を有する電子写真装置が満たすとき、確かに干渉縞の発生による画質劣化が起こっていないことが分かる。
・カブリ、ポチ評価
カブリ、ポチ評価は、上記の画像出力装置からベタ白画像を出力し、紙上のカブリ・ポチを目視にて評価した。カブリ、ポチ評価は、以下のA〜Eの5段階にランク付けした。評価結果を表4および表5に示す。
A:カブリ、ポチの見られない、優れた画像
B:わずかにカブリ、ポチが散見されるが、良好な画像。
C:カブリ、ポチが観測される
D:カブリ、ポチの発生が大きい
E:カブリ、ポチの発生が非常に激しく、実用上好ましくない画像
・細線再現評価
細線再現性の評価は以下の手順で行なった。
まず、温度23℃/相対湿度50%環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように電位の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、ベタ黒の画像出力濃度がD=1.4となるように現像設定を行った上で、外部コントローラより出力解像度1200dpiの下記の各画像のチャートを出力した。
1ライン−2スペース画像(1L2S)
2ライン−4スペース画像(2L4S)
このようにして得られた出力画像を、光学顕微鏡により100倍に拡大して細線再現性を下記の基準に従って評価した。評価結果を表4および表5に示す。
5:(1L2S)の線幅に変動が見られない
4:(1L2S)の線幅にゆるやかな変動が見られる
3:(1L2S)の線幅に変動が見られ、欠けているように見える
2:(1L2S)の線幅に途切れが見られ、(2L4S)の線幅にゆるやかな変動が見られる
1:(2L4S)の線幅に変動が見られ、欠けているように見える
上述より、Rmk(L)によって規定した粗し形状を電荷発生層以下に持つ感光体を有することを特徴とする電子写真装置においては、干渉縞の発生を抑えつつ、カブリや黒ポチの画像欠陥の少ない画像を維持し、かつ細線再現性の高い電子写真装置を提供できていることが判る。
a・・・・レーザ光透過部
b・・・・レーザ光遮蔽部
c・・・・エキシマレーザ光照射器
d・・・・ワーク回転用モータ
e・・・・ワーク移動装置
f・・・・支持体
1・・・・電子写真感光体
2・・・・軸
3・・・・接触帯電手段
4・・・・露光光(画像露光光)
5・・・・現像手段
6・・・・転写手段
7・・・・クリーニング手段
8・・・・定着手段
9・・・・プロセスカートリッジ
10・・・案内手段
P・・・・転写材

Claims (7)

  1. 波長λのレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、
    該電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有しており、
    該導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、
    前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が、下記式(1)(式(1)中、Tは、前記レーザ光が前記導電性支持体に到達するまでの透過率を示す)を満たし、
    該導電性支持体上に接触して設けられた層を第1層とし、その上に接触して設けられた層を第2層として前記電荷発生層に至るまで名前付けした場合、
    前記平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、
    前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、前記最大値(Rmk,max)以下かつ前記最大値(Rmk,max)の3分の2以上のRmkが発現し、
    第i層と第i+1層(iは1以上の整数)との界面の形状が、下記式(2)
    (式(2)中、Ti+1は、前記レーザ光が前記導電性支持体上の第i層に到達するまでの透過率を示し、n、ni+1は、それぞれ前記導電性支持体上に接触して設けられた第i層と第i+1層の屈折率を示す)
    を満たすことを特徴とする電子写真装置。
  2. 波長λのレーザ光を発振するためのレーザ光源を有する露光手段、帯電手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を有する電子写真装置であり、
    該電子写真感光体は、樹脂導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で有しており、
    該樹脂導電性支持体を第0層とし、該樹脂導電性支持体上に接触して設けられた層を第1層とし、その上に接触して設けられた層を第2層として前記電荷発生層に至るまで名前付けした場合、
    前記樹脂導電性支持体は、表面形状が、平均局所高低差(Rmk)の算出長さ依存性を示すグラフにおいて、
    前記平均局所高低差(Rmk)の最大値(Rmk,max)が発現した算出長さに対して0.1倍以下或いは10倍以上である算出長さにおいて、前記最大値(Rmk,max)以下かつ前記最大値(Rmk,max)の3分の2以上のRmkが発現し、
    第i層と第i+1層(iは1以上の整数)との界面の形状が、下記式(2)
    (式(2)中、Ti+1は、前記レーザ光が前記樹脂導電性支持体上の第i層に到達するまでの透過率を示し、n、ni+1は、それぞれ前記樹脂導電性支持体上に接触して設けられた第i層と第i+1層の屈折率を示す)
    を満たすことを特徴とする電子写真装置。
  3. 前記導電性支持体が、金属支持体であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
  4. 前記導電性支持体または前記樹脂導電性支持体の表面のRmk,ave,mdrが、0.065μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  5. 前記電荷発生層と、該電荷発生層の下に接触して設けられた層との界面のRmk,ave,mdrが、0.065μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  6. 前記電荷発生層と、該電荷発生層の下に接触して設けられた層との界面のRmk,ave,mdrが、0.050μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真装置を製造する電子写真装置の製造方法であって、
    前記導電性支持体または前記樹脂導電性支持体の前記表面形状を形成する粗面化工程を有し、
    該粗面化工程が、複数回のレーザアブレーションを含むことを特徴とする電子写真装置の製造方法。
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