JP6036117B2 - 封止材シートの製造方法 - Google Patents
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Description
ポリエチレン系樹脂(A):密度0.900g/cm3以下で、JIS K7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.1g/10min以上1.0g/10min未満。
ポリエチレン系樹脂(B):密度0.900g/cm3以下で、JIS K7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1g/10min以上40g/10min未満。
前記ポリエチレン系樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量が5万以上10万以下である、(1)記載の封止材シートの製造方法。
前記原料架橋剤と前記架橋剤とが同一架橋剤である、(3)に記載の封止材シートの製造方法。
本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートを製造するための封止材シート組成物は、組成物中に、ポリエチレン系樹脂(A)と、ポリエチレン系樹脂(B)と、架橋剤と、所定の割合で含有する。
ベース樹脂となるポリエチレン系樹脂(B)は、好ましくは密度が0.900g/cm3以下の低密度ポリエチレン(LDPE)か、より好ましくは密度が0.900g/cm3以下の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.900g/cm3以下、好ましくは0.870〜0.890g/cm3の範囲である。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な透明性と耐熱性を付与することができる。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
ポリエチレン系樹脂(A)は、密度0.900g/cm3以下で、JIS K7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.1g/10min以上1.0g/10min未満であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が12万以上30万以下である。すなわち、密度はポリエチレン系樹脂(B)と同程度であるが、MFRはポリエチレン系樹脂(B)より低く、重量平均分子量はポリエチレン系樹脂(B)より高い。このようなポリエチレン系樹脂(A)を組成物中に含有させることで、透明性と熱流動性を改善できる。この理由は定かでないが、重量平均分子量が低いポリエチレン樹脂(B)に対して高いポリエチレン樹脂(A)を混合することにより、重量平均分子量の高いポリエチレン(A)を混合しないで成膜を行う場合よりも架橋反応の進行が遅れ、重量平均分子量の低いシートが形成される。これによって、重量平均分子量が僅かに低くなることで耐熱性が失われない程度に流動性が向上すると共に、添加してある重量平均分子量の高いポリエチレン(A)がシート冷却時に結晶成長を阻害する核剤のように働きHAZEが低下すると推定される。
本発明においては、従来知られている太陽電池モジュール用封止材シート組成物の一般的な架橋処理を行う場合とは異なり、太陽電池モジュール用封止材シート組成物に対する架橋剤の含有量が、一般的な架橋処理の場合よりも少ない特定の範囲の含有量となるように架橋剤を使用する。架橋剤の含有量は、太陽電池モジュール用封止材シート組成物中に0.02質量%以上0.5質量%未満であり、上限は好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。この範囲未満であると上記ポリエチレン系樹脂の弱架橋が進まず耐熱性が不足する。また、この範囲を超えると、成形中にゲルが発生する等して製膜性が低下し、透明性も低下する。
本発明においては、架橋助剤は任意成分である。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等であり、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。
封止材シート組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材シート組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シート組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
ゲル分率(%):架橋後封止材シート1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる。次いで、ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる。10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルを取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率とした。なお、多層フィルムである封止材シートのゲル分率については、全ての層が積層された多層状態のままで、上記処理を行い、得られた測定値を、当該多層の封止材シートのゲル分率とした。
次に、本発明の太陽電池モジュールの一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材シート層3、太陽電池素子4、背面封止材シート層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、少なくとも前面封止材シート層3に本発明の封止材シートを使用する。
以下の原料を使用した。
ベース樹脂:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)ペレットを用いた。
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるM−LLDPEの98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。
架橋剤マスターバッチ:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、架橋剤として2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5質量部を含浸させ、マスターバッチを得た。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
ベース樹脂70質量部、シラン変性透明樹脂20質量部、架橋剤マスターバッチ10質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、を組成物(A)とし、単層φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形してペレット化し、ポリエチレン系樹脂(A)を製造した。このポリエチレン系樹脂(A)の密度は0.880g/cm3、190℃でのMFRは0.24g/10分であった。
(実施例1)
ポリエチレン系樹脂(B)として上記のベース樹脂を用い、上記のポリエチレン系樹脂(A)5質量部、ポリエチレン系樹脂(B)(上記ベース樹脂)60質量部、シラン変性透明樹脂20質量部、架橋剤マスターバッチ10質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、を組成物とし、単層φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度(成膜温度)210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形して厚さ600μmの実施例1の封止材シートを製造した。
ポリエチレン系樹脂(A)10質量部、ポリエチレン系樹脂(B)(上記ベース樹脂)55質量部、シラン変性透明樹脂20質量部、架橋剤マスターバッチ10質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、を組成物とした以外は実施例1と同様にして厚さ600μmの実施例2の封止材シートを製造した。
ポリエチレン系樹脂(A)40質量部、ポリエチレン系樹脂(B)(上記ベース樹脂)25質量部、シラン変性透明樹脂20質量部、架橋剤マスターバッチ10質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、を組成物とした以外は実施例1と同様にして厚さ600μmの実施例3の封止材シートを製造した。
ポリエチレン系樹脂(A)を含有せず、ポリエチレン系樹脂(B)(上記ベース樹脂)70質量部、シラン変性透明樹脂20質量部、架橋剤マスターバッチ10質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、を組成物とした以外は実施例と同様にして厚さ600μmの比較例1の封止材シートを製造した。
(比較例2)
ポリエチレン系樹脂(A)60質量部、ポリエチレン系樹脂(B)(上記ベース樹脂)5質量部、シラン変性透明樹脂20質量部、架橋剤マスターバッチ10質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、を組成物とした以外は実施例1と同様にして厚さ600μmの比較例2の封止材シートを製造した。
実施例及び比較例の封止材シートについて、ヘーズ、凹凸追従性、130℃クリープを測定した。
2 透明前面基板
3 前面封止材シート層
4 太陽電池素子
5 背面封止材シート層
6 裏面保護シート
Claims (3)
- 密度0.900g/cm 3 以下の原料ポリエチレン系樹脂と、組成物中に0.02質量%以上0.5質量%未満含有する原料架橋剤と、を含む樹脂組成物を溶融成形して得られたものである下記のポリエチレン系樹脂(A)と、下記のポリエチレン系樹脂(B)とを質量比で5:95〜50:50の割合で含有し、更に、組成物中に0.02質量%以上0.5質量%未満の架橋剤を含有する樹脂組成物を溶融成形する、太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
ポリエチレン系樹脂(A):密度0.900g/cm3以下で、JIS K7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.1g/10min以上1.0g/10min未満。
ポリエチレン系樹脂(B):密度0.900g/cm3以下で、JIS K7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1g/10min以上40g/10min未満。 - 前記ポリエチレン系樹脂(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量が12万以上30万以下であり、
前記ポリエチレン系樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量が5万以上10万以下である、請求項1記載の封止材シートの製造方法。 - 前記原料ポリエチレン系樹脂と前記ポリエチレン系樹脂(B)とが同一であり、
前記原料架橋剤と前記架橋剤とが同一である、請求項1又は2に記載の封止材シートの製造方法。
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