JP6034765B2 - 電気接続部品用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

電気接続部品用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気自動車を始めとする電気を動力源とした各種電動輸送機器等に搭載されている電気機器(電池群、インバータ、モータ等)間または電気機器内部の部品間を、電気的に接続するバスバー等の電気接続部品に用いるアルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
電気自動車を始めとする電気を動力源とした各種電動輸送機器(ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気機関車等)には、電池群、インバータ、モータ等の各種の電気機器が搭載されている。そして、これらの電気機器間または電気機器内部の部品間を電気的に接続するにあたり、バスバー(bus−bar)と呼ばれる電気接続部品が使用されている。
このバスバーをボルト等の連結具により連結する場合、通電時の発熱によりバスバー1の連結部1a(図1参照)の変形(クリープ変形)が生じることにより、連結具の締め付けトルクが低下して、連結具が緩んだり外れたりするような事態が発生する。したがって、バスバー1は、高い耐クリープ性を備える必要がある。
また、電気機器の省スペース化(小型化)の要望を満たすため、バスバー1は、曲げ半径(R)が小さな湾曲部分を有する形状に設計される場合が多い。したがって、バスバー1は、曲げ加工性にも優れる必要がある。
さらに、バスバー1は、ボンディングワイヤ等の部材との接合が必要となる場合があり、当該場合は、バスバー1とボンディングワイヤの端部とを加圧しながら超音波を印加する超音波溶接といった方法が採用されている。ここで、バスバー1とボンディングワイヤとを強固に溶接するには、加圧する圧力および印加する超音波のパワーを大きくすればよいが、これらを大きくすると、バスバー1やボンディングワイヤが変形するといった不具合が生じてしまう。つまり、超音波溶接の溶接条件を制御するだけでは、溶接性の向上には限界がある。したがって、バスバー1自体を、溶接性の優れたものとする必要がある。
加えて、バスバー1は、電気を通さなければならないため、当然、導電性に優れる必要もある。
これまで、上記のような条件を満たすバスバー等の電気接続部品に関し、銅を主体とした素材について検討されてきた。
しかしながら、近年、自動車の燃費を低減するために、自動車の軽量化、そして、自動車に搭載される電気機器の軽量化が求められている。
上記の事情を勘案し、銅よりも軽量であるアルミニウム合金からなる電気接続部品が提案されている。
例えば、特許文献1には、成分組成を特定するとともに、導電率および調質の条件を特定した電気接続部品用のアルミニウム合金が開示されている。そして、特許文献1には、当該アルミニウム合金は、導電性に優れるとともに、耐クリープ性にも優れると記載されている。
また、特許文献2には、電気接続部品用ではなく放熱部品用のアルミニウム合金板に関する技術ではあるが、成分組成が特定された鋳塊に、所定条件の均質化熱処理、熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍を施すアルミニウム合金板の製造方法が開示されている。そして、特許文献2には、当該製造方法で製造されたアルミニウム合金板は、プリント基板に要求される曲げ加工性を有すると記載されている。
さらに、特許文献3、4には、電気接続部品用ではなく自動車パネル用のアルミニウム合金板に関する技術ではあるが、Al−Mg−Si系合金(JIS6000系のAl合金)の曲げ加工性を向上させるために、集合組織を制御してCube方位分布密度を所定値とする技術(特許文献3)や、全ての結晶粒間の粒界長さの合計に対し、方位差が20°以下となる結晶粒間の粒界長さを特定する技術(特許文献4)が開示されている。
特許第3557116号公報 特開2009−242813号公報 特開2005−298922号公報 特許第3749687号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、耐クリープ性の向上に着目した技術ではあるものの、曲げ加工性について全く考慮していない技術であることから(特許文献1の段落0010等参照)、当然、電気接続部品に要求される曲げ加工性を満足できなかった。したがって、特許文献1に開示された技術を電気接続部品に適用した場合、成形加工時に表面に曲げ割れが発生してしまう可能性がある。
また、特許文献2に開示された技術は、曲げ加工性の向上に着目した技術ではあるものの、耐クリープ性について全く考慮していない技術であることから(特許文献2の段落0001等参照)、当然、電気接続部品に要求される耐クリープ性を満足できなかった。したがって、特許文献2に開示された技術を電気接続部品に適用した場合、通電時の発熱によりバスバー1(電気接続部品1)の連結部1a(図1参照)が変形することで、連結部1aが部品から外れてしまう可能性がある。
なお、特許文献3、4に開示された技術は、特許文献2と同様、曲げ加工性については考慮しているが、耐クリープ性について全く考慮していない技術であるとともに、電気接続部品用ではなく自動車パネル用の技術である。したがって、特許文献3、4に開示された技術は、電気接続部品に要求される耐クリープ性を満足できるものではない。
そして、特許文献1〜4の記載からわかるように、アルミニウム合金板について、電気接続部品に要求される耐クリープ性と曲げ加工性とを両立させた技術は存在しない。
なお、この実情は、技術常識(金属から構成される板材の耐クリープ性を向上させるには強度を向上させる必要があるが、強度を向上させると板材の曲げ加工性が低下してしまう、つまり、耐クリープ性と曲げ加工性とはトレードオフの関係にある)に合致するものであり、当然のことであると考えられてきた。
さらに、特許文献1〜4に開示された技術は、電気接続部品とボンディングワイヤ等の部材との溶接性について全く考慮していない技術であることから、これらの技術を電気接続部品に適用したとしても、優れた溶接性を得られない可能性がある。
そこで、本発明は、導電性を保持しつつ、耐クリープ性および曲げ加工性に優れるとともに、さらに溶接性にも優れる電気接続部品用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の発明者らは、電気接続部品用アルミニウム合金板の板表面における圧延方向の平均結晶粒径や、成分組成等が、耐クリープ性、曲げ加工性、導電性に大きな影響を与えることを見出すとともに、電気接続部品用アルミニウム合金板の板表面の十点平均粗さ(Rzjis)が、溶接性を左右することを見出し、本発明を創出した。
すなわち、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、Si:0.3〜1.5質量%、Mg:0.3〜1.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、板表面における圧延方向の平均結晶粒径が150μm以下、十点平均粗さが4.0μm以下であり、導電率が45%以上、残留応力比が65%以上であることを特徴とする。
この電気接続部品用アルミニウム合金板によれば、SiおよびMgの含有量を所定範囲に特定していることから、耐クリープ性を向上させることができるとともに、曲げ加工性や、電気接続部品に要求される導電率も確保することができる。また、板表面における圧延方向の平均結晶粒径を所定値以下に特定していることから、曲げ加工性を向上させることができる。
さらに、この電気接続部品用アルミニウム合金板によれば、十点平均粗さ(Rzjis)を所定値以下に特定していることから、ボンディングワイヤ等の部材と接する表面が十分に滑らかとなるため、優れた溶接性を確保することができる。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、結晶方位分布関数解析による板表面のCube方位分布密度がランダム方位に対して20以上であることが好ましい。
この電気接続部品用アルミニウム合金板によれば、板表面のCube方位分布密度を所定値以上に特定していることから、より確実に、耐クリープ性を向上させるとともに、曲げ加工性を向上させることができる。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、Cu:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち少なくとも1種を含有してもよい。
この電気接続部品用アルミニウム合金板によれば、Cu、Fe、Tiの含有量を所定値以下に規制していることから、曲げ加工性の向上という効果を確保しつつ、耐クリープ性の向上という効果をさらに確実なものとすることができる。
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、前記した電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法であって、Si:0.3〜1.5質量%、Mg:0.3〜1.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を製造する鋳造工程と、前記鋳塊に500〜570℃、1〜24時間の均質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、前記均質化熱処理を施した鋳塊に圧延開始温度を350〜450℃とした複数のパスからなる圧延を施す熱間圧延工程と、500〜570℃、100秒以下保持する溶体化熱処理を施す溶体化熱処理工程と、を順に行う電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法であって、前記熱間圧延工程と前記溶体化熱処理工程との間、および、前記溶体化熱処理工程の後の少なくとも一方において冷間圧延を施す冷間圧延工程を含み、前記冷間圧延の総冷間加工率が35%以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、前記冷間圧延の総冷間加工率が20%以下であることが好ましい。
この電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法によれば、使用するアルミニウム合金の成分組成を特定し、均質化熱処理、熱間圧延および溶体化熱処理の条件を特定するとともに、所定の総冷間加工率で冷間圧延を施すことにより、当該製造方法により製造される電気接続部品用アルミニウム合金板の板表面のCube方位分布密度を所定値以上、平均結晶粒径および十点平均粗さ(Rzjis)を所定値以下とすることができる。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、前記各工程のうち最後の工程の後に、人工時効処理を施す人工時効処理工程を含んでもよい。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、前記アルミニウム合金が、Cu:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち少なくとも1種を含有してもよい。
この電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法によれば、使用するアルミニウム合金のCu、Fe、Tiの含有量を所定値以下に規制することにより、当該製造方法により製造される電気接続部品用アルミニウム合金板の曲げ加工性の向上という効果を確保しつつ、耐クリープ性の向上という効果をさらに確実なものとすることができる。
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、SiおよびMgの含有量を所定範囲に特定するとともに、板表面の平均結晶粒径および十点平均粗さ(Rzjis)を所定値以下に特定していることから、導電性を保持しつつ、耐クリープ性および曲げ加工性に優れるとともに、溶接性にも優れるので、電気接続部品として好適に使用することができる。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法によれば、使用するアルミニウム合金の組成を特定し、均質化熱処理、熱間圧延および溶体化熱処理の条件を特定するとともに、所定の総冷間加工率で冷間圧延を施すことにより、導電性を保持しつつ、耐クリープ性および曲げ加工性に優れるとともに、溶接性にも優れる電気接続部品用アルミニウム合金板を製造することができる。
本発明に係る電気接続部品の斜視図である。 (a)〜(c)は、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法のフローチャートである。 本発明の実施例における曲げ試験の方法を説明する模式図である。
以下、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板およびその製造方法を実施するための形態について、詳細に説明する。
[電気接続部品用アルミニウム合金板]
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板(以下、適宜、「アルミニウム合金板」という)は、所定量のSiおよびMgを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、板表面の平均結晶粒径および十点平均粗さ(Rzjis)が所定値以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、板表面のCube方位分布密度がランダム方位に対して所定値以上であることが好ましく、Cu、Fe、Tiの含有量が所定値以下であることが好ましい。
以下、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の各合金成分、平均結晶粒径、十点平均粗さ(Rzjis)、および板表面のCube方位分布密度について数値限定した理由を説明する。
(Si:0.3〜1.5質量%)
Siは、Mgとともに溶体化熱処理後の人工時効処理時に時効析出物を形成する。Siが高温環境下での転位の移動を阻害することで、耐クリープ性を向上させるため、Siは、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板に必須の元素である。
Siの含有量が0.3質量%未満では、所望の耐クリープ性を得られない。一方、Siの含有量が1.5質量%を超えると、粗大な晶出物、析出物が形成されて、特に曲げ加工性が劣化したり、導電性が低下したりしてしまう。
したがって、Siの含有量は0.3〜1.5質量%である。
なお、曲げ加工性と耐クリープ性の向上および導電性の確保という効果をより確実なものとするため、Siの含有量は0.4〜1.5質量%であることが好ましく、0.5〜1.3質量%であることがさらに好ましい。
(Mg:0.3〜1.0質量%)
Mgは、Siとともに溶体化熱処理後の人工時効処理時に時効析出物を形成する。Mgが高温環境下での転位の移動を阻害することで、耐クリープ性を向上させるため、Mgは、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板に必須の元素である。
Mgの含有量が0.3質量%未満では、所望の耐クリープ性を得られない。一方、Mgの含有量が1.0質量%を超えると、粗大な晶出物、析出物が形成されて、特に曲げ加工性を劣化させる。
したがって、Mgの含有量は0.3〜1.0質量%である。
なお、曲げ加工性と耐クリープ性の向上という効果をより確実なものとするため、Mgの含有量は0.5〜0.8質量%であることが好ましい。
(不可避的不純物)
不可避的不純物として、Cu、Fe、Ti等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Cu:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち少なくとも1種を含有してもよい。
理由としては、Cuの含有量が0.10質量%を超えると曲げ加工性が低下してしまうからである。また、Feの含有量が0.50質量%を超えると、曲げ加工性または耐蝕性が低下してしまうからである。また、Tiの含有量が0.10質量%を超えると、導電性が低下してしまうからである。
なお、Cu、Fe、Tiについては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
そして、Cu、Fe、Tiは、スクラップや再生地金(例えば、ブレージングシート等のクラッド材用のアルミニウム合金材の屑等)にある程度含有していることから、製造(溶解)時にスクラップや再生地金を、アルミニウム合金板におけるCu、Fe、Tiの含有量が前記範囲以下(または未満)となる程度で配合することができ、原料コストを低減することができる。
また、不可避的不純物として、本発明の効果を妨げない程度に、Cu、Fe、Ti以外の元素(例えば、Cr、Zn、Zr、V、Ni、Sn、In、Mn、Gaなど)がそれぞれ0.05質量%以下程度の範囲で含まれていてもよい。
(圧延方向の平均結晶粒径:150μm以下)
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、板表面における圧延方向の平均結晶粒径が、150μm以下とする。
圧延方向の平均結晶粒径が150μm以下であると、曲げ加工性を向上させ、曲げ加工時における表面の品質を向上させることができる。一方、圧延方向の平均結晶粒径が150μmを超えると曲げ加工時における表面に肌荒れや亀裂が発生する可能性が高くなる。
なお、圧延方向の平均結晶粒径については、曲げ加工性の向上という効果をより確実なものとするため、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。また、圧延方向の平均結晶粒径については、過度に小さくしようとすると、製造条件が厳しくなり生産性の低下を招くため、10μm以上が好ましい。
圧延方向の平均結晶粒径は、次の方法により測定することができる。
アルミニウム合金板の表面を0.05〜0.1mm機械研磨、電解エッチングし、水洗・乾燥した後に、光学顕微鏡にて100倍で写真撮影する。そして、この顕微鏡写真から圧延方向に切片法を用いて平均結晶粒径の値を算出する。なお、切片法を用いた測定では、1測定ライン長さを0.95mmとし、1視野当たり各3本で合計5視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとする。
なお、圧延方向の平均結晶粒径は、アルミニウム合金板の製造工程における熱間圧延開始温度、圧延終了温度等を制御することによって達成される。
(十点平均粗さ:4.0μm以下)
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、十点平均粗さ(Rzjis)が、4.0μm以下とする。なお、十点平均粗さとは、JISB0601:2001に規定されている粗さパラメータであり、基準長さにおける最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求めた値である。
十点平均粗さ(Rzjis)が4.0μm以下であると、超音波溶接といった溶接方法によりバスバー等の電気接続部品とボンディングワイヤ等の部材とを溶接する際、表面が十分に滑らかであることにより、溶接後の接合界面においてボイドの発生が抑制され、接合強度が低下しないことから、優れた溶接性を確保することができる。一方、十点平均粗さ(Rzjis)が4.0μmを超えると、バスバー等の電気接続部品とボンディングワイヤ等の部材とを溶接する際、接合界面においてボイドが発生し、接合強度の低下を招き、溶接性を低下させてしまう。
なお、十点平均粗さ(Rzjis)については、溶接性の向上という効果をより確実なものとするため、好ましくは3.0μm以下である。また、十点平均粗さ(Rzjis)については、小さければ小さいほど好ましい。
十点平均粗さ(Rzjis)は、JISB0601:2001の規定に準じて、市販の測定器を用いて測定することができる。
なお、十点平均粗さは、冷間圧延工程の冷間圧延ロール表面の十点平均粗さと総冷間加工率を制御することによって達成される。
(Cube方位分布密度:20以上)
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の板表面におけるCube方位分布密度はランダム方位に対して20以上とするのが好ましい。
板表面におけるCube方位分布密度が20以上であることにより、電気接続部品に要求される耐クリープ性と曲げ加工性とを確実に両立させることができる。一方、板表面におけるCube方位分布密度が20未満であると、曲げ加工性が若干低下してしまう。
なお、耐クリープ性および曲げ加工性の向上という効果をより確実なものとするため、Cube方位分布密度は、好ましくは30以上である。
なお、一般的な製造方法によれば、Cube方位分布密度は20未満となるが、これは板表面の結晶方位が比較的ランダムであることを示す。
一方、本発明が規定するように、Cube方位分布密度を20以上とすると、つまり、Cube方位が一定量以上集積すると、隣り合う結晶粒との方位差の小さい小角粒界の割合が大きくなり、変形時の粒界段差を小さく、あるいは生じなくさせる。
また、Cube方位においては、他の方位と比較して均一なすべり変形が可能になることからせん断帯の形成が抑制される。
この結果、曲げ加工の際に割れの起点あるいは伝播経路となる粒界段差や結晶粒内でのせん断帯形成が抑制されるため、Cube方位分布密度を20以上とすることにより、曲げ加工性を改善(向上)できる。
なお、過度にCube方位分布密度を高めようとすると、製造条件が厳しくなり生産性の低下を招くため、Cube方位分布密度は100以下であるのが好ましい。
また、Cube方位分布密度を20以上とすることで、同一レベルの耐力で比較した場合にも、電気接続部品に要求される耐クリープ性を良好にすることができる。この理由については必ずしも明確とはなっていないが、Cube方位はテイラー因子が小さく、転位の運動量が少ないことが知られており(崔祺ほか:軽金属,49(1999), P.583)、高温保持中の回復が抑制されることによるものと推定される。
本発明では、Cube方位分布密度を規定するに際し、結晶方位分布関数解析(以下、適宜、「ODF解析」という)によるCube方位分布密度で規定する。
ODF解析によるCube方位分布密度は、Cube方位をランダム方位(標準サンプルの無配向性のAl粉末試料)からの比(無次元)で表すため、広い範囲を定量的に表現できる。これに対し、積分強度による測定では、面内(100面)の回転方位を分離できないため、純粋なCube方位だけを抽出できない。
このアルミニウム合金板の板表面におけるODF解析によるCube方位分布密度の測定は、例えば、株式会社リガク製のX線回折装置[型式「リガクRAD−rX」(Ru−200B)]を用い、板表面を計測することで行なう。上記X線回折装置は不完全極点図によるODF解析が可能である。即ち、schluzの反射法により、{100}面、{111}面の不完全極点図を作成し、Bungeの反復級数展開法(positivity法)を適用してODF解析を実施し、Cube方位分布密度を求めることができる。
なお、アルミニウム合金板に曲げ加工を施す際における曲げ方向とCube方位(配向方向)との関係について、板のCube方位が板の曲げ方向と平行になるように(板の曲げ加工方向を素材板の圧延方向と平行あるいは直角にして)曲げ加工した場合には、変形中のCube方位が安定となり、良好な曲げ加工性が得られる。板のCube方位は90度回転しても同一の構造であるため、0度、90度の区別が無い。このため、板の曲げ加工方向を素材板の圧延方向と平行あるいは直角としても、Cube方位は同じ構造となり、良好な曲げ加工性が得られる。
ただし、板の圧延方向が板の曲げ方向と45度の方向になるなど、上記二つの方向以外の板の曲げ方向と板のCube方位(配行方向)との関係では、Cube方位は変形中に回転し、結晶方位がランダム化して、曲げ加工性が劣る可能性があるため、曲げ加工を施す際における板の曲げ方向は、上記二つの方向とすることが好ましい。
なお、板表面におけるCube方位分布密度の調整は、アルミニウム合金板におけるSiの含有量、Mgの含有量、アルミニウム合金板の製造工程における熱間圧延条件、および冷間圧延の総冷間加工率の規制によって達成される。
(導電率:45.0%IACS以上)
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の導電率は、45.0%IACS以上であるのが好ましい。
導電率が45.0%IACS以上であると、電気接続部品としての導電性能を確保することができる。一方、電気抵抗が高い、すなわち導電率が45.0%IACS未満であると、所望の電流を流すために電気接続部品の断面積を増加させる必要が生じ、部品重量の増加に繋がってしまう。
なお、導電率については、高ければ高いほどよく、好ましくは47.0%IACS以上、さらに好ましくは50.0%IACS以上である。
なお、導電率の調整は、アルミニウム合金板におけるSiの含有量、Mgの含有量、アルミニウム合金板の製造工程における均質化熱処理条件、溶体化熱処理条件、人工時効処理条件を制御することによって達成される。
なお、導電率を高くしすぎると、すなわち過度な固溶量減少および析出物粗大化が生じることにより耐クリープ性が低下する傾向にあるため、導電率は60%IACS以下であるのが好ましい。
(耐力:130MPa以上)
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の耐力(0.2%耐力)は、130MPa以上であることが好ましい。
耐力が130MPa以上であると、電気接続部品に要求される耐クリープ性を確保することができる。一方、耐力が130MPa未満であると、耐クリープ性が低下してしまう。
なお、耐クリープ性の確保という効果をより確実なものとするため、耐力は、好ましくは175MPa以上、さらに好ましくは180MPa以上である。
なお、耐力の調整は、アルミニウム合金板におけるSiの含有量、Mgの含有量、アルミニウム合金板の製造工程における均質化熱処理条件、溶体化処理条件および人工時効処理条件によって達成される。
(電気接続部品)
電気接続部品とは、複数の部材を電気的に接続する部品である。具体的には、電気接続部品とは、電気を動力源とした各種電動輸送機器等に搭載されている、電池群、インバータ、モータ等の各種の電気機器間または電気機器内部の部品間を電気的に接続するバスバーである。また、電気接続部品とは、ボンディングワイヤ等の部材を表面に接合することが要求される部品でもある。
そして、電気接続部品は、形状について特に限定されないが、所定の厚さを有するとともに、板状・角材状を呈する部品である。例えば、電気接続部品は、図1に示すような形状を呈する部品である。
ここで、アルミニウムは銅よりも導電率が低いことから、導電性能を確保するために、アルミニウム合金製の電気接続部品は、銅製の電気接続部品と比較して断面積を大きくしなければならない。部品の設置面積を考慮した場合には部品の幅寸法の増加は困難な場合が多く、板厚が増加することとなる。一般的に板厚が増加した場合には、曲げ表面での変形量が大きくなることから、アルミニウム合金から構成される電気接続部品には、曲げ加工時における曲げ割れの発生という問題が生じる、つまり、曲げ加工性を向上させなければならないという課題が明確に現れることとなる。
言い換えると、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板は、厚さが1.5mm以上、特に、1.8〜5.0mmの電気接続部品に適用するのが好ましく、顕著な効果(耐クリープ性および曲げ加工性の両立という効果)を発揮することとなる。
[人工時効処理が施される前の状態の電気接続部品用アルミニウム合金板]
ここまで、人工時効処理が施された後の状態のアルミニウム合金板(以下、適宜、「人工時効処理後のアルミニウム合金板」という)を説明したが、人工時効処理の前後において、各合金成分は勿論のこと、前記した平均結晶粒径、十点平均粗さ、Cube方位の値についてもほとんど変化しない。
よって、人工時効処理が施される前の状態のアルミニウム合金板(以下、適宜、「人工時効処理前のアルミニウム合金板」という)であっても、前記した要件をみたせば、人工時効処理後のアルミニウム合金板として示した効果と同様の効果を奏することができる。
なお、人工時効処理前のアルミニウム合金板は、人工時効処理後のアルミニウム合金板よりも成形し易いことから、人工時効処理前のアルミニウム合金板を購入したユーザーが、所望の成形処理を施した後で後記する人工時効処理を施す、という使用態様が考えられる。
次に、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法について図2を参照しながら説明する。
[電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法]
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、鋳造工程S1と、均質化熱処理工程S2と、熱間圧延工程S3と、溶体化熱処理工程S4と、を含むとともに、冷間圧延工程SR(SR1、SR2)を、熱間圧延工程S3と溶体化熱処理工程S4との間、および、溶体化熱処理工程S4の後の少なくとも一方に含むことを特徴とする。また、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、さらに人工時効処理工程S5を含むことが好ましい。
以下、前記各工程を中心に説明する。
(鋳造工程)
鋳造工程S1では、前記の成分組成であるアルミニウム合金を溶解し、DC鍛造法等の公知の鋳造法により鋳造し、アルミニウム合金の固相線温度未満まで冷却して厚さ400〜600mm程度の鋳塊とし、必要に応じて面削を行う。
(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程S2では、鋳造工程S1で鋳造した鋳塊を圧延する前に、所定温度で均質化熱処理(均熱処理)を施す。鋳塊に均質化熱処理を施すことによって、内部応力が除去され、鋳造時に偏析した溶質元素が均質化され、また、鋳造冷却時やそれ以降に析出した金属間化合物が成長する。
均質化熱処理工程S2における熱処理温度(鋳塊温度)は500〜570℃である。熱処理温度が500℃未満では、鋳造時に晶出したSiあるいはMgが未固溶のまま残存し、溶体化熱処理および人工時効処理後に適度な析出物分布を得ることができず、耐力および耐クリープ性が低下する。一方、570℃を超えると、鋳塊の表面で局部的な溶融(バーニング)が生じてしまう。さらに好ましくは、560℃以下である。
均質化熱処理工程S2における熱処理時間(保持時間)は、均質化を完了させるためには1時間以上であればよく、製造効率の点から24時間以下であればよい。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程S3では、均質化された鋳塊を熱間圧延する。このときの圧延開始温度を350〜450℃とする。そして、複数のパスからなる熱間圧延を施すことで、所望の板厚の熱間圧延板(ホットコイル)とする。
(均質化熱処理後の冷却の態様)
ここで、均質化熱処理後に、熱間圧延を開始する350〜450℃の温度範囲まで冷却する際の態様は、この温度範囲まで直接冷却し、この温度範囲で熱間圧延を開始してもよい(以下、2段均熱とも言う)。また、350℃以下の温度範囲まで冷却し、その後更に、熱間圧延を開始する350〜450℃の温度範囲まで再加熱して、この温度範囲で熱間圧延を開始してもよい(以下、2回均熱とも言う)。
熱間圧延開始温度が450℃を超えた場合、曲げ加工時の肌荒れの原因となる。また、熱間圧延開始温度が350℃未満では、熱間圧延自体が困難となる。
後記するように、本発明では熱間圧延後(または溶体化熱処理後)に冷間圧延を低い加工率(総冷間加工率)で施すことを特徴とするため、熱間圧延板の組織制御が非常に重要である。特に、熱間圧延中に生じた再結晶粒は粗大となりやすく、この組織が溶体化熱処理後にも維持されるため、曲げ加工時の肌荒れの原因となることを見出した。熱間圧延開始温度を450℃以下とすることで、熱間圧延中の再結晶を抑制でき、その後の溶体化熱処理後の結晶粒径を所定値以下とすることができる。加えて、均質化熱処理後、熱間圧延開始温度までの冷却中に、鋳塊内にはMgSi化合物が形成され、このMgSi化合物が熱間圧延時および溶体化熱処理時の再結晶粒の核生成サイトとして働くため、結晶粒径を微細化することができる。
均質化熱処理後、熱間圧延開始温度範囲までの冷却速度は特に規定しないが、望ましくは20〜200℃/hの範囲である。冷却速度が20℃/h未満となると、MgSi化合物が粗大となるため、所望の強度を得るためにこれを再固溶させようとすると、溶体化熱処理が長時間必要となり、生産性が低下する。
一方、冷却速度が200℃/hを超えると、鋳塊内での温度分布が不均一となり、熱収縮による変形やソリなどの異常が生じる新たな問題が発生する可能性もある。
また、冷却速度が速すぎると、均質化熱処理後、熱間圧延開始温度範囲まで冷却する間に形成されるMgSi化合物の平均サイズが小さくなりすぎ、再結晶粒の核生成サイトとしての必要な、直径が2μm以上の比較的粗大なMgSi化合物を、適当な数だけ分布させることができなくなるおそれがある。
(均質化熱処理後の冷却手段)
鋳塊を冷却する方法としては、例えば均熱炉内または炉外での強制ファン空冷、接触冷却、ミストやスプレーによる冷却がある。
熱間圧延終了温度は特に規定しない。ただし、熱間圧延終了温度を特に300℃以上に高温化することで、その後の溶体化処理後の表面におけるCube方位分布密度を高めることができる。
(溶体化熱処理工程)
溶体化熱処理工程S4では、熱間圧延工程S3で製造した圧延板、または、後記する冷間圧延工程SR1で製造した圧延板を溶体化熱処理する。ここで、溶体化熱処理工程S4における熱処理温度(鋳塊温度)は500〜570℃である。熱処理温度が500℃未満では、未固溶のSiあるいはMgが残存するため、溶体化熱処理および人工時効処理後に適度な析出物分布を得ることができず、所望の耐力および耐クリープ性を得ることができない。一方、570℃を超えると、板表面で局部的な溶融(バーニング)が生じてしまう。さらに好ましくは、520〜550℃である。
溶体化熱処理工程S4における前記熱処理温度での保持時間については、100秒以内(0秒でもよい)である。100秒を超えると、その効果が飽和するとともに生産性が低下してしまうからである。
溶体化熱処理工程S4において、200℃から前記熱処理温度までの昇温速度は5℃/s以上であることが好ましく、前記熱処理温度から200℃までの降温速度は10℃/s以上であることが好ましい。
昇温速度を前記速度以上とすることにより、Cube方位が適切に発達するのをより確実なものとすることができる。また降温速度を前記速度以上とすることにより、所望の強度を確実に得ることができる。
(冷間圧延工程)
冷間圧延工程SRは、図2(a)に示すように、熱間圧延工程S3→冷間圧延工程SR1→溶体化熱処理工程S4→冷間圧延工程SR2→という順序で2回行ってもよいし、図2(b)に示すように、熱間圧延工程S3→冷間圧延工程SR1→溶体化熱処理工程S4→という順序で1回行ってもよいし、図2(c)に示すように、熱間圧延工程S3→溶体化熱処理工程S4→冷間圧延工程SR2→という順序で1回行ってもよい。
そして、冷間圧延工程SR(SR1、SR2)では、熱間圧延工程S3後、または、溶体化熱処理工程S4後の圧延板に再結晶温度以下(例えば、常温)で圧延を施す。
冷間圧延工程SRにおける総冷間加工率は、35%以下である。総冷間加工率が35%を超えると、曲げ加工性の低下を招いてしまう。
特に、総冷間加工率が20%以下になると、製造されるアルミニウム合金板のCube方位分布密度がランダム方位に対して20以上となり、電気接続部品に要求される耐クリープ性と曲げ加工性とを確実に両立させることができる。
よって、冷間圧延工程SRにおける総冷間加工率は、好ましくは20%以下である。
なお、アルミニウム合金板の表面の十点平均粗さを所望の値まで小さくできれば、総冷間加工率は0%であってもよいが、十点平均粗さを確実なものとするため、好ましくは1%以上であり、より好ましくは5%以上である。
なお、冷間圧延工程SRで使用する冷間圧延ロールの表面は、アルミニウム合金板の十点平均粗さを左右する一因となる。詳細には、アルミニウム合金板の十点平均粗さを小さくするため、冷間圧延ロールの表面の十点平均粗さは、小さければ小さいほど好ましい。
ここで、総冷間加工率とは、冷間圧延工程SR(SR1、SR2)における合計の圧下率であり、「総冷間加工率(%)=(熱間圧延工程S3後の板厚−人工時効処理工程S5後の板厚)/熱間圧延工程S3後の板厚×100」で算出することができる。
なお、前記式において、「人工時効処理工程S5後の板厚」については「人工時効処理工程S5前の板厚」を用いてもよい。
(人工時効処理工程)
人工時効処理工程S5では、溶体化熱処理工程S4で溶体化熱処理を施した圧延板、または、冷間圧延工程SR2で冷間圧延を施した圧延板に、所定温度・所定時間で人工時効処理を施す。
人工時効処理工程S5における熱処理温度については、特に限定されないが150〜250℃であることが好ましい。150℃未満であると所望の耐力、耐クリープ性を得ることができず、250℃を超えると析出物が粗大化して耐力、耐クリープ性が低下するからである。また、熱処理時間についても、特に限定されないが1〜30時間であることが好ましい。1時間未満であると特に量産時を想定した場合にはコイルあるいはシート内での不均一な温度分布を生じ、材料特性が不安定となりやすい。生産性を考慮して30時間を上限とする。
本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、人工時効処理工程S5の後に、アルミニウム合金板を所定の大きさに裁断する裁断工程や、図1に示すような所定の形状に加工(曲げ加工、穴抜き加工等)する加工工程を含めてもよい。また、人工時効処理工程S5の前に、裁断工程、加工工程を含めてもよい。
また、前記各工程において、明示していない条件については、従来公知の条件を用いればよく、前記各工程での処理によって得られる効果を奏する限りにおいて、その条件を適宜変更できることは言うまでもない。
次に、本発明に係る電気接続部品用アルミニウム合金板およびその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[供試材の作製]
表1に示す組成のアルミニウム合金(合金1〜19)を、溶解し、半連続鋳造にて鋳塊を作製し、面削処理をした。この鋳塊に、表2に示す条件で均質化熱処理を行ったのち、圧延率99%の熱間圧延を施して、熱間圧延板とした。その後、冷間圧延を施し(一部の供試材を除く)、表2に示す条件で溶体化熱処理を行った。そして、溶体化熱処理後、冷間圧延を施し(一部の供試材を除く)、200℃、4時間保持する人工時効処理を施すことで(供試材27は施さない)、供試材(厚さ2.0mm)を作製した。
なお、供試材1〜6および16〜20については、均熱を2段均熱で行い、供試材7〜15、21、22、24〜26については、均熱を2回均熱で行った。
[評価]
(十点平均粗さ)
十点平均粗さ(Rzjis)の測定は、株式会社東京精密製の接触式粗さ測定機(サーフコム480A)を用いるとともに、JISB0601:2001の規定に準じて行った。測定条件は、カットオフ値を0.8mm、評価長さを8.0mm、測定速度を0.6mm/s、接触針先端半径を2μmRとして、測定は供試材の表面において圧延方向に対して垂直方向に、異なる3箇所で行い、得られた各粗さ曲線から十点平均粗さ(Rzjis)を求め、その平均値を供試材の十点平均粗さ(Rzjis)とした。
(平均結晶粒径の測定)
供試材の表面を0.05〜0.1mm機械研磨、電解エッチングし、水洗・乾燥した後に、光学顕微鏡にて100倍で写真撮影した。そして、この顕微鏡写真から圧延方向に切片法を用いて平均結晶粒径の値を算出した。なお、切片法を用いた測定では、1測定ライン長さを0.95mmとし、1視野当たり各3本で合計5視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとした。
(Cube方位分布密度)
作製した供試材の表面を、株式会社リガク製のX線回折装置[型式「リガクRAD−rX」(Ru−200B)]を用いて計測することで、ランダム方位に対するCube方位分布密度を求めた。当該X線回折装置を用いて不完全極点図によるODF解析を行った。詳細には、schluzの反射法により、{100}面、{111}面の不完全極点図を作成し、Bungeの反復級数展開法(positivity法)を適用してODF解析を実施し、Cube方位分布密度を求めた。
(引張試験)
供試材から引張方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号の試験片を切り出した。この試験片を用いて、JISZ2241:2011に準拠して引張試験を実施し、引張強さ、耐力(0.2%耐力)、および伸びを測定した。
なお、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
(導電率)
導電率の測定は、日本フェルスター株式会社製の渦流導電率測定装置[型式「シグマテストD2.068」]によって測定した。また、導電率の測定は、供試材表面の互いに間隔を100mm以上開けた任意の5箇所で行った。そして、本発明における導電率は、測定された各導電率を平均化したものとした。この導電率の値が45.0%IACS以上であると、電気接続部品としての導電性能を確保できると評価した。
(曲げ加工性)
供試材から試験片長手方向が圧延方向と一致するようにJIS3号(JISZ2204)の試験片を切り出した。この試験片を、JISZ2248:2006に準拠してVブロック法により曲げ試験を実施し(図3参照)、曲げ加工性を評価した。なお、曲げ試験は、θ(曲げ角度):90°、r(内側曲げ半径):0mm、t(供試材板厚):2mmという条件で実施した。
曲げ試験後の曲げ部(湾曲部、幅:30mm)の割れの発生状況を観察し、5枚の試験片のうち、全ての試験片において肌荒れおよび割れとも発生しなかったものを極めて良好(○)、いずれか1枚以上に許容レベルのわずかな肌荒れまたは割れが生じたものを良好(△)、顕著な肌荒れまたは亀裂長さ2mm以上の割れが1枚以上に発生したもの(×)、または亀裂長さ2mm以上の割れが5枚すべてに生じたもの(××)を不良と評価した。
(残留応力比)
残留応力比は、日本電子材料工業会標準規格EMAS−3003に記載の片持ち梁方式により測定した。
詳細には、試験片長手方向が圧延方向に対して直角となるように幅10mm、長さ250mmの短冊状の試験片(供試材板厚:2mm)を切り出した。その試験片の一端を剛体試験台に固定した。試験片に、スパン150mm、初期変形量(δ0=10mm)を付与し、その状態のまま120℃で100時間保持した後、応力を除去して試験片の変形量(ε)を測定した。残留応力比は、「残留応力比=(δ0−ε)÷δ0×100」で求めた。この残留応力比の値が65%以上のものを、高温時の持続的な応力により変形する現象(クリープ)に対して耐える性能を有する、つまり、電気接続部品に要求される耐クリープ性を有すると評価した。
(溶接性)
供試材表面の十点平均粗さ(Rzjis)が大きな値を示すと、超音波溶接といった溶接方法により供試材(電気接続部品)とボンディングワイヤ等の部材とを溶接する際、接合界面においてボイドが発生し、接合強度の低下を招き、溶接性が低下してしまう。
ここで、供試材表面の十点平均粗さ(Rzjis)が4.0μm以下であると、ボイドの発生を十分に抑制し接合強度の低下を回避できることから、Rzjisが4.0μm以下のものを溶接性が良好(○)、Rzjisが4.0μmを超えるものを溶接性が不良(×)と評価した。
詳細なアルミニウム合金の成分、供試材の製造条件、および材料特性(試験結果)を表1または表2に示す。なお、表1、2において、本発明の構成を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 0006034765
Figure 0006034765
[結果の検討]
供試材1〜15については、本発明の規定する要件を満たしていることから、内曲げR=0mmと非常に厳しい曲げ加工条件とした場合にも、曲げ加工性が良好(△)以上という評価となるとともに、電気接続部品に要求される耐クリープ性を有するという評価となった。さらに、供試材1〜15については、溶接性に優れるとともに、導電率についても電気接続部品に要求されるレベルを満たすという評価となった。
その中でも、供試材1〜10、14、15は、総冷間加工率が20%以下であり、Cube方位分布密度について本発明の規定する要件を満たしていたことから、曲げ加工性が極めて良好(○)という結果となった。
供試材16(合金11)は、Siの含有量が本発明で規定する数値範囲の下限値未満であるとともに、平均結晶粒径が大きかったため、曲げ加工性が不良であり、また、耐力が所定値以上とならず、その結果、耐クリープ性に優れないという評価となった。
供試材17(合金12)は、Siの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えていたため、導電率が低いとともに、耐クリープ性に優れないという結果となった。
供試材18(合金13)は、Mgの含有量が本発明で規定する数値範囲の下限値未満であるとともに、平均結晶粒径が大きかったため、曲げ加工性が不良であり、また、耐力が所定値以上とならず、その結果、耐クリープ性に優れないという評価となった。
供試材19(合金14)は、Mgの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えていたため、曲げ加工性が不良という結果となった。
供試材20(合金15)は、Cuの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えていたため、曲げ加工性が不良という結果となった。
供試材21(合金16)は、Feの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えていたため、曲げ加工性が不良という結果となった。
供試材22(合金17)は、Tiの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えていたため、導電率が45.0%IACS未満となり、導電率が不良という結果となった。
供試材23は、均質化熱処理の熱処理温度が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えてしまったため、バーニングが発生してしまい、以降の製造および試験を行うことができなくなった。
供試材24は、溶体化熱処理の熱処理温度が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えてしまったため、バーニングが発生してしまい、以降の製造および試験を行うことができなくなった。
供試材25は、平均結晶粒径が大きかったことから、曲げ加工性が不良という結果となった。
供試材26は、冷間圧延を施さなかったため、十点平均粗さが本発明で規定する数値範囲の上限値を超えてしまい、溶接性に優れないという結果となった。
供試材27(合金18)は、Cuの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えているとともに、平均結晶粒径が大きかったため、曲げ加工性が不良(××)という結果となった。
また、供試材28(合金19)は、Cuの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限値を超えていたため、曲げ加工性が不良(××)という結果となった。
なお、供試材27は、特許文献2に記載されたアルミニウム合金板を想定したものであり、供試材28は、特許文献1に記載されたアルミニウム合金板を想定したものである。
幾つかの供試材については、人工時効処理後の状態だけでなく、人工時効処理前の状態で、Rzjis、平均結晶粒径、Cube方位分布密度を測定したが、人工時効処理前後において、各測定値はほとんど同じ値を示した。
1 バスバー(電気接続部品)
1a 連結部

Claims (7)

  1. Si:0.3〜1.5質量%、Mg:0.3〜1.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、
    板表面における圧延方向の平均結晶粒径が150μm以下、十点平均粗さが4.0μm以下であり、
    導電率が45%以上、残留応力比が65%以上であることを特徴とする電気接続部品用アルミニウム合金板。
  2. 結晶方位分布関数解析による板表面のCube方位分布密度がランダム方位に対して20以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気接続部品用アルミニウム合金板。
  3. Cu:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気接続部品用アルミニウム合金板。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法であって、
    Si:0.3〜1.5質量%、Mg:0.3〜1.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を製造する鋳造工程と、
    前記鋳塊に500〜570℃、1〜24時間の均質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、
    前記均質化熱処理を施した鋳塊に圧延開始温度を350〜450℃とした複数のパスからなる圧延を施す熱間圧延工程と、
    500〜570℃、100秒以下保持する溶体化熱処理を施す溶体化熱処理工程と、
    を順に行う電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法であって、
    前記熱間圧延工程と前記溶体化熱処理工程との間、および、前記溶体化熱処理工程の後の少なくとも一方において冷間圧延を施す冷間圧延工程を含み、前記冷間圧延の総冷間加工率が35%以下であることを特徴とする電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 前記冷間圧延の総冷間加工率が20%以下であることを特徴とする請求項4に記載の電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法。
  6. 前記各工程のうち最後の工程の後に、人工時効処理を施す人工時効処理工程を含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法。
  7. 前記アルミニウム合金は、Cu:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の電気接続部品用アルミニウム合金板の製造方法。
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