JP6030846B2 - 絞り羽根の製造方法 - Google Patents
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Description
図2に従って第1基板組1と羽根組2の構成について説明する。第1基板組1は地板11と第1摺動リング15とで構成され、羽根組2は複数の絞り羽根21a〜21iで構成されている。
第1摺動リング15は、地板の羽根支持面11xと絞り羽根21との間に介在し、絞り羽根21が直接地板11と接触するのを避ける。このため摺動部材15はリング形状に形成され、以下これを摺動リングという。この第1摺動リング15は中央部に光路開口12を有するリング形状に形成されている。図示の第1摺動リング15は地板11と略々同一の平面形状に形成している。
羽根組2は、複数の絞り羽根21a〜21iで構成されている。図示の絞り羽根21は、9枚の絞り羽根で構成され、各絞り羽根21は同一形状に形成されている。
本発明の特色は羽根端面21uの形状にある。図5(b)は図5(a)のb−b線断面における羽根端面21uを模式的に示したものである。羽根端面21uの断面形状について一言すれば、光軸O(光路開口12の中心)に対して平行な面がない(若しくは平行な面の面積が極めて小さい)点にあるが、詳しくは、次のとおりである。
各絞り羽根21には、図10(a)に示すように第1の突起(ガイドピン)22と第2の突起(作動ピン)23が表裏に植設されている。ガイドピン22は各絞り羽根21に地板11側に面する位置に配置され、作動ピン23はその反対面(後述する第2基板側)に配置されている。ガイドピン22は後述するように地板11のガイド溝13と、第1摺動リング15のガイド溝16に嵌合し、作動ピン23は後述する作動部材31の嵌合孔33に嵌合する。なお、図示24は絞り羽根21に第1の突起22および第2の突起23を植設(例えば溶融接着)する際の位置決め孔であり、羽根外形状と第1の突起22および第2の突起23の植設位置を設定する。
次に、上述した羽根端面21uを有する絞り羽根21の製造方法について説明する。本実施形態に用いられる絞り羽根21は、(1)準備ステップ、(2)セットステップ、(3)加工ステップ、(4)端面形成ステップおよび(5)ピン植設ステップを経て製造される。以下、順に説明する。
準備ステップでは、絞り羽根21の材料となる羽根部材を準備する。本実施形態では、羽根部材は、表面処理(サンドブラスト処理および導電、摺動処理)が施された所定厚(例えば、厚さ60μm)の樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートにカーボンブラックを添加した黒色PETの樹脂フィルム、本例ではソマール株式会社製のソマブラックシリーズのMDVDを使用、http://www.somar.co.jp/products/03_14.html参照)を抜き型で抜くことで製造される。このとき、上述した位置決め孔24も形成される。従って、準備される羽根部材は第1の突起22と第2の突起23が植設されておらず、上述した羽根端面21uが形成されていないものである。羽根部材に表面処理が施されているのは、絞り羽根21の摺動性、遮光性を向上させるためである。なお、本例では厚さ60μmの羽根部材を例示したが、本発明はこれに制限されることなく、厚さ80μm以下の羽根部材(絞り羽根21)に適用可能である。
次に、セットステップでは、端面形成装置のセット面に、準備ステップで準備した羽根部材をセットする。
次いで、加工ステップでは、セット面351に対して垂直な垂直面322と該垂直面に対して傾斜した傾斜面321を有する潰しパンチ320よって羽根部材Bの羽根端面を潰すとともに、羽根端面がセット面351と垂直面322と傾斜面321によって密閉されるように潰し加工を行う。
次の端面形成ステップは、(4−1)端面復帰サブステップと、(4−2)先端持ち上げサブステップとの2つのサブステップを含む。上述したように、潰しパンチ320によるパンチ後、パンチ圧は直ちに解除される。パンチ圧が解除されると、図7(c)に示すように、スライドノックアウト370および潰しパンチ320は図7(a)に示したパンチ圧加圧前の位置に戻る(パンチ圧の加圧方向と逆方向に移動する。)。その際、羽根部材Bの材質の特性により潰された面及び先端Dが加圧方向から戻る方向に盛り上がり、第1先端部21qと第2先端部21sが形成される(端面復帰サブステップ)。そしてそれと同時に、潰しパンチ320の垂直面322側の羽根部材Bの先端D(第1先端部21q及び第2先端部21s)は、潰しパンチ320の垂直面322およびこの垂直面322と連続したスライドノックアウト370の垂直面371と摺接し(本例では、主としてスライドノックアウト370の垂直面371と摺接し)図7(c)及び図8に示すように上方に持ち上げられる(先端持ち上げサブステップ)。この羽根部材Bの材質の特性による端面の復帰と潰しパンチ320及びスライドノックアウト370の垂直面322、371による持ち上げによって、羽根部材Bの羽根端面21uには上述した第1先端部21q及び第2先端部21sが形成される。なお、垂直面322、371で羽根部材Bの先端Dを持ち上げるときは、ストリッパープレート340が羽根部材Bを押さえているため、図7(c)及び図8に示すように羽根端面21uのみが反るように持ち上げられ、垂直面322、371に対して傾斜して第1先端部21qと第2先端部21sが接触する。本例の端面形成装置300では、先に潰しパンチ320の先端がスライドノックアウト370から離れ(図7(c)の状態)、その後ストリッパープレート340が羽根部材Bから離れる。その後端面形成装置300を第2の位置に移動させて、羽根部材Bを端面形成装置300から取り出すと反った羽根端面21uが戻り、図5(b)に示すように第1先端部21qが第2先端部21sよりも光軸O側に突出した形状になる。
そして上述したように、羽根部材Bに、第1の突起22と第2の突起23を表裏に植設することで、絞り羽根21の製造が完了する(図10(a)参照)。なお、ピン植設ステップはセットステップの前に行ってもよく、その場合は端面形成装置300のセット面351とストリッパープレート340に第1の突起22と第2の突起23を逃げるための凹部を設ければよい。
次に、上述の地板11に形成されたガイド溝13と第1摺動リング15に形成されたガイド溝16と各絞り羽根21に形成されたガイドピン22の関係について説明する。
図3に従って第2基板組4と駆動リング組3について説明する。第2基板組4は押さえ板41と、補強板42と、押さえ板に固定した駆動ユニットMで構成されている。また駆動リング組3は、作動部材31と第2摺動リング36で構成される。以下各構成について説明する。
押さえ板41は図3に示すように中央部に開口43を有するリング形状に形成され、前述の地板11と略々同一形状に形成されている。図示の押さえ板41は樹脂のモールド成形で、外周の一部に駆動ユニットMの取付座46が設けられている。この取付座46に後述する駆動ユニットMがビスなどで固定される。図示45は押さえ板41を地板11の連結突起14にビス止めする連結孔である。
補強板42は、図3に示すように金属などの比較的強靭な板材で構成され、樹脂製の押さえ板41を補強する。従って押さえ板41に十分な強度が得られるときには補強板42を省くことが可能である。この補強板42は押さえ板41と略々同一形状に形成され、中央に開口44が形成されている。
作動部材31は図3に示すように例えば樹脂のモールド成形で中央部に光路開口12を有するリング形状(以下「駆動リング」という)に形成されている。この駆動リング31は、補強板42を介して押さえ板41に回動自在に取り付けられている。このため駆動リング31には光路開口12の周縁にフランジ32と係合突起34が形成されている。フランジ32は押さえ板41の開口43と補強板42の開口44に嵌合し、光路開口12の中心と一致する回動中心で回動する。また係合突起34は補強板42と摺接する面に形成され両者を円滑に摺動するのを補助している。
第2摺動リング36は図3に示すように中央に光路開口12を有する樹脂フィルム(例えばポリエチレンなどの樹脂フィルム)で形成され、駆動リング31と絞り羽根21の間に介在される。これは絞り羽根21と駆動リング31が直接接触するのを避け、絞り羽根21の円滑な開閉運動を得るためである。このため第2摺動リング36は駆動リング31と同様なリング形状に形成されている。この第2摺動リング36には駆動リング31の嵌合孔33と合致する位置に嵌合孔37が設けられている。
図11に駆動ユニットMの一実施形態を示す。同図の駆動ユニットMはマグネットロータ50と、ステータコイル51と駆動回転軸52と、駆動歯車53と、ヨーク54で構成されている。マグネットロータ50は駆動回転軸52と永久磁石56を一体化して構成され、駆動回転軸52の両端部はコイル枠55に軸受け支持されている。永久磁石56は外周にNS2極が形成され、駆動回転軸52には駆動歯車53が取り付けられている。また、ステータコイル51はコイル枠55と、これに巻回されたコイル58で構成されている。このコイル枠55は内部にロータを内蔵するため、左右若しくは上下に2分割されている。このコイル枠55にはブラケット57が一体形成され、外周にヨーク54が嵌装されている。
図1に従って光量調整装置100の組立手順を説明する。上述のように構成された地板11に第1摺動リング15を重ね合わせる。このとき地板11に設けた位置決めピン17が第一摺動リング15の位置決め孔18に嵌合して両者の位置決めがなされる。
次に、図9に従って絞り羽根の開閉動作について説明する。同図(a)は光路開口12の周囲に複数の絞り羽根を配置した状態を示し、(b)はこの複数の絞り羽根のうちの1枚の開閉動作状態を示す。同図(a)のように光路開口12の周囲には、光軸(光路中心)Oを基準に所定角度隔てた位置(図示のものは9枚の羽根を角度40度ずつ隔てた位置)に複数の絞り羽根21a〜21iが鱗状に配置されている。各絞り羽根21a〜21iは地板11に形成したガイド溝13に第1の突起(ガイドピン)22が嵌合されている。これと共に各絞り羽根21a〜21iに形成された第2の突起(作動ピン)23は、駆動リング31の嵌合孔33に嵌合されている。
次に上述の光量調整装置100を用いた光学機器について、望遠レンズを例にとって説明する。図12に示すように、この光学機器200は、鏡筒内に第1の光学系(レンズユニット)120と、第2の光学系(レンズユニット)140とを有しており、第1、第2の光学系の間に光軸Oを中心として光量調整装置100が配置されている。このとき、光量調整装置100の絞り羽根21は、外部の光が入射される側(レンズユニット120側)に第1傾斜部21pが配置されるように組み込まれることが望ましい。また、撮影光路には第2の光学系で被写体像を結像しその結像面に撮像手段が配置されていてもよい。撮像手段としてはCCDなどの固体撮像素子或いは感光フィルムなどを用いることができる。そしてその制御はCPU制御回路、露出制御回路、及びシャッタ駆動回路で実行することができる。このような光学機器は、メイン電源スイッチやシャッタレリーズスイッチを備えていてもよい。カメラ装置としての制御には、この他オートフォーカス回路などが用いられるが良く知られた構成であるので説明を省略する。
21p 第1傾斜部
21q 第1先端部
21r 第2傾斜部
21s 第2先端部
21u 羽根端面
21w 羽根基板
100 光量調整装置
200 光学機器
321 傾斜面
300 端面形成装置
322 垂直面
320 潰しパンチ
351 セット面
370 スライドノックアウト(受圧部材)
371 垂直面
B 羽根部材
O 光軸
Claims (3)
- 光軸を中心とする開口径を変えて光量を調整する光量調整装置に使用される絞り羽根の製造方法であって、
セット面に前記絞り羽根の材料となる羽根部材をセットするセットステップと、
前記セット面に対して垂直な垂直面と該垂直面に対して傾斜した傾斜面を有する潰しパンチよって前記羽根部材の羽根端面を潰すとともに、前記羽根端面が前記セット面と前記垂直面と前記傾斜面によって密閉されるように潰し加工を行う加工ステップと、
前記潰しパンチの前記傾斜面を前記羽根端面から離間して前記羽根端面が潰し方向の逆方向に戻る端面復帰ステップと、
前記潰しパンチの垂直面および前記潰しパンチのパンチ圧を受圧する受圧部材の垂直面であって前記潰しパンチの垂直面と連続するように形成された垂直面の少なくとも一方を、前記潰しパンチの加圧移動方向とは逆方向に前記加工ステップで潰された羽根端面の先端と摺接するように移動させ、前記羽根端面の先端を持ち上げる先端持ち上げステップと、を有することを特徴とする絞り羽根の製造方法。 - 前記端面復帰ステップと前記先端持ち上げステップは同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の絞り羽根の製造方法。
- 前記加工ステップと前記端面復帰ステップと前記先端持ち上げステップにより、前記羽根端面に、前記光軸に対して傾斜した傾斜部を形成することを特徴とする請求項1に記載の絞り羽根の製造方法。
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