JP6028419B2 - 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6028419B2
JP6028419B2 JP2012147704A JP2012147704A JP6028419B2 JP 6028419 B2 JP6028419 B2 JP 6028419B2 JP 2012147704 A JP2012147704 A JP 2012147704A JP 2012147704 A JP2012147704 A JP 2012147704A JP 6028419 B2 JP6028419 B2 JP 6028419B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
conductive oxide
metal film
electromechanical conversion
oxide film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012147704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014011356A (ja
Inventor
惇 竹内
惇 竹内
真貝 勝
勝 真貝
町田 治
治 町田
光 下福
光 下福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2012147704A priority Critical patent/JP6028419B2/ja
Publication of JP2014011356A publication Critical patent/JP2014011356A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6028419B2 publication Critical patent/JP6028419B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、電気機械変換素子及びその製造方法、並びに前記電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド、及び前記液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として使用されるインクジェット記録装置及び液滴吐出ヘッドに関して、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧室(インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室等とも称される)と、加圧室内のインクを加圧する圧電素子等の電気機械変換素子、或いはヒータ等の電気熱変換素子、若しくはインク流路の壁面を形成する振動板と、これに対向する電極からなるエネルギー発生手段とを備え、エネルギー発生手段で発生したエネルギーで加圧室内のインクを加圧することでノズルからインク滴を吐出させる構成が知られている。
上記電気機械変換素子の製造工程では、例えば、金属膜上にパターニングされた酸化物膜を形成して第1の電極を作製し、更に、酸化物膜上のみに電気機械変換膜としてPZT膜を形成し、更に、PZT膜上に第2の電極をパターニングする。酸化物膜上のみにPZT膜を形成することにより、PZT膜に含まれるPbの金属膜への拡散を抑えている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような製造方法では、酸化物膜をパターニングする際に金属膜がオーバーエッチングされ、金属膜の膜厚が薄くなる傾向にある。特に酸化物膜が金属膜に比べてエッチングレートが遅い材料であるときは、この傾向が顕著である。それに加え、第2の電極をパターニングする際のエッチングにおいて、金属膜がオーバーエッチングされると、金属膜が更に薄くなって第1の電極の抵抗値が高くなるうえ、抵抗値のばらつきが大きくなる問題があった。金属膜を厚く形成すればこの問題を回避できるが、コストの面で問題となっていた。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、第1の電極(下部電極)の抵抗値が高くなることを防止可能な電気機械変換素子等を提供することを課題とする。
本電気機械変換素子は、第1の層、及び前記第1の層上の所定領域の周囲に形成された第2の層を備えた第1の電極と、前記第1の層上の前記所定領域に、前記第2の層から突出するように形成された電気機械変換膜と、前記電気機械変換膜上に形成された第2の電極と、を有し、前記第2の層は、前記第2の電極と同一の層構成であることを要件とする。
開示の技術によれば、第1の電極(下部電極)の抵抗値が高くなることを防止可能な電気機械変換素子等を提供できる。
第1の実施の形態に係る電気機械変換素子を例示する断面図である。 第1の実施の形態に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図(その1)である。 第1の実施の形態に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図(その2)である。 第1の実施の形態に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図(その3)である。 インクジェット塗布装置を例示する斜視図である。 比較例に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図である。 レジスト層の形成精度について説明するための図である。 第1の実施の形態の変形例に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図である。 第1の実施の形態に係る電気機械変換素子を用いた液滴吐出ヘッドを例示する断面図である。 図9の液滴吐出ヘッドを複数個配置した例を示す断面図である。 インクジェット記録装置を例示する斜視図である。 インクジェット記録装置の機構部を例示する側面図である。 代表的な電界強度と分極のヒステリシス曲線を示す特性図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る電気機械変換素子の構造]
第1の実施の形態では、電気機械変換素子の例を示す。まず、電気機械変換素子の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子を例示する断面図である。図1を参照するに、電気機械変換素子1は、第1の電極11と、電気機械変換膜13と、第2の電極14とを有する。なお、第1の電極11及び第2の電極14は、各々下部電極及び上部電極と称される場合もある。
第1の電極11は、第1の金属膜11a、第1の導電性酸化物膜11b、第2の導電性酸化物膜11c、第2の金属膜11dを有する。第1の金属膜11aは、例えば、シリコン等の基板上(図示せず)に形成されており、中央部に突起部を有する。第1の金属膜11aの材料としては、例えば、アルカンチオールとの反応により、SAM(Self Assembled Monolayer)膜を形成可能な金属を用いることができる。
具体的には、低い反応性を有するルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)等の白金族金属や、これら白金族金属を含む合金材料等を用いることができる。第1の金属膜11aの厚さは、例えば、250nm程度(突起部も含めた厚さ)とすることができる。第1の金属膜11aの突起部の突起量は、例えば、50nm程度とすることができる。
第1の金属膜11aの突起部上には、第1の導電性酸化物膜11bが形成されている。第1の導電性酸化物膜11bの材料としては、例えば、化学式ABOで記述され、AはSr、Ba、Ca、Laの何れか1つ以上、BはRu、Co、Niの何れか1つ以上を主成分とする複合酸化物を用いることができる。
具体的には、SrRuOやCaRuO、これらの固溶体である(Sr1−x Ca)RuO、LaNiOやSrCoO、これらの固溶体である(La, Sr)(Ni1−y Co)O(y=1でも良い)等を挙げることができる。又、それ以外の酸化物材料として、IrO、RuO等を挙げることができる。第1の導電性酸化物膜11bの厚さは、例えば、50nm程度とすることができる。
第1の導電性酸化物膜11bに上記の材料を用いることにより、電気機械変換膜13がPbを含む場合でも、Pbが第1の電極11に拡散するおそれを低減できる。つまり、Pbの拡散による第1の電極11の劣化を防止できる。
第1の金属膜11aの突起部の周囲(第1の導電性酸化物膜11bから露出する第1の金属膜11a上)には、第2の導電性酸化物膜11cが形成されている。第2の導電性酸化物膜11cの材料は、前述の第1の導電性酸化物膜11bの材料の中から適宜選択できる。但し、第2の導電性酸化物膜11cの材料は、第1の導電性酸化物膜11bの材料と同一でも良いし、異なっても良い。第2の導電性酸化物膜11cの厚さは、例えば、50nm程度とすることができる。
第2の導電性酸化物膜11c上には、第2の金属膜11dが形成されている。第2の金属膜11dの材料は、前述の第1の金属膜11aの材料の中から適宜選択できる。但し、第2の金属膜11dの材料は、第1の金属膜11aの材料と同一でも良いし、異なっても良い。第2の金属膜11dの厚さは、例えば、150nm程度とすることができる。
第1の電極11の第1の導電性酸化物膜11b上には、電気機械変換膜13が第2の金属膜11dから突出するように形成されている。電気機械変換膜13の材料としては、例えば、PZTを用いることができる。PZTとはジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体である。例えば、PbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53、Ti0.47)O、一般にはPZT(53/47)と示されるPZT等を使用することができる。PbZrOとPbTiOの比率によって、PZTの特性が異なる。
電気機械変換膜13としてPZTを使用する場合、例えば、出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物を使用し、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ、PZTの前駆体溶液を作製する。酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物の混合量は、所望のPZTの組成(PbZrOとPbTiOの比率)に応じて、当業者が適宜選択できるものである。
なお、金属アルコキシド化合物は、大気中の水分により容易に分解する。そのため、PZT前駆体溶液に、安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミン等を添加してもよい。
電気機械変換膜13の材料として、例えば、チタン酸バリウム等を用いても構わない。この場合は、バリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウムの前駆体溶液を作製することが可能である。
これら材料は一般式ABOで記述され、A=Pb、Ba、Sr B=Ti、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nbを主成分とする複合酸化物が該当する。その具体的な記述として(Pb1−x、Ba)(Zr、Ti)O、(Pb1−x、Sr)(Zr、Ti)O、と表され、これはAサイトのPbを一部BaやSrで置換した場合である。このような置換は2価の元素であれば可能であり、その効果は熱処理中の鉛の蒸発による特性劣化を低減させる作用を示す。電気機械変換膜13の厚さは、例えば、1000nm程度とすることができる。
電気機械変換膜13上には、第2の電極14が形成されている。第2の電極14は、例えば、電気機械変換膜13上の外縁部を除く領域に形成されている。第2の電極14は、第2の導電性酸化物膜14cと第2の金属膜14dとが順次積層された積層構造とすることができる。なお、説明の便宜上、第2の導電性酸化物膜14cは第2の導電性酸化物膜11cと別符号としているが、これらの膜は後述のように同一工程で同時に形成される。同様に、第2の金属膜14dは第2の金属膜11dと別符号としているが、これらの膜は後述のように同一工程で同時に形成される。
従って、第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dの材料は、各々第2の導電性酸化物膜11c及び第2の金属膜11dの材料と同一である。又、第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dの厚さは、各々第2の導電性酸化物膜11c及び第2の金属膜11dの厚さと略同一である。このように、第2の電極14は、第1の電極11の第2の導電性酸化物膜11c及び第2の金属膜11dと同一の層構成である。
なお、第1の電極11は、第2の導電性酸化物膜11cを備えていなくても良い。又、第2の電極14は、第2の導電性酸化物膜14cを備えていなくても良い。
このように、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子1では、従来の電気機械変換素子とは異なり、第1の導電性酸化物膜11bから露出する第1の金属膜11a上に、第2の導電性酸化物膜11c及び第2の金属膜11dが積層形成されている。これにより、第1の電極11を厚くできるため、第1の電極11の抵抗値が高くなることを防止できる。又、第1の電極11の抵抗値がばらつくことを防止できる。
なお、以降は、第1の金属膜11a及び第2の金属膜11d(第2の金属膜14d)としてPt膜、第1の導電性酸化物膜11b及び第2の導電性酸化物膜11c(第2の導電性酸化物膜14c)としてSrRuO膜、電気機械変換膜13としてPZT膜を用いた場合を例として説明を行う。
[第1の実施の形態に係る電気機械変換素子の製造方法]
次に、電気機械変換素子の製造方法について説明する。図2〜図4は、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図である。まず、図2(a)に示す工程では、基板10を準備する。基板10上には、後述の工程で共通電極となる第1の電極11を形成するので、基板10としては、絶縁体又は表面が絶縁処理された導体や半導体を用いることができる。基板10としては、例えば、表面に酸化膜が形成されたシリコン等を用いることができる。
次に、図2(b)に示す工程では、基板10上に、例えばスパッタ法や真空蒸着等の真空成膜法等により、第1の金属膜11aとしてPt膜及び第1の導電性酸化物膜11bとしてSrRuO膜を順次積層する。なお、第1の金属膜11a及び第1の導電性酸化物膜11bは、共通電極となる第1の電極11の構成要素の一部となる。
次に、図2(c)に示す工程では、例えば、フォトリソグラフィ法により、第1の導電性酸化物膜11b上の所定領域にレジスト層200を形成する。なお、レジスト層200を形成する所定領域は、後述の工程で電気機械変換膜13を形成する領域である。次に、図2(d)に示す工程では、レジスト層200をマスクとして第1の導電性酸化物膜11bをエッチングし、レジスト層200に覆われていない部分の第1の導電性酸化物膜11bを除去する。これにより、第1の金属膜11aの所定領域上に第1の導電性酸化物膜11bが形成される。
Pt膜のエッチングレートは167nm/min程度、SrRuO膜のエッチングレートは36nm/min程度であり、約5倍弱のエッチングレートの差がある。そのため、レジスト層200に覆われていない部分の第1の金属膜11a(Pt膜)は、第1の導電性酸化物膜11b(SrRuO膜)が形成されている面よりもt=50nm程度余計にエッチングされる。次に、図2(e)に示す工程では、図2(d)に示すレジスト層200を除去する。
次に、図2(f)に示す工程では、第1の導電性酸化物膜11bから露出する第1の金属膜11aを表面改質させて水化する。具体的には、第1の金属膜11a及び第1の導電性酸化物膜11bを、例えばチオール化合物(アルカンチオール等)からなるSAM材料で浸漬処理し、第1の導電性酸化物膜11bから露出する第1の金属膜11aの表面にSAM膜12を自己配列させる。アルカンチオールとしては、例えば、CH3(CH2)−SH等を用いることができる。SAM材料は第1の導電性酸化物膜11b上には形成されず、第1の導電性酸化物膜11bから露出する第1の金属膜11a上のみに形成される。

これにより、SAM膜12が形成された領域(第1の金属膜11a上)は疎水部となり、SAM膜12が形成されていない領域(第1の導電性酸化物膜11b上)は親水部となる。例えば、SAM膜12が形成された領域(第1の金属膜11a上)の純水に対する接触角は92度となり疎水性を示し、SAM膜12が形成されていない領域(第1の導電性酸化物膜11b上)の純水に対する接触角は54度となり親水性を示す。
このように、SAM膜12を形成することにより、濡れ性のコントラストが高くなるため、後述の工程でインクジェット法によりPZT前駆体溶液13xを塗布する際の塗布精度を向上できる。
ここで、図2(f)に示す工程後に用いるインクジェット塗布装置60について説明する。図5は、インクジェット塗布装置を例示する斜視図である。図5に示すインクジェット塗布装置60において、架台61の上にY軸駆動手段62が設置してあり、その上に基板63を搭載するステージ64がY軸方向に駆動できるように設置されている。なおステージ64には図示されていない真空、静電気などの吸着手段が付随しており基板63が固定されている。
又、X軸支持部材65にはX軸駆動手段66が取り付けられており、これにZ軸駆動手段67上に搭載されたヘッドベース68が取り付けられており、X軸方向に移動できるようにされている。ヘッドベース68の上にはインクを吐出させるインクジェットヘッド69が搭載されている。インクジェットヘッド69には図示しない各インクタンクから各々着色樹脂インク供給用パイプ70を介してインクが供給される。
図2(f)に示す工程の後、図3(g)〜図3(i)に示す工程では、第1の導電性酸化物膜11b上(親水部上)に、インクジェット法により電気機械変換膜13を形成する。まず、図3(g)に示す工程では、図2(f)に示す構造体をインクジェット塗布装置60のステージ64上に載置し、インクジェットヘッド69から、第1の導電性酸化物膜11b上(親水部上)にPZT前駆体溶液13xを塗布する。PZT前駆体溶液13xは、最終的に電気機械変換膜13となるものである。このように、インクジェット法により電気機械変換膜13を形成することにより、電気機械変換膜13の原材料の使用量を減らすことができる。
次に、図3(h)に示す工程では、PZT前駆体溶液13xに熱処理を行い、単層の電気機械変換膜13aを形成する。インクジェット法を用いた場合、単層の電気機械変換膜13aは約30〜100nmの膜厚になるため、例えば、1000nmの電気機械変換膜13を形成するためには、図2(f)、図3(g)、及び図3(h)の工程を繰り返し、単層の電気機械変換膜13aを複数積層する。これにより、例えば、図3(i)に示すように、所望の膜厚(例えば、1000nm)の電気機械変換膜13が得られる。
次に、図4(j)に示す工程では、電気機械変換膜13の周囲に露出する第1の金属膜11a上、及び電気機械変換膜13上に、例えばスパッタ法や真空蒸着等の真空成膜法等により、各々第2の導電性酸化物膜11c及び14cとしてSrRuO膜、第2の金属膜11d及び14dとしてPt膜を順次積層する。
つまり、第2の導電性酸化物膜11cと第2の導電性酸化物膜14cとは、同一工程により形成される同一材料からなる膜である。同様に、第2の金属膜11dと第2の金属膜14dとは、同一工程により形成される同一材料からなる膜である。この工程により、第1の金属膜11a、第1の導電性酸化物膜11b、並びに電気機械変換膜13の周囲に露出する第1の金属膜11a上に積層された第2の導電性酸化物膜11c及び第2の金属膜11dを備えた第1の電極11が形成される。
次に、図4(k)に示す工程では、例えば、フォトリソグラフィ法により、第2の導電性酸化物膜11d上の全領域、及び第2の導電性酸化物膜14d上の外縁部を除く領域にレジスト層210を形成する。次に、図4(l)に示す工程では、レジスト層210をマスクとして第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dをエッチングし、レジスト層210に覆われていない部分の第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dを除去する。次に、図4(m)に示す工程では、レジスト層210を除去する。この工程により、電気機械変換膜13上に積層された第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dを備えた第2の電極14が形成され、電気機械変換素子1が完成する。
ここで、比較例を用いて、本実施の形態に係る電気機械変換素子1の奏する効果について説明する。図6は、比較例に係る電気機械変換素子の製造工程を例示する図である。まず、図6(a)に示す工程では、図2(a)〜図3(i)と同様の工程を実行後、電気機械変換膜13の周囲に露出する第1の金属膜11a上、及び電気機械変換膜13上に、例えばスパッタ法や真空蒸着等の真空成膜法等により、各々第3の金属膜を積層する。なお、便宜上、電気機械変換膜13の周囲に露出する第1の金属膜11a上に積層される膜を第3の金属膜11eと称し、電気機械変換膜13上に積層される膜を第3の金属膜14eと称する。
次に、図6(b)に示す工程では、例えば、フォトリソグラフィ法により、第3の金属膜14e上の外縁部を除く領域にレジスト層220を形成する。次に、図6(c)に示す工程では、レジスト層220をマスクとして第3の金属膜14dをエッチングし、レジスト層220に覆われていない部分の第3の金属膜14e、及び第1の金属膜11a上に形成された第3の金属膜11eを除去する。その後、レジスト層220を除去する。この工程により、第1の金属膜11a及び第1の導電性酸化物膜11bを備えた第1の電極11x、及び第2の電極14eが形成され、電気機械変換素子1xが完成する。
比較例の図6(b)に示す工程では、第3の金属膜11e上にレジスト層220を形成しないため、エッチングのストップ位置を遅くしすぎると、第1の金属膜11aがオーバーエッチングされ、第1の電極11xの抵抗値が高くなるおそれがある。なお、導電性酸化物膜を介して第3の金属膜11e及び第3の金属膜14eを形成する場合も同様の問題が生じるおそれがある。
これに対し、本実施の形態の図4(l)に示す工程では、第2の導電性酸化物膜11d上にもレジスト層210を形成するため、第2の導電性酸化物膜11dがオーバーエッチングされる懸念がなくなる。又、図2(d)に示す工程で、電気機械変換膜13の周囲に露出する第1の金属膜11aが過剰にエッチングされても、図4(j)に示す工程で形成される第2の導電性酸化物膜11c及び第2の金属膜11dによって、第1の金属膜11aの厚みを補うことができる。その結果、第1の電極11の抵抗値が高くなることを防止できる。又、第1の電極11の抵抗値がばらつくことを防止できる。
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子1の製造方法の他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図7は、レジスト層の形成精度について説明するための図である。第1の実施の形態の図4(k)に示す工程において、レジスト層210の形成精度が悪く、レジスト層210が位置ずれを起こすと、図7(a)のような配置となるおそれがある。この状態で、第1の実施の形態の図4(l)に示す工程と同様に、レジスト層210をマスクとして第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dをエッチングすると、図7(b)のように第1の電極11の一部の膜厚が薄くなり、第1の電極11の抵抗値が高くなるおそれが生じる。
そこで、第1の実施の形態の変形例では、図4(k)〜図4(m)に示す工程に代えて、図8(a)及び図8(b)に示す工程を実行する。まず、図8(a)に示す工程では、例えば、フォトリソグラフィ法により、第2の導電性酸化物膜11d上の全領域、及び第2の導電性酸化物膜14d上の外縁部よりも内側の環状の領域を除く領域にレジスト層230を形成する。つまり、レジスト層230は、第2の導電性酸化物膜14d上の外縁部よりも内側の環状の領域を露出する開口部230xを有する。
次に、図8(b)に示す工程では、レジスト層230をマスクとして第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dをエッチングし、開口部230xの底部に露出する第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dを除去する。その後、レジスト層230を除去する。
第1の実施の形態の変形例では、第2の電極14を構成する第2の導電性酸化物膜14c及び第2の金属膜14dの面積が、第1の実施の形態の場合(図4(m)等参照)よりも小さくなる。すなわち、第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態の場合よりも、電気機械変換素子13に電界が加わる部位は小さくなる。
しかしながら、図8(a)に示す工程において、図7(a)のようにレジスト層230が位置ずれを起こしたとしても、開口部230xが第2の導電性酸化物膜14d上に位置している限り、第1の電極11の一部の膜厚が薄くなることはない。換言すれば、レジスト層230の形成精度を考慮し、レジスト層230が位置ずれを起こしても開口部230xが必ず第2の導電性酸化物膜14d上に位置するように開口部230xの位置を設計しておけば、レジスト層230の位置ずれの影響を低減できる。
このように、第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態の奏する効果に加えて、レジスト層の位置ずれの影響により第1の電極の一部の膜厚が薄くなり第1の電極の抵抗値が高くなることを防止する効果を奏する。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子を用いた液滴吐出ヘッドの例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図9は、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子を用いた液滴吐出ヘッドを例示する断面図である。図9を参照するに、液滴吐出ヘッド2は、電気機械変換素子1と、ノズル板20と、圧力室基板30と、振動板40とを有する。ノズル板20には、インク滴を吐出するノズル21が形成されている。ノズル板20、圧力室基板30、及び振動板40により、ノズル21に連通する圧力室31(インク流路、加圧液室、加圧室、吐出室、液室等と称される場合もある)が形成されている。振動板40は、インク流路の壁面の一部を形成している。なお、図9において、液体供給手段、流路、流体抵抗等についての記述は省略する。
電気機械変換素子1は、密着層50を介して、振動板40上に搭載されており、圧力室31内のインクを加圧する機能を有する。密着層50は、例えばTi、TiO、TiN、Ta、Ta、Ta等からなる層であり、電気機械変換素子1の第1の電極11と振動板40との密着性を向上する機能を有する。但し、密着層50は、必要に応じて設ければよい。
電気機械変換素子1において、第1の電極11と第2の電極14との間に電圧が印加されると、電気機械変換膜13が機械的に変位する。電気機械変換膜13の機械的変位にともなって、振動板40が例えば横方向(d31方向)に変形変位し、圧力室31内のインクを加圧する。これにより、ノズル21からインク滴を吐出させることができる。
なお、図10に示すように、液滴吐出ヘッド2を複数個並設し、液滴吐出ヘッド3を構成することもできる。
このように、第1の実施の形態に係る電気機械変換素子1は、例えば、インクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドの構成部品として用いることができるが、これには限定されない。第1の実施の形態に係る電気機械変換素子1を、例えば、マイクロポンプ、超音波モータ、加速度センサ、プロジェクター用2軸スキャナ、輸液ポンプ等の構成部品として用いてもよい。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、液滴吐出ヘッド3(図10参照)を搭載したインクジェット記録装置の例を示す。図11は、インクジェット記録装置を例示する斜視図である。図12は、インクジェット記録装置の機構部を例示する側面図である。なお、インクジェット記録装置4は、本発明に係る液滴吐出装置の代表的な一例である。
図11及び図12を参照するに、インクジェット記録装置4は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ93、キャリッジ93に搭載した液滴吐出ヘッド3の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド94、インクジェット記録ヘッド94へインクを供給するインクカートリッジ95等で構成される印字機構部82等を収納する。
記録装置本体81の下方部には、多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット84(或いは給紙トレイでもよい)を抜き差し自在に装着することができる。又、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができる。給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持する。キャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド94を、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。又、キャリッジ93は、インクジェット記録ヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は、上方に大気と連通する図示しない大気口、下方にはインクジェット記録ヘッド94へインクを供給する図示しない供給口を、内部にはインクが充填された図示しない多孔質体を有している。多孔質体の毛管力によりインクジェット記録ヘッド94へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。又、インクジェット記録ヘッド94としてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いてもよい。
キャリッジ93は、用紙搬送方向下流側を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、用紙搬送方向上流側を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。タイミングベルト100は、キャリッジ93に固定されている。
又、インクジェット記録装置4は、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101、フリクションパッド102、用紙83を案内するガイド部材103、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105、搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106、を設けている。これにより、給紙カセット84にセットした用紙83を、インクジェット記録ヘッド94の下方側に搬送される。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
用紙ガイド部材である印写受け部材109は、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83をインクジェット記録ヘッド94の下方側で案内する。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設けている。更に、用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115、116とを配設している。
画像記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じてインクジェット記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、インクジェット記録ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を有する。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有する。キャリッジ93は、印字待機中に回復装置117側に移動されてキャッピング手段でインクジェット記録ヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。又、記録途中等に、記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でインクジェット記録ヘッド94の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。又、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。更に、吸引されたインクは、本体下部に設置された図示しない廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、インクジェット記録装置4においては、液滴吐出ヘッド3の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド94を搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られるため、画像品質を向上できる。
[実施例]
本実施例では、第1の実施の形態の図2〜図4を用いて説明した工程に基づいて電気機械変換素子を作製した。まず、基板上に、第1の金属膜としてPt膜を250nm、第1の導電性酸化物膜としてSrRuO膜を50nm、スパッタ法で順次成膜した(図2(a)及び図2(b)参照)。
次に、第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上にフォトレジストでパターニングを行い、電気機械変換膜を形成する領域以外の第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)をエッチングして除去した(図2(c)〜図2(e)参照)。前述のように、Pt膜とSrRuO膜のエッチングレートには5倍弱の差があるため、レジストに覆われていない部分の第1の金属膜(Pt膜)は、第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)が形成されている面よりも50nm余計にエッチングされた。
次に、第1の金属膜(Pt膜)及び第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)を、CH(CH)−SHからなるSAM材料で浸漬処理し、第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)から露出する第1の金属膜(Pt膜)の表面にSAM膜を自己配列させ、疎水化した(図2(f)参照)。
次に、第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上に電気機械変換膜を形成した(図3(g)〜図3(i)参照)。具体的には、インクジェット塗布装置60(図5参照)を用いて、インクジェット法により、第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上(親水部上)にPZT前駆体溶液を塗布した。PZT前駆体の出発材料には、酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を10モル%過剰にした。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このPZT濃度は0.1モル/リットルにした。一度の成膜で得られるPZTの膜厚は100nm程度が好ましく、PZT前駆体溶液の前駆体濃度は成膜面積と前駆体塗布量の関係から適正化される。
PZT前駆体溶液は、接触角のコントラストのため、親水部である第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上のみに広がりパターンを形成した。これを第一の加熱(溶媒乾燥)として120℃処理後、有機物の熱分解を行った。このときの膜厚は90nmであった。引き続き繰返し処理としてイソプロピルアルコール洗浄後、同様の浸漬処理にてSAM膜を形成した。本工程でもSAM膜は第1の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上には形成されないので、フォトリソグラフィの工程を実施せずにSAM膜のパターンが得られた。
又、このときの接触角は純水に対してSAM膜上は92度、PZT膜上は34度であった。この状態で1度目に形成したPZT膜上に位置合わせを行って、再度インクジェット塗布装置60によりPZT前駆体溶液を塗布した。更に1回目と同じ加熱プロセスを実施して重ねぬりされたPZT膜を得た。このときの膜厚は180nmであった。
このような工程を6回繰り返し540nmのPZT膜を得たのち、結晶化熱処理(温度700℃)をRTA(急速熱処理)にて行った。膜にクラックなどの不良は生じなかった。更に6回のSAM処理→PZT前駆体溶液の選択塗布→120℃乾燥→500℃熱分解を行い、結晶化処理し、膜厚が1000nmの電気機械変換膜(PZT膜)を得た。膜にクラックなどの不良は生じなかった。
次に、電気機械変換膜(PZT膜)の周囲に露出する第1の金属膜(Pt膜)上、及び電気機械変換膜(PZT膜)上に、スパッタ法により、第2の導電性酸化物膜としてSrRuO膜を50nm、第2の金属膜としてPt膜を150nm、順次積層した(図4(j)参照)。
次に、電気機械変換膜(PZT膜)の周囲に露出する第1の金属膜(Pt膜)上の第2の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上、及び電気機械変換膜(PZT膜)上の第2の導電性酸化物膜(SrRuO膜)上に、フォトレジストをスピンコート法で塗布した。そして、フォトリソグラフィ法により、電気機械変換膜(PZT膜)上に形成された第2の導電性酸化物膜(SrRuO膜)の外縁部上のフォトレジストを除去した(図4(k)参照)。
次に、フォトレジストをマスクとして電気機械変換膜(PZT膜)上の第2の導電性酸化物膜(SrRuO膜)及び第2の金属膜(Pt膜)をエッチングし、フォトレジストに覆われていない部分の第2の導電性酸化物膜(SrRuO膜)及び第2の金属膜(Pt膜)を除去し、更にフォトレジストを除去して第2の電極を作製した(図4(l)及び図4(m)参照)。これで、基板上に電気機械変換素子が作製された。
次に、作製した電気機械変換素子の電気特性、及び電気機械変換能(圧電定数)の評価を行った。電気機械変換膜の比誘電率は1220、誘電損失は0.02、残留分極は19.3μC/cm、抗電界は36.5kV/cmであり、通常のセラミック焼結体と同等の特性であった(P−Eヒステリシス曲線は図13参照)。
電気機械変換能は、電界印加による変形量をレーザードップラ振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。作製した電気機械変換素子の圧電定数d31は120pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液滴吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値である。
続いて、電気機械変換膜(PZT膜)の更なる厚膜化を試みた。すなわち、6回までの熱分解アニールのたびに結晶化処理を行い、これを10回繰り返したところ5μmのパターン化された電気機械変換膜(PZT膜)がクラック等の欠陥を伴わずに得られた。
以上、好ましい実施の形態及びその変形例並びに実施例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例並びに実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例並びに実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 電気機械変換素子
2、3 液滴吐出ヘッド
4 インクジェット記録装置
10 基板
11 第1の電極
11a 第1の金属膜
11b 第1の導電性酸化物膜
11c 第2の導電性酸化物膜
11d 第2の金属膜
12 SAM膜
13、13a 電気機械変換膜
13x PZT前駆体溶液
14 第2の電極
14c 第2の導電性酸化物膜
14d 第2の金属膜
20 ノズル板
21 ノズル
30 圧力室基板
31 圧力室
40 振動板
50 密着層
60 インクジェット塗布装置
61 架台
62 Y軸駆動手段
63 基板
64 ステージ
65 X軸支持部材
66 X軸駆動手段
67 Z軸駆動手段
68 ヘッドベース
69 インクジェットヘッド
70 着色樹脂インク供給用パイプ
81 記録装置本体
82 印字機構部
83 用紙
84 給紙カセット
85 手差しトレイ
86 排紙トレイ
91 主ガイドロッド
92 従ガイドロッド
93 キャリッジ
94 インクジェット記録ヘッド
95 インクカートリッジ
97 主走査モータ
98 駆動プーリ
99 従動プーリ
100 タイミングベルト
101 給紙ローラ
102 フリクションパッド
103 ガイド部材
104 搬送ローラ
105 搬送コロ
106 先端コロ
107 副走査モータ
109 印写受け部材
111 搬送コロ
112 拍車
113 排紙ローラ
114 拍車
115、116 ガイド部材
117 回復装置
200、210、230 レジスト層
230x 開口部
特開2012−061702号公報

Claims (10)

  1. 第1の層、及び前記第1の層上の所定領域の周囲に形成された第2の層を備えた第1の電極と、
    前記第1の層上の前記所定領域に、前記第2の層から突出するように形成された電気機械変換膜と、
    前記電気機械変換膜上に形成された第2の電極と、を有し、
    前記第2の層は、前記第2の電極と同一の層構成である電気機械変換素子。
  2. 前記第1の電極は、前記所定領域と前記電気機械変換膜との間に形成された第1の導電性酸化物膜を更に備えた請求項1記載の電気機械変換素子。
  3. 前記第1の導電性酸化物膜の材料は、化学式ABOで記述され、AはSr、Ba、Ca、Laの何れか1つ以上、BはRu、Co、Niの何れか1つ以上を主成分とする複合酸化物、又は、IrO、RuOの何れかからなる酸化物である請求項2記載の電気機械変換素子。
  4. 前記第1の層は、第1の金属膜から形成され、
    前記第2の層及び前記第2の電極は、各々第2の導電性酸化物膜と第2の金属膜とが順次積層された積層構造である請求項1乃至3の何れか一項記載の電気機械変換素子。
  5. 前記第1の層は、第1の金属膜から形成され、
    前記第2の層及び前記第2の電極は、各々第2の金属膜から形成されている請求項1乃至3の何れか一項記載の電気機械変換素子。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項記載の電気機械変換素子を具備する液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項6記載の液滴吐出ヘッドを具備する液滴吐出装置。
  8. 第1の金属膜の所定領域上に第1の導電性酸化物膜を形成する工程と、
    前記第1の導電性酸化物膜上に電気機械変換膜を形成する工程と、
    前記電気機械変換膜の周囲に露出する前記第1の金属膜上、及び前記電気機械変換膜上に、各々第2の導電性酸化物膜と第2の金属膜とを順次積層する工程と、を有し、
    前記順次積層する工程において、前記電気機械変換膜は、前記電気機械変換膜の周囲に露出する前記第1の金属膜上に形成された第2の導電性酸化物膜及び第2の金属膜よりも突出し、
    前記第1の金属膜、前記第1の導電性酸化物膜、並びに前記電気機械変換膜の周囲に露出する前記第1の金属膜上に積層された前記第2の導電性酸化物膜及び前記第2の金属膜は、第1の電極を構成し、
    前記電気機械変換膜上に積層された前記第2の導電性酸化物膜及び前記第2の金属膜は第2の電極を構成する電気機械変換素子の製造方法。
  9. 前記電気機械変換膜を形成する工程は、前記第1の導電性酸化物膜の周囲に露出する前記第1の金属膜を表面改質させて水化する工程と、
    前記水化する工程の後、前記第1の導電性酸化物膜上にインクジェット法により電気機械変換膜を形成する工程と、を含む請求項8記載の電気機械変換素子の製造方法。
  10. 前記水化する工程では、チオール化合物を用いて前記第1の金属膜を表面改質する請求項9記載の電気機械変換素子の製造方法。
JP2012147704A 2012-06-29 2012-06-29 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Active JP6028419B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012147704A JP6028419B2 (ja) 2012-06-29 2012-06-29 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012147704A JP6028419B2 (ja) 2012-06-29 2012-06-29 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014011356A JP2014011356A (ja) 2014-01-20
JP6028419B2 true JP6028419B2 (ja) 2016-11-16

Family

ID=50107765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012147704A Active JP6028419B2 (ja) 2012-06-29 2012-06-29 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6028419B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6972879B2 (ja) * 2017-10-10 2021-11-24 株式会社リコー 電気機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、超音波発生装置及び電気機械変換素子の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4553137B2 (ja) * 2005-09-05 2010-09-29 セイコーエプソン株式会社 複合酸化物積層体の製造方法
JP5696409B2 (ja) * 2010-09-15 2015-04-08 株式会社リコー 電気機械変換素子の製造方法
JP5716364B2 (ja) * 2010-11-29 2015-05-13 株式会社リコー 電気機械変換素子、液体噴射ヘッド、及び電気機械変換素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014011356A (ja) 2014-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5892406B2 (ja) 電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5724168B2 (ja) 電気−機械変換素子とその製造方法、及び電気−機械変換素子を有する液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置
JP6182968B2 (ja) 電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、画像形成装置及び電気機械変換素子の製造方法
JP2015207725A (ja) 前駆体ゾルゲル溶液、電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、及びインクジェット記録装置
JP6142690B2 (ja) 機能性インク、電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、及びインクジェット記録装置
JP5716364B2 (ja) 電気機械変換素子、液体噴射ヘッド、及び電気機械変換素子の製造方法
JP5720879B2 (ja) 電気−機械変換膜とその作製方法、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP5696408B2 (ja) 電気機械変換素子の製造方法
JP5696409B2 (ja) 電気機械変換素子の製造方法
JP6060582B2 (ja) 電気機械変換膜の形成方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置の製造方法
JP5871117B2 (ja) 電気−機械変換素子、電気−機械変換素子を具備した液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを具備したインクジェットプリンタ及び電気−機械変換素子の製造方法
JP2014013842A (ja) 圧電素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP6028419B2 (ja) 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP6051713B2 (ja) 電気機械変換素子の製造方法
JP6102099B2 (ja) 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5736819B2 (ja) 電気機械変換膜の作製方法及び電気機械変換素子の作製方法
JP2014054802A (ja) 電気機械変換素子、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP2014157850A (ja) 電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2015005568A (ja) 前駆体ゾルゲル溶液、電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、及びインクジェット記録装置
JP5909933B2 (ja) 酸化物導電性薄膜の処理方法、電子デバイスの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法
JP6287188B2 (ja) 圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、及び画像形装置
JP5664957B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP6142597B2 (ja) 圧電体薄膜素子および該圧電体薄膜素子の製造方法、並びに圧電アクチュエータ、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置
JP2017191859A (ja) 電気機械変換部材、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
JP6098934B2 (ja) 電気機械変換膜の製造装置及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161003

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6028419

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151