JP6027744B2 - ヒトインスリン測定方法及び測定試薬 - Google Patents
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Description
特許文献1、2は、いずれもヒトインスリンに対する認識部位の異なる複数のモノクローナル抗体を用いてヒトインスリンを測定する方法であるが、少なくともブタインスリンと反応しない抗体を使用してヒトインスリンを特異的に測定しようとの発想はない。
〔1〕下記の特徴(a)及び(b)を有する、抗ヒトインスリン抗体。
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
〔2〕以下のいずれか1以上の特徴をさらに有する、請求項1に記載の抗ヒトインスリン抗体。
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
〔3〕インスリン類似化合物が、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれるものである、前記〔2〕に記載の抗ヒトインスリン抗体。
〔4〕以下の特徴をさらに有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗ヒトインスリン抗体。
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
〔5〕ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である前記〔4〕に記載の抗ヒトインスリン抗体。
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
〔6〕モノクローナル抗体である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の、抗ヒトインスリン抗体。
〔7〕受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される、前記〔6〕に記載の抗ヒトインスリン抗体。
〔8〕受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生されるモノクローナル抗体が認識するエピトープと同一のエピトープを認識しうる前記〔6〕に記載の抗ヒトインスリン抗体。
〔9〕請求項1〜8のいずれかに記載の抗体と生物由来試料とを接触させ、接触により形成された当該抗体とヒトインスリンとの複合体を検出する工程を含む、ヒトインスリン測定方法。
〔10〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の抗体が、検出可能な標識物質で標識されている、前記〔9〕に記載のヒトインスリン測定方法。
〔11〕下記2種類の抗体を用いるヒトインスリン測定方法。
1)前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の抗ヒトインスリン抗体
2)少なくともヒトインスリンと反応する性質を有する抗体A
〔12〕下記2種類の抗体を用いるヒトインスリン測定方法。
1)前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の抗ヒトインスリン抗体
2)上記1)の抗体を特異的に認識する性質を有する抗体B
〔13〕1)及び2)の抗体が、ともにモノクローナル抗体である前記〔11〕又は〔12〕に記載のヒトインスリン測定方法。
〔14〕1)の抗体がモノクローナル抗体であり、2)の抗体がポリクローナル抗体である前記〔11〕又は〔12〕に記載のヒトインスリンの測定方法。
〔15〕1)の抗体及び/又は2)の抗体が、固相に固定化されている、前記〔11〕〜〔14〕のいずれかに記載のヒトインスリン測定方法。
〔16〕固相がラテックスであり、ラテックス免疫凝集法でインスリンを測定する、前記〔15〕に記載のヒトインスリン測定方法。
〔17〕1)の抗体は固相に固定化され、2)の抗体は標識物質で標識されている、ELISA法又はイムノクロマトグラフ法でインスリンを測定する、前記〔16〕に記載のヒトインスリン測定方法。
〔18〕以下の工程を含む外来性インスリンを測定する方法。
(1)ヒトインスリン及び外来性インスリンの総濃度を求める工程
(2)前記〔9〕〜〔17〕のいずれかのインスリン測定方法によってヒトインスリン濃度を求める工程
(3)(1)で求めた濃度から(2)で求めた濃度を差し引くことによって外来性インスリン濃度を求める工程
〔19〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の抗体を用いることを特徴とする、インスリン測定試薬。
〔20〕下記2種類の抗体を用いるインスリン測定試薬。
1)前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の抗ヒトインスリン抗体
2)少なくともヒトインスリンと反応する性質を有する抗体A
〔21〕下記2種類の抗体を用いるインスリン測定試薬。
1)前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の抗ヒトインスリン抗体
2)上記1)の抗体を特異的に認識する性質を有する抗体B
〔22〕1)及び2)の抗体が、ともにモノクローナル抗体である前記〔20〕又は〔21〕に記載のインスリン測定試薬。
〔23〕1)の抗体がモノクローナル抗体であり、2)の抗体がポリクローナル抗体である前記〔20〕又は〔21〕に記載のインスリンの測定試薬。
〔24〕1)の抗体及び/又は2)の抗体が、固相に固定化されている、前記〔20〕〜〔23〕のいずれかに記載のヒトインスリン測定試薬。
〔25〕固相がラテックスであり、ラテックス免疫凝集法によりインスリンを測定する前記〔24〕に記載のヒトインスリン測定試薬。
〔26〕1)の抗体は固相に固定化され、2)の抗体は標識物質で標識されている、ELISA法又はイムノクロマトグラフ法によりインスリンを測定する、前記〔24〕に記載のヒトインスリン測定試薬。
〔27〕以下の測定試薬を含む外来性インスリン測定試薬キット。
(1)ヒトインスリン及び外来性インスリンの総インスリン濃度を測定する試薬
(2)前記〔19〕〜〔26〕のいずれかのヒトインスリン測定試薬
さらに、ヒトインスリン並びにインスリン補充療法に用いられるヒト以外の動物種由来のインスリン及びインスリン類似化合物とも交差反応性を示す抗ヒトインスリン抗体を用いた測定方法によるヒトインスリン並びにヒト以外の動物種由来のインスリン及びインスリン類似化合物の総量(総濃度)の測定結果と、本発明の抗体を用いた測定方法によるヒトインスリンのみの測定結果より、ヒト以外の動物種由来のインスリンやインスリン類似化合物など外来性のインスリンのみを測定することもできる。
1次スクリーニング:抗原固相化ELISA法を行い、ヒトインスリンに対する反応性を確認し陽性wellを選別。
2次スクリーニング:ヒトインスリンの競合ELISA法を行い、抗体がヒトインスリンに対して反応していることを再確認し、陽性wellを選択。
3次スクリーニング:Biacore(登録商標)を用いた反応性測定法により、ヒトインスリンに特異的な反応性を示し、ヒト以外の動物種由来のインスリン、プロインスリン、インスリン類似化合物と交差反応性を示さないwellを選択。
4次スクリーニング:ヒトインスリンβ鎖のC末端領域の配列「RGFFYTPKT」から成るペプチド断片との競合ELISA法を行い、当該ペプチド断片に対して反応性を示さず、ヒトインスリンに対し高い反応性を示すwellを選択。
従来のスクリーニングでは、ヒトインスリンが直接あるいは間接に固相化されているか、標識が施されているため、ヒトインスリン本来の立体構造の一部を喪失していた可能性が考えられる。ブタインスリンとヒトインスリンの構造上の相違がβ鎖C末端のアミノ酸のみであることは前述しているが、このような場合、微妙な立体構造の変化が、抗体のエピトープ決定に大きく影響する可能性が考えられる。本発明では、上記したように、Biacore(登録商標)を用いて、ヒトインスリンの立体構造を維持した状態でスクリーニングし、さらにヒトインスリンβ鎖のC末端領域のペプチド断片との競合ELISA法により立体構造を意図的に喪失させてスクリーニングを行うことで、より高い特異性を持つ抗体を選別している。
試料中に存在するヒトインスリンを検出するための測定用試薬(キット)の態様としては、次のA、Bの2態様が考えられ、それぞれ(a)、(b)の要素が必要とされる。
A.(a)本発明の抗ヒトインスリン抗体を固定化した固相及び(b)標識物質で標識され、少なくともヒトインスリンと反応する性質を有する抗体A(以下、標識抗体Aということがある)。
B.(a)標識物質で標識された本発明の抗ヒトインスリン抗体及び(b)少なくともヒトインスリンと反応する抗体Aを固定化した固相。
一般的なイムノクロマトグラフ法では、メンブレンなどのシート状の固相上に、被検試料溶液の展開方向にそって、端から順に「1.被検試料供給部位」、「2.標識抗体A(金コロイドや着色ラテックスで標識されている)を、メンブレン上において展開可能に保持した標識試薬部位」、「3.標識抗体Aとヒトインスリンにより形成された複合体を捕捉するため本発明の抗体を固定化した捕捉試薬部位」を具備した試験片が使用され、被検試料溶液が毛細管現象により連続的に移動するように構成されている。
試料中に存在するヒトインスリンを検出するための測定用試薬(キット)の態様としては、次のA〜Dの4態様が考えられ、それぞれ(a)、(b)あるいは(a)のみの要素が必要とされる。
A.(a)本発明の抗ヒトインスリン抗体を固定化したラテックス粒子及び(b)少なくともヒトインスリンと反応する抗体Aを固定化したラテックス粒子
B.(a)本発明の抗ヒトインスリン抗体を固定化したラテックス粒子及び(b)少なくともヒトインスリンと反応する抗体A
C.(a)本発明の抗ヒトインスリン抗体及び(b)少なくともヒトインスリンと反応する抗体Aを固定化したラテックス粒子
D.(a)本発明の抗ヒトインスリン抗体及び少なくともヒトインスリンと反応する抗体Aの両抗体を固定化したラテックス粒子
交差反応性(率)(%)=測定された試験化合物の濃度/試験化合物の理論濃度×100
なお、交差反応性の厳密な意味からは、モル換算して比較するべきであるが、本発明におけるヒトインスリンとブタインスリンなど交差性物質の分子量は同一であるか、近似しているので、モル換算せず、質量のまま簡易に計算することでも、見積もることができる。
1.免疫用抗原の調製
ヒトインスリン(リコンビナント、Fitzgerald社製 30−AI51)をコンプリートフロインドアジュバント(Wako社製)と1:1で混合後、連結シリンジを用いてエマルジョンを作製し、免疫用抗原とした。
上記、免疫用抗原を雌のBALB/cマウスの背部皮下に注射した(1匹当たり20〜50μg)。この操作(免疫)を1週間毎に2回繰り返した。免疫開始3週間後、試験採血して得た抗血清のうち、後述する抗原固相化ELISA法による試験にて、高い抗体価が確認されたマウスから脾臓を摘出し、50%−PEG1450(シグマ社製)を用いた常法により細胞融合を行った。ミエローマ細胞はSP2/Oを用いた。得られた融合細胞は、脾臓細胞として2.5×106個/mLになるようにHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)、15%ウシ胎児血清、及び10%のBM−Condimed H1 Hybridoma Cloning Supplement(Roche社製)を含むRPMI1640培地に懸濁し、96穴培養プレートに0.2mLずつ分注した。これを5%CO2インキュベーター中で37℃にて培養した。
細胞融合7日後に1次スクリーニングとして、培養上清を用いて後述する抗原固相化ELISA法を行い、ヒトインスリンに対し高い反応性を示したwellを1次陽性wellとして選別した。該1次陽性well中の細胞は、24穴プレートにおいて継代した。継代2日後、2次スクリーニングとして、培養上清を用いて後述するヒトインスリンの競合ELISA法を行い、ヒトインスリンに対し高い反応性を示すwellを2次陽性wellとして選択した。3次スクリーニングとして、Biacore(登録商標)を用いた反応性測定法により、ヒトインスリンのみに特異的な反応性を示し、その他プロインスリン、インスリン類似化合物(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジン)、ブタインスリン、ウシインスリンとは交差反応性を示さないwellを選択して3次陽性wellとした。さらに、4次スクリーニングとして、3次陽性well中の細胞を培養し、培養上清を用いてヒトインスリンと、ヒトインスリンβ鎖のC末端領域の配列「RGFFYTPKT」から成るペプチド断片(配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド断片であって、前記ペプチドのアミノ酸配列は、C末端アミノ酸が「T」である点のみが、ブタインスリン(C末端アミノ酸「A」)と異なる)との競合ELISA法を行い、当該ペプチド断片に対して反応性を示さず、ヒトインスリンに対し高い反応性を示すwellを選択して4次陽性wellとした。
150mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2;以下、PBSということがある)で1μg/mLの濃度に調製したヒトインスリン(Fitzgerald社製30−AI51)をスクリーニング用抗原として、50μL/wellずつ96穴プレートに固相化し、4℃で一晩静置した。0.05%Tween(登録商標)20及び0.1%プロクリン300(SUPELCO社製)を含むPBS溶液(以下、PBSTということがある)400μL/wellで3回洗浄後、1%BSAを含むPBST(以下、BSA−PBSTということがある)を100μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行い、抗原固相化ELISA法用プレートを作製した。該抗原固相化ELISA法用プレートは、PBSTで3回洗浄後、下記、抗原固相化ELISA法はじめ各試験例、実施例に記載の試験に用いた。なお、本明細書に記載の試験例、実施例で使用されたヒトインスリンは、26IU/mgで国際単位に換算される。
(i)上記、抗原固相化ELISA法用プレートに、BSA−PBSTにより段階希釈した試験採血により得た各マウス抗血清、あるいは融合細胞の培養上清を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(ii)PBSTで3回洗浄後、HRP−Gt F(ab’)2−Anti−Mouse Ig’s(BIOSOURCE社製 AMI4404)をBSA−PBSTで5000倍希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iii)PBSTで3回洗浄後、0.02%過酸化水素水を含む0.2Mクエン酸緩衝液(以下、基質溶解液ということがある)にOPD(東京化成工業社製)を2mg/mLにて溶解し、50μL/wellずつ添加して室温で1時間静置した。
(iv)1mM EDTAを含む1.5N硫酸(以下、反応停止液ということがある)を50μL/wellずつ添加し、タイターテック(登録商標)マルチスキャンプラスMKII(Flow Laboratories社製)を用いて波長492nmにて吸光度を測定した。
(i)抗原固相化ELISA法用プレートに、ヒトインスリン(Fitzgerald社製 30−AI51)をBSA−PBSTで各々0μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mLに希釈した溶液を25μL/wellずつ分注した。
(ii)次いで、BSA−PBSTで各々5倍、25倍に希釈した融合細胞の培養上清あるいは培養上清の原液を25μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iii)以降の操作は、前記3−2.抗原固相化ELISA法の工程(ii)〜(iv)と同様に行った。
Biacore(登録商標)T100(GE Healthcare社製 JJ−1037−02)を用いて抗体の反応特異性を指標にハイブリドーマのスクリーニング試験を行った。
(i)Sensor Chip CM5(GE Healthcare社製 BR−1005−30)に Mouse Antibody Capture Kit(GE Healthcare社製 BR−1008−38)及びAmine Coupling Kit(GE Healthcare社製 BR−1000−50)を使用してAnti−Mouse IgG antibodiesを固定化した。
(ii)Anti−Mouse IgG antibodiesを固定化したSensor Chip CM5に、細胞融合の培養上清の原液を流速30μL/minで300秒間添加し、培養上清中に含まれる抗体をAnti−Mouse IgG antibodiesに捕捉させた。
(iii)HBS−EP+ 10×(ランニングバッファー)(GE Healthcare社製 BR−1006−69)をNaOHでpH8.5に調整したのち、精製水にて最終的に10倍希釈してHBS−EP+使用液を調整し、以下に挙げる試験化合物を10ng/mLに希釈するため用いた。Anti−Mouse IgG antibodiesを固定化したSensor Chip CM5に、各試験化合物の希釈液を、0ng/mL、10ng/mLの2濃度につき流速30μL/minで各120秒間添加した。またその際にフリーランニングによる解離時間を120秒間と設定した。なお、HBS−EP+使用液の処方は0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20である。
<試験化合物>
(1)ヒトインスリン:Fitzgerald社製 30−AI51
(2)プロインスリン:IRR社製 Proinsulin,Human,for Immunoassay,NIBSC code: 84/611
(3)インスリン類似化合物
インスリンリスプロ100単位/mL:日本イーライリリー社製
インスリンアスパルト100単位/mL:ノボノルディスクファーマ社製
インスリングラルギン100単位/mL:サノフィ・アベンティス社製
インスリンデテミル100単位/mL:ノボノルディスクファーマ社製
インスリングルリジン100単位/mL:サノフィ・アベンティス社製
(4)ヒト以外の動物種由来インスリン
ウシインスリン:SIGMA I5500
ブタインスリン:WAKO 091−04211
(iv)Glycine 1.5(GE Healthcare社製 BR−1003−54)とGlycine 2.0(GE Healthcare社製 BR−1003−55)を1:1で混合して再生溶液とし、再生処理を180秒間行った。
(i)ヒトインスリンβ鎖のC末端領域の配列「RGFFYTPKT」(配列表配列番号1)から成るペプチド断片を作製した。当該ペプチド断片の作製にはペプチド自動合成装置を使用し、Fmoc法により合成、及び精製した。HPLCを用い、ペプチドの純度が95%以上であることを確認した。また、分子量は質量分析装置(MALDI−TOF)にて理論値と同じであることを確認した。
(ii)抗原固相化ELISA法用プレートに上記(i)で作製した合成ペプチド断片、またはヒトインスリン(Fitzgerald社製 30−AI51)をBSA−PBSTで各0μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mLに希釈した溶液を25μL/wellずつ分注した。
(iii)以降の操作は、前記3−3.ヒトインスリンの競合ELISA法の工程(ii)、(iii)と同様に行った。
細胞融合7日後に1次スクリーニングとして、培養上清を用いて抗原固相化ELISA法を行い、ヒトインスリンに対して高い反応性を示したwellを1次陽性wellとして選別した。該1次陽性well中の細胞は、24穴プレートで継代した。継代2日後、2次スクリーニングとして、培養上清を用いて競合ELISA法を行い、ヒトインスリンに対し高い反応性を示すwellを2次陽性wellとして選択した。
上記3.(4次スクリーニングまで完了)及び4.(2次スクリーニングまで完了)のスクリーニングで選択したハイブリドーマを限界希釈法にてクローニングし、それぞれハイブリドーマ66224、66408を得た。次いで各ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体を採取するため、ハイブリドーマ投与の2週間前にプリスタン0.5mLを腹腔内に注射しておいた12週齢の雌BALB/cマウスに、ハイブリドーマを細胞数0.5×106個の量で腹腔内に投与した。14日後に腹水を採取し、遠心処理して上清を得た。上清を等量の吸着用緩衝液(3mol/L 塩化ナトリウム、1.5mol/L Glycine−NaOH緩衝液、pH8.5)と混和後、ろ過した。該ろ液を、吸着用緩衝液で平衡化したプロテインAセファロースカラムに通し、ろ液中の抗体をカラムに吸着させた後、0.1mol/L クエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出させた。該溶出液を、1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で中和後、PBSで透析を行い、抗体を採取した。
以下、66224抗体、66408抗体としてそれぞれ試験に用いた。
66224抗体あるいは66408抗体のプロインスリン、インスリン類似化合物、ブタインスリン、ウシインスリンとの交差反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いて試験を行った。試験方法は、試験例1の3−4.と同様であり、66224抗体については抗体精製後における各試験化合物に対する特異反応性を確認するため、さらに66408抗体についても抗体精製後における各試験化合物に対する特異反応性を評価するため、同試験を実施した。
Sensor Chip CM5に固定化したAnti−Mouse IgG antibodiesに66224抗体あるいは66408抗体を捕捉させ、試験化合物としてヒトインスリン、プロインスリン、各種インスリン類似化合物、ブタインスリン、ウシインスリンを添加することでそれぞれの反応性を評価した。具体的な操作手順は以下のとおりであり、試験化合物は試験例1と同じものである。
(i)Sensor Chip CM5にAnti−Mouse IgG
antibodiesを固定化した。
(ii)HBS−EP+使用液(pH8.5)で66224抗体あるいは66408抗体を5μg/mLとなるよう希釈し、流速30μL/minで300秒間添加し、Anti−Mouse IgG antibodiesが固定化されたSensor Chip CM5に66224抗体あるいは66408抗体を捕捉させた。
(iii)Anti−Mouse IgG antibodiesを固定化したSensor Chip CM5に、HBS−EP+使用液(pH8.5)で希釈した試験化合物を0ng/mL、10ng/mLの2濃度につき流速30μL/minで各120秒間添加した。またその際にフリーランニングによる解離時間を120秒間と設定した。
(iv)Glycine 1.5とGlycine 2.0を1:1で混合して再生溶液とし、再生処理を180秒間行った。
2−1.66224抗体の反応性
66224抗体について、Biacore(登録商標)T100を用いてヒトインスリン、プロインスリン、各種インスリン類似化合物(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジン)、ブタインスリン、ウシインスリンとの反応性を確認した。結果を図2に示す。図2中、縦軸は、センサー表面上での反応(抗体への抗原の結合)による質量変化を表しており(Response)、「RU」は、Biacore(登録商標)測定系における独自の単位である。また、横軸は時間(Time)を示しており、単位は「秒(s)」である(以下、同様)。ヒトインスリン濃度10ng/mLにおいて2.0RUの反応性が認められた一方で、その他の試験化合物(10ng/mL)ではRUが0と算出され、全く反応性が認められなかった(図2)。これより、66224抗体は、本明細書でいう「ヒトインスリンと反応し、ブタインスリンとは反応しない抗体」で、「さらに、ウシインスリン、プロインスリン、インスリン類似化合物の1以上と反応しない性質を有する抗体」であることが確認された。
2−2.66408抗体の反応性
66408抗体について、Biacore(登録商標)T100を用いてプロインスリン、各種インスリン類似化合物(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル)、ブタインスリン、ウシインスリンとの反応性を確認した。結果を図3に示す。ヒトインスリン濃度10ng/mLにおいて、2.5RUの反応性が認められた一方で、ウシインスリンではRUが0と算出され、ウシインスリンに対する反応性は認められなかった。その一方で、その他の試験化合物については0.6RU〜13RUが算出され、反応性が認められた(図3)。これより66408抗体は、本明細書でいう「少なくともヒトインスリンと反応する抗体A」(ヒトインスリンと反応し、ヒト以外の動物種由来のインスリン及びインスリン類似化合物(の一部)と反応する抗体)であることが確認された。
試験例2の結果より、66224抗体は、ヒトインスリンには反応し、ブタインスリンには反応しないことが確認された。ヒトインスリンとブタインスリンは、β鎖C末端のアミノ酸が「T」であるか「A」である点が唯一相違しており(図1)、66224抗体はこの1アミノ酸の相違に起因してヒトインスリンとブタインスリンを識別認識していることが考えられた。そこで66224抗体の認識エピトープを確認するため、ヒトインスリンとブタインスリンの間で異なっているアミノ酸配列部位を含む合成ペプチド断片(前記〔試験例1〕3−5にて作製)を用いた競合ELISA法を行った。この試験において66224抗体が当該合成ペプチド断片と反応(競合)すれば、66224抗体はインスリンβ鎖C末端を含むアミノ酸配列の一次構造の違い(置換)を認識していると考えられる。66224抗体が当該合成ペプチド断片と反応しない場合には、66224抗体はヒトインスリン分子中で当該β鎖C末端アミノ酸配列領域が形成する立体構造を認識していると考えることができる。
以下の手順に従って合成ペプチド断片と66224抗体との反応性の有無を調べた。
(i)PBSを用いて、ヒトインスリン(Fitzgerald社製 30−AI51)を1μg/mLに希釈して96穴プレートに50μLずつ添加し、室温で2時間静置した。
(ii)0.05%Tween(登録商標)20及び0.1%プロクリン300(SUPELCO社製)を含むPBS溶液(以下PBSTという)400μL/wellで3回洗浄した。
(iii)BSA−PBSTを100μLずつ添加し、室温で1時間静置した。
(iv)添加したBSA-PBST溶液を全て吸引除去した。
(v)競合させる試験化合物としてヒトインスリンあるいは合成ペプチド断片をBSA-PBSTで各0μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mLに希釈して25μLずつ添加し、さらにその上から66224抗体をBSA-PBSTで2μg/mLに希釈して 25μLずつ添加し、室温で1時間静置した。
(vi)PBST溶液400μL/wellで3回洗浄した。
(vii)HRP標識ヤギ抗マウスIgGγ(SouthernBiotech 社製、1030−05)を5000倍に希釈して50μLずつ添加し、室温で1時間静置した。
(viii)PBST溶液400μL/wellで3回洗浄した。
(ix)基質溶解液にOPD(東京化成工業社製)を2mg/mLになるよう溶解し、wellに50μLずつ添加して室温で1時間静置した。
(x)反応停止液を50μLずつ添加し、タイターテック(登録商標)マルチスキャンプラスMKII(Flow Laboratories社製)を用いて波長492nmにて吸光度を測定した。
なお、希釈溶液は、記述のあるもの以外については全てBSA-PBSTとした。
試験結果を表1及び図4に示す。
66224抗体はヒトインスリンと反応性を示すため、固相化されたヒトインスリンと競合させる試験化合物としてヒトインスリンを使用した場合には、その濃度に依存して反応性が低下した。これは競合させた溶液中のヒトインスリンによって66224抗体が吸収されるため、固相化されたヒトインスリンと反応する66224抗体量が少なくなるためである。しかしながら合成ペプチド断片を競合させる試験化合物として使用した場合には、合成ペプチド断片の濃度に依存した反応性の変動は全く見られなかった。これより、66224抗体は、合成ペプチド断片それ自体とは反応性が無いことが確認された。以上の結果から、66224抗体はヒトインスリンのβ鎖C末端のアミノ酸を含むアミノ酸配列の1次構造とは反応性を示さず、ヒトインスリン分子中で当該β鎖C末端アミノ酸配列領域が形成する立体構造を認識していると考えられた。
1.ラテックス粒子の作製
攪拌機、還流用冷却器、温度検出器、窒素導入管及びジャケットを備えたガラス製反応容器(容量2L)に、蒸留水1100g、スチレン200g、スチレンスルホン酸ナトリウム0.2g、及び、蒸留水50gに過硫酸カリウム1.5gを溶解した水溶液を仕込み、容器内を窒素ガスで置換した後、70℃で攪拌しながら48時間重合した。重合終了後、上記溶液をろ紙にてろ過処理し、ラテックス粒子を取り出した。得られたラテックス粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡装置 (日本電子社製、「JEM−1010型」)を用いて10000倍の倍率でラテックス粒子を撮影し、最低100個以上の粒子について画像解析することにより平均粒子径を測定した。得られた平均粒子径は0.3μmであった。
2−1.66224抗体感作ラテックス粒子溶液の作製
平均粒子径0.3μmの1.0%ラテックス溶液(5mM トリス−塩酸緩衝液(以下、Tris−HClという)(pH8.5))に、5mM Tris−HCl(pH8.5)で0.60mg/mLに希釈した66224抗体溶液を等量添加して4℃2時間攪拌した。その後、上記ラテックス溶液と抗体溶液の混合溶液に0.5%BSA含有5mM Tris−HCl(pH8.5)を等量添加して4℃1時間攪拌した。次に、これを遠心して上清を除去後、沈殿を5mM Tris−HCl(pH8.5)で再懸濁し、66224抗体感作ラテックス粒子溶液を作製した。
2−2.66408抗体感作ラテックス粒子溶液の作製
平均粒子径0.3μmのラテックスを用いて上記と同じ方法により66408抗体感作ラテックス粒子溶液を作製した。
3−1.第一試薬の調製
500mMの塩化ナトリウム及び0.2%BSAを含む5mM Tris−HCl(pH8.5)を調製し第一試薬とした。
3−2.第二試薬の調製
66224抗体感作ラテックス粒子溶液及び66408抗体感作ラテックス粒子溶液を等量混合し、5mM Tris−HCl(pH8.5)で波長600nmでの吸光度が5.0Absとなるように希釈して第二試薬とした。
第一試薬と第二試薬を組合せ、日立7170形自動分析装置を用いてヒトインスリン濃度依存的な粒子凝集塊の形成を確認した。具体的には、濃度0μU/mL、5μU/mL、25μU/mL、50μU/mL、100μU/mL、200μU/mLヒトのインスリン溶液10μLに、第一試薬150μLを加えて37℃で5分間加温後、第二試薬50μLを加えて攪拌した。その後5分間の凝集形成に伴う吸光度変化を、主波長570nm、副波長800nmにて測定した。
測定結果を表2に示す。表2よりヒトインスリン濃度依存的に感度が上昇し定量が可能であることが確認された。
66224抗体及び66408抗体をそれぞれプレートに固相化(1次抗体)し、標識抗体(2次抗体)としてそれぞれ他方の抗体を組み合わせた。ヒトインスリン、プロインスリン、インスリン類似化合物、ウサギインスリン、イヌインスリン、ブタインスリン、ウシインスリンとの反応性についてサンドイッチELISA法を用いて試験を行った。
1.使用した抗体及び試験化合物
(1)モノクローナル抗体
66224抗体:4.03mg/mL
66408抗体:9.04mg/mL
(2)試験化合物
ヒトインスリン、プロインスリン、各種インスリン類似化合物(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジン)、ブタインスリン、ウシインスリンは、試験例1、2と同じものを用いた。ウサギインスリン、イヌインスリンについては、それぞれ以下のとおりである。
ウサギインスリン:(株)森永生科学研究所 200723
イヌインスリン:(株)森永生科学研究所 200722
(i)PBSに66224抗体あるいは66408抗体を2μg/mLに希釈した溶液を96穴プレートに50μL/wellずつ固相化し、室温で2時間静置した。
(ii)PBST400μL/wellで3回洗浄後、BSA−PBSTを100μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行い、サンドイッチELISA用プレートを作製した。
(iii)サンドイッチELISA用プレートに、ヒトインスリン、プロインスリン、各種インスリンアナログ製剤、ブタインスリン、ウシインスリン、ウサギインスリン、イヌインスリンをBSA−PBSTで各0ng/mL、2.5ng/mL、5ng/mL、10ng/mLに希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iv)PBSTで3回洗浄後、ビオチン標識化した66224抗体あるいは66408抗体をBSA−PBSTで1μg/mLに希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(v)PBSTで3回洗浄後、Immuno Pure(登録商標)Streptavidin,HRP Conjugated(PIERCE社製 Prod#21126)をBSA−PBSTで5000倍に希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(vi)PBSTで3回洗浄後、基質溶解液にOPD(東京化成工業社製)を2mg/mLにて溶解し、50μL/wellずつ添加して室温で1時間静置した。
(vii)反応停止液を50μL/wellずつ添加し、タイターテック(登録商標)マルチスキャンプラスMKII(Flow Laboratories社製)を用いて波長492nmにて吸光度を測定した。
3−1.66224抗体固相化プレート測定結果
試験結果を表3及び図5に示す。
66224抗体を1次抗体、66408抗体を2次抗体とした場合、ヒトインスリンでは濃度依存的な吸光度の上昇が認められた一方で、その他の試験化合物では濃度依存的な吸光度の上昇が認められず、測定された吸光度自体も測定誤差程度のものであった。
試験結果を表4及び図6に示す。
66408抗体を1次抗体、66224抗体を2次抗体とした場合、ヒトインスリンでは濃度依存的な吸光度の上昇が認められた一方で、その他の試験化合物では濃度依存的な吸光度の上昇が認められず、測定された吸光度自体も測定誤差程度のものであった。
前記実施例2の結果より、66224、66408のいずれの抗体を1次抗体、2次抗体とした場合においても、ヒトインスリン以外の試験化合物は測定されないことから、本発明の測定方法は、それらの影響を受けずにヒトインスリンのみを定量できることがわかる。すなわち、本発明の測定方法によれば、プロインスリン、インスリン類似化合物、ブタインスリン、ウシインスリン、ウサギインスリン、イヌインスリンのいずれの影響も受けずにヒトインスリンのみを特異的に測定することができた。また、実施例2の結果に基づけば、ヒトインスリン以外の試験化合物に対する交差反応性が、市販試薬と比較して極めて低い(例えば、ブタインスリンに対する交差反応性が18%未満)か、あるいは実質0%であるヒトインスリン測定方法及び測定試薬を構成することができる。
前記試験例2のBiacore(登録商標)T100を用いた本発明のモノクローナル抗体の交差反応性試験結果では、66224抗体はヒトインスリンとは反応するものの、それ以外の試験化合物とはいずれとも反応性を示さなかった。その一方で、66408抗体ではウシインスリン以外の試験化合物とはいずれとも反応性を示したことから、66224抗体のヒトインスリンに対する高い特異性により、ヒトインスリン特異的な測定が可能となったと考えられる。
また、前記試験例3により、66224抗体はヒトインスリンのβ鎖C末端領域のアミノ酸配列が関与するヒトインスリンの立体構造を認識すると考えられるため、ヒトインスリンとブタインスリンの立体的に異なる特定部位をエピトープとする特性により、ヒトインスリン特異的な測定が可能になったことも本発明のひとつの特徴である。
さらに、本発明の測定方法の測定結果と、ヒトインスリンに加えヒト以外の動物種由来のインスリンやインスリン類似化合物とも交差反応性を示す、例えば従来のインスリン測定方法による測定結果と組み合わせることで、糖尿病患者自身が産生している内因性のインスリンとインスリン類似化合物やヒト以外の動物種由来のインスリンの識別測定が可能になり、投与している外来性インスリンがどれだけ治療に寄与しているのか把握できるため、非常に有用である。
(2)FERM BP−11315
(3)FERM BP−11233
(4)FERM BP−11234
(1)66224抗体を産生するハイブリドーマ66224
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成21年6月26日(2009年6月26日)(原寄託日)
平成22年12月6日(2010年12月6日)(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−11314
(2)66408抗体を産生するハイブリドーマ66408
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
(1)に同じ
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成21年6月26日(2009年6月26日)(原寄託日)
平成22年12月6日(2010年12月6日)(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−11315
(3)66221抗体を産生するハイブリドーマ66221
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
(1)に同じ
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成21年4月8日(2009年4月8日)(原寄託日)
平成22年2月17日(2010年2月17日)(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−11233
(4)66226抗体を産生するハイブリドーマ66226
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
(1)に同じ
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成21年4月8日(2009年4月8日)(原寄託日)
平成22年2月17日(2010年2月17日)(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−11234
Claims (19)
- 下記(A)〜(C)のいずれかに記載の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体と生物由来試料とを接触させ、接触により形成された当該抗体とヒトインスリンとの複合体を検出する工程を含む、ヒトインスリン測定方法。
(A)下記の特徴(a)〜(i)を有する抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれる1以上のインスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
(B)前記(i)のヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である(A)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
(C)受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される抗ヒトインスリンモノクローナル抗体 - 抗ヒトインスリンモノクローナル抗体が、検出可能な標識物質で標識されている、請求項1に記載のヒトインスリン測定方法。
- 下記1)及び2)の2種類の抗体を用いるヒトインスリン測定方法。
1)下記(A)〜(C)のいずれかに記載の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(A)下記の特徴(a)〜(i)を有する抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれる1以上のインスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
(B)前記(i)のヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である(A)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
(C)受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
2)少なくともヒトインスリンと反応する性質を有する抗体 - 下記1)及び2)の2種類の抗体を用いるヒトインスリン測定方法。
1)下記(A)〜(C)のいずれかに記載の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(A)下記の特徴(a)〜(i)を有する抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれる1以上のインスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
(B)前記(i)のヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である(A)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
(C)受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
2)上記1)の抗体を特異的に認識する性質を有する抗体 - 2)の抗体が、モノクローナル抗体である請求項3又は4に記載のヒトインスリン測定方法。
- 2)の抗体がポリクローナル抗体である請求項3又は4に記載のヒトインスリンの測定方法。
- 1)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体及び/又は2)の抗体が、固相に固定化されている、請求項3〜6のいずれかに記載のヒトインスリン測定方法。
- 固相がラテックスであり、ラテックス免疫凝集法でインスリンを測定する、請求項7に記載のヒトインスリン測定方法。
- 1)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体は固相に固定化され、2)の抗体は標識物質で標識されている、ELISA法又はイムノクロマトグラフ法でインスリンを測定する、請求項8に記載のヒトインスリン測定方法。
- 以下の工程を含む外来性インスリンを測定する方法。
(1)ヒトインスリン及び外来性インスリンの総濃度を求める工程
(2)請求項1〜9のいずれかに記載のインスリン測定方法によってヒトインスリン濃度を求める工程
(3)(1)で求めた濃度から(2)で求めた濃度を差し引くことによって外来性インスリン濃度を求める工程 - 下記(A)〜(C)のいずれかに記載の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、インスリン測定試薬。
(A)下記の特徴(a)〜(i)を有する抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれる1以上のインスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
(B)前記(i)のヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である(A)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
(C)受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される抗ヒトインスリンモノクローナル抗体 - 下記1)及び2)の2種類の抗体を用いるインスリン測定試薬。
1)下記(A)〜(C)のいずれかに記載の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(A)下記の特徴(a)〜(i)を有する抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれる1以上のインスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
(B)前記(i)のヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である(A)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
(C)受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
2)少なくともヒトインスリンと反応する性質を有する抗体 - 下記1)及び2)の2種類の抗体を用いるインスリン測定試薬。
1)下記(A)〜(C)のいずれかに記載の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(A)下記の特徴(a)〜(i)を有する抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
(a)ヒトインスリンと反応する
(b)ブタインスリンと反応しない
(c)ウシインスリンと反応しない
(d)イヌインスリンと反応しない
(e)ウサギインスリンと反応しない
(f)プロインスリンと反応しない
(g)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンよりなる群より選ばれる1以上のインスリン類似化合物と反応しない
(h)RGFFYTPKT(配列表配列番号1)の配列から成るぺプチド断片と反応しない
(i)ヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造を認識する
(B)前記(i)のヒトインスリン分子におけるβ鎖C末端RGFFYTPKT領域の立体構造が、以下の溶液中で取りうる構造である(A)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
0.01M HEPES(pH8.5)、0.15M 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005% SurfactantP20
(C)受託番号FERM BP−11314のハイブリドーマより産生される抗ヒトインスリンモノクローナル抗体
2)上記1)の抗体を特異的に認識する性質を有する抗体 - 2)の抗体が、モノクローナル抗体である請求項12又は13に記載のインスリン測定試薬。
- 2)の抗体がポリクローナル抗体である請求項12又は13に記載のインスリンの測定試薬。
- 1)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体及び/又は2)の抗体が、固相に固定化されている、請求項12〜15のいずれかに記載のヒトインスリン測定試薬。
- 固相がラテックスであり、ラテックス免疫凝集法によりインスリンを測定する請求項16に記載のヒトインスリン測定試薬。
- 1)の抗ヒトインスリンモノクローナル抗体は固相に固定化され、2)の抗体は標識物質で標識されている、ELISA法又はイムノクロマトグラフ法によりインスリンを測定する、請求項16に記載のヒトインスリン測定試薬。
- 以下の測定試薬を含む外来性インスリン測定試薬キット。
(1)ヒトインスリン及び外来性インスリンの総インスリン濃度を測定する試薬
(2)請求項11〜18のいずれかのヒトインスリン測定試薬
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