JP6026257B2 - セラミド産生促進剤 - Google Patents

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本発明は、セラミド産生促進剤及び保湿剤に関する。
スフィンゴ脂質の一つであるセラミドは、生体全体の中では微量であるが、皮膚の最も外側の層である角層中では、脂質成分の半分以上を占め、皮膚の保湿機構、バリア機構に重要な役割を果たしている。セラミドは、表皮細胞中において産生・分泌された後に角層中の細胞間においてラメラ構造を構築する。乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症、乾癬等の皮膚疾患においては、セラミドの健全な代謝が妨げられ、角層中のセラミド量が減少し、皮膚の保湿能やバリア能の低下等を引き起こしていることが数多く報告されている。
表皮細胞におけるセラミド産生を亢進し、角層中のセラミド量を増加させることができれば、皮膚の保湿能やバリア能を高めることができ、角層中のセラミド量低下に伴う皮膚疾患、例えば、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症、乾癬等、の予防・改善等に有用であると考えられる。例えば、ユーカリ抽出物は、表皮細胞のセラミド産生を亢進し、角層中のセラミド量を増加させることで、皮膚の保湿能・バリア能を高めることが知られている(非特許文献1)。これまでに、減少したセラミドを外部から補給することもが試みられているが、現在のところ必ずしもその効果は十分なものではない。
International Journal of Cosmetic Science, 2012, 34, 17-22.
本発明は、高いセラミド産生促進効果を有するセラミド産生促進剤を提供することを課題とする。また、本発明は、セラミド産生を促進する作用に優れた保湿剤を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討を行った。その結果、トウヒ属(Picea)の植物抽出物が高いセラミド産生促進作用を有することを見出し、これらが新規の保湿成分として有用であるとの知見を得た。本発明はこの知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有するセラミド産生促進剤に関する。
また、本発明は、トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有する保湿剤に関する。
本発明によれば、高いセラミド産生促進効果を有するセラミド産生促進剤を提供することができる。また、本発明によれば、セラミド産生促進作用に優れた保湿剤を提供することができる。
本発明のセラミド産生促進剤及び保湿剤は、シベリアトウヒ以外のトウヒ属(Picea)に属する植物から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を含有する。後述の実施例で実証するように、これらの植物抽出物は高いセラミド産生促進効果を奏する。
本発明において、トウヒ属に属する植物(以下、トウヒ属植物ともいう)とは、マツ科(Pinaceae)のトウヒ属(Picea)に属する植物をいうが、シベリアトウヒ(Picea obovata)は含まない。
トウヒ属植物は、球果と葉に基づいて更に3つの節に分類される。球果は大きく表面は鱗状で、葉の断面がやや平らなオモリカトウヒ節、球果は小さく表面は鱗状で、葉の断面が扁平なトウヒ節、及び、球果は大きく表面はなめらかで、葉はとがり、その断面が四角いバラモミ節である。
トウヒ属植物として具体的には、オモリカトウヒ節のブリュワートウヒ(Picea breweriana)、サージャントトウヒ(Picea brachytyla)、ビルマトウヒ(Picea farreri)、リキアントウヒ(Picea likiangensis)、ムラサキトウヒ(Picea purpurea)、シッキムトウヒ(Picea spinulosa)、マツハダ(Picea alcocquiana syn. Picea bicolor)、アカエゾマツ(Picea glehnii)、クロトウヒ(Picea mariana)、オモリカトウヒ(Picea omorika)、アカトウヒ(Picea rubens)、バルファートウヒ(Picea balfouriana)、トウヒ節のシトカトウヒ(Picea sitchensis)、エンゲルマントウヒ(Picea engelmannii)、カナダトウヒ(シロトウヒ)(Picea glauca)、エゾマツ(Picea jezoensis)、コロラドトウヒ(Picea pungens)、バラモミ節のチワワトウヒ(Picea chihuahuana)、ニイタカトウヒ(Picea morrisonicola)、コーカサストウヒ(Picea orientalis)、スチェレンストウヒ(Picea schrenkiana)、モリンダトウヒ(Picea smithiana)、マルチネストウヒ(Picea martinezii)、ヒメバラモミ(Picea maximowiczii)、ベイッチトウヒ(Picea neoveitchii)、バラモミ(Picea torano syn. Picea polita)、ウィルソントウヒ(Picea wilsonii)、オウシュウトウヒ(Picea abies)、アルプストウヒ(Picea alpestris)、ドラゴントウヒ(Picea asperata)、チョウセンハリモミ(Picea koraiensis)、ヤツガタケトウヒ(Picea koyamae)、マイヤートウヒ(Picea meyeri)等が挙げられる。
本発明では、上記トウヒ属植物のなかでも、オモリカトウヒ節及びバラモミ節に属する植物が好ましく、オモリカトウヒ節のアカトウヒ(Picea rubens)、アカエゾマツ(Picea glehnii)、及びバラモミ節のオウシュウトウヒ(Picea abies)がより好ましい。アカトウヒは壊血病の治療に、アカエゾマツは建築材や弦楽器の表面板などに、オウシュウトウヒは建築材、弦楽器の表面板、或いは抗酸化剤、抗菌剤として用いられている。
本発明で用いる抽出物は、上記トウヒ属植物の全木、又は任意の部位(根、根茎、幹、枝、茎、葉、樹皮、樹液、樹脂、花、果実、種子、果皮、莢、芽、花穂、心材等)を用いて抽出することができる。また、各部位を複数組み合わせて用いてもよい。なかでも、葉を用いて抽出された葉抽出物を用いることが好ましい。
上記の植物は生のままで抽出に用いてもよく、抽出効率を高めるために、乾燥、細断、粉砕等の処理を施したものを用いることも好ましい。
トウヒ属植物の抽出物を得る方法については特に限定はなく、上記植物を通常の方法で抽出することにより抽出物を得ることができる。具体的には、上記植物を乾燥させた乾燥物、その粉砕物等を圧搾抽出することにより得られる搾汁、水蒸気蒸留物、各種抽出溶剤による粗抽出物、粗抽出物を分配又はカラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで精製して得られた抽出物画分などを本発明における抽出物として用いることができる。また、これらの抽出物、水蒸気蒸留物、圧搾物等を、単独或いは2種以上組み合わせたものを抽出物として用いてもよい。
本発明においては、トウヒ属植物を乾燥させた乾燥物又はその粉砕物から、抽出溶剤を用いて得られた抽出物を用いることがより好ましい。
抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。抽出溶剤の例としては、水;アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール);アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル;ポリエチレングリコール等のポリエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ピリジン;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられる。上記溶剤の2種以上を組み合わせた混合物を、抽出溶剤として用いることもできる。なかでも、水、アルコール、及び当該アルコールの水溶液から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、水、エタノール水溶液、プロピレングリコール、及びブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、水、又はエタノール水溶液を用いることがさらに好ましく、エタノール水溶液を用いることがよりさらに好ましい。
抽出溶剤として用いるアルコール水溶液の濃度は、5容量%以上が好ましく、30容量%以上がより好ましく、40容量%以上がさらに好ましい。濃度の上限については特に制限はないが、99容量%以下が実際的である。アルコール水溶液の濃度は、5容量%以上99容量%以下が好ましく、30容量%以上99容量%以下がより好ましく、40容量%以上99容量%以下がさらに好ましい。
特に、抽出溶剤として用いるエタノール水溶液の濃度は、30容量%以上が好ましく、40容量%以上であることがより好ましく、50容量%以上がさらに好ましい。また、濃度の上限については特に制限はないが、99容量%以下が好ましく、95容量%以下がより好ましい。アルコール水溶液の濃度は、30容量%以上99容量%以下が好ましく、40容量%以上99容量%以下がより好ましく、40容量%以上95容量%以下がさらに好ましく、50容量%以上95容量%以下がよりさらに好ましい。
抽出条件については、使用する溶剤によって異なり特に制限はないが、例えば水、アルコール類又はアルコール水溶液を用いて抽出する場合、下記条件で、浸漬又は加熱還流するのが好ましい。溶剤は、植物1質量部に対して1質量部以上用いることが好ましく、50質量部以下用いることが好ましい。抽出温度は、3℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。抽出時間は、1時間以上が好ましく、1日以上がより好ましく、数週間以下が好ましく、30日間以下がより好ましい。また、抽出効率を上げる為、併せて攪拌を行ったり、溶剤中でホモジナイズ処理を行ってもよい。
上記溶媒で抽出して得られた抽出物はそのまま使用してもよいが、さらに適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。本発明で用いる植物抽出物は、このようにして得られた各種抽出物、その希釈液、その濃縮液、その精製物又はそれらの乾燥末を包含するものである。
本発明のセラミド産生促進剤又は保湿剤には、トウヒ属植物の抽出物を単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。
後述の実施例に示すように、トウヒ属植物の抽出物は優れたセラミド産生促進作用を有する。前述のように、セラミドは皮膚の保湿機構やバリア機構において重要な役割を担っており、セラミド産生の促進は、生体の有するセラミド産生機構を健常化し、減少した角層中のセラミドを増加させ、高いバリア機能及び保湿機能を有する皮膚を取り戻すことにつながる。すなわち、トウヒ属植物の抽出物は、セラミド産生を促進させるため、ひいては皮膚の保湿機能やバリア機能を維持、改善、健常化するために使用することができる。
上記使用は、治療的使用(即ち医療行為)であっても非治療的使用(非医療的な行為)であってもよい。また、上記使用の対象は、ヒト、非ヒト動物、又はそれらに由来する検体であり得る。なお、前記「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処理行為を含まない概念である。
トウヒ属植物の抽出物を有効成分として含有するセラミド産生促進剤又は保湿剤は、上記使用の具体的態様の1つであり、治療的用途(医療用途)、非治療用途(非医療用途)のいずれにも適用することができる。その使用形態も、人や動物の皮膚、爪、粘膜、毛髪等に適用されうるすべての形態が含まれる。
具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧料等としての使用が挙げられ、化粧料や医薬部外品、医薬品の場合は皮膚外用剤の形態で、医薬品の場合は投与形態で、使用することができる。また、これらの剤は、各種の飲食品やペットフード等に有効成分として配合することもできる。
本発明のセラミド産生促進剤又は保湿剤は、有効成分であるトウヒ属植物の抽出物のみを含有するものであってもよいし、効果に影響を与えない範囲で他の成分を含有するものであってもよい。
有効成分以外の他の成分は、剤の形態や用途等に応じて適宜選択できる。例えば、剤として成形しやすいよう、酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体または固体の賦形剤または増量剤を加えてもよい。また、他の薬効成分(その他の美白剤、保湿剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、色材種等を加えてもよい。
他の薬効成分としては、例えば、既知のセラミド産生促進剤、擬似セラミド、天然セラミド、糖セラミド等の保湿剤が挙げられる。また、保湿剤以外の薬効成分として、皮膚老化防止剤、美白剤等が挙げられる。
既知のセラミド産生促進剤としては、例えば、アセチルヒドロキシプロリン、グリチルリチン酸カリウム、L-カルニチン、アスコルビン酸、アスコルビルグルコシド、アスコルビルリン酸マグネシウム、dl-α-トコフェリル-dl-アスコルビルリン酸、dl-α-トコフェリルリン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸トコフェロール、L-乳酸、ビタミンC、アスパラガス抽出物、ブッチャーブルーム、ゲンクワニン、ローズマリー、ラベンダー、セージ、ナツメ、黒(赤)霊芝、トウキ、クジン、ヨクイニン、ベニセアンヌ抽出物、ライスパワーエキスなどが挙げられる。
擬似セラミドとしては、例えば、市販のセラミドR(ユニリーバ製)、セラミドPC-104(太平洋化学製)、セラミドHO3(sederma製)、エルデュウPS-203(味の素製)などが挙げられる。
糖セラミドとしては、例えば、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等が挙げられ、市販のものとしては、ニップンセラミド(日本製粉製)、オリザセラミド(オリザ油化製)、ニッサンセラミド、ネオリキッドセラミドN(日本油脂製)、セラミド(ユニチカ製)等が挙げられる。
剤に他の成分を配合する場合、有効成分であるトウヒ属植物抽出物の含有量は特に制限されないが、上記抽出物が剤中に固形分濃度(固形分換算)で、0.00001質量%以上含まれることが好ましく、0.0001質量%以上含まれることがより好ましい。また、上記抽出物が剤中に固形分濃度で、20質量%以下含まれることが好ましく、10質量%以下含まれることがより好ましい。さらに、上記抽出物が剤中に固形分濃度で、0.00001質量%以上20質量%以下含まれることが好ましく、0.0001質量%以上10質量%以下含まれることがより好ましい。
本発明のセラミド産生促進剤又は保湿剤を皮膚外用剤の形態で使用する場合、当該「皮膚外用剤」には、皮膚化粧料、外用医薬品、外用医薬部外品等として皮膚に適用されるものが含まれ、その剤型も水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、ゲル系、軟膏系、クリーム、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、幅広い形態をとり得る。より具体的には、洗顔料、化粧水、ローション、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク、マッサージ剤、ファンデーション、口紅、入浴剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、軟膏、ペースト、シート状製品(サニタリー用品等の吸収性物品、おしり拭き、ウェットティッシュ等)等の形態が挙げられる。
また、これらの剤型とするにあたって、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料等を適宜配合することができる。
本発明のセラミド産生促進剤又は保湿剤を医薬品としてヒトや動物に投与する形態で使用する場合、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤、注射剤、外用剤、坐剤、経皮吸収剤等の非経口用製剤などの形態とすることができる。
これらの製剤を調製するに際しては、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜配合することができる。
本発明のセラミド産生促進剤又は保湿剤を飲食品、ペットフード等に有効成分として配合する場合、一般飲食品の他、皮膚の保湿能又はバリア機能の改善・維持効果をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した健康飲食品、美容飲食品、特定保健用飲食品、病者用飲食品等等の機能性飲食品に添加、配合することができる。
飲食品等の種類に特に制限はなく、例えば、果汁飲料、乳飲料、茶系飲料等の飲料類、キャンディ、ドロップ、ゼリー、クッキー、チョコレート、ケーキ、ヨーグルト、ガム等の菓子類、調味料、調理油、乳製品、パン類、麺類、加工米等が挙げられる。また、錠剤(タブレット)、カプセル、顆粒、シロップ等の美容食品、健康食品等としてもよい。
本発明のセラミド産生促進剤又は保湿剤の成人1人当たりの1日の使用量は、剤中の有効成分の含有量、適用対象者の状態、体重、性別、年齢等の条件により異なるが、通常、トウヒ属植物抽出物を乾燥固形分換算で、0.001mg以上使用することが好ましく、0.01mg以上使用することがより好ましい。また、前記植物の抽出物を乾燥固形分換算で、1000mg以下使用することが好ましく、100mg以下使用することがより好ましい。さらに、前記植物の抽出物を乾燥固形分換算で、0.001mg以上1000mg以下使用することが好ましく、0.01mg以上100mg以下使用することがより好ましい。
本発明のセラミド産生促進剤及び保湿剤は、表皮細胞におけるセラミド産生を亢進し、角層中のセラミド量を増加させることで、皮膚の保湿機能やバリア機能を高めることができる。この作用により、本発明のセラミド産生促進剤及び保湿剤は、角層中のセラミド量低下によって引き起こされる皮膚疾患、例えば、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症、乾癬等を予防、緩和、改善することができる。この観点から、本発明のセラミド産生促進剤及び保湿剤は、皮膚のバリア機能向上剤、乾燥肌予防剤又は改善剤、荒れ肌予防剤又は改善剤、アトピー性皮膚炎予防剤又は改善剤、老人性乾皮症予防剤又は改善剤、乾癬予防剤又は改善剤、等として用いることができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の剤、方法、用途及び抽出物を開示する。
<1> トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有する、セラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<2> 前記トウヒ属(Picea)に属する植物が、ブリュワートウヒ、サージャントトウヒ、ビルマトウヒ、リキアントウヒ、ムラサキトウヒ、シッキムトウヒ、マツハダ、アカエゾマツ、クロトウヒ、オモリカトウヒ、アカトウヒ、バルファートウヒ、シトカトウヒ、エンゲルマントウヒ、カナダトウヒ(シロトウヒ)、エゾマツ、コロラドトウヒ、チワワトウヒ、ニイタカトウヒ、コーカサストウヒ、スチェレンストウヒ、モリンダトウヒ、マルチネストウヒ、ヒメバラモミ、ベイッチトウヒ、バラモミ、ウィルソントウヒ、オウシュウトウヒ、アルプストウヒ、ドラゴントウヒ、チョウセンハリモミ、ヤツガタケトウヒ、又はマイヤートウヒである、<1>項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<3> 前記トウヒ属(Picea)に属する植物が、トウヒ属(Picea)のオモリカトウヒ節又はバラモミ節に属する植物である、<1>項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<4> 前記トウヒ属(Picea)に属する植物が、アカトウヒ(Picea rubens)、アカエゾマツ(Picea glehnii)、又はオウシュウトウヒ(Picea abies)である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<5> 前記抽出物が、前記植物の葉抽出物である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<6> 前記抽出物の含有量が固形分換算で0.00001質量%以上(好ましくは0.0001質量%以上)20質量%以下(好ましくは10質量%以下)である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<7> 前記抽出物が、前記植物を水、アルコール、及び当該アルコールの水溶液から選択される少なくとも1種の溶剤で抽出して得られる抽出物である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<8> 前記溶剤が、水、エタノール水溶液、プロピレングリコール、及びブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である、<7>項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<9> 前記溶剤がエタノール水溶液である、<7>又は<8>項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<10> 前記アルコール水溶液の濃度が、5容量%以上(好ましくは30容量%以上、より好ましくは40容量%以上)99容量%以下である、<7>〜<9>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<11> 前記エタノール水溶液の濃度が30容量%以上であって、40容量%以上が好ましく、50容量%以上がさらに好ましく、99容量%以下であって、95容量%以下が好ましい、<9>項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<12> 前記抽出物が、前記溶剤を植物1質量部に対して1質量部以上、50質量部以下用い、3℃以上(好ましくは20℃以上)、100℃以下(好ましくは80℃以下)で、1時間以上(好ましくは1日以上)、数週間以下(好ましくは30日以下)浸漬又は加熱還流して抽出して得られる抽出物である、<7>〜<11>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<13> 皮膚外用に供される、<1>〜<12>のいずれか1項に記載のセラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤。
<14> トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を含む化粧料を皮膚に適用する、セラミド産生促進方法、保湿方法、皮膚のバリア能向上方法、乾燥肌の予防・改善方法、荒れ肌の予防・改善方法、アトピー性皮膚炎の予防・改善方法、老人性乾皮症の予防・改善方法、又は乾癬の予防・改善方法。(医療行為を除く)。
<15> トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を含む飲食物を経口的に摂取させる、セラミド産生促進方法、保湿方法、皮膚のバリア能向上方法、乾燥肌の予防・改善方法、荒れ肌の予防・改善方法、アトピー性皮膚炎の予防・改善方法、老人性乾皮症の予防・改善方法、又は乾癬の予防・改善方法。(医療行為を除く)。
<16> トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を、セラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤として使用する方法。
<17> セラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤としての、トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物の使用。
<18> セラミド産生促進、保湿、皮膚のバリア能向上、乾燥肌の予防・改善、荒れ肌の予防・改善、アトピー性皮膚炎の予防・改善、老人性乾皮症の予防・改善、又は乾癬の予防・改善のための、トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物の非医薬的(非治療的)な使用。
<19> セラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤の製造のための、トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物の使用。
<20> セラミド産生促進、保湿、皮膚のバリア能向上、乾燥肌の予防・改善、荒れ肌の予防・改善、アトピー性皮膚炎の予防・改善、老人性乾皮症の予防・改善、又は乾癬の予防・改善のために用いる、トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物。
<21> トウヒ属(Picea)に属する植物(但し、シベリアトウヒ(Picea obovata)を除く)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の抽出物を、投与又は皮膚に適用することを含む、セラミド産生促進方法、保湿方法、皮膚のバリア能向上方法、乾燥肌の予防・改善方法、荒れ肌の予防・改善方法、アトピー性皮膚炎の予防・改善方法、老人性乾皮症の予防・改善方法、又は乾癬の予防・改善方法。
<22> 前記トウヒ属(Picea)に属する植物が、ブリュワートウヒ、サージャントトウヒ、ビルマトウヒ、リキアントウヒ、ムラサキトウヒ、シッキムトウヒ、マツハダ、アカエゾマツ、クロトウヒ、オモリカトウヒ、アカトウヒ、バルファートウヒ、シトカトウヒ、エンゲルマントウヒ、カナダトウヒ(シロトウヒ)、エゾマツ、コロラドトウヒ、チワワトウヒ、ニイタカトウヒ、コーカサストウヒ、スチェレンストウヒ、モリンダトウヒ、マルチネストウヒ、ヒメバラモミ、ベイッチトウヒ、バラモミ、ウィルソントウヒ、オウシュウトウヒ、アルプストウヒ、ドラゴントウヒ、チョウセンハリモミ、ヤツガタケトウヒ、又はマイヤートウヒである、<14>〜<21>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<23> 前記トウヒ属(Picea)に属する植物が、トウヒ属(Picea)のオモリカトウヒ節又はバラモミ節に属する植物である、<14>〜<21>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<24> 前記トウヒ属(Picea)に属する植物が、アカトウヒ(Picea rubens)、アカエゾマツ(Picea glehnii)、又はオウシュウトウヒ(Picea abies)である、<14>〜<23>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<25> 前記抽出物が、前記植物の葉抽出物である、<14>〜<24>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<26> 前記セラミド産生促進剤、保湿剤、皮膚のバリア能向上剤、乾燥肌予防・改善剤、荒れ肌予防・改善剤、アトピー性皮膚炎予防・改善剤、老人性乾皮症予防・改善剤、又は乾癬予防・改善剤中の、前記植物抽出物の含有量が固形分換算で0.00001質量%以上(好ましくは0.0001質量%以上)20質量%以下(好ましくは10質量%以下)である、前記<16>、<17>及び<19>のいずれか1項記載の方法又は使用。
<27> 前記抽出物が、前記植物を水、アルコール、及び当該アルコールの水溶液から選択される少なくとも1種の溶剤で抽出して得られる抽出物である、<14>〜<26>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<28> 前記溶剤が、水、エタノール水溶液、プロピレングリコール、及びブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である、<27>項に記載の抽出物、方法又は使用。
<29> 前記溶剤がエタノール水溶液である、<27>又は<28>項に記載の抽出物、方法又は使用。
<30> 前記アルコール水溶液の濃度が、5容量%以上(好ましくは30容量%以上、より好ましくは40容量%以上)99容量%以下である、<27>〜<29>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<31> 前記エタノール水溶液の濃度が30容量%以上であって、40容量%以上が好ましく、50容量%以上がさらに好ましく、99容量%以下であって、95容量%以下が好ましい、<29>項に記載の抽出物、方法又は使用。
<32> 前記抽出物が、前記溶剤を植物1質量部に対して1質量部以上、50質量部以下用い、3℃以上(好ましくは20℃以上)、100℃以下(好ましくは80℃以下)で、1時間以上(好ましくは1日以上)、数週間以下(好ましくは30日以下)浸漬又は加熱還流して抽出して得られる抽出物である、<27>〜<31>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
<33> 皮膚外用に供される、<14>〜<32>のいずれか1項に記載の抽出物、方法又は使用。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(製造例1)オウシュウトウヒ50%エタノール抽出物の調製
オウシュウトウヒの葉(Monteagle社製)50gを細切し、50%エタノール500mLを加え、室温で7日間抽出を行った。その後、濾過して、オウシュウトウヒ50%エタノール抽出物420mLを得た。得られた抽出物について、下記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は5.74%(w/v)であった。これを50%エタノール水溶液で希釈して、1.0%(w/v)(エキス固形分)抽出物を調製した。
<蒸発残分の算出>
オウシュウトウヒ抽出物1mlを105℃で6時間乾燥させたところ(乾燥機:DRY Thermo Unit DTU−1C(TAITEC CORPORATION社製)使用)、乾燥物57.4mgが得られた。この抽出物の蒸発残分を、57.4÷1000×100=5.74%(w/v)と算出した。なお、下記の製造例においても、各抽出物の蒸発残分は同様にして算出されたものである。
(製造例2)オウシュウトウヒ95%エタノール抽出物の調製
オウシュウトウヒの葉(Monteagle社製)50gを細切し、95%エタノール500mLを加え、室温で14日間抽出を行った。その後、濾過して、オウシュウトウヒ95%エタノール抽出物326mLを得た。得られた抽出物について、上記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は1.04%(w/v)であった。これを95%エタノール水溶液で希釈して、1.0%(w/v)(エキス固形分)抽出物を調製した。
(製造例3)アカトウヒ50%エタノール抽出物の調製
アカトウヒの葉(Monteagle社製)50gを細切し、50%エタノール500mLを加え、室温で7日間抽出を行った。その後、濾過して、アカトウヒ50%エタノール抽出物430mLを得た。得られた抽出物について、下記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は5.95%(w/v)であった。これを50%エタノール水溶液で希釈して、1.0%(w/v)(エキス固形分)抽出物を調製した。
(製造例4)アカトウヒ95%エタノール抽出物の調製
アカトウヒの葉(Monteagle社製)50gを細切し、95%エタノール500mLを加え、室温で14日間抽出を行った。その後、濾過して、アカトウヒ95%エタノール抽出物335mLを得た。得られた抽出物について、下記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は2.19%(w/v)であった。これを95%エタノール水溶液で希釈して、1.0%(w/v)(エキス固形分)抽出物を調製した。
(製造例5)アカエゾマツ50%エタノール抽出物の調製
アカエゾマツの葉(Monteagle社製)20gを細切し、50%エタノール200mLを加え、室温で7日間抽出を行った。その後、濾過して、アカエゾマツ50%エタノール抽出物160mLを得た。得られた抽出物について、下記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は1.61%(w/v)であった。これを50%エタノール水溶液で希釈して、1.0%(w/v)(エキス固形分)抽出物を調製した。
(製造例6)アカエゾマツ95%エタノール抽出物の調製
アカエゾマツの葉(Monteagle社製)20gを細切し、95%エタノール200mLを加え、室温で7日間抽出を行った。その後、濾過して、アカエゾマツ95%エタノール抽出物170mLを得た。得られた抽出物について、下記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は0.27%(w/v)であった。これを濃縮後、95%エタノール水溶液で希釈して、1.0%(w/v)(エキス固形分)抽出物を調製した。
(試験例)セラミド産生促進効果の検証
培養プレートを用い、培養液(商品名:EpiLife-KG2、KURABO社製)中にて、正常ヒト表皮角化細胞(商品名:NHEK(F)、KURABO社製)を37℃、5%CO2で培養した。
その後、培養液を上皮成長因子などの増殖因子を除いたEpiLife-KG2に換え、上記製造例で調製した濃度1.0w/v%(固形分換算)の抽出物、又はコントロール溶液として50%エタノールを、0.1%量添加した(抽出物の終濃度:0.001(w/v)%)。
3日間培養した後、各々の細胞を1wellごと回収した。
回収した細胞からBligh and Dyer法により脂質を抽出した有機相をガラス管に移し、窒素乾固した後、クロロホルム、メタノールで再溶解し、脂質サンプルとした。
また、脂質を抽出した後の細胞に0.1N NaOH、1%SDS水溶液を加え、60℃で2時間加熱することにより、タンパク質を可溶化し、室温まで冷却した後2N HClを加えて中和し、タンパク量をBCA法により定量した。
調製した脂質サンプルを薄膜クロマトグラフィー(TLC)でクロロホルム:メタノール:酢酸=190:9:1で2回水平展開した。硫酸銅液をスプレーで噴霧し、ホットプレートで焼き付けセラミドを検出し、セラミド量とした。
結果を表1に示す。なお、表1のセラミド量は、コントロール溶液を添加した系のセラミド量を1とした場合の相対値(n=3〜6の平均値)を示している。
(参考例)
1.ユーカリ抽出物の調製
ユーカリノキ(Eucalyptus globulus Labillardiere:新和物産株式会社より購入)の葉40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温・静置条件下で7日間抽出を行った。その後、濾過して、ユーカリ抽出物291mLを得た。得られた抽出物について、上記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は3.16%(w/v)であった。
2.セラミド産生促進効果の検証
得られたユーカリ抽出物を用いて、上記試験例と同様の手法によってセラミド産生促進効果を検証した。なお、細胞への添加は、濃度が固形分換算で1%(w/v)となるように調整した抽出物を、0.001%添加した。
結果を表1に示す。なお、ユーカリ抽出物は前記のとおり、セラミド産生促進作用を有する保湿成分として公知のものである。
Figure 0006026257
表1から明らかなように、トウヒ属植物であるオウシュウトウヒ、アカトウヒ、アカエゾマツの抽出物を添加した系では、コントロールの系に比べてセラミド量が増加した。すなわち、これらの植物抽出物は優れたセラミド産生促進作用を有し、セラミド産生促進剤として有用であることがわかった。さらに、これらの植物抽出物は、公知の保湿成分であるユーカリ抽出物と同等のセラミド産生作用を有することから、保湿剤として有用であることがわかった。
(処方例)
前記製造例で得られた抽出物を有効成分として、下記に示す組成の化粧水、0/W(オイルインウォーター)型乳液、W/O(ウォーターインオイル)型クリーム、ジェル状化粧料、液体入浴剤を常法により各々製造できる。
化粧水の調製1
(組成) (配合:質量%)
オウシュウトウヒ抽出物 3.00
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−1540、三洋化成社製) 1.00
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 1.50
グリセリン 2.00
パラべン 0.10
精製水 残余
化粧水の調製2
(組成) (配合:質量%)
アカトウヒ抽出物 3.00
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−1540、三洋化成社製) 1.00
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 1.50
グリセリン 2.00
パラべン 0.10
精製水 残余
0/W型乳液の調製1
(組成) (配合:質量%)
アカエゾマツ抽出物 3.00
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−2000、三洋化成社製) 1.00
プルラン(商品名:プルランPT−20、林原社製) 0.40
セチルアルコール 1.00
ワセリン 2.00
スクワラン 6.00
ジメチルポリシロキサン 2.00
グリセリン 2.00
擬似セラミド(N−(3−ヘキサデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカミナド) 1.00
ポリオキシエチレン(10)モノオレイン酸エステル 1.00
グリセロールモノステアリン酸エステル 1.00
植物のカルス由来の酸性へテロ多糖類(チュベロース多糖1重量%水溶液)2.00
パラべン 0.20
精製水 残余
0/W型乳液の調製2
(組成) (配合:質量%)
オウシュウトウヒ抽出物 3.00
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−2000、三洋化成社製) 1.00
プルラン(商品名:プルランPT−20、林原社製) 0.40
セチルアルコール 1.00
ワセリン 2.00
スクワラン 6.00
ジメチルポリシロキサン 2.00
グリセリン 2.00
擬似セラミド(N−(3−ヘキサデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカミナド) 1.00
ポリオキシエチレン(10)モノオレイン酸エステル 1.00
グリセロールモノステアリン酸エステル 1.00
植物のカルス由来の酸性へテロ多糖類(チュベロース多糖1重量%水溶液)2.00
パラべン 0.20
精製水 残余
W/O型クリームの調製1
(組成) (配合:質量%)
アカトウヒ抽出物 3.00
アクリル酸アルキル共重合体(商品名:ヨドゾールGH810、カネボウNSC社製)
1.30
ポリビニルピロリドン(商品名:ルビスコールK−90、BASEジャパン社製)
0.70
ジメチルポリシロキサン 10.00
メチルフェニルポリシロキサン 3.00
オクタメチルシクロテトラシロキサン 12.00
ポリオキシアルキレン変性シリコーン 5.00
1,3−ブチレングリコール 6.00
擬似セラミド(N−(3−ヘキサデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカミナド) 1.20
パラべン 0.20
香料 微量
精製水 残余
W/O型クリームの調製2
(組成) (配合:質量%)
アカエゾマツ抽出物 3.00
アクリル酸アルキル共重合体(商品名:ヨドゾールGH810、カネボウNSC社製)
1.30
ポリビニルピロリドン(商品名:ルビスコールK−90、BASEジャパン社製)
0.70
ジメチルポリシロキサン 10.00
メチルフェニルポリシロキサン 3.00
オクタメチルシクロテトラシロキサン 12.00
ポリオキシアルキレン変性シリコーン 5.00
1,3−ブチレングリコール 6.00
擬似セラミド(N−(3−ヘキサデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカミナド) 1.20
パラべン 0.20
香料 微量
精製水 残余
ジェル状化粧料の調製1
(組成) (配合:質量%)
オウシュウトウヒ抽出物 1.00
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−2000、三洋化成社製) 0.50
キサンタンガム(商品名:ネオソフトXKK、興人社製) 0.20
グリセリン 3.00
エタノール 3.00
カルボキシビニルポリマー 0.50
水酸化カリウム 0.15
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.00
クエン酸 0.80
クエン酸三ナトリウム 0.80
ナイロンパウダー 1.00
パラべン 0.10
香料 微量
精製水 残余
ジェル状化粧料の調製2
(組成) (配合:質量%)
アカトウヒ抽出物 1.00
ポリエチレングリコール(商品名:PEG−2000、三洋化成社製) 0.50
キサンタンガム(商品名:ネオソフトXKK、興人社製) 0.20
グリセリン 3.00
エタノール 3.00
カルボキシビニルポリマー 0.50
水酸化カリウム 0.15
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.00
クエン酸 0.80
クエン酸三ナトリウム 0.80
ナイロンパウダー 1.00
パラべン 0.10
香料 微量
精製水 残余
液体入浴剤の調製1
(組成) (配合:質量%)
アカエゾマツ抽出物 3.00
擬似セラミド(N−(3−ヘキサデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカミナド) 0.10
ミリスチン酸イソプロピル 15.00
ポリオキシエチレン(12)オレイルエーテル 10.00
ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル 6.00
植物のカルス由来の酸性へテロ多糖類(チュベロース多糖1重量%水溶液)2.00
パラべン 0.30
香料 微量
流動パラフィン 残余
液体入浴剤の調製2
(組成) (配合:質量%)
オウシュウトウヒ抽出物 3.00
擬似セラミド(N−(3−ヘキサデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカミナド) 0.10
ミリスチン酸イソプロピル 15.00
ポリオキシエチレン(12)オレイルエーテル 10.00
ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル 6.00
植物のカルス由来の酸性へテロ多糖類(チュベロース多糖1重量%水溶液)2.00
パラべン 0.30
香料 微量
流動パラフィン 残余

Claims (3)

  1. アカトウヒ(Picea rubens)及びオウシュウトウヒ(Picea abies)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の葉を水、エタノール及びブチレングリコールからなる群より選ばれるアルコール、並びに当該アルコールの水溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出溶剤で抽出した抽出物を有効成分として含有するセラミド産生促進剤。
  2. アカトウヒ(Picea rubens)及びオウシュウトウヒ(Picea abies)からなる群より選択される少なくとも1種の植物の葉を水、エタノール及びブチレングリコールからなる群より選ばれるアルコール、並びに当該アルコールの水溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出溶剤で抽出した抽出物を有効成分として含有する保湿剤。
  3. 皮膚外用に供される、請求項記載の保湿剤。
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