JP6022402B2 - リベット接合構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従来の接合構造体では、スポット溶接時の電極位置のずれにより、溶融ナゲットが融点の低いアルミニウム部材である第2部材の近傍に形成されることにより、第2部材の軟化を生じる場合があった。
さらに、接合構造体の製造方法では、スポット溶接により異種金属パネルを溶接して接合するため、パネルの表面及び裏面の両側に電極を配置する必要があり、溶接可能な構造体の形状・作業スペースに制限があり、より溶接施工性の良い工法が望まれていた。
かかる構成により、リベット接合構造体は、リベットから第1部材を貫通することで、ブローホール等の溶接欠陥が減少し、接合強度が大きくなる。
また、リベットの頭部に凹部を設けておくことにより、第1部材とリベットの溶融部が短くなり熱エネルギーの投入量が少なくてすみ、溶接熱による歪や第2部材の軟化を防止することができる。更に、凹部の形状を三角錐状や、放物線状にすることにより、レーザ光の狙い位置が若干ずれても凹部内でレーザ光が反射して中央に集中し、効率よく溶接を行うことができる。
また、リベット接合構造体の製造方法は、第1部材と同種の金属で形成したリベットを、前記第1部材と接合する異材の第2部材を貫通させて配置する第1工程と、前記第1部材に対面して前記第2部材を貫通したリベットのリベット頭部方向から、又は、前記第1部材側から、リベット軸部の軸線に沿って前記リベットのリベット軸部及び前記第1部材を貫通するように溶融部を形成して溶融する第2工程と、を行うこととしてもよい。
そして、前記リベットを溶融する溶融溶接手段として、前記リベット頭部側から、又は、前記第1部材側からの溶接となる片面施工で行うことがよい。さらに、前記接合を行う手段が、レーザ溶接手段、TIG溶接手段、MIG溶接手段のいずれかであることとしてもよい。
リベット接合構造体は、スポット溶接を行わずに、リベットの軸線に沿って溶融して同種金属の第1部材とリベットとが溶接されるため、変形が少なく安定した接合強度を確保することができる。
図1に示すように、接合構造体1は、車体フレームパネル10にルーフパネル20を、リベット30を介して溶接して接合した構成を備えている。この接合構造体1は、車体フレームパネル10及びリベット30が例えば、鉄系金属材料で形成されると共に、ルーフパネル20がアルミニウム合金で形成されている。接合構造体1は、ここでは、鋼板から加工した車体フレームパネル10及びアルミニウム合金板から加工したルーフパネル20を異種金属として接合対象部材としている。
ルーフパネル20は、一例として、リベット30が打設されて接合される接合位置として周縁部分として設定されている。ルーフパネル20は、車体フレームパネル10のルーフサイドレール11の位置に当接するよう形成されているが、その厚みや形状や大きさは特に限定されるものではない。
尚、本実施形態では、一例として自動車パネルへの適用例を説明するが、アルミニウム材の形態として板材に限らず、押出形材や鋳物も採用することができ、適用対象も自動車の各構成部品や建材等、様々な用途に適用することができる。
溶接凹部21は、リベット30が貫通する際にリベット30と相対して第2部材の反対側に配置されたカウンターパンチ(図7参照)により押し上げられて形成されるものであり、リベット30の溝部33へ第2部材を流動させてしっかりとかしめ固着するものである。又、この溶接凹部を設けることで第1部材と第2部材との間に空間を設けることができる。これによって第1部材やリベットからの溶接の熱の伝達を防止することでき第2部材の軟化を防止することができる。
環状凹部33は、リベット30がルーフパネル20に打設されたときに、そのルーフパネル20の表面部分22を流動させて噛み込むためのものである。この環状凹部33は、基端軸部37の外周縁の位置に軸基端に連続するように形成されている。また、この環状凹部33の凹部幅H3は、フランジ部32の直径方向におけるフランジ幅H2の2/3を超えないように設定されている。さらに、環状凹部33の凹部深さHTは、フランジ部32の板厚HRの1/2を超えないように形成されている。環状凹部33の凹部幅H3及び凹部深さHTは、前記した値を超えてしまうとフランジ部32の強度を低下させてしまうことになり好ましくない。
段部34に形成された凹部35は、溶融された金属の変形状態を吸収して頭部31側に当接する他の部材がある場合には、当接状態を揃えるためにも有効となる。この凹部35の窪み形状はここでは断面V字型に形成されている。
基端軸部37は、頭部31の下面から連続して形成され、その先端側に連続して当該基端軸部37の直径A1より小さな直径A2の先端軸部38が形成されている。そして、先端軸部38は、その先端側に連続して、先端面の中心が突出するように形成した円錐頂部39を備えている。
ルーフパネル20が車体フレームパネル10に設置されると、図7(c)及び図8に示すように、レーザ溶接装置Lsのレーザ溶接トーチTcがロボットアームRaで移動してリベット30の頭部31側からレーザ溶接作業が行われる(第2工程)。レーザ溶接装置Lsによりリベット30を溶接する場合には、XYZ座標空間において溶接位置を設定して、かつ、レーザ照射時間、レーザ照射幅、レーザ溶接深さ等を設定することで、レーザ溶接トーチTcを支持するロボットアームRaの移動を迅速に行い、レーザ溶接作業をスムーズにすることができる。
このようにして溶接された接合構造体1は、リベット30の頭部31側から軸部36側にレーザ光により溶融して接合されているので、溶接強度が安定しており、また、リベット30の設置間隔が互いに近い位置にあっても、電流を部材間に流す必要がないので、スポット溶接のような溶接電流の分流現象による接合強度の低下は生じることがない。
c)に示すように、車体フレームパネル10側からリベット30の軸部36及び頭部31まで軸部36に沿って溶融して溶接されることであっても構わない。
また、ここでは、レーザ溶接作業を主として説明したが、摩擦撹拌溶接手段、TIG溶接手段、MIG溶接手段のいずれかであっても構わない。すなわち、片面施工で行うことができる溶接手段であれば、特に限定されるものではない。
また、ここでは、第2部材の材料としてアルミニウム合金を一例として示したが、リベット30(30B、30C)により接合できるものであれば、マグネシウム合金、チタン合金等の他の金属であることや、あるいは、炭素繊維強化プラスチック等の金属以外の素材であっても構わない。また、第1部材及びリベット30(30B、30C)も同系の素材であれば鉄系金属に限定されるものではない。
10 車体フレームパネル
11 ルーフサイドレール
20 ルーフパネル
20a 打ち抜き片
21 溶接凹部
22 表面部分
30 リベット
30M 溶融金属
31 頭部
32 フランジ部
33 環状凹部
34 段部
34b 段部
35 凹部
36 軸部
37 基端軸部
38 先端軸部
39 円錐頂部
42 収納本体
130 カセット収納体
131 収納本体
132 保持手段
141 上金型
142 下金型
Dp 押型ポンチ
Ds 打設手段
Du カウンターパンチ
Ls レーザ溶接装置
Ps プレス加工装置
Ra ロボットアーム
Tc レーザ溶接トーチ
Claims (8)
- 第1部材と同種の金属で形成されたリベットを、前記第1部材と異材の第2部材を貫通させて、前記リベットと前記第1部材とを当接した状態で、前記第1部材と前記リベットを溶接して、前記第1部材と前記第2部材とを接合したリベット接合構造体であって、
前記リベットは、第2部材から露出するリベット頭部方向から、前記リベットのリベット軸部を貫通し、かつ、前記第1部材を貫通しないように溶融部を形成して溶接された構成を備えることを特徴とするリベット接合構造体。 - 第1部材と同種の金属で形成されたリベットを、前記第1部材と異材の第2部材を貫通させて、前記リベットと前記第1部材とを当接した状態で、前記第1部材と前記リベットを溶接して、前記第1部材と前記第2部材とを接合したリベット接合構造体であって、
前記リベットは、第2部材から露出するリベット頭部方向から、又は、前記第1部材側から、前記リベットのリベット軸部及び前記第1部材を貫通するように溶融部を形成して溶接された構成を備えることを特徴とするリベット接合構造体。 - 前記リベットは、リベット頭部に凹部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリベット接合構造体。
- 請求項1又は請求項3いずれか一項のリベット接合構造体の製造方法であって、
第1部材と同種の金属で形成したリベットを、前記第1部材と接合する異材の第2部材を貫通させて配置する第1工程と、
前記第1部材に対面して前記第2部材を貫通したリベットのリベット頭部方向から、リベット軸部の軸線に沿って前記リベットのリベット軸部を貫通し、かつ、前記第1部材を貫通しないように溶融する第2工程と、を行い前記第1部材と前記リベットとを溶接することを特徴とするリベット接合構造体の製造方法。 - 請求項2又は請求項3いずれか一項のリベット接合構造体の製造方法であって、
第1部材と同種の金属で形成したリベットを、前記第1部材と接合する異材の第2部材を貫通させて配置する第1工程と、
前記第1部材に対面して前記第2部材を貫通したリベットのリベット頭部方向から、又は、前記第1部材側から、リベット軸部の軸線に沿って前記リベットのリベット軸部及び前記第1部材を貫通するように溶融する第2工程と、を行い前記第1部材と前記リベットとを溶接することを特徴とするリベット接合構造体の製造方法。 - 前記リベットを接合する接合手段として、前記リベット頭部側からの溶接となる片面施工で行うことを特徴とする請求項4に記載のリベット接合構造体の製造方法。
- 前記リベットを接合する接合手段として、前記リベット頭部側から、又は、前記第1部材側からの溶接となる片面施工で行うことを特徴とする請求項5に記載のリベット接合構造体の製造方法。
- 前記接合が、レーザ溶接、TIG溶接、MIG溶接のいずれかであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のリベット接合構造体の製造方法。
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