しかし、特許文献1の反射板は、金属または樹脂の部材に光反射性のPETフィルムや白色インクを積層したものであり、光を効率よく拡散反射させることは困難である。
また、特許文献2は、LED光源が取り付けられた基板等の支持構造体と、反射板とが別体であるため、部品点数が多くなり、構造が複雑化する。
また、特許文献3、特許文献4は、単に、LED光源からの光を拡散シートや反射板で多重反射させるものであるが、必ずしも効率的ではない。例えば、少ないLED光源で均一な光を取り出そうとすると、広い拡散反射エリアを設ける必要がある。したがって、複数の照射エリアに区分して、それぞれの照射エリアから光を取り出すような場合には、いずれの照射エリアに対しても、それぞれの照射エリアごとに、広い拡散反射エリアを設ける必要がある。このため、照明装置が大型化する。
また、光源装置が空気層(18)の内側に配置されており、光源装置の基板で光源から照射され反射面で反射された照明光が戻ってき光を吸収してしまうので、光の利用効率が低下する。またLED基板が吸収して加熱されるため、光源の寿命を低下させる懸念がある。更に、LEDを光源として使うため、LEDの熱をスイッチに伝えるため、スイッチ部が厚くなり、使い心地が良くない。またクルマの室内照明として使う場合は、室内にLEDの熱がスイッチを通して放熱されるので、好ましくない。
また、枠体に高反射ポリカーボネイド等の高反射性樹脂材料の成型品を使うため、比較的照明が重くなる。
また、特許文献5は、LED光源を千鳥配置するものであるが、LED光源を多数必要とし、部品点数が多くなり、構造が複雑化する。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造で小型であり、光を均一に取り出すことが可能なLED照明装置およびLED照明装置の光取り出し方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、マイクロ発泡樹脂製の外側枠体と、前記外側枠体の内部に配置される、マイクロ発泡樹脂製の内側枠体と、を具備するLED照明装置用の枠体であって、前記内側枠体と前記外側枠体はともに、それぞれの上部に設けた開口部と、前記開口部から下方に向けて形成された窪み部と、前記開口部の少なくとも一部に形成されたフランジ部と、を具備し、前記内側枠体と前記外側枠体の前記窪み部は、互いに離間して対向し、前記内側枠体の表面側が反射板として機能し、前記内側枠体の表面側と前記内側枠体の前記開口部との間に、第1の導光空間が形成され、前記内側枠体の裏面側と前記外側枠体の表面側が反射板として機能し、前記内側枠体の裏面側と、前記外側枠体の表面側との間に、第2の導光空間が形成され、前記内側枠体の前記開口部は、前記第1の導光空間の第1の光取り出し部であり、前記第1の光取り出し部の周囲に形成され、前記外側枠体と前記内側枠体との間の開口部が、前記第2の導光空間の第2の光取り出し部であり、前記第1の光取り出し部と前記第2の光取り出し部が、光透過部材によって覆われ、前記外側枠体と前記内側枠体のそれぞれの前記開口部の縁部近傍が前記光透過部材と密着することを特徴とするLED照明装置用枠体である。
第1の発明によれば、内側枠体と外側枠体とがそれぞれマイクロ発泡樹脂製の反射板として機能するため、枠体と反射板とを別体で構成する必要がない。このため、部品点数を抑えることができる。また、マイクロ発泡樹脂製の反射板を用いることで、効率よく光を拡散反射することができる。このため、光の照度を均一にして取り出すことができる。
ここで、フランジ部は、開口部を大きく取るためには、外方に向けて形成することが望ましいが、内方に向けて形成することもできる。
また、内側枠体と外側枠体とが互いに離間して重ね合わせられるため、内側枠体の表面側と裏面側に、互いに独立した導光空間を形成することができる。すなわち、内側枠体の表面側の第1の導光空間において、内側枠体の表面側で光を拡散反射させることで、第1の光取り出し部からの光を均一にできるとともに、内側枠体の裏面側の第2の導光空間では、内側枠体の裏面側と外側枠体の表面側で光を拡散反射させることで、第2の光取り出し部からの光を均一にできる。このように、導光空間を複数層構造とすることで、第2の導光空間における拡散反射領域を、第1の導光空間の背面側に形成することができ、照明装置を小型化することができる。
更に、光取り出し部の形状を、枠体のフランジ形状により調節できるので、光取り出し部の形状や光取り出し部間の間隔やその形状や枠体の形状により自由に調整でき、照明の機能性や意匠性を向上できる。そのため、照明装置の設計の自由度を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明にかかるLED照明装置用枠体と、 前記第1の導光空間に発光面を向けて配置される第1のLED光源と、前記第2の導光空間に発光面に向けて配置される第2のLED光源と、を具備し、前記第1のLED光源からの光は、前記内側枠体の表面側で拡散反射されて、前記第1の光取り出し部から出射され、前記第2のLED光源からの光は、前記内側枠体の裏面側および前記外側枠体の表面側で拡散反射されて、前記第2の光取り出し部から出射され、前記第2のLED光源からの直接光が前記光取り出し部に直接照射されない位置に第2のLED光源が配置されることを特徴とするLED照明装置である。
以上のように、第1の導光空間を形成する内側枠体を第2の導光空間との仕切り板として利用できる。ここで、内側枠体は表面側と裏面側がともに光反射板として用いることができ、内側枠体と外側枠体に異なる色の照明を用いたとしても、ほぼ同様の光反射率を示す。
前記内側枠体、前記外側枠体のそれぞれの前記窪み部は、それぞれの前記開口部から所定の角度で形成された壁部と、前記壁部の下端から湾曲して斜め上方に前記開口部に向けて伸びる曲面部とを具備し、前記第1のLED光源は、前記内側枠体の前記曲面部の表面側に向けて前記内側枠体の前記壁部の略中央に配置され、前記第2のLED光源は、前記外側枠体の表面側または前記内側枠体の裏面側のいずれかに向けて前記内側枠体または前記外側枠体の前記曲面部の略中央に配置されてもよい。
ここで、LED光源を略中央の配置とするのは、反射板として機能する枠体が光反射率、特に拡散反射率の高いマイクロ発泡樹脂で形成されているため、LED光源の設置位置が多少異なって開口部まで導光されるまでの反射回数が多少違っても開口部での明るさがほとんど変わることがない。
前記内側枠体と前記外側枠体は、マイクロ発泡樹脂部材によって一体で成形され、前記内側枠体と前記外側枠体とがヒンジ部で折り曲げられて、前記内側枠体が前記外側枠体に重ね合わせられてもよい。
このようにすることで、枠体の生産性が向上し、しかも内側枠体と外側枠体を組立てる必要が無く、しかも部品点数を少なくすることができることから、前記内側枠体と前記外側枠体は、マイクロ発泡樹脂部材によって一体で成形することが好ましい。
前記内側枠体と前記外側枠体は、それぞれ別体のマイクロ発泡樹脂部材で形成され、前記内側枠体と前記外側枠体と接合されて、前記内側枠体が前記外側枠体に重ね合わせられてもよい。
このような構成とすることで、必要に応じて前記内側枠体が前記外側枠体の位置を調整することができ、枠体の配置や形状の自由度が向上する。また、材料にマイクロ発泡樹脂を用いているので、高い光反射特性を有する反射板を得ることができる。
前記第2の導光空間において、前記内側枠体の裏面側または前記外側枠体の表面側には、互いの対向方向に突出する突部が設けられ、前記突部が、対向する前記内側枠体の裏面または前記外側枠体の表面に当接して、前記内側枠体が前記外側枠体に支持されてもよい。
このようにすることで、前記内側枠体と前記外側枠体を重ね合わせた場合の両者の位置関係をより安定なものとすることができる。
前記第1のLED光源の直上の前記第1の光取り出し部の一部を塞ぐように、光透過防止部材が設けられてもよい。
第1の導光空間用のLED光源は、内側成形体の外部に配置し、LEDの発光部分に対応した位置に内側成形体に開口部を形成するようにする。これにより、LED光源の基板やLED自体による戻り光の吸収を最小限にすることができ、光の利用効率を高めることができる。
前記光透過部材は、表面に光拡散機能を設けた透明材料、又は光の散乱体を含有した透明材料でできた光拡散板であり、前記光拡散板の、前記第1の光取り出し部において、前記第1のLED光源の直上近傍の光透過量や光透過率が、他の部位の光透過量や光透過率よりも低くても良い。
マイクロ発泡樹脂製の前記外側枠体および前記内側枠体の、波長450〜650nmの可視光帯域での光学特性として、硫酸バリウム標準板に対する光反射率が全反射率90%以上、拡散反射率が90%以上であることが望ましい。
前記LED照明装置は、切換えスイッチと、前記切換えスイッチと前記第1のLED光源および第2のLED光源とを繋ぐ配線と、回路基板と、前記回路基板と前記切換えスイッチを繋ぐ配線を具備してもよい。
前記切換えスイッチは、前記光透過部材の縁部近傍に配置され、前記切換えスイッチの端子と前記回路基板とが配線により接続されるか、前記切換えスイッチが前記回路基板に直接接続されてもよい。
前記切換えスイッチと前記第1のLED光源を結ぶ配線と、前記切換えスイッチと前記第2のLED光源を結ぶ配線が共用配線であり、前記切換えスイッチで回路が切り換えられてもよい。
前記切換えスイッチと前記第1のLED光源を結ぶ配線と、前記切換えスイッチと前記第2のLED光源を結ぶ配線が、リジットな回路基板、フレキシブル回路基板とリジットな回路基板のハイブリット基板、またはフレキシブル回路基板のいずれかで構成されてもよい。
前記配線には、フレキシブルフラットケーブル(FFC)またはフレキシブルフラット回路(FPC)が使用されてもよい。
前記配線の導光空間側の面には反射機能を持つ層、たとえばマイクロ発泡樹脂が形成されていることが好ましい。前記配線体も照明光を吸収するからである。
前記光透過部材において、前記第1の光取り出し部と前記第2の光取り出し部とが区画されてもよい。
前記第1のLED光源の光は、白色または淡黄色の照明光であり、前記第2のLED光源の光は、前記第1のLED光源の光とは異なる色の着色照明光であってもよい。
このように、第1のLED光源と第2のLED光源とで、異なる波長の光源を用いても、反射板としての枠体に光学特性として、硫酸バリウム標準板に対する光反射率が全反射率90%以上、拡散反射率が90%以上であるマイクロ発泡樹脂を用いることから、第2のLED光源に着色した加飾照明を用いたとしても、光反射性が劣ることがない。たとえば、第1のLED光源に波長515nmの黄色のLED光源、第2のlED光源に波長460nmの青色LED光源や波長558nmの赤色LED等の着色LEDを用いても、光反射特性はほとんど変わることがない。
前記光透過部材は、着色されていてもよい。着色ガラスや着色樹脂を用いても良い。
前記LED照明装置は、携帯用、室内照明用または車内照明用であってもよい。たとえば、室内照明用としては、壁掛け用装飾照明として利用したり、自動車天井照明などに用いることが可能である。
第2の発明によれば、簡易な構造で小型であり、光を均一に取り出すことが可能なLED照明装置を得ることができる。
また、窪み部が曲面部を有し、LED光源は曲面部に向けて光を照射することで、効率よく光を拡散反射させることができる。窪み部の曲面部を所定位置から光源からの距離が遠くなるにつれて開口部に近づくような形状とすることで、開口部から均一な明るさの光を取り出すことができる。
また、内側枠体と外側枠体とが一体で成形され、ヒンジ部で折り曲げて形成されることで、製造性が良好であり、部品点数を削減することができる。また、内側枠体と外側枠体にマイクロ発泡樹脂を折り曲げて使用するので、マイクロ発泡樹脂の弾性反発力により、内側枠体と外側枠体が接触することがない。
また、内側枠体と外側枠体と別体で成形して、互いに接合して一体化することで、形状の自由度を高めることができる。内側枠体と外側枠体の開口部の面積を調整することができる。
また、内側枠体の裏面側または外側枠体の表面側に、互いの対向方向に突出する突部を形成することで、内側枠体と外側枠体との隙間を確実に維持することができる。
また、第1のLED光源の直上の第1の光取り出し部の一部を塞ぐように、光透過防止部材を設けることで、第1のLED光源からの直接光を遮蔽することができ、グレア感を低減することができる。
また、光透過部材が光拡散板である場合において、第1の光取り出し部における第1のLED光源の直上近傍の光透過率を、他の部位の光透過率よりも低くすることで、第1のLED光源からの直接光を低減することができ、グレア感を低減することができる。
また、波長450〜650nmの可視光に対する光学特性として、硫酸バリウム標準板を用いた時の光反射率として全反射率が90%以上、拡散反射率が90%以上とすることで、効率よく光を拡散反射させることができる。
また、切換えスイッチを設けることで、第1のLED光源と第2のLED光源とを切り替えることができる。
また、切換えスイッチが光透過部材の縁部近傍に配置されれば、操作が容易であり、光照射の妨げになることがない。
また、切換えスイッチと第1のLED光源を結ぶ配線と、切換えスイッチと第2のLED光源を結ぶ配線とを共用配線とすることで、構造が簡易となる。
また、切換えスイッチと第1のLED光源を結ぶ配線と、切換えスイッチと第2のLED光源を結ぶ配線は、リジットな回路基板、フレキシブル回路基板とリジットな回路基板のハイブリット基板、またはフレキシブル回路基板のいずれかで構成することで、レイアウトの自由度を高くすることができる。
また、配線としてフレキシブルフラットケーブルまたはフレキシブルフラット回路を使用することで、フレキシブルフラットケーブル等を枠体上で自由に折り曲げることができる。このため、配線の設置が容易である。
また、配線の導光空間側の面を反射機能表面とすることで、配線による照明光の吸収を防止でき、光の利用効率を低下させることがない。
光透過部材において、第1の光取り出し部と第2の光取り出し部とを区画することで、互いの光が漏れることがなく、意匠性にも優れる。
また、第1のLED光源の光を、白色または淡黄色の照明光とすることで、例えば実用照明として利用することができ、第2のLED光源の光を第1のLED光源の光とは異なる色の着色照明光とすることで、例えば、加飾用の照明として利用することができる。ここで、第1のLED光源と第2のLED光源に波長の異なる可視光光源を用いたとしても反射板の反射特性は変わることが無い。
また、光透過部材を着色することで、LED光源の照明光とは異なる色の光を照射することができる。
本LED照明装置は、特に、携帯用、室内照明用または車内照明用に好適である。
第3の発明は、マイクロ発泡樹脂製の外側枠体と、前記外側枠体の内部に配置され、マイクロ発泡樹脂製の内側枠体と、がヒンジ部を介して一体成形されたLED照明装置用の枠体であって、前記内側枠体と前記外側枠体はともに、それぞれの上部に設けた開口部と、前記開口部から下方に向けて形成された窪み部と、前記開口部の少なくとも一部に形成されたフランジ部と、を具備し、 前記内側枠体と前記外側枠体の前記窪み部は、互いに離間して対向し、前記内側枠体の表面側が反射板として機能し、前記内側枠体の表面側と前記開口部との間に、第1の導光空間が形成され、前記内側枠体の裏面側と前記外側枠体の表面側が反射板として機能し、前記内側枠体の裏面側と、前記外側枠体の表面側との間に、第2の導光空間が形成され、前記内側枠体の前記開口部は、前記第1の導光空間の第1の光取り出し部であり、前記第1の光取り出し部の周囲に形成され、前記外側枠体と前記内側枠体との間の開口部が、前記第2の導光空間の第2の光取り出し部であり、前記内側枠体と前記外側枠体は、マイクロ発泡樹脂部材によって一体で成形され、前記内側枠体と前記外側枠体とがヒンジ部で折り曲げられて、前記内側枠体が前記外側枠体に離間して重ね合わせられることを特徴とするLED照明装置用枠体である。
ここで、フランジ部は、開口部を大きく取るためには、外方に向けて形成することが望ましいが、内方に向けて形成することもできる。
第3の発明によれば、簡易な構造で小型であり、光を均一に取り出すことが可能なLED照明装置用枠体を得ることができる。
第4の発明は、LED照明装置からの光取り出し方法であって、前記LED照明装置は、マイクロ発泡樹脂製の第1の外側枠体と、前記第1の外側枠体の内部に配置され、マイクロ発泡樹脂製の内側枠体と、を具備する複数層構造のLED照明装置用枠体と、前記内側枠体の表面側に発光面を向けて内側枠体の表面または裏面に配置される第1のLED光源と、前記第1の外側枠体の表面側に発光面を向けて内側枠体の表面または裏面に配置されるかあるいは前記内側枠体の裏面側に発光面を向けて第1の外側枠体の表面または裏面に配置される第2のLED光源と、を具備し、前記内側枠体と前記第1の外側枠体はともに、それぞれの上部に設けた開口部と、前記開口部から下方に向けて形成された窪み部と、前記開口部の少なくとも一部に形成されたフランジ部と、を具備し、前記内側枠体と前記第1の外側枠体の前記窪み部を、互いに離間して対向させ、前記内側枠体の表面側を反射板として機能させて、前記内側枠体の表面側と前記内側枠体の前記開口部との間に、第1の導光空間を形成し、前記内側枠体の裏面側と前記第1の外側枠体の表面側を反射板として機能させ、前記内側枠体の裏面側と、前記第1の外側枠体の表面側との間に、第2の導光空間を形成し、前記内側枠体の前記開口部を第1の光取り出し部とし、前記第1の光取り出し部の周囲に形成され、前記第2の導光空間の開口部を第2の光取り出し部とし、前記第1の光取り出し部と前記第2の光取り出し部を、光透過部材によって覆い、前記第1の外側枠体と前記内側枠体のそれぞれの縁部近傍を前記光透過部材と密着させ、前記第1のLED光源からの光を、前記第1の導光空間において、前記内側枠体の表面側で拡散反射させ、前記第1の光取り出し口から出射させ、前記第2のLED光源からの直接光を前記内側枠体によって遮蔽し、前記第2のLED光源からの光を、前記第2の導光空間において、前記内側枠体の裏面側および前記第1の外側枠体の表面側で拡散反射させ、前記第2の光取り出し口から出射させることを特徴とするLED照明装置の光取り出し方法である。
また、前記第1の外側枠体が、マイクロ発泡樹脂製の第2の外側枠体の内部に配置され、前記LED照明装置用枠体を3重構造とし、前記第1の外側枠体の裏面側と、前記第2の外側枠体の表面側との間に形成される第3の導光空間に配置される第3のLED光源を具備し、前記第2の外側枠体の表面側が反射板として機能するとともに、前記第1の外側枠体の裏面側が反射板として機能し、前記第2の光取り出し部の周囲に形成され、前記第3の導光空間の開口部を第3の光取り出し部とし、前記光透過部材によって、前記第1の光取り出し部、前記第2の光取り出し部および前記第3の光取り出し部を覆い、前記第3のLED光源からの直接光を前記内側枠体および前記第1の外側枠体によって遮蔽し、前記第3のLED光源からの光を、前記第3の導光空間において、前記第1の外側枠体の裏面側および前記第2の外側枠体の表面側で拡散反射させ、前記第3の光取り出し口から出射させてもよい。3層構造の照明装置からの光取り出しが可能となるので、多様な色の光源を各導光空間に配置できる。
また光の取り出し方法は、正面の1方向だけでなく、正面と側面方向あるいは背面方向の組み合わせとしても良い。
第4の発明によれば、少なくとも2重構造の導光空間から、それぞれ均一な光を取り出すことができる。
また、LED照明装置を3重構造の導光空間とすることもできる。このようにすることで、さらに意匠性や演色性にも優れたLED照明装置を得ることができる。
第5の発明は、第3の発明にかかるLED照明装置用枠体の製造方法であって、前記LED照明装置用枠体を、真空成形又はマッチモールド成形のいずれかにより成形することを特徴とするLED照明装置用枠体の製造方法である。
第5の発明によれば、内側枠体と外側枠体とを容易に一体で成形することができる。ここで、マイクロ発泡樹脂は、真空成形又はマッチモールド成形などの樹脂成形により、製品の肉厚などが変化しても光反射率が変わることがない。
本発明によれば、簡易な構造で小型であり、光を均一に取り出すことが可能なLED照明装置用枠体、LED照明装置、LED照明装置の光取り出し方法およびLED照明装置用枠体の製造方法を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1はLED照明装置1を示す平面図である。また、図2、図3は、LED照明装置1の断面図であり、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図1のB−B線断面図である。
LED照明装置1は、主に、枠体3、光透過部材11、LED光源23a、23b、切換えスイッチ5等から構成される。なお、以下の説明において、枠体3に光透過部材11を取り付けたものも含めて、LED光源照明装置用の枠体3と称する場合がある。
LED照明装置1用の枠体3は、内側枠体3aと外側枠体3bとからなる。内側枠体3aと外側枠体3bはともに、マイクロ発泡樹脂製のシートから構成される。内側枠体3aは、外側枠体3bの内部に配置される。すなわち、枠体3は、2重構造である。
内側枠体3aと外側枠体3bはともに、それぞれの上部に設けた開口部27a、27bと、開口部27a、27bから下方に向けて形成された窪み部33a、33bとを具備する。さらに詳細には、内側枠体3aと外側枠体3bのそれぞれの窪み部33a、33bは、それぞれの開口部27a、27bから所定の角度で形成された壁部29a、29bと、壁部29a、29bの下端から湾曲して斜め上方に開口部27a、27bに向けて伸びる曲面部31a、31bとを具備する。なお、内側枠体3aと外側枠体3bの形状は、図示した例には限られない。
壁部29a、29bは、それぞれの開口部27a、27bから所定の角度で形成される。例えば、壁部29a、29bは、それぞれの開口部27a、27bに対して略垂直に形成されてもよく、鈍角となるように形成されてもよい。
ここで、壁部29a、29bが、それぞれの開口部27a、27bに対して鈍角となるように形成されるとは、それぞれの導光空間25a、25bから見て、開口部27a、27bと壁部29a、29bとのなす角度が鈍角であることをいう。例えば、壁部29aを開口部27aに対して鈍角とすることで、LED光源23aを直上から見えなくすることができる。
内側枠体3aと外側枠体3bのそれぞれの窪み部33a、33bは、互いに離間して対向するように配置される。ここで、以下の説明では、内側枠体3aと外側枠体3bのそれぞれの開口部27a、27b側を、それぞれの枠体の「表面側」と称し、反対面側を「裏面側」とする。すなわち、内側枠体3aの表面側は開口部27aと対向し、内側枠体3aの裏面側は、外側枠体3bの表面側と対向する。
内側枠体3aの表面側は反射板として機能する。したがって、内側枠体3aの表面側と開口部27aとの間に、第1の導光空間である導光空間25aが形成される。同様に、内側枠体3aの裏面側と外側枠体3bの表面側はそれぞれ反射板として機能する。したがって、内側枠体3aの裏面側と、外側枠体3bの表面側との間に、第2の導光空間である導光空間25bが形成される。すなわち、内側枠体3aは、その両面が反射板として機能する。
内側枠体3aの裏面側には突部17が設けられる。突部17は、内側枠体3aの裏面側に対向する外側枠体3bの表面側に突出し、突部17の先端は、外側枠体3bと接触する。このようにすることで、内側枠体3aが外側枠体3bに支持され、導光空間25bが潰れてしまうことを防止することができる。
なお、突部17は、導光空間25bにおいて、内側枠体3aの裏面側または外側枠体3bの表面側のいずれかに形成すればよい。この場合には、互いの対向方向に突出する突部17が、対向する内側枠体3aの裏面または外側枠体3bの表面に当接すればよい。また、突部17は、内側枠体3aまたは外側枠体3bとは別体で形成し、内側枠体3aの裏面側または外側枠体3bの表面側に接合してもよく、内側枠体3aまたは外側枠体3bの一部を変形させて突部17を内側枠体3aまたは外側枠体3bと一体で形成してもよい。
ここで、前述した様に、内側枠体3aと外側枠体3bは、マイクロ発泡樹脂シート(多数の微細機構を有する多孔質部材)から形成される。本発明で用いるマイクロ発泡樹脂シートは、中央に発泡層を有し、両面に非発泡層を有する絶縁性の樹脂シートである。ここで、発泡層とは、発泡により、気泡を生成させた層をいう。
本発明では、マイクロ発泡樹脂シートの厚さは0.4mm〜2.0mmで、非発泡層の厚さは10〜30μmである。また、本発明のマイクロ発泡樹脂シートは、平均気泡径が0.2μmから40μmの範囲であることが好ましい。平均気泡径が0.2μmより小さすぎると、光の透過度が高くなり反射率が低下する。また、平均気泡径が大きすぎると拡散反射率が低下するため、平均気泡径は0.2μmから40μm以下とする必要がある。さらに平均気泡径は0.5μmから20μmであることが好ましい。
波長450〜650nmの可視光帯域における、マイクロ発泡樹脂製の内側枠体3aと外側枠体3bの光学特性として、硫酸バリウム標準板を用いた時の光反射率は、全反射率が90%以上、拡散反射率が90%以上を満たし、反射率の波長依存性が1%以下の範囲内にあることが望ましい。全反射率、拡散反射率ともに、好ましくは95%以上を満足でき、99%以上も可能である。なお、波長が450〜650nmの可視光に対する光学特性は、成形前のマイクロ発泡樹脂シートと、成形された後の内側枠体3aと外側枠体3bとで大きく変わることはない。
ここで、本発明のマイクロ発泡樹脂シートは、絶縁性を有し、その体積固有抵抗は1012Ω〜1011Ωである。この範囲であれば、本発明における絶縁性を十分確保できる。
また、本発明において、マイクロ発泡樹脂シートは、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、PC樹脂(ポリカーボネート樹脂)、難燃PC樹脂、アクリル系樹脂、例えばPMMA樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)のいずれかから構成することが好ましい。上記の他、マイクロ発泡樹脂シートには、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂に難燃性を持たせた透明樹脂を使用することもできる。また、使い場所や用途により帯電防止、難燃性付与、耐紫外線のコーティングを施したり、そのような処理をされたマイクロ発泡樹脂シートを使用しても良い。
内側枠体3aの開口部27aは、導光空間25aからの第1の光取り出し部9aとなる。また、外側枠体3bと内側枠体3aとの間の開口部27bが、導光空間25bからの第2の光取り出し部9bとなる。光取り出し部9bは、光取り出し部9aの周囲に形成される。
内側枠体3aの壁部29aの略中央には、内側枠体3aの曲面部31aの表面側に発光面を向けて、第1のLED光源であるLED光源23aが配置される。なお、LED光源23aは、内側枠体3aの表面または裏面に配置されればよい。また、内側枠体3aの曲面部31aの略中央には、外側枠体3bの表面側に発光面を向けて、第2のLED光源であるLED光源23bが配置される。
なお、LED光源23bは、内側枠体3aの表面または裏面に配置してもよく、外側枠体3b側に配置してもよい。すなわち、LED光源23bは、内側枠体3aまたは外側枠体3bの曲面部31a、31bのいずれかの幅方向の略中央に、外側枠体3bの表面または内側枠体3aの裏面のいずれかに発光面を向けて配置される。
導光空間25aの内部に配置されたLED光源23aは、導光空間25aに発光面を向けて光を照射する。したがって、LED光源23aからの光は、内側枠体3aの表面側で拡散反射されて、光取り出し部9aから出射する。また、導光空間25bの内部に配置されたLED光源23bは、導光空間25bに向けて光を照射する。したがって、LED光源23bからの光は、内側枠体3aの裏面側および外側枠体3bの表面側で拡散反射されて、光取り出し部9bから出射する。
なお、LED光源23aと、LED光源23bの光の色を異なるようにしてもよい。例えば、LED光源23aの光を、白色または淡黄色の照明光とし、LED光源23bの光を、LED光源23aの光とは異なる色の着色照明光としてもよい。このようにすることで、LED光源23aを実用光とし、LED光源23bを加飾用の光として利用することができる。
なお、LED光源23aとLED光源23bの光の色を変えるのではなく、光透過部材11によって光の色を変えることもできる。例えば、光透過部材11を着色することで、光取り出し部9a、9bから出射される光の色を変えることもできる。
ここで、光透過部材11の材質としては、例えば、アクリル樹脂やガラス製である。また、光透過部材11が、透明または半透明である場合において、着色する場合には、例えば、アクリル樹脂やガラス製の部材に、ポリエステル製の輝度向上フィルム等を貼り付けてもよい。
内側枠体3aおよび外側枠体3bの開口部27a、27bには、光透過部材11が配置される。すなわち、光取り出し部9a、9bは、光透過部材11によって覆われる。光透過部材11は、例えば光拡散板やレンズなどである。内側枠体3aおよび外側枠体3bのそれぞれの開口部27a、27bの縁部近傍は、光透過部材11と密着する。したがって、導光空間25a、25bは、確実に仕切られ、互いの空間内の光が漏れることがない。
なお、内側枠体3aおよび外側枠体3bと、光透過部材11とは、互いに接着されていてもよい。この際、内側枠体3aおよび外側枠体3bと光透過部材11との接着面に、フランジ部35a、35b(図3参照)を形成して密着させてもよい。また、光透過部材11の裏面側に溝を形成し(図示省略)、当該溝に、内側枠体3aおよび外側枠体3bのそれぞれの開口部27a、27bの縁部を差し込んでもよい。なお、フランジ部35a、35bは、内側枠体3aおよび外側枠体3bの開口部縁部の全周に形成する必要はなく、開口部27a、27bの少なくとも一部に外方に向けて形成されたフランジ部35a、35bを形成すればよい。
ここで、本発明において、内側枠体3aおよび外側枠体3bのそれぞれの開口部27a、27bの縁部近傍が光透過部材11と密着するとは、互いに直接密着している場合に限られず、他の部材を介して密着している場合も含む。すなわち、内側枠体3aおよび外側枠体3bのそれぞれの開口部27a、27bの縁部近傍と、光透過部材11との間に、光が漏れる隙間が形成されないことを意味する。
光透過部材11において、光取り出し部9aと光取り出し部9bとは、必要に応じて区画部13で区画される。例えば、光取り出し部9aと光取り出し部9bの境界に、所定の幅のシールや塗装によって、区画部13が形成される。光取り出し部9aと光取り出し部9bとを確実に区画することで、光取り出し部9a、9bのそれぞれの領域を明確にすることができる。また、例えば、内側枠体3aの縁部と光透過部材11との密着部の位置が多少ずれた場合でも、所定幅を有する区画部13によって、光取り出し部9a、9bのそれぞれの領域が変動することを防止することができる。
LED光源23aの直上には、必要に応じて、光透過防止部材15が設けられる。すなわち、光透過防止部材15は、光取り出し部9aの一部を塞ぐように設けられる。光透過防止部材は、LED光源23aからの光を遮蔽する。このため、光透過防止部材15によって、LED光源23aからの直接光が光取り出し部9aから取り出されることを抑制することができる。
なお、光透過防止部材15を、内側枠体3aおよび外側枠体3bと同じようにマイクロ発泡樹脂製としてもよい。このようにすることで、光透過防止部材15の裏面側でもLED光源23aからの光を拡散反射させることができる。なお、LED光源23bは、内側枠体3aの背面側に配置されるため、LED光源23bの直接光は、内側枠体3aによって遮蔽することができる。
光透過部材11の縁部近傍には、切換えスイッチ5が配置される。切換えスイッチ5は、LED光源23a、23bと配線で繋がれる。切換えスイッチ5は、回路基板19と接続される。回路基板19は、例えばガラエポ基板である。回路基板19上の配線とLED光源23aは直接接続される。さらに、回路基板19にはフレキシブルフラットケーブル21が接続される。すなわち、切換えスイッチ5と各光源とを接続する配線には、フレキシブルフラットケーブル21が使用される。
より詳細には、回路基板19は、内側枠体3aの壁部29aの外側に配置される。回路基板19には、基板上の配線によって切換えスイッチ5が繋がれる。なお、回路基板19の配線と切換えスイッチ5は、直接接続されてもよく、回路基板19と切換えスイッチ5の端子とを配線によって接続してもよい。光透過部材11上には、切換えスイッチ5の操作部が露出する。
さらに、回路基板19には端子7が接続され、端子7が、外側枠体3bの壁部29bを貫通して、外側枠体3bの外部に露出する。回路基板19上には、LED光源23aが配置され、LED光源23aは、内側枠体3aの壁部29aに形成された孔を介して導光空間25aに露出する。また、回路基板19の回路には、フレキシブルフラットケーブル21の配線が接続される。フレキシブルフラットケーブル21は、内側枠体3aの壁部29aから曲面部31aに沿って配置される。フレキシブルフラットケーブル21には、LED光源23bが接続される。
すなわち、切換えスイッチ5とLED光源23aを結ぶ配線がリジットな回路基板19で構成され、回路基板19とLED光源23bを結ぶ配線がフレキシブルフラットケーブル21で構成される。したがって、切換えスイッチ5や端子7とLED光源23a、23b等との配線は、フレキシブル基板であるフレキシブルフラットケーブル21とリジット基板である回路基板19のハイブリット基板で構成される。
なお、フレキシブルフラットケーブル21は、回路導体(例えば銅箔または銅線により形成された回路)が樹脂(例えばPETやポリイミド、ポリエチレンナフタレート)で上下面を積層樹脂被覆又は接着されたケーブルである。所定の長さに切断されたフレキシブルフラットケーブル21の内部には、少なくとも一対の回路導体が形成されている。すなわち、回路導体がLED光源と切換えスイッチ5等を接続する配線となる。なお、フレキシブルフラットケーブル21に代えて、フレキシブルフラット回路を用いてもよい。
導光空間25b内の光が、切換えスイッチ5等向けて照射されることを防止するために、切換えスイッチ5等が配置される空間と導光空間25bとの間には、別途反射板を配置してもよい。また、導光空間25bに露出するフレキシブルフラットケーブル21の表面(導光空間への露出面)には、反射フィルム(反射板)を貼りつけてもよい。この場合、例えば、フレキシブルフラットケーブル21の表面にマイクロ発泡樹脂シートや、拡散反射フィルム、または金属フィルムなどを貼り付ければよい。また、フレキシブルフラットケーブル21として、マイクロ発泡樹脂を用いてもよい。
次に、本発明のLED照明装置1の機能について説明する。切換えスイッチ5を切り替えることで、LED光源23a、23bの点灯の切り替えを行うことができる。
LED光源23aが点灯した際には、LED光源23aからの光は、内側枠体3aの表面側で拡散反射を繰り返して、光取り出し部9aから光が出射する。すなわち、LED光源23aからの光は、導光空間25a内で拡散反射されて、光取り出し部9aから光が出射する。この際、前述した様に、光透過防止部材15によって、LED光源23aからの直接光が光取り出し部9aから出射することを抑制することができる。このため、グレア感が少なく、均一な光を光取り出し部9aから取り出すことができる。
一方、切換えスイッチ5を切り替えて、LED光源23bが点灯した際には、LED光源23bからの光は、内側枠体3aの裏面側と外側枠体3bの表面側で拡散反射を繰り返して、光取り出し部9bから光が出射する。すなわち、LED光源23bからの光は、導光空間25b内で拡散反射されて、光取り出し部9bから光が出射する。この際、導光空間25bが、内側枠体3aの背面側に位置するため、LED光源23bからの直接光が光取り出し部9bから出射することがない。このため、グレア感が少なく、均一な光を光取り出し部9bから取り出すことができる。
例えば、光取り出し部9aの周囲を囲むように光取り出し部9bを形成した照明装置において、従来のように、単に、導光空間を区分して並べて配置し、それぞれの導光空間にそれぞれLED光源を配置しただけでは、LED光源に近い部位が明るく、遠くなるにつれて暗くなるため、均一な光を取り出すことができない。しかし、拡散反射を繰り返すための領域を、それぞれの導光空間に形成したのでは、照明装置が大型化する。
これに対し、本実施形態では、導光空間25a、25bが積層構造であり、LED光源23bが、導光空間25aの背面側の導光空間25bに配置され、光取り出し部9bまでの距離(拡散反射区間)を長くすることができるとともに、導光空間25b内で拡散反射を繰り返すことで、光取り出し部9bから均一な光を取り出すことができる。この結果、例えば、1つのLED光源であっても均一な光を取り出すことができる。また、この際、導光空間25a、25bが重なり合うため、併設する場合と比較して小型化を達成することができる。
次に、枠体3の製造方法について説明する。図4(a)、図4(b)は、枠体3の製造工程の一例を示す図である。内側枠体3aと外側枠体3bは、マイクロ発泡樹脂シートを真空成形やマッチモールド成形などによって、一体で成形することができる。
例えば、PET樹脂、PC樹脂、難燃PC樹脂、またはアクリル系樹脂の熱可塑性樹脂製のマイクロ発泡樹脂シートをヒータで加熱して軟化させ、軟化させたマイクロ発泡樹脂シートを成形型に吸引することで、内側枠体3aと外側枠体3bの境界部がヒンジ部37で連結された形で一体成形することができる。ここで、真空成形やマッチモールド成形の加熱成形後のマイクロ発泡樹脂シートは加熱前後で、全反射率や拡散反射率等の光学特性は、ほとんど変わらずに、全反射率や拡散反射率が90%以上を満たすことができる。
このようにして得られた一体成形品を、内側枠体3aと外側枠体3bの境界部のヒンジ部37で折り曲げることで(図中矢印C)、枠体3を得ることができる。なお、前述した様に、内側枠体3aと外側枠体3bの間には、突部17を接合してもよい。また、突部17を真空成形やマッチモールド成形において、内側枠体3aまたは/および外側枠体3bに一体で成形することもできる。
また、図5(a)、図5(b)は、枠体3の製造工程の他の一例を示す図である。内側枠体3aと外側枠体3bは、それぞれ別体のマイクロ発泡樹脂部材で形成してもよい。なお、内側枠体3aと外側枠体3bは、例えば、真空成形やマッチモールド成形によって成形することができる。この場合には、内側枠体3aを外側枠体3bに重ね合わせて(図中矢印D)、内側枠体3aと外側枠体3bと接合すればよい。
以上のようにして得られた枠体3に対して、切換えスイッチ5、LED光源23a、23b、および光透過部材11等を接合することで、LED照明装置1を製造することができる。
以上、本実施の形態によれば、内側枠体3aと外側枠体3bとがそれぞれマイクロ発泡樹脂製の反射板として機能するため、枠体3の他に反射板を別体で設置する必要がない。このため、部品点数を抑えることができる。また、マイクロ発泡樹脂製の反射板を用いることで、軽量であり、効率良く光を拡散反射することができる。また、光源から光取り出し部まで、曲がった形状の導光空間25bを形成することができる。このため、各光取り出し部において均一に面発光させることができる。
また、内側枠体3aと外側枠体3bが、互いに離間して重ね合わせられるため、内側枠体3aの表面側と裏面側に、互いに独立した導光空間25a、25bを形成することができる。すなわち、内側枠体3aは、その表面と裏面の両方を反射板として機能させることができる。さらに、内側枠体3aのそれ自体を、導光空間25a、25bを仕切るための区画板として機能させることができる。
また、導光空間25aでは、内側枠体3aの表面側で光を拡散反射させることで、光取り出し部9aからの光を均一にできる。また、導光空間25bでは、内側枠体3aの裏面側と外側枠体3bの表面側で光を拡散反射させることで、光取り出し部9bからの光を均一にできる。この際、導光空間25a、25bを複数層構造とすることで、LED照明装置1を小型化することができる。
また、内側枠体3aの裏面側と外側枠体3bの表面側の、互いの対向面において、突部17が形成されるため、内側枠体3aと外側枠体3bとの隙間を確実に維持することができる。
また、LED光源23aの直上に、光透過防止部材15が設けられるため、LED光源23aからの直接光を遮蔽することができ、グレア感を低減することができる。
また、内側枠体3aと外側枠体3bとを一体で成形し、ヒンジ部37で折り曲げて枠体3を形成することで、製造性が良好であり、部品点数を削減することができる。また、ヒンジ部37で折り曲げた際に、内側枠体3aが外側枠体3bに対して上方に戻ろうとする弾性反発力を得ることができる。このため、内側枠体3aの縁部が、光透過部材11に押し付けられて、隙間が形成されにくくなる。
また、光透過部材11の表面において、光取り出し部9a、9bを区画する区画部13が設けられるため、導光空間25a、25bの光が、互いに光取り出し部9a、9bに漏れることがなく、意匠性にも優れる。
また、配線としてフレキシブルフラットケーブル21を使用することで、フレキシブルフラットケーブル21を枠体3上で自由に折り曲げることができる。このため、配線の設置が容易である。
なお、本発明のLED照明装置は、携帯用、室内照明用または車内照明用に特に好適である。
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態にかかるLED照明装置1aを示す断面図である。なお、以下の説明において、LED照明装置1と同一の機能を奏する構成については、図1〜図3と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
LED照明装置1aは、LED照明装置1とほぼ同様の構成であるが、回路基板19が用いられずに、フレキシブルフラットケーブル21のみによって配線される点で異なる。図示した例では、外側枠体3bの壁部29bの外側に、切換えスイッチ5が配置される。切換えスイッチ5は、フレキシブルフラットケーブル21に接続される。
光の利用効率を高めるために、フレキシブルフラットケーブル21の導光空間側の面には、反射機能層を設ける。好ましくは拡散反射機能を持つ層を設けることが好ましい。また、フレキシブルフラットケーブル21に直接LED素子を半田実装し、半田実装した部分も反射機能層で覆われていることが好ましい。
図7は、フレキシブルフラットケーブル21を示す図である。フレキシブルフラットケーブル21には、3本の配線39が形成される。フレキシブルフラットケーブル21の所定の位置には、互いに離間して、LED光源23a、23bが配置される。LED光源23a、23bは、配線39と接続される。なお、フレキシブルフラットケーブル21の面に対して、LED光源23a、23bは、相互に反対向きに接続される。すなわち、LED光源23a、23bは、互いに所定距離離間して、配線39の配線面に対して、相互に反対向きに接続される。
ここで、切換えスイッチ5とLED光源23aを結ぶ配線39と、切換えスイッチ5とLED光源23bを結ぶ配線39が共用配線となる。より具体的には、3本の配線39の1本を共有化してそれぞれが接続される。切換えスイッチ5によって、LED光源23a、23bのそれぞれの回路が切換えられる。
図6に示すように、フレキシブルフラットケーブル21(共用配線)は、内側枠体3aの窪み部33aの幅方向の略中央に、内側枠体3aに添って配置される。LED光源23aは、内側枠体3aの壁部29aに形成された孔を介して導光空間25aに露出する。また、LED光源23bは、内側枠体3aの窪み部33aの裏面側に配置され、外側枠体3bの表面側に向けて配置される。この構成とすることで、LED基板によるLEDから出射した照射光の戻り光をLED基板により吸収することがないので、照明光の利用効率を高めることができる。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、フレキシブルフラットケーブル21のみで配線を行うことで、構造が簡易となり、配線の設置も容易である。特に、共用配線を用いることで、構造が簡易となる。
また、フレキシブルフラットケーブル21の導光空間側の面には、反射機能層を設けることで、配線による照明光が吸収されることが実質上ないので、照明光の利用効率を低下させることがない。クルマの室内照明に使った場合、室内を照らす照明の色と照明装置の輪郭を照らす照明の色を独立に設定できるので、室内の照明による演出効果を高めることができる。
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図8は、第3の実施形態にかかるLED照明装置1cを示す断面図である。LED照明装置1cは、LED照明装置1とほぼ同様の構成であるが、フレキシブルフラットケーブル21が用いられずに、回路基板19のみによって配線される点で異なる。
回路基板19は、内側枠体3aの壁部29aの外面側に配置される。回路基板19は、さらに、外側枠体3bの曲面部31b方向に向けて、壁部29aの延長方向に突出する。回路基板19の同一面方向には、LED光源23a、23bが互いに離間して配置される。LED光源23aは、内側枠体3aの壁部29aに形成された孔を介して導光空間25aに露出する。また、LED光源23bは、導光空間25bにおいて、外側枠体3bの曲面部31bの表面側(または、内側枠体3aの曲面部31aの裏面側)に向けて光を照射する。
好ましくは、回路基板19の導光空間25に面する面には、反射板20を設けることが好ましい。反射板はマイクロ発泡樹脂からなることが望ましい。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、回路基板19のみで配線が行われるため、部品点数が少なく、フレキシブルフラットケーブル21と比較して、剛性も高い。
このように、本発明では、切換えスイッチ5とLED光源23a、23bを結ぶ配線が、リジットな回路基板19のみであってもよく、フレキシブル回路基板であるフレキシブルフラットケーブル21(またはフレキシブルフラット回路)と回路基板19のハイブリット基板であってもよく、またはフレキシブルフラットケーブル21(またはフレキシブルフラット回路)のみで構成されてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図9は、第4の実施形態にかかるLED照明装置1bを示す断面図である。LED照明装置1bは、LED照明装置1aとほぼ同様の構成であるが、光透過防止部材15が設けられない点で異なる。
本実施形態では、光透過部材11は、表面に光拡散機能を設けた透明材料、又は光の散乱体を含有した透明材料でできた光拡散板である。LED光源23aの直上の光透過部材11には、低透過率部41が形成される。低透過率部41は、他の部位と比較して厚みが厚い。したがって、光透過部材11の、光取り出し部9aにおいて、LED光源23aの直上近傍の光透過量や光透過率が、他の部位の光透過量や光透過率よりも低い。このため、LED光源23aからの直接光によるグレア感を低減することができる。
なお、低透過率部41を形成する方法としては、光透過部材11の厚みを変える方法には限られない。例えば、添加するフィラー量を部分的に変えることで、光透過部材11の一部の光透過率を、他の部位の光透過率よりも低くすることができる。
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、光透過防止部材15を用いないため、部品点数を削減することができる。また、光透過防止部材15を用いると、その部位おいては光が全く透過しなくなるが、本実施形態によれば、光取り出し部9aの光の照射範囲を広くすることができるとともに、直接光によるグレア感を低減することができる。
(第5実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図10は、第5の実施形態にかかるLED照明装置1dを示す平面図である。また、図11、図12は、LED照明装置1dの断面図であり、図11は、図10のE−E線断面図、図12は、図10のF−F線断面図である。
LED照明装置1dは、LED照明装置1とほぼ同様の構成であるが、導光空間が3重構造である点で異なる。LED照明装置1dの枠体3は、内側枠体3aと、第1の外側枠体である外側枠体3bと、第2の外側枠体である外側枠体3cから構成される。内側枠体3aは、外側枠体3bの内部に配置される。また、外側枠体3bは、外側枠体3cの内部に配置される。
外側枠体3cは外側枠体3bとほぼ同様の形態であり、壁部29cと曲面部31とを有する窪み部33cを具備する(図12参照)。外側枠体3bと外側枠体3cとの窪み部33b、33cの間には、突部17が設けられ、互いに所定の間隔で離間する。また、外側枠体3cのフランジ部35c(図12参照)は光透過部材11と密着する。
本実施形態では、内側枠体3aの表面側の空間が第1の導光空間25aとなり、内側枠体3aの裏面側と外側枠体3bの表面側の間の空間が第2の導光空間25bとなり、外側枠体3bの裏面側と外側枠体3cの表面側の間の空間が第3の導光空間25cとなる。
このように、内側枠体3a、外側枠体3b、外側枠体3cが、互いに離間して重ね合わせられるため、内側枠体3aおよび外側枠体3bは、その表面と裏面の両方を反射板として機能させることができる。さらに、内側枠体3aおよび外側枠体3bのそれ自体を、導光空間25a、25b、25cを仕切るための区画板として機能させることができる。
枠体の区画部分の形状を区画板の形状を変えることで、光取り出し部9の形状、区画部の形状を変えることが容易に行うことができる。これにより、照明装置の発光面の大きさ等の機能性、照明機器の形状として意匠性等の設計の自由度を高めることが容易に行えることが本発明の特徴の一つである。
外側枠体3bの裏面側と、外側枠体3cの表面側との間に形成される空間には、第3のLED光源23cが配置される。すなわち、導光空間25cには、LED光源23cが配置される。導光空間25cの開口部27cは、第3の光取り出し部9cとなる。光取り出し部9cは、光取り出し部9bの周囲に形成され、また、光透過部材11は、光取り出し部9a、9b、9cを覆うように配置される。なお、光透過部材11には、光取り出し部9a、9b、9cを区画するように、必要に応じて所定幅の区画部13が形成される。
回路基板19は、内側枠体3aの壁部29aの外側に配置される。回路基板19には、切換えスイッチ5が接続され、光透過部材11上に操作部が露出する。さらに、回路基板19には端子7が接続され、端子7が、外側枠体3bの壁部29bおよび外側枠体3cの壁部29cを貫通して、外側枠体3cの外部に露出する。
回路基板19には、LED光源23aが配置され、LED光源23aは、内側枠体3aの壁部29aに形成された孔を介して導光空間25aに露出する。また、回路基板19の回路には、一対のフレキシブルフラットケーブル21の配線が接続される。一方のフレキシブルフラットケーブル21は、内側枠体3aの壁部29aから外側枠体3bの曲面部31bに沿って配置され、LED光源23bが接続される。他方のフレキシブルフラットケーブル21は、外側枠体3cの壁部29cおよび曲面部31c(図12参照)に沿って配置され、LED光源23cが接続される。
フレキシブルフラットケーブル21の導光空間側の面には、反射機能層を設けることで、配線による照明光が吸収されることが実質上ないので、照明光の利用効率を低下させることがない。反射機能層としては、マイクロ発泡樹脂を貼り付ければ良い。
切換えスイッチ5を操作して、LED光源23aを点灯させた際には、LED光源23aからの光は、内側枠体3aの表面側で拡散反射を繰り返して、光取り出し部9aから光が出射する。すなわち、LED光源23aからの光は、導光空間25a内で拡散反射されて、光取り出し部9aから光が出射する。この際、前述した様に、光透過防止部材15によって、LED光源23aからの直接光が光取り出し部9aから出射することを抑制することができる。このため、グレア感が少なく、均一な光を光取り出し部9aから取り出すことができる。
また、切換えスイッチ5を切り替えて、LED光源23bを点灯させた際には、LED光源23bからの光は、内側枠体3aの裏面側と外側枠体3bの表面側で拡散反射を繰り返して、光取り出し部9bから光が出射する。すなわち、LED光源23bからの光は、導光空間25b内で拡散反射されて、光取り出し部9bから光が出射する。この際、導光空間25bが、内側枠体3aの背面側に位置するため、LED光源23bからの直接光が遮蔽される。このため、グレア感が少なく、均一な光を光取り出し部9bから取り出すことができる。
さらに、切換えスイッチ5を切り替えて、LED光源23cを点灯させた際には、LED光源23cからの光は、外側枠体3bの裏面側と外側枠体3cの表面側で拡散反射を繰り返して、光取り出し部9cから光が出射する。すなわち、LED光源23cからの光は、導光空間25c内で拡散反射されて、光取り出し部9cから光が出射する。この際、導光空間25cが、内側枠体3aおよび外側枠体3bの背面側に位置するため、LED光源23cからの直接光が遮蔽される。このため、グレア感が少なく、均一な光を光取り出し部9cから取り出すことができる。
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、LED照明装置用の枠体を3重構造とすることで、より意匠性に優れたLED照明装置を得ることができる。
このように、本発明は、2重構造に限られず、さらに多層構造としてもよい。例えば、n層構造のLED照明装置用枠体を形成する場合には、内側枠体3aの外周に、外側枠体3b、3c、・・・と、全部でn個の枠体を重ね合わせればよい。この際、第1の導光空間は、内側枠体の内部に形成され、第2の導光空間〜第nの導光空間は、n番目の枠体の表面側と、(n−1)番目の枠体の裏面側の空間に形成される。それぞれの導光空間内にLED光源を配置することで、それぞれの導光空間に対応する光取り出し部から光を取り出すことができる。
(第6実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。図12は、第6の実施形態にかかるLED照明装置1eを示す断面図である。LED照明装置1eは、LED照明装置1dとほぼ同様の構成であるが、光透過部材11の形状が異なるとともに、最外周の光取り出し部9cの形態が異なる。
LED照明装置1eは、最外周の外側枠体3cの側面が開口しており、光透過部材11によって覆われている。すなわち、光透過部材11は、光取り出し部9a、9bを覆うとともに、光取り出し部9bの外側で屈曲して、端部近傍において、外側枠体3cの開口縁部と密着する。したがって、光取り出し部9cは、光取り出し部9bの周囲を覆うように、光取り出し部9a、9bと同一面に形成されるとともに、LED照明装置1eの側面まで連続して形成される。
第6の実施の形態によれば、第5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、LED照明装置用の側面にも光取り出し部を形成することができる。
図13は、光透過部材11が側面まで一体となっており、光の取り出し部9cが光の取り出し部と9a、9bと同じ正面方向に照射することに加えて、側面方向にも光を照射することができる。
クルマの室内ランプとして使用した場合、側面からの照明光は、天井を照らすことができ、天井に照らす照明の色と室内を照らす照明の色、及び照明を加飾する照明の色を使い分けることでき、クルマの室内空間を演出する性能を大幅に向上できる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、前述した各実施形態はそれぞれ互いに組み合わせることができることは言うまでもない。また、切換えスイッチ5や回路基板19、フレキシブルフラットケーブル21等のレイアウトは、図示した例には限られない。