JP6014700B2 - 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 - Google Patents
微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6014700B2 JP6014700B2 JP2015050818A JP2015050818A JP6014700B2 JP 6014700 B2 JP6014700 B2 JP 6014700B2 JP 2015050818 A JP2015050818 A JP 2015050818A JP 2015050818 A JP2015050818 A JP 2015050818A JP 6014700 B2 JP6014700 B2 JP 6014700B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- microalgae
- culturing
- liquid
- sake
- culture
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
斯かる微細藻類の培養方法によれば、下水処理水が窒素分を含むため、微細藻類を増殖させることができる。さらに、微細藻類が貯蔵した炭化水素などの有価物を利用することができる。しかも、培養のために用いた下水処理水の水質を改良することができる。
少なくとも清酒を含み且つpHが3.0〜5.5である液体中で、前記微細藻類を培養し、
前記微細藻類に光を照射して光合成を行わせる期間と、前記光を照射せず前記微細藻類の光合成を抑える期間と、を繰り返し交互に設けることを特徴とする。
即ち、前記微細藻類の培養方法は、微細藻類の増殖を促進する栄養素が含有された醸造酒を少なくとも含む液体中で微細藻類を培養するものである。
即ち、前記微細藻類の培養方法においては、微細藻類の増殖を促進する栄養素を含むものとして、麦汁、清酒粕、焼酎粕、酵母、酵母自己消化物、及び廃糖蜜からなる群より選択された少なくとも1種と、醸造酒とを採用し、これらと水とを含む液体中で微細藻類を培養することが好ましい。
一方、前記有機栄養素としては、例えば、ブドウ糖(グルコース)などの単糖類、エタノール、又はビタミン類などが挙げられる。
前記微細藻類としては、光合成によって増殖する光独立栄養微細藻類、ブドウ糖などの有機性栄養素を栄養源として利用して増殖する従属栄養微細藻類等が挙げられる。
前記光独立栄養微細藻類としては、後述するユーグレナ属に属する生物のように光合成することができ且つ有機性栄養素を栄養源として利用できる生物もある。
前記Euglena gracilisとしては、例えば、Euglena gracilis NIES-48(後述する独立行政法人国立環境研究所微生物系統保存施設における保管株)などが挙げられる。
前記Chlorella sorocinianaとしては、例えば、Chlorella sorociniana NIES-2169(後述する独立行政法人国立環境研究所微生物系統保存施設における保管株)などが挙げられる。
また、前記微細藻類としては、バイオディーゼルの原料となるワックスエステルを大量に産生できるという点、ビタミン、カロテノイド、栄養価の高いタンパク質、パラミロンなどの有価物を多く含んでいるという点、大量に培養しやすいという点で、前記ユーグレナ(Euglena)属に属する生物が好ましい。
なお、前記糖分とは、単糖類又は二糖類を意味する。
具体的には、前記醸造酒は、例えば、ブドウ糖(グルコース)などの糖類、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、リン、カリウムなどを含んでいる。前記醸造酒におけるこれらの成分は、培養における微細藻類の増殖を促進し得る。
前記醸造酒としては、ビール、清酒、及びワインからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
前記麦芽としては、通常、大麦の麦芽が用いられる。
なお、酒税法による分類において、いわゆるビールは、麦芽、ホップ、及び水を原料として発酵させたもの、又は、麦芽、ホップ、及び水と、麦、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、又は糖類等とを原料として発酵させたものであって、アルコール分が20度未満であり、麦芽の使用率が66.7%(3分の2)以上のものを指す。酒税法による分類において、発泡酒は、麦芽や麦を原料の一部とし発泡性を有するものであって、アルコール分が20度未満であり麦芽の使用率が66.7%未満のものを指す。また、いわゆる第3のビール(新ジャンル)は、酒税法分類におけるいわゆるビール及び発泡酒以外のものであって、発泡性を有しアルコール分が10度未満のものである。いわゆる第3のビールは、酒税法分類において、その他の発泡性酒類に分類され、該第3のビールとしては、糖類、ホップ、水等を原料として用いたもの、又は、前記発泡酒にスピリッツを加えたもの等が挙げられる。これらのいわゆるビール、発泡酒、その他の発泡性酒類は、醸造酒として前記微細藻類の培養方法において用いることができる。
前記麹としては、通常、米麹が用いられる。
ブドウ果汁には、ブドウ糖などの糖分が含まれており、ブドウ果汁における糖分は、酵母によるアルコール発酵によってエタノールへと変化する。
前記ワインとしては、例えば、赤ワイン、白ワイン等が挙げられる。
醸造酒に含まれていたエタノールが0.5容量%以上となるように前記液体が前記醸造酒を含んでいることにより、微細藻類の増殖がより優れたものになるという利点がある。
特に、醸造酒として清酒を用いるときには、清酒に含まれていたエタノールが1.0容量%を超えるように前記液体が前記清酒を含んでいることが好ましい。清酒由来のエタノールが1.0容量%を超えるように前記液体が前記清酒を含んでいることにより、微細藻類が利用できる有機栄養素をより確実に液体中に存在させることができるという利点がある。
前記清酒粕には、ブドウ糖(グルコース)などの糖類、タンパク質、アミノ酸、リン、カリウム、鉄、マグネシウムなどの成分が含まれている。
前記焼酎粕の原料となる穀物としては、例えば、コメ、オオムギやコムギなどのムギ、ソバ等が挙げられる。
前記焼酎粕には、タンパク質、アミノ酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、リン、カリウム、ビタミンなどの成分が含まれている。
前記酵母としては、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属に属するものが挙げられ、具体的には、Saccaromyces cerebisiae等が挙げられる。
また、前記酵母としては、用途に応じて、いわゆる清酒酵母、いわゆるワイン酵母、又は、いわゆるビール酵母などが挙げられる。
前記酵母の自己消化は、例えば、糖類などの有機栄養素がない条件下に酵母をおくことにより起こすことができる。
前記酵母自己消化物には、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、リン、カリウムなどの成分が含まれている。
前記酵母自己消化物を液体に配合する場合、液体における酵母自己消化物の量は、より高い濃度でなくとも十分に微細藻類の増殖を促進できるという点で、0.2容量%以下であることが好ましく、0.1容量%以下であることがより好ましい。
前記廃糖蜜は、ショ糖、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、カリウム等を含んでいる。
前記培養方法において微細藻類に光を照射すると、光合成可能な光独立栄養微細藻類は、光合成によって二酸化炭素を細胞内に取り込んで炭化水素や糖類などを合成しつつ増殖し得ると同時に、液体中の有機栄養素(例えば醸造酒に含まれていたタンパク質やアミノ酸等)を栄養源として利用しつつ増殖し得る。
即ち、前記培養方法においては、微細藻類に光を照射して光合成を行わせつつ微細藻類を増殖させる期間と、暗条件下にて光合成を抑制しつつ微細藻類を増殖させる期間とを繰り返し交互に設けることができる。
なお、前記培養方法においては、微細藻類に対して1日あたり24時間光を照射し続けてもよい。即ち、培養において微細藻類に光合成をさせ続けてもよい。
光の強度が50μmol/m2/s以上であることにより、光合成をより促すことができるという利点がある。また、光の強度が200μmol/m2/s以下であることにより、光による増殖阻害をより確実に抑制できるという利点がある。
なお、液体のpHを調整するためには、塩酸のような無機酸を液体に添加しても良く、酢酸のような有機酸を液体に添加してもよい。また、無機酸と有機酸とを組み合わせて用いても良い。有機酸を液体に添加することにより、微細藻類が該有機酸を有機栄養素として利用し増殖することができる。
前記培養槽1は、内部に収容する微細藻類の光合成を促進させるべく、上方から照射される光Bが液体Aを透過して底部にまで届くように、比較的深さが浅く形成されていてもよい。
一方で、前記培養槽1は、微細藻類の光合成を抑制し従属栄養培養のみによって微細藻類を培養するときには、微細藻類の酸素呼吸用の酸素を液体A中に溶け込みやすくするために、比較的深く形成されていてもよい。
照射する光Bは、微細藻類に光合成をさせるものであれば、特に限定されず、該光Bとしては、例えば、上述したように、太陽からの自然光、又は、照明からの光などの人工光等が採用される。
斯かるガスの供給は、前記培養槽1に収容された液体Aを曝気すること、又は、液体Aを撹拌することなどにより行うことができる。
なお、前記培養槽1中の液体Aへガスを供給する手段としては、例えば、曝気管を利用したもの、酸素や二酸化炭素を液体A中に溶解させるべく撹拌翼により液体Aを撹拌するもの、又は、酸素や二酸化炭素を加圧して溶け込ませた加圧水を液体Aに供給するものなどが採用され得る。
このようにして培養方法を実施することにより、光合成可能な微細藻類の増殖がより促進され、しかも、微細藻類による有機化合物の産生がより促進されるという利点がある。
詳しくは、前記培養方法においては、醸造酒に含まれていた有機栄養素を含む液体A中にて、酸素を含む気体で液体Aを曝気しつつ微細藻類を培養(従属栄養培養)することができる。
このような培養において、仮に微細藻類の栄養素として有機栄養素としてのブドウ糖のみを用いると、ブドウ糖が微細藻類の細胞内に取り込まれやすく利用しやすい栄養素であるため、微細藻類の増殖が比較的速くなり得る。一方、前記培養方法のように、微細藻類の栄養素を含むものとして醸造酒を用いることにより、醸造酒にブドウ糖よりも栄養素として利用しにくい様々な栄養素も入っているものの、様々な栄養素によって微細藻類の生理現象が促進され得る。利用しにくい栄養素による増殖効率の低下分は、例えば、光合成可能な微細藻類に光合成をさせることなどにより補うことができる。
なお、ユーグレナ(Euglena)属生物にワックスエステルを貯蔵させるためには、通常、曝気を停止すること、又は、酸素を含まない不活性ガスなどを液体Aに供給することによって嫌気条件をつくると同時に、光Bが照射されない暗条件をつくる。
本実施形態の培養方法においては、さらに、液体Aに無機栄養素、又は有機栄養素等の栄養素が添加され得る。
前記有機栄養素(醸造酒が含有するもの、又は、さらに添加するもの)としては、例えば、ブドウ糖などの糖類、アミノ酸、エタノールやビタミン類などが用いられる。
前記培養方法においては、液体Aに配合される醸造酒、麦汁、清酒粕、焼酎粕、酵母、酵母自己消化物、又は廃糖蜜等が上記の無機栄養素や有機栄養素を含有し、さらに、必要に応じてさらなる無機栄養素や有機栄養素を液体Aに配合することにより、これらの栄養素を微細藻類の培養に有用に活用し、微細藻類の増殖を促進することができる。
前記除菌槽3は、槽内の水、前記麦汁、又は前記酵母などを除菌処理するように構成されている。除菌処理は、例えば、水蒸気などの熱を利用した加熱、濾過膜を利用した菌の濾過除去などにより行うことができる。
又は、前記培養方法においては、液体Aにさらに添加する栄養素、酵母、麦汁、及び水のうち少なくとも1種又は全てを除菌槽3に添加する一方で、ビールや清酒などの醸造酒を除菌槽3に供給せずに調製タンク2に供給し、調製タンク2において、除菌槽3から供給されたものと、醸造酒とを混合し、該混合したものを培養槽1に供給してもよい。
醸造酒を除菌槽3に供給せず除菌処理しないことにより、微細藻類の培養において醸造酒に含まれるビタミン類が失活しないという利点があり、また、醸造酒を除菌槽3に供給しない分、除菌槽3内に収容されるものの容量が少なくなり、除菌槽3における除菌処理に必要なエネルギーを削減できるという利点がある。
前記自己消化槽は、酵母を内部に収容し酵母を自己消化させる環境に暴露するように構成されている。また、自己消化させることにより生じた酵母自己消化物を調製タンク2又は除菌槽3に供給するように構成されている。
前記自己消化槽は、例えば、室温にて糖類などの栄養源がない条件下に酵母をおくこと、又は、40〜60℃で加温した後に栄養源がない条件に酵母を置くこと等により酵母を自己消化させるように構成されている。前記自己消化槽は、嫌気条件において酵母を自己消化させるように構成されていることが好ましい。
前記培養方法においては、前記自己消化槽を用いることにより、酵母自己消化物を含む水溶液を、調製タンク2又は除菌槽3を介して培養槽1中の液体Aに送ることができる。
本実施形態の微細藻類の培養方法は、醸造酒としてのビールを作る施設において微細藻類を培養し、且つ、該施設において生じるビールと、該施設において生じる麦汁、酵母、又は酵母自己消化物の少なくともいずれか1種とを含む液体中で前記微細藻類を培養することがより好ましい。
なお、後述する清酒を作る施設、焼酎を作る施設、ワインを作る施設、ショ糖を作る施設についても同様である。
即ち、本実施形態の微細藻類の培養方法においては、ビール工場内又は該ビール工場に隣接した場所に前記培養槽1を設置し、該ビール工場にて排出されるビールを前記醸造酒として用いることにより、培養槽1内の液体Aにて微細藻類を培養することができる。
また、前記培養方法においては、例えば、ビール工場において製品規格外となった廃棄用ビール又は、賞味期限切れとなりビール工場に返品されたビールが、微細藻類の増殖を促すものとして用いられる。
また、前記培養方法においては、例えば、ビールを作る過程で生じた麦汁、ビールを作るため又は作った後の酵母(ビール酵母)、又は、該酵母を自己消化させた酵母自己消化物が、微細藻類の増殖を促すものとして用いられる。
また、前記培養方法においては、例えば、ビール工場において加熱のためのボイラ等から排出される二酸化炭素を比較的多く含む排ガスが、上述した微細藻類の光合成を伴う培養(明条件下における培養)にて、二酸化炭素の供給源として採用され得る。
微細藻類からエネルギーを取り出す方法としては、例えば、培養した微細藻類を乾燥させ、乾燥した微細藻類自体を燃料として利用することによりエネルギーを直接的に取り出す方法、また、培養した微細藻類からオイル等の有機化合物を抽出し該有機化合物を燃料等として利用することによりエネルギーを間接的に取り出す方法などが採用される。
ビールを希釈する希釈水としては、上述した、ビール工場において排出されるビールを含む排水を利用することができる。また、ビールを希釈する希釈水としては、ビール工場において用いる水道水、工業用水、ビール瓶等の洗浄水、廃水処理設備によって水処理された処理水等の水を利用することができる。
該希釈水としては、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌成分を含まない水、殺菌成分が失活した水、又は、殺菌成分が有効濃度以下になるように希釈された水が好ましい。
また、上記のようなビールを用いる培養方法において、液体Aに配合される栄養素を含むものとして、ビール工場から排出されるもののみを利用して微細藻類を培養することにより、微細藻類の増殖を阻害する物質が外部から入り込みにくいことから、微細藻類の増殖が阻害されにくい。また、増殖した微細藻類に外部から汚染物質が混入しにくいことから、微細藻類を有価物(例えば健康食品や化成品)として利用する際に、汚染物質による有価物の汚染を抑制することができる。
本実施形態の微細藻類の培養方法においては、醸造酒としての清酒を作る施設において微細藻類を培養し、且つ、該施設において生じる清酒と、該施設において生じる清酒粕、酵母、又は酵母自己消化物の少なくともいずれか1種とを含む液体中で前記微細藻類を培養することがより好ましい。
清酒工場においては、季節による排水中の成分の変動が大きく、工場の規模が比較的小さい割には、季節によって工場内の排水処理設備に大きな負荷がかかる。従って、清酒工場内又は該清酒工場に隣接した場所において、廃棄され排水処理設備に送られる予定であった清酒を用いて前記培養方法を実施することによって、排水処理設備への負荷変動を抑えることができ、しかも、微細藻類を増殖させることができる。また、増殖した微細藻類を有価物として利用することができる。
斯かる培養方法は、上述したビールを作る施設における培養方法と同様に、例えば、焼酎工場内又は該焼酎工場に隣接した場所において実施することができる。
斯かる培養方法においては、例えば、焼酎を作る過程で生じた焼酎粕、酵母、及び、該酵母を自己消化させた酵母自己消化物が、微細藻類の増殖を促すものとして利用される。
本実施形態の微細藻類の培養方法においては、醸造酒としてのワインを作る施設において微細藻類を培養し、且つ、該施設において生じるワインと、該施設において生じる酵母、又は酵母自己消化物の少なくともいずれか1種とを含む液体中で前記微細藻類を培養することがより好ましい。
本実施形態の微細藻類の培養方法は、ワインを作る施設において実施することができる。斯かる培養方法は、上述したビールを作る施設における培養方法と同様に、例えば、ワイン工場内又は該ワイン工場に隣接した場所において実施することができる。
斯かる培養方法においては、例えば、ワイン、ワインを作る過程で生じた酵母、及び酵母を自己消化させた酵母自己消化物が、微細藻類の増殖を促すものとして利用される。
そして、これらの有機化合物を細胞内に貯蔵した微細藻類は、食品、医薬品、飼料、化成品、又は燃料など様々な用途にて使用され得るバイオマスとして利用することができる。
具体的には、微細藻類としてユーグレナ(Euglena)属に属する生物を採用した場合には、好気条件下における培養や光を照射する条件下で光合成させる培養を行うことにより、細胞内にパラミロンを生成させ、これを抽出、精製して利用することができる。
また、前記脱水装置5としては、例えば、真空脱水機、加圧脱水機(フィルタープレス)、ベルトプレス、スクリュープレス、遠心濃縮脱水機(スクリューデカンタ)、又は、多重円盤脱水機などが挙げられる。
本実施形態の微細藻類の使用方法を実施することにより、前記培養方法によって微細藻類が細胞内に貯蔵した有機化合物を効率的に利用することができる。
また、培養された微細藻類は、前記施設にて、燃料の他にも、化成品などの用途に利用され得る。
また、一般の微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法において用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
別の培養槽(前処理培養槽)における微細藻類の培養においては、酸素を含む気体による曝気を行いつつ光Bを照射しない条件下にて、一般的な培養用栄養素を用いて微細藻類を増殖させることができる。これにより、別の培養槽(前処理培養槽)が比較的小さいサイズであっても、効率的に微細藻類を増殖させ、後段の培養槽1内において所定濃度以上に高められた微細藻類を培養することができる。
「微細藻類」:ユーグレナ属に属する生物(Euglena gracilis NIES-48株)
(独立行政法人国立環境研究所 微生物系統保存施設より入手)
「培養容器」:300mL三角フラスコ
「振とう培養条件」:120rpm(振とうにより液体中に空気を供給する)
「培養温度」:28℃
「液体のpH」:4(塩酸によって調整)
「液体の組成」:
培地名「AF−6」と同じ組成となるように表1に示す各成分を混合したもの(以下、[AF−6組成物]ともいう)を液体の配合成分として用いた。
なお、「AF−6」は、独立行政法人国立環境研究所 微生物系統保存施設によって組成が開示されており、表1に示す成分が水99.5mL中に配合されている。
また、液体に含まれる栄養素以外は、水である。詳しくは、液体における上記AF−6組成物由来の成分が、液体100mL中、下記表1の濃度となるように水を含む液体を調製した。即ち、培養における液体100mL中のAF−6組成物由来の配合成分がそれぞれ表1の数値となるように水を含む液体を調整した。具体的には、培養におけるいずれの液体であっても、例えば、NaNO3であれば100mL中に14mgの量となるように濃度を調整した。
また、表2に示す組成は、独立行政法人国立環境研究所 微生物系統保存施設によって開示されている、培地名「P IV metals」と同じものである。培養においては、「P IV metals」と同じ組成となるように各成分を混合したもの(以下、P IV metals組成物ともいう)を用いた。
以上のように、後述するいずれの試験例においても、液体中のAF−6組成物由来成分、及び、P IV metals組成物由来成分の濃度が上記表1に示す値になるように液体を調製した。
「光照射条件」:12時間光照射の後、12時間暗所(以下、光条件1という)
24時間暗所(以下、光条件2という)
光照射時の光強度は、 100μmol/m2/s とした。
「微細藻類の初期重量」:0.78g/L(乾燥重量)
「醸造酒」:用いた醸造酒を下記に示す。
“ビール”
下記の4種は、麦芽の使用率が66.7%(3分の2)以上のものである(酒税法上のビールに該当)
・サッポロビール社製 製品名「黒ラベル」、エタノール5容量%、
・アサヒビール社製 製品名「スーパードライ」、
・キリンビール社製 製品名「一番搾り」、
・サントリー社製 製品名「モルツ」
下記の4種は、麦芽の使用率が66.7%未満の酒税法上の発泡酒にスピリッツを加えたものである(酒税法上のリキュールに該当)
・サッポロビール社製 製品名「麦とホップ」、エタノール5容量%
・アサヒビール社製 製品名「クリアアサヒ」、
・キリンビール社製 製品名「麦のごちそう」、
・サントリー社製 製品名「金麦」
“清酒”
・日本盛社製 製品名「晩酌」、エタノール13容量%
・大関社製 製品名「上撰 金冠」、
・月桂冠社製 製品名「上撰 月桂冠」
・白鶴酒造社製 製品名「上撰 白鶴」
「酵母自己消化物(酵母エキス)」:
(製品名「Dried Yeast Extract D-3」 日本製薬社製)
以下には、サッポロビール社製の「黒ラベル」(以下、ビール1と称する)を用いたときの結果(試験例1)、サッポロビール社製の「麦とホップ」(以下、ビール2と称する)を用いたときの結果(試験例2)、及び、日本盛社製の「晩酌」を用いたときの結果(試験例3)を示す。
詳しくは、各試験例においては、各醸造酒を含む液体(水でビールを2倍又は5倍希釈したもの、若しくは、水で清酒を5倍又は15倍希釈したもの)において、光条件1又は光条件2により、酵母自己消化物の存在下又は非存在下にて、3、5、7日間微細藻類を培養し、培養後の微細藻類の乾燥重量を測定した。
醸造酒としてビール1、ビール2、清酒を用いた結果の一覧をそれぞれ表3〜表5に示す。なお、表3〜表5における数値は、培養後における液体中の微細藻類量(乾燥重量 g/L)を示す。
また、液体が酵母自己消化物をさらに含むことにより、微細藻類の増殖がより優れたものになる。
また、光条件1の方が、光条件2よりも微細藻類の増殖において優れる。
また、光条件1の方が、光条件2よりも微細藻類の増殖において優れる。
なお、試験例4においては、液体A中のAF-6組成物由来の成分量が同じであるが、無機栄養素(リン源及び窒素源)として、硫酸アンモニウム及びリン酸二水素カリウム(KH2PO4)を液体中に配合した。なお、液体中における硫酸アンモニウム及びリン酸二水素カリウムの含有量は、全窒素濃度、及び、全リン濃度がビール1を用いた試験例1と同じとなるように調整した。具体的には、T-N(全窒素量)及びTP(全リン量)が試験例1と同じになるように、表6に示すとおり、液体A中の硫酸アンモニウム及びリン酸二水素カリウムの液体中の濃度を調整した。
また、有機栄養素を含むものとして醸造酒を用い、曝気(振とうによる曝気)しつつ、さらに微細藻類に光合成させることにより、有機栄養素としてエタノールのみを用いるよりも、培養の効率が高まる。
また、醸造酒を利用することで、優れたバイオマス生産率を確保できることが分かる。
2:調製タンク、
3:除菌槽、 4:濃縮装置、 5:脱水装置、
A:液体、B:光。
Claims (8)
- ユーグレナ(Euglena)属に属する微細藻類を培養する微細藻類の培養方法であって、
少なくとも清酒を含み且つpHが3.0〜5.5である液体中で、前記微細藻類を培養し、
前記微細藻類に光を照射して光合成を行わせる期間と、前記光を照射せず前記微細藻類の光合成を抑える期間と、を繰り返し交互に設ける、微細藻類の培養方法。 - 麦汁、清酒粕、焼酎粕、酵母、酵母自己消化物、及び廃糖蜜からなる群より選択された少なくとも1種と、前記清酒とを含む液体中で微細藻類を培養する、請求項1記載の微細藻類の培養方法。
- 酸素を含む前記液体中で光照射によって光合成をさせつつ前記微細藻類を培養する、請求項1又は2に記載の微細藻類の培養方法。
- 前記清酒を5〜30倍に希釈した前記液体中で前記微細藻類を培養する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細藻類の培養方法。
- 前記清酒に含まれていたエタノールが0.5容量%以上3.0容量%以下となるように前記液体が前記清酒を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細藻類の培養方法。
- 前記清酒を作る施設において前記微細藻類を培養し、且つ、該施設において生じる前記清酒を含む液体中で前記微細藻類を培養する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微細藻類の培養方法。
- 前記清酒を作る施設において前記微細藻類を培養し、且つ、該施設において生じる前記清酒と、該施設において生じる清酒粕、酵母、又は酵母自己消化物の少なくともいずれか1種とを含む液体中で前記微細藻類を培養する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細藻類の培養方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の微細藻類の培養方法によって得られた微細藻類を、該培養方法を実施した施設にて少なくとも燃料として使用する、微細藻類の使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015050818A JP6014700B2 (ja) | 2012-08-10 | 2015-03-13 | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012178762 | 2012-08-10 | ||
JP2012178762 | 2012-08-10 | ||
JP2015050818A JP6014700B2 (ja) | 2012-08-10 | 2015-03-13 | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012271509A Division JP5775862B2 (ja) | 2012-08-10 | 2012-12-12 | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015142581A JP2015142581A (ja) | 2015-08-06 |
JP6014700B2 true JP6014700B2 (ja) | 2016-10-25 |
Family
ID=53888120
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015050818A Active JP6014700B2 (ja) | 2012-08-10 | 2015-03-13 | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6014700B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5294447A (en) * | 1976-02-03 | 1977-08-09 | Yagi Sousuke | Method of cultivating chlorella solution for drink and apparatus therefor |
JPH03172171A (ja) * | 1989-11-30 | 1991-07-25 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 微生物の培養法 |
JP3817912B2 (ja) * | 1998-01-27 | 2006-09-06 | 日産自動車株式会社 | 微生物の反応浄化装置を備えるエンジンシステム |
JP2002281908A (ja) * | 2000-12-18 | 2002-10-02 | Aishu Sangyo:Kk | 酒かすの処理方法および酒かす含有混合物 |
-
2015
- 2015-03-13 JP JP2015050818A patent/JP6014700B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015142581A (ja) | 2015-08-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5775862B2 (ja) | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 | |
Cho et al. | Biodiesel production by various oleaginous microorganisms from organic wastes | |
JP6329940B2 (ja) | ユーグレナ属微細藻類、多糖類の製造方法、及び有機化合物の製造方法 | |
Kumar et al. | Cultivation of microalgae on food waste: Recent advances and way forward | |
dos Santos et al. | Treatment of sugarcane vinasse from cachaça production for the obtainment of Candida utilis CCT 3469 biomass | |
Rasool et al. | Comprehensive insights into sustainable conversion of agricultural and food waste into microbial protein for animal feed production | |
CN102674560A (zh) | 一种生物降解白酒厂黄水的工艺 | |
US11208340B2 (en) | Multi-step method for producing algae products | |
JP2014060967A (ja) | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の培養設備 | |
WO2013088407A1 (en) | Process for production of algal biomass | |
CA2872827C (en) | Method for producing alcohol using tree as starting material and alcohol solution obtained by same | |
Niakousari et al. | Current Developments in Industrial Fermentation Processes | |
CN106035985A (zh) | 一种混菌液态发酵黄酒加工废弃物生产单细胞蛋白的方法 | |
WO2014208621A1 (ja) | 微細藻類の培養方法及び排水処理方法 | |
JP6014700B2 (ja) | 微細藻類の培養方法及び微細藻類の使用方法 | |
US20230121767A1 (en) | Use of by-products from the alcoholic beverage manufacturing industry | |
Kalaichelvan et al. | Bioprocess technology | |
JP3004509B2 (ja) | 微細藻からのエタノール製造方法及び装置 | |
Maicas et al. | Sustainability of food industry wastes: a microbial approach | |
Park et al. | Microalgae and Alcohol | |
Farhan et al. | Pre-evaporation of Ethanol as an Effective Method to Improve Single Cell Protein (SCP) Production from Date Palm Residue by Saccharomyces Cerevisiae | |
Adnan et al. | Multi-objectives optimization on microwave-assisted-biological-based biogas upgrading and bio-succinic acid production | |
Vasiliev et al. | Utilization of Poultry Farm Wastes as a Basic Mineral Compound for Producing Unicellular Fodder Protein |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150818 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160722 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160818 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160909 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160926 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6014700 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |