第1実施例(図1〜図23):
図1〜図3は第1実施例の多光軸光電センサ100を示す。図1は多光軸光電センサ100の斜視図であり、図2は多光軸光電センサ100の正面図である。図3は、多光軸光電センサ100を構成する一対の投光器102と受光器104のブロック図である。周知のように、投光器102、受光器104は互いに同じ数の複数の光軸を有し、各光軸毎に、投光器102から受光器104に向けて時分割で光ビームが投光され、これによりライトカーテンが形成される。図3中、参照符号Oaxは光軸を示す。
この第1実施例の多光軸光電センサ100は、上述したように投光器102と受光器104との一対のユニットで構成されているが、変形例として後に第2実施例として説明する、一つのユニットを長手方向に2分割し、一方のハーフ区分を投光部とし、他のハーフ区分を受光部として単一のユニットを構成し、これを一組用意して、一方のユニットの投光部から出射した光ビームを他方のユニットの受光部で受ける形式の多光軸光電センサであってもよい。
図1、図2を参照して、第1実施例の多光軸光電センサ100は、その細長いケース2が、一端部と他端部とを構成する端末ケース4と、これら2つの端末ケース4と4との間に位置する中間ケース6とで構成されている。端末ケース4は合成樹脂又は金属の成型品である。他方、中間ケース6は押し出し成形品であり、この中間ケース6の長さを変えることにより、端末ケース4を共通にした長さ寸法の異なる複数種類の多光軸光電センサ100が作られる。
図1を参照して、好ましくは多光軸光電センサ100のケース2の前面2aに位置する検出面、つまり投光器102であれば光ビームを出射する投光面の両側に、受光器104であれば光ビームを受け入れる受光面の両側に、硬質の一対の突条8、8が形成されている。具体的に説明すると、多光軸光電センサ100のケース2には、その前面2aの両側に長手方向に延びる一対の突条8、8が形成され、この一対の突条8、8で挟まれた幅方向中間領域に、長手方向の一端から他端に亘って延びる光透過性保護カバー10が配設され、この光透過性保護カバー10で検出面が構成されている。すなわち、多光軸光電センサ100の検出面を構成する光透過性保護カバー10は、その両側に位置し且つ前方に向けて***する硬質の突条8、8で挟まれた幅狭の谷間に配設されている。そして、この硬質の一対の突条8、8によって例えば棒材がケース2の前面2aに衝突しても、この棒材からの衝撃が突条8、8で受け止められるため、光透過性保護カバー(検出面)10の損傷を防護することができる。多光軸光電センサ100の長手方向に延びる光透過性保護カバー(検出面)10の幅Wは9mmである。変形例として、一対の突条8、8が存在しない多光軸光電センサであってもよい。
なお、上述した一対の突条を備えた多光軸光電センサは、前述したように、本件出願人が既に提案した上記特許文献3で既に開示されており、本件出願人はその実施品を販売している。この一対の突条を「ツインバンパー構造」と呼ぶと、ツインバンパー構造を備えた既存の多光軸光電センサで採用した一対の突条の離間距離は9mmよりも大きい。つまり、既存のツインバンパー構造を備えた多光軸光電センサの検出面の幅寸法は、実施例の多光軸光電センサ100の検出面10の幅W(W=9mm)よりも遙かに大きい。
図3は、対をなす投光器102及び受光器104のブロック図である。対の投光器102と受光器104とは通信線又は信号線L1や無線によって互いに接続される。また、投光器102及び受光器104は、夫々、通信線又は信号線を介して直列に増設可能である。
投光器102は一列にN個の投光素子12が等間隔に配置され、このN個の投光素子12は例えば赤外線を発光する発光ダイオードで構成される。投光素子12の数は、これを実装した回路基板を直列に連結することで増設することができる。投光器102は、N個の投光素子12を個々に駆動するN個の投光回路16と、これらN個の投光回路16を時分割でスキャンする素子切替回路18と、投光器102を全体的に制御する投光制御回路20とを有する。投光制御回路20はクロック発生回路22からのクロック信号を受けてN個の投光素子12を順次発光させる投光タイミングを生成する。
他方、受光器104は一列にN個の受光素子24が等間隔に配置され、このN個の受光素子24は、赤外線を受け入れる例えばフォトダイオードで構成されている。なお、このN個の受光素子24が配置される受光素子24、24間のピッチP(図2)は投光素子12と同じである。受光素子24の数は、これを実装した回路基板を直列に連結することで増設することができる。受光器104は、N個の受光素子24を個々に駆動するN個の受光回路26と、これらN個の受光回路26を時分割でスキャンする素子切替回路28と、受光器104を全体的に制御する受光制御回路30とを有し、受光制御回路30はクロック発生回路32からのクロック信号を受けてN個の受光素子24を順次有効化する。更に、投光器102は、受光器104との間の通信、例えばタイミング信号の授受を制御する通信制御回路34を含んでいる。
多光軸光電センサ100は、受光器104からの指示を受けると、投光器102の投光制御回路20がN個の投光回路16を順次起動させる。これにより、投光器102は、一番目からN番目の投光素子12を順次点灯する。
受光器104は、その通信制御回路34によって投光器102との間の通信、例えばタイミング信号の授受を制御する。受光制御回路30は、投光器102からのタイミング信号を受けて第1番目からN番目の受光素子24を、順次、有効化し、そして、投光器102から次々に発射される光ビームに対応する受光素子24からの出力を取り込む。
投光器102及び受光器104は、その内部構造がモジュール化されており、基本モジュールMbaに対して必要に応じて増設モジュールMexをコネクタ連結することにより光軸を増加させることができる。図3の参照符号36はコネクタを示す。
投光器102の上述した投光制御回路20、クロック発生回路22に加えて図3に参照符号38で示す通信制御回路が、投光器用基本モジュールMbaに実装される。他方、受光器104の上述した受光制御回路30、クロック発生回路32、通信制御回路34に加えて図3に参照符号40で示す入出力回路が、受光器用基本モジュールMbaに実装される。
多光軸光電センサ100の正面図である図2において、前述した投光器102であれば投光素子12、受光器104であれば受光素子24を実質的に意味する光軸を参照符号Oaxで図示してある。光軸Oaxは、多光軸光電センサ100のケース2において、中間ケース6だけでなく端末ケース4の中にも配置されており、これにより多光軸光電センサ100は一端から他端の全域に亘って長手方向に等間隔に配置されている。図示の多光軸光電センサ100の光軸間ピッチPは20mmである。
引き続き図2を参照して、参照符号42は第1の表示器を示す。この第1の表示器42は、多光軸光電センサ100(投光器102及び受光器104)の長手方向に間隔を隔てて複数、一列に並んで光軸Oaxに隣接して配置されている。この実施例では、第1表示器42の数は「5」個である。この複数の第1表示器42の並び方向は、複数の光軸Oaxの並び方向と同じ多光軸光電センサ100の長手方向である。好ましくは、図示のように光軸Oaxの列と同軸に第1表示器42の列が配置される。すなわち、好ましい実施形態では、図2に図示のように、光軸Oaxの列と第1表示器42の列とが同じ直線上に配置されており、そして、各第1表示器42は光軸Oaxと干渉しないように、隣接する光軸Oaxの間に挟まれた領域に位置決めされている。この第1表示器42を「センター表示灯」と呼ぶと、このセンター表示灯42は、運用時に多光軸光電センサ100の存在を明らかにする等のために用いられる。第1表示器(センター表示灯)42の適用例については後に説明する。
多光軸光電センサ100のうち、少なくとも受光器104の上記受光器基本モジュールMbaが設置されている端部に第2の表示器44が設けられている。図4は、図2に示す多光軸光電センサ100(受光器104)の下端部分を拡大した図である。この拡大図である図4を参照して、第2の表示器44は7セグメント表示器(7セグメントLED)46と、OSSDインジケータ48と、インターロックインジケータ50とを含んでいる。
7セグメントLED46は、受光器104の下端部分に位置する光軸Oaxと干渉しないように、2つの隣接する光軸OaxとOaxとの間に配置されている。実施例の多光軸光電センサ100は一桁の7セグメントLED46を採用しているが、複数桁の7セグメントLED46であってもよい。この7セグメントLED46は、光軸Oaxの配列方向を上下にした表示を行うように上記受光器用基本モジュールMbaの回路基板に実装されている。すなわち、受光器104を、その長手方向を上下に向けた縦置きに設置したときに、この受光器104の設置姿勢と数字の上下とが一致するように7セグメントLED46が受光器基本モジュールMbaの回路基板に実装されている。この7セグメント表示器(7セグメントLED)46の表示例は後に説明する。
OSSDインジケータ48及びインターロックインジケータ50は、受光器104の下端部分に位置する第1表示器42とこれに隣接する光軸Oaxとの間において光軸Oaxと干渉しないように、光軸Oaxの列方向に並んで配置され且つ光軸Oaxの列の中心線から横方向にオフセットして配置されている。すなわち、これらOSSDインジケータ48及びインターロックインジケータ50も受光器基本モジュールMbaに実装されている。OSSDインジケータ48は、危険源(例えばプレス機械)の動作を許可又は不許可する安全制御信号の出力状態を表示する。インターロックインジケータ50は、インターロックによるOSSD出力のOFF状態をオレンジ色で点灯表示する。また、インターロックリリース可能状態の場合にはオレンジ色で点滅表示する。多光軸光電センサ100は、インターロックインジケータ50が、オレンジ色で点滅表示しているときに、つまり、インターロックリリース可能状態のときにリセット入力を受け付けるとインターロック状態が解除され、通常動作に移行する。
図3のブロック図に戻って、投光器102には、第1表示器42を制御するための第1表示制御回路54が基本モジュールMba、増設モジュールMexの各々に実装されている。受光器104には、第1表示器42を制御するための第1表示制御回路56が基本モジュールMba、増設モジュールMexの各々に実装されている。また、受光器104の基本モジュールMbaには、第2表示器44(7セグメント表示器46、OSSDインジケータ48、インターロックインジケータ50)を制御するための第2表示制御回路58が実装されている。なお、投光器102において、上記受光器104のOSSDインジケータ48、インターロックインジケータ50に対応する部分に、電源インジケータ、ミューティングインジケータを設けてもよい。
受光器104の基本モジュールMbaには、更に、投光回路16、受光回路26、状態出力回路60の故障を診断する診断回路62が実装されており、診断回路62は、前記投光回路16、受光回路26、状態出力回路60の故障の存否を入出力回路40に送信する。
多光軸光電センサ100は、(1)一部又は全ての光軸Oaxの検知機能を一時的に無効にするミューティング機能、(2)多光軸光電センサ100の検出領域に干渉する固定物(障害物)が存在する場合に、この干渉物の存在によって危険源(例えばプレス機械)の動作を停止させないブランキング機能、(3)連続する光軸Oaxが2又はそれ以上の所定数以上遮光されたときに初めて遮光判定することにより多光軸光電センサ100の最小検出体サイズを大きくするリデュースドレゾリューション機能などを有している。
図4を再び参照して、図4に見られる多光軸光電センサ100(受光器104)の下端部の端末ケース4には、受光面10を挟む左右の突条8の部分に開閉蓋64、66を有し、向かって左側の開閉蓋64を開けることでIFUコネクタ(図示せず)を露出させることができる。他方、向かって右側の開閉蓋66を開けることでマニュアル式のセッティングスイッチ群68を露出させることができる。図5は、一例として、セッティングスイッチ群68に含まれるセンター表示灯42用のセッティングスイッチ70を示す。図5の左側に図示したOFF状態では、センター表示灯(第1表示器)42の緑色表示を行わない「センター緑色表示OFF」の設定が行われる。これにより、センター表示灯(第1表示器)42の緑色点灯に伴う電力消費を削減することができる。他方、図5の右側に図示したON状態では、センター表示灯42の緑色点灯を有効にする「センター緑色表示ON」の設定が行われる。
実施例の多光軸光電センサ100は、同じ設計の多光軸光電センサとの相互干渉を防止する機能として複数の投光周期及び/又は投光タイミング(位相)が予め用意されており、セッティングスイッチ群68に含まれるスイッチをON、OFFすることにより所望の投光周期及び/又は投光タイミング(位相)を設定することができる。
ここに、少なくとも投光周期をマニュアルスイッチによって変更できるようにすることで、他の多光軸光電センサとの相互干渉を防止するために投光タイミング(位相)を受光状況に応じて動的に変化させる必要が無くなるため、多光軸光電センサ100の投受光器102、104が通信線又は信号線L1(図3)ではなくて、無線や光線で同期している場合に複数の投光周期からマニュアルスイッチで選択できるのは好都合である。また、セッティングスイッチ群68には、上述したリデュースドレゾリューション機能をON又はOFFするスイッチが含まれている。
複数の投光周期及び/又は投光タイミング(位相)に関し、好ましくは例えば次の4つの投光パターンが用意される。
(1)第1投光パターン:
「無線同期(光同期)」の場合には、「有線同期」と同一の投光パターンとして、各光軸Oax毎にパルス幅1us、パルス間隔10usの2つのパルスで構成されたパルス光を第1光軸Oaxから最終光軸Oaxまで順次投光する。この第1投光パターンは次に説明する第2乃至第4の投光パターンに比べて応答性に優れた投光パターンである。
(2)第2投光パターン:
「無線同期(光同期)」の場合には、各光軸Oax毎のパルス数が「有線同期」よりも多い、例えば各光軸Oax毎にパルス幅1us、パルス間隔10usの3パルスで構成されたパルス光を第1光軸Oaxから最終光軸Oaxまで順次投光する。上記第1投光パターンとパルス数を異ならせることにより投光周期(1スキャン周期)が第1投光パターンとは異なっており、これにより投光の位相がシフトされる。したがって、第1投光パターンが選択された多光軸光電センサと、第2投光パターンが選択された多光軸光電センサとの間の干渉を防止できる。
(3)第3投光パターン:
同期するための1又は複数の光軸Oaxのパルスパターンを大きく異ならせるように設定されている。例えば、「無線同期(光同期)」の場合に「有線同期」と同一のパターンで投光を行ってもよいが、これとは異なる投光パターンを採用してもよい。図1、図2に図示の多光軸光電センサ100の一組の投光器102と受光器104を使ってライトカーテンを作る場合を例示して、この第3投光パターンを説明すると、中間光軸Oax(mid)(図2)に関しては、パルス幅1us、パルス間隔20usの3つのパルスで構成されたパルス光を第2光軸Oaxから最終光軸Oaxの1つ前までの光軸Oax(mid)で順次投光する。検知と同期とを兼用する第1光軸Oax(btm)と最終光軸Oax(tp)(図2)に関しては、パルス幅1us、パルス間隔35usの例えば4つのパルスで構成される。
この場合、各光軸Oaxの投光間隔は、中間光軸Oax(mid)に関しては90usに設定され、第1光軸Oax(btm)と最終光軸Oax(tp)に関しては265usに設定されている。なお、第1光軸Oax(btm)と最終光軸Oax(tp)のパルス間隔の一部又は全部を異なるようにしてもよいし、第1光軸Oax(btm)及び最終光軸Oax(tp)と、中間光軸Oax(mid)と、でパルス幅を異なるように設定してもよい。
(4)第4投光パターン:
第4投光パターンとして、検出だけの中間光軸Oax(mid)(図2)に関しては、パルス幅1us、パルス間隔15usの3つのパルスで構成されたパルス光を第2光軸Oaxから最終光軸Oaxの1つ前までの光軸Oax(mid)で順次投光し、検出と同期とを兼用する第1光軸Oax(btm)と最終光軸Oax(tp)(図2)に関しては、パルス幅1us、パルス間隔50us(第3投光パターンでは35us)の4つのパルスで構成されている。
第4投光パターンでは、各光軸Oaxの投光間隔が、第3投光パターンと同様に検出だけの中間光軸Oax(mid)に関しては90usであるが、検出と同期とを兼用する第1光軸Oax(btm)と最終光軸Oax(tp)に関しては第3投光パターンとは異なる300usに設定されている。なお、第1光軸Oax(btm)と最終光軸Oax(tp)のパルス間隔の1部又は全部を異なるようにしてもよいし、第1光軸Oax(btm)及び最終光軸Oax(tp)と、中間光軸Oax(mid)と、でパルス幅を異なるように設定してもよい。
上記のように、各光軸Oaxのパルス周期の異なるパルスパターンを用意することで、同一設計の他の投光器102による光ビームとの干渉を防止することができる。投光パターンの選択は、入力線の論理、DIPスイッチにより行うようにしてもよいし、多光軸光電センサ100に接続した外部PC等の設定手段により選択するようにしてもよい。
第1表示器(センター表示灯)42、第2表示器44の適用例を以下に例示的に説明する。
多光軸光電センサ100の自己診断:
多光軸光電センサ100の投光スキャン処理の際に各種の故障診断が実行される。そして、診断の結果、安全と判断されたときには安全出力(OSSD)はONで多光軸光電センサ100の動作中の表示が継続される。他方、診断の結果、安全とは判断できないと多光軸光電センサ100はロックアウト状態となり、安全出力(OSSD)はOFFされる。故障診断は、図3を参照して、診断回路62と受光制御部30とが協働して行われ、故障を判別したときには入出力回路40が制御される。図3に図示の例では、受光器104に診断回路62が設けられており、投光器102には診断回路が設けられていないが、受光器104と同様に投光器102にも診断回路62及びこの診断回路62と協働する制御回路を設け、投光器104の制御部から受光器104に診断結果を供給する構成を採用してもよい。診断結果の表示は、診断信号に基づいて所定のパターン(コードを含む)で第1表示器(センター表示灯)42を点灯させる。例えば、投光回路16、受光回路26、状態出力回路60のいずれかが故障しているという診断信号を入出力回路40が受信した場合には、全ての第1表示器(センター表示灯)42を赤色で点滅させる。これに加えて、第2表示器44に含まれる7セグメント表示器(7セグメントLED)46に故障を意味する表示を行わせてもよい。診断結果の表示については後に説明する。
多光軸光電センサ100の運用中:
多光軸光電センサ100が光軸Oaxの遮光によって物体の検知を行う運用モード中では、第1表示器(センター表示灯)42が所定のパターンで動作する。
全ての光軸Oaxが入光している状態では、全ての第1表示器(センター表示灯)42が緑色に点灯する。これにより、ライトカーテンの存在が目で確認するのが容易になり、不注意で危険領域に入ってしまうのを未然に防止できる。また、光軸調整の際に、全ての光軸Oaxが整合したときに全てのセンター表示灯42を緑色に点灯させることで、ユーザに対して光軸調整支援情報として光軸調整が完了したことを提供することができる。
例えば一つ又は複数の光軸Oaxが遮光されたときには、全ての第1表示器(センター表示灯)42を消灯又は赤色に点灯又は点滅させてもよいし、遮光した光軸Oaxが属するモジュールMba又はMexに実装されている第1表示器(センター表示灯)42を赤色に点灯又は点滅させると共に他のモジュールMex又はMbaの第1表示器(センター表示灯)42を消灯させてもよい。このように、遮光した光軸Oaxが属するモジュールMba又はMexに限定して、このモジュールモジュールMba又はMexに実装されているLEDを光源とする第1表示器(センター表示灯)42を赤色に点灯又は点滅させることにより、遮光が発生した部位を容易に特定することができる。
図2を参照して、図示の多光軸光電センサ100では、5つの第1表示器(センター表示灯)42が等間隔に配置されているが、一番上のセンター表示灯42(tp)、一番下のセンター表示灯42(btm)、中間に位置する3つのセンター表示灯42(mid)に区分して、次のパターンで点灯制御してもよい。この場合には、センター表示灯42の数は例えば3つであってもよい。
(1)センター表示灯(第1表示器)42の消灯:
(1-1)最上位に位置する光軸Oax(tp)が遮光したときには、最上位に位置するセンター表示灯42(tp)が消灯及び中間に位置するセンター表示灯42(mid)が消灯。
(1-2)最下位に位置する光軸Oax(btm)が遮光したときには、下位に位置するセンター表示灯42(btm)が消灯及び中間に位置するセンター表示灯42(mid)が消灯。
(2)センター表示灯(第1表示器)42の赤色点灯:
最上位及び最下位に位置する光軸Oax(tp)が入光状態であり且つ中間に位置する光軸Oaxの少なくとも一つの光軸が遮光したときに、全てのセンター表示灯(第1表示器)42が赤色に点灯する。
(3)センター表示灯(第1表示器)42の緑色点灯:
全ての光軸Oaxが入光状態のときに全てのセンター表示灯(第1表示器)42が緑色に点灯する。
(4)センター表示灯(第1表示器)42の赤色点滅:
全ての光軸Oaxがロックアウトの状態では全てのセンター表示灯(第1表示器)42が赤色で点滅する。
上記の第1表示器(センター表示灯)42の点灯制御を行うことで、多光軸光電センサ100の投光器102と受光器104との相対的な位置決めを行うときに第1表示器(センター表示灯)42を見ながら光軸合わせできるので、投光器102と受光器104との相対的な位置決め作業つまり光軸調整の作業性を高めることができる。
各光軸Oaxにおいて入光とは判定されるが余裕をもって入光してない状態である可能性がある。例えば光軸Oaxのズレや保護カバー(フロントカバー)の汚れなどがその要因として考えられる。余裕度を視認者に的確に伝達することで光軸調整を容易化することができ、あるいは、光軸再調整、保護カバー(フロントカバー)のクリーニング等の実施を促すことができる。
前述したように第1〜第4のいずれの投光パターンを選択しても投光器102は各光軸Oax毎に複数パルスの光を投光する。例えば、各光軸Oax毎に3パルスの光ビームを投光させる場合に、これを受ける受光器104は、各光軸Oaxに、例えば2パルス以上を検知する「入光」と判定し、全パルス(3パルス)を検知する「安定入光」と判定する。そして、第1〜第4の全ての光軸Oaxについて入光/遮光判定、および、少なくとも入光と判定した光軸Oaxについては「安定入光」であるか否かを判定し、全ての光軸Oaxで2パルス以上検知したときには安全出力(OSSD出力)をONし、いずれかの光軸Oaxが2パルス未満の検知であれば安全出力(OSSD出力)をOFFする。そして、全ての光軸Oaxで全パルス(3パルス)が検知されているときには「安定した入光状態である」として「安定入光表示」を行い、2パルスの検知の光軸Oaxが存在するときには「不安定な入光状態である」として「不安定入光表示」を行うのがよい。この「安定入光表示」、「不安定入光表示」は、好ましくは多光軸光電センサ100の第1表示器42(図2)を使って行うことができる。例えば「安定入光表示」では第1表示器42を緑色に点灯し、「不安定入光表示」では第1表示器42を緑色に点滅させればよい。「安定入光表示」、「不安定入光表示」は、上述の第1表示器42(図2)に加え、あるいは、これに代えて、多光軸光電センサのOSSDインジケータ48(44)を使って行うことができる。例えば「安定入光表示」ではOSSDインジケータ48(44)を緑色に点灯させ、「不安定入光表示」ではOSSDインジケータ48(44)を緑色に点滅させればよい。
7セグメント表示器(7セグメントLED)46の表示例を図6〜図11を参照して説明する。
図6は多光軸光電センサ100の起動時の表示例を示す。図6の一番左に図示の表示例は、投光器102と受光器104を通信線又は信号線L1(図3)で結線した「有線同期」を意味している。その右側に図示の3つの表示例は「光同期」に関する表示例であり、左から順に、表示例(FC0)は「相互干渉防止機能無し」を意味し、中間の表示例(FCA)は「相互干渉防止機能有り且つ投光周期Aパターン」を意味し、右の表示例(FCB)は「「相互干渉防止機能有り且つ投光周期Bパターン」を意味している。ここに、「起動時」とは、例えば電源投入時を意味し、多光軸光電センサ100に電源を投入した直後に、投光器102と受光器104の同期方法に従って、2〜3秒間程度、図6の表示が行われる。
図7の表示例「F」は、安全特殊機能の状態表示のうち安全特殊状態の設定状態の一例を示すものであり、フローティングブランキング機能やリデュースドレゾリューション機能などの最小検出体が変更されて多光軸光電センサ100を動作するときに7セグメント表示器(7セグメントLED)46で「F」の表示が行われる。最小検出体を変更しない通常の運転状態のときには、これを意味する表示を7セグメント表示器(7セグメントLED)46で行ってもよい。
図8、図9は、多光軸光電センサ100がロックアウト状態のときの表示例を示す。図8において、一番上のコード「E2」は多光軸光電センサ100の接続エラーを意味する。次の「E4」はセッティングスイッチのエラーを意味する。その下の「E5」はソフトウエアコンフィグレーションエラーを意味する。次のコード「E7」はインターロックエラーを意味する。次の「E8」は外部デバイスエラーを意味する。次の「E10」は受光器104のエラーを意味する。次のコード「E12」は投光器102のエラーを示す。次の「E14」は安全出力のOSSD1のエラーを意味する。次のコード「E15」は安全出力のOSSD2のエラーを意味する。次の「E17」は安全出力のOSSD電流のエラーを意味する。次のコード「E18」は直列に増設されたサブ投光器及びサブ受光器(図示せず)が正しく接続されていないことを意味する。例えば、サブ投光器の光軸数とサブ受光器の光軸数が不一致の場合に「E18」の表示が行われる。一番下のコード「E20」は投光器102と受光器104との間のコミュニケーションのエラーを意味する。図9において、一番上の「E24」はミューティングランプ出力線に接続されたミューティングランプの断線(オープン故障)を意味する。図9の上から二番目の「E25」はミューティングランプに過剰電流が流れていることを意味する。次の「E27」はファンクションエラーを意味している。図9の一番下のコード「E4_」は便宜上、「_」と図示したが、この「_」の部分は「1」「2」「3」などの数字が表示される。すなわち、「40」よりも多い数字を使って種々のシステムエラーの表示を行う。
前述したように、受光器104に実装された第2表示器44に含まれる7セグメントLED46は一桁である。上述した表示例、例えばコード「E4」や「E18」を表示するには二桁又は三桁の7セグメントLEDを用意する必要がある。しかし、前述したように受光器104の検出面10の幅(9mm)が小さく、この限られた幅のなかに複数桁の7セグメントLED46を設置したときには、これで表示できる文字、符号、数字、キャラクタが小さくなる。換言すれば、限られた幅のなかで最大限に大きな文字、符号、数字を表示するには7セグメントLED46の桁数は少ない方が良く、この意図の下で、受光器104の7セグメントLED46は一桁に限定してある。
実施例では、一桁の7セグメント表示器46では一度に表示できない情報量、例えばコード「E4」を表示するのに、左から順に先ず「E」を表示し、次いで「4」を表示し、以後、これを複数回反復する、という時系列の表示方法を採用してある。他のコード例である「E18」を表示するときには、左から順に、先ず「E」を表示し、次いで「1」を表示し、次いで「8」を表示し、以後、これを複数回反復する、という時系列の表示方法を採用してある。変形例として、左から順に表示するのに加えて、一番目の表示は点灯、二番目の表示は比較的早い点滅、三番目の表示は比較的遅い点滅というような点灯パターンを加えてもよい。また、末尾の表示を比較的遅い点滅という既定を加えて、例えば2つの複数の文字又は符号及び/又は数字の組み合わせを表示する場合には、一番目の表示は点灯、末尾である二番目の表示(最後)を比較的遅い点滅にしてもよい。更なる変形例として、7セグメントLED46の各セグメントが2色又は3色の光源を備えているのであれば、この色分けを加えてもよい。
更に、上記の例から分かるように、複数の文字又は符号及び/又は数字の組み合わせを表示するときには、例えば「E11」のように同じ文字又は符号又は同じ数字又はキャラクタが連続しないように、その組み合わせが既定されている。これにより同じ文字又は符号又は数字又はキャラクタが連続することに伴う混乱を回避することができる。
図10はミューティング動作中の表示例を示す。一番上に図示の表示は、制御入力としての第1ミューティングセンサからの入力がON状態であることを意味する。その下に図示の表示は、制御入力としての第2ミューティングセンサ2からの入力がON状態であることを意味する。その下に図示の表示は、第1、第2のミューティングセンサからの入力がON状態であるがミューティング機能が非アクティブ(有効化されていない)であることを意味する。また、ミューティング機能が動作中は、7セグメントLEDの真ん中の横セグメントを除いた外側の6つのセグメントが順番に点灯される(図10の下から2番目に図示の表示例)。また、制御入力であるオーバーライド入力がON状態のときには、オーバーライド条件が整わないと最も下のセグメントだけが点灯し、オーバーライド条件が整うとオーバーライド機能が動作中となって下の4つのセグメントを使って、これらのセグメントが順番に点灯される(図10の一番下に図示の表示例)。
なお、この多光軸光電センサ100でのミューティング機能は、例えば光電スイッチなどの第1、第2の2つのミューティングセンサからの制御入力としてのミューティング入力を受け付けて、この第1、第2の2つのミューティングセンサから入力順序、入力時間差などのシーケースが適切であれば、ライトカーテンの安全機能を一時的に停止し、この安全機能を停止している間は、ライトカーテンの光軸Oaxが遮光してもOSSDはOFF信号を出力しない。
図11に図示の表示例「U」はウエイト入力がON状態であることを意味する。なお、7セグメント表示器46を使った上記のエラー状態、制御入力の状態、安全特殊機能の状態などの表示において、同時に起こり得る組み合わせが存在する場合には、7セグメント表示器46で表示する内容に、例えば次に説明する優先順位を設定して順番に表示するようにしてもよい。
(優先順位1)エラー状態の表示。
(優先順位2)電源投入時の表示。
(優先順位3)オーバーライド入力の表示。
(優先順位4)待機入力の表示。
(優先順位5)ミューティング入力2の表示。
(優先順位6)ミューティング入力1の表示。
(優先順位7)リデュースドレゾリューション機能またはフィックスブランキング機能の表示。
上記の例のように、優先順位として、エラー状態の表示を制御入力の状態、安全特殊機能の状態の表示よりも優先させるのが好ましい。
図4を再び参照して、受光器104の下端部には、共にLED光源を備えたOSSDインジケータ48とインターロックインジケータ50とが光軸Oaxと干渉しないように並んで配置されているのは前述したとおりである。OSSDインジケータ48及びインターロックインジケータ50の表示パターンを例示すれば次の通りである。
(1)OSSDインジケータ48は赤色の点灯、緑色の点灯、点滅でOSSDの状態を表示する。なお、受光器104の電源がOFFのときはOSSDインジケータ48が消灯する。
(1-1) OSSDインジケータ48の赤色点灯:安全出力のOSSDがOFF状態であることを意味する。
(1-2) OSSDインジケータ48の緑色点灯:安全出力のOSSDがON状態であることを意味する。
(1-3) OSSDインジケータ48の緑色の点滅:アラート出力がON状態であることを意味する。
(2)インターロックインジケータ50は黄色の点灯、黄色の点滅、消灯でインターロックの状態を表示する。
(2-1) インターロックインジケータ50の黄色の点灯:インターロック状態であることを意味する。
(2-2) インターロックインジケータ50の黄色の点滅:インターロック・リセット待機出力がON状態であることを意味する。
(3-3) インターロックインジケータ50の消灯:インターロック状態でもなく且つロックアウト状態でもないことを意味する。
なお、投光器102の下端部の外観構造は図4と同じであることから図示を省略するが、投光器102の下端部において、受光器104の下端部のOSSDインジケータ48、インターロックインジケータ50と対応する位置に、電源インジケータ、ミューティングインジケータを設けた場合には、受光器104と異なる色で点灯させると共に次のような表示パターンを採用するのがよい。
(3)電源(パワー)インジケータ:
電源ONのときにオレンジ色に点灯させ、電源OFFのときに消灯させるのがよい。
(4)ミューティングインジケータも例えばオレンジ色に点灯させるのがよい。
(4-1) ミューティングインジケータのオレンジ色の点灯:ミューティング機能が有効であることを意味する。なお、オーバーライド機能が有効であることを意味させてもよい。
(4-2) ミューティングインジケータのオレンジ色の素早い点滅:制御入力の第1ミューティング入力がON状態であることを意味する。
(4-3) ミューティングインジケータのオレンジ色のゆっくりとした点滅:制御入力の第2ミューティング入力がON状態であることを意味する。
(4-4) ミューティングインジケータの消灯:制御入力の第1、第2のミューティング入力が共にOFF状態であることを意味する。
図12、図13は、ケース2の中に組み込まれるモジュールMを構成する部材を示し、図12は回路基板74を示し、図13は合成樹脂製のホルダ76を示す。図12を参照して、回路基板74には、その各側部に、夫々、3つの孔78が形成されているのが分かるであろう(孔78は合計6つ)。他方、図13を参照して、ホルダ76は、一方の側部の各端部に設けられた位置決めピン80を有し、この一方の側部には2つの位置決めピン80が設けられている。そして、この2つの位置決めピン80の中間部分に筒体82が設けられ、この筒体82の内周面はねじ切りされている。図14は、筒体82の部分を抽出した拡大図である。
他方、ホルダ76の他方の側部の端部には、一方の側部の各端部に筒体82が設けられており、この一方の側部は合計2つの筒体82を有し、そして、この2つの筒体82の中間に一つの位置決めピン80が設けられている。つまり、ホルダ76は、千鳥状に配置された3つの位置決めピン80と、同じく千鳥状に配置された3つの筒体82とを有し、これら位置決めピン80、筒体82は、回路基板74の合計6つの孔78に対応した位置に形成されている。
ホルダ76の千鳥配置された3つの位置決めピン80及び千鳥配置された3つの筒体80を、夫々、これに対応する基板74の孔78に位置決めし、そして、基板74の背面から3本のネジを3つの筒体80に夫々螺着させることにより、ホルダ76と基板74とが一体化されると共に相対的な位置決めが行われる。
なお、図12〜図14は増設モジュールMexに関する基板74とホルダ76の一体化構造を例示的に図示してあるが、基本モジュールMbaに関しても同じである。
図15〜図19は、例示的に基本モジュールMbaを図示してあるが、基板74とホルダ76の一体化構造は前述したとおり、増設モジュールMexも同じである。図15は、モジュールMbaの正面図であり、図16は、図15のX16−X16線に沿って切断した断面図である。
図16を参照して、ホルダ76には、各光軸Oax毎に導光路84が形成され、また、第1表示器(センター表示灯)42のLED光源(基板74に実装)毎にセンター表示導光部材86を受け入れる貫通した第1開口88が形成されている。なお、これに加えて、基本モジュールMbaに関しては、基板74に実装された7セグメントLED46の各セグメント毎にセグメント導光部材90を受け入れる貫通した第2の開口92が形成されている。図16中、参照符号94は、各光軸Oax毎にレンズ部94aを備えた長尺のレンズ部材を示す。
この図16から最も良く分かるように、ホルダ76と基板74との間に隙間Cを有し、この隙間Cは、位置決めピン80の段部80aが基板74と係合することにより規定される。すなわち、ホルダ76の千鳥状に配置された3本の位置決めピン80の段部80aによって基準面が規定されている。
図17は基板74とホルダ76との組立体であるモジュールMbaを一側から見た斜視図であり、図18は、図17に図示のモジュールMbaを他側から見た斜視図である。
図20は、図16の矢印Aで示す円で囲んだ部分の断面図である。図20を参照して、センター表示導光部材86を収容する第1の開口88を規定する壁96の端が基板74から僅かであるが離間しているのが分かるであろう(参照符号D)。図20に、この実施例では、設計上、この離間距離Dは0.3mmに設定してある(D=0.3mm)。この離間距離Dを設けることにより、製造誤差に伴う壁96と基板74との干渉の問題を回避することができる。
センター表示導光部材86は可視光を通過させることのできる合成樹脂材料から形成されている。このセンター表示導光部材86は可視光を誘導する機能と界面で反射して光を拡散する機能を有している。最も好ましい実施形態として、センター表示導光部材86は赤外線を吸収する材料が混入されている。変形例として、センター表示導光部材86の端面に、赤外線をカットする膜を設けてもよい。具体的には、センター表示導光部材86の端面に、赤外線吸収フィルムで被覆する、又は、赤外線吸収塗料をコーティングすればよい。
以上、センター表示導光部材86について説明したが、7セグメントLED46に関連したセグメント導光部材90についても同様であり、このセグメント導光部材90は可視光を通過させることのできる合成樹脂材料から形成されている。このセグメント導光部材90は、可視光を誘導する機能と、界面で反射して光を拡散させる機能とを有している。
最も好ましい実施形態として、セグメント導光部材90についても赤外線を吸収する材料を混入するのがよい。変形例として、セグメント導光部材90の端面を赤外線吸収フィルムで被覆する、又は、赤外線吸収塗料をコーティングしてもよい。このことは、OSSDインジケータ46、インターロックインジケータ48のLED光源(基板74に実装)に関連した導光部材91(図13)についても同様である。
図21は、図19のX21―X21線に沿って断面した図である。この図21から最も良く分かるように、センター表示導光部材86は断面矩形の形状を有し、これを収容する第1開口88の壁96の内面に形成した突条96aによってセンター表示導光部材86が位置固定されている。
図4に戻って、センター表示導光部材86の幅寸法W1及び各光軸Oaxのレンズ94aの幅Woに注目すべきである。センター表示導光部材86の幅寸法W1が各光軸Oaxのレンズ94aの幅Woとほぼ等しくなるように、センター表示導光部材86の幅寸法W1が従来に比べて大きく設計されている。そして、この各光軸Oaxのレンズ94aの幅Woは、2つの突条8、8で挟まれた検出面10の幅とほぼ等しい。すなわち、2つの突条8、8の離間距離つまり検出面の幅Wを限界まで小さくし、そして、センター表示導光部材86の幅寸法W1を検出面の幅Wとほぼ等しくなるまで拡大することで、センター表示灯42の明るさを高めるようにしてある。
このことに関連して、センター表示導光部材86に赤外線を減衰する機能を付与してあるため、図22、図23に示すように、隣接する一方の光軸Oaxを構成する赤外線がセンター表示導光部材86の端面で反射して他方の光軸Oaxに侵入してしまうのを防止することができる。これにより、センター表示導光部材86を経由して、隣接する2つの光軸Oax間で赤外線が侵入することに伴う誤検出を未然に防止できる。
7セグメントLED46のセンター表示導光部材86についても、このセンター表示導光部材86を経由して、隣接する2つの光軸Oax間で赤外線が干渉する迷光の問題が発生するのであれば、前述したように、センター表示導光部材86の材料に赤外線減衰材料を混入することで、この赤外線の迷光の侵入に伴う誤検出を未然に防止できる。このことは、OSSDインジケータ48及びインターロックインジケータ48の導光部材91についても同様である。
第2実施例(図26、図27):
図26は第2実施例の多光軸光電センサ120を示す。第2実施例の多光軸光電センサ120は、一組の共通のユニット122を使って赤外線のライトカーテン124が形成される。すなわち、共通のユニット122は、長手方向に半分に区分して第1の区分122Aで投光部が構成され、他の第2の区分122Bで受光部が構成される。図中、参照符号126はコネクタを示し、128はケーブルを示す。
図27は投光部122Aと受光部122Bを備えた共通ユニット122を斜め前方から見た斜視図である。前述した第1実施例と同じ要素には同じ参照符号を付すことによりその説明を省略する。この共通ユニット122は、その前面のほぼ全域がフロントカバー130で覆われた検出面とされ、長手方向の一端から他端に亘って光軸Oaxが等間隔に配置されている。すなわち、共通ユニット122は、前述した第1実施例の多光軸光電センサ100の前面に配置された左右一対の突条8、8を備えていない。
図27では、共通ユニット122の上半分が投光部122Aであり、下半分が受光部122Bである。投光部122Aの各光軸Oaxに(T)を付して図示してある。また、受光部122Bの各光軸Oaxに(R)を付して図示してある。
図27から分かるように、第2実施例の多光軸光電センサ120においても、好ましい態様として、隣接する光軸OaxとOaxとの間に第2表示器44としての7セグメントLED表示器46が配設されている。また、この第2実施例では、他の隣接する光軸OaxとOaxとの間にOSSDインジケータ48が配設され、更に他の隣接する光軸OaxとOaxとの間にインターロックインジケータ50が配設されている。
7セグメントLED表示器46、OSSDインジケータ48、インターロックインジケータ50の表示態様に関しては図6〜図11を参照して前述した第1実施例と同じである。
また、共通ユニット122においても、複数の第1表示器(センター表示灯)42が光軸Oaxの列上に配置され、各センター表示灯42は、隣接する光軸Oax、Oaxの間に配置されている。
また、迷光に関する内部構造に関しても図20〜図23を参照して説明した第1実施例と実質的に同じ構造が採用されている。
これにより、投光部122Aの光軸Oax(T)からの赤外線が、受光部122Bのセンター表示灯42のセンター表示導光部材86(図20、図21)の端面で反射されるのが抑えられ、又はセンター表示導光部材86の内部で減衰されることにより、赤外線の迷光が受光部122Bに配置されたセンター表示導光部86を経由して、受光側の光軸Oax(R)に侵入してしまうのを防止することができる。
同様に、投光部122Aの光軸Oax(T)からの赤外線が、投光部122Aのセンター表示導光部材86の端面で反射されるのが抑えられ、又はセンター表示導光部材86の内部で減衰されることにより、赤外線の迷光が投光部122Aに配置されたセンター表示導光部86を経由して、受光側の光軸Oax(R)に侵入してしまうのを防止することができる。