JP6007295B2 - 小型スロット型アンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、小型スロット型アンテナに係り、給電用のストリップ線路を用いたスロットアンテナに関する。
携帯電話をはじめとして家電の制御や監視などの各分野において無線機器が幅広く使用されている。そして無線機器では、高い放射効率を確保しつつ小型化することが可能なアンテナが要求されている。
従来から広く使用されているアンテナとしてスロットアンテナがある。このスロットアンテナは、波長をλとした場合に金属基板に長さλ/2、幅0.01λのスロットを形成し、スロットの縁と同軸線を電気的に接続するようにしたものである。
一方、非特許文献1には、電気的接続によりスロットに直接給電するのではなく、ストリップ線路を使用し、電磁的な結合によりスロットに給電する技術が提案されている。また、スロットアンテナにおいて、50Ω給電との整合性を取りやすくすると共に、結合率を高め放射効率を高める(下げない)ための構成について提案されている。
図14は、非特許文献1に基づくアンテナについて表したものである。
図14に示すように、縦・横100mm×100mmの金属基板1の中央に、長さ約λ/2(λは波長)のスロット2を形成し、厚さ0.4mmの誘電体3を挟んで、スロット2の長手方向と交差する方向にストリップ線路4が配設されている。
スロットアンテナの周波数はf=2.4GHz帯のアンテナとして設計されている。このため、スロット長が54mm、スロット幅が1.2mmに形成されている。
一方、ストリップ線路4は、50Ω給電との結合量(インピーダンス整合の具合)を高めることで放射効率を高めるため、矢印Qで示すように、その先端5(上側)が長さλg/4だけスロット2から突き出ている。λgはスロット長がaのときに、丁度共振を起こす周波数のストリップ線路4上での伝搬波長を表している。
また、ストリップ線路4は、インピーダンス整合をとり易くするために、スロット2の長さ方向の中心から20mm左側にオフセットした位置に配置している。
ストリップ線路4の他端(下側)は、図示しない高周波回路が接続される。
このスロットアンテナによれば、同軸線路による直接給電の場合に比べて、スロットを有するアンテナ部と給電部とをフォトエッチング等によって容易に制作することが可能である。
しかし、非特許文献1記載のスロットアンテナでは、ストリップ線路4を長さλg/4だけスロット2から突き出す(矢印Q部分)必要がある。
このため、アンテナのサイズが大きくなるという課題があった。
中岡快二郎、木村憲一、伊藤精彦、松本正著「ストリップ線路によって励振されたスロットアンテナ」1974年6月25日(北海道大学)
そこで本発明は、スロットとストリップ線路とを電磁的に結合した小型スロット型アンテナを、より小型化することを目的とする。
(1)請求項1に記載の発明では、スロットが形成された導体板と、前記スロットの長手方向に形成された第1線路部と、前記第1線路部と直交する方向に配設され、その一端が前記第1線路部と接続された第2線路部と、を有するストリップ線路と、前記導体板と前記ストリップ線路との間に配設された誘電体と、を備え、前記ストリップ線路の前記第1線路部は、前記スロットの投影領域内に配設され、前記第2線路部からの給電により前記スロット周辺の前記導体板と電磁的に接続され、前記導体板は、前記スロットから、前記第1線路部の長辺と対向する前記導体板の辺まで、スリットが形成されている、ことを特徴とする小型スロット型アンテナを提供する。
(2)請求項に記載の発明では、前記スリットは、前記スロットの長辺から前記導体板の前記辺まで形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の小型スロット型アンテナを提供する。
(3)請求項に記載の発明では、前記導体板は、互いにビア接続された状態で、所定間隔をおいて複数層配設され、前記ストリップ線路は、いずれか1の前記導体板と同一平面に配設されている、ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の小型スロット型アンテナを提供する。
(4)請求項に記載の発明では、前記ストリップ線路は、前記第2線路部の幅方向の中心、前記スロットの長辺の中心から左右いずれかの方向にオフセットされている、ことを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の小型スロット型アンテナを提供する。
(a)本発明によれば、ストリップ線路の第1線路部を、スロットの投影領域内に配設し、第2線路部からの給電によりスロット周辺の導体板と電磁的に接続されるように構成したので、小型スロット型アンテナをより小型化することができる。
(b)また本発明によれば、スロットから導体板の辺までスリットが形成されているので、同一の共振周波数を基準にした場合に、より小型化することが可能になる。
)請求項記載の発明によれば、前記導体板は、互いにビア接続された状態で、所定間隔をおいて複数層配設されているので、同一の共振周波数を基準にした場合に、より小型化することが可能になる。
小型スロット型アンテナにおける第1実施形態の構成と特性について表した説明図である。 スロット端部にスリットを形成した小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。 第2実施形態以降の各実施形態における、小型スロット型アンテナの各部の定義、サイズを規定するパラメータについて表した説明図である。 小型スロット型アンテナにおける第2実施形態の構成と特性について表した説明図である。 小型スロット型アンテナにおける第3実施形態の構成と特性について表した説明図である。 スリットを形成する向きが外向スリットか内向スリットかによる、共振周波数、帯域幅BW、効率について比較した説明図である。 第4実施形態における小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。 第4実施形態の変形例における小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。 第5実施形態における小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。 第5実施形態における、各層の金属基板、及び、ストリップ線路について表した説明図である。 第5実施形態における、外部の高周波回路に接続される第2線路部42の端部側の各種形状を表した断面図である。 第6実施形態における小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。 第7実施形態における小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。 非特許文献1に基づくスロットアンテナについての説明図である。
以下、本発明の小型スロット型アンテナにおける好適な実施の形態について、図1から図13を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の小型スロット型アンテナ20では、誘電体30と、この誘電体30を挟んで一方の面に配設された金属基板11(導体板として機能)と、他方の面に配設されたストリップ線路40を有している。
金属基板11にはスロット21が形成される。スロット21周辺の金属基板11には、直接給電(電気的接続)ではなく、ストリップ線路40を使用して電磁的な結合により給電する電磁結合型給電を行うことで、給電との整合性や放射効率を維持させつつ、更に小型化をするために次の構成を採用する。
ストリップ線路40を、スロット21の長手方向に伸びる第1線路部41と、この第1線路部41と接続され交差する方向(実施形態では直角方向)に伸びる第2線路部42とで構成する。
第1線路部41をスロット21の投影領域(スロット21に平行光を照射した場合に投影される仮想の領域)内に配設(以下単に、スロット内配設という)する。
第2線路部42は、一端側が第1線路部41に接続され、他端側が高周波回路に接続される。第2線路部42の一端側は、第1線路部41の一方の端部と接続する場合(L字型という)の他、第1線路部41の両端部の間に接続する場合(T字型という)のいずれも可能である。T字型の場合、第2線路部42が第1線路部41の中央に接続する場合と、左右いずれか一方の側にずれた状態で接続する場合も可能である。
第1線路部41は、スロット21周辺の金属基板11と電磁的に結合する電磁結合型給電部として機能し、一方、第2線路部42は高周波回路からの給電を第1線路部41に供給する給電線として機能する。すなわち、第2線路部42からの給電は、第1線路部41を介して電磁的に供給されることになる。
本実施形態によれば、ストリップ線路40の先端部分(第1線路部41)がスロット内配設され、スロット21の外側(投影領域の外側)に存在しないため、ストリップ線路40を使用した小型のスロット型アンテナとすることができる。
また、スロット21の長さ方向の1端側に、スロット21から、スロット21を形成する金属基板11の端部までのスリットを形成することで、一層の小型化を実現している。
これは、スロット21を形成している金属基板11に、スロット21から金属基板11端までのスリットを形成すると、同一サイズスロット21の場合に共振周波数が低下するという新知見に基づき、目的とする共振周波数に対して一層の小型化を可能にしたものである。
本実施形態では、スロット21を、金属基板11から数ミリ(例えば、3mm)の位置で、金属基板11の端面とスロット21の長辺とが平行になるように配置する。
スリットを形成することにより、スロット長を約1/3のサイズにすることができる。
更に、形成するスリット分の長さが必要になることから、スリットをスロット21内に形成するようにする。具体的には、スロット21を金属基板11の端面から0コンマ数ミリ(例えば、0.5mm)の位置とし、スロット21端部にスリットを形成する。
そして、スリットがスロット21の内側に伸びるように、スロット21と金属基板11端面間の金属基板11の端部(スリットで形成された開放端側の端部)から、スロット21内に延伸させた内向き延伸部を形成する。これにより、スロット21のスリット側の短辺と内向き延伸部との間に延長されたスリットが形成される。本明細書では、内向き延伸部を形成した場合のスリットを内向スリット、内向き延伸部を形成せずにスロット21から金属基板11端面まで形成したスリットを外向スリットということとする。
スリットを内向スリットとすることで、スリット長を確保しつつ、スロット21をより金属基板11端面に近づけることが可能になるので、よりアンテナを小型化することが可能になる。
本実施形態の小型スロット型アンテナは、金属基板11の枚数を基準とした場合に単層(ストリップ線路40を含めると2層)とすることも可能であるが、複数の層で形成することも可能である。
(2)実施形態の詳細(第1実施形態)
図1は小型スロット型アンテナにおける第1実施形態の構成と特性について表した説明図である。
図1(a)は、本実施形態の小型スロット型アンテナ20を備えた小型スロット型アンテナモジュール10の全体を、(b)、(c)は小型スロット型アンテナ20部分を拡大した平面図、断面の一部を拡大したものである。
小型スロット型アンテナモジュール10は、励振板として機能する金属基板11とストリップ線路40を備えており、金属基板11を基準にした場合に単層(ストリップ線路40を含めた場合は2層)で構成されている。
小型スロット型アンテナモジュール10は、厚さ0.4mmの誘電体30を備えており、この誘電体30を挟んで、その一方の側に金属基板11が配設され、他方の側にストリップ線路40が配設されている。
金属基板11及び誘電体30は、縦100mm、横100mmの方形形状に形成されている。
説明する各実施形態における金属基板11は、導電率σ=5.977×10{7}[S/m]の銅で形成されるが、他の材料を使用することも可能である。なお、表記10{7}における{7}は、累乗を示す指数を表している。
同じく説明する各実施形態における誘電体30は絶縁層として機能し、本実施形態ではガラスエポキシ基板(比誘電率εr=4.25)を使用した場合について説明するが、他にテフロン・ファイバ基板(比誘電率εr≒2.6)、セラミック基板(比誘電率εr≒10.0)等を使用することも可能である。(テフロンは登録商標)また誘電体として空気層を採用するようにしてもよい。
本実施形態の小型スロット型アンテナモジュール10は、その1辺の近傍に小型スロット型アンテナ20が形成されている。以下、本実施形態では、小型スロット型アンテナ20として、共振周波数f=2.4GHz帯のアンテナとして設計される場合を例に説明する。
金属基板11の1辺から所定距離m(本実施形態では、m=3mm)だけ離れて、小型スロット型アンテナ20を構成するスロット21が形成されている。以下、金属基板11の1辺からスロット21までの所定距離mの部分を、スロット端基板部12と呼ぶこととする。本実施形態におけるスロット端基板部12の幅(=所定距離m)は3mmであり、スロットを中央に配設した従来のスロットアンテナ(図14参照)に比べて、小型スロット型アンテナ20を金属基板11の端部に配設している。
スロット21のサイズは、長手方向の長さが47mm、短手方向の幅が1.2mmである。
金属基板11に対向して、誘電体30の反対側には、アンテナへの給電線として機能し、小型スロット型アンテナ20の一部を構成するストリップ線路40が配設されている。ストリップ線路40は、スロット21の長手方向に伸びる第1線路部41と、この第1線路部41の長手方向の途中に接続される第2線路部42を備えている。
なお、本実施形態のスロット21のサイズは、図14で示した従来のスロットアンテナの長さ(54mm)と比べて、長さが少し短くなっている。
これは、小型スロット型アンテナ20を本実施形態の形状(特に後述するストリップ線路40の形状と配置)において、共振周波数f=2.4GHz帯となるように調整したためである。
第2線路部42は、その幅が0.8mmで、一端側が第1線路部41の中央部に接続され、他端側が高周波回路(図示しない)に接続されている。
第1線路部41は、第2線路部42(幅0.8mm)に対し、その左側の長さが6mm、右側の長さが6mmで、全体の長さが12.8mmに形成されている。この第1線路部41は、スロット21の投影領域(平行光によってスロット21が誘電体30に投影される仮想の領域)内に配設されている。
第1線路部41の両長辺のうちの、第2線路部42が接続されていない側の辺と、スロット21の辺との間隔(ギャップ)は0.4mmである。
このストリップ線路40は、スロット21の中心から、その長さ方向のいずれか一方の側(図1では左側)に15mmオフセットされている。すなわち、ストリップ線路40は、スロット21の長さ方向の中心から左方向に15mm離れた位置に第2線路部42の幅方向の中心が位置するように配設されている。
図1(d)、(e)は、第1実施形態における小型スロット型アンテナ20についてのスミスチャート特性とリターンロス特性についてのシミュレーション結果を表したものである(他の図も同じ)。
図1(d)に示すように、第1実施形態の小型スロット型アンテナ20は、反射損失が−6dB以下の周波数範囲は2.386GHz〜2.508GHzと広帯域(帯域幅BW=122.327MHz)であり、その帯域の中心周波数は2.447GHzである。この広帯域性は、共振周波数を調整することで、例えば無線LANの2.4GHz帯を十分にカバーすることが可能となることは容易に想定できる。
また、小型スロット型アンテナ20によれば、従来と比して放射効率が10%弱低下しているが、2.44GHzにおける放射効率はη=83.2%であり、アンテナとして十分な特性が確保されている。
また、図1(d)のスミスチャートに示されるように、2.440GHzにてほぼクリティカルカップリング(臨界結合)が得られている。これにより、アンテナと高周波回路と接続されるストリップ線路40(給電ライン)との結合が非常に良好であることがわかる。
以上説明したように、第1実施形態の小型スロット型アンテナ20では、ストリップ線路40のうち、結合量を高め放射効率を高めるための第1線路部41が、スロット21の投影領域内に配置されている。このように、ストリップ線路のスロットからの突き出し部分(図14の矢印Q部分)が存在しないため、本実施形態の小型スロット型アンテナ20はアンテナサイズを小型化することが可能になる。
また、ストリップ線路の突き出し部分が無いので、金属基板11の端部の辺に近づけてスロット21を形成することが可能になり、その分小型スロット型アンテナ20を配置する位置についての自由度が向上する。
(3)他の実施形態
次に、第1実施形態の小型スロット型アンテナ20を更に小型化した他の実施形態について説明する。
この第2実施形態以降の小型スロット型アンテナ20は、第1実施形態と同様に第1線路部41をスロット21の投影領域内に配設すると共に、更に、スロット端基板部12に、スロット21から金属基板11の端部までのスリット22を形成することで、より小型化を実現している。
図2は、スロット端部にスリットを形成した小型スロット型アンテナの構成と特性について表した説明図である。
図2(a)、(b)は小型スロット型アンテナ20の構成を表したものである。なお、アンテナ部分の側断面については図1(c)と同様であるため省略している。
図2に示した小型スロット型アンテナ20では、金属基板11の端部からスロット21まで、幅0.1mmのスリット22がスロット端基板部12に形成されている。スリット22の形成は、図2ではスロット21の長手方向左側の端部に形成されているが、ここに限定されず他の箇所、例えば、右側端部や、左側端部と中央部との間、左側端部と中央部との間に形成するようにしてもよい。
図2の小型スロット型アンテナ20は、このスリット22を除き、その形状やサイズ等については図1で示した小型スロット型アンテナ20と同じ構成である。
図1で説明した小型スロット型アンテナ20では、その共振周波数(基本波)が2.44GHzであるのに対し、図2(d)のリターンロス特性においてA1で示すように、同一の構成にスリット22を形成した小型スロット型アンテナ20では共振周波数(基本波)がf=1.02GHzに低下している。
このことから、同一サイズのスロット型アンテナに対してスリットを形成することで、同一サイズであれば共振周波数が低下する(共振周波数を低下させることができる)、という新たな知見を得た。
すなわち、同一の共振周波数帯(f=2.4GHz帯)であれば、スロット21につながるスリット22を形成することにより、よりスロット型アンテナのサイズを一層小さくすることができるとの知見が得られた。
そこで、第2実施形態以降の各実施形態では、スロット端基板部12にスリットを設けた各小型スロット型アンテナ20について説明する。
図3は、第2実施形態以降の各実施形態における、小型スロット型アンテナ20の各部の定義、サイズを規定するパラメータについて表したものである。
図3(a)は、図2と同様に、スロット端基板部12にスリット22を形成した第2実施形態の場合で、(b)はスロット端基板部12のスリット側端部からスロット21内方向に金属基板11が延伸して形成された内向延伸部13によってスリットが形成された第3実施形態以降の場合の例である。
図3(a)に示すように、金属基板11(及び、誘電体30)のサイズを示すパラメータとして、横の長さをL1、縦の長さをL2、小型スロット型アンテナ20(小型スロット型アンテナモジュール10)全体の厚さをL3とする。
なお、説明する各実施形態において、金属基板11とストリップ線路40は金属の薄膜により形成されるため、その厚さはほぼ0mmとし、厚さL3の値には含めていない。従って、厚さL3=誘電体30の厚さで示されるが、実際の厚さは金属薄膜の厚さ(より厚い金属板を使用した場合にはその厚さ)を加えた厚さである。
スロット21のサイズを示すパラメータとして、横(長手方向)の長さをa、縦の長さ(幅)をbとする。
ストリップ線路40を示すパラメータとして、第2線路部42の幅をT3とし、この幅T3を除いた第1線路部41のスリット22側の長さをT1、反対側の長さをT2、第1線路部41全体の長さをT(=T1+T2+T3)とする。また第1線路部41の幅をT4とする。
スロット端基板部12の幅(スロット21から金属基板11の端面までの長さ)をmとする。
第1線路部41とスロット端基板部12との間隔(ギャップ)をGとする。
スロット21の中心と、第2線路部42の幅の中心までの距離(オフセット値)をcとする。
スリット22のサイズを示すパラメータとして、その長さをS、幅をdとする。
なお、図3(a)に示すように、スロット端基板部12に形成したスリットを外向スリット22といい、図3(b)に示すように、内向延伸部13とスロット21の短辺との間に形成されるスリットを内向スリット22というものとする。但し、両者を区別せずに共通して指定する場合にはスリット22というものとする。
外向スリット22の場合、その長さS=スロット端基板部12の幅mであり、内向スリット22の場合、その長さS=幅m+内向延伸部13の長さである。
また、第2実施形態以降の各実施形態において、次のパラメータは同じ値であるため、その値を次に記載し、各実施形態での説明を省略する。
第1線路部41の幅T4=0.5mm、スリット22の幅d=0.1mmである。
後述する第3実施形態以降のスロット端基板部12の幅m=0.5mm、内向延伸部13の幅=0.5mmである。
また、第1線路部41とスロット端基板部12とのギャップGは、内向スリット22を形成した場合にG=0.5mm、外向スリット22を形成した場合にG=0.4mmである。
図4は、小型スロット型アンテナ20における第2実施形態の構成と特性について表した説明図である。
第2実施形態における小型スロット型アンテナ20は、共振周波数f=2.4GHz帯とし、外向スリット22を設けることでより小型化したものである。
この小型スロット型アンテナ20のサイズは、図3(a)に示した値として次の通りである。
すなわち、小型スロット型アンテナモジュール10は、横の長さL1=100mm、縦の長さL2=100mm、厚さL3=0.4mm、スロット端基板部12の幅m=外向スリット22の長さS=3mmである。
スロット21は、横の長さa=16mm、幅b=1.2mmである。
ストリップ線路40は、第1線路部41の全長T=10mm、長さT1=3.2mm、長さT2=6mm、第2線路部42の幅T3=0.8mm、ギャップG=0.4mm、オフセット値s=1.5mmである。
この第2実施形態の小型スロット型アンテナ20によれば、図2に示した小型スロット型アンテナ20が、外向スリット22を設けることで低下(f=1.02GHz)した共振周波数をf=2.4GHz帯に合わせる(図4(d)のA2参照)ことで、一層の小型化が実現されている。
すなわち、図2の小型スロット型アンテナ20では、スロット21のサイズがa=47mm×b=1.2mmであるのに対し、第2実施形態の小型スロット型アンテナ20におけるスロット21のサイズがa=16mm×b=1.2mmと、横幅のサイズが約1/3である。
そして図2の小型スロット型アンテナ20は、図1で示した第1実施形態における小型スロット型アンテナ20のスロット21と同一サイズなので、第2実施形態の小型スロット型アンテナ20は、第1実施形態における小型スロット型アンテナ20と比較しても、その横幅のサイズを1/3とすることができ、一層の小型化が実現されている。
なお、図4(d)に示すように、第2実施形態における放射効率はη=89.9%(2.40GHz)であり、第1実施形態よりも高い値が得られている。
次に第3実施形態について説明する。
図5は、小型スロット型アンテナ20における第3実施形態の構成と特性について表した説明図である。
第2実施形態における小型スロット型アンテナ20は外向スリット22を設けたのに対し、この第3実施形態の小型スロット型アンテナ20では、内向スリット22を設けたものである。
第3実施形態の小型スロット型アンテナ20も、第2実施形態と同様に、共振周波数f=2.4GHz帯のアンテナとして形成している。
図5(b)に示すように、小型スロット型アンテナ20は、スロット端基板部12からスロット21の内側方向に伸びる内向スリット22が形成されている。
すなわち、小型スロット型アンテナ20には、スロット端基板部12のスリット側端部からスロット21内に延伸する内向延伸部13が形成され、この内向延伸部13の延伸方向に伸びる長辺の一方と、スロット21との間で内向スリット22が形成されている。
第3実施形態における小型スロット型アンテナ20のサイズは、図3(a)に示した値として次の通りである。
すなわち、小型スロット型アンテナモジュール10は、横の長さL1=100mm、縦の長さL2=100mm、厚さL3=0.4mm、ギャップG=0.5mm、オフセット値s=1.5mmであり、これらの値は第2実施形態と同じである。
一方、第2実施形態と異なり、第3実施形態におけるスロット21は、横の長さa=15mm、幅b=2mmであり、スロット端基板部12の幅m=0.5mm、内向スリット22の長さS=2mmであり、第1線路部41の全長T=6.8mm、長さT1=T2=3mm、第2線路部42の幅T3=0.8mmである。
この実施形態では、スロット21内に内向延伸部13を形成し、この両者の間で内向スリット22を形成することにより、所定量のスリット長Sを確保することができる。
すなわち、第2実施形態では、外向スリット22のスリット長S=スロット端基板部12の幅mであるため、所定量のスリット長Sを確保するためにはスロット端基板部12の幅mを確保する必要がある。
これに対して、本実施形態の内向スリット22では、スロット21内に内向スリット22が形成されているため、所定量のスリット長Sを確保しつつ、スロット端基板部12の幅を狭くすることができる。
これにより、小型スロット型アンテナ20を、小型スロット型アンテナモジュール10のより端部側に寄せて形成することが可能になる。
本実施形態の小型スロット型アンテナ20では、内向延伸部13を形成するために、スロット21の幅b=2mmであり、実施形態2の同幅b=1.2mmよりも広くなっているが、スロット端基板部12の幅m=0.5mmであり、第2実施形態の同幅m=3mmに比べて小さな値となっている。
このため、両幅の合計値(b+m)の値は第2実施形態では4.2mmであるのに対して、本実施形態では2.5mmであり、スロット端基板部12を含めた小型スロット型アンテナ20を形成に必要な領域をより小型化することができる。
なお、第3実施形態における小型スロット型アンテナ20の特性については、図5(c)、(d)に示す通りであり、2.45GHzにおける放射効率はη=80.0%であり、アンテナとして十分な特性が確保されている。
図6は、スリット22を形成する向きが外向スリット22か内向スリット22かによる、共振周波数、帯域幅BW、効率について比較したものである。
図6(a)は、外向スリット22と内向スリット22の長さSを変化させた場合の、各小型スロット型アンテナ20の特性値(共振周波数、帯域幅、効率)を表した表で、この特性値のうち共振周波数の変化を表したものが(b)、帯域幅を表した物が(c)である。
なお、図6(a)におけるスリット長S、及び、(c)、(d)のx軸の値Sは、スロット端基板部12の幅m=0.5mmの場合の外向スリット22の場合を基準(S=0.5)として、x軸がマイナスの場合が内向スリット22で、プラスの場合が外向スリット22である。
図6において、基準となるS=0.5mmの場合の小型スロット型アンテナ20は、図12の第6実施形態で後述する小型スロット型アンテナ20と同様に、金属基板11と、第1線路部41が複数層(4層)に形成され(第2線路部42は単層)、金属基板11の各層、及び、第1線路部41の各層は各々がビア接続されている。
そして、図6において、基準となるS=0.5mmの場合の小型スロット型アンテナ20の各部の寸法については、次の通りである。
すなわち、小型スロット型アンテナモジュール10が横の長さL1=50mm、縦の長さL2=30mm、スロット端基板部12の幅m=0.5mmであり、スロット21は横の長さa=5.05mm、縦の長さb=4.5mmであり、ギャップG=0.5mm、オフセット値s=0.55、スリットの幅d=0.1mm、第1線路部41の長さT=3.45mm、第1線路部41の幅T4=0.5mm、第2線路部42の幅T3=0.55mmである。
他の小型スロット型アンテナ20については、外向スリット22の場合に整合性を改善するためにギャップGの値を調整した以外は同形状のアンテナ(多層)としている。外向スリット22のギャップGは、S=1.5mmの場合はギャップG=0.3mmで、S=2.5〜4.5mmの場合はギャップG=0.1mm、である。
この図6から、外向スリット22については、その長さに応じて特性が変化するが、向きについては内向スリット22と外向スリット22でほぼ同じ特性が得られていることがわかる。
なお、図6は、金属基板11と第1線路部41が多層化された各小型スロット型アンテナ20についてのシミュレーション結果を示しているが、金属基板11と第1線路部41を単層化した小型スロット型アンテナ20についても、内向きスリット22と外向きスリット22とでほぼ同じ特性が得られる。
すなわち、単層化した各小型スロット型アンテナ20に対する共振周波数、帯域幅、効率の値は、図6の値と異なるが、基準となるS=0.5の場合の小型スロット型アンテナ20に対して、内向スリット22と外向スリット22とでほぼ同じ特性値(左右約対称のグラフ)となる。
次に第4実施形態について説明する。
図7は、第4実施形態における小型スロット型アンテナ20の構成と特性について表した説明図である。
この第4実施形態の小型スロット型アンテナ20は、第3実施形態に比べて、長さをより短くすることで、アンテナ部分の形状を整えたものである。
すなわち、第3実施形態ではスロット21が長さa=15mm、幅b=2mmであったのに対し、第4実施形態における小型スロット型アンテナ20では、スロット21の大きさを長さa=10mm、幅b=3.5mmとしている。
また、スロット21の幅を広げたことに伴い、内向スリット22の長さをS=3.5mm(第3実施形態ではS=2.0mm)と長くすることで、図7(d)に示すように、放射効率を82.7%(2.47GHz)と高めている。
なお、第4実施形態における小型スロット型アンテナモジュール10は、横の長さL1=100mm、縦の長さL2=100mm、厚さL3=0.4mmである。
また、スロット端基板部12の幅m=0.5mm、第1線路部41の全長T=6.8mm、長さT1=長さT2=3mm、第2線路部42の幅T3=0.8mm、ギャップG=0.5mm、オフセット値s=0.25mmである。
次に第4実施形態の変形例について説明する。
図8は、第4実施形態の変形例における小型スロット型アンテナ20の構成と特性について表した説明図である。
この変形例では、スロット21やストリップ線路40の形状は第4実施形態と同一とし、小型スロット型アンテナ20を配設する金属基板11と誘電体30のサイズを小型化した場合の変形例を表したものである。
すなわち、図8(a)に示すように、小型スロット型アンテナ20の金属基板11と誘電体30のサイズを、100mm×100mmから30mm×30mmに小型化している。但し、厚さについては誘電体30の厚さでL3=0.4mmで同じである。
なお、上述したように、図8(b)に示した小型スロット型アンテナ20の各部のサイズについては、図7(b)に示した第4実施形態の小型スロット型アンテナ20と同一である。
第4実施形態の変形例による小型スロット型アンテナ20では、図8(d)に示すように、小型化に伴い放射効率ηが82.7%から74.0%に低下している。
しかし、小型のスロットアンテナにおいて50%以上の十分な放射効率を確保しつつ、金属基板11の面積比で1/10以下にすることが可能であり、小型の電子機器への搭載が可能である。
次に第5実施形態について説明する。
第1実施形態から第4実施形態までの各小型スロット型アンテナ20では、図1(c)に示したように、1層の金属基板11に、誘電体30を挟んで他方の面にストリップ線路40を配置したものである。
これに対して第5以降の各実施形態では、金属基板11を複数層設けることで多層構造の小型スロット型アンテナ20とし、各層の金属基板11a〜dの間に誘電体30a〜cを配設したものである。
図9は、第5実施形態における小型スロット型アンテナ20の構成と特性について表した説明図である。
この第5実施形態の小型スロット型アンテナ20の形状は、第4実施形態における、金属基板11を多層化したもので、金属基板11a〜dのサイズ、形状は同一である。なお、図9では、各層の金属基板11a〜dについては纏めて金属基板11で表している(以下同じ)。
但し、多層化に伴い、各層の金属基板11a〜dの間には誘電体30a〜c(図示しない)が挟まれ、各金属基板11はスロット21の周囲に形成したスルーホール15によりビア接続されている。
第5実施形態における小型スロット型アンテナモジュール10は、横の長さL1=100mm、縦の長さL2=100mm、厚さL3=1.4mm、スロット端基板部12の幅m=0.5mmである。
スロット21は、横の長さa=10mm、幅b=3.5mmであり、第1線路部41は、全長T=6.8mm、長さT1=T2=3mm、第2線路部42の幅T3=0.8mm、ギャップG=0.5mm、オフセット値s=0.25mmである。また、内向スリット22は、長さS=3.5mmである。
なお、小型スロット型アンテナモジュール10の厚さL3=1.4mmは、上述したように誘電体30a〜c全体の厚さであり、本実施形態では、1層目の金属基板11aと2層目の金属基板11bとの間、及び、3層目の金属基板11cと4層目の金属基板11dとの間に挟まれる誘電体30a、30cの厚さがそれぞれ0.4mmである。また、2層目の金属基板11bと3層目の金属基板11cとの間の間に挟まれる誘電体30bの厚さが0.6mmである。
図10は、各層の金属基板11a〜11d、及び、ストリップ線路40について表したものである。
図10(a)、(b)、(d)は第1、2、4層の状態を表したもので、同一形状、サイズの金属基板11a、b、dで構成される。但し、図11で後述するように、第2線路部42の第1線路部41と接続していない側の端部に形成される給電端子55〜57に対応して貫通孔が形成される。
図10(c)は、第3層の状態を表したもので、第3層の金属基板11cとストリップ線路40で構成される。この第5実施形態では、ストリップ線路40は第3層にだけ形成されている。
第3層の金属基板11cは、ストリップ線路40との電気的接続を回避し、第2線路部42を通すための給電部用スリット16が形成されている。この給電部用スリット16は、第2線路部42の端部までの長さよりも僅かに長く形成されている。
第3層の金属基板11cと同一平面上にストリップ線路40が配設され、第2線路部42は給電部用スリット16に配設される。
図10に示されるように、各金属基板11a〜dのそれぞれには、スロット21を囲む同一位置にビア接続用のスルーホール15が複数形成されている。
なお、図示していないが、スルーホール15については、スロット21周辺だけでなく、金属基板11a〜dの全体に形成するようにしてもよい。
なお、第5実施形態を含め、各層間に配設される誘電体30の厚さは、1、2層間と3、4層間が0.4mmで、2、3層間が0.6mmの場合について説明したが、各層間の厚さは任意である。
また、第5実施形態では、ストリップ線路40を3層目に配設するが、いずれの層に配設するようにしてもよい。但し、ストリップ線路40を配設した層に給電部用スリット16を形成した金属基板11(図10(c)参照)を配設する必要がある。
図11は、外部の高周波回路に接続される第2線路部42の端部側の各種形状を表した断面図である。
図11(a)は、小型スロット型アンテナモジュール10における1層目の金属基板11a側に給電端子55を形成した場合の第1の例である。
すなわち、第2線路部42の給電端部に対応する位置で、誘電体30aと誘電体30bにスルーホール51を形成すると共に、1層目の金属基板11aと2層目の金属基板11bに、スルーホール51よりも大きな開口部を形成し、開口部の内側に給電端子55が形成される。
そして、スルーホール51の内周面がメッキされ、又はスルーホール51内に導電ペーストが充填されることで、給電端子55と第2線路部42の端部とがビア接続される。
図11(b)は、第1の例とは逆の面、すなわち、4層目の金属基板11d側に給電端子56を形成した場合の第2の例である。
この例では、第2線路部42の給電端部に対応する位置で、誘電体30cにスルーホール52を形成するとともに、4層目の金属基板11dに設けた開口部の内側に給電端子56が形成される。
そして、スルーホール52の内周面がメッキされ、又はスルーホール52内に導電ペーストが充填されることで、給電端子56と第2線路部42の端部とがビア接続される。
図11(c)は、第2線路部42の長さ方向における誘電体30cの長さを、誘電体30aと誘電体30bよりも長くし、第2線路部42も誘電体30a、誘電体30bよりも長く形成したものである。
この場合、第2線路部42の端部が給電端子57として機能する。
なお、図11(c)では、誘電体30cを誘電体30a、bよりも大きくしたことにあわせて、誘電体30cを挟む第3、4層の金属基板11c、dも、第1、2層の金属基板11a、bよりも大きく形成しているが、金属基板11c、dを誘電体30cよりも小さく(第2線路部42の長さ方向を短く)することで第1、2層の金属基板11a、bと同じ大きさに形成するようにしてもよい。
図11(d)は、スルーホールなどを形成せず、第2線路部42を、そのままメイン回路基板に一体として形成し、メイン回路基板の他の電気素子53(他の回路パターン)を介して高周波回路に接続するようにしたものである。
なお、図10で説明したように、第2線路部42が配設される層の金属基板11に給電部用スリット16を形成し、その他の形状、サイズは他の層の金属基板11と同じである点は、金属基板11を複数層設ける他の実施形態においても同じである。
また、図11で説明したように、第2線路部42端部に対応する各層の形状は、金属基板11を複数層設ける他の実施形態においても同じである。
以上、第5実施形態では、第4実施形態における金属基板11を多層化した小型スロット型アンテナ20について説明した。
図7で説明したように、第4実施形態の小型スロット型アンテナ20は、共振周波数f=2.47GHzである。
これに対して、第4実施形態と同一形状の金属基板11を多層化した第5実施形態の小型スロット型アンテナ20によれば、図9(d)に示すように、多層化によって共振周波数がf=1.66GHzに低下している。
従って、スリット22を形成することで小型化した小型スロット型アンテナ20を、金属基板11を多層化することで、共振周波数が低下する(共振周波数を低下させることができる)、という新たな知見を得た。
すなわち、同一の共振周波数帯(f=2.4GHz帯)であれば、スロット21につながるスリット22を形成したことによる小型化に加え、金属基板11の多層化によって小型スロット型アンテナ20のアンテナのサイズを一層小さくすることができるとの知見が得られた。
なお、第5実施形態では、内向スリット22の場合の多層化について説明したが、図6で説明したように、内向スリット22と外向スリット22ではほぼ同じ特性を示したように、外向スリット22の金属基板11を多層化した小型スロット型アンテナ20においても、同様に共振周波数が低下する。
次に、第6実施形態について説明する。
第5実施形態では、金属基板11を多層構造とすることにより共振周波数fが低下することについて説明した。そして、第5実施形態では、3層目の金属基板11cと同一平面にストリップ線路40を配設した。
これに対して第6実施形態では、多層化した金属基板11と誘電体30は第5実施形態と同一とし、ストリップ線路40の第1線路部41を多層化したものである。
図12は、第6実施形態における小型スロット型アンテナ20の構成と特性について表した説明図である。
この第6実施形態の小型スロット型アンテナ20は、4つの第1線路部41a〜dが、各層の金属基板11a〜d毎に配設されている。
各第1線路部41a〜dには、図12(b)に示すように、同一位置にスルーホール43が形成され、ビア接続されている。なお、図では、スルーホール43を2つ形成する場合について示しているが、3つ以上とすることも可能である。
本実施形態では、第5実施形態と同様に、第2線路部42が第3層の金属基板11と同一平面に配設されている。
すなわち、図10(c)で説明したように、第3層の金属基板11cには、給電部用スリット16が形成されている。
そして、第3層の第1線路部41cと接続した第2線路部42が、この給電部用スリット16内に配設される。第2線路部42の他端側は図11で説明したのと同様なので説明を省略する。
本実施形態の小型スロット型アンテナ20によれば、図12(d)に示されるように、金属基板11が単層の場合に比べて、金属基板11の積層化によって、第5実施形態と同様に共振周波数がf=1.64GHzと低下している。放射効率については、第5実施形態とほぼ同一の放射効率η=75.5%である。
また、第1線路部41が単層である第1〜第5実施形態の小型スロット型アンテナ20では、いずれの場合もクリティカルカップリング〜アンダー(疎)カップリングである。
これに対して、本実施形態では、図12(c)に示されるように、第1線路部41を多層化することで、オーバー(密)カップリングとなっている。
従って、第1線路部41の積層化により、オーバー〜クリティカル〜アンダーと自在にインピーダンス整合の具合(結合量)を調整することが可能となる。
また、この結合量については、第1線路部41とスロット端基板部12との間隔(ギャップG)を変更することにより調整することも可能である。
すなわち、ギャップGを小さくすることで結合量を増やしてオーバーカップリング状態に、ギャップGを大きくすることで結合量を減らしてクリティカルカップリング状態とすることが可能である。
次に第7実施形態について説明する。
第5実施形態では、同一形状の金属基板11を多層化することで単層(共振周波f=2.4GHz帯)の場合に比べて共振周波数fを低下させることが可能である。
そこで、第7実施形態では、金属基板11を多層化し、共振周波f=2.4GHz帯とすることで、小型スロット型アンテナ20を更に小型化したものである。
図13は、第7実施形態における小型スロット型アンテナ20の構成と特性について表した説明図である。
第7実施形態の小型スロット型アンテナ20では、図13(a)、(b)に示されるように、共振周波f=2.4GHz帯となるようにその形状を最適化している。
すなわち、この小型スロット型アンテナ20のサイズは、図3(a)に示した値として次の通りである。
小型スロット型アンテナモジュール10は、横の長さL1=100mm、縦の長さL2=100mm、厚さL3=1.4mmである。また、スロット端基板部12の幅m=0.5mmである。
スロット21は、横の長さa=5mm、幅b=4mmである。
第1線路部41の全長T=3.4mm、長さT1=0.7mm、長さT2=2.2mm、第2線路部42の幅T3=0.5mm、ギャップG=0.7mm、オフセット値s=0.45mmである。なお、ギャップGは、結合量を減らすために広げている。
内向スリット22は、長さS=2.7mmである。
本実施形態では、第5実施形態と同様に、金属基板11と誘電体30を多層化し、ストリップ線路40は単層で金属基板11cの第3層に形成されている。
なお、本実施形態の小型スロット型アンテナ20では、図13(b)に示すように、内向スリット22を形成するための内向延伸部13にもスルーホール15が形成され、各層の内向延伸部13がビア接続されているが、第5、第6実施形態と同様に、内向延伸部13のスルーホールとビア接続をなくすようにしてもよい。
逆に、第5、第6実施形態の内向延伸部13にも本実施形態と同様に、スルーホール15を形成しビア接続するようにしてもよい。
本実施形態の小型スロット型アンテナ20によれば、内向スリット22を採用している小型スロット型アンテナ20における、スロット21のサイズを面積比で比較すると、本実施形態は、第3実施形態と比べて約67%、第4、第5実施形態に比べて面積比で約57%と小型化されている。
そして、図13(d)に示すように、共振周波数f=2.46GHzにおける放射効率はη=74.8%と十分な性能が確保されている。
以上、第1実施形態から第7実施形態、及び、変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく各請求項記載の範囲で種々の変形が可能である。
例えば、説明した実施形態では、ストリップ線路40の形状として、第1線路部41の両端部から中央よりの所定位置に第1線路部41が接続される場合、すなわち、長さT1とT2をいずれもT1>0、T2>0とすることで、T字形状のストリップ線路40とした。
これに対して、T1とT2のいずれか一方の値をゼロとすることで、L字形状のストリップ線路40としてもよい。
また、説明した各実施形態では、スリット22をスロット21に対し、各図面左側に形成した場合を例に説明したが、逆側(図面右側)に形成するようにしてもよい。但し、内向スリット22の場合には同じ側に内向延伸部13を形成する。
また、外向スリット22の場合には、スロット21の端部に形成する場合以外に、スロット21の端部から中央よりに形成するようにしてもよい。但し、外向スリット22の位置は、スロット21の端部と第1線路部41の同じ側の端部との間に形成する必要がある。
また、図1から図8で説明した各実施形態、変形例では、金属基板11を基準にした単層とし、誘電体30を挟んでストリップ線路40を配置する場合(金属基板11とストリップ線路40の2層)について説明したが、ストリップ線路40を金属基板11と同一平面上に配設するようにしてもよい。
すなわち、多層の場合について説明した図10における、図10(c)の第3層だけで小型スロット型アンテナ20を構成するようにしてもよい。この場合金属基板11cとストリップ線路40は同一平面上に存在するため、両者に挟まれる誘電体30は存在しないが、スロット21内を誘電体で満たすことは可能である。
また、説明した各実施形態、変形例では、金属基板11の端部にスロット21を形成し、これに対応してストリップ線路40を配設する場合、すなわち、小型スロット型アンテナ20を端部に配設する場合について説明した。
これに対して、金属基板11の中央や角部等の他の位置にスロット21(小型スロット型アンテナ20)を配設するようにしてもよい。
特に本実施形態の小型スロット型アンテナ20は、従来のスロット型アンテナに比べて十分に小型化されているので、アンテナの配置位置に関する自由度が高い。このため、携帯機器のアンテナに適用した場合の、設計自由度を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態及び変形例によれば、スロット21周辺の金属基板11への給電方式として、電気的な接続による直接給電ではなく、第1線路部41による電磁的な接続による電磁結合給電としている。
そして、第1線路部41を、スロット21の投影領域内に配設しているので、ストリップ線路40がスロット21外部に突き出した従来のスロットアンテナに比べて、より小型化することができる。
また、スロット21から金属基板11の辺までのスリットを形成すると共振周波数fが低下するという新知見に基づいて、スリット22を設けることで、同一共振周波数を基準とした場合に、小型スロット型アンテナ20をより小型化することができる。
また、スリット22を内向スリット22とすることで、内向スリット22の長さSを十分に確保できるので、スロット端基板部12の幅を狭くことが可能になる。これにより、小型スロット型アンテナ20を金属基板11のより端辺側や、角に近づけて配設することが可能になる。また、携帯端末等の通信機能を備えた小型電子機器において、小型スロット型アンテナ20を使用することで他の部品を含めた配置が容易になる。
更に、小型スロット型アンテナ20の金属基板11を多層化すると共振周波数が低下するという新知見に基づいて、金属基板11を多層化することで、同一共振周波数を基準とした場合に、小型スロット型アンテナ20をより小型化することができる。
なお、本実施形態の小型スロット型アンテナを次の様に構成することも可能である。
(1)第1構成
スロットが形成された導体板と、
前記スロットの長手方向に形成された第1線路部と、前記第1線路部と直交する方向に配設され、その一端が前記第1線路部と接続された第2線路部と、を有するストリップ線路と、
前記導体板と前記ストリップ線路との間に配設された誘電体と、を備え、
前記ストリップ線路の前記第1線路部は、前記スロットの投影領域内に配設され、前記第2線路部からの給電により前記スロット周辺の前記導体板と電磁的に接続される、ことを特徴とする小型スロット型アンテナ。
(2)第2構成
前記導体板は、前記スロットから、前記第1線路部の長辺と対向する前記導体板の辺まで、スリットが形成されている、ことを特徴とする第1構成に記載の小型スロット型アンテナ。
(3)第3構成
前記スリットは、前記スロットの長辺から前記導体板の前記辺まで形成されている、
ことを特徴とする第2構成に記載の小型スロット型アンテナ。
(4)第4構成
前記導体板は、前記スロットと前記導体板の前記辺との間で構成されるスロット端基板部と、前記スロット端基板部から前記スロットの内側に延伸して形成された内向延伸部と、を備え、
前記スリットは、前記スロットの短手方向の辺と、前記内向延伸部との間により、前記スロット内に延伸して形成されている、
ことを特徴とする第2構成に記載の小型スロット型アンテナ。
(5)第5構成
前記導体板は、所定間隔をおいて複数層配設されると共に、互いにビア接続され、
前記ストリップ線路は、いずれか1の前記導体板と同一平面に配設されている、
ことを特徴とする第1構成から第4構成のうちのいずれか1の構成に記載の小型スロット型アンテナ。
(6)第6構成
前記導体板は、所定間隔をおいて複数層配設されると共に、互いにビア接続され、
前記ストリップ線路は、複数の前記第1線路部が前記各層毎に配設されると共に、互いにビア接続され、第2線路部は、前記いずれかの層において当該層に配設された第1線路部と電気的に接続されている、
ことを特徴とする第1構成から第4構成のうちのいずれか1の構成に記載の小型スロット型アンテナ。
(7)第7構成
前記ストリップ線路は、前記第2線路部の幅方向の中心、前記スロットの長辺の中心から左右いずれかの方向にオフセットされている、
ことを特徴とする第1構成から第6構成のうちのいずれか1の構成に記載の小型スロット型アンテナ。
(8)以上の構成により次の効果を得ることができる。
(a)本構成によれば、ストリップ線路の第1線路部を、スロットの投影領域内に配設し、第2線路部からの給電によりスロット周辺の導体板と電磁的に接続されるように構成したので、小型スロット型アンテナをより小型化することができる。
(b)第2構成に記載の構成によれば、スロットから導体板の辺までスリットが形成されているので、同一の共振周波数を基準にした場合に、より小型化することが可能になる。
(c)第4構成に記載の構成によれば、スロットの短手方向の辺と、スロットの内側に延伸して形成された内向延伸部との間により、スリットがスロット内に延伸して形成されているので、より小型化することが可能になる。
(d)第5構成に記載の構成によれば、導体板は、所定間隔をおいて複数層配設されると共に互いにビア接続されているので、同一の共振周波数を基準にした場合に、より小型化することが可能になる。
10 小型スロット型アンテナモジュール
20 小型スロット型アンテナ
11 金属基板
12 スロット端基板部
13 内向延伸部
15 スルーホール
16 給電部用スリット
21 スロット
22 スリット(外向スリット、内向スリット)
30 誘電体
40 ストリップ線路
41 第1線路部
42 第2線路部
43 スルーホール

Claims (4)

  1. スロットが形成された導体板と、
    前記スロットの長手方向に形成された第1線路部と、前記第1線路部と直交する方向に配設され、その一端が前記第1線路部と接続された第2線路部と、を有するストリップ線路と、
    前記導体板と前記ストリップ線路との間に配設された誘電体と、を備え、
    前記ストリップ線路の前記第1線路部は、前記スロットの投影領域内に配設され、前記第2線路部からの給電により前記スロット周辺の前記導体板と電磁的に接続され、
    前記導体板は、前記スロットから、前記第1線路部の長辺と対向する前記導体板の辺まで、スリットが形成されている、
    ことを特徴とする小型スロット型アンテナ。
  2. 前記スリットは、前記スロットの長辺から前記導体板の前記辺まで形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の小型スロット型アンテナ。
  3. 前記導体板は、互いにビア接続された状態で、所定間隔をおいて複数層配設され、
    前記ストリップ線路は、いずれか1の前記導体板と同一平面に配設されている、ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の小型スロット型アンテナ。
  4. 前記ストリップ線路は、前記第2線路部の幅方向の中心、前記スロットの長辺の中心から左右いずれかの方向にオフセットされている、ことを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の小型スロット型アンテナ。
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