JP6000916B2 - 液晶表示装置、位相差フィルムおよび偏光板 - Google Patents
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Description
近年の液晶表示装置市場において、LCD性能改善として省電力化、高精細化、色再現性向上のための開発が進んでおり、特にタブレットPCやスマートフォンなどの小型サイズで顕著に省電力化、高精細化、色再現性向上が求められているのが現状だが、大型サイズにおいても現行のTV規格(FHD、NTSC(National Television System Committee)比72%≒(EBUEuropean Broadcasting Union)比100%)の次世代ハイビジョン(4K2K、EBU比100%以上)の開発が進められている。
さらに本発明者らが特許文献1に記載の方法を用いた液晶表示装置を検討したところ、色再現域がNTSC比72%から100%と拡大したことにより黒カラーシフト(黒色シフト)量も広がって色ムラが目立つようになってしまい、黒色シフトを抑えることが従来以上に求められていることが、新たな課題として存在することがわかった。ここで、従来、例えば特許文献2に記載されるように糖エステル化合物を添加して面内方向のレターデーションReの波長分散を逆分散(逆分散とは、波長が長くなるにつれて、レターデーションが増加する光学特性のことを言う)を示すように調整したフィルムを用いることでLCDの黒色シフトを改善する方式が提案されている。一方、面内方向のレターデーションReの代わりに膜厚方向のレターデーションRthの波長分散性を調整する方法も知られており、特許文献3には複数の染料分子を集合させたJ会合体を含有する複屈折膜が記載されている。なお、特許文献3で使用されている染料は、例えば特許文献4に記載されているように特定の波長の光の透過率を調整する光学フィルターとして用いられるのが通常であった。特に、特許文献3のような特殊なJ会合体を利用する例以外に、レターデーションを調整する目的で使用された例はほとんど知られていなかった。
本発明の解決しようとする課題は、正面輝度および斜めから見たときの黒カラーシフトが改善された液晶表示装置を提供することである。
すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
位相差フィルムが595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を持ち、かつ
下記式(1)および(2)を満たし;
バックライトユニットが430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光と、
500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有する緑色光と、
600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有する赤色光と、を発光する;
液晶表示装置。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
(式(2)中、Re(λ)は波長λnmにおいて、位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
[2] [1]に記載の液晶表示装置は、前記青色光の半値幅、前記緑色光の半値幅および前記赤色光の半値幅がいずれも100nm以下であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の液晶表示装置は、位相差フィルムの吸光度ピークの半値幅が10〜50nmであることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の液晶表示装置は、位相差フィルムが下記式(3)を満たすことが好ましい。
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の液晶表示装置は、位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向と、位相差フィルムの遅相軸が平行であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の液晶表示装置は、位相差フィルムが、595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を有する吸収材料を有することが好ましい。
[7] [6]に記載の液晶表示装置は、位相差フィルムが、基材と吸収材料を含む吸収層の積層体、または、吸収材料を含む基材の単層であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の液晶表示装置は、液晶セルおよびバックライトユニットとの間、ならびに、液晶セルに対してバックライトユニットとは反対側のうち少なくとも一方に偏光子を有し、
位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向が偏光子の吸収軸と平行であることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の液晶表示装置は、液晶セルに対してバックライトユニットとは反対側に視認側偏光子を有し、該視認側偏光子と液晶セルの間に位相差フィルムを少なくとも1枚有し、
液晶セルとバックライトユニットとの間にバックライト側偏光子を有し、該バックライト側偏光子と液晶セルの間に位相差フィルムを少なくとも1枚有することが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の液晶表示装置は、バックライトユニットが、前記青色光を発光する青色発光ダイオードと、
青色発光ダイオードの前記青色光が入射したときに前記緑色光と前記赤色光を発光する蛍光材料を有することが好ましい。
[11] [10]に記載の液晶表示装置は、蛍光材料が量子ドット部材であり、
量子ドット部材が光学シート部材と青色光源の間に配置されたことが好ましい。
[12] 595±10nmに吸光度の最大値を持ち、
下記式(1)〜(3)を満たし、
位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向と位相差フィルムの遅相軸が平行である、位相差フィルム。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(2)および(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
[13] 655±10nmに吸光度の最大値を持ち、
下記式(1)〜(3)を満たし、
位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向と位相差フィルムの遅相軸が直交する、位相差フィルム。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(2)および(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
[14] [12]または[13]に記載の位相差フィルムは、位相差フィルムの吸光度ピークの半値幅が10〜50nmであることが好ましい。
[15] [12]〜[14]のいずれか一項に記載の位相差フィルムは、位相差フィルムが、595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を有する吸収材料を有することが好ましい。
[16] [15]に記載の位相差フィルムは、位相差フィルムが、基材と吸収材料を含む吸収層の積層体、または、吸収材料を含む基材の単層であることが好ましい。
[17] 偏光子と、
少なくとも1枚の[12]〜[16]のいずれか一項に記載の位相差フィルムを有する、偏光板。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
本発明の液晶表示装置は、位相差フィルムと、液晶セルと、バックライトユニットとを有し;位相差フィルムが595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を持ち、かつ下記式(1)および(2)を満たし;バックライトユニットが430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光と、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有する緑色光と、600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有する赤色光と、を発光することを特徴とする。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
(式(2)中、Re(λ)は波長λnmにおいて、位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
このような構成により、本発明の液晶表示装置は、正面輝度および斜めから見たときの黒カラーシフトが改善される。発光波長中心が特定の範囲である上述の青色光、上述の緑色光、上述の赤色光を発光するバックライトユニットに対して、逆波長分散の値が式(2)を満たす程度に大きく、595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を持ち、かつ式(1)を満たす位相差フィルムを組み合わせることで、逆波長分散特性によって斜めから見たときの黒カラーシフトを改善することができ、光吸収ではなく異常分散のメカニズムを利用することにより、バックライトユニットからの光利用率をほとんど低減させずに正面輝度も高くすることができる。
まず、本発明の液晶表示装置の構成について図面を用いて説明する。ただし、本発明の構成は、図面によって限定されるものではない。
図1および図2に、本発明の液晶表示装置の一例の概略図を示した。
図1および図2に示した本発明の液晶表示装置41は、位相差フィルムF3またはF4と、液晶セル11と、バックライトユニット31とを有する。さらに本発明の液晶表示装置41は、バックライト側偏光子22および表示側偏光板1を含むことが好ましく、液晶セル11に対してバックライトユニット31とは反対側に視認側偏光子2を有することが好ましく、該視認側偏光子2と液晶セル11の間に位相差フィルムF2を少なくとも1枚有することが好ましく、液晶セル11とバックライトユニット31との間にバックライト側偏光子22を有することが好ましく、該バックライト側偏光子22と液晶セル11の間に位相差フィルムF3を少なくとも1枚有することが好ましい。ただし、位相差フィルムは、視認側偏光板のアウター側偏光板保護フィルムや、バックライト側偏光板のアウター側偏光板保護フィルムとして用いてもよい。
本発明の液晶表示装置41は、視認側偏光子2の位相差フィルムF2とは反対側に偏光板保護フィルム(視認側偏光板のアウター側偏光板保護フィルム)F1を有することが好ましい。本発明の液晶表示装置41は、バックライト側偏光子22の位相差フィルムF3とは反対側に偏光板保護フィルム(バックライト側偏光板のアウター側偏光板保護フィルム)F4を有することが好ましい。
上述の位相差フィルムは、基材と前記吸収材料を含む吸収層の積層体、または、前記吸収材料を含む基材の単層であることが好ましい。例えば、位相差フィルムF2は、図2に示すように基材4と吸収材料を含む吸収層3の積層体、または、図1に示すように吸収材料を含む基材4の単層であることが好ましい。同様に、位相差フィルムF3は、図2に示すように基材24と吸収材料を含む吸収層23の積層体、または、図1に示すように吸収材料を含む基材24の単層であることが好ましい。
例えば、図1および図2に示す本発明の液晶表示装置41は、液晶セル11およびバックライトユニット31との間にバックライト側偏光子22、ならびに、液晶セル11に対してバックライトユニット31とは反対側に視認側偏光子2を有している。図1および図2に示す本発明の液晶表示装置41は、位相差フィルムF2の吸光度が最大値となる方向がバックライト側偏光子22または視認側偏光子2の吸収軸と平行であり、また、位相差フィルムF3の吸光度が最大値となる方向がバックライト側偏光子22または視認側偏光子2の吸収軸と平行であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置では、上述の位相差フィルムが595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を持ち、かつ下記式(1)および(2)を満たす。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
(式(2)中、Re(λ)は波長λnmにおいて、位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
本発明では上述の位相差フィルムの中でも、特に以下の新規な本発明の位相差フィルムを用いることが好ましい。
従来の逆分散フィルムでは短波長側と長波長側の波長分散の傾きが異なり、理想とする短波長〜長波長に亘ってリニアーな波長分散から大きくずれていたのに対し、本発明の位相差フィルムを用いると、短波長側と長波長側の波長分散の傾きを合わせることができ、理想に近い光学補償が短波長〜長波長に亘って実現できるため、黒色味、特に斜めから見たときの黒カラーシフトが大きく改善する。
本発明の位相差フィルムは、具体的には以下の第1の態様と第2の態様である。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(2)および(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
このような吸光度が最大値となる方向(いわゆる吸収異方性の軸)が位相差フィルムの遅相軸と平行である本発明の位相差フィルムの第1の態様は、緑色光と赤色光の間の帯域である595±10nmに吸光度の最大値を持ち、吸光度の異方性を示す色素などの異常分散により、位相差フィルムの遅相軸方向(延伸方向に平行な方向)における屈折率nsについてのみ吸光度の最大値となる波長の少し短波長側を下げて、少し長波長側を上げることで、Δn(Δn=ns−nf;nfは位相差フィルムの進相軸方向における屈折率を表す)の535nm近傍の短波長側を下げて、630nm近傍の長波長側を上げることができ、長波長側の波長分散であるRe(630)/Re(535)の傾きを大きくして波長分散がリニアー(短波長側の波長分散であるRe(535)/Re(450)と同程度の傾き)、すなわち上記式(3)を満たす逆波長分散である位相差フィルムを達成でき、黒カラーシフトをさらに改善することができる。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(2)および(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
このような吸光度が最大値となる方向(いわゆる吸収異方性の軸)が位相差フィルムの遅相軸と直交する本発明の位相差フィルムの第1の態様は、赤色光を超える長波長の帯域である655±10nmに吸光度の最大値を持ち、吸光度の異方性を示す色素などの異常分散により、位相差フィルムの進相軸方向(延伸方向に直交する方向)における屈折率nfについてのみ吸光度の最大値となる波長の少し短波長側を上げて、少し長波長側を下げることで、Δn(Δn=ns−nf)の630nm近傍の短波長側を上げる(かつ長波長側を下げる)ことができ、長波長側の波長分散であるRe(630)/Re(535)の傾きを大きくして波長分散がリニアー(短波長側の波長分散であるRe(535)/Re(450)と同程度の傾き)、すなわち上記式(3)を満たす逆波長分散である位相差フィルムを達成でき、黒カラーシフトをさらに改善することができる。
上述の位相差フィルムおよび本発明の位相差フィルムの第2の態様は、655±10nmに吸光度の最大値を持ち、655±5nmに吸光度の最大値を有することが好ましく、655±3nmに吸光度の最大値を有することがより好ましい。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
α/α⊥が2以上であることで、2未満であるときよりも斜めから見たときの黒カラーシフトを改善することができる。α/α⊥が6以下であることで、6を超えるときよりも斜めから見たときの黒カラーシフトを改善することができる。
α/α⊥は、2.5〜5.5であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3.5〜4.5であることが特に好ましい。
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
(式(2)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
Re(630)/Re(535)が1.11以上であることで、1.11未満であるときよりも斜めから見たときの黒カラーシフトを改善することができる。Re(630)/Re(535)が1.25以下であることで、1.25を超えるときよりも斜めから見たときの黒カラーシフトを改善することができる。
Re(630)/Re(535)は、1.14〜1.22であることが好ましく、1.16〜1.20であることがより好ましい。
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
Re(630)/Re(535)は、0.95〜1.05であることが好ましく、0.98〜1.02であることがより好ましい。
上述の位相差フィルムは膜厚方向のレターデーションRth(535)が80〜170nmであることが好ましく、90〜160nmであることがより好ましく、100〜150nmであることが特に好ましい。
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rthは前述のRe、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHにより算出する。ここで平均屈折率の仮定値は熱可塑性ハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィン熱可塑性(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
また、本明細書において、位相差領域、位相差フィルム、及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
また、本明細書で「正面」とは、表示面に対する法線方向を意味し、「正面輝度」は、表示面の法線方向において測定される白輝度をいう。
本発明では、上述の位相差フィルムが、595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を有する吸収材料を有することが好ましい。
本発明では、位相差フィルムが、基材と吸収材料を含む吸収層の積層体、または、吸収材料を含む基材の単層であることが好ましく、その中でも、吸収材料を含む基材の単層であることが製造簡便性の観点からより好ましい。
具体的な吸収材料の含有態様としては、位相差フィルムを構成する基材に前記吸収材料を練り込んでもよく、位相差フィルムを構成する基材とは別に前記吸収材料を含む「吸収層」を設けてもよい。
480〜520nmの波長帯域に吸収率の最大値を持つ染料としては、スクアリリウム系、アゾメチン系、シアニン系、オキソノール系、アントラキノン系、アゾ系またはベンジリデン系の化合物が好ましく用いられる。アゾ染料としては、GB539703号、同575691号、US2956879号及び堀口博著「総説 合成染料」三共出版などに記載の多くのアゾ染料を使用することができる。具体的には、特開2008−203436号公報の[0018]〜[0020]に記載の化合物を挙げることができる。
そのような色素が部分的に会合体を形成した状態で使用すると、波長が480〜520mの範囲と波長が595±10nmの範囲の両方に吸収極大を得ることができる。そのような色素の例を以下に示す。
655±10nmに吸光度の最大値を有する吸収材料の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
具体的には、染料としてメチン染料(例えば、シアニン、メロシアニン、オキソノール、ピロメテン、スチリル、アリーリデン)、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、スクアリリウム染料、クロコニウム染料、アジン染料、アクリジン染料、チアジン染料、オキサジン染料などを選択することができる。これらの染料は、会合体で用いることが好ましい。
位相差フィルムが、基材と吸収材料を含む吸収層の積層体である場合も、吸収材料を含む基材の単層である吸収材料を含む基材の単層である場合も、基材としては本発明の液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの条件を満たす以外は特に制限は無く、公知の基材を用いることができる。
位相差フィルムに用いられる添加剤の好ましい態様は、特開2012−068661号公報に記載の糖エステル化合物、固有複屈折が負の添加剤、含窒素芳香族化合物系可塑剤、微粒子、レターデーション発現剤の好ましい態様と同様であり、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
位相差フィルムの製造方法の好ましい態様は、特開2012−068661号公報に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法の好ましい態様と同様であり、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
次に、偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、偏光子と、少なくとも1枚の本発明の位相差フィルムを有することを特徴とする。
本発明の偏光板は、通常、液晶表示装置に用いられる偏光板と同様、偏光子およびその両側に配置された二枚の偏光板保護フィルム(以下、保護フィルムとも言う)を有し、二枚の保護フィルムの内、少なくとも1枚の本発明の位相差フィルムを有し、液晶セル側に配置される保護フィルムとして本発明の位相差フィルムが用いられることが好ましい。
ただし、本発明の偏光板は、本発明の液晶表示装置のバックライト側偏光板として用いる場合、偏光子のバックライトユニット側の表面に、偏光板保護フィルムを含んでいてもよいが、含んでいなくてもよい。
前記偏光子としては、ポリマーフィルムにヨウ素が吸着配向されたものを用いることが好ましい。前記ポリマーフィルムとしては、特に限定されず各種のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルムに、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、偏光子としてのヨウ素による染色性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを用いることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子の液晶セルと反対側に偏光板保護フィルムを有していてもよく、有さなくてもよい。
液晶セルと反対側に配置される保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。この様な熱可塑性樹脂の具体例としては、上述の位相差フィルムの基材として挙げた熱可塑性樹脂を挙げることができる。それらのなかでも、セルロース樹脂が好ましく、トリアセチルセルロースが特に好ましい。トリアセチルセルロースは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。トリアセチルセルロースの市販品の例としては、富士フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」、「TD60UL」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等が挙げられる。
前記偏光子と、位相差フィルムや保護フィルムとの貼り合わせには、偏光子ならびに位相差フィルムや保護フィルムに応じて、接着剤や粘着剤等を適宜採用することができる。この接着剤および接着処理方法としては特に限定されるものではないが、例えば、ビニルポリマーからなる接着剤、あるいは、少なくともホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤からなる接着剤などを介して行うことができる。このような接着剤からなる接着層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。特に偏光子としてポリビニルアルコール系のポリマーフィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤を用いることが、接着性の点から好ましい。さらには、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光と、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有する緑色光と、600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有する赤色光と、を発光する。
前記バックライトユニットが発光する前記青色光の波長帯域は、450〜480nmであることが好ましく、460〜470nmであることがより好ましい。
前記バックライトユニットが発光する前記緑色光の波長帯域は、520〜550nmであることが好ましく、530〜540nmであることがより好ましい。
前記バックライトユニットが発光する前記赤色光の波長帯域は、610〜650nmであることが好ましく、620〜640nmであることがより好ましい。
このような態様を満たす態様としては特に制限はないが、本発明では、バックライトユニットの光源は、前記青色光を発光する青色発光ダイオードと、前記青色発光ダイオードの前記青色光が入射したときに前記緑色光と前記赤色光を発光する蛍光材料を有する態様、あるいは、前記バックライトユニットが、前記青色光を発光する青色レーザーと、前記緑色光を発光する緑色レーザーと、前記赤色光を発光する赤色レーザーと、を有することが好ましい。
なお、バックライトユニットの光源としては、前記青色光を発光する青色発光ダイオードと、前記緑色光を発光する緑色発光ダイオードと、前記赤色光を発光する赤色発光ダイオードとを用いてもよい。
また、バックライトユニットが、紫外光を発光する紫外光発光ダイオードと、前記紫外光発光ダイオードの前記紫外光が入射したときに前記青色光と前記緑色光と前記赤色光を発光する量子ドット部材を用いてもよい。
本発明の液晶像表示装置は、前記青色光を発光する青色発光ダイオードと、前記青色発光ダイオードの前記青色光が入射したときに前記緑色光と前記赤色光を発光する蛍光材料が量子ドット部材(例えば、量子ドットシートやバー形状の量子ドットバー)であり、量子ドット部材が光学シート部材と青色光源の間に配置されたことが好ましい。このような量子ドット部材としては特に制限は無く、公知のものを用いることができるが、例えば特開2012−169271号公報、SID’12 DIGEST p.895、などに記載されており、これらの文献の内容は本発明に組み込まれる。また、このような量子ドットシートとしては、QDEF(Quantum Dot Enhancement Film、ナノシス社製)を用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが、前記赤色光のうち630nmよりも長波長の光を選択的に透過する赤色用波長選択フィルタを有することが好ましい。
このような青色用波長選択フィルタや赤色用波長選択フィルタとしては特に制限は無く、公知のものを用いることができ、特開2008−52067号公報などに記載されており、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
(カラーフィルター)
本発明における画素は、光源が500nm以下の前記青色光を用いている場合、RGB画素形成方法としては、公知の種々の方法を用いて形成させることができる。例えば、ガラス基板上にフォトマスク、およびフォトレジストを用いて所望のブラックマトリックス、およびR、G、Bの画素パターンを形成することもできるし、また、R、G、Bの画素用着色インクを用いて、所定の幅のブラックマトリクス、及びn個置きに前記ブラックマトリクスの幅よりも広いブラックマトリックスで区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、インクジェット方式の印刷装置を用いて所望の濃度になるまでインク組成物の吐出を行い、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルターを作製することもできる。画像着色後は、ベーク等することで各画素及びブラックマトリックスを完全に硬化させてもよい。
カラーフィルターの好ましい特性は特開2008−083611号公報などに記載されており、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
例えば、緑色を示すカラーフィルターにおける最大透過率の半分の透過率となる波長は、一方が590nm以上610nm以下であり、他方が470nm以上500nm以下であることが好ましい。また、緑色を示すカラーフィルターにおいて前記最大透過率の半分の透過率となる波長は、一方が590nm以上600nm以下であることが好ましい。さらに緑色を示すカラーフィルターにおける最大透過率は80%以上であることが好ましい。緑色を示すカラーフィルターにおいて最大透過率となる波長は530nm以上560nm以下であることが好ましい。
前記緑色を示すカラーフィルターにおいて、前記発光ピークの波長における透過率は、最大透過率の10%以下であることが好ましい。
前記赤色を示すカラーフィルターは、580nm以上590nm以下における透過率が最大透過率の10%以下であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、各画素の間にブラックマトリックスが配置されることが好ましい。ブラックストライプを形成する材料としては、クロム等の金属のスパッタ膜を用いたもの、感光性樹脂と黒色着色剤等を組み合わせた遮光性感光性組成物などが挙げられる。黒色着色剤の具体例としては、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。
本発明の画像表示装置は、さらに薄層トランジスタ(以下、TFTとも言う)を有するTFT基板を有することが好ましい。
前記薄層トランジスタが、キャリア濃度が1×1014/cm3未満である酸化物半導体層を有することが好ましい。前記薄層トランジスタの好ましい態様については特開2011−141522号公報に記載されており、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
<位相差フィルムの作製(吸収材料あり)>
(セルロースアシレートドープ調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、さらに90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.43のセルロースアシレート 100質量部
下記骨格Aでアセチル基置換度8の糖エステル 10質量部
下記化合物(1) 5質量部
化合物3 0.017質量部
メチレンクロライド 403質量部
メタノール 60.2質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・マット剤(アエロジルR972) 0.2質量部
・メチレンクロライド 72.4質量部
・メタノール 10.8質量部
・上記セルロースアシレート溶液1 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
流延されて得られたウェブ(フィルム)を、バンドから剥離後、クリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて該テンター装置内で20分間乾燥した。なお、ここでいう乾燥温度とは、フィルムの膜面温度のことを意味する。
得られたウェブ(フィルム)をバンドから剥離し、クリップに挟み、フィルム全体の質量に対する残留溶媒量が30〜5%の状態のときに固定端一軸延伸の条件で、延伸温度170℃および延伸倍率45%でテンターを用いてフィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に延伸した。
その後にフィルムからクリップを外して110℃で30分間乾燥させた。このとき、延伸後の膜厚が64μm)になるように、流延膜厚を調整した。
延伸処理を経たフィルムに、結露防止処理、湿熱処理(水蒸気接触処理)及び熱処理を順次行った。
結露防止処理では、フィルムに乾燥空気をあてて、フィルム温度(100℃)を調節した。
湿熱処理(水蒸気接触処理)では、湿潤気体接触室内の湿潤気体の絶対湿度(湿熱処理絶対湿度)が300g/m3となるように、そして、湿潤気体の露点は、各フィルムの温度よりも10℃以上高い温度となるように調節し、フィルムの温度(湿熱処理温度)が100℃となる状態を、処理時間(60秒)だけ維持しながら、フィルムを搬送した。
熱処理では、熱処理室内の気体の絶対湿度(熱処理絶対湿度)を0g/m3とし、各フィルムの温度(熱処理温度)を湿熱処理温度と同じ温度に設定して、処理時間(2分)だけ維持した。フィルム表面温度は、テープ型熱電対表面温度センサー(安立計器(株)製STシリーズ)をフィルムに3点貼り付け、それぞれの平均値から求めた。
このようにして得られたフィルムを実施例1の位相差フィルムとした。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
実施例1の位相差フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸と実施例1の位相差フィルムの面内遅相軸とは、平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの面内遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして実施例1の偏光板を作製した。
市販の液晶表示装置(BenQ社製、商品名XT4242)を分解し、バックライトユニットを以下のRGB狭帯域バックライトユニットに変更し、以下の方法にしたがって実施例1の液晶表示装置を作製した。
用いたRGB狭帯域バックライトユニットは、光源として青色発光ダイオード(日亜B−LED、主波長465nm、半値幅20nm)を備える。また、光源の前部に青色発光ダイオードの青色光が入射したときに中心波長535nm、半値幅40nmの緑色光と、中心波長630nm、半値幅40nmの赤色光の蛍光発光をする量子ドット部材を備える。
実施例1には商品名XT4242 VA型(垂直配向型)液晶セルの一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに実施例1の偏光板を、位相差フィルムが液晶セル側、セルロースアセテートフィルムが液晶セルとは反対側となるように粘着剤を介して、視認側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。なお、液晶表示装置の複屈折率を表すΔndを計測結果、Δnd=300nmであった。視認側の偏光板の透過軸が上下方向(すなわち略鉛直方向)に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向(すなわち略水平方向)になるように、クロスニコル配置とした。
下記表1中、視認側偏光板の偏光子の透過軸の方向の欄には、視認側偏光板に含まれる位相差フィルムの遅相軸との関係、視認側偏光板に含まれる保護フィルムの遅相軸との関係、液晶表示装置をパネル面内方向が略鉛直方向および略水平方向を含む面と平行に配置したときの略鉛直方向または略水平方向との関係を記載した。
下記表1中、視認側偏光板の位相差フィルムの吸光度が最大となる方向の欄には、視認側偏光板の位相差フィルムの遅相軸との関係を記載した。
なお、バックライト側の位相差フィルムの吸光度が最大となる方向とバックライト側の遅相軸との関係は表1に記載していないが、各実施例および比較例における視認側偏光板の位相差フィルムの吸光度が最大となる方向と視認側偏光板の位相差フィルムの遅相軸との関係と同様とした。
下記表1中、バックライト側偏光板の偏光子の透過軸の方向の欄には、バックライト側偏光板に含まれる位相差フィルムの遅相軸との関係、バックライト側偏光板に含まれる保護フィルムの遅相軸との関係、液晶表示装置をパネル面内方向が略鉛直方向および略水平方向を含む面と平行に配置したときの略鉛直方向または略水平方向との関係を記載した。
下記表1中、バックライト側偏光板の偏光子の吸収軸の方向の欄には、視認側偏光板に含まれる位相差フィルムの吸光度が最大となる方向との関係を記載した。
実施例1のセルロースアシレート溶液1に化合物3を加えなかった以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムを形成した。
このようにして得られたフィルムを比較例1の位相差フィルムとした。
実施例1の位相差フィルムの代わりに、比較例1の位相差フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の偏光板および液晶表示装置を製造した。
実施例1の液晶表示装置でのバックライトユニットを元々市販の液晶表示装置に内蔵されていたバックライトユニットに戻した以外は実施例1と同様にして、比較例2の液晶表示装置を作成した。市販の液晶表示装置のバックライトユニットは白色LEDで発光されており、実施例1で用いたRGB狭帯域バックライトユニットとは異なり、可視光域で広く発光スペクトルを有するものであった。
(位相差フィルムの光学発現性)
島津社製紫外可視吸収スペクトルメータに偏光プリズムを装着して、上記製作した各実施例および比較例の位相差フィルムまたは基材の延伸方向とそれに直交する方向の偏光吸収測定を行った。
実施例1の位相差フィルムでは吸光度が最大となる波長(吸収極大波長)は595nmであり、吸収の半値幅は43nmで、位相差フィルムまたは基材の遅相軸と平行な方向(延伸方向)に最大の吸光度(吸収の極大)を有していることが分かった。吸収極大波長での最大の吸光度(延伸方向の偏光に対する吸光度)αは0.21であり、延伸に直交する方向の偏光に対する吸光度α⊥は0.0525であった。さらに得られたαをα⊥で割り、α/α⊥の値を求めた。
一方、比較例1の位相差フィルムでは、可視光波長領域に吸収の極大は認められなかった。
続いて、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で各実施例および比較例の位相差フィルムのReを波長450nm、535nm、630nmで計測し、Rthを波長(535nm)で測定した。
さらに、得られたRe(630)をRe(535)で割り、Re(535)をRe(450)で割り、Re(630)をRe(450)で割って、Re(630)/Re(535)、Re(535)/Re(450)およびRe(535)/Re(450)を求めた。
さらに得られたRe(535)/Re(450)をRe(630)/Re(535)で割り、{Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)}の値を求めた。
これらの結果を下記表1に記載した。
作製した各実施例および比較例の液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、正面輝度と、極角60°に固定し方位角を0〜360°変化させたときの、黒カラーシフトΔxyとを測定した。なお、正面輝度は実施例1での値を基準に相対値で表した。
また、液晶表示装置の色再現域を、特開2012−3073号公報に記載の方法で測定した。
結果を下記表1に示す。
上記表1に示す結果から、実施例1の液晶表示装置は、正面輝度を保ちかつ黒カラーシフトも改善されていることが理解できる。一方、比較例1より、{Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)}の値が本発明の範囲外である比較例1の位相差フィルムを用いた液晶表示装置は、黒カラーシフトが悪いことがわかった。比較例2より、本発明の範囲外であるバックライトを用いた液晶表示装置は、正面輝度が悪いことがわかった。
F1 偏光板保護フィルム(視認側偏光板のアウター側偏光板保護フィルム)
2 視認側偏光子
F2 位相差フィルム(視認側偏光板のインナー側偏光板保護フィルム)
3 吸収層
4 基材
11 液晶セル
21 バックライト側偏光板
22 バックライト側偏光子
F3 位相差フィルム(バックライト側偏光板のインナー側偏光板保護フィルム)
23 吸収層
24 基材
F4 偏光板保護フィルム(バックライト側偏光板のアウター側偏光板保護フィルム)
31 バックライトユニット
41 液晶表示装置
Claims (17)
- 位相差フィルムと、液晶セルと、バックライトユニットとを有し;
前記位相差フィルムが595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を持ち、かつ
下記式(1)および(2)を満たし;
前記バックライトユニットが430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光と、
500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有する緑色光と、
600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有する赤色光と、を発光する;
液晶表示装置。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
(式(2)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。) - 前記青色光の半値幅、前記緑色光の半値幅および前記赤色光の半値幅がいずれも100nm以下である、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記位相差フィルムの吸光度ピークの半値幅が10〜50nmである、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記位相差フィルムが下記式(3)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。) - 前記位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向と、前記位相差フィルムの遅相軸が平行である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記位相差フィルムが、595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を有する吸収材料を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記位相差フィルムが、基材と前記吸収材料を含む吸収層の積層体、または、前記吸収材料を含む基材の単層である、請求項6に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルおよび前記バックライトユニットとの間、ならびに、前記液晶セルに対して前記バックライトユニットとは反対側のうち少なくとも一方に偏光子を有し、
前記位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向が前記偏光子の吸収軸と平行である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶表示装置。 - 前記液晶セルに対して前記バックライトユニットとは反対側に視認側偏光子を有し、該視認側偏光子と前記液晶セルの間に前記位相差フィルムを少なくとも1枚有し、
前記液晶セルと前記バックライトユニットとの間にバックライト側偏光子を有し、該バックライト側偏光子と前記液晶セルの間に前記位相差フィルムを少なくとも1枚有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶表示装置。 - 前記バックライトユニットが、前記青色光を発光する青色発光ダイオードと、
前記青色発光ダイオードの前記青色光が入射したときに前記緑色光と前記赤色光を発光する蛍光材料を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。 - 前記蛍光材料が量子ドット部材であり、
前記量子ドット部材が前記光学シート部材と前記青色光源の間に配置された、請求項10に記載の液晶表示装置。 - 595±10nmに吸光度の最大値を持ち、
下記式(1)〜(3)を満たし、
前記位相差フィルムの吸収度が最大値となる方向と前記位相差フィルムの遅相軸が平行である、位相差フィルム。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(2)および(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。) - 655±10nmに吸光度の最大値を持ち、
下記式(1)〜(3)を満たし、
前記位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向と前記位相差フィルムの遅相軸が直交する、位相差フィルム。
式(1) 2 ≦ α/α⊥ ≦ 6
(式(1)中、αは位相差フィルムの吸光度の最大値を表し、α⊥は位相差フィルムの吸光度が最大値となる方向に直交する方向における吸光度が最大となる波長に対する吸光度を表す。)
式(2) 1.11 ≦ Re(630)/Re(535) ≦ 1.25
式(3) 0.90 ≦ {Re(535)/Re(450)}/{Re(630)/Re(535)} ≦ 1.1
(式(2)および(3)中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差フィルムの面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。) - 前記位相差フィルムの吸光度ピークの半値幅が10〜50nmである、請求項12または13に記載の位相差フィルム。
- 前記位相差フィルムが、595±10nmまたは655±10nmに吸光度の最大値を有する光吸収材料を有する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
- 前記位相差フィルムが、基材と前記光吸収材料を含む吸収層の積層体、または、前記光吸収材料を含む基材の単層である、請求項15に記載の位相差フィルム。
- 偏光子と、
少なくとも1枚の請求項12〜16のいずれか一項に記載の位相差フィルムを有する、偏光板。
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