JP5996293B2 - セラミック多層基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の導体層と複数のセラミック絶縁層とを積層して多層化した構造を有するセラミック多層基板の製造方法に関するものである。
コンピュータのマイクロ・プロセッサ・ユニット(MPU)等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板には各種の絶縁体材料が使用可能であり、その例としてセラミックを使用したセラミック多層基板が従来よく知られている。このセラミック多層基板では、絶縁体部分に例えばアルミナを主成分としたセラミック材料が使用され、導体部分にアルミナと同時焼成可能な金属(例えば、タングステン)が使用されている。
以下、従来のセラミック多層基板の製造方法を例示する。
まず、アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を混合してスラリーを作製する。そしてこのスラリーを従来周知の手法によりシート状に成形して、セラミックグリーンシートを作製する。
そして、セラミックグリーンシートに対して従来周知のパンチング(打ち抜き)加工を施すことによって、シート表裏面を貫通するビア穴を形成する。次に、従来周知のペースト印刷装置を用いて、タングステン等を主成分とする導体ペーストをビア穴内に充填する。さらに、スクリーン印刷法に従って、セラミックグリーンシートの表面に導体ペーストを塗布する。なおここでは、形成すべき回路配線に応じた所定パターンのマスクを用い、導体ペーストを所定パターン状に印刷形成する。その後、複数のセラミックグリーンシートを積層し、従来周知のラミネート装置を用いて、加圧・加熱することにより、これらを圧着、一体化して積層体を形成する。さらに、この積層体をアルミナが焼結しうる所定の温度に加熱する焼成工程を行う。この焼成を経ると、各セラミックグリーンシート及び導体ペーストが焼結して、セラミック多層基板が得られる。
上記の製造方法では、セラミックグリーンシートの有機バインダとして、ガラス転移温度(Tg)の低い樹脂材料を用い、加圧・加熱により有機バインダを溶融させて積層体を形成している。また、セラミックグリーンシートの積層を行う手法として、セラミックグリーンシートの表面に溶剤を塗布してその表面をペースト化した後に各セラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する方法も実用化されている。この方法では、常温にて溶剤を塗布した各セラミックグリーンシートを積層して仮接着する。そして、仮接着した積層体を15分〜20分程度放置してペースト化した部分を乾燥させた後、積層体の本圧着を行っている。この本圧着の工程では、30kgf/cm〜50kgf/cmの高圧を各セラミックグリーンシートの積層方向に長時間(90秒〜600秒)加えることで各グリーンシートが圧着されている。
セラミック多層基板には、基板表裏の両面に電子部品を収納可能なキャビティが形成された基板も実用化されている(例えば、特許文献1,2参照)。このキャビティを有するセラミック多層基板を製造する場合、平板状のセラミックグリーンシートと、キャビティとなる貫通穴部を有する枠状のセラミックグリーンシートとを準備する。そして、平板状のセラミックグリーンシートにおいて、表面に枠状のセラミックグリーンシートを積層する第1の積層工程を行った後、裏面に、枠状のセラミックグリーンシートを積層する第2の積層工程を行っている。
特開平10−335823号公報 特開2010−67729号公報
ところが、上記従来の製造方法のように、セラミックグリーンシートの表面に溶剤を塗布して積層する場合、グリーンシート自体が軟化するため、積層した際にグリーンシートの変形による積層ズレ等の問題が発生することが懸念される。さらに、溶剤の塗布バラツキや溶剤の調合率等の条件によっては、セラミックグリーンシート間の接着性にバラツキが生じることがある。また、高強度材のセラミックグリーンシートを用いる場合、セラミックグリーンシート間の接着に寄与する樹脂材料の含有量が少なくなり、接着性を十分に確保できなくなる。このような場合、セラミック多層基板における絶縁層間でのデラミネーションやスキマ等が発生してしまうことが懸念される。
また、上記従来の製造方法により、キャビティ周囲の枠部となる枠状のセラミックグリーンシートを積層する場合には、積層時の加圧力によってグリーンシートが変形して枠部がキャビティ内側に倒れ込むようにしてセラミック多層基板が製造されることがある。特に、枠部の幅が狭く、かつ枠部が高くなるほど、枠部が変形し易くなるため、寸法精度の悪いセラミック多層基板が製造されてしまう。このような枠部の変形を回避するため、シート積層時において、キャビティとなる貫通穴部の内側にゴムなどの弾性材を嵌め込んだ状態で各セラミックグリーンシートを加圧する手法も実用化されている。この場合、キャビティのサイズや形状に応じた弾性材を準備する必要があり、製造コストが嵩んでしまう。さらに、段差を有するキャビティを形成するセラミック多層基板でも、枠状のセラミックグリーンシートを複数工程で別々に積層する必要があり、両面にキャビティを形成するセラミック多層基板と同様の問題が生じてしまう。
側面にキャスタレーション(端面スルーホール導体)を有するセラミック多層基板を製造する場合、セラミックグリーンシートにはキャスタレーション形成用穴が形成される。この場合、ペースト化したセラミックグリーンシートの一部がキャスタレーション形成用穴に食み出してしまい、前記穴の内壁への導体の配設が妨げられ接続信頼性の高いキャスタレーションを形成できなくなることが懸念される。また、キャスタレーションを形成する場合、その形成部分では枠部の強度が弱くなり、枠部が変形し易くなってしまう。
さらに、複数のセラミックグリーンシートを高い圧力で加圧して積層体を形成しているため、各セラミックグリーンシートに加わるストレスが大きく、積層体に内部応力が発生してしまう。このため、焼成工程において、セラミック多層基板の寸法バラツキや反りが生じてしまう。また、上記従来の製造方法では、各セラミックグリーンシート間に介在する導体パターンの厚みをセラミックグリーンシートで吸収できず、その厚みに応じた凹凸が基板表面に形成されてしまう。特に、積層体の内部応力を緩和させるために積層時の圧力を低くする場合、導体パターンの厚みをセラミックグリーンシートで十分に吸収できなくなり、基板表面の平坦度が悪化してしまうことが懸念される。
また、上記従来の製造方法では、仮接着での放置時間や本圧着での加圧時間が長くかかり、作業効率が悪くなるといった問題が生じる。さらに、製造設備も大型化するため、セラミック多層基板の製造コストが嵩んでしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャビティの周囲に形成される枠部の変形を抑え、寸法精度が良好なセラミック多層基板を製造することができるセラミック多層基板の製造方法を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、基板主面及び基板裏面を有するとともに、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とを積層して多層化した構造を有し、前記基板主面及び前記基板裏面の両面に開口するよう設けられ、素子を搭載可能な非貫通凹部であるキャビティを備え、前記キャビティの周囲に形成される枠部の幅が300μm以下であり、前記枠部の高さが700μm以下であるセラミック多層基板の製造方法であって、前記セラミック絶縁層となるセラミック材料を用いて表面及び裏面を有するシート状に成形された未焼成セラミックシートを準備するとともに、前記セラミック材料と、粘着剤と、加熱によって溶融する有機化合物とを少なくとも含んでシート状に成形された接着用セラミックシートを準備するシート準備工程と、前記未焼成セラミックシートに前記キャビティとなる貫通穴部を形成するキャビティ形成工程と、前記未焼成セラミックシートの表面及び裏面の少なくも一方に前記導体層となる未焼成導体部を形成する導体部形成工程と、前記接着用セラミックシートを介して前記貫通穴部が非形成の平板状の前記未焼成セラミックシートと、前記基板主面側のキャビティとなる貫通穴部が形成された未焼成セラミックシートと、前記基板裏面側のキャビティとなる貫通穴部が形成された未焼成セラミックシートと、を積層した後、前記有機化合物の融点以上の温度に加熱し前記接着用セラミックシートに粘着力を発現させるとともに、前記貫通穴部の内面に対して加圧治具が非接触の状態でその加圧治具を用いて各セラミックシートを積層方向に加圧することにより、前記接着用セラミックシートを介して各未焼成セラミックシートを一体化した未焼成セラミック積層体を形成する積層体形成工程とを含むことを特徴とするセラミック多層基板の製造方法がある。
手段1に記載の発明によると、積層体形成工程において、キャビティとなる貫通穴部が形成された未焼成セラミックシートが接着用セラミックシートを介して積層された後、有機化合物の融点以上の温度に加熱される。この加熱によって溶融した有機化合物が粘着剤の溶剤として機能するため、加熱前には粘着力が発現していなかった接着用セラミックシートに粘着力が発現する。このように、接着用セラミックシートが十分な粘着力を有するので、低圧力かつ短時間での圧着が可能となる。このため、従来技術のように貫通穴部の内面側に加圧治具を挿入して加圧する必要がなく、貫通穴部の内面に対して加圧治具が非接触の状態で積層方向に加圧することにより、各セラミックシートを一体化した未焼成セラミック積層体を形成することができる。このように、本発明の製造方法では、低圧力で未焼成セラミック積層体を形成しているので、キャビティの周囲に形成される枠部(フレーム部)の変形を低く抑えることができる。また、本発明の製造方法では、未焼成セラミック積層体における内部応力を低く抑えることができるため、焼成時におけるセラミック多層基板の反りを抑えることができる。さらに、積層体形成工程では、接着用セラミックシートは有機化合物が溶融することで軟化するため、未焼成導体部の凹凸をその接着用セラミックシートにて確実に吸収することができ、セラミック多層基板の平坦度を十分に確保することができる。この結果、寸法精度が良好なセラミック多層基板を製造することができる。
また、基板主面及び基板裏面の両面にキャビティを形成する場合、従来技術では、基板主面側のキャビティとなる貫通穴部を有する未焼成セラミックシートと基板裏面側のキャビティとなる貫通穴部を有する未焼成セラミックシートとを別々の工程で積層していた。これに対して、本発明では、接着用セラミックシートを介在させることにより、それら未焼成セラミックシートを比較的低い圧力で同時に積層することが可能となる。このため、製造工程を簡素化することができ、セラミック多層基板の製造コストを低く抑えることができる。
また、本発明の課題を解決するための別の手段(手段2)としては、基板主面及び基板裏面を有するとともに、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とを積層して多層化した構造を有し、前記基板主面及び前記基板裏面の少なくとも一方に開口するよう設けられ、段差を有し、素子を搭載可能な非貫通凹部であるキャビティを備えたセラミック多層基板の製造方法であって、前記セラミック絶縁層となるセラミック材料を用いて表面及び裏面を有するシート状に成形された未焼成セラミックシートを準備するとともに、前記セラミック材料と、粘着剤と、加熱によって溶融する有機化合物とを少なくとも含んでシート状に成形された接着用セラミックシートを準備するシート準備工程と、前記未焼成セラミックシートに前記キャビティとなる貫通穴部を形成するキャビティ形成工程と、前記未焼成セラミックシートの表面及び裏面の少なくも一方に前記導体層となる未焼成導体部を形成する導体部形成工程と、前記接着用セラミックシートを介して前記未焼成セラミックシートを積層した後、前記有機化合物の融点以上の温度に加熱し前記接着用セラミックシートに粘着力を発現させるとともに、前記貫通穴部の内面に対して加圧治具が非接触の状態でその加圧治具を用いて各セラミックシートを積層方向に加圧することにより、前記接着用セラミックシートを介して各未焼成セラミックシートを一体化した未焼成セラミック積層体を形成する積層体形成工程とを含むことを特徴とするセラミック多層基板の製造方法がある。
手段2に記載の発明によると、積層体形成工程において、キャビティとなる貫通穴部が形成された未焼成セラミックシートが接着用セラミックシートを介して積層された後、有機化合物の融点以上の温度に加熱される。この加熱によって溶融した有機化合物が粘着剤の溶剤として機能するため、加熱前には粘着力が発現していなかった接着用セラミックシートに粘着力が発現する。このように、接着用セラミックシートが十分な粘着力を有するので、低圧力かつ短時間での圧着が可能となる。このため、従来技術のように貫通穴部の内面側に加圧治具を挿入して加圧する必要がなく、貫通穴部の内面に対して加圧治具が非接触の状態で積層方向に加圧することにより、各セラミックシートを一体化した未焼成セラミック積層体を形成することができる。このように、本発明の製造方法では、低圧力で未焼成セラミック積層体を形成しているので、キャビティの周囲に形成される枠部(フレーム部)の変形を低く抑えることができる。また、本発明の製造方法では、未焼成セラミック積層体における内部応力を低く抑えることができるため、焼成時におけるセラミック多層基板の反りを抑えることができる。さらに、積層体形成工程では、接着用セラミックシートは有機化合物が溶融することで軟化するため、未焼成導体部の凹凸をその接着用セラミックシートにて確実に吸収することができ、セラミック多層基板の平坦度を十分に確保することができる。この結果、寸法精度が良好なセラミック多層基板を製造することができる。
また、段差を有するキャビティを形成する場合、従来技術では、サイズの異なる貫通穴部を有する複数の未焼成セラミックシートを別々の工程で積層していた。これに対して、本発明では、接着用セラミックシートを介在させることにより、それら未焼成セラミックシートを比較的低い圧力で同時に積層することが可能となる。このため、製造工程を簡素化することができ、セラミック多層基板の製造コストを低く抑えることができる。
手段1においては、キャビティの周囲に形成される枠部(フレーム部)の幅が300μm以下であり、枠部の高さ(キャビティの深さ)が700μm以下である。このように、枠部が狭くかつ高くなりその強度が比較的弱くなる場合でも、積層時の圧力が十分に低いため、枠部の変形を回避することができる。従って、寸法精度が良好なセラミック多層基板を製造することができる。
キャビティ形成工程において、未焼成セラミックシートに加えて接着用セラミックシートにもキャビティとなる貫通穴部を形成してもよい。この場合、積層体形成工程では、貫通穴部が形成されキャビティ周囲の枠部となる枠状の未焼成セラミックシートと、貫通穴部が非形成の平板状の未焼成セラミックシートとの間に枠状の接着用セラミックシートを介在させて未焼成セラミック積層体を形成する。なお、貫通穴部のない接着用セラミックシートを枠状の未焼成セラミックシートと平板状の未焼成セラミックシートとの間に介在させてもよい。このようにしても、複数の未焼成セラミックシートを比較的低い圧力で積層することができ、寸法精度が良好なセラミック多層基板を製造することができる。
積層体形成工程では接着用セラミックシートの表面及び裏面に、貫通穴部が形成されキャビティ周囲の枠部となる枠状の未焼成セラミックシートを配置して未焼成セラミック積層体を形成してもよい。この場合、基板主面及び基板裏面の両面にキャビティを容易に形成することができる。
積層体形成工程では、接着用セラミックシートが引張強度で50gF以上の粘着力を発現させた状態で各セラミックシートを積層方向に加圧する必要がある。この場合、例えば100gF以上の粘着力を発現させた状態で加圧してもよく、150gF以上の粘着力を発現させた状態で加圧してもよい。このように、接着用セラミックシートの粘着力を高めることで、より低い加圧力で未焼成セラミック積層体を形成することが可能となる。
セラミック多層基板の側面には、何らかの構造物が設けられていてもよく、例えば端面スルーホール導体であるキャスタレーションが設けられていてもよい。この場合、積層体形成工程の前にキャスタレーション形成工程を行うことで、未焼成セラミックシート及び接着用セラミックシートの厚さ方向に貫通する貫通穴を形成するとともにその貫通穴内にキャスタレーションとなる未焼成キャスタレーション用導体部を形成する。本発明では、従来技術のようにセラミックグリーンシートの表面に溶剤を塗布してペースト化する必要がない。従って、従来技術のようにペースト化したセラミックグリーンシートの一部がキャスタレーション形成用の貫通穴に食み出すことがなく、キャスタレーションを確実に形成することができる。また、キャスタレーションを形成することで枠部の強度が弱くなるが、本発明では、積層時の圧力を低くできるため、枠部の変形を回避することができる。
積層体形成工程では、生産性の低下を伴わない範囲で加圧時の圧力及び時間を適宜設定することが可能であるが、例えば1kgf/cm以上5kgf/cm以下の低圧力、かつ1秒以上120秒以下の短時間の条件で、各セラミックシートを積層方向に加圧してもよい。このように、比較的低い圧力、かつ短時間で未焼成セラミック積層体を形成することにより、未焼成セラミック積層体における内部応力を低く抑えることができる。また、本発明の製造方法では、従来技術のように仮接着後に長時間放置するといった工程がなく、積層体形成工程での加圧時間も短いため、セラミック多層基板を効率よく製造することができる。さらに、高圧プレス機などの大掛かりな装置が不要となる。このため、セラミック多層基板の製造コストを低く抑えることができる。
シート準備工程で準備される接着用セラミックシートは、例えば、セラミック材料に対して粘着剤及び有機化合物を前記セラミック材料よりも少ない重量で含有させたものであってもよく、セラミック材料、粘着剤及び有機化合物の順に重量が少なくなるようにこれらを含有させたものであってもよい。さらには、セラミック材料100重量部に対して、粘着剤を25重量部以上の割合で含有させ、かつ、有機化合物を3重量部以上15重量部以下の割合で含有させたものであってもよい。このような割合で粘着剤や有機化合物を接着用セラミックシートに含ませることで、引張強度で50gF以上の粘着力を確実に発現させることができる。
シート準備工程で準備される接着用セラミックシートは、離型材上に形成される。導体部形成工程では、接着用セラミックシートから離型材を剥離した後に導体部を形成してもよいし、接着用セラミックシートに離型材を取り付けたままで、導体部を形成してもよい。
未焼成セラミックシートは、樹脂材料からなる有機バインダを含んで成形され、接着用セラミックシートは、有機バインダを含まずに成形されることが好ましい。この場合、接着用セラミックシートにおいて粘着剤をより多く含ませることができ、粘着力を十分に確保することができる。
導体部形成工程において、未焼成セラミックシートの表面及び裏面の少なくも一方に、例えばスクリーン印刷や転写などの手法で未焼成導体部を形成してもよい。
有機化合物は、60℃以上の温度で溶融する有機化合物であり、常温にて固体状である高沸点アルコールを用いてもよい。具体的な有機化合物としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高沸点アルコールを挙げることができる。また、高沸点アルコール以外には、ラウリン酸、ミリスチン酸などの有機化合物を挙げることができる。
セラミック絶縁層としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体が好適に使用される。また、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体をセラミック絶縁層として使用してもよい。さらに、用途に応じて、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックの焼結体をセラミック絶縁層として使用してもよい。
導体層及びキャスタレーションとしては特に限定されないが、例えば、メタライズ導体であってもよい。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック絶縁層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック絶縁層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック絶縁層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの混合系が選択可能である。セラミック絶縁層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの混合系が選択可能である。
本発明のセラミック多層基板は、水晶パッケージ、SAWフィルタ用パッケージ、MPUパッケージ、C−MOSパッケージ、CCDパッケージ、LEDパッケージ、チップサイズパッケージ(CSP)、セラミックチップサイズパッケージ(CCSP)などの様々なパッケージに利用することができる。
第1の実施の形態におけるセラミック多層基板を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるシート準備工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるシート貼り付け工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における貫通穴形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるビア導体部形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるキャスタレーション形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における導体部形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるキャビティ形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における積層体形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における積層体形成工程を示す断面図。 第1の実施の形態の焼成工程後におけるセラミック多層基板を示す断面図。 接着用セラミックシートの粘着力の測定方法を示す説明図。 第2の実施の形態におけるセラミック多層基板を示す断面図。 第2の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における導体部形成工程を示す断面図。 第2の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるキャビティ形成工程を示す断面図。 第2の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における積層体形成工程を示す断面図。 第2の実施の形態の焼成工程後におけるセラミック多層基板を示す断面図。 第3の実施の形態におけるセラミック多層基板を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法におけるシート準備工程を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における貫通穴形成工程を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における導体部形成工程を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における転写用フィルム準備工程を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における導体部転写工程を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における導体部形成工程を示す断面図。 第3の実施の形態のセラミック多層基板の製造方法における積層体形成工程を示す断面図。
[第1の実施の形態]
以下、本発明をセラミック多層基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施の形態のセラミック多層基板11は、上面12(基板主面)及び下面13(基板裏面)を有する板状の部材であり、ICチップを実装するために用いられる。セラミック多層基板11は、複数のセラミック絶縁層14,15,16と導体層18とを交互に積層してなる多層配線基板である。本実施の形態において、各セラミック絶縁層14,15,16は、いずれもアルミナ焼結体からなる。また、導体層18は、例えばタングステンを主体とするメタライズ導体層である。なお、本実施の形態のセラミック多層基板11では3層構造としたが、4層以上の多層構造を採用しても構わない。
セラミック多層基板11には、上面12に開口するキャビティ19(非貫通凹部)と、下面13に開口するキャビティ20(非貫通凹部)とが設けられている。セラミック多層基板11において、中間層に位置するセラミック絶縁層15が各キャビティ19,20の底部となっている。また、セラミック絶縁層15の上層に位置するセラミック絶縁層14がキャビティ19の周囲に形成される枠部21となっている。さらに、セラミック絶縁層15の下層に位置するセラミック絶縁層16がキャビティ20の周囲に形成される枠部22となっている。
本実施の形態において、枠部21の幅は250μm程度であり、枠部21の高さ(キャビティ19の深さ)は650μm程度である。また、枠部22の幅は275μm程度であり、枠部22の高さ(キャビティ20の深さ)は650μm程度である。
キャビティ19の底面となるセラミック絶縁層15の上面23には、ICチップ搭載用の複数の端子パッド24が設けられている。また、キャビティ20の底面となるセラミック絶縁層15の下面25には、ICチップ搭載用の複数の端子パッド26が設けられている。これら端子パッド24,26もタングステンを主体とするメタライズ導体層である。また、セラミック絶縁層14,15の界面及びセラミック絶縁層15,16の界面に、導体層18が形成されている。
セラミック多層基板11において、キャビティ19の外周部の上面12(セラミック絶縁層14の上面)には、キャビティ19を取り囲むようにシール用のメタライズ導体層28が設けられている。このメタライズ導体層28上には、図示しないめっき層やロウ材層が設けられるとともに、そのロウ材層等を介して図示しないキャップが取り付けられる。このキャップによってキャビティ19の開口が塞がれる。
セラミック多層基板11において、キャビティ20の外周部の下面13(セラミック絶縁層16の下面)には、他の基板上に実装するための複数の端子パッド29が形成されている。これら端子パッド29もタングステンを主体とするメタライズ導体層である。
セラミック多層基板11を構成する各セラミック絶縁層14〜16の側面には、断面円形の凹部30が形成されており、その凹部30の表面にキャスタレーション31(端面スルーホール導体)が設けられている。キャスタレーション31は、端子パッド29と内層の導体層18とを電気的に接続している。
各セラミック絶縁層14,15,16には、複数のビア穴33が形成されており、各ビア穴33内にはタングステンを主体とするビア導体34が設けられている。ビア導体34は、各導体層18,28、及び各端子パッド24,26,29を相互に電気的に接続している。
次に、上記セラミック多層基板11を製造する方法について図2〜図11に基づいて説明する。
まず、セラミック材料としてのアルミナ粉末、有機バインダ、溶剤等を混合してスラリーを作製する。そしてこのスラリーを従来周知の手法(例えばドクターブレード法やカレンダーロール法)によりシート状に成形し、所定サイズに切断する。この結果、図2に示されるように、表面41及び裏面42を有するシート状に成形されたセラミックグリーンシート43(未焼成セラミックシート)を複数枚準備する(シート準備工程)。なお、本実施の形態において、セラミックグリーンシート43は、650μm程度の厚さで形成される。
またこのシート準備工程では、接着用セラミックシート46を作製する。詳しくは、セラミック材料としてのアルミナ粉末、液状の粘着剤、溶剤、加熱によって溶融する有機化合物等を混合してスラリーを作製する。このスラリー形成時には、アルミナ粉末の100重量部に対して、粘着剤を25重量部以上100重量部以下の割合で含有させ、かつ加熱によって溶融する有機化合物を3重量部以上15重量部以下の割合で含有させている。そしてこのスラリーを従来周知の手法によりシート状に成形し、乾燥後、所定サイズに切断する。この結果、図2に示されるように、表面44及び裏面45を有するシート状に成形された接着用セラミックシート46を準備する。
なお、本実施の形態において、接着用セラミックシート46は、フィルム状の離型材47の上面に、例えば10μm以上50μm以下の厚さで形成されている。接着用セラミックシート46に含まれる粘着剤としては、例えばアクリル系溶剤タイプの接着剤(ビックテクノス社製AR-2040)を用いる。また、有機化合物としては、例えば融点が56℃程度のセチルアルコール(高沸点アルコール)を用いている。具体的には、シート準備工程において、スラリーを離型材47(キャリアフィルム)にキャステイングする際に、スラリー自体を乾燥させる。その際の接着剤の溶剤が抜けて、接着剤の接着性能が低下する。さらに、セチルアルコール自体もスラリー中では溶剤に溶けているが、この乾燥においては融点以下なので固化する。このとき、固化したセチルアルコールは、シート表面側に集まった状態となる。従って、接着用セラミックシート46の表面は、粘着性のないセチルアルコールが大半を占め、接着性能の落ちた接着剤が少し露出している状態となる。その結果、常温では、粘着性を発現しない接着用セラミックシート46が形成され、シートの工程流動は容易となる。
そして、セラミックグリーンシート43の裏面42に接着用セラミックシート46を配置し、60℃に加熱したヒーターブロック(図示略)により離型材47を介して低圧(例えば、3kgf/cm以下の圧力)でプレスする(シート貼付工程)。このとき、接着用セラミックシート46においてセチルアルコールが溶解して液状化する。そして、液状化したセチルアルコールは接着剤の溶剤となってその接着剤の接着性能が復活し、さらに接着用セラミックシート46の表面は、接着剤が大半をしめるので、粘着性が発現する。このため、低圧のプレスにより、接着用セラミックシート46をセラミックグリーンシート43の裏面42に圧着させることができる。その後、常温まで冷却し接着用セラミックシート46から離型材47を剥離する。この結果、図3に示されるように、セラミックグリーンシート43の裏面42に接着用セラミックシート46が貼り付けられる。なおこのとき、室温まで冷却されているので、接着用セラミックシート46の離型材47があった面は粘着性が発現していない。
上層及び下層のセラミック絶縁層14,16となるセラミックグリーンシート43では、表面41または裏面42に接着用セラミックシート46を貼り付けた状態(図3参照)で、導体部形成工程(ビア導体部形成工程及びキャスタレーション形成工程を含む工程)を行う。一方、中間層のセラミック絶縁層15となるセラミックグリーンシート43は、接着用セラミックシート46を貼り付けない状態で導体部形成工程を行う。
具体的には、図4に示されるように、各セラミックグリーンシート43の複数箇所に、そのセラミックグリーンシート43の厚さ方向に貫通する貫通穴48,49を形成する。ここで、上層のセラミックグリーンシート43では、裏面42に配置されている接着用セラミックシート46にも貫通穴48,49が形成され、下層のセラミックグリーンシート43では、表面41に配置されている接着用セラミックシート46にも貫通穴48,49が形成される。これら貫通穴48,49は、例えばレーザを用いたレーザ穴あけ加工にて形成される。なお、レーザ穴あけ加工以外に、パンチング(打ち抜き)加工などの他の手法によって貫通穴48,49を形成してもよい。また、接着用セラミックシート46の接着性が発現していないので、上記工程を流動する際に、治具などに接着用セラミックシートが張り付いてしまうといった不具合はない。
セラミックグリーンシート43において、貫通穴48は、ビア導体34を形成するための穴部であり、貫通穴49は、キャスタレーション31を形成するための穴部である。つまり、セラミック焼成後には、貫通穴48がビア穴33となり、貫通穴49の一部が凹部30となる。
そして、貫通穴48,49内にそれぞれ導体部を形成する。より具体的にいうと、まず従来周知のペースト印刷装置によるビアメタライズ充填を行って、貫通穴48内にタングステンペーストを充填し、ビア導体34となる未焼成ビア導体部50を形成する(図5参照)。即ち、貫通穴48を完全にタングステンペーストで満たすようにして未焼成ビア導体部50を形成する。次いで、キャスタレーション印刷を行って、貫通穴49の内周面にタングステンペーストを付着させ、キャスタレーションとなる未焼成キャスタレーション用導体部51を形成する(図6参照)。従って、貫通穴49内は完全にタングステンペーストで満たされていなくてもよく、未焼成キャスタレーション用導体部51の中心部は空洞状になっている。なお、上記のようにビアメタライズ充填後にキャスタレーション印刷を行ってもよいほか、キャスタレーション印刷後にビアメタライズ充填後を行ってもよい。
そして次に、スクリーン印刷法によって、各セラミックグリーンシート43の上に未焼成導体部53を形成する(図7参照)。なおここでは、各セラミックグリーンシート43において、接着用セラミックシート46が貼り付けられていない表面41及び裏面42上に、マスク(図示略)を用いてタングステンペーストを印刷することで、未焼成導体部53をパターン形成する。これらの未焼成導体部53は、後に導体層18,28、各端子パッド24,26,29となるべき部分である。
この後、所定の温度に加熱して、各セラミックグリーンシート43に形成した未焼成導体部53を乾燥させる。このように導体部形成工程を行うことで、セラミックグリーンシート43に未焼成ビア導体部50、未焼成キャスタレーション用導体部51及び未焼成導体部53を形成する。またここでは、接着用セラミックシート46の接着性が発現していないので、上記工程を流動する際に、治具などに接着用セラミックシート46が張り付いてしまうといった不具合はない。
そして、上層側及び下層側のセラミック絶縁層14,16となる各セラミックグリーンシート43に対して従来周知のパンチング(打ち抜き)加工を施す。この結果、図8に示されるように、各セラミックグリーンシート43に、キャビティ19,20となる貫通穴部55,56を形成する(キャビティ形成工程)。ここで、各セラミックグリーンシート43の表面41または裏面42に貼り付けられている接着用セラミックシート46にも、キャビティ19,20となる貫通穴部55,56が形成される。また、中間層のセラミック絶縁層15となるセラミックグリーンシート43は、パンチング加工を施すことなく、貫通穴部55,56が非形成の平板状のシートとなっている。
その後、各セラミックグリーンシート43を用いて、積層体形成工程を行う。積層体形成工程では、先ず、貫通穴部55,56が非形成の平板状のセラミックグリーンシート43を真ん中に配置する。そして、その平板状のセラミックグリーンシート43の表面41に、貫通穴部55を形成した枠状のセラミックグリーンシート43を重ね合わせて配置するとともに、裏面42には、貫通穴部56を形成した枠状のセラミックグリーンシート43を重ね合わせて配置する。ここで、上層側となる枠状のセラミックグリーンシート43は、接着用セラミックシート46が貼られた裏面42側を下側に向けた状態で平板状のセラミックグリーンシート43の表面41に配置される。一方、下層側となる枠状のセラミックグリーンシート43は、接着用セラミックシート46が貼られた表面41側を上側に向けた状態で平板状のセラミックグリーンシート43の裏面42に配置される。この結果、平板状のセラミックグリーンシート43と枠状のセラミックグリーンシート43との間に枠状の接着用セラミックシート46が介在された形で各セラミックグリーンシート43が積層される(図9参照)。
そして、図10に示されるように、例えばヒーターブロック58を用いて、各セラミックグリーンシート43に介在される接着用セラミックシート46をセチルアルコールの融点以上の温度(例えば、70℃)に加熱する。このとき、接着用セラミックシート46に含まれるセチルアルコールを溶融させ、引張強度で50gF以上の粘着力を接着用セラミックシート46に発現させる。その後、セラミックグリーンシート43の貫通穴部55,56にヒーターブロック58(加圧治具)が非接触の状態で、そのヒーターブロック58を用い、1kgf/cm以上5kgf/cm以下の低圧力、かつ、1秒以上120秒以下の短時間の条件で、各セラミックグリーンシート43を積層方向に加圧する。より具体的に、本実施の形態では、2kgf/cmの圧力、5秒の加圧時間で各セラミックグリーンシート43を加圧する。この結果、接着用セラミックシート46を介して各セラミックグリーンシート43を一体化した未焼成セラミック積層体59を形成する。
その後、未焼成セラミック積層体59をアルミナが焼結しうる所定の温度(例えば1500℃〜1800℃程度の温度)に加熱する焼成工程を行う。この焼成工程を経ると、各セラミックグリーンシート43及び接着用セラミックシート46が焼結してセラミック多層基板100が得られる(図11参照)。またこのとき、タングステンペーストの焼結によって、導体層18,28、端子パッド24,26,29、スルーホール導体31A、ビア導体34が形成される。なお、セラミック焼成時には、セラミックグリーンシート43間の界面において接着用セラミックシート46の粘着剤が脱脂されて焼失される。その後、接着用セラミックシート46のアルミナが焼結するとともにセラミックグリーンシート43のアルミナが焼結し、各セラミック絶縁層14,15,16が一体化したセラミック多層基板100が得られる。
ここで得られるセラミック多層基板100は、製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した構造の多数個取り用の多層基板である。そして、分割工程を行い多数個取り用のセラミック多層基板100を分割することにより、図1に示すセラミック多層基板11が複数同時に得られる。またこの分割工程において、スルーホール導体31Aのある位置(図11では一点鎖線で示す位置)においてセラミック多層基板11を分割することにより、基板側面にて露出するキャスタレーション31(端面スルーホール導体)が形成される。
なお、本発明者らは、上記製造方法で製造したセラミック多層基板11を厚さ方向に切断し、その基板断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。その結果、各セラミック絶縁層14,15,16間では、接着用セラミックシート46が介在したことによる境界の見極めが困難であり、クラックがなく均一にセラミックが焼結されていることが確認された。
また、本発明者らは、積層体形成工程における接着用セラミックシート46の引張強度(接着力)を図12に示す試験装置61を用いて確認した。その結果を表1に示している。
具体的には、図12に示されるように、表面41に接着用セラミックシート46を貼り付けたセラミックグリーンシート43を準備する。そして、各シート43,46を70℃に加熱して接着用セラミックシート46に粘着性を発現させる。その後、セラミックグリーンシート43を平坦なテーブル62上に置くとともに、接着用セラミックシート46の上面に分銅63(具体的には、5gの分銅)を置く。さらに、セラミックグリーンシート43が浮かび上がらないように分銅63の周囲部分を円筒状の押さえ治具64で押さえつける。この後、バネ秤65を上昇させることでワイヤ66を介して分銅63を引っ張り、接着用セラミックシート46から分銅63が剥がれた時点の荷重を接着用セラミックシート46の引張強度として測定する。ここでは、3種類の異なる粘着剤をそれぞれ含ませて接着用セラミックシート46のサンプル1〜3を形成し、それらサンプル1〜3の接着用セラミックシート46について、3回ずつ引張強度を確認した。
Figure 0005996293
表1に示されるように、各サンプル1〜3の接着用セラミックシート46では、引張強度で70gF以上の粘着力を有することが確認された。特に、サンプル1またはサンプル2の接着用セラミックシート46では、150gF以上の粘着力が発現されることを確認することができた。なお、常温においても同様に引張強度を測定した。その結果、常温の場合では、各サンプル1〜3の接着用セラミックシート46の粘着力が0gFであり、粘着力が発現していないことを確認した。上記した製造方法では冷却/加熱を繰り返しているが、接着用セラミックシート46における粘着性の発生の繰り返しは5回程度まで復元できることを確認した。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態の場合、積層体形成工程において加熱することで接着用セラミックシート46におけるセチルアルコールが溶融し、そのセチルアルコールが粘着剤の溶剤として機能することで接着用セラミックシート46に粘着力が発現する。本実施の形態における接着用セラミックシート46は、粘着剤を25重量部以上の割合で含むため、引張強度で50gF以上の粘着力を確実に発現させることができる。特に、粘着剤によっては、160gF以上の粘着力を発現させることができる。このように、接着用セラミックシート46が十分な粘着力を有するので、低圧力かつ短時間での圧着が可能となる。このため、従来技術のように貫通穴部55,56の内面側に加圧治具を挿入して加圧する必要がなく、貫通穴部55,56の内面に対してヒーターブロック58が非接触の状態で積層方向に加圧することにより、各セラミックグリーンシート43を一体化した未焼成セラミック積層体59を形成することができる。このように、本実施の形態では、低圧力で未焼成セラミック積層体59を形成しているので、キャビティ19,20の周囲に形成される枠部21,22の変形を低く抑えることができる。また、未焼成セラミック積層体59における内部応力を低く抑えることができるため、焼成時におけるセラミック多層基板11の反りを抑えることができる。さらに、積層体形成工程では、接着用セラミックシート46は有機化合物が溶融することで軟化するため、未焼成導体部53の凹凸を接着用セラミックシート46にて確実に吸収することができ、セラミック多層基板11の平坦度を十分に確保することができる。この結果、寸法精度が良好なセラミック多層基板11を製造することができる。
(2)本実施の形態のセラミック多層基板11のように、上面12及び下面13の両面にキャビティ19,20を形成する場合、従来技術では、枠状のセラミックグリーンシート43を上面側と下面側とで別々の工程で積層する必要があった。これに対して、本実施の形態では、接着用セラミックシート46を介在させることにより低圧力での圧着が可能となるため、それら枠状のセラミックグリーンシート43を同時に積層することが可能となる。このため、製造工程を簡素化することができ、セラミック多層基板11の製造コストを低く抑えることができる。
(3)本実施の形態では、2kgf/cmの低圧力、5秒間の短時間の条件で各セラミックグリーンシート43を積層方向に加圧することにより、未焼成セラミック積層体59を形成している。このようにすると、従来技術のように仮接着後に長時間放置するといった工程がなく、積層体形成工程での加圧時間も短いため、セラミック多層基板11を効率よく製造することができる。また、従来技術のように貫通穴部55,56の内側にゴムなどの弾性材を嵌め込んだ状態で各セラミックグリーンシート43を加圧する必要がない。さらに、高圧プレス機などの大掛かりな装置が不要となる。従って、セラミック多層基板11の製造コストを低く抑えることができる。
(4)本実施の形態では、従来技術のようにセラミックグリーンシート43の表面に溶剤を塗布してペースト化する必要がない。従って、ペースト化したセラミックグリーンシート43の一部がキャスタレーション形成用の貫通穴49に食み出すことがなく、キャスタレーション31を確実に形成することができる。また、溶剤の塗布バラツキや溶剤の調合率等による接着性にバラツキが生じることなく、接着用セラミックシート46を介在させることでセラミックグリーンシート43の界面で均一な接着性を確保できる。このため、セラミック多層基板11におけるセラミック絶縁層14〜16間でのデラミネーションやスキマ等を確実に防止することができる。また、枠部21,22にキャスタレーション31を形成すると、その形成部分の強度が弱くなる。本実施の形態では、積層時の圧力を十分に低くすることができるため、枠部21,22の変形を抑えつつ、キャスタレーション31のあるセラミック多層基板11を確実に製造することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図13に示されるように、本実施の形態のセラミック多層基板11Aは、上面12側に開口し、段差を有するキャビティ19A(非貫通凹部)を備える点が上記第1の実施の形態と異なる。以下、セラミック多層基板11Aの構成について説明する。
図13に示されるように、セラミック多層基板11Aも、第1の実施の形態と同様に、複数のセラミック絶縁層14,15,16と導体層18とを交互に積層してなる多層配線基板である。各セラミック絶縁層14〜16及び導体層18の形成材料は上記第1の実施の形態と同じである。
本実施の形態のキャビティ19Aは二段構造となっており、キャビティ19Aにおける底面の外周側に段差70が形成されている。セラミック多層基板11Aにおいて、上層に位置するセラミック絶縁層14と中間層に位置するセラミック絶縁層15とがキャビティ19Aの周囲に形成される枠部71,72となっている。また、下層に位置するセラミック絶縁層16がキャビティ19Aの底部となっている。セラミック多層基板11Aでは、セラミック絶縁層14の枠部71よりもセラミック絶縁層15の枠部72の幅が広く形成されており、これら枠部71,72の幅の違いにより露出するセラミック絶縁層15によって段差70が形成されている。
そして、キャビティ19Aの段差70(セラミック絶縁層15の上面)上には、電子部品(例えば水晶振動子)搭載用の複数の端子パッド24が設けられている。キャビティ19A内において、電子部品が各端子パッド24に接続されることにより、電子部品がキャビティ19Aの底面から浮いた状態で収納される。
セラミック多層基板11Aにおいて、キャビティ19Aの外周部の上面12(セラミック絶縁層14の上面)には、キャビティ19Aを取り囲むようにシール用のメタライズ導体層28が設けられている。このメタライズ導体層28上には、図示しないめっき層やロウ材層が設けられるとともに、そのロウ材層等を介して図示しないキャップが取り付けられる。このキャップによってキャビティ19Aの開口が塞がれる。また、セラミック多層基板11の下面13(セラミック絶縁層16の下面)には、他の基板上に実装するための複数の端子パッド29が形成されている。
各セラミック絶縁層14〜16の側面には、断面円形の凹部30が形成されており、その凹部30の表面にキャスタレーション31(端面スルーホール導体)が設けられている。キャスタレーション31は、端子パッド29と内層の導体層18とを電気的に接続している。
各セラミック絶縁層14,15,16には、複数のビア穴33が形成されており、各ビア穴33内にはタングステンを主体とするビア導体34が設けられている。ビア導体34は、各導体層18,28、及び各端子パッド24,29を相互に電気的に接続している。
次に、上記セラミック多層基板11Aを製造する方法について説明する。
まず、上記第1の実施の形態と同様に、シート準備工程によって、セラミックグリーンシート43及び接着用セラミックシート46を準備する(図2参照)。次いで、シート貼り付け工程を行う。上記第1の実施の形態では、上層のセラミック絶縁層14となるセラミックグリーンシート43と、下層のセラミック絶縁層16となるセラミックグリーンシート43とに接着用セラミックシート46を貼り付けた。これに対して、本実施の形態では、上層のセラミック絶縁層14となるセラミックグリーンシート43と、中間層のセラミック絶縁層15となるセラミックグリーンシート43とに接着用セラミックシート46を貼り付ける。
この後、第1の実施の形態と同様に、導体部形成工程を行い、各セラミックグリーンシート43に未焼成ビア導体部50、未焼成キャスタレーション用導体部51及び未焼成導体部53を形成する(図14参照)。
そして、上層及び中間層のセラミック絶縁層14,15となる各セラミックグリーンシート43に対して従来周知のパンチング(打ち抜き)加工を施す。この結果、図15に示されるように、各セラミックグリーンシート43に、キャビティ19Aとなる貫通穴部55A,56Aを形成する(キャビティ形成工程)。ここでは、各セラミックグリーンシート43の裏面42に貼り付けられている接着用セラミックシート46にも、キャビティ19Aとなる貫通穴部55A,56Aが形成される。なお、上層側の貫通穴部55Aのサイズは、中間層側の貫通穴部56Aのサイズよりも大きくなっている。また、下層のセラミック絶縁層16となるセラミックグリーンシート43は、パンチング加工を施すことなく、貫通穴部55A,56Aが非形成の平板状のシートとなっている。
その後、各セラミックグリーンシート43を用いて、積層体形成工程を行う。積層体形成工程では、貫通穴部55A,56Aの非形成の平板状のセラミックグリーンシート43を下層に配置する。そして、平板状のセラミックグリーンシート43上に、貫通穴部55A,56Aのサイズの異なる枠状のセラミックグリーンシート43を重ね合わせて配置する。ここで、枠状の各セラミックグリーンシート43は、接着用セラミックシート46が貼られた裏面42側を下側に向けた状態で順次配置する。この結果、各セラミックグリーンシート43の間に枠状の接着用セラミックシート46が介在された形で各セラミックグリーンシート43が積層される。
そして、図16に示されるように、例えばヒーターブロック58を用いて、各セラミックグリーンシート43に介在される接着用セラミックシート46をセチルアルコールの融点以上の温度(例えば、70℃)に加熱する。このとき、接着用セラミックシート46に含まれるセチルアルコールを溶融させ、引張強度で50gF以上の粘着力を接着用セラミックシート46に発現させる。そして、セラミックグリーンシート43の貫通穴部55A,56Aにヒーターブロック58が非接触の状態で、そのヒーターブロック58を用いて2kgf/cmの低圧力、5秒間の短時間の条件で各セラミックグリーンシート43を積層方向に加圧する。この結果、接着用セラミックシート46を介して各セラミックグリーンシート43を一体化した未焼成セラミック積層体59Aを形成する。
その後、焼成工程を行うことにより、各セラミックグリーンシート43が焼結してセラミック多層基板100Aが得られる(図17参照)。得られるセラミック多層基板100Aは、製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した構造の多数個取り用の多層基板である。そして、分割工程を行い多数個取り用のセラミック多層基板100Aを分割することにより、図13に示すセラミック多層基板11Aが複数同時に得られる。
このように、セラミック多層基板11Aを製造する場合でも、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態を図面に基づき説明する。本実施の形態では、セラミック多層基板の製造方法が第1の実施の形態と異なる。
図18に示されるように、本実施の形態のセラミック多層基板11Bでは、中間層のセラミック絶縁層15の上面23側に形成される各導体層18や各端子パッド24は、その上面23に埋まり込むとともに、セラミック絶縁層15の下面25側に形成される各導体層18や各端子パッド26は、その下面25に埋まり込むようにして形成されている。
以下、本実施の形態の製造方法について詳述する。
まず、シート準備工程を行って、セラミックグリーンシート43及び接着用セラミックシート46Aを準備する(図19参照)。なお、セラミックグリーンシート43及び接着用セラミックシート46Aの形成材料及び製法は、上記第1の実施の形態と同じであるが、接着用セラミックシート46Aは、上記第1の実施の形態の接着用セラミックシート46よりも厚く形成される。具体的には、本実施の形態で用いる接着用セラミックシート46Aは、中間層のセラミック絶縁層15となる部分であって、セラミックグリーンシート43とほぼ同じ厚さで形成される。
次に、接着用セラミックシート46Aに対する導体部形成工程を行う。具体的には、接着用セラミックシート46Aの複数箇所に、そのセラミックシート46Aの厚さ方向に貫通する貫通穴48,49を形成する(図20参照)。そして、貫通穴48,49内にそれぞれ導体部を形成する。より具体的にいうと、まず従来周知のペースト印刷装置によるビアメタライズ充填を行って、貫通穴48内にタングステンペーストを充填し、ビア導体34となる未焼成ビア導体部50を形成する。次いで、キャスタレーション印刷を行って、貫通穴49の内周面にタングステンペーストを付着させ、キャスタレーション31となる未焼成キャスタレーション用導体部51を形成する(図21参照)。
そして次に、転写法によって、接着用セラミックシート46Aの上に未焼成導体部53を形成する。ここでは、転写用フィルム75の表面に、タングステンペーストを印刷することで、未焼成導体部53を形成する(図22参照)。その後、ヒーターブロック58等を用いて、各接着用セラミックシート46Aをセチルアルコールの融点以上の温度(例えば、70℃)に加熱する。このとき、接着用セラミックシート46Aにおいてセチルアルコールが溶解して液状化する。そして、液状化したセチルアルコールは接着剤の溶剤となってその接着剤の接着性能が復活し、さらに接着用セラミックシート46Aの表面は、接着剤が大半をしめるので、粘着性が発現する。この状態で、接着用セラミックシート46Aの表面44及び裏面45に転写用フィルム75を押し付けて未焼成導体部53を埋め込むようにして、未焼成導体部53を転写する(図23参照)。
その後、接着用セラミックシート46Aが粘着性を発現しない温度、つまり有機化合物の融点以下の温度(例えば、50℃)まで接着用セラミックシート46Aを冷却し、転写用フィルム75を剥離する。この結果、中間層のセラミック絶縁層15となる接着用セラミックシート46Aの表面44及び裏面45に未焼成導体部53を形成する(図24参照)。
また、上層側及び下層側のセラミック絶縁層14,16となるセラミックグリーンシート43に対しては、第1の実施の形態と同様に、導体部形成工程を行い、セラミックグリーンシート43に未焼成ビア導体部50、未焼成キャスタレーション用導体部51及び未焼成導体部53を形成する(図24参照)。但し、本実施の形態では、各セラミックグリーンシート43に接着用セラミックシート46を貼り付けない状態で、導体部形成工程を行う。
各導体部50,51,53の形成後、各セラミックグリーンシート43に対してパンチング加工を施すことにより、各セラミックグリーンシート43に、キャビティ19,20となる貫通穴部55,56を形成する(キャビティ形成工程)。なお、中間層のセラミック絶縁層15となる接着用セラミックシート46Aは、パンチング加工を施すことなく、貫通穴部55,56が非形成の平板状のシートとなっている。
その後、各セラミックグリーンシート43及び接着用セラミックシート46Aを用いて、積層体形成工程を行う。積層体形成工程では、先ず、貫通穴部55,56が非形成の平板状の接着用セラミックシート46Aを真ん中に配置する。そして、その平板状の接着用セラミックシート46Aの表面44及び裏面45に、貫通穴部55,56を形成した枠状のセラミックグリーンシート43を重ね合わせて配置する。この結果。各セラミックグリーンシート43の間に接着用セラミックシート46Aが介在された形で各シート43,46が積層される。
そして、第1の実施の形態と同様に、ヒーターブロック58を用いて、セチルアルコールの融点以上の温度(例えば、70℃)に加熱し、接着用セラミックシート46Aに粘着力を発現させる。そして、ヒーターブロック58を用い、2kgf/cmの低圧力、5秒間の短時間の条件で各セラミックグリーンシート43を積層方向に加圧する。この結果、接着用セラミックシート46Aを介して各セラミックグリーンシート43を一体化して未焼成セラミック積層体59Bを形成する(図25参照)。
その後、焼成工程を行うことにより、各セラミックグリーンシート43が焼結してセラミック多層基板が得られる。得られるセラミック多層基板は、製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した構造の多数個取り用の多層基板である。そして、分割工程を行い多数個取り用のセラミック多層基板を分割することにより、図18に示すセラミック多層基板11Bが複数同時に得られる。
このように、セラミック多層基板11Bを製造する場合でも、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、中間層のセラミック絶縁層15に各導体層18や各端子パッド24,26が埋まり込むようにして設けられているため、各導体層18や各端子パッド24,26とセラミック絶縁層15との密着性を十分に確保することができる。
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1の実施の形態では、枠状のセラミックグリーンシート43と平板状のセラミックグリーンシート43との間に枠状の接着用セラミックシート46を介在させて各セラミックグリーンシート43を積層していたが、これに限定されるものではない。枠状のセラミックグリーンシート43と平板状のセラミックグリーンシート43との間に平板状の接着用セラミックシート46を介在させて各セラミックグリーンシート43を積層してもよい。この場合、中間層のセラミック絶縁層15となるセラミックグリーンシート43の表面41及び裏面42に平板状の接着用セラミックシート46を貼り付けた後に、ビア導体部形成工程及びキャスタレーション形成工程を行う。また、上層及び下層のセラミック絶縁層14,16となるセラミックグリーンシート43は、接着用セラミックシート46を貼り付けない状態でビア導体部形成工程及びキャスタレーション形成工程等を行う。このようにしても、低圧力で未焼成セラミック積層体59を形成することができ、枠部21,22の変形を抑えることができる。
・上記第3の実施の形態では、中間層のセラミック絶縁層15のみが接着用セラミックシート46Aを用いて形成され、他のセラミック絶縁層14,15は通常のセラミックグリーンシート43を用いて形成されるものであった。これに対して、3枚の接着用セラミックシート46Aを用いて各セラミック絶縁層14〜16を形成するものでもよい。
・上記各実施の形態のセラミック多層基板11,11A,11Bでは、キャスタレーション31(端面スルーホール導体)を形成していたが、キャスタレーション31を形成しないセラミック多層基板としてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)手段1または2において、前記積層体形成工程では、前記接着用セラミックシートが引張強度で150gF以上の粘着力を発現させた状態で、各セラミックシートを積層方向に加圧することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(2)手段1または2において、前記積層体形成工程では、1kgf/cm以上5kgf/cm以下の低圧力、かつ、1秒以上120秒以下の短時間の条件で、各セラミックシートを積層方向に加圧することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(3)手段1または2において、前記シート準備工程で準備される前記接着用セラミックシートは、前記セラミック材料100重量部に対して、前記粘着剤を25重量部以上の割合で含有させ、かつ、前記有機化合物を3重量部以上15重量部以下の割合で含有させたものであること特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(4)手段1または2において、前記未焼成セラミックシートは、樹脂材料からなる有機バインダを含んで成形され、前記接着用セラミックシートは、前記有機バインダを含まずに成形されること特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(5)手段1または2において、前記積層体形成工程の後に、前記未焼成セラミック積層体を焼結させて、前記セラミック絶縁層及び前記導体層を形成する焼成工程をさらに含むことを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(6)手段1または2において、前記有機化合物は、60℃以上の温度で溶融する有機化合物であることを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(7)手段1または2において、前記有機化合物は、常温にて固体状である高沸点アルコールであることを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
(8)手段2において、前記貫通穴部のサイズが異なる枠状の前記未焼成セラミックシートを枠状の前記接着用セラミックシートを介在させて積層することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
11,11A,11B…セラミック多層基板
12…基板主面としての上面
13…基板裏面としての下面
14,15,16…セラミック絶縁層
18…導体層
19,19A,20…キャビティ
21,22,71,72…枠部
24,26,28,29…導体層としての端子パッド
31…キャスタレーション
41…未焼成セラミックシートの表面
42…未焼成セラミックシートの裏面
43…未焼成セラミックシートとしてのセラミックグリーンシート
44…接着用セラミックシートの表面
45…接着用セラミックシートの裏面
46,46A…接着用セラミックシート
49…貫通穴
51…未焼成キャスタレーション用導体部
53…未焼成導体部
55,55A,56,56A…貫通穴部
58…加圧治具としてのヒーターブロック
59,59A,59B…未焼成セラミック積層体
70…段差

Claims (4)

  1. 基板主面及び基板裏面を有するとともに、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とを積層して多層化した構造を有し、前記基板主面及び前記基板裏面の両面に開口するよう設けられ、素子を搭載可能な非貫通凹部であるキャビティを備え、前記キャビティの周囲に形成される枠部の幅が300μm以下であり、前記枠部の高さが700μm以下であるセラミック多層基板の製造方法であって、
    前記セラミック絶縁層となるセラミック材料を用いて表面及び裏面を有するシート状に成形された未焼成セラミックシートを準備するとともに、前記セラミック材料と、粘着剤と、加熱によって溶融する有機化合物とを少なくとも含んでシート状に成形された接着用セラミックシートを準備するシート準備工程と、
    前記未焼成セラミックシートに前記キャビティとなる貫通穴部を形成するキャビティ形成工程と、
    前記未焼成セラミックシートの表面及び裏面の少なくも一方に前記導体層となる未焼成導体部を形成する導体部形成工程と、
    前記接着用セラミックシートを介して前記貫通穴部が非形成の平板状の前記未焼成セラミックシートと、前記基板主面側のキャビティとなる貫通穴部が形成された未焼成セラミックシートと、前記基板裏面側のキャビティとなる貫通穴部が形成された未焼成セラミックシートと、を積層した後、前記有機化合物の融点以上の温度に加熱し前記接着用セラミックシートに粘着力を発現させるとともに、前記貫通穴部の内面に対して加圧治具が非接触の状態でその加圧治具を用いて各セラミックシートを積層方向に加圧することにより、前記接着用セラミックシートを介して各未焼成セラミックシートを一体化した未焼成セラミック積層体を形成する積層体形成工程と
    を含むことを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
  2. 前記キャビティ形成工程において、前記未焼成セラミックシートに加えて前記接着用セラミックシートにも前記キャビティとなる貫通穴部を形成し、
    前記積層体形成工程では、前記貫通穴部が形成され前記枠部となる枠状の前記未焼成セラミックシートと、前記貫通穴部が非形成の平板状の前記未焼成セラミックシートとの間に枠状の接着用セラミックシートを介在させて前記未焼成セラミック積層体を形成する
    ことを特徴とする請求項に記載のセラミック多層基板の製造方法。
  3. 前記積層体形成工程では、前記接着用セラミックシートが引張強度で50gF以上の粘着力を発現させた状態で、各セラミックシートを積層方向に加圧することを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック多層基板の製造方法。
  4. 前記セラミック多層基板は、その側面に端面スルーホール導体であるキャスタレーションが設けられた基板であり、
    前記積層体形成工程の前に、前記未焼成セラミックシート及び前記接着用セラミックシートの厚さ方向に貫通する貫通穴を形成するとともにその貫通穴内に前記キャスタレーションとなる未焼成キャスタレーション用導体部を形成するキャスタレーション形成工程を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のセラミック多層基板の製造方法。
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