JP5993946B2 - スピーカー - Google Patents

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Description

本発明は、静電引力の変化を基に振動部を振動させ音声を再生する、静電型のスピーカーに関する。
特許文献1には、複数のスピーカーを有するスピーカー装置が開示されている。複数のスピーカーは、各々、動電型のスピーカーである。複数のスピーカーは、単体では点音源に過ぎない。ところが、複数のスピーカーは、ライン状に配列されている。このため、同文献のスピーカー装置によると、疑似的に線音源を創出することができる。
国際公開第2008/142867号パンフレット 特開2011−77663号公報
しかしながら、同文献記載のスピーカー装置の場合、同じ特性を有するスピーカーを複数配置する必要がある。また、複数のスピーカーを備えるため、回路構成が複雑化してしまう。また、複数のスピーカーの各々に対して、指向特性を設定する必要がある。また、隣り合うスピーカー間の間隔を厳格に管理しないと、受聴領域において、音場が一様になりにくい。
この点、特許文献2には、静電型のスピーカーが開示されている。静電型のスピーカーは、一対の電極層と、誘電層と、回路部と、を備えている。誘電層は、一対の電極層の間に介装されている。一対の電極層と、誘電層と、が重複することにより、重複部が形成されている。一対の電極層は、各々、端子を介して、回路部に電気的に接続されている。重複部には、一対の電極層を介して、再生対象となる音声に基づく信号波(電圧)が印加される。本発明者は、上述したような静電型のスピーカーを、特許文献1のスピーカー装置のように、ライン状にすることにより、線音源を創出することを試みた。
しかしながら、この場合、電極層が細長くなってしまう。重複部には、細長い電極層を介して、電圧が印加される。このため、重複部において、端子(つまり回路部)からの距離が短い部分と、端子からの距離が長い部分と、が発生してしまう。電極層は、電気抵抗(固有抵抗)を有している。重複部のうち、端子からの距離が短い部分においては、電極層の固有抵抗による電圧の損失が小さくなる。これに対して、重複部のうち、端子からの距離が長い部分においては、電極層の固有抵抗による電圧の損失が大きくなる。したがって、重複部全体に亘って、電圧がばらついてしまう。
本発明のスピーカーは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することが可能なスピーカーを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のスピーカーは、回路部と、絶縁性を有しエラストマー製または樹脂製の誘電層と、該誘電層の表裏両側に配置され導電性を有し該回路部に電気的に接続される接続部を有する一対の電極層と、表側または裏側から見て一対の該電極層と該誘電層とが重複してなる重複部と、を有する表裏一対の振動部と、表側の該振動部を表側に、裏側の該振動部を裏側に、各々突出させるように、一対の該振動部の間に配置される介装部材と、該接続部と該重複部との間の電気抵抗のばらつきを抑制する抵抗調整部と、を備え、該回路部が、音声に基づく信号波を、互いに逆相になるように、一対の該振動部に伝達し、一対の該振動部を駆動することにより、該音声を再生することを特徴とする。
ここで、「エラストマー製または樹脂製」とは、誘電層の基材が、エラストマー製または樹脂であることをいう。すなわち、誘電層は、エラストマーまたは樹脂の他に、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。また、「エラストマー」には、ゴムおよび熱可塑性エラストマーが含まれる。
本発明のスピーカーは、静電型のスピーカーである。再生対象となる音声が入力されると、誘電層の表裏両側に配置された一対の電極層間の電圧が変化する。このため、一対の電極層間の静電引力が変化する。したがって、誘電層が表裏方向に伸縮する。誘電層が表裏方向に伸張すると、誘電層は面方向(表裏方向に対して交差する方向)に収縮する。反対に、誘電層が表裏方向に収縮すると、誘電層は面方向に伸張する。当該誘電層の変形を利用して、本発明のスピーカーは、振動部を振動させ、音声を再生している。
本発明のスピーカーは、回路部と、一対の振動部と、介装部材と、抵抗調整部と、を備えている。介装部材は、一対の振動部の間に介装されている。回路部は、音声に基づく信号波を、互いに逆相になるように、一対の振動部に伝達する。このため、一対の振動部は、互いに逆方向の動作を行う。例えば、裏側の振動部が面方向に収縮する場合、表側の振動部は面方向に伸張する。反対に、表側の振動部が面方向に収縮する場合、裏側の振動部は面方向に伸張する。
本発明のスピーカーによると、介装部材を介して、一対の振動部間で荷重の伝達を行うことができる。このため、一対の振動部の表裏方向の振動を大きくすることができる。したがって、一対の振動部の振幅を大きくすることができる。よって、一対の振動部に対する印加電圧が小さい場合であっても、スピーカーの低周波特性を向上させることができる。例えば、低周波数領域の音圧を向上させることができる。また、再生可能な周波数領域を低周波数側に拡張することができる。また、本発明のスピーカーは、低周波特性が高いにもかかわらず、小型化が可能である。
また、本発明のスピーカーは、抵抗調整部を備えている。抵抗調整部は、接続部と重複部との間の電気抵抗のばらつきを抑制することができる。このため、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記抵抗調整部は、前記接続部と前記重複部との間の距離が最短になる最短経路と、該接続部と該重複部との間の距離が最長になる最長経路と、の間の電気抵抗の較差を小さくする構成とする方がよい。
最長経路は電気抵抗が大きい。このため、重複部のうち、最長経路に繋がる部分は、電圧の損失が大きくなる。これに対して、最短経路は電気抵抗が小さい。このため、重複部のうち、最短経路に繋がる部分は、電圧の損失が小さくなる。本構成によると、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記抵抗調整部は、前記電極層の前記接続部と前記重複部との間に配置され、該電極層よりも電気抵抗が小さい導電部である構成とする方がよい。
本構成によると、電極層と導電部との間の電気抵抗の較差を利用して、接続部と重複部との間の電気抵抗のばらつきを抑制することができる。このため、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記導電部は、表側または裏側から見て、前記重複部の外縁の少なくとも一部に沿って延在している構成とする方がよい。本構成によると、外縁の延在方向における電気抵抗のばらつきを抑制することができる。
(4)好ましくは、上記(1)の構成において、前記抵抗調整部は、前記電極層の前記接続部と前記重複部との間に配置される、表裏方向厚さが不均一の厚さ調整部である構成とする方がよい。
電極層のうち、表裏方向厚さが薄い部分は、導通経路の断面積が小さい。このため、電気抵抗が大きい。これに対して、表裏方向厚さが厚い部分は、導通経路の断面積が大きい。このため、電気抵抗が小さい。本構成によると、当該電気抵抗の較差を利用して、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記厚さ調整部は、薄層部と、該薄層部よりも表裏方向厚さが厚い厚層部と、を有し、該薄層部は、前記接続部と前記重複部との間の距離が最短になる最短経路が通過する位置に配置され、該厚層部は、該接続部と該重複部との間の距離が最長になる最長経路が通過する位置に配置される構成とする方がよい。
本構成によると、本来的に電気抵抗が小さい最短経路が、電気抵抗が大きい薄層部を経由している。一方、本来的に電気抵抗が大きい最長経路が、電気抵抗が小さい厚層部を経由している。このため、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、表側または裏側から見て、前記重複部は、長方形状を呈している構成とする方がよい。本構成によると、重複部の長辺方向に沿って線音源を形成することができる。このため、長辺方向に沿って、一様な音場を設定しやすい。
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記介装部材の表裏方向のばね定数は、該介装部材の面方向のばね定数よりも、大きい構成とする方がよい。
本構成によると、介装部材が表裏方向に伸縮しにくい。このため、一対の振動部間における荷重の伝達ロスを小さくすることができる。また、本構成によると、介装部材が面方向に変形しやすい。このため、振動部の面方向の伸縮に、介装部材が追従して伸縮しやすい。
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記振動部は、表側の前記電極層の表側および裏側の前記電極層の裏側に配置される表裏一対のシールド層を有し、一対の該シールド層は、各々、絶縁性を有しエラストマー製である構成とする方がよい。本構成によると、振動部の絶縁性を確保しやすい。
(8)好ましくは、上記(7)の構成において、前記振動部は、表側から裏側に向かって、表側の前記シールド層と、表側の前記電極層と、前記誘電層と、裏側の前記電極層と、裏側の前記シールド層と、が積層されてなるフィルムアセンブリである構成とする方がよい。本構成によると、表側のシールド層、表側の電極層、誘電層、裏側の電極層、裏側のシールド層が一体化されている。このため、スピーカーの組立作業が簡単である。
(9)好ましくは、上記(8)の構成において、表側の前記フィルムアセンブリの表側および裏側の前記フィルムアセンブリの裏側に配置される表裏一対の枠部材を備え、一対の該枠部材により、表側の該フィルムアセンブリと裏側の該フィルムアセンブリとが、表裏方向から挟持、固定されている構成とする方がよい。
一対のフィルムアセンブリは、各々、固定部分(一対の枠部材に固定されている部分)と、枠内部分(一対の枠部材の枠内に配置されている部分)と、を有している。本構成によると、固定部分と枠内部分との境界に、ヒンジ支点(枠内部分が振動する際の支点)を配置することができる。
(9−1)好ましくは、上記(9)の構成において、一対の前記フィルムアセンブリは、各々、一対の前記枠部材に固定されている固定部分と、一対の該枠部材の枠内に配置されている枠内部分と、を有しており、該固定部分と該枠内部分との境界には、ヒンジ支点が配置され、前記介装部材は、一対の該枠部材の枠内に配置されており、該ヒンジ支点と該介装部材との間には、該介装部材よりも剛性が高い縁部材が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、ヒンジ支点を基準に、大きくフィルムアセンブリを振動させることができる。このため、一対のフィルムアセンブリの振幅を大きくすることができる。
(10)好ましくは、上記(9)の構成において、一対の前記枠部材は、各々、互いに面方向に対向する一対の対向辺を有する構成とする方がよい。本構成によると、ヒンジ支点を基準に、大きくフィルムアセンブリを振動させることができる。このため、一対のフィルムアセンブリの振幅を大きくすることができる。
(11)好ましくは、上記(1)ないし(10)のいずれかの構成において、表側の前記振動部の一対の前記電極層のうち、表側の該電極層を第一電極層、裏側の該電極層を第二電極層、裏側の前記振動部の一対の前記電極層のうち、表側の該電極層を第三電極層、裏側の該電極層を第四電極層、該第一電極層と該第四電極層との対を外側電極対、該第二電極層と該第三電極層との対を内側電極対、として、前記回路部は、該外側電極対および該内側電極対のうち一方に対して、互いに同極性のバイアス電圧と、互いに逆相の前記信号波と、を各々重畳して印加し、該外側電極対および該内側電極対のうち他方は、接地されている構成とする方がよい。本構成によると、簡単に、一対の振動部を逆方向に動作させることができる。
(12)好ましくは、上記(1)ないし(10)のいずれかの構成において、任意の前記振動部において、N(Nは2以上の整数)層の前記誘電層と、N+1層の前記電極層と、は表裏方向に交互に積層されており、該電極層は、エラストマーと、導電材と、を有しており、N+1層の該電極層のうち、表側から数えて奇数番目の該電極層を奇数電極層、表側から数えて偶数番目の該電極層を偶数電極層として、該奇数電極層の前記接続部と、該偶数電極層の該接続部と、は表側または裏側から見て、前記重複部の両側に分かれて配置されていると共に、該接続部は前記抵抗調整部を兼ねており、該誘電層は、表側または裏側から見て、前記重複部の両側に一対の電極層挿通孔を有し、該奇数電極層の該接続部同士は、一対の該電極層挿通孔のうち、一方の該電極層挿通孔を介して、連結されており、該偶数電極層の該接続部同士は、一対の該電極層挿通孔のうち、他方の該電極層挿通孔を介して、連結されている構成とする方がよい。
電極層(奇数電極層、偶数電極層)は、エラストマーを含有している。このため、電極層は柔軟である。振動部を組み付ける際、振動部には表裏方向から圧縮荷重が加わる。当該圧縮荷重により、電極層の接続部は弾性変形し、隣り合う電極層挿通孔に進入する。当該接続部の弾性変形を利用して、奇数電極層の接続部同士は連結されている。並びに、当該接続部の弾性変形を利用して、偶数電極層の接続部同士は連結されている。
本構成によると、奇数電極層の接続部同士を連結するために、別途、配線などの部材を配置する必要がない。同様に、偶数電極層の接続部同士を連結するために、別途、配線などの部材を配置する必要がない。このため、スピーカーの部品点数が少なくなる。また、スピーカーの構造が簡単になる。
本発明によると、重複部に印加される電圧のばらつきを抑制することが可能なスピーカーを提供することができる。
図1は、第一実施形態のスピーカーの斜視図である。 図2は、図1のII−II方向断面図である。 図3は、同スピーカーの分解斜視図である。 図4は、図3の上部分(表側枠部材、フィルムアセンブリ、表側絶縁部材)の拡大図である。 図5は、図3の下部分(裏側絶縁部材、フィルムアセンブリ、裏側枠部材)の拡大図である。 図6は、同スピーカーの表側枠部材の斜視図である。 図7は、同スピーカーの裏側絶縁部材の斜視図である。 図8は、同スピーカーの前方のフィルムアセンブリの分解斜視図である。 図9は、同スピーカーの後方のフィルムアセンブリの分解斜視図である。 図10は、同スピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図である。 図11は、同スピーカーの後方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図である。 図12は、同スピーカーの動作説明図である。 図13は、第二実施形態のスピーカーの斜視図である。 図14は、図13のXIV−XIV方向断面図である。 図15は、同スピーカーの分解斜視図である。 図16は、図15の表側枠部材、前方のフィルムアセンブリの拡大図である。 図17は、図15の中間絶縁部材、介装部材の拡大図である。 図18は、図15の後方のフィルムアセンブリ、裏側枠部材の拡大図である。 図19は、同スピーカーの前方のフィルムアセンブリの分解斜視図である。 図20は、同スピーカーの後方のフィルムアセンブリの分解斜視図である。 図21は、同スピーカーの前方のフィルムアセンブリの奇数電極層、誘電層、偶数電極層の透過前面図である。 図22は、同スピーカーの後方のフィルムアセンブリの奇数電極層、誘電層、偶数電極層の透過前面図である。 図23(a)は、その他の実施形態(その1)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図である。図23(b)は、その他の実施形態(その2)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図である。図23(c)は、その他の実施形態(その3)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図である。 図24(a)は、その他の実施形態(その4)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図である。図24(b)は、(a)のXIV(b)−XIV(b)方向断面図である。 図25は、その他の実施形態(その5)のスピーカーの前後方向断面図である。
1:スピーカー。
2:フィルムアセンブリ、20:誘電層、201:導電部挿通孔、202LD:端子挿通孔、202LU:端子挿通孔、202RD:端子挿通孔、202RU:端子挿通孔、205L:電極層挿通孔、205R:電極層挿通孔、21:表側電極層(第一電極層)、210:接続部、211:本体部、22:裏側電極層(第二電極層)、220:接続部、221:本体部、23:表側シールド層(シールド層)、230:導電部挿通孔、231:導電部挿通孔、232LD:端子挿通孔、232LU:端子挿通孔、232RD:端子挿通孔、232RU:端子挿通孔、235L:押圧部挿通孔、235R:押圧部挿通孔、24:裏側シールド層(シールド層)、242LD:端子挿通孔、242LU:端子挿通孔、242RD:端子挿通孔、242RU:端子挿通孔、25:奇数電極層、250:接続部、251:本体部、26:偶数電極層、260:接続部、261:本体部。
3:フィルムアセンブリ、30:誘電層、301:導電部挿通孔、302LD:端子挿通孔、302LU:端子挿通孔、302RD:端子挿通孔、302RU:端子挿通孔、305L:電極層挿通孔、305R:電極層挿通孔、31:表側電極層(第三電極層)、310:接続部、311:本体部、32:裏側電極層(第四電極層)、320:接続部、321:本体部、33:表側シールド層(シールド層)、330:導電部挿通孔、331:導電部挿通孔、332LD:端子挿通孔、332LU:端子挿通孔、332RD:端子挿通孔、332RU:端子挿通孔、34:裏側シールド層(シールド層)、342LD:端子挿通孔、342LU:端子挿通孔、342RD:端子挿通孔、342RU:端子挿通孔、345L:押圧部挿通孔、345R:押圧部挿通孔、35:奇数電極層、350:接続部、351:本体部、36:偶数電極層、360:接続部、361:本体部。
4:介装部材、41:縁部材。
5:回路部、50a:交流電源、50b:交流電源、51:直流バイアス電源、53:スイッチ。
60:表側枠部材(枠部材)、60D:対向辺、60L:対向辺、60R:対向辺、60U:対向辺、61:裏側枠部材(枠部材)、61D:対向辺、61L:対向辺、61R:対向辺、61U:対向辺、62:表側絶縁部材、63:裏側絶縁部材、64:中間絶縁部材。
70:表側電極層用導電部(導電部)、700:接続部、701:接続部、702:配線部、71:裏側電極層用導電部(導電部)、710:接続部、712:配線部、72:表側電極層用導電部(導電部)、720:接続部、722:配線部、73:裏側電極層用導電部(導電部)、730:接続部、732:配線部、75:厚さ調整部、76:厚さ調整部、760:薄層部、761:厚層部、762:中間薄層部、763:中間厚層部。
80LD:負極第二端子、80LU:負極第一端子、80RD:正極第二端子、80RU:正極第一端子、81:端子用ナット、86:スクリュー、87:ナット。
90:偶数電極層用押圧部、91:奇数電極層用押圧部、92:偶数電極層用押圧部、93:奇数電極層用押圧部、94:負極間連結部、900:端子接続部、902:配線部、910:端子接続部、912:配線部、920:端子接続部、922:配線部、930:端子接続部、932:配線部、940:端子接続部、941:端子接続部、942:配線部。
A:重複部、B:重複部、C1:最短経路、C2:最長経路、H:ヒンジ支点、P1:固定部分、P2:枠内部分、Vb:バイアス電圧。
以下、本発明のスピーカーの実施の形態について説明する。
<<第一実施形態>>
<スピーカーの全体構成>
まず、本実施形態のスピーカーの全体構成について説明する。以下に示す図においては、前方が本発明の「表側」に、後方が本発明の「裏側」に、各々対応している。図1に、本実施形態のスピーカーの斜視図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。図3に、同スピーカーの分解斜視図を示す。図4に、図3の上部分(表側枠部材、フィルムアセンブリ、表側絶縁部材)の拡大図を示す。図5に、図3の下部分(裏側絶縁部材、フィルムアセンブリ、裏側枠部材)の拡大図を示す。
図1〜図5に示すように、本実施形態のスピーカー1は、前方のフィルムアセンブリ2と、後方のフィルムアセンブリ3と、介装部材4と、回路部5と、表側枠部材60と、裏側枠部材61と、表側絶縁部材62と、裏側絶縁部材63と、表側電極層用導電部70と、裏側電極層用導電部71と、表側電極層用導電部72と、裏側電極層用導電部73と、負極第一端子80LUと、負極第二端子80LDと、正極第一端子80RUと、正極第二端子80RDと、四つの端子用ナット81と、十四本のスクリュー86と、十四個のナット87と、を備えている。
表側枠部材60、裏側枠部材61は、各々、本発明の「枠部材」の概念に含まれる。表側電極層用導電部70、裏側電極層用導電部71、表側電極層用導電部72、裏側電極層用導電部73は、各々、本発明の「導電部」の概念に含まれる。
[表側枠部材60、表側電極層用導電部70、裏側電極層用導電部71]
図6に、本実施形態のスピーカーの表側枠部材の斜視図を示す。図6に示すように、表側枠部材60は、樹脂製であって、上下方向に長い長方形枠状を呈している。表側枠部材60は、対向辺60L、60R、60U、60Dを備えている。対向辺60L、60R、60U、60Dは、各々、直線状を呈している。対向辺60Lと対向辺60Rとは、左右方向に対向している。対向辺60Uと対向辺60Dとは、上下方向に対向している。
図6にハッチングで示すように、表側電極層用導電部70、裏側電極層用導電部71は、各々銅製であって、表側枠部材60の後面(裏面)に配置されている。表側電極層用導電部70は、接続部700、701と、配線部702と、を備えている。接続部700は、表側枠部材60の左上隅に配置されている。接続部700は、後述する負極第一端子80LUに電気的に接続されている。接続部701は、表側枠部材60の左下隅に配置されている。接続部701は、後述する負極第二端子80LDに電気的に接続されている。配線部702は、接続部700と接続部701とを繋いでいる。すなわち、配線部702は、表側枠部材60の左辺に沿って、上下方向に延在している。
裏側電極層用導電部71は、接続部710と、配線部712と、を備えている。接続部710は、表側枠部材60の右上隅に配置されている。接続部710は、後述する正極第一端子80RUに電気的に接続されている。配線部712は、接続部710を起点に、表側枠部材60の右辺に沿って、下方向に延在している。裏側電極層用導電部71は、表側電極層用導電部70よりも、前後方向厚さ(表裏方向厚さ)が厚い。
[フィルムアセンブリ2、表側絶縁部材62]
図1〜図4に示すように、前方のフィルムアセンブリ2は、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。フィルムアセンブリ2は、表側枠部材60の後方に配置されている。介装部材4により、フィルムアセンブリ2は、前方に突出している。すなわち、図2に強調して示すように、フィルムアセンブリ2は、前方に膨らむ凸状を呈している。
表側絶縁部材62は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製であって、上下方向に長い長方形枠状を呈している。表側絶縁部材62は、フィルムアセンブリ2の後方に配置されている。
[裏側絶縁部材63、表側電極層用導電部72、裏側電極層用導電部73]
図7に、本実施形態のスピーカーの裏側絶縁部材の斜視図を示す。図7に示すように、裏側絶縁部材63は、PET製であって、上下方向に長い長方形枠状を呈している。裏側絶縁部材63は、表側絶縁部材62の後方に配置されている。
図7にハッチングで示すように、表側電極層用導電部72、裏側電極層用導電部73は、各々銅製であって、裏側絶縁部材63の後面(裏面)に配置されている。表側電極層用導電部72は、接続部720と、配線部722と、を備えている。接続部720は、裏側絶縁部材63の右下隅に配置されている。接続部720は、後述する正極第二端子80RDに電気的に接続されている。配線部722は、接続部720を起点に、裏側絶縁部材63の右辺に沿って、上方向に延在している。裏側電極層用導電部73は、接続部730と、配線部732と、を備えている。接続部730は、裏側絶縁部材63の左下隅に配置されている。接続部730は、後述する負極第二端子80LDに電気的に接続されている。配線部732は、接続部730を起点に、裏側絶縁部材63の左辺に沿って、上方向に延在している。裏側電極層用導電部73は、表側電極層用導電部72よりも、前後方向厚さ(表裏方向厚さ)が厚い。
[介装部材4、フィルムアセンブリ3、裏側枠部材61]
介装部材4は、ウレタン発泡体製であって、四角形板状を呈している。介装部材4は、フィルムアセンブリ2の後方に配置されている。また、介装部材4は、表側絶縁部材62および裏側絶縁部材63の枠内に配置されている。介装部材4は、前後方向から圧縮された状態で、配置されている。このため、介装部材4は、フィルムアセンブリ2を前方に、フィルムアセンブリ3を後方に、弾性的に押圧している。
図1〜図3、図5に示すように、後方のフィルムアセンブリ3は、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。フィルムアセンブリ3は、裏側絶縁部材63および介装部材4の後方に配置されている。介装部材4により、フィルムアセンブリ3は、後方に突出している。すなわち、図2に強調して示すように、フィルムアセンブリ3は、後方に膨らむ凸状を呈している。
裏側枠部材61の構成は、表側枠部材60の構成と同様である。すなわち、裏側枠部材61は、対向辺61L、61R、61U、61Dを備えている。裏側枠部材61は、フィルムアセンブリ3の後方に配置されている。
このように、スピーカー1においては、図3に示すように、前方から後方に向かって、表側枠部材60、フィルムアセンブリ2、表側絶縁部材62、裏側絶縁部材63、フィルムアセンブリ3、裏側枠部材61が、この順に配置されている。また、図2に示すように、介装部材4は、表側絶縁部材62および裏側絶縁部材63の枠内に配置されている。また、表側電極層用導電部70および裏側電極層用導電部71は、フィルムアセンブリ2に埋設されている。また、表側電極層用導電部72および裏側電極層用導電部73は、フィルムアセンブリ3に埋設されている。以下、これらの部材を総称して「積層体」と称す。
[スクリュー86、ナット87、負極第一端子80LU、負極第二端子80LD、正極第一端子80RU、正極第二端子80RD、端子用ナット81]
図1〜図3に示すように、十四本のスクリュー86は、積層体の四辺に沿って配置されている。十四本のスクリュー86は、積層体を前後方向に貫通している。十四本のスクリュー86の後端には、各々、ナット87が止着されている。十四本のスクリュー86および十四個のナット87により、積層体は一体化されている。
図1〜図5に示すように、負極第一端子80LUは、金属製であって、スクリュー状を呈している。負極第一端子80LUは、積層体の左上隅に配置されている。負極第一端子80LUは、積層体を前後方向に貫通している。負極第一端子80LUの後端には、端子用ナット81が止着されている。
負極第二端子80LD、正極第一端子80RU、正極第二端子80RDの構成、配置方法は、負極第一端子80LUと同様である。負極第二端子80LDは、積層体の左下隅に配置されている。正極第一端子80RUは、積層体の右上隅に配置されている。正極第二端子80RDは、積層体の右下隅に配置されている。
前方または後方から見て、フィルムアセンブリ2、3の四辺は、表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されている。また、前方または後方から見て、介装部材4は、表側枠部材60および裏側枠部材61の枠内に収容されている。
<フィルムアセンブリ2の詳細な構成>
次に、本実施形態のスピーカー1の前方のフィルムアセンブリ2の詳細な構成について説明する。図8に、本実施形態のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの分解斜視図を示す。図8に示すように、フィルムアセンブリ2は、誘電層20と、表側電極層21と、裏側電極層22と、表側シールド層23と、裏側シールド層24と、を備えている。
表側電極層21は、本発明の「第一電極層」の概念に含まれる。裏側電極層22は、本発明の「第二電極層」の概念に含まれる。表側シールド層23、裏側シールド層24は、各々、本発明の「シールド層」の概念に含まれる。
これらの層は、各々、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。これらの層は、前方から後方に向かって、表側シールド層23、表側電極層21、誘電層20、裏側電極層22、裏側シールド層24の順に積層されている。
[表側シールド層23]
表側シールド層23は、H−NBR(水素化ニトリルゴム)製である。表側シールド層23には、導電部挿通孔230、231、端子挿通孔232LD、232RDが穿設されている。導電部挿通孔230は、表側シールド層23の左辺に沿って、上下方向に延在している。導電部挿通孔230には、図6に示す表側電極層用導電部70が挿通されている。導電部挿通孔231は、表側シールド層23の右辺に沿って、上下方向に延在している。導電部挿通孔231には、図6に示す裏側電極層用導電部71が挿通されている。端子挿通孔232LDは、表側シールド層23の左下隅に配置されている。端子挿通孔232LDには、負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔232RDは、表側シールド層23の右下隅に配置されている。端子挿通孔232RDには、正極第二端子80RDが挿通されている。
[表側電極層21]
表側電極層21は、アクリルゴム中にカーボン粉末が充填された電極材料製である。表側電極層21は、電極材料を含む塗料が誘電層20に塗布(例えばスクリーン印刷など)されることにより、形成されている。表側電極層21は、図6に示す表側電極層用導電部70よりも、電気抵抗が大きい。図8に、表側シールド層23、誘電層20、裏側シールド層24の大きさを一点鎖線で示す。図8に示すように、表側電極層21は、表側シールド層23、誘電層20、裏側シールド層24よりも、小さい。
表側電極層21は、接続部210と、本体部211と、を備えている。本体部211は、長方形状を呈している。接続部210は、本体部211の左上隅に繋がっている。接続部210は、負極第一端子80LUに電気的に接続されている。表側電極層21の上辺、下辺、右辺は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されていない。表側電極層21の左辺(接続部210および本体部211の左辺)は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されている。
図6に示す表側電極層用導電部70は、図8に示す表側シールド層23の導電部挿通孔230を貫通して、表側電極層21の左辺の前面に当接している。図6に示す裏側電極層用導電部71は、図8に示す表側シールド層23の導電部挿通孔231を貫通して、表側電極層21の右辺の右側を通り抜けている。すなわち、裏側電極層用導電部71は、表側電極層21に当接していない。また、負極第二端子80LD、正極第一端子80RU、正極第二端子80RDは、表側電極層21に当接していない。
[誘電層20]
誘電層20は、H−NBR製である。誘電層20には、導電部挿通孔201、端子挿通孔202LU、202LD、202RDが穿設されている。導電部挿通孔201は、誘電層20の右辺に沿って、上下方向に延在している。導電部挿通孔201には、図6に示す裏側電極層用導電部71が挿通されている。端子挿通孔202LUは、誘電層20の左上隅に配置されている。端子挿通孔202LUには、負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔202LDは、誘電層20の左下隅に配置されている。端子挿通孔202LDには、負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔202RDは、誘電層20の右下隅に配置されている。端子挿通孔202RDには、正極第二端子80RDが挿通されている。
[裏側電極層22]
裏側電極層22は、アクリルゴム中にカーボン粉末が充填された電極材料製である。裏側電極層22は、電極材料を含む塗料が誘電層20に塗布(例えばスクリーン印刷など)されることにより、形成されている。裏側電極層22は、図6に示す裏側電極層用導電部71よりも、電気抵抗が大きい。図8に示すように、裏側電極層22は、表側シールド層23、誘電層20、裏側シールド層24よりも、小さい。
裏側電極層22は、接続部220と、本体部221と、を備えている。本体部221は、長方形状を呈している。接続部220は、本体部221の右上隅に繋がっている。接続部220は、正極第一端子80RUに電気的に接続されている。裏側電極層22の上辺、下辺、左辺は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されていない。裏側電極層22の右辺(接続部220および本体部221の右辺)は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されている。
図6に示す裏側電極層用導電部71は、図8に示す表側シールド層23の導電部挿通孔231、誘電層20の導電部挿通孔201を貫通して、裏側電極層22の右辺の前面に当接している。負極第一端子80LU、負極第二端子80LD、正極第二端子80RDは、裏側電極層22に当接していない。
[裏側シールド層24]
裏側シールド層24は、H−NBR製である。裏側シールド層24には、端子挿通孔242LU、242LD、242RU、242RDが穿設されている。端子挿通孔242LUは、裏側シールド層24の左上隅に配置されている。端子挿通孔242LUには、負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔242LDは、裏側シールド層24の左下隅に配置されている。端子挿通孔242LDには、負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔242RUは、裏側シールド層24の右上隅に配置されている。端子挿通孔242RUには、正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔242RDは、裏側シールド層24の右下隅に配置されている。端子挿通孔242RDには、正極第二端子80RDが挿通されている。
以上説明したように、フィルムアセンブリ2においては、負極第一端子80LUと、表側電極層21と、が接触している。また、負極第一端子80LUと、表側電極層用導電部70と、が接触している。また、表側電極層21と、表側電極層用導電部70と、が接触している。
また、フィルムアセンブリ2においては、正極第一端子80RUと、裏側電極層22と、が接触している。また、正極第一端子80RUと、裏側電極層用導電部71と、が接触している。また、裏側電極層22と、裏側電極層用導電部71と、が接触している。
また、表側電極層21と、誘電層20と、裏側電極層22と、は前方または後方から見て、重複している。すなわち、フィルムアセンブリ2は、重複部を備えている。重複部については、後述する。
<フィルムアセンブリ3の詳細な構成>
次に、本実施形態のスピーカー1の後方のフィルムアセンブリ3の詳細な構成について説明する。図9に、本実施形態のスピーカーの後方のフィルムアセンブリの分解斜視図を示す。図9に示すように、フィルムアセンブリ3は、誘電層30と、表側電極層31と、裏側電極層32と、表側シールド層33と、裏側シールド層34と、を備えている。
表側電極層31は、本発明の「第三電極層」の概念に含まれる。裏側電極層32は、本発明の「第四電極層」の概念に含まれる。表側シールド層33、裏側シールド層34は、各々、本発明の「シールド層」の概念に含まれる。
また、前方のフィルムアセンブリ2の表側電極層21と、後方のフィルムアセンブリ3の裏側電極層32と、の対は、本発明の「外側電極対」の概念に含まれる。また、前方のフィルムアセンブリ2の裏側電極層22と、後方のフィルムアセンブリ3の表側電極層31と、の対は、本発明の「内側電極対」の概念に含まれる。
これらの層は、各々、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。これらの層は、前方から後方に向かって、表側シールド層33、表側電極層31、誘電層30、裏側電極層32、裏側シールド層34の順に積層されている。
[表側シールド層33]
表側シールド層33は、H−NBR製である。表側シールド層33には、導電部挿通孔330、331、端子挿通孔332LU、332RUが穿設されている。導電部挿通孔330は、表側シールド層33の左辺に沿って、上下方向に延在している。導電部挿通孔330には、図7に示す裏側電極層用導電部73が挿通されている。導電部挿通孔331は、表側シールド層33の右辺に沿って、上下方向に延在している。導電部挿通孔331には、図7に示す表側電極層用導電部72が挿通されている。端子挿通孔332LUは、表側シールド層33の左上隅に配置されている。端子挿通孔332LUには、負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔332RUは、表側シールド層33の右上隅に配置されている。端子挿通孔332RUには、正極第一端子80RUが挿通されている。
[表側電極層31]
表側電極層31は、アクリルゴム中にカーボン粉末が充填された電極材料製である。表側電極層31は、電極材料を含む塗料が誘電層30に塗布(例えばスクリーン印刷など)されることにより、形成されている。表側電極層31は、図7に示す表側電極層用導電部72よりも、電気抵抗が大きい。図9に、表側シールド層33、誘電層30、裏側シールド層34の大きさを一点鎖線で示す。図9に示すように、表側電極層31は、表側シールド層33、誘電層30、裏側シールド層34よりも、小さい。
表側電極層31は、接続部310と、本体部311と、を備えている。本体部311は、長方形状を呈している。接続部310は、本体部311の右下隅に繋がっている。接続部310は、正極第二端子80RDに電気的に接続されている。表側電極層31の上辺、下辺、左辺は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されていない。表側電極層31の右辺(接続部310および本体部311の右辺)は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されている。
図7に示す表側電極層用導電部72は、図9に示す表側シールド層33の導電部挿通孔331を貫通して、表側電極層31の右辺の前面に当接している。図7に示す裏側電極層用導電部73は、図9に示す表側シールド層33の導電部挿通孔330を貫通して、表側電極層31の左辺の左側を通り抜けている。すなわち、裏側電極層用導電部73は、表側電極層31に当接していない。また、負極第一端子80LU、負極第二端子80LD、正極第一端子80RUは、表側電極層31に当接していない。
[誘電層30]
誘電層30は、H−NBR製である。誘電層30には、導電部挿通孔301、端子挿通孔302LU、302RU、302RDが穿設されている。導電部挿通孔301は、誘電層30の左辺に沿って、上下方向に延在している。導電部挿通孔301には、図7に示す裏側電極層用導電部73が挿通されている。端子挿通孔302LUは、誘電層30の左上隅に配置されている。端子挿通孔302LUには、負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔302RUは、誘電層30の右上隅に配置されている。端子挿通孔302RUには、正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔302RDは、誘電層30の右下隅に配置されている。端子挿通孔302RDには、正極第二端子80RDが挿通されている。
[裏側電極層32]
裏側電極層32は、アクリルゴム中にカーボン粉末が充填された電極材料製である。裏側電極層32は、電極材料を含む塗料が誘電層30に塗布(例えばスクリーン印刷など)されることにより、形成されている。裏側電極層32は、図7に示す裏側電極層用導電部73よりも、電気抵抗が大きい。図9に示すように、裏側電極層32は、表側シールド層33、誘電層30、裏側シールド層34よりも、小さい。
裏側電極層32は、接続部320と、本体部321と、を備えている。本体部321は、長方形状を呈している。接続部320は、本体部321の左下隅に繋がっている。接続部320は、負極第二端子80LDに電気的に接続されている。裏側電極層32の上辺、下辺、右辺は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されていない。裏側電極層32の左辺(接続部320および本体部321の左辺)は、図2に示す表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されている。
図7に示す裏側電極層用導電部73は、図9に示す表側シールド層33の導電部挿通孔330、誘電層30の導電部挿通孔301を貫通して、裏側電極層32の左辺の前面に当接している。負極第一端子80LU、正極第一端子80RU、正極第二端子80RDは、裏側電極層32に当接していない。
[裏側シールド層34]
裏側シールド層34は、H−NBR製である。裏側シールド層34には、端子挿通孔342LU、342LD、342RU、342RDが穿設されている。端子挿通孔342LUは、裏側シールド層34の左上隅に配置されている。端子挿通孔342LUには、負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔342LDは、裏側シールド層34の左下隅に配置されている。端子挿通孔342LDには、負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔342RUは、裏側シールド層34の右上隅に配置されている。端子挿通孔342RDには、正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔342RDは、裏側シールド層34の右下隅に配置されている。端子挿通孔342RDには、正極第二端子80RDが挿通されている。
以上説明したように、フィルムアセンブリ3においては、正極第二端子80RDと、表側電極層31と、が接触している。また、正極第二端子80RDと、表側電極層用導電部72と、が接触している。また、表側電極層31と、表側電極層用導電部72と、が接触している。
また、フィルムアセンブリ3においては、負極第二端子80LDと、裏側電極層32と、が接触している。また、負極第二端子80LDと、裏側電極層用導電部73と、が接触している。また、裏側電極層32と、裏側電極層用導電部73と、が接触している。
また、表側電極層31と、誘電層30と、裏側電極層32と、は前方または後方から見て、重複している。すなわち、フィルムアセンブリ3は、重複部を備えている。重複部については、後述する。
<回路部5の構成>
次に、本実施形態のスピーカー1の回路部の構成について説明する。図2に示すように、回路部5は、二つの交流電源50a、50bと、直流バイアス電源51と、スイッチ53と、を備えている。
二つの交流電源50a、50bは、一対のフィルムアセンブリ2、3に、再生対象となる音声に基づく交流電圧、つまり信号波を印加している。具体的には、交流電源50aは、正極第一端子80RUを介して(図8参照)、裏側電極層用導電部71および裏側電極層22に、電気的に接続されている。また、交流電源50bは、正極第二端子80RDを介して(図9参照)、表側電極層用導電部72および表側電極層31に、電気的に接続されている。交流電源50aの信号波の位相と、交流電源50bの信号波の位相と、は互いに逆相である。
表側電極層用導電部70および表側電極層21は、負極第一端子80LUを介して(図8参照)、接地されている。また、裏側電極層用導電部73および裏側電極層32は、負極第二端子80LDを介して(図9参照)、接地されている。
直流バイアス電源51は、スイッチ53と、二つの交流電源50a、50bと、の間に配置されている。直流バイアス電源51は、交流電源50aから正極第一端子80RUに向かう方向(=交流電源50bから正極第二端子80RDに向かう方向)に対して、電圧が上がる方向にバイアス電圧を印加している。つまり、正バイアス電圧を印加している。
このように、直流バイアス電源51と交流電源50aとは、正バイアス電圧と信号波とを重畳して、フィルムアセンブリ2に印加している。並びに、直流バイアス電源51と交流電源50bとは、正バイアス電圧と信号波とを重畳して、フィルムアセンブリ3に印加している。
<重複部の構成>
次に、本実施形態のスピーカー1のフィルムアセンブリ2、3の重複部の構成について説明する。図10に、本実施形態のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図を示す。図10に示すように、表側電極層用導電部70の接続部700は、表側電極層21の接続部210に、積層されている。また、表側電極層用導電部70の配線部702は、表側電極層21の本体部211の左辺に、積層されている。配線部702は、本体部211の左辺の全長に亘って、上下方向に延在している。
一方、裏側電極層用導電部71の接続部710は、裏側電極層22の接続部220に、積層されている。また、裏側電極層用導電部71の配線部712は、裏側電極層22の本体部221の右辺に、積層されている。配線部712は、本体部221の右辺の全長に亘って、上下方向に延在している。
図10にハッチングで示すように、表側電極層21と、裏側電極層22と、は前方または後方から見て、重複している。すなわち、表側電極層21と、裏側電極層22と、の間には重複部Aが形成されている。重複部Aには、回路部5から、表側電極層21および表側電極層用導電部70、裏側電極層22および裏側電極層用導電部71を介して、電圧が印加される。
図11に、本実施形態のスピーカーの後方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図を示す。図11に示すように、表側電極層用導電部72の接続部720は、表側電極層31の接続部310に、積層されている。また、表側電極層用導電部72の配線部722は、表側電極層31の本体部311の右辺に、積層されている。配線部722は、本体部311の右辺の全長に亘って、上下方向に延在している。
一方、裏側電極層用導電部73の接続部730は、裏側電極層32の接続部320に、積層されている。また、裏側電極層用導電部73の配線部732は、裏側電極層32の本体部321の左辺に、積層されている。配線部732は、本体部321の左辺の全長に亘って、上下方向に延在している。
図11にハッチングで示すように、表側電極層31と、裏側電極層32と、は前方または後方から見て、重複している。すなわち、表側電極層31と、裏側電極層32と、の間には重複部Bが形成されている。重複部Bには、回路部5から、表側電極層31および表側電極層用導電部72、裏側電極層32および裏側電極層用導電部73を介して、電圧が印加される。
以下、重複部に印加される電圧のばらつきの抑制方法について説明する。フィルムアセンブリ2の表側電極層21、裏側電極層22、フィルムアセンブリ3の表側電極層31、裏側電極層32を代表して、フィルムアセンブリ2の裏側電極層22における電圧のばらつきの抑制方法について説明する。
図10に示すように、裏側電極層22には、正極第一端子80RUから電圧が印加される。ここで、裏側電極層22は、固有抵抗を有している。図10に点線で示すように、最短経路(接続部220と重複部Aとの間の距離が最短になる経路)C1においては、裏側電極層22の固有抵抗による電圧の損失が小さくなる。これに対して、最長経路(接続部220と重複部Aとの間の距離が最長になる経路)C2においては、裏側電極層22の固有抵抗による電圧の損失が大きくなる。したがって、正極第一端子80RUから重複部Aに印加される電圧が、重複部Aの面方向(前後方向(表裏方向)に対して直交する方向。上下左右方向。)全体に亘って、ばらつきやすくなる。
この点、裏側電極層22の前面には、裏側電極層用導電部71が配置されている。裏側電極層用導電部71は、裏側電極層22よりも、電気抵抗が小さい。このため、電流は、優先的に裏側電極層用導電部71を流れやすい。すなわち、電流は、矢印Y1に示すように、正極第一端子80RUから配線部712に沿って下方に流れた後、矢印Y2に示すように、配線部712から重複部Aに向かって流れやすい。このため、最短経路C1と最長経路C2との間の電気抵抗の較差が小さくなる。言い換えると、最短経路C1と最長経路C2との間の電圧損失の較差が小さくなる。したがって、正極第一端子80RUから重複部Aに印加される電圧が、重複部Aの面方向全体に亘って、ばらつきにくくなる。よって、重複部A全体に亘って、均一な電界を形成することができる。
<スピーカー1の動き>
次に、本実施形態のスピーカー1の動きについて説明する。図12に、本実施形態のスピーカーの動作説明図を示す。なお、図12においては、積層体を模式的に示す。図12に示すように、停止状態においては、スイッチ53が開成されている。このため、一対のフィルムアセンブリ2、3には、電圧が印加されていない。
バイアス電圧印加状態においては、スイッチ53が閉成される。このため、一対のフィルムアセンブリ2、3に、各々、バイアス電圧Vbが印加される。バイアス電圧Vbが印加されると、フィルムアセンブリ2の表側電極層21と裏側電極層22との間に静電引力が発生する。このため、誘電層20が前後方向に収縮する。また、誘電層20が面方向に伸張する。同様に、フィルムアセンブリ3の誘電層30が前後方向に収縮する。また、誘電層30が面方向に伸張する。
音声再生状態αにおいては、フィルムアセンブリ2とフィルムアセンブリ3とに、互いに逆相の信号波が伝達される。フィルムアセンブリ3の表側電極層31と裏側電極層32との間の静電引力は小さくなる。このため、誘電層30が前後方向に伸張する。また、誘電層30が面方向に収縮する。つまり、誘電層30延いてはフィルムアセンブリ3の張力が大きくなる。したがって、フィルムアセンブリ3の後方への突出量が小さくなる。よって、後方から前方に向かう方向に、介装部材4に荷重が加わる。反対に、フィルムアセンブリ2の表側電極層21と裏側電極層22との間の静電引力は大きくなる。このため、誘電層20が前後方向に収縮する。また、誘電層20が面方向に伸張する。つまり、誘電層20延いてはフィルムアセンブリ2の張力が小さくなる。言い換えると、フィルムアセンブリ2が弛む。ここで、介装部材4には、後方から前方に向かう方向に、フィルムアセンブリ3から荷重が加わっている。当該荷重により、フィルムアセンブリ2は、弛み分を消費しながら、さらに前方に突出する。つまり、フィルムアセンブリ2の前方への突出量が大きくなる。このように、音声再生状態αにおいては、一対のフィルムアセンブリ2、3が、後方から前方に大きく振動する。
音声再生状態βにおいては、フィルムアセンブリ2とフィルムアセンブリ3とに、互いに逆相の信号波が伝達される。ただし、音声再生状態αと比較すると、信号波の波形は逆転している。音声再生状態βにおけるフィルムアセンブリ2の動きは、音声再生状態αにおけるフィルムアセンブリ3の動きと、同様である。並びに、音声再生状態βにおけるフィルムアセンブリ3の動きは、音声再生状態αにおけるフィルムアセンブリ2の動きと、同様である。音声再生状態βにおいては、一対のフィルムアセンブリ2、3が、前方から後方に大きく振動する。
<作用効果>
次に、本実施形態のスピーカー1の作用効果について説明する。本実施形態のスピーカー1は、図12に示すように、一対のフィルムアセンブリ2、3と、介装部材4と、回路部5と、を備えている。介装部材4は、一対のフィルムアセンブリ2、3の間に介装されている。回路部5は、音声に基づく信号波を、互いに逆相になるように、一対のフィルムアセンブリ2、3に伝達する。このため、一対のフィルムアセンブリ2、3は、互いに逆方向の動作を行う。例えば、後方のフィルムアセンブリ3が面方向に収縮する場合、前方のフィルムアセンブリ2は面方向に伸張する。反対に、前方のフィルムアセンブリ2が面方向に収縮する場合、後方のフィルムアセンブリ3は面方向に伸張する。
本実施形態のスピーカー1によると、介装部材4を介して、一対のフィルムアセンブリ2、3間で荷重の伝達を行うことができる。このため、一対のフィルムアセンブリ2、3の前後方向の振動を大きくすることができる。したがって、一対のフィルムアセンブリ2、3の振幅を大きくすることができる。よって、一対のフィルムアセンブリ2、3に対する印加電圧が小さい場合であっても、スピーカー1の低周波特性を向上させることができる。例えば、低周波数領域の音圧を向上させることができる。また、再生可能な周波数領域を低周波数側に拡張することができる。また、本実施形態のスピーカー1は、低周波特性が高いにもかかわらず、小型化が可能である。また、本実施形態のスピーカー1は、前後方向長さが短い。また、本実施形態のスピーカー1は、柔軟である。このため、本実施形態のスピーカー1は、設置の自由度が高い。
また、本実施形態のスピーカー1によると、表側電極層21、31および裏側電極層22、32は、電極材料を含む塗料が誘電層20、30に塗布されることにより形成されている。このため、表側電極層21、31および裏側電極層22、32の形成と、表側電極層21、31および裏側電極層22、32の配置と、を同時に行うことができる。
また、図2に示すように、介装部材4は、前後方向から圧縮された状態で、一対のフィルムアセンブリ2、3の間に配置されている。このため、介装部材4の前後方向のばね定数は、介装部材4の面方向のばね定数よりも、大きい。したがって、介装部材4が前後方向に伸縮しにくい。このため、一対のフィルムアセンブリ2、3間における荷重の伝達ロスを小さくすることができる。また、本実施形態のスピーカー1によると、介装部材4が面方向に変形しやすい。このため、フィルムアセンブリ2、3の面方向の伸縮に、介装部材4が追従して伸縮しやすい。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図2に示すように、フィルムアセンブリ2、3は、表側シールド層23、33と、裏側シールド層24、34と、を有している。表側シールド層23、33、裏側シールド層24、34は、各々絶縁性を有している。このため、本実施形態のスピーカー1によると、フィルムアセンブリ2、3の絶縁性を確保しやすい。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図2に示すように、フィルムアセンブリ2、3は、表側から裏側に向かって、表側シールド層23、33と、表側電極層21、31と、誘電層20、30と、裏側電極層22、32と、裏側シールド層24、34と、が積層され一体化された構造を有している。このため、スピーカー1の組立作業が簡単である。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図2に示すように、表側枠部材60と裏側枠部材61とにより、フィルムアセンブリ2とフィルムアセンブリ3とが、前後方向から挟持、固定されている。ここで、介装部材4は、表側枠部材60および裏側枠部材61の枠内に配置されている。すなわち、介装部材4は、一対のフィルムアセンブリ2、3を介して、表側枠部材60および裏側枠部材61に、間接的に挟持されている。このため、介装部材4の動作が、表側枠部材60および裏側枠部材61により、拘束されにくい。したがって、一対のフィルムアセンブリ2、3の振幅を大きくすることができる。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図2に示すように、一対のフィルムアセンブリ2、3は、各々、固定部分P1(表側枠部材60および裏側枠部材61に固定されている部分)と、枠内部分P2(表側枠部材60および裏側枠部材61の枠内に配置されている部分)と、を有している。このため、固定部分P1と枠内部分P2との境界に、ヒンジ支点(枠内部分P2が振動する際の支点)を配置することができる。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図3に示すように、表側枠部材60および裏側枠部材61は、各々、互いに面方向に対向する一対の対向辺60L、60R、60U、60D、61L、61R、61U、61Dを有している。このため、ヒンジ支点を基準に、大きくフィルムアセンブリ2、3を振動させることができる。したがって、一対のフィルムアセンブリ2、3の振幅を大きくすることができる。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図2に示すように、回路部5は、前方のフィルムアセンブリ2の裏側電極層22に、信号波と正バイアス電圧とを重畳して印加している。また、回路部5は、後方のフィルムアセンブリ3の表側電極層31に、信号波と正バイアス電圧とを重畳して印加している。すなわち、回路部5は、内側電極対に、互いに同極性のバイアス電圧と、互いに逆相の信号波と、を各々重畳して印加している。また、前方のフィルムアセンブリ2の表側電極層21および後方のフィルムアセンブリ3の裏側電極層32は、接地されている。すなわち、外側電極対は、接地されている。このため、簡単に、一対のフィルムアセンブリ2、3を逆方向に動作させることができる。
また、一般的に、スピーカー設置スペースは四角形状を呈している場合が多い。スピーカーが真円形状を呈している場合、四角形状のスピーカー設置スペースにスピーカーを配置すると、四隅にデッドスペースが発生しやすくなる。この点、本実施形態のスピーカー1は長方形状を呈している。このため、四角形状のスピーカー設置スペースにスピーカー1を配置しても、スピーカー設置スペースにデッドスペースが発生しにくくなる。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図2に示すように、フィルムアセンブリ2が前方に、フィルムアセンブリ3が後方に、各々突出している。つまり、一対のフィルムアセンブリ2、3が、両面凸レンズ状を呈している。このため、フィルムアセンブリ2が後方に、フィルムアセンブリ3が前方に、各々没入している場合(つまり、一対のフィルムアセンブリ2、3が、両面凹レンズ状を呈している場合)と比較して、図12に示す停止状態において、フィルムアセンブリ2、3が、径方向外側から径方向中心に向かう方向に、延伸されない。並びに、音声再生状態においても、フィルムアセンブリ2、3が、径方向外側から径方向中心に向かう方向に、過度に延伸されにくい。このため、フィルムアセンブリ2、3、延いてはスピーカー1の耐久性を向上させることができる。また、本実施形態のスピーカー1によると、振動板が不要である。このため、軽量化が可能である。したがって、音声信号の変換を効率的に行うことができる。
また、本実施形態のスピーカー1は、図6、図7に示すように、表側電極層用導電部70、72、裏側電極層用導電部71、73を備えている。このため、図10に示すように、表側電極層21と表側電極層用導電部70との間の電気抵抗の較差、および裏側電極層22と裏側電極層用導電部71との間の電気抵抗の較差を利用して、接続部210、220と、重複部Aと、の間の電気抵抗のばらつきを抑制することができる。したがって、重複部Aに印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
同様に、図11に示すように、表側電極層31と表側電極層用導電部72との間の電気抵抗の較差、および裏側電極層32と裏側電極層用導電部73との間の電気抵抗の較差を利用して、接続部310、320と、重複部Bと、の間の電気抵抗のばらつきを抑制することができる。したがって、重複部Bに印加される電圧のばらつきを抑制することができる。
また、図10、図11に示すように、配線部702、712、722、732は、重複部A、Bの左辺または右辺に沿って、上下方向に延在している。このため、上下方向における電気抵抗のばらつきを抑制することができる。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図10、図11に示すように、重複部A、Bは、上下方向に長い長方形状を呈している。このため、上下方向に長い線音源を形成することができる。したがって、上下方向に一様な音場を設定しやすい。また、特許文献1のスピーカー装置と比較して、同じ特性を有するスピーカーを複数配置する必要がない。また、回路構成が簡単である。
<<第二実施形態>>
<スピーカーの全体構成>
まず、本実施形態のスピーカーの全体構成について説明する。以下に示す図においては、前方が本発明の「表側」に、後方が本発明の「裏側」に、各々対応している。また、以下に示す図において、図1〜図12と対応する部材については、同じ符号で示す。
図13に、本実施形態のスピーカーの斜視図を示す。図14に、図13のXIV−XIV方向断面図を示す。図15に、同スピーカーの分解斜視図を示す。図16に、図15の表側枠部材、前方のフィルムアセンブリの拡大図を示す。図17に、図15の中間絶縁部材、介装部材の拡大図を示す。図18に、図15の後方のフィルムアセンブリ、裏側枠部材の拡大図を示す。
図13〜図18に示すように、本実施形態のスピーカー1は、前方のフィルムアセンブリ2と、後方のフィルムアセンブリ3と、介装部材4と、回路部5と、表側枠部材60と、裏側枠部材61と、中間絶縁部材64と、偶数電極層用押圧部90と、奇数電極層用押圧部91と、偶数電極層用押圧部92と、奇数電極層用押圧部93と、負極間連結部94と、負極第一端子80LUと、負極第二端子80LDと、正極第一端子80RUと、正極第二端子80RDと、四つの端子用ナット81と、を備えている。
[表側枠部材60、偶数電極層用押圧部90、奇数電極層用押圧部91]
図16にハッチング示すように、偶数電極層用押圧部90、奇数電極層用押圧部91は、各々銅製であって、表側枠部材60の後面(裏面)に配置されている。偶数電極層用押圧部90は、端子接続部900と配線部902とを備えている。端子接続部900は、表側枠部材60の左下隅に配置されている。端子接続部900は、後述する負極第二端子80LDに電気的に接続されている。配線部902は、端子接続部900を起点に、表側枠部材60の左辺に沿って、上方向に延在している。
奇数電極層用押圧部91は、端子接続部910と、配線部912と、を備えている。端子接続部910は、表側枠部材60の右上隅に配置されている。端子接続部910は、後述する正極第一端子80RUに電気的に接続されている。配線部912は、端子接続部910を起点に、表側枠部材60の右辺に沿って、下方向に延在している。奇数電極層用押圧部91は、偶数電極層用押圧部90よりも、前後方向厚さ(表裏方向厚さ)が薄い。
[フィルムアセンブリ2]
図15に示すように、前方のフィルムアセンブリ2は、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。フィルムアセンブリ2は、表側枠部材60と中間絶縁部材64との間に配置されている。介装部材4により、フィルムアセンブリ2は、前方に突出している。すなわち、図14に強調して示すように、フィルムアセンブリ2は、前方に膨らむ凸状を呈している。
[中間絶縁部材64、負極間連結部94、介装部材4]
図17に示すように、中間絶縁部材64は、PET製であって、上下方向に長い長方形枠状を呈している。図17にハッチング示すように、負極間連結部94は、銅製であって、中間絶縁部材64の前面(表面)に配置されている。負極間連結部94は、端子接続部940、941と、配線部942と、を備えている。端子接続部940は、中間絶縁部材64の左上隅に配置されている。端子接続部940は、後述する負極第一端子80LUに電気的に接続されている。端子接続部941は、中間絶縁部材64の左下隅に配置されている。端子接続部941は、後述する負極第二端子80LDに電気的に接続されている。配線部942は、中間絶縁部材64の左辺に沿って延在している。配線部942は、端子接続部940と端子接続部941とを上下方向に連結している。
介装部材4は、ウレタン発泡体製であって、四角形板状を呈している。介装部材4は、フィルムアセンブリ2とフィルムアセンブリ3との間に配置されている。また、介装部材4は、中間絶縁部材64の枠内に配置されている。介装部材4は、前後方向から圧縮された状態で、配置されている。このため、介装部材4は、フィルムアセンブリ2を前方に、フィルムアセンブリ3を後方に、弾性的に押圧している。
[フィルムアセンブリ3]
図15に示すように、後方のフィルムアセンブリ3は、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。フィルムアセンブリ3は、中間絶縁部材64と裏側枠部材61との間に配置されている。介装部材4により、フィルムアセンブリ3は、後方に突出している。すなわち、図14に強調して示すように、フィルムアセンブリ3は、後方に膨らむ凸状を呈している。
[裏側枠部材61、偶数電極層用押圧部92、奇数電極層用押圧部93]
図18にハッチング示すように、偶数電極層用押圧部92、奇数電極層用押圧部93は、各々銅製であって、裏側枠部材61の前面(表面)に配置されている。偶数電極層用押圧部92は、端子接続部920と配線部922とを備えている。端子接続部920は、裏側枠部材61の右下隅に配置されている。端子接続部920は、後述する正極第二端子80RDに電気的に接続されている。配線部922は、端子接続部920を起点に、裏側枠部材61の右辺に沿って、上方向に延在している。
奇数電極層用押圧部93は、端子接続部930と配線部932とを備えている。端子接続部930は、裏側枠部材61の左上隅に配置されている。端子接続部930は、後述する負極第一端子80LUに電気的に接続されている。配線部932は、端子接続部930を起点に、裏側枠部材61の左辺に沿って、下方向に延在している。奇数電極層用押圧部93は、偶数電極層用押圧部92よりも、前後方向厚さ(表裏方向厚さ)が厚い。
このように、スピーカー1においては、図15に示すように、前方から後方に向かって、表側枠部材60、フィルムアセンブリ2、中間絶縁部材64、フィルムアセンブリ3、裏側枠部材61が、この順に配置されている。また、図14に示すように、介装部材4は、中間絶縁部材64の枠内に配置されている。以下、これらの部材を総称して「積層体」と称す。
[負極第一端子80LU、負極第二端子80LD、正極第一端子80RU、正極第二端子80RD、端子用ナット81]
図13〜図15に示すように、負極第一端子80LUは、金属製であって、スクリュー状を呈している。負極第一端子80LUは、積層体の左上隅に配置されている。負極第一端子80LUは、積層体を前後方向に貫通している。負極第一端子80LUの後端には、端子用ナット81が止着されている。
負極第二端子80LD、正極第一端子80RU、正極第二端子80RDの構成、配置方法は、負極第一端子80LUと同様である。負極第二端子80LDは、積層体の左下隅に配置されている。正極第一端子80RUは、積層体の右上隅に配置されている。正極第二端子80RDは、積層体の右下隅に配置されている。
前方または後方から見て、フィルムアセンブリ2、3の四辺は、表側枠部材60および裏側枠部材61により、前後方向から挟持、固定されている。また、前方または後方から見て、介装部材4は、表側枠部材60および裏側枠部材61の枠内に収容されている。
<フィルムアセンブリ2の詳細な構成>
次に、本実施形態のスピーカー1の前方のフィルムアセンブリ2の詳細な構成について説明する。図19に、本実施形態のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの分解斜視図を示す。図19に示すように、フィルムアセンブリ2は、誘電層20と、表側シールド層23と、裏側シールド層24と、奇数電極層25と、偶数電極層26と、を備えている。
これらの層(合計13層)は、各々、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。これらの層は、前方から後方に向かって、表側シールド層23、奇数電極層25、誘電層20、偶数電極層26、誘電層20、奇数電極層25、誘電層20、偶数電極層26、誘電層20、奇数電極層25、誘電層20、偶数電極層26、裏側シールド層24の順に積層されている。
なお、合計6層の電極層の材質、形状は同じである。合計6層の電極層のうち、表側から数えて1、3、5番目の電極層が奇数電極層25である。また、表側から数えて2、4、6番目の電極層が偶数電極層26である。
[表側シールド層23]
表側シールド層23は、H−NBR製である。表側シールド層23には、端子挿通孔232LU、232LD、232RU、232RD、押圧部挿通孔235L、235Rが穿設されている。押圧部挿通孔235Lは、表側シールド層23の左辺に沿って、上下方向に延在している。押圧部挿通孔235Lには、図16に示す偶数電極層用押圧部90の配線部902が挿通されている。押圧部挿通孔235Rは、表側シールド層23の右辺に沿って、上下方向に延在している。押圧部挿通孔235Rには、図16に示す奇数電極層用押圧部91の配線部912が挿通されている。
端子挿通孔232LU、232LD、232RU、232RDは、表側シールド層23の四隅に配置されている。端子挿通孔232LUには負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔232LDには負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔232RUには正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔232RDには正極第二端子80RDが挿通されている。
[裏側シールド層24]
裏側シールド層24は、H−NBR製である。裏側シールド層24には、端子挿通孔242LU、242LD、242RU、242RDが穿設されている。端子挿通孔242LU、242LD、242RU、242RDは、裏側シールド層24の四隅に配置されている。端子挿通孔242LUには負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔242LDには負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔242RUには正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔242RDには正極第二端子80RDが挿通されている。
[誘電層20]
誘電層20は、H−NBR製である。誘電層20には、端子挿通孔202LU、202LD、202RD、電極層挿通孔205L、205Rが穿設されている。電極層挿通孔205Lは、誘電層20の左辺に沿って、上下方向に延在している。電極層挿通孔205Rは、誘電層20の右辺に沿って、上下方向に延在している。図19にハッチングで示すように、左右一対の電極層挿通孔205L、205Rの間には重複部Aが配置されている。
前方または後方から見て、合計5層の誘電層20の電極層挿通孔205Lと、表側シールド層23の押圧部挿通孔235Lと、は重複している。同様に、前方または後方から見て、合計5層の誘電層20の電極層挿通孔205Rと、表側シールド層23の押圧部挿通孔235Rと、は重複している。
端子挿通孔202LU、202LD、202RU、202RDは、誘電層20の四隅に配置されている。端子挿通孔202LUには負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔202LDには負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔202RUには正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔202RDには正極第二端子80RDが挿通されている。
[奇数電極層25]
奇数電極層25は、アクリルゴム中にカーボン粉末が充填された電極材料製である。奇数電極層25は、図16に示す奇数電極層用押圧部91よりも、電気抵抗が大きい。奇数電極層25は、奇数電極層用押圧部91よりも、ヤング率が小さい。奇数電極層25は、表側シールド層23、誘電層20、裏側シールド層24よりも、小さい。奇数電極層25は、誘電層20に対して、右寄りに配置されている。
図19にハッチングで示すように、奇数電極層25は、接続部250と、本体部251と、を備えている。本体部251は、長方形状を呈している。接続部250は、本体部251の右側に配置されている。接続部250は、本体部251の右辺に沿って、上下方向に延在している。
前方または後方から見て、合計5層の誘電層20の電極層挿通孔205Rと、表側シールド層23の押圧部挿通孔235Rと、合計3層の奇数電極層25の接続部250と、は重複している。
[偶数電極層26]
偶数電極層26は、図16に示す偶数電極層用押圧部90よりも、電気抵抗が大きい。偶数電極層26は、偶数電極層用押圧部90よりも、ヤング率が小さい。偶数電極層26は、表側シールド層23、誘電層20、裏側シールド層24よりも、小さい。偶数電極層26は、誘電層20に対して、左寄りに配置されている。
図19にハッチングで示すように、偶数電極層26は、接続部260と、本体部261と、を備えている。本体部261は、長方形状を呈している。接続部260は、本体部261の左側に配置されている。接続部260は、本体部261の左辺に沿って、上下方向に延在している。
前方または後方から見て、合計5層の誘電層20の電極層挿通孔205Lと、表側シールド層23の押圧部挿通孔235Lと、合計3層の偶数電極層26の接続部260と、は重複している。
<フィルムアセンブリ2の電気的接続構造>
次に、本実施形態のスピーカー1の前方のフィルムアセンブリ2の電気的接続構造について説明する。図13、図14に示すように、フィルムアセンブリ2は、前後方向から表側枠部材60と中間絶縁部材64とにより、挟持されている。また、フィルムアセンブリ2は、介装部材4により、前方に押し出されている。このため、フィルムアセンブリ2の奇数電極層25、偶数電極層26には、前後方向から圧縮力が作用している。
ここで、誘電層20、表側シールド層23、裏側シールド層24、奇数電極層25、偶数電極層26は、いずれも層厚(前後方向厚さ)が薄い(例えば、10μm以下)。また、奇数電極層25、偶数電極層26は、いずれも柔軟なエラストマー製である。
このため、前後方向から圧縮されると、その分、奇数電極層25は弾性変形する。したがって、図19に示すように、奇数電極層25の接続部250は、前後方向に隣り合う電極層挿通孔205Rや押圧部挿通孔235Rに、進入する。このような接続部250の弾性変形により、図14に示すように、接続部250は、前後方向に隣り合う別の接続部250や、奇数電極層用押圧部91に、当接する。したがって、奇数電極層用押圧部91と、合計3層の奇数電極層25と、が電気的に接続される。
同様に、前後方向から圧縮されると、その分、偶数電極層26は弾性変形する。したがって、図19に示すように、偶数電極層26の接続部260は、前後方向に隣り合う電極層挿通孔205Lや押圧部挿通孔235Lに、進入する。このような接続部260の弾性変形により、図14に示すように、接続部260は、前後方向に隣り合う別の接続部260や、偶数電極層用押圧部90に、当接する。したがって、偶数電極層用押圧部90と、合計3層の偶数電極層26と、が電気的に接続される。
このように、フィルムアセンブリ2は、エラストマーの柔軟性を利用して、奇数電極層用押圧部91と、合計3層の奇数電極層25と、の電気的接続を確保している。並びに、偶数電極層用押圧部90と、合計3層の偶数電極層26と、の電気的接続を確保している。
<フィルムアセンブリ3の詳細な構成>
次に、本実施形態のスピーカー1の後方のフィルムアセンブリ3の詳細な構成について説明する。図20に、本実施形態のスピーカーの後方のフィルムアセンブリの分解斜視図を示す。図20に示すように、フィルムアセンブリ3は、誘電層30と、表側シールド層33と、裏側シールド層34と、奇数電極層35と、偶数電極層36と、を備えている。
これらの層(合計13層)は、各々、上下方向に長い長方形フィルム状を呈している。これらの層は、前方から後方に向かって、表側シールド層33、奇数電極層35、誘電層30、偶数電極層36、誘電層30、奇数電極層35、誘電層30、偶数電極層36、誘電層30、奇数電極層35、誘電層30、偶数電極層36、裏側シールド層34の順に積層されている。
なお、合計6層の電極層の材質、形状は同じである。合計6層の電極層のうち、表側から数えて1、3、5番目の電極層が奇数電極層35である。また、表側から数えて2、4、6番目の電極層が偶数電極層36である。
ここで、後方のフィルムアセンブリ3は、前方のフィルムアセンブリ2を、左右方向に延在する軸に対して、上下方向に反転させた構造を呈している。このため、表側シールド層33と裏側シールド層24とは対応している。また、裏側シールド層34と表側シールド層23とは対応している。また、奇数電極層35と偶数電極層26とは対応している。また、偶数電極層36と奇数電極層25とは対応している。また、誘電層30と誘電層20とは対応している。
[表側シールド層33]
表側シールド層33には、裏側シールド層24同様に、端子挿通孔332LU、332LD、332RU、332RDが穿設されている。端子挿通孔332LUには負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔332LDには負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔332RUには正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔332RDには正極第二端子80RDが挿通されている。
[裏側シールド層34]
裏側シールド層34には、表側シールド層23同様に、端子挿通孔342LU、342LD、342RU、342RD、押圧部挿通孔345L、345Rが穿設されている。押圧部挿通孔345Lには、図18に示す奇数電極層用押圧部93の配線部932が挿通されている。押圧部挿通孔345Rには、図18に示す偶数電極層用押圧部92の配線部922が挿通されている。
端子挿通孔342LUには負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔342LDには負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔342RUには正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔342RDには正極第二端子80RDが挿通されている。
[誘電層30]
誘電層30には、誘電層20同様に、端子挿通孔302LU、302LD、302RD、電極層挿通孔305L、305Rが穿設されている。図20にハッチングで示すように、左右一対の電極層挿通孔305L、305Rの間には重複部Bが配置されている。
端子挿通孔302LUには負極第一端子80LUが挿通されている。端子挿通孔302LDには負極第二端子80LDが挿通されている。端子挿通孔302RUには正極第一端子80RUが挿通されている。端子挿通孔302RDには正極第二端子80RDが挿通されている。
[奇数電極層35]
奇数電極層35は、偶数電極層26同様に、誘電層30に対して、左寄りに配置されている。図20にハッチングで示すように、奇数電極層35は、接続部350と、本体部351と、を備えている。本体部351は、長方形状を呈している。接続部350は、本体部351の左側に配置されている。接続部350は、本体部351の左辺に沿って、上下方向に延在している。
[偶数電極層36]
偶数電極層36は、奇数電極層25同様に、誘電層30に対して、右寄りに配置されている。図20にハッチングで示すように、偶数電極層36は、接続部360と、本体部361と、を備えている。本体部361は、長方形状を呈している。接続部360は、本体部351の右側に配置されている。接続部360は、本体部361の右辺に沿って、上下方向に延在している。
<フィルムアセンブリ3の電気的接続構造>
次に、本実施形態のスピーカー1の前方のフィルムアセンブリ3の電気的接続構造について説明する。図13、図14に示すように、フィルムアセンブリ3は、前後方向から中間絶縁部材64と裏側枠部材61により、挟持されている。また、フィルムアセンブリ3は、介装部材4により、後方に押し出されている。このため、フィルムアセンブリ3の奇数電極層35、偶数電極層36には、前後方向から圧縮力が作用している。
前後方向から圧縮されると、その分、奇数電極層35は弾性変形する。したがって、図20に示すように、奇数電極層35の接続部350は、前後方向に隣り合う電極層挿通孔305Lや押圧部挿通孔345Lに、進入する。このような接続部350の弾性変形により、図14に示すように、接続部350は、前後方向に隣り合う別の接続部350や、奇数電極層用押圧部93に、当接する。したがって、奇数電極層用押圧部93と、合計3層の奇数電極層35と、が電気的に接続される。
同様に、前後方向から圧縮されると、その分、偶数電極層36は弾性変形する。したがって、図20に示すように、偶数電極層36の接続部360は、前後方向に隣り合う電極層挿通孔305Rや押圧部挿通孔345Rに、進入する。このような接続部360の弾性変形により、図14に示すように、接続部360は、前後方向に隣り合う別の接続部360や、偶数電極層用押圧部92に、当接する。したがって、偶数電極層用押圧部92と、合計3層の偶数電極層36と、が電気的に接続される。
このように、フィルムアセンブリ3は、エラストマーの柔軟性を利用して、奇数電極層用押圧部93と、合計3層の奇数電極層35と、の電気的接続を確保している。並びに、偶数電極層用押圧部92と、合計3層の偶数電極層36と、の電気的接続を確保している。
<回路部5の構成>
次に、本実施形態のスピーカー1の回路部の構成について説明する。図14に示すように、回路部5は、二つの交流電源50a、50bと、直流バイアス電源51と、スイッチ53と、を備えている。
二つの交流電源50a、50bは、一対のフィルムアセンブリ2、3に、再生対象となる音声に基づく交流電圧、つまり信号波を印加している。具体的には、交流電源50aは、正極第一端子80RUを介して(図16参照)、奇数電極層用押圧部91、奇数電極層25に、電気的に接続されている。また、交流電源50bは、正極第二端子80RDを介して(図18参照)、偶数電極層用押圧部92、偶数電極層36に、電気的に接続されている。交流電源50aの信号波の位相と、交流電源50bの信号波の位相と、は互いに逆相である。
偶数電極層用押圧部90、偶数電極層26は、負極第二端子80LDを介して(図16参照)、接地されている。また、奇数電極層用押圧部93、奇数電極層35は、負極第一端子80LUを介して(図18参照)、接地されている。また、負極第一端子80LUと負極第二端子80LDとは、負極間連結部94を介して(図17参照)、接続されている。
直流バイアス電源51は、スイッチ53と、二つの交流電源50a、50bと、の間に配置されている。直流バイアス電源51は、交流電源50aから正極第一端子80RUに向かう方向(=交流電源50bから正極第二端子80RDに向かう方向)に対して、電圧が上がる方向にバイアス電圧を印加している。つまり、正バイアス電圧を印加している。
このように、直流バイアス電源51と交流電源50aとは、正バイアス電圧と信号波とを重畳して、フィルムアセンブリ2に印加している。並びに、直流バイアス電源51と交流電源50bとは、正バイアス電圧と信号波とを重畳して、フィルムアセンブリ3に印加している。
<重複部の構成>
次に、本実施形態のスピーカー1のフィルムアセンブリ2、3の重複部の構成について説明する。図21に、本実施形態のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの奇数電極層、誘電層、偶数電極層の透過前面図を示す。なお、偶数電極層用押圧部90、奇数電極層用押圧部91を一点鎖線で示す。
図21に示すように、奇数電極層25の接続部250は、上下方向全長に亘って、奇数電極層用押圧部91の配線部912に対して、前後方向に重複している。偶数電極層26の接続部260は、上下方向全長に亘って、偶数電極層用押圧部90の配線部902に対して、前後方向に重複している。
図21にハッチングで示すように、奇数電極層25と、偶数電極層26と、は前方または後方から見て、重複している。すなわち、奇数電極層25と、偶数電極層26と、の間には重複部Aが形成されている。重複部Aには、回路部5から、奇数電極層用押圧部91および接続部250、偶数電極層用押圧部90および接続部260を介して、電圧が印加される。
図22に、本実施形態のスピーカーの後方のフィルムアセンブリの奇数電極層、誘電層、偶数電極層の透過前面図を示す。なお、偶数電極層用押圧部92、奇数電極層用押圧部93を一点鎖線で示す。
図22に示すように、奇数電極層35の接続部350は、上下方向全長に亘って、奇数電極層用押圧部93の配線部932に対して、前後方向に重複している。偶数電極層36の接続部360は、上下方向全長に亘って、偶数電極層用押圧部92の配線部922に対して、前後方向に重複している。
図22にハッチングで示すように、奇数電極層35と、偶数電極層36と、は前方または後方から見て、重複している。すなわち、奇数電極層35と、偶数電極層36と、の間には重複部Bが形成されている。重複部Bには、回路部5から、奇数電極層用押圧部93および接続部350、偶数電極層用押圧部92および接続部360を介して、電圧が印加される。
以下、重複部に印加される電圧のばらつきの抑制方法について説明する。フィルムアセンブリ2の奇数電極層25、偶数電極層26、フィルムアセンブリ3の奇数電極層35、偶数電極層36を代表して、フィルムアセンブリ2の奇数電極層25における電圧のばらつきの抑制方法について説明する。
図21に示すように、奇数電極層25には、正極第一端子80RUから電圧が印加される。ここで、奇数電極層25は、固有抵抗を有している。図21に点線で示すように、最短経路(端子接続部910と重複部Aとの間の距離が最短になる経路)C1においては、奇数電極層25の固有抵抗による電圧の損失が小さくなる。これに対して、最長経路(端子接続部910と重複部Aとの間の距離が最長になる経路)C2においては、奇数電極層25の固有抵抗による電圧の損失が大きくなる。したがって、正極第一端子80RUから重複部Aに印加される電圧が、重複部Aの面方向(前後方向(表裏方向)に対して直交する方向。上下左右方向。)全体に亘って、ばらつきやすくなる。
この点、奇数電極層25は、接続部250を備えている。接続部250は、上下方向に延在している。また、接続部250は、配線部912と前後方向に重複している。また、配線部912は、接続部250よりも、電気抵抗が小さい。このため、電流は、優先的に配線部912を流れやすい。すなわち、電流は、矢印Y1に示すように、正極第一端子80RUから配線部912に沿って下方に流れた後、矢印Y2に示すように、配線部912から、接続部250を介して、重複部Aに向かって流れやすい。このため、最短経路C1と最長経路C2との間の電気抵抗の較差が小さくなる。言い換えると、最短経路C1と最長経路C2との間の電圧損失の較差が小さくなる。したがって、正極第一端子80RUから重複部Aに印加される電圧が、重複部Aの面方向全体に亘って、ばらつきにくくなる。よって、重複部A全体に亘って、均一な電界を形成することができる。
なお、本実施形態のスピーカー1の動きは、第一実施形態のスピーカーの動きと、同様である。
<作用効果>
次に、本実施形態のスピーカー1の作用効果について説明する。本実施形態のスピーカー1は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のスピーカーと同様の作用効果を有する。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図14に示すように、エラストマーの柔軟性を利用して、奇数電極層用押圧部91と、合計3層の奇数電極層25と、の電気的接続を確保することができる。また、偶数電極層用押圧部90と、合計3層の偶数電極層26と、の電気的接続を確保することができる。同様に、奇数電極層用押圧部93と、合計3層の奇数電極層35と、の電気的接続を確保することができる。また、偶数電極層用押圧部92と、合計3層の偶数電極層36と、の電気的接続を確保することができる。
すなわち、電極層(奇数電極層25、35、偶数電極層26、36)は、エラストマーを含有している。このため、電極層は柔軟である。フィルムアセンブリ2、3を組み付ける際、フィルムアセンブリ2、3には前後方向(表裏方向)から圧縮荷重が加わる。当該圧縮荷重により、電極層の接続部250、260、350、360は弾性変形し、隣り合う電極層挿通孔205L、205R、305L、305Rに進入する。当該接続部250、350の弾性変形を利用して、奇数電極層25、35の接続部250、350同士は連結されている。並びに、当該接続部260、360の弾性変形を利用して、偶数電極層26、36の接続部260、360同士は連結されている。
本実施形態のスピーカー1によると、奇数電極層25、35の接続部250、350同士を連結するために、別途、配線などの部材を配置する必要がない。同様に、偶数電極層26、36の接続部260、360同士を連結するために、別途、配線などの部材を配置する必要がない。このため、スピーカー1の部品点数が少なくなる。また、スピーカー1の構造が簡単になる。
また、本実施形態のスピーカー1によると、図14に示すように、奇数電極層用押圧部91の押圧力を利用して、合計3層の奇数電極層25を密着させることができる。また、偶数電極層用押圧部90の押圧力を利用して、合計3層の偶数電極層26を密着させることができる。同様に、奇数電極層用押圧部93の押圧力を利用して、合計3層の奇数電極層35を密着させることができる。また、偶数電極層用押圧部92の押圧力を利用して、合計3層の偶数電極層36を密着させることができる。このため、重複部A、Bへの電圧の印加が途切れにくい。
また、本実施形態のスピーカー1によると、後方のフィルムアセンブリ3は、前方のフィルムアセンブリ2を、左右方向に延在する軸に対して、上下方向に反転させた構造を呈している。このため、同一のフィルムアセンブリを、前方用、後方用として、共用化することができる。
また、表側シールド層33と裏側シールド層24とは同一部材である。また、裏側シールド層34と表側シールド層23とは同一部材である。また、奇数電極層35、偶数電極層26、偶数電極層36、奇数電極層25は、左右方向の位置は異なるものの、同一部材である。また、誘電層30と誘電層20とは同一部材である。このため、フィルムアセンブリ2、3を構成する部品の点数が少なくなる。
また、図21、図22に示すように、奇数電極層35、偶数電極層26、偶数電極層36、奇数電極層25は、単純な長方形フィルム状を呈している。このため、奇数電極層35、偶数電極層26、偶数電極層36、奇数電極層25を、簡単に作製することができる。
<<その他>>
以上、本発明のスピーカーの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
図23(a)に、その他の実施形態(その1)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図を示す。図23(b)に、その他の実施形態(その2)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図を示す。図23(c)に、その他の実施形態(その3)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図を示す。なお、図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
図23(a)〜図23(c)に示すように、接続部700、710と、配線部702、712と、の相対的な位置関係は特に限定しない。接続部700、710が、配線部702、712の長手方向中央に配置されていてもよい。
また、図23(a)〜図23(c)に示すように、配線部702、712は、折れ線状、弧状に延在していてもよい。すなわち、配線部702、712は、重複部Aの外縁に沿って延在していればよい。
また、配線部702、712の延在区間は特に限定しない。図23(a)に示すように、重複部Aの外縁の一部に沿って延在していてもよい。また、図23(b)、(c)に示すように、重複部Aの外縁の略全部に沿って延在していてもよい。また、配線部702、712は、点線状、一点鎖線状に延在していてもよい。また、配線部702、712は、線状、帯状、面状であってもよい。
また、図23(a)〜図23(c)に示すように、重複部Aの形状は特に限定しない。多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)、円形(真円形、楕円形、長円形)などであってもよい。
図24(a)に、その他の実施形態(その4)のスピーカーの前方のフィルムアセンブリの表側電極層および裏側電極層の透過前面図を示す。図24(b)に、図24(a)のXIV(b)−XIV(b)方向断面図を示す。なお、図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
図24(a)、図24(b)に示すように、裏側電極層22の接続部220と重複部Aとの間には、厚さ調整部76が配置されている。厚さ調整部76は、薄層部760と、厚層部761と、中間薄層部762と、中間厚層部763と、を備えている。表裏方向厚さを比較すると、薄い方から厚い方に、薄層部760→中間薄層部762→中間厚層部763→厚層部761となっている。すなわち、接続部220から遠くなるのに従って、表裏方向厚さは、階段状に薄くなっている。
本来的に電気抵抗が小さい最短経路C1は、電気抵抗が大きい薄層部760を経由している。一方、本来的に電気抵抗が大きい最長経路C2は、電気抵抗が小さい厚層部761を経由している。このため、重複部Aに印加される電圧のばらつきを抑制することができる。なお、表側電極層21の接続部210と重複部Aとの間にも、厚さ調整部76と同様の、厚さ調整部75が配置されている。また、図24(b)に点線で示すように、階段状ではなく、スロープ状に、厚さ調整部75、76の表裏方向厚さを変化させてもよい。
図25に、その他の実施形態(その5)のスピーカーの前後方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図25に示すように、表側絶縁部材、裏側絶縁部材は配置しなくてもよい。また、介装部材4と、固定部分P1と、の間に、縁部材41を介装してもよい。縁部材41は、樹脂製であって、頂点が外向きの三角柱状を呈している。縁部材41は、介装部材4およびフィルムアセンブリ2、3よりも、剛性が高い。
図25に示すように、固定部分P1と枠内部分P2との境界には、ヒンジ支点Hが設定されている。ヒンジ支点Hは、枠内部分P2が振動する際の支点となる。縁部材41の頂点は、ヒンジ支点Hに配置されている。このため、ヒンジ支点Hがずれにくい。すなわち、枠内部分P2が振動する際に、支点がずれにくい。したがって、大きくフィルムアセンブリ2、3を振動させることができる。よって、一対のフィルムアセンブリ2、3の振幅を大きくすることができる。
また、第一実施形態においては、図2に示すように、回路部5が、内側電極対(裏側電極層22と表側電極層31との対)に、互いに同極性のバイアス電圧と、互いに逆相の信号波と、を各々重畳して印加した。また、外側電極対(表側電極層21と裏側電極層32との対)を接地した。しかしながら、回路部5が、外側電極対に、互いに同極性のバイアス電圧と、互いに逆相の信号波と、を各々重畳して印加してもよい。また、内側電極対を接地してもよい。
また、第一、第二実施形態においては、スピーカー1の表裏方向が前後方向になるように、スピーカー1を配置した。しかしながら、スピーカー1の配置方向は特に限定しない。例えば、スピーカー1の表裏方向が左右方向や上下方向になるように、スピーカー1を配置してもよい。また、スピーカー1の長手方向が左右方向や前後方向になるように、スピーカー1を配置してもよい。
介装部材4の構造、材質等は特に限定しない。例えば、中実体、多孔質体(ハニカム構造体、ダンボールなど)、発泡体(発泡スチロールなど)、中空体等でもよい。中空体の場合、内部に気体、液体等を充填してもよい。介装部材4がフィルムアセンブリ2、3の動きを拘束する場合は、介装部材4の表面に潤滑剤(離型剤、オイルなど)を塗布してもよい。
前方または後方から見たスピーカー1の形状は特に限定しない。多角形、円形などであってもよい。また、介装部材4の前後両面に凸形状を付与してもよい。こうすると、フィルムアセンブリ2を前方に、フィルムアセンブリ3を後方に、各々突出させやすい。
フィルムアセンブリ2、3における、「表側電極層21、31、誘電層20、30、裏側電極層22、32」の繰り返し積層数、「奇数電極層25、35、誘電層20、30、偶数電極層26、36」の繰り返し積層数は特に限定しない。繰り返し積層数を多くすると、一対のフィルムアセンブリ2、3の振幅を大きくすることができる。
誘電層20、30に対する表側電極層21、31、裏側電極層22、32、奇数電極層25、35、偶数電極層26、36の配置方法は特に限定しない。例えば、誘電層20、30とは別に作製した表側電極層21、31、裏側電極層22、32、奇数電極層25、35、偶数電極層26、36(例えば原反シートを裁断して作製する)を、誘電層20、30に接着してもよい。こうすると、表側電極層21、31、裏側電極層22、32、奇数電極層25、35、偶数電極層26、36を、しっかりと誘電層20、30に固定することができる。また、表側電極層21、31、奇数電極層25、35を表側シールド層23、33の裏面に塗布、または接着してもよい。同様に、裏側電極層22、32、偶数電極層26、36を裏側シールド層24、34の表面に塗布、または接着してもよい。
また、表側枠部材60に対する表側電極層用導電部70、裏側電極層用導電部71、偶数電極層用押圧部90、奇数電極層用押圧部91の配置方法は特に限定しない。塗布(印刷含む)、接着(スパッタリング含む)などの手段により、配置すればよい。同様に、裏側絶縁部材63に対する表側電極層用導電部72、裏側電極層用導電部73、偶数電極層用押圧部92、奇数電極層用押圧部93の配置方法は特に限定しない。塗布(印刷含む)、接着(スパッタリング含む)などの手段により、配置すればよい。同様に、中間絶縁部材64に対する負極間連結部94の配置方法は特に限定しない。塗布(印刷含む)、接着(スパッタリング含む)などの手段により、配置すればよい。
また、図6に示す表側枠部材60の裏側に絶縁性の基層を配置し、当該基層に表側電極層用導電部70、裏側電極層用導電部71を配置(塗布、接着など)してもよい。また、図7に示す裏側絶縁部材63の裏側に絶縁性の基層を配置し、当該基層に表側電極層用導電部72、裏側電極層用導電部73を配置(塗布、接着など)してもよい。
また、図2に示す表側絶縁部材62の表面に表側電極層用導電部70、裏側電極層用導電部71を配置(塗布、接着など)してもよい。また、図2に示す裏側枠部材61の表面に表側電極層用導電部72、裏側電極層用導電部73を配置(塗布、接着など)してもよい。
また、図16に示す表側枠部材60の裏側に絶縁性の基層を配置し、当該基層に偶数電極層用押圧部90、奇数電極層用押圧部91を配置(塗布、接着など)してもよい。また、図17に示す中間絶縁部材64の表側に絶縁性の基層を配置し、当該基層に負極間連結部94を配置(塗布、接着など)してもよい。また、図18に示す裏側枠部材61の表側に絶縁性の基層を配置し、当該基層に偶数電極層用押圧部92、奇数電極層用押圧部93を配置(塗布、接着など)してもよい。
また、図21、図22に示す奇数電極層35、偶数電極層26、偶数電極層36、奇数電極層25において、接続部350、260、360、250と、本体部351、261、361、251と、を連続して配置してもよい。すなわち、接続部350、260、360、250の直近に重複部A、Bを配置してもよい。こうすると、奇数電極層35、偶数電極層26、偶数電極層36、奇数電極層25の固有抵抗による電圧の損失が小さくなる。
図2、図14に示す回路部5の構成は特に限定しない。交流電源50a専用の直流バイアス電源51と、交流電源50b専用の直流バイアス電源51と、を別々に配置してもよい。また、直流バイアス電源51を、交流電源50aと裏側電極層用導電部71との間に配置してもよい。並びに、直流バイアス電源51を、交流電源50bと表側電極層用導電部72との間に配置してもよい。
二つの交流電源50a、50bから一対のフィルムアセンブリ2、3に、互いに逆相の交流電圧(信号波)を印加する方法は特に限定しない。一つの交流電源50aと位相反転回路とを配置することにより、交流電源50bを省略してもよい。また、生の音声の位相に基づく信号波を交流電源50aからフィルムアセンブリ2に印加し、当該信号波の位相を逆転させた信号波を交流電源50bからフィルムアセンブリ3に印加してもよい。反対に、生の音声の位相に基づく信号波を交流電源50bからフィルムアセンブリ3に印加し、当該信号波の位相を逆転させた信号波を交流電源50aからフィルムアセンブリ2に印加してもよい。
誘電層20、30の材質は特に限定しない。エラストマー製または樹脂製であればよい。例えば、誘電率の高いエラストマーを用いることが好ましい。具体的には、常温における比誘電率(100Hz)が2以上、さらには5以上のエラストマーが好ましい。例えば、エステル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、アミド基、スルホン基、ウレタン基、ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマー、あるいは、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマーを採用するとよい。H−NBR以外の好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、等が挙げられる。また、好適な樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン(架橋発泡ポリスチレンを含む)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。表側シールド層23、33、裏側シールド層24、34の材質は特に限定しない。上記誘電層20、30と同様の材質としてもよい。
表側電極層21、31、裏側電極層22、32、奇数電極層25、35、偶数電極層26、36の材質は、特に限定しない。例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、H−NBR中に銀粉末、カーボンが充填された柔軟導電材料製としてもよい。表側電極層21、31、裏側電極層22、32を金属や炭素材料から形成してもよい。伸縮性を付与するという観点から、例えば、金属等をメッシュ状に編むことにより、表側電極層21、31、裏側電極層22、32を形成することができる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等の導電性高分子から、表側電極層21、31、裏側電極層22、32を形成してもよい。また、バインダーと導電材とを含む柔軟導電材料を採用する場合、バインダーには、エラストマーを用いることが好ましい。エラストマーとしては、例えば、シリコーンゴム、NBR、EPDM、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等が好適である。また、導電材としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金等の金属材料、酸化インジウム錫(ITO)や、酸化チタン、酸化亜鉛にアルミニウム、アンチモン等の他金属をドーピングしたもの等の導電性酸化物の中から、適宜選択すればよい。導電材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。同様に、表側電極層用導電部70、72、裏側電極層用導電部71、73、偶数電極層用押圧部90、奇数電極層用押圧部91、偶数電極層用押圧部92、奇数電極層用押圧部93、中間絶縁部材64の材質は、特に限定しない。例えば、上記導電材と同様の材料であってもよい。

Claims (12)

  1. 回路部と、
    絶縁性を有しエラストマー製または樹脂製の誘電層と、該誘電層の表裏両側に配置され導電性を有し該回路部に電気的に接続される接続部を有する一対の電極層と、表側または裏側から見て一対の該電極層と該誘電層とが重複してなる重複部と、を有する表裏一対の振動部と、
    表側の該振動部を表側に、裏側の該振動部を裏側に、各々突出させるように、一対の該振動部の間に配置される介装部材と、
    該接続部と該重複部との間の電気抵抗のばらつきを抑制する抵抗調整部と、
    を備え、
    該回路部が、音声に基づく信号波を、互いに逆相になるように、一対の該振動部に伝達し、一対の該振動部を駆動することにより、該音声を再生するスピーカー。
  2. 前記抵抗調整部は、前記電極層の前記接続部と前記重複部との間に配置され、該電極層よりも電気抵抗が小さい導電部である請求項1に記載のスピーカー。
  3. 前記導電部は、表側または裏側から見て、前記重複部の外縁の少なくとも一部に沿って延在している請求項2に記載のスピーカー。
  4. 前記抵抗調整部は、前記電極層の前記接続部と前記重複部との間に配置される、表裏方向厚さが不均一の厚さ調整部である請求項1に記載のスピーカー。
  5. 表側または裏側から見て、前記重複部は、長方形状を呈している請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のスピーカー。
  6. 前記介装部材の表裏方向のばね定数は、該介装部材の面方向のばね定数よりも、大きい請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のスピーカー。
  7. 前記振動部は、表側の前記電極層の表側および裏側の前記電極層の裏側に配置される表裏一対のシールド層を有し、
    一対の該シールド層は、各々、絶縁性を有しエラストマー製である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のスピーカー。
  8. 前記振動部は、表側から裏側に向かって、表側の前記シールド層と、表側の前記電極層と、前記誘電層と、裏側の前記電極層と、裏側の前記シールド層と、が積層されてなるフィルムアセンブリである請求項7に記載のスピーカー。
  9. 表側の前記フィルムアセンブリの表側および裏側の前記フィルムアセンブリの裏側に配置される表裏一対の枠部材を備え、
    一対の該枠部材により、表側の該フィルムアセンブリと裏側の該フィルムアセンブリとが、表裏方向から挟持、固定されている請求項8に記載のスピーカー。
  10. 一対の前記枠部材は、各々、互いに面方向に対向する一対の対向辺を有する請求項9に記載のスピーカー。
  11. 表側の前記振動部の一対の前記電極層のうち、表側の該電極層を第一電極層、裏側の該電極層を第二電極層、
    裏側の前記振動部の一対の前記電極層のうち、表側の該電極層を第三電極層、裏側の該電極層を第四電極層、
    該第一電極層と該第四電極層との対を外側電極対、該第二電極層と該第三電極層との対を内側電極対、
    として、
    前記回路部は、該外側電極対および該内側電極対のうち一方に対して、互いに同極性のバイアス電圧と、互いに逆相の前記信号波と、を各々重畳して印加し、
    該外側電極対および該内側電極対のうち他方は、接地されている請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のスピーカー。
  12. 任意の前記振動部において、N(Nは2以上の整数)層の前記誘電層と、N+1層の前記電極層と、は表裏方向に交互に積層されており、
    該電極層は、エラストマーと、導電材と、を有しており、
    N+1層の該電極層のうち、表側から数えて奇数番目の該電極層を奇数電極層、表側から数えて偶数番目の該電極層を偶数電極層として、
    該奇数電極層の前記接続部と、該偶数電極層の該接続部と、は表側または裏側から見て、前記重複部の両側に分かれて配置されていると共に、該接続部は前記抵抗調整部を兼ねており、
    該誘電層は、表側または裏側から見て、前記重複部の両側に一対の電極層挿通孔を有し、
    該奇数電極層の該接続部同士は、一対の該電極層挿通孔のうち、一方の該電極層挿通孔を介して、連結されており、
    該偶数電極層の該接続部同士は、一対の該電極層挿通孔のうち、他方の該電極層挿通孔を介して、連結されている請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のスピーカー。
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