JP5993230B2 - 微細構造転写装置及び微細構造転写スタンパ - Google Patents
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Description
そして、このような粗密が大きいパターンを有するスタンパでは、基板上で均一な残膜を形成することが極めて困難になる。これは、パターンサイズが大きい(パターンが粗)大パターン部とパターンサイズが小さい(パターンが密)となる小パターン部とでは、パターンの凹部に充填されるべき必要な樹脂の体積が異なるためである。
図1に示すように、本実施形態に係る微細構造転写装置Aは、微細なパターンを有する微細構造転写スタンパ1(以下、単に「スタンパ1」と称する)と、このスタンパ1を基板2上に形成した樹脂膜3に押し付けて、スタンパ1のパターンを樹脂膜3に転写するものである。
基板2としては、特に制限はなく、微細なパターンを転写して得られる微細構造体の用途に応じて適宜に設定することでき、例えば、シリコンウエハ、各種金属材料、ガラス、石英、セラミック、樹脂等が挙げられる。
基板2の形状としては、平面形状で、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。また、基板2には、中心穴が加工されていてもよい。
光硬化性樹脂組成物に含まれる光硬化性樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基等を有するものが挙げられ、特にエポキシ基、オキセタニル基を有するものが望ましい。
この光重合開始剤としては、例えば、ベンジルケタール、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセノン、オキシフェニル酢酸エステル、オキシムエステル等が挙げられるがこれらに制限されるものではない。
なお、基板2の表面には樹脂膜3との接着を促進するための接着層を形成することができる。
ちなみに、本実施形態での小パターン8は、図3(a)紙面の上下方向に延在するように設けられるラインアンドスペースパターンで構成されている。また、大パターン7は、図3(a)紙面の上下方向に小パターン8を挟んで2組設けられ、各大パターン7は、図3(a)紙面の左右方向に延在する2本の条7a(ラインアンドスペースパターン)で構成されている。
また、チップパターン10は、大パターン7及び小パターン8の2種類に限定されずに、パターンの形態、パターンサイズ等の違いによって区別される2種類以上のパターンで構成することもできる。
本発明の微細構造転写方法は、樹脂膜3にスタンパ1が押し付けられる際に、各チップ領域6の外周部からそれぞれのチップ領域6内に形成されるチップパターン10に向かって、樹脂膜3を形成する所定の体積の前記した光硬化性樹脂組成物(樹脂)を流動させて供給することを主な特徴とする。
なお、図4(a)から(d)は、図1に示す微細構造転写装置Aにおける基板2上に設けられた樹脂膜3に対向するスタンパ1を部分的に拡大して表したものであり、図3(b)に示す部分断面図に対応するスタンパ1部分が樹脂膜3に対向している様子を表している。
なお、スタンパ1を樹脂膜3に接触させる際に、後の樹脂膜3の硬化工程でその硬化を促進するために、スタンパ1と樹脂膜3とを減圧下に、又は窒素等のガス雰囲気中にさらした後、スタンパ1と樹脂膜3とを接触させることができる。
本実施形態によれば、粗密を有するチップパターン10(大パターン7及び小パターン8)を有するチップ領域6に向けて、このチップ領域6の外周部に設けられた樹脂供給パターン9が樹脂膜3の光硬化性樹脂組成物(樹脂)を流動させて供給する。そのため、スタンパ1の中央部に形成されて樹脂が不足しがちのチップパターン10(特に、大パターン7)は、樹脂供給パターン9によって樹脂が十分に供給される。その結果、パターン形成面積が広く、また粗密を有するチップパターン10を有するスタンパ1であっても、スタンパ1の一括転写によって基板2上にパターン転写された微細構造を欠陥なく形成することができる。
前記実施形態では、図2の紙面左右方向に等間隔で配置されるチップ領域6の列同士の間に樹脂供給パターン9が形成されるものについて説明したが、樹脂供給パターン9は、チップ領域6の配置に応じて形状を変更することができる。次に参照する図5(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態に係る微細構造転写スタンパの、パターンを有する側の面を示す平面図であり、前記実施形態とは別の樹脂供給パターンの態様を示している。
なお、チップ領域6同士の間隔については、できるだけ多くの取り数が得られるよう配置を工夫することが望ましい。
ちなみに、このドレイン機構としては、例えば、スタンパ1の外縁にその一端が臨む複数の溝からなるダミーパターンが挙げられる。
次に参照する図7(a)は、樹脂排出パターンを有する微細構造転写スタンパの平面図、(b)は、(a)の微細構造転写スタンパにおける、チップ領域の外側に形成される樹脂供給パターン及び樹脂排出パターンの様子を示す部分拡大図、(c)は、(b)のチップ領域のチップパターン、樹脂供給パターン及び樹脂排出パターンが、樹脂膜に転写される様子を示す模式図である。
スタンパ1の樹脂排出パターン13は、図7(c)に示すように、チップ領域6におけるチップパターン10の凹部と同じ深さの凹部で形成されている。なお、樹脂供給パターン9は、前記実施形態と同様に、チップパターン10の凸部と同じ高さの凸部で形成されている。
なお、図7(a)に示すスタンパ1の白抜き部分は、樹脂供給パターン9の凸部と同じ高さの平坦面を想定しているが、本発明は、この白抜き部分を、樹脂排出パターン13の凹部と同じ深さの平坦面として、樹脂の排出をより促進できる構成とするのが望ましい。
図7(a)に示す前記のスタンパ1は、各チップ領域6の外周部を個別に取り囲むように、樹脂供給パターン9及び樹脂排出パターン13が形成されている。
これに対して、変形例に係るスタンパ1は、図8に示すように、複数のチップ領域6が互いに接するように列を複数形成すると共に、列ごとにこの列を取り囲むように、樹脂供給パターン9及び樹脂排出パターン13が形成される構成とすることもできる。
(実施例1)
実施例1では、図1に示す微細構造転写装置Aを使用して、基板2上に形成した樹脂膜3にスタンパ1のパターンを転写して微細構造体を作製した。
スタンパ1には、直径200mm、厚さ0.725mmの略円盤状のガラス上にEB描画法にて微細なパターンを直接描画したものを使用した。パターンは、図2に示すように、複数のチップ領域6が配列するものである。
そして、このスタンパ1の表面(パターン形成面)にOPTOOL DSX(ダイキン工業社製)を用いて離型処理を行うと共に、これを組み込んだ図1に示す微細構造転写装置Aを構成した。
前記の光硬化性樹脂組成物としては、ウレタンアクリレート(新中村化学社製、UA−53H)10質量部、ブチルアクリレート(東京化成工業製)90質量部、及び重合開始剤(Ciba社製、DAROCUR1173)3質量部からなる混合物を使用した。
そして、スタンパ1を、図示しない保持治具等のスタンパ保持手段を介してプレートに固定すると共に、樹脂膜3を形成した基板2を、図示しない真空吸着装置等の基板保持手段を介してステージ4に固定した。
まず、スタンパ1を保持したプレート5を下降させ、スタンパ1を樹脂膜3に押し付けて基板2上で樹脂膜3を押し広げた。具体的には、樹脂供給パターン9(図4(c)参照)と接する部分の樹脂膜3(図4(c)参照)の厚さが50nm以下となるまで樹脂膜3にスタンパ1を押し付けた。
実施例2では、図5(a)に示すように、複数のチップ領域6が配列するスタンパ1を使用した以外は、実施例1と同様に微細構造転写装置Aを構成し、この微細構造転写装置Aを使用して実施例1と同様の方法で基板2上の樹脂膜3にスタンパ1のパターンを転写した。なお、図5(a)に示すスタンパ1の中央部付近における樹脂供給パターン9の幅W1は500μmであり、外周寄りの樹脂供給パターン9の幅W3は200μmであった。
また、スタンパ1のパターンが転写された樹脂膜3の一部を削り取って原子間力顕微鏡で観察したところ、基板2の中央部から外周部に掛けての大パターン7の残膜12(図4(d)参照)の厚さは30〜40nmであり、基板2の中央部から外周部に掛けての小パターン8の残膜12の厚さは20〜30nmであった。つまり、直径100mmの基板2の略全面に亘って、残膜12の厚さが20〜40nmの範囲内で形成されたことが確認できた。
実施例3では、図5(a)に示すように、複数のチップ領域6が配列するスタンパ1であって、図6に示すレイアウトのチップ領域6を有するものが使用された。このスタンパ1を使用した以外は、実施例1と同様に微細構造転写装置Aを構成し、この微細構造転写装置Aを使用して実施例1と同様の方法で基板2上の樹脂膜3にスタンパ1のパターンを転写した。
比較例では、図2に示すスタンパ1において、チップ領域6間に樹脂供給パターン9が形成されていない、つまり、図1の横方向に並ぶチップ領域6同士がスクライブラインのみを介して隣接しているスタンパ1を使用した。このスタンパ1を使用した以外は、実施例1と同様に微細構造転写装置Aを構成し、この微細構造転写装置Aを使用して実施例1と同様の方法で基板2上の樹脂膜3にスタンパ1のパターンを転写した。
2 基板
3 樹脂膜
4 ステージ
5 プレート
6 チップ領域
7 大パターン
8 小パターン
9 樹脂供給パターン
10 チップパターン
12 残膜
13 樹脂排出パターン
A 微細構造転写装置
Claims (5)
- 微細なパターンを有するスタンパを、基板上に形成した樹脂膜に押し付けて、前記パターンを前記樹脂膜に転写する微細構造転写スタンパにおいて、
前記スタンパの前記パターンは、複数のチップ領域を含んで構成されると共に、前記樹脂膜に前記スタンパが押し付けられる際にそれぞれの前記チップ領域内に形成されるチップパターンに向かって、前記樹脂膜を形成する所定の体積の樹脂を流動させて供給する樹脂供給パターンを前記各チップ領域の外周部に有し、
前記チップパターンは、パターンサイズの相互に異なる少なくとも2種類の前記パターンを有し、
前記パターンは、微細な凹部と凸部との繰り返しで形成されると共に、
前記パターンサイズは、隣接し合う前記凸部同士の間隔で規定され、
前記チップパターンの、少なくとも2種類の前記パターンは、前記パターンサイズが最大の大パターンと、前記パターンサイズが最小の小パターンとを含んで構成され、
前記大パターンと前記小パターンとにおける前記パターンサイズ同士の比は、100倍以上であることを特徴とする微細構造転写スタンパ。 - 請求項1に記載の微細構造転写スタンパにおいて、
前記樹脂供給パターンは、前記チップパターンの前記凸部と同じ高さの前記凸部で形成され、平面視で前記樹脂供給パターンの前記凸部の占める表面面積は、前記大パターンの前記凸部の占める表面面積よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする微細構造転写スタンパ。 - 請求項1又は請求項2に記載の微細構造転写スタンパにおいて、
互いに隣接し合う前記チップ領域同士の間に形成される前記樹脂供給パターンを有し、前記微細構造転写スタンパの中央部に形成される当該樹脂供給パターンの幅は、前記微細構造転写スタンパの外側寄りに形成される当該樹脂供給パターンの幅よりも広く形成されていることを特徴とする微細構造転写スタンパ。 - 請求項1に記載の微細構造転写スタンパにおいて、
前記スタンパの前記パターンは、前記樹脂膜に前記スタンパが押し付けられる際に、前記チップ領域及び前記樹脂供給パターンにおける余剰の樹脂を受け入れて当該チップ領域及び当該樹脂供給パターンにおける余剰の樹脂の排出を促がす樹脂排出パターンを前記樹脂供給パターンの外周部に有することを特徴とする微細構造転写スタンパ。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の微細構造転写スタンパを備えることを特徴とする微細構造転写装置。
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