JP5986448B2 - 硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法 - Google Patents

硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5986448B2
JP5986448B2 JP2012165124A JP2012165124A JP5986448B2 JP 5986448 B2 JP5986448 B2 JP 5986448B2 JP 2012165124 A JP2012165124 A JP 2012165124A JP 2012165124 A JP2012165124 A JP 2012165124A JP 5986448 B2 JP5986448 B2 JP 5986448B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alumina gel
solution
basicity
containing liquid
molar ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012165124A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014024694A (ja
Inventor
石原 俊
俊 石原
佐藤 文彦
文彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taki Kasei Co Ltd
Original Assignee
Taki Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taki Kasei Co Ltd filed Critical Taki Kasei Co Ltd
Priority to JP2012165124A priority Critical patent/JP5986448B2/ja
Priority to KR1020120120239A priority patent/KR101408397B1/ko
Publication of JP2014024694A publication Critical patent/JP2014024694A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5986448B2 publication Critical patent/JP5986448B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01FCOMPOUNDS OF THE METALS BERYLLIUM, MAGNESIUM, ALUMINIUM, CALCIUM, STRONTIUM, BARIUM, RADIUM, THORIUM, OR OF THE RARE-EARTH METALS
    • C01F7/00Compounds of aluminium
    • C01F7/48Halides, with or without other cations besides aluminium
    • C01F7/56Chlorides
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D21/00Separation of suspended solid particles from liquids by sedimentation
    • B01D21/01Separation of suspended solid particles from liquids by sedimentation using flocculating agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F1/00Treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F1/52Treatment of water, waste water, or sewage by flocculation or precipitation of suspended impurities
    • C02F1/5236Treatment of water, waste water, or sewage by flocculation or precipitation of suspended impurities using inorganic agents
    • C02F1/5245Treatment of water, waste water, or sewage by flocculation or precipitation of suspended impurities using inorganic agents using basic salts, e.g. of aluminium and iron

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)

Description

本発明は、水処理用凝集剤として広く用いられているポリ塩化アルミニウムの製造方法に関し、とりわけ凝集性を高めるために硫酸根が含有された硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法に関する。
以下、本発明では、水処理用凝集剤として使用する硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムを「PAC」と称する。
PACの製造方法として従来からさまざまな方法が提案されてきた。特に近年は低コストであり、且つ石膏を副生しない製造方法が注目されている。
例えば、塩化アルミニウムの正塩の溶液に炭酸ナトリウムを添加して塩基度を上げた後、硫酸根を添加してPACを製造する方法が知られている。また、上記方法で炭酸ナトリウムの添加前に硫酸根を添加する方法も知られている。さらに、上記塩化アルミニウムの正塩の溶液の替わりに塩基性塩化アルミニウム溶液を用いる方法も一般に知られている。
また、例えば、特許文献1には、アルミン酸ナトリウムと塩基性塩化アルミニウム溶液との混合において、高せん断力で撹拌することによって、ゲルを生成させることなくPACを製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、1乃至2価酸のアルミニウム正塩または低塩基度の塩基性アルミニウム塩水溶液とアルミン酸ナトリウム等のアルカリ性物質の水溶液とをヒューガルポンプやラインミキサーなどの高速撹拌が可能な装置を用いて瞬間的に混合することによってPACを製造する方法が記載されている。
しかし、特許文献1及び2の方法は、高せん断力撹拌または高速撹拌できる特殊な装置の使用を必須とするため、そのような撹拌能力を有さない汎用的な装置にそれらの方法を適用することができないという問題があった。
特許文献3及び4には、高せん断力撹拌または高速撹拌を必須要件とせず、低速から中速撹拌の汎用的な装置によってPACを製造する方法が開示されている。
特許文献3では、炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムを必須原料としたPACの製造方法が開示されている。具体的には、アルミン酸ナトリウムと炭酸ナトリウムとの混合液と塩基性塩化アルミニウム溶液とを同時添加して得られたアルミナゲルを脱塩し、該脱塩アルミナゲルを塩基性塩化アルミニウム溶液に溶解させた後、硫酸アルミニウムを添加することによるPACの製造方法である。
また、特許文献4には、炭酸塩を使用しないPACの製造方法が開示されている。具体的には、硫酸根を含有した塩基度50%のポリ塩化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの混合液にアルミン酸ナトリウムを滴下混合してアルミナゲル含有液(特許文献4では、「水酸化アルミニウムゲル」と記載)を得た後、該アルミナゲル含有液に65℃に加温したポリ塩化アルミニウムを滴下混合することによるPACの製造方法が開示されている。
米国特許第6036935号公報 特公昭61−11890号公報 特許第3194176号公報 特許第4209961号公報
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、炭酸塩を必須原料とするため、炭酸塩がコストアップの要因となっていた。また、炭酸塩に由来するナトリウム等の元素を除去する脱塩工程が必要であり、効率的な製造方法とは言い難かった。
また、特許文献4に記載の方法では、アルミナゲル含有液のAl濃度を低くしなければPACの製造が困難であるという問題があった。尚、その理由としては以下のことが推測される。即ち、特許文献4の実施例1〜8を例にとって説明すると、実施例1〜8ではポリ塩化アルミニウムと硫酸アルミニウムとの混合液を用いているが、該混合液(本発明の水溶性アルミニウム塩溶液に該当)のpHは4を下回るものであると見積もることができる。実施例1〜8では、そのような低pHの水溶性アルミニウム塩溶液に対しアルミン酸ナトリウムを滴下混合して徐々に中和しているために、アルミナゲル含有液のAl濃度を低くしなければ溶解性の高いアルミナゲルが得られないのではないか、ということが推測される。
また、アルミナゲル含有液のAl濃度が低いことの問題として、一般に市販されているAl濃度のPAC(例えば、日本水道協会のPACのAl濃度規格は10.0〜11.0質量%)を製造する場合、高塩基度のPACを製造することが困難となることがあった。
そこで本発明者らは、高せん断力撹拌(例えば、速度勾配1000sec−1以上)または高速撹拌(例えば、1000rpm以上)を必須要件とせず、低速から中速撹拌の汎用的な装置でPACを製造する方法において、炭酸塩を使うことなく、低塩基度から高塩基度までの広範囲の塩基度のうち任意の塩基度のPACを効率的に製造できる方法について鋭意検討した。その結果、塩基性塩化アルミニウム溶液及び硫酸アルミニウム溶液のうちの少なくとも1つとアルミン酸ナトリウム溶液とを反応槽に注入添加して得られる混合液のpHを特定の範囲内に維持し、且つ、両溶液の中和反応によって得られるアルミナゲルの塩基度を特定範囲の塩基度に設定することによって、アルミナゲル含有液のAl濃度が高い場合であっても溶解性の高いアルミナゲルが得られることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明のPACの製造方法は、下記(1)〜(3)の工程を包含することを特徴とする。
(1)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0〜0.4)及び硫酸アルミニウム溶液のうちの少なくとも1つからなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0〜2である。
(2)第1の工程で得られたアルミナゲル含有液と、塩基度が25〜65%である塩基性塩化アルミニウム溶液とを混合する第2の工程。
(3)第2の工程で得られた混合液中のアルミナゲルを溶解させる第3の工程。
本発明のPACの製造方法は、上記第1の工程として、下記(1a)の工程を行うことが好ましい。
(1a)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0である。
また、本発明のPACの製造方法は、上記第1の工程として、下記(1b)の工程を行うことも好ましい。
(1b)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え0.3以下である。
また、本発明のPACの製造方法は、上記第1の工程として、下記(1c)の工程を行うことも好ましい。
(1c)硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜6の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜90%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0.3を超え2以下である。
また、本発明のPACの製造方法は、上記第1の工程として、下記(1d)の工程を行うことも好ましい。
(1d)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)及び硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え2以下である。
また、本発明のPACの製造方法は、上記第1の工程として、下記(1e)の工程を行うことも好ましい。
(1e)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)及び硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え2以下である。
本発明のPACの製造方法において、上記アルミナゲル含有液中のAl濃度は、3〜15質量%であることが好ましく、5.5〜15質量%であることがより好ましい。
本発明のPACの製造方法は、上記第2の工程を経て得られた混合液に、上記第1の工程と同様の方法を用いて別途調製したアルミナゲル含有液を混合する第2′の工程を更に包含してもよい。
本発明のPACの製造方法では、上記第3の工程を行う際の液温が、20〜80℃であることが好ましい。
また、本発明は、PACの製造方法であり、凝集性能向上のための硫酸根を含有させる必要があるが、上記硫酸根は任意の工程で含有させればよい。
具体的には、例えば、第1の工程で使用する水溶性アルミニウム塩溶液として、硫酸根含有の塩基性塩化アルミニウム溶液または硫酸アルミニウム溶液を用いてもよいし、第2又は第3の工程中やその前後で硫酸根含有化合物を別途添加してもよく、さらには、第2の工程で使用する塩基度が25〜65%である塩基性塩化アルミニウム溶液として硫酸根を含有したものを用いてもよい。
本発明のPACの製造方法によれば、低塩基度から高塩基度までのうち任意の塩基度を有するPACを効率的に製造することができる。
また、本発明の製造方法は、炭酸塩を使用しないため低コストであり、脱塩工程が不要であるという長所を有する。
本発明のPACの製造方法の一例を説明するための工程図である。 本発明のPACの製造方法の別の一例を説明するための工程図である。
以下において、本発明のPACの製造方法について更に詳細に説明する。尚、特に断らない限り、各工程では撹拌操作を行うものとする。
(製法1)
ここで説明する製法1は、本発明のPACの製造方法の一例である。
図1は、本製法1を説明するための工程図である。
本製法1によるPACの製造方法は、少なくとも下記(1)〜(3)の工程を包含し、かつ、任意のタイミングで硫酸根を添加する(含有させる)工程を有していればよい。
(1)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0〜0.4)及び硫酸アルミニウム溶液のうちの少なくとも1つからなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0〜2である。
(2)第1の工程で得られたアルミナゲル含有液と、塩基度が25〜65%である塩基性塩化アルミニウム溶液(以下、塩基性塩化アルミニムウ溶液(2)又はBAC(2)とも称する)とを混合する第2の工程。
(3)第2の工程で得られた混合液中のアルミナゲルを溶解させる第3の工程。
以下、本製法1について、工程順に説明する。
本製法1では、
まず、(1)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0〜0.4)及び硫酸アルミニウム溶液のうちの少なくとも1つからなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程を行う。以下、上記塩基性塩化アルミニウム溶液を、BAC(1)と称する。
上記水溶性アルミニウム塩溶液としては、上記BAC(1)のみ、上記硫酸アルミニウム溶液のみ、又は、上記BAC(1)と上記硫酸アルミニウム溶液を併用したもののいずれであってもよい。
上記BAC(1)の製造方法は特に限定されず、公知のいかなる製造方法を利用して製造したものであってもよい。
上記BAC(1)の最も望ましい製造方法は、オートクレーブ法、即ち、水酸化アルミニウムに塩酸あるいは塩化アルミニウムを加えて140〜180℃で1〜8時間加熱し溶解する方法である。
BAC(1)の組成としては、Al濃度が10〜20質量%が好例である。
また、上記BAC(1)は、硫酸根を含有するものであってもよく、その場合は常法によりBAC(1)に硫酸根を含有させればよい。例えば、上記オートクレーブ法において、水溶性の硫酸根含有化合物を、オートクレーブ前に添加してもよいし、オートクレーブ後に添加してもよい。
以下、上記BAC(1)のうち、硫酸根を含有しないBAC(1)を「硫酸根不含BAC(1)」と称し、硫酸根を含有するBAC(1)を「硫酸根含有BAC(1)」と称する。上記硫酸根含有BAC(1)におけるSO/Alのモル比は、0を超え0.4以下であり、好ましくは0.01〜0.4である。
上記モル比の上限を超えて硫酸根が含有されていると、溶解性の良いアルミナゲルが得られ難くなったり、ろ過性が低下したりすることがある。
また、上記硫酸根含有BAC(1)として、製品化された塩基度45〜65%のPACを用いてもよいが、SO/Alのモル比の範囲は0を超え0.4以下である。
上記硫酸アルミニウム溶液としては、Al濃度が4〜8.3質量%のものが好ましい。上記Al濃度が8.3質量%を超えると、特に低温下において溶液全体が白濁化し不安定になり易い。また、上記Al濃度が4質量%を下回っても構わないが、濃度が低くなるために経済的でない。尚、好例としては、水道用硫酸アルミニウム溶液として用いられているSO/Alのモル比が3であり、Al濃度が8〜8.2質量%のものである。
上記アルミン酸ナトリウム溶液は、組成としてAl濃度が15〜26.5質量%、Na/Al(モル比)が2.2〜4であるものを用いることが好ましい。
上記組成のアルミン酸ナトリウム溶液であれば、上記水溶性アルミニウム塩溶液との反応によって生成するアルミナゲルが良好な溶解性を示す。
上記Na/Al(モル比)は、2.2〜3.4であることがより好ましい。
本工程では、図1に示すように、水溶性アルミニウム塩溶液とアルミン酸ナトリウム溶液とを反応槽等に添加して混合液を得る。このとき、混合液中では中和反応によりアルミナゲルが生成する。
ここで、水溶性アルミニウム塩溶液及びアルミン酸ナトリウム溶液の両溶液の添加方法は、混合液のpHが4〜11の範囲内に維持されるように添加することが極めて重要である。
上記混合液のpHが上記範囲を逸脱すると、後の工程でアルミナゲルを溶解した際に、溶解後の液に濁りが発生したり、未溶解残査が多量に発生したりする場合があり、さらには、製造したPACが保存安定性に劣るものとなることがある。
上記添加方法の一態様としては、例えば、上記両溶液を反応槽に同時に連続的に注入添加する方法が挙げられるが、混合液のpHを上記範囲内に維持できる方法であれば、例えば、上記両溶液を間欠的に注入添加してもよいし、いずれか一方の溶液のみを間欠的に注入添加してもよい。尚、必須ではないが、上記反応槽には予め水を入れておくことが好ましい。
また、注入添加の方法には特に制限は無いが、得られるアルミナゲルの安定性の観点から、定量ポンプを用いて注入添加することが好ましい。
上記注入添加における添加速度については、上記両溶液の添加速度が速いと中和反応によって生成するアルミナゲルが高粘度化したり固化したりする。このような現象が生じると、後の工程における操作に支障をきたす場合がある。従って、低粘度のアルミナゲルが得られるように、撹拌装置、製造規模等の製造条件に応じて、上記両溶液の添加速度を適切に設定することが望ましい。
本工程における撹拌速度については特に制限は無く、低速撹拌(例えば、100〜180rpm)、中速撹拌(例えば、200〜400rpm)及び高速撹拌(例えば、1000rpm以上)のいずれでも適用できる。但し、本発明の製造方法は、製造規模の大小に関係なく、基本的には低速撹拌を適用できるものである。
また、上記添加方法の別の一態様としては、上記両溶液をスタティックミキサー等のラインミキサーを用いて混合してもよいが、低粘度のアルミナゲルが得られるように、ラインミキサーの種類を適宜選択することが望ましい。
以上の操作により、アルミナゲル含有液を得ることができる。
上記アルミナゲル含有液は、アルミナゲルの微粒子が分散したスラリー状の液である。
本工程では、該液中に含有されるアルミナゲルの塩基度が70〜100%となり、アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比が0〜2となるように、上記両溶液、即ち水溶性アルミニウム塩溶液とアルミン酸ナトリウム溶液の添加量を適宜設定する。
上記アルミナゲルの塩基度が上記範囲内であれば、溶解性の高いゲルが得られる。これに対し、上記塩基度が70%を下回ると、アルミナゲル含有液の粘度が増大する傾向となり、場合によっては固化するため、操作性が悪くなる。一方、アルミナゲルの設計塩基度が100%を上回るようにした場合、ゲルの性状が不均一となる傾向があり、操作性が悪くなる。
尚、本発明において「アルミナゲルの塩基度」とは、アルミナゲル含有液中のAl、Cl、Na、SO濃度を用いて算出した塩基度である。
尚、アルミナゲル含有液中の硫酸根の割合が多い場合、例えばSO/Alのモル比が0.3を超え2以下の場合は、水溶性アルミニウム塩溶液とアルミン酸ナトリウム溶液との混合液のpHが4〜6の範囲内を維持するように添加し反応させることが好ましく、更に、得られるアルミナゲルの塩基度を70〜90%とすることが好ましい。
上記アルミナゲル含有液のその他の組成については、Al濃度が3〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましい範囲は5.5〜15質量%である。また、Na/Al(モル比)は0.5〜2.0であることが好ましい。
上記Al濃度が15質量%を超えると、アルミナゲル含有液の粘度が上昇するため、後の工程における操作性が悪くなる場合がある。一方、上記Al濃度が3質量%を下回っても製造は容易であるが、貯蔵、輸送コストの点から最終製品濃度を高くするために、上記Al濃度の下限値は3質量%であることが好ましく、さらには5.5質量%であることがより好ましい。
また、上記Na/Al(モル比)が上記範囲内にあると、アルミナゲル含有液の取り扱いが容易となり、またアルミナゲルの溶解性が高くなる傾向があるため好ましい。
また、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比については、上記モル比の上限を超えることとなる硫酸根が含有されていると、溶解性の良いアルミナゲルが得られ難くなったり、ろ過性が低下したりすることがある。
上記アルミナゲル含有液に硫酸根を含有させる方法としては特に制限は無く、例えば、上述した通り、硫酸根含有BAC(1)及び硫酸アルミニウム溶液のうちいずれか一方または双方を用いてもよく、更には、上記アルミナゲル含有液を調製した後に、アルミナゲル含有液に水溶性の硫酸根含有化合物を添加してもよい。
上記水溶性の硫酸根含有化合物としては、例えば、硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム等を例示できる。これらのなかでは硫酸アルミニウムが特に好ましい。
上記水溶性の硫酸根含有化合物は、操作性の観点から、溶液を用いることが好ましい。硫酸アルミニウム溶液を用いる場合は、例えば、上述したアルミナゲル含有液を調製する際に使用する硫酸アルミニウム溶液と同様のものを用いることができる。
尚、後の工程において水溶性の硫酸根含有化合物を用いる場合も、上記例記した水溶性の硫酸根含有化合物を用いることができる。
上記水溶性の硫酸根含有化合物の添加量は、使用する全原料中の硫酸根含有量に応じて適宜調節すればよいが、最終製品であるPAC中の硫酸根含有量がSO/Al(モル比)として0.35を上回らないように添加することが好ましい。尚、後の工程において上記水溶性の硫酸根含有化合物を添加する場合も、最終製品であるPAC中の硫酸根含有量がSO/Al(モル比)として0.35を上回らないように添加することが好ましい。
最終製品であるPAC中に硫酸根が含有されることによって、アルミニウムの重合がより促進され、良好な凝集性能を有するPACを得ることができる。
また、本工程では、特に加熱を行う必要はなく、室温下でアルミナゲル含有液を調製することができる。
また、本工程で得られるアルミナゲル含有液は保存安定性が比較的高い傾向が認められるが、早期に使用することが好ましい。また、本発明の製造方法は、脱塩等を目的としたアルミナゲル含有液のろ過を必要とはしない。
本製法1では、次に、(2)第1の工程で得られたアルミナゲル含有液と、塩基度が25〜65%である塩基性塩化アルミニウム溶液(BAC(2))とを混合する第2の工程を行い混合液を得る。
本工程において、BAC(2)の添加量は、塩素量を目安にして、最終製品であるPAC中のCl/Al(モル比)が1〜5程度となるような量とすることもできるが、基本的には最終製品であるPACが目的とする塩基度、Al濃度及びSO濃度に応じて適宜設定することが好ましい。
上記BAC(2)としては、上記BAC(1)と同一のものを用いてもよいし、別途上記塩基度の範囲内となるように製造した塩基性塩化アルミニウム溶液を用いてもよい。
上記BAC(2)の組成としては、Al濃度が10〜20質量%が好例である。
上記BAC(2)の硫酸根の含有量は、SO/Al(モル比)として0以上0.85未満であることが好ましい。
上記BAC(2)の液温については特に制限は無いが、後の工程のアルミナゲルの溶解時の液温以下であることが好ましい。
上記アルミナゲル含有液と上記BAC(2)との混合方法は特に制限は無く、上記BAC(2)にアルミナゲル含有液を添加してもよく、また、アルミナゲル含有液にBAC(2)を添加してもよい。
尚、本工程では、上記アルミナゲル含有液と上記BAC(2)との混合が完了した時点で、アルミナゲルの溶解も完了していることがあるが、この場合は、本工程と後述する第3の工程とが同時に行われたこととなり、このような態様も本発明の一例に含まれる。
本工程では、水溶性の硫酸根含有化合物を添加することも好ましい態様の1つである。
即ち、上記アルミナゲル含有液と上記BAC(2)との混合時に、上記水溶性の硫酸根含有化合物を適宜添加してもよい。
本製法1では、次に(3)第2の工程で得られた混合液中のアルミナゲルを溶解させる第3の工程を行う。
上記アルミナゲルの溶解は、混合液の液温を20〜80℃の範囲内に設定して行うことが好ましい。
上記液温が80℃を超えると、最終製品であるPACの凝集性能と保存安定性が悪化する場合があり、一方、20℃未満では溶解時に増粘したり、アルミナゲルが充分に溶解しない場合がある。アルミナゲルの溶解が不十分である場合は上記液温の範囲内で適宜加熱すればよい。
上記液温は40〜80℃の範囲がより好ましい。
本工程は、アルミナゲルの溶解後に、熟成工程として、溶解時の温度をそのまま一定時間保持する工程を有していてもよい。
本工程において、アルミナゲルの溶解時間及び熟成時間は、アルミナゲルの溶解性、溶解時の液温、撹拌力等の条件に応じて適宜設定すればよく、溶解時の液温を高くする場合は、熟成時間を短くすることが好ましい。
一例として、液温を80℃に加熱してアルミナゲルを溶解させる場合、80℃に達してから加熱を終了するまでの時間は、熟成工程を含めてもおよそ0.5〜2時間とすることが好ましい。
本工程では、水溶性の硫酸根含有化合物を添加することも好ましい態様の1つである。
上記水溶性の硫酸根含有化合物の添加は、任意のタイミングで行うことができる。即ち、上記水溶性の硫酸根含有化合物は、アルミナゲルの溶解前から溶解後、即ち、溶解前、溶解中及び溶解後のうちのいずれの段階においても添加することができる。
上記水溶性の硫酸根含有化合物の添加方法としては、上記水溶性の硫酸根含有化合物を一度に多量に添加すると粘度の異常な上昇が認められ製造が困難となる場合があるので、添加速度と撹拌強度を適宜調節して添加することが好ましい。
上記水溶性の硫酸根含有化合物を溶液で添加する場合、該溶液の温度は20〜80℃の範囲内であれば特に限定はない。
本製法1では、以上の工程により、PAC(硫酸根含有ポリ塩化アルミニウム)を得ることができる。
ここで、得られるPACの塩基度としては、45〜83.5%の範囲が好例である。
本製法1は、原料の配合比率を変化させるだけで、さまざまな塩基度のPACを簡便に製造できるという長所を有する。尚、凝集性能と保存安定性等の観点から、上記PACの塩基度の範囲としては、50〜80%であることがより好ましい。
尚、アルミナゲル含有液中の硫酸根の割合が多い場合、例えばSO/Alのモル比が0.3を超え2以下の場合は、得られるPACの塩基度を45〜60%の範囲とすることが好ましい。
上記PACの組成としては、Al濃度が5〜15質量%であり、SO/Al(モル比)が0.1〜0.35であることが好ましい。ちなみに、上記Al濃度が10.2質量%のときは、SO濃度が0.96〜3.4質量%であることが好ましく、1.5〜3.0質量%であることがさらに好ましい。尚、輸送上の経済性及び保存安定性を考慮すると、上記Al濃度は8〜13質量%であることがより好ましい。
また、本製法1では、得られたPACをろ過操作により清澄化させることが好ましい。
ろ過方法については特に制限は無く、例えば、フィルタープレス、ヌッチェろ過等適宜選択すればよい。
また、上記PACは、熱風乾燥機、噴霧乾燥機等の乾燥機によって乾燥させることにより、粉末PACとすることもできる。
以下、上記製法1におけるより好ましい態様を製法2〜6として説明する。
製法2〜6は、それぞれの第1の工程のみが上記製法1の第1の工程と異なっている。そのため、以下では重複した部分の説明は省略し、各製法の第1の工程のみを簡潔に説明する。
尚、製法2〜6によって得られるPACは、Al濃度とSO/Al(モル比)の範囲については上記製法1と同様であるが、塩基度の範囲が各製法によって異なるので、PACについては塩基度の範囲について言及した。
(製法2)
本製法2の第1の工程(1a)は下記の通りである。
(1a)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0である。
ここで、水溶性アルミニウム塩溶液として挙げた塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)とは、上記製法1で説明した硫酸根不含BAC(1)のことである。
硫酸根不含BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液とを用いて混合液を調製する方法、即ち、上記両溶液の添加方法、撹拌条件等は上記製法1と同様である。
本製法2で得られるPACの塩基度の範囲の好例は、上記製法1と同様に45〜83.5%であるが、凝集性能と保存安定性の観点から50〜80%であることがさらに好ましい。
(製法3)
本製法3の第1の工程(1b)は下記の通りである。
(1b)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え0.3以下である。
ここで、水溶性アルミニウム塩溶液として挙げた塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)とは、上記製法1で説明した硫酸根含有BAC(1)のことである。上記SO/Alのモル比の範囲としては、0.01〜0.4であることが好ましい。
硫酸根含有BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液とを用いて混合液を調製する方法、即ち、上記両溶液の添加方法、撹拌条件等は上記製法1と同様である。
本製法3で得られるPACの塩基度の範囲の好例は、上記製法1と同様に45〜83.5%であるが、凝集性能と保存安定性の観点から50〜80%であることがさらに好ましい。
(製法4)
本製法4の第1の工程(1c)は下記の通りである。
(1c)硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜6の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜90%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0.3を超え2以下である。尚、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は、0.5〜2の範囲であることが好ましく、1.0〜1.8の範囲がより好ましい。
ここで、水溶性アルミニウム塩溶液として挙げた硫酸アルミニウム溶液は、上記製法1で説明したように、Al濃度が4〜8.3質量%のものが好ましい。
本工程では、水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸アルミニウム溶液のみを用いるために、硫酸アルミニウム溶液とアルミン酸ナトリウム溶液との混合液のpHが4〜6の範囲内を維持するように添加し反応させることが好ましい。上記混合液のpHが6を超えると、得られるアルミナゲル含有液の溶解性が低くなる場合がある。尚、上記pH以外について、硫酸アルミニウム溶液とアルミン酸ナトリウム溶液とを用いて混合液を調製する方法、即ち、上記両溶液の添加方法、撹拌条件等は上記製法1と同様である。
上記アルミナゲル含有液のその他の組成については、上記製法1と同様に、Al濃度が3〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5.5〜15質量%の範囲である。また、Na/Al(モル比)が0.5〜2.0であることが好ましい。
本製法4で得られるPACの塩基度としては、45〜60%の範囲が好ましい。
(製法5)
本製法5の第1の工程(1d)は下記の通りである。
(1d)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)及び硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え2以下である。
本製法5は、上記製法1において、BAC(1)及び硫酸アルミニウム溶液の両者を必須とし、更に、BAC(1)として硫酸根不含BAC(1)を用いる点で異なる。そのため、詳細な説明は省略する。
本製法5で得られるPACの塩基度の範囲の好例は、上記製法1と同様に、45〜83.5%(より好ましくは50〜80%)であるが、アルミナゲル含有液中の硫酸根の割合が多い場合、例えばSO/Alのモル比が0.3を超え2以下の場合は、45〜60%の範囲である。
(製法6)
本製法6の第1の工程(1e)は下記の通りである。
(1e)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)及び硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
但し、上記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、上記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え2以下である。
本製法6は、上記製法1において、BAC(1)及び硫酸アルミニウム溶液の両者を必須とし、更に、BAC(1)として硫酸根含有BAC(1)を用いる点で異なる。そのため、詳細な説明は省略する。
本製法6で得られるPACの塩基度の範囲の好例は、上記製法5と同様である。
(製法7)
図2は、本製法7を説明するための工程図である。
本製法7は、上記製法1〜6の一部を改変した製法である。以下、上記製法1と比較しながら本製法7を説明する。
具体的には、図2に示すように、上記製法1の第2の工程を経て得られた混合液に、上記製法1の第一の工程と同様の方法を用いて調製したアルミナゲル含有液を混合する工程(第2′の工程)を行うことを上記製法1から改変した点とする方法であり、その要点は、アルミナゲル含有液を2回に分けて使用することにある。このような工程を経ることにより、アルミナゲルの溶解を促進することができる。
尚、その他の工程については上記製法1と同様である。従って、上記製法1と同様の組成、塩基度を有するPACを製造することができる。
以下、本製法7について工程順に説明する。尚、上記製法1と重複する部分の説明は簡略化又は省略する。
本製法7では、まず、上記製法1の第1の工程と同様にしてアルミナゲル含有液を調製する(以下、アルミナゲル含有液(1)ともいう)。
次に、上記製法1の第2の工程と同様にして、上記アルミナゲル含有液(1)とBAC(2)とを混合して混合液(1)を得る。
一方、上記第1及び第2の工程とは別に、第1の工程と同様にしてアルミナゲル含有液(以下、アルミナゲル含有液(2)ともいう)を調製しておく。尚、アルミナゲル含有液(2)自体は、上記第1の工程で調製したアルミナゲル含有液(1)を別途分配したものであってもよい。
そして、本製法7では、上記混合液(1)に、上記アルミナゲル含有液(2)を混合して混合液(2)を得る第2′の工程を行う。この第2′の工程を行うことが上記製法1と異なる点である。
尚、上記第2′の工程を行う際の温度は特に制限されず、各液の成り行き温度で行えば良い。
その後、上記製法1の第3の工程と同様にして、上記混合液(2)中のアルミナゲルを溶解させる。
本製法7では、以上の工程を経ることにより、PAC(硫酸根含有ポリ塩化アルミニウム)を製造することができる。
尚、本製法7において、PACに硫酸根を含有させる方法は、上記製法1と同様である。即ち、水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根含有のものを用いてもよいし、BAC(2)に硫酸根を含有させてもよいし、更には、水溶性の硫酸根含有化合物を任意のタイミングで別途添加してもよい。
本製法7において、アルミナゲル含有液(1)とアルミナゲル含有液(2)の割合については特に制限は無いが、アルミナゲル含有液(1):アルミナゲル含有液(2)=1:0.1〜10(質量比)が好ましく、より好ましくは1:0.2〜5であり、さらに好ましくは1:0.2〜1である。
また、本製法7のようにアルミナゲル含有液(1)及び(2)を別の工程で混合する場合には、例えば、アルミナゲル含有液(1)及び(2)を調製する専用槽を設け、この専用槽からアルミナゲル含有液(1)及び(2)のそれぞれを別々に配送する方法を採用してもよいし、アルミナゲル含有液(1)は毎バッチ製造し、アルミナゲル含有液(2)だけを別の専用槽から配送する方法を採用してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例によって限定されるものではない。尚、塩基度以外は、特に断らない限り%は全て質量%を示す。また、特に断らない限り、撹拌下で製造した。
また、各実施例及び比較例において、各アルミン酸ナトリウム溶液のpHは概ね14であり、各BAC(1)のpHは、概ね2〜3の範囲内とした。尚、pHは、公知の方法により測定した。
尚、各実施例及び比較例では、実施例6と比較例5を除いて、撹拌機としてヤマト科学(株)製のLABO−STIRRER(LR−41B)を用い、撹拌の回転速度は240rpmとした。このとき、速度勾配(velocity gradient)を特許文献1に記載の式に従って算出したところ、67sec−1であった。
また、実施例6と比較例5では、撹拌機として(株)エスエムテー製のPOWER HOMOGENIZER(PD−96)を用い、撹拌の回転速度は10000rpmとした。このとき上記同様に算出した速度勾配は1047sec−1であった。
(実施例1〜4及び比較例1:BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液との混合液のpH変動試験1)
実施例1〜4及び比較例1では、水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根不含BAC(1)を用い、アルミナゲルの塩基度を変動させた条件下において、硫酸根不含BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液を同時に添加したときの混合液のpH範囲がPACの製造に及ぼす影響について評価した。
原料として、表1の「(a)原料」に記載の組成及び量のものを用い、下記[1]〜[4]の手順でPACを製造した。
[1] 水の入った容器に、BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液とを、それぞれローラーポンプ(アトー株式会社製 ペリスタポンプSJ−1211H)を用いて、緩速で同時に添加開始し同時に添加終了するように添加するとともに混合し、アルミナゲル含有液を調製した。このとき、上記両溶液の混合液のpH範囲は表1(b)欄に記載した通り、実施例1が4〜5、実施例2が4.5〜6、実施例3が6〜8、実施例4が9〜11、比較例1が3.5〜4であった。
各アルミナゲルの塩基度は、表1の(c)欄に記載した通り、実施例1が87.5%、実施例2が90%、実施例3が95%、実施例4が100%、比較例1が85%であった。
[2] 上記[1]で得られたアルミナゲル含有液に、硫酸アルミニウム溶液(2)を添加した。
[3] 上記[2]で得られた液に、BAC(2)を添加して混合液を得た。その後、該混合液を加熱し、アルミナゲルを溶解させた(アルミナゲルの溶解条件は表1(d)欄参照)。
[4] 上記[3]で得られた溶液をろ過した(ろ別した未溶解残渣のそのままの重量(湿重量)は表1(e)欄参照)後、調整水を添加して濃度調整を行った。尚、ろ過は、桐山製作所社製のろ紙(No.5C)を用いたヌッチェろ過で行い、ろ過が困難な場合は適宜珪藻土を用いた。
上記[1]〜[4]の工程を経ることにより、表1(f)欄記載の塩基度と組成を有するPACを得た。
上記[1]において、実施例1〜3のアルミナゲル含有液が低粘度のスラリー状であり、実施例4のアルミナゲル含有液は高粘度のスラリー状であった。一方、比較例1のアルミナゲル含有液は流動性を失った状態(シャーベット状)であった。
また、比較例1では、アルミナゲル溶解後の液に濁りがあり、さらに未溶解残渣量を多量に含有(表1(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。このため、工業的な製造には適さないことが明らかとなった。
また、実施例1〜4及び比較例1で得られた各PACについて、40℃保存試験における安定性として、PAC中に濁りや沈殿が生じるまでの日数を調べた。結果を表1(g)欄に示した。
その結果、表1(g)欄に示した通り、実施例1〜4のPACは保存安定性が高かったのに対し、比較例1のPACは保存安定性が低かった。
これらのことから、水溶性アルミニウム塩溶液とアルミン酸ナトリウム溶液との混合液のpH範囲が4〜11の範囲では製造上の問題なく、保存安定性に優れたPACを製造することができることが明らかとなった。一方、上記混合液のpH範囲が4を下回った比較例1では、未溶解残渣が多量に発生したためにろ過が困難となり工業的な製造には適さないことが明らかとなった。
Figure 0005986448
(実施例5及び比較例2〜4:BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液との混合液のpH変動試験2)
実施例5及び比較例2〜4では、水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根不含BAC(1)を用い、各アルミナゲルの塩基度を90%に設定した条件下において、BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液の添加方法とpH変動との関係を評価した。
具体的には、表2に記載の原料及び製造条件を採用し、アルミナゲル含有液の調製方法を下記方法に変更した以外は、実施例1と同様の手順でPACを製造した。
(実施例5)
BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液との同時添加において、アルミン酸ナトリウム溶液をBAC(1)よりも早く添加終了するように設定した。具体的には、BAC(1)の添加時間の3分の2の時間でアルミン酸ナトリウム溶液を添加し終えた。
この場合、表2の(b)欄に示したように、両溶液の混合液のpH範囲は4.5〜11となった。得られたアルミナゲル含有液の性状は、低粘度のスラリー状であった。
(比較例2)
BAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液との同時添加において、BAC(1)をアルミン酸ナトリウム溶液よりも早く添加終了するように設定した。具体的には、アルミン酸ナトリウム溶液の添加時間の6分の5の時間でBAC(1)を添加し終えた。
この場合、表2の(b)欄に示したように、両溶液の混合液のpH範囲は2〜4となった。得られたアルミナゲル含有液の性状は、流動性を失った状態(シャーベット状)であった。
(比較例3)
アルミン酸ナトリウム溶液の一部を先に容器に添加しておき、そこへBAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液とを同時添加した。但し、両溶液は同時に添加終了するように設定した。具体的には、アルミン酸ナトリウム溶液の全添加量のうち6分の1の量を先に容器に添加した。
この場合、表2の(b)欄に示したように、両溶液の混合液のpH範囲は6〜13となった。得られたアルミナゲル含有液の性状はスラリー状であったが、アルミナゲルは後の溶解工程において溶解し難かった。
(比較例4)
BAC(1)の一部を先に容器に添加しておき、そこへBAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液とを同時添加した。但し、両溶液は同時に添加終了するように設定した。具体的には、BAC(1)の全添加量のうち30分の1の量を先に容器に添加した。
この場合、表2の(b)欄に示したように、両溶液の混合液のpH範囲は2〜5となった。得られたアルミナゲル含有液の性状は、固形化したものであった。
実施例5及び比較例2〜4において、水溶性アルミニウム塩溶液(BAC(1))とアルミン酸ナトリウム溶液との混合液のpH範囲において大きな違いが生じた理由としては、比較例2〜4では両溶液が均一に反応しなかったことが考えられた。
また、比較例2〜4において、アルミナゲル溶解後の液は濁りがあり、さらに未溶解残渣量を多量に含有(表2(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。このため、工業的な製造には適さないことが分かった。また、表2に示した通り、保存安定性にも劣ることが分かった。
これに対して、実施例5は問題なくPACを製造することができ、PACの保存安定性にも優れていた(表2(g)欄参照)。
Figure 0005986448
(実施例6及び比較例5:高速撹拌下におけるpH変動試験)
水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根不含BAC(1)を用いた。
既に冒頭で説明した通り、撹拌速度を10000rpmとし、表3に記載の原料及び製造条件を採用し、下記の手順でPACを製造した。
(実施例6)
水の入った容器に、無撹拌下でBAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液を添加した後、直ちに10000rpmで撹拌して、ほぼ瞬時に塩基度90%のアルミナゲルを含有したアルミナゲル含有液を得た。
次に、上記アルミナゲル含有液にBAC(2)を添加して混合液を得た。次いで、上記混合液を加熱してアルミナゲルを溶解させた後、硫酸アルミニウム溶液(2)を添加した。その後、実施例1と同様にしてろ過した後、調整水を添加して濃度調整を行った。
(比較例5)
水の入った容器に、無撹拌下でBAC(1)とアルミン酸ナトリウム溶液を添加した後、直ちに10000rpmで撹拌して、ほぼ瞬時に塩基度59%のアルミナゲルを含有したアルミナゲル含有液を得た。
次に、上記アルミナゲル含有液を加熱してアルミナゲルを溶解させた後、硫酸アルミニウム溶液(2)を添加した。その後、実施例1と同様にしてろ過した後、調整水を添加して濃度調整を行った。
その結果、水溶性アルミニウム塩溶液(BAC(1))とアルミン酸ナトリウム溶液との混合によって得られた混合液(反応時間が短いので実質的にはアルミナゲル含有液とも云える)のpH範囲は、実施例6が4.5〜6であり、比較例5が3であった。
また、アルミナゲル溶解後の液について、実施例6は比較的多量の未溶解残渣が発生したが、透明度が高く、ろ過における困難性は低かった。
一方、比較例5は、濁りのある液となり、さらに未溶解残渣量を多量に含有(表3(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。このため、工業的な製造には適さないことが明らかとなった。
Figure 0005986448
(実施例7〜12及び比較例6:各種塩基度のPACの製造試験)
実施例7〜12及び比較例6では、水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根不含BAC(1)を用い、表4に記載の原料及び製造条件を採用し、実施例1と同様の手順で各種塩基度のPACを製造した。
実施例7〜12のPACの塩基度は48.0〜77.9%であり、比較例6のPACの塩基度は47.0%であった(表4(f)欄参照)。尚、各アルミナゲルの塩基度は、実施例7〜12は85〜100%とし、比較例6は60%とした(表4(c)欄参照)。
その結果、実施例7〜12のいずれにおいても問題なくPACを製造することができた。一方、比較例6では、アルミナゲル溶解後の液に濁りがあり、さらに未溶解残渣量を多量に含有(表4(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。このため、工業的な製造には適さないことが明らかとなった。
Figure 0005986448
(実施例13〜16:アルミナゲル含有液調製後における硫酸根の添加時期の変動試験)
表5に記載の原料及び製造条件を採用し、下記の手順でPACを製造した。尚、水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根不含BAC(1)を用い、各アルミナゲルの塩基度は95%とした。
(実施例13)
実施例1と同様の手順でPACを製造した。即ち、アルミナゲルの溶解操作前に硫酸アルミニウム溶液(2)を添加した。
(実施例14)
[1]実施例1と同様にしてアルミナゲル含有液を調製した。
[2]上記[1]で得られたアルミナゲル含有液にBAC(2)を添加し混合液を得た。
[3]上記[2]で得られた混合液を加熱し、アルミナゲルの溶解中に硫酸アルミニウム溶液(2)を添加した。
[4]上記[3]で得られた溶液を実施例1と同様にろ過した後、調整水を添加して濃度調整を行った。
(実施例15)
[1]実施例1と同様にしてアルミナゲル含有液を調製した。
[2]上記[1]で得られたアルミナゲル含有液にBAC(2)を添加し混合液を得た。
[3]上記[2]で得られた混合液を加熱し、アルミナゲルの溶解後に硫酸アルミニウム溶液(2)を添加した。
[4]上記[3]で得られた溶液を実施例1と同様にろ過した後、調整水を添加して濃度調整を行った。
(実施例16)
[1]実施例1と同様にしてアルミナゲル含有液を得た。
[2]上記[1]で得られたアルミナゲル含有液に、硫酸根を含有したBAC(2)を添加し混合液を得た。
[3]上記[2]で得られた混合液を加熱し、アルミナゲルを溶解させた。
[4]上記[3]で得られた溶液を実施例1と同様にろ過した後、調整水を添加して濃度調整を行った。
その結果、実施例13〜16のいずれにおいても問題なくPACを製造することができた。また、いずれのPACも保存安定性が高かった(表5(g)欄参照)。
Figure 0005986448
(実施例17〜19及び比較例7:水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根含有BAC(1)を用いたPACの製造試験)
表6に記載の原料及び製造条件を採用し、下記の手順でPACを製造した。
BAC(1)のSO/Alのモル比を、実施例17は0.10、実施例18は0.20、実施例19は0.39、比較例7は0.46(表6(a)欄参照)とした以外は、実施例1と同様の手順でPACを製造した。尚、各アルミナゲルの塩基度は87%とした。
このとき、アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は、実施例17が0.05、実施例18が0.11、実施例19が0.21、比較例7が0.25であった。
その結果、実施例17〜19では問題なくPACを製造することができたが、BAC(1)の硫酸根含有量が多くなると、ろ過速度が遅延する傾向が認められた。
また、比較例7では、アルミナゲル溶解後の液に濁りがあり、さらに未溶解残渣量を多量に含有(表6(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。以上より、比較例7の製造方法は、工業的な製造には適さないことが明らかとなった。
Figure 0005986448
(実施例20〜21及び比較例8:水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸アルミニウム溶液を用いたPACの製造試験)
表7に記載の原料及び製造条件を採用し、実施例1と同様の手順でPACを製造した。但し、水溶性アルミニウム塩溶液として実施例1のBAC(1)に替えて表7に記載の硫酸アルミニウム溶液(1)を用いた。尚、比較例8では硫酸アルミニウム溶液(2)を添加しなかった。
得られたアルミナゲル含有液の性状は、実施例20〜21では低粘度のスラリー状であったが、比較例8では流動性を失った状態(シャーベット状)であった。
実施例20及び21のいずれにおいても問題なくPACを製造することができた。また、いずれのPACも保存安定性が高かった(表7(g)欄参照)。
一方、比較例8では、未溶解残渣を多量に含有(表7(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。このため、工業的な製造には適さないことが分かった。
Figure 0005986448
(実施例22〜24及び比較例9:水溶性アルミニウム塩溶液としてBAC(1)及び硫酸アルミニウム溶液を用いたPACの製造試験)
表8に記載の原料及び製造条件を採用し、実施例1と同様の手順でPACを製造した。但し、水溶性アルミニウム塩溶液として、実施例22〜23及び比較例9では硫酸根不含BAC(1)及び硫酸アルミニウム溶液(1)を用い、実施例24では硫酸根含有BAC(1)及び硫酸アルミニウム溶液(1)を用いた。
得られたアルミナゲル含有液の性状は、実施例22〜24では低粘度のスラリー状であったが、比較例9では流動性を失った状態(シャーベット状)であった。
実施例22〜24のいずれにおいても問題なくPACを製造することができた。また、いずれのPACも保存安定性が高かった(表8(g)欄参照)。
一方、比較例9では、未溶解残渣を多量に含有(表8(e)欄参照)していたため、ろ過詰まりが生じろ過操作が困難であった。このため、工業的な製造には適さないことが分かった。
Figure 0005986448
(実施例25:アルミナゲル含有液の分割製造試験)
水溶性アルミニウム塩溶液として硫酸根不含BAC(1)を用いた。
表9に記載の原料及び製造条件を採用し、下記の手順でPACを製造した。
[1]第一の容器において、実施例1の[1]の工程と同様にして、塩基度100%のアルミナゲルを含有したアルミナゲル含有液(1)を得た。但し、水、BAC(1)及びアルミン酸ナトリウム溶液の各原料の量は表9に記載の量の3分の2の量である。
[2]第二の容器において、実施例1の[1]の工程と同様にして、塩基度100%のアルミナゲルを含有したアルミナゲル含有液(2)を得た。但し、水、BAC(1)及びアルミン酸ナトリウム溶液の各原料の量は表9に記載の量の3分の1の量である。
[3]上記[1]で得られたアルミナゲル含有液に、硫酸根を含有したBAC(2)を添加し混合液を得た。
[4]上記[3]で得られた混合液を加熱し、アルミナゲルの溶解中に、上記[2]で得られたアルミナゲル含有液(2)をローラーポンプ(アトー株式会社製 ペリスタポンプSJ−1211H)で緩速添加し、混合液を得た。
[5]上記[4]の混合液中のアルミナゲルの溶解後に、実施例1と同様にろ過した後、調整水を添加して濃度調整を行った。
その結果、実施例25では、問題なくPACを製造することができた。また、得られたPACは保存安定性が高かった(表9(g)欄参照)。
Figure 0005986448
(凝集試験)
各実施例で製造したPACについて、下記凝集試験1及び/又は2を行い、その凝集性能を評価した。また、凝集試験1及び2では、参考例として、塩基度50%、SO/Al(モル比)が0.3である市販の水道用PAC(多木化学株式会社製 PAC250A)を用いた。
(凝集試験1)
供試水:上水試験方法(日本水道協会)に記載の濁度測定用標準カオリンを水道水に分散させた人工濁水を供試水として使用した。
供試水の性状は、濁度:10.5度、アルカリ度:32mg/L、pH:7.75、水温:15℃であった。
ジャーテスト試験:
ジャーテストはジャーテスターと1Lビーカーを用いて実施した。
上記供試水1000mlに、PACをAlとして2.5mg/Lになるように加え、急速撹拌(120rpm×3分)、緩速撹拌(40rpm×10分)を行い、10分間静置後、上澄水100mlを採取し、処理水pH、濁度を測定した。結果を表10に示した。
Figure 0005986448
(凝集試験2)
供試水:加古川表流水を使用した。
供試水の性状は、濁度:5.7度、アルカリ度:35mg/L、pH:7.85、水温:16℃であった。
ジャーテスト試験:凝集試験1と同様にして実施した。結果を表11に示した。
Figure 0005986448

Claims (10)

  1. 下記(1)〜(3)の工程を包含することを特徴とする硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
    (1)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0〜0.4)及び硫酸アルミニウム溶液のうちの少なくとも1つからなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
    但し、前記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、前記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0〜2である。
    (2)第1の工程で得られたアルミナゲル含有液と、塩基度が25〜65%である塩基性塩化アルミニウム溶液とを混合する第2の工程。
    (3)第2の工程で得られた混合液中のアルミナゲルを溶解させる第3の工程。
    但し、第1の工程で調製されたアルミナゲル含有液中のSO /Al のモル比が0である場合、以下の(i)〜(iii)の方法のうちの少なくとも1つの方法を用いる。
    (i)第1の工程において、調製されたアルミナゲル含有液に水溶性の硫酸根含有化合物を添加する方法。
    (ii)第2又は第3の工程において、任意のタイミングで水溶性の硫酸根含有化合物を添加する方法。
    (iii)第2の工程における塩基度が25〜65%である塩基性塩化アルミニウム溶液として、硫酸根を含有したものを用いる方法。
  2. 前記第1の工程として、下記(1a)の工程を行う請求項1に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
    (1a)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
    但し、前記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、前記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0である。
  3. 前記第1の工程として、下記(1b)の工程を行う請求項1に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
    (1b)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
    但し、前記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、前記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え0.3以下である。
  4. 前記第1の工程として、下記(1c)の工程を行う請求項1に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
    (1c)硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜6の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
    但し、前記アルミナゲルの塩基度は70〜90%であり、前記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0.3を超え2以下である。
  5. 前記第1の工程として、下記(1d)の工程を行う請求項1に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
    (1d)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0)及び硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
    但し、前記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、前記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え2以下である。
  6. 前記第1の工程として、下記(1e)の工程を行う請求項1に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
    (1e)塩基性塩化アルミニウム溶液(塩基度35〜65%、SO/Alのモル比が0を超え0.4以下)及び硫酸アルミニウム溶液からなる水溶性アルミニウム塩溶液と、アルミン酸ナトリウム溶液とを、両溶液の混合液のpHが4〜11の範囲内を維持するように添加し反応させて、アルミナゲル含有液を調製する第1の工程。
    但し、前記アルミナゲルの塩基度は70〜100%であり、前記アルミナゲル含有液中のSO/Alのモル比は0を超え2以下である。
  7. 前記アルミナゲル含有液中のAl濃度が3〜15質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
  8. 前記アルミナゲル含有液中のAl濃度が5.5〜15質量%である請求項7に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
  9. 前記第2の工程を経て得られた混合液に、前記第1の工程と同様の方法を用いて別途調製したアルミナゲル含有液を混合する第2′の工程を更に包含する請求項1〜8のいずれか1項に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
  10. 前記第3の工程を行う際の液温が、20〜80℃である請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法。
JP2012165124A 2012-07-25 2012-07-25 硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法 Active JP5986448B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012165124A JP5986448B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法
KR1020120120239A KR101408397B1 (ko) 2012-07-25 2012-10-29 황산이온 함유 폴리염화알루미늄의 제조 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012165124A JP5986448B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014024694A JP2014024694A (ja) 2014-02-06
JP5986448B2 true JP5986448B2 (ja) 2016-09-06

Family

ID=50198700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012165124A Active JP5986448B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5986448B2 (ja)
KR (1) KR101408397B1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6277074B2 (ja) * 2014-07-08 2018-02-07 水澤化学工業株式会社 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法
JP6322517B2 (ja) * 2014-08-06 2018-05-09 水澤化学工業株式会社 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液の製造方法
JP6473679B2 (ja) * 2015-09-11 2019-02-20 水澤化学工業株式会社 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法
JP6186545B1 (ja) * 2016-03-31 2017-08-23 朝日化学工業株式会社 高塩基性塩化アルミニウムおよびその製造方法
JP6860196B2 (ja) * 2017-01-20 2021-04-14 大明化学工業株式会社 塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法
JP6904151B2 (ja) * 2017-08-04 2021-07-14 日本軽金属株式会社 硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法
JP6845195B2 (ja) * 2018-09-26 2021-03-17 朝日化学工業株式会社 高塩基性塩化アルミニウム
CN109734113B (zh) * 2019-03-20 2021-08-31 湖南玖恪环境工程有限公司 高絮凝效果聚氯化铝的生产方法
JP6682714B1 (ja) * 2020-02-21 2020-04-15 朝日化学工業株式会社 高塩基性塩化アルミニウムの製造方法
JP6991632B1 (ja) * 2021-09-01 2022-01-12 浅田化学工業株式会社 アルミナ粉体合成に適した高塩基性塩化アルミニウム水溶液の製造方法
JP7017283B1 (ja) * 2021-09-30 2022-02-08 浅田化学工業株式会社 高塩基性塩化アルミニウムの水溶液およびその製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3464023B2 (ja) * 1993-07-22 2003-11-05 朝日化学工業株式会社 含硫酸塩塩基性塩化アルミニウムの製造方法
JP3194176B2 (ja) * 1993-12-15 2001-07-30 朝日化学工業株式会社 硫酸根含有高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法
JP4209961B2 (ja) * 1998-03-27 2009-01-14 朝日化学工業株式会社 ポリ塩化アルミニウムの製造方法
JP4104773B2 (ja) * 1999-03-24 2008-06-18 朝日化学工業株式会社 浄水用凝集剤の製造方法
JP4953458B2 (ja) * 2008-02-28 2012-06-13 多木化学株式会社 新規な塩基性塩化アルミニウム及びその製造方法並びにその用途
KR101113178B1 (ko) * 2011-10-05 2012-03-13 삼구화학공업 주식회사 염기성 폴리염화알루미늄의 제조방법 및 이의 제조방법을 통해 제조된 염기성 폴리염화알루미늄

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014024694A (ja) 2014-02-06
KR20140013879A (ko) 2014-02-05
KR101408397B1 (ko) 2014-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5986448B2 (ja) 硫酸根含有ポリ塩化アルミニウムの製造方法
EP2552968B1 (en) New high viscosity carboxymethyl cellulose and method of preparation
US9708869B2 (en) High strength, operationally robust lost circulation preventative pseudo-crosslinked material
KR101725429B1 (ko) 고분자 무기응집제의 제조방법 및 그로부터 제조되는 무기응집제
CN104357026B (zh) 两性离子无机-有机单体聚合物钻井液处理剂及其制备方法
JP6860196B2 (ja) 塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法
CN108483609A (zh) 高效去除水中溶解性二氧化硅复合剂及其制备方法
CN108130066A (zh) 一种瓜尔胶压裂液体系用有机聚酸金属交联剂及其制备方法和瓜尔胶压裂液体系
CN105036140B (zh) 降低二氧化硅浆液粘度的方法
JP6904151B2 (ja) 硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法
JP6080980B2 (ja) シリカ−アルミナ組成物の調製
CN109502617A (zh) 碱性氯化铝溶液和其制造方法
JP6277074B2 (ja) 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液及びその製造方法
JP6814462B2 (ja) 硫酸根含有塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法
JP6598377B2 (ja) アルミナコロイド含有水溶液
JP2013170232A (ja) ガラクトマンナンの製造方法
MXPA02010035A (es) Metodo para la produccion de eteres de celulosa, no ionicos en povo, por lo menos alquilados solubles en agua y facilmente humedecibles.
JP6322517B2 (ja) 硫酸根変性塩基性塩化アルミニウム水溶液の製造方法
RU2728133C1 (ru) Способ получения диазодинитрофенола
KR100192872B1 (ko) 폴리염화알루미늄칼슘 및 그의 제조방법
EP2925791A1 (en) Manufacturing processes for gellan gum-based fluid gels
KR102017116B1 (ko) 폴리염화알루미늄 및 이를 이용한 수처리 방법
JPH10291820A (ja) 高濃度水酸化カルシウム水性懸濁液及びその製造方法
KR100791955B1 (ko) 안정한 1,2-벤즈이소티아졸린-3-온 액상 조성물과 이의제조방법
RU2650944C1 (ru) Способ гидролиза изопропоксида алюминия

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160620

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160805

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5986448

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250