JP5984641B2 - インクジェット記録用圧着原紙 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット式プリンタによる印刷に適したインクジェット記録用圧着原紙に係り、特に、顔料タイプの水性インクを使用したインクジェットプリンタによる印刷にも好適なインクジェット記録用圧着原紙に関する。
感圧接着剤を塗工した面に親展情報や広告情報等を印刷した上で感圧接着剤塗工面が内面となるように用紙を折り畳み、所定の圧力をかけることで圧着封止する圧着用紙が種々の用途に用いられている。このような圧着用紙は、郵送コストの低減を目的として、封書に代わって個人情報印刷面を再剥離可能に圧着した圧着葉書や、郵送や投函等で配布される圧着広告などの圧着印刷物としても多方面で利用されている。
圧着用紙の製造方法の一例は以下の通りである。先ず、一定の圧力を加えることにより接着可能で、且つ再剥離可能な感圧接着剤組成物を基紙表面塗工し、固定情報である共通情報をUV硬化型のインキによりフォーム印刷機で印刷する。その後、可変情報である個人情報(親展情報)を電子写真方式のプリンタで印字後、2つ折り若しくは3つ折り等に折り畳んでからシーラーの加圧ロール間に通して感圧接着剤組成物塗工面同士を接着することで、ユーザーに提供される形態となる。なお、ここで用紙を葉書大にカットすれば、圧着葉書となる。受取人は、受け取った圧着用紙乃至圧着葉書を受け取った後に接着された感圧接着剤塗工を剥離して、内部に印刷された親展情報を読み取る。
なお、圧着用紙の製造工程では、予め圧着用紙に固定情報をまとめて印刷した状態で保存され、保存された圧着用紙を必要な分だけ使用して親展情報の印刷を行い顧客に提供するのが一般的である。このため、固定情報が印刷された後、親展情報が印刷されて提供されるまでの間にはある程度の日数が空くことも多く、固定情報の印刷に用いるインクには耐候性が求められる。
さて、インクジェット方式のプリンタは、様々な手段でインクを無数の液滴として飛ばして記録シートに付着させることで記録を行うものであるが、技術的な進歩も著しく、これにより記録速度の高速化が可能となり、カラー化も容易となった。これにより、多色オフセット印刷やカラー電子写真方式と比較しても見劣りをしない画像を得られるようになってきており、加えて、インクジェット方式のプリンタにはカラー印字におけるランニングコストが電子写真方式のプリンタと比較して安いという特徴もあり、広く普及してきている。このような理由から、近年、圧着用紙の親展情報の印字においてもインクジェット方式のプリンタが使用されることが多くなっている。
インクジェット記録用紙の使用用途は、ポスターや製図用途にも広がってきており、このためインクジェット記録用紙やインクジェット記録用インクについても、より従来以上に色彩性や色再現性及び画像の耐候性等が求められるようになっている。このような要望に対して、インクジェット記録用インクや基材(インクジェット記録用紙)の改良も進み、最近では従来公知の水性染料インクに加え、水に色材顔料を分散させた水性顔料インクも使用されるようになり、上記の要求適性への対応が図られている。
これらの適性の内、画像耐候性の向上は、圧着用紙の製造工程においても大きな改善をもたらすことができる。先にも述べたように、固定情報の印刷に用いるインクには耐候性が求められるために従来はUV硬化型インキを使用するフォーム印刷で行なわれていたが、水性顔料インクの耐候性の改善が進んだことによりインクジェット方式のプリンタでも固定情報を印刷することが可能となった。このため、固定情報と親展情報を同時にインクジェット方式のプリンタで印字することによりフォーム印刷工程を減らすことができるため、大きなコスト改善につながることが期待されている。
その一方で、インクジェット記録用圧着用紙に水性顔料インクを使用するに際しては未だ幾つかの問題点もあり、これらに対応するために圧着用紙に新たな適性を付与する必要が生じた。具体的には以下の通りである。
(1)インク吸収性、インク定着性の向上(開封時の印字転移防止)
水性顔料インク中の色材顔料は、色材染料と比較して感圧接着剤組成物の塗工層内への吸収性が悪く、該塗工層上に色材顔料が残存し易い。このため、塗工層上に残存した色材顔料がシーラーで圧着されそのまま保持される間に対向面に転移し、圧着葉書を剥離した際に転移した色材顔料により文字やバーコードの判読が困難になるという問題がある。
(2)表面強度の向上(シーラーの加圧ロールの汚れ防止)
吸収性の悪い水性顔料インクを吸収させるためにシリカ等の吸水性の高い填料の配合比率を高くすると、インク付着量を多くした場合、印字された該塗工層の強度が弱くなるために、圧着原紙をシーラーで圧着して封滅処理をする際に、シーラーの加圧ロールに塗工層や色材顔料が剥ぎ取られてロールを汚し、場合によっては加圧ロールに蓄積した汚れが圧着原紙を汚すという問題が発生する。このため、シーラーで圧着葉書を封滅処理する際に加圧ロールが汚れない程度の表面強度が必要となる。
(3)高発色濃度
水性顔料インク中の色材顔料は色材染料と異なり水に不溶であるので、インク中に色材顔料を安定に分散させるために色材顔料の比率を上げることができず、鮮明な発色が得られにくい。また、発色濃度を上げる方法の一つとしてインク吸収性の高いシリカ等の填料の配合率を増やすというものもあるが、圧着葉書としての適切な接着力を保持させるためには印字面(圧着原紙においては感圧接着剤塗工面)への填料の配合量を一般的なインクジェット記録用紙程に上げることができない。
(4)印字部の滲み防止
鮮明な発色を得るために印字部へのインク付着量を増やすと滲みが発生してしまい、特にEAN128のようなバーコードを印字する場合にバーコードを読み取れないという問題がある。
これらの問題を解決するために、従来よりインクジェット記録用圧着紙に関する種々の提案がなされている。例えば特許文献1では、支持体シートに変性PVAと架橋剤を含有させ、これに、非剥離接着剤に微粒子充填剤とカチオン性水溶性高分子とを含有させた擬似接着剤層を設けることで、高速インクジェット方式のプリンタに使用されるインクの吸収性及び乾燥性、定着性を高め、印字した部分が水濡れ状態等になっても印字の脱落や滲み、汚れ等が生じることにない耐水性及び非転写性を用紙に付与した疑似接着用紙が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献2では、疑似接着剤層に微粒子状充填剤として特定比率の沈殿法合成シリカとゲルタイプ合成シリカとを特定の重量で配合し、さらにポリアミン・エピクロルヒドリンを含有させることで接着・剥離特性を維持しつつ、インクジェット記録方式における記録濃度(発色濃度)、フェザリング、インク耐水性を付与した疑似接着用紙が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献3では、感圧接着剤組成物にジルコニウム化合物を含有させることで、インクジェット方式のプリンタを使用した印字部の発色濃度が高く、また水が付着してもインクが溶出することなく、さらに圧着した後剥離する際に印字部が対向面に転写することがないようにしたインクジェット記録用圧着葉書用紙が提案されている(特許文献3参照)。
特許文献4では、接着層に、カチオン化合物として、カルシウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩を含有するアルキルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、若しくはアミン・エピクロルヒドリン重縮合物を含有させることで、インクジェット印字の画像濃度、耐水性・鮮明性及び塗工安定性を向上させ、剥離後の印字画像の転写防止を図った高速輪転インクジェット記録用圧着葉書用紙が提案されている(特許文献4参照)。
特開2001−192626号公報(請求項1) 特開2002−129135号公報(請求項1) 特開2004−216832号公報(請求項1) 特開2005−133234号公報(請求項1)
しかしながら、特許文献1,2に記載された方法では、水性顔料インクを使用した高速インクジェット方式のプリンタに適用した場合に十分なインク定着効果が得られない。このため、非転写性等を付与するまでには至らず、また、十分な画像の発色濃度をも得ることができない。
また、特許文献3,4に記載された方法でも、水性顔料インクを使用した高速インクジェット方式のプリンタに適用した場合に十分なインク定着効果は得られず非転写性を付与するまでには至らないものであった。
次に、前述の(1)〜(4)の特性を付与するための特許文献1〜4とは異なる提案として、以下のような解決法等が考えられる。
(1)インク吸収性、インク定着性の向上、及び(4)印字部の滲み防止を解決するための提案等;本発明者等は、圧着された圧着原紙を再剥離する際に印字部が対向面に転写しないように印字部の定着性を向上させることと、印字部の滲み防止を目的として感圧接着剤塗工層にカチオン性物質を添加することを検討した。これは、感圧接着剤塗工層にカチオン性物質を添加することで、アニオン性の水性インクが水に溶け難くなるという基本原理に基づくものである。しかしながら、水性顔料タイプのインクでは、水性染料タイプのインクについて報告されている程にはインク定着性の向上と滲みの改善が見られなかった。
(2)表面強度の向上、及び(3)高発色濃度を解決するための提案等;インクの発色濃度を高くするための方法としては、シリカ等のインク吸収量が大きい微粒子充填剤の感圧接着剤塗工層への配合量を多くするというものが考えられる。しかしながら、この方法について本発明者等が検討したところ、一定の性状を有するシリカ等を使用した場合以外は感圧接着剤塗工層のインク吸収性が高くなりすぎて感圧接着剤塗工層の表層に留まる水性顔料インクの割合が低下して逆に発色性が低下したり、微粒子充填剤の配合量の増加により感圧接着剤塗工層の表面強度が低下して、シーラーで圧着葉書を封滅処理する際に加圧ロールを汚すという問題が発生することがわかった。いずれにしても、水性顔料インクを用いた場合の本質的解決手段は提案されていないのが現状である。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、インク定着性に優れて印字内容が対向面に転写することなく、しかも、印字部の発色濃度に優れて滲みが生じないインクジェット記録用圧着原紙を提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、感圧接着剤塗工層の表面強度に優れ、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタにて印刷を行った場合でも、滲みや対向面への転移が起こらず、インク定着性、インク発色濃度、にも優れたインクジェット記録用圧着原紙、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、耐ブロッキング性に優れ、シーラーでの加工中にブロッキングを生じさせないインクジェット用圧着原紙を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタにて印刷を行った、インクジェット記録用圧着印刷物、インクジェット記録用圧着葉書、及びそれらの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、インクジェット記録用圧着原紙に好適な感圧接着剤組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタにて行うインクジェット記録用圧着原紙への印刷方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上述の課題を解決するために、本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙は、以下の構成を有する。すなわち、本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙は、基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含む感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けてなるものである。
ここで、前記感圧接着剤組成物に含まれる微粒子充填剤としては、少なくとも2種の非晶質シリカを用い、前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含む。
また、前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されている。
さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されている。
ここで、圧着原紙とは圧着印刷物の素材(原料)を意味し、基紙表面に感圧接着剤塗工層を設けたものを表し、ロールに巻き取られた形状で保管されることが多い。また、ここで圧着印刷物とは、圧着原紙の感圧接着剤塗工面上に親展情報等を印刷し、この親展情報等が隠蔽されるように感圧接着剤塗工面を圧着封止した印刷物を表し、圧着葉書や、圧着広告等が含まれる。
なお、本発明のインクジェット記録用圧着原紙においては、少なくとも一方の面に設けられた感圧接着剤塗工層が上記条件を満たしていればよく、もう一方の面は、同じ構成の感圧接着剤塗工層、異なる構成の感圧接着剤塗工層、感圧接着剤塗工層を設けない、等の構成を適宜採用すればよい。
このような構成によれば、感圧接着剤塗工層が高いインク定着性を有することにより、圧着原紙の親展面(圧着面)への印刷に水性顔料インクを使用したインクジェットプリンタを用いた場合であっても、親展面に記録された画像の対向する親展面への転移が抑えられるインクジェット記録用圧着原紙が得られる。加えてこのインクジェット記録用圧着葉書用紙は、感圧接着剤塗工層が十分な表面強度を有することによりシーラーで封滅処理を行う際にシーラーの加圧ロールに塗工層が取られて加圧ロールを汚すこともない。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記非晶質シリカとして、さらに、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が300〜330ml/100gで且つ水銀圧入法に基づいて測定した細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を含み、前記沈降法シリカ(A)と前記ゲル法シリカ(B)とは、重量比が、沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合されてもよい。
このような構成によれば、前述の効果に加えて、発色性にも優れたインクジェット記録用圧着葉書用紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記感圧接着剤組成物には、ブロッキング防止剤として小麦粉澱粉が、乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内の範囲で配合されていても良い。
このような構成によれば、適量の小麦粉澱粉を配合したことにより、耐ブロッキング性能が向上してシーラーでの加工中にブロッキングが発生し難くなりブロッキングによるハンドリングの不具合なども起こりにくくなることに加えて、インクの定着性及び吸収性がより改善されたインクジェット記録用圧着葉書用紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記非晶質シリカは、感圧接着剤組成物100重量%に対して30〜45重量%の範囲で配合されるものであってもよい。
このような構成によれば、感圧接着剤塗工層が十分な表面強度を有し、インク吸収性にも優れているため、加圧ロール等を汚す虞がさらに少ないインクジェット記録用圧着葉書用紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記非剥離性感圧接着剤は、微粒子充填剤100重量部に対して乾燥重量で100〜150重量部の範囲で配合されるものであってもよい。
このような構成によれば、適度な加圧で圧着封止され、しかも印字部の滲みも生じにくい優れたインクジェット記録用圧着葉書用紙を得ることが出来る。
また本発明は、これらのインクジェット記録用圧着原紙より作られたインクジェット記録用圧着印刷物に関する提案としても捉えることが出来る。
本発明に係るインクジェット記録用圧着印刷物は、前記インクジェット記録用圧着原紙の感圧接着剤塗工層を設けた感圧接着剤塗工面に水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタにて印刷を行い、感圧接着剤塗工面の少なくとも一部を圧着封止してなるものである。ここで、インクジェット記録用圧着印刷物は、圧着葉書として使用されるものであってもよい。
このような構成によれば、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタによる印刷に好適なインクジェット記録用圧着印刷物、及びインクジェット記録用圧着葉書が得られる。また、これらのインクジェット記録用圧着印刷物乃至圧着葉書は、インク定着性、インク発色濃度に優れ、対向面への転移や滲み等も生じない優れたものである。
また本発明は、インクジェット記録用圧着原紙に用いる感圧接着剤組成物に関する提案としても捉えることが出来る。
本発明に係る感圧接着剤組成物は、インクジェット記録用圧着原紙の基紙表面に塗工して用いるものであって、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含むものであり。ここで、前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含む。また、前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されている。さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されている。
このような構成の感圧接着剤組成物を用いれば、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタによる印刷に好適なインクジェット記録用圧着原紙が得られる。また、それにより得られたインクジェット記録用圧着原紙は、インク定着性、インク発色濃度に優れ、対向面への転移や滲み等も生じない優れたものとなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記非晶質シリカとして、さらに、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が300〜330ml/100gで且つ水銀圧入法に基づいて測定した細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を含み、前記沈降法シリカ(A)と前記ゲル法シリカ(B)とは、重量比が、沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合してもよい。
また、ブロッキング防止剤として小麦粉澱粉が、乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内の範囲で配合されているように構成してもよい。
本発明は、さらに、インクジェット記録用圧着原紙の製造方法、インクジェット記録用圧着印刷物の製造方法、インクジェット記録用圧着原紙への印刷方法に関する提案としても捉えることが出来る。
本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙の製造方法は、基紙を用意するステップと、基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含む感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けるステップと、を含むものである。ここで、前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含む。また、前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されている。さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されている。
このような製造方法によれば、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタによる印刷に好適なインクジェット記録用圧着原紙を製造することが出来る。また、それにより得られたインクジェット記録用圧着原紙は、インク定着性、インク発色濃度に優れ、対向面への転移や滲み等も生じない優れたものとなる。
本発明に係るインクジェット記録用圧着印刷物の製造方法は、インクジェット記録用圧着原紙を用意するステップと、インクジェット記録用圧着原紙に固定情報を記録するステップと、インクジェット記録用圧着原紙に可変情報を記録するステップと、インクジェット記録用圧着原紙を折り畳み圧着するステップと、を含み、前記インクジェット記録用圧着原紙は、基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含む感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けてなるものである。
ここで、前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含む。また、前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されている。さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されている。
また、前記インクジェット記録用圧着原紙への固定情報の記録は、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタにて行われるものである。
ここで固定情報とは、送信元の情報や注意事項、枠組み等の送信先によって変動しない共通情報を意味し、予め耐候性のあるインクでまとめて印刷しておくのが一般的である。また可変情報とは、親展情報等の送信相手毎に内容の異なる情報を意味し、料金の請求内容、契約内容、相手に適した広告情報、等が含まれる。
そして、このような製造方法によれば、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタによる印刷に好適なインクジェット記録用圧着印刷物、及びインクジェット記録用圧着葉書を製造することが出来る。また、これにより得られたインクジェット記録用圧着印刷物乃至圧着葉書は、インク定着性、インク発色濃度に優れ、対向面への転移や滲み等も生じない優れたものである。
本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙への印刷方法において、前記インクジェット記録用圧着原紙は、基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含む感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けてなるものである。
ここで、前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含むものである。また、前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されている。さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されている。
また、前記インクジェット記録用圧着原紙には、水性顔料インクを用いたインクジェットプリンタにて固定情報(共通情報)の印刷が行われる。
このような印刷方法によれば、固定情報の印刷をインクジェット式プリンタにて行えるため、フォーム印刷工程を減らすことが出来、コスト改善に繋がる。加えて、水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタで印刷を行っても、インク定着性、インク発色濃度に優れ、対向面への転移や滲み等も生じない優れたものとなる。
以上の説明より明らかなように、本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙は、高いインク定着性を有することにより、圧着面への印刷に水性顔料インクを使用したインクジェットプリンタを用いた場合であっても、親展面に記録された画像の対向する親展面への転移が抑えられるインクジェット記録用圧着葉書用紙が得られる。加えてこのインクジェット記録用圧着葉書用紙は、感圧接着剤塗工層が十分な表面強度を有することによりシーラーで封滅処理を行う際にシーラーの加圧ロールに塗工層が取られて加圧ロールを汚すこともなく、また、発色性も良好なものである。
また、感圧接着剤組成物に適量の小麦粉澱粉を配合すれば、耐ブロッキング性能が向上してシーラーでの加工中にブロッキングが発生し難くなり、ブロッキングによるハンドリングの不具合なども起こりにくくなることに加えて、インクの定着性及び吸収性がより改善されたインクジェット記録用圧着原紙が得られる。
インクジェット用圧着葉書用紙を二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書に適用した場合の一例を示す図である。 図1におけるA−A線断面図である。 インクジェット用圧着葉書用紙を三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書に適用した場合の一例を示す図である。 図3におけるB−B線断面図である。 実施例に用いた感圧接着剤組成物塗料の配合を示す図表である。 比較例に用いた感圧接着剤組成物塗料の配合を示す図表である。 実施例及び比較例により得られたインクジェット記録用圧着原紙による各物性の評価結果を示す図表である。
以下において、本発明の好適な実施の形態について詳細に述べるが、本発明は以下の記述で限定されるものではない。
先にも述べたように、本発明は、インクジェット記録用圧着原紙の親展面(圧着封止される面)への印刷に水性顔料インクを用いたインクジェットプリンタを使用することを前提としてなされたものである。インクジェット方式のプリンタによる用紙への印刷では、まずインクノズルから吐出されたインクジェットインクが液滴となって用紙表面に付着し、その後、付着した箇所から染料乃至顔料が用紙内部へと浸透して定着する。
先にも述べたように、水性顔料インクを用いた場合には、水性顔料インク中の色材顔料は感圧接着剤組成物塗工層への吸収性が悪いため、塗工層表面に色材顔料が残存しやすい。水性顔料インクは、用紙表面に沿って水平方向に広がりながら塗工層内部へと浸透するが、その際に塗工層のインク吸収性が低いとインクの塗工層内部への浸透が遅れることで水平方向へ拡がりやすくなり、滲みの原因となる。逆に塗工層のインク吸収性が高すぎるとインクが塗工層内部へ浸透しやすくなるためにインクが用紙表面(水平方向)に十分に拡がらずに鉛直方向へ浸透することにより、(インクが狭い範囲に吸収されることでオーバーフローするということか?)色材顔料が該塗工層上に定着されない状態で残存して、圧着した後、強圧で封滅された圧着葉書を剥離する際に印字が対向面に転移するという問題が発生する。
また、水性顔料インクで鮮明な画像を得るためにインク付着量を多くした場合には、印字部の滲みや、インクが十分に吸収されないことによりシーラーの加圧ロールに色材顔料が取られてロールを汚すという問題が発生する。
本発明者等は、水性顔料インクを使用した際の各問題を解決する手段の一つとして、従前よりインクの発色性及び滲み防止を向上させる方法としてよく知られているカチオン性樹脂の使用を検討したが、公知のカチオン性樹脂を感圧接着剤組成物に配合しても、水性顔料インクの発色性改善及び滲み防止に対しては効果が余り高くないという知見を得た。
これらの問題を解決するために、本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙は以下の構成を採用したものである。
本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙は、基紙の少なくとも一方の面に感圧接着剤組成物からなる感圧接着剤塗工層をもうけてなるものである。本発明において、インクジェット記録用圧着原紙に用いる基紙としては、クラフト紙、フォーム用紙、上質紙、中質紙、OCR用紙等の各種情報用紙を適宜使用することができる。これらの用紙は市販のものを用いても良いが、パルプから製造する場合には必要に応じて湿潤紙力増強剤等を添加して耐水性を付与しても良い。ここで、基紙の繊維原料としては一般的な木材パルプを適宜選択して用いることができるが、環境面を考慮して、工程で発生する損紙、古紙パルプ及びケナフ、バガス、竹等の非木材原料を使用してもよい。
本発明においてインクジェット用圧着原紙に用いる基紙の米坪量は特に制限するものではないが、圧着葉書用紙に加工することを考慮して60〜200g/m2の範囲とすることが好ましく、詳細な米坪の選択は郵便法における葉書の重量基準を充たすように行い、圧着葉書の形態にした際に重量が2〜6gの範囲となるように設定する。感圧接着剤の塗工によるインクジェット用圧着原紙全体の重量への影響は微々たるものであるため、葉書へと加工する際の重量コントロールは基紙の坪量により行うものである。ここで、米坪量が60g/m2を下回ると、不透明度を満足することが難しく、圧着葉書に加工した際に内側に印刷された親展情報が透けて見えてしまう虞がある。一方、米坪量が200g/m2を超えると、剛度が高くなるために圧着葉書へと加工する際の加工適性に劣る虞がある。
次に、感圧接着剤組成物について説明を行う。ここで感圧接着剤組成物とは、通常状態では接着することがなく加圧により接着し、且つ必要時に所定の力を加えることで剥離し得る組成物のことであり、一般的には、接着効果を担う非剥離性接着剤基剤と、基剤の接着態様の調整とインクの吸収等に寄与する微粒子充填剤と、圧着面の表面強度等に寄与するバインダーとを主成分としてなるものである。この感圧接着剤組成物からなる感圧接着剤塗工層を基紙の少なくとも一方の面に設けることで圧着葉書用紙とすることができ、また、感圧接着剤組成物に配合する原料の種類や配合量をインクジェットプリンタによる印刷に適したものに調整することで、インクジェット記録用圧着原紙とすることができる。
本発明において、感圧接着剤組成物に使用できる非剥離性感圧接着剤としては、天然ゴム系ラテックスや合成ゴムラテックス等が挙げられる。天然ゴム系ラテックスとしては、天然ゴムにメタアクリル酸メチル、スチレンをグラフト重合させて得られた天然ゴム系ラテックス、天然ゴムとメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴム系ラテックス、天然ゴム系ラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとの混合物等が、表面強度及び耐ブロッキング性の向上に効果があるという理由から好適に用いることができる。また、合成ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエンラテックスを好適に用いることができる。これらのラテックスは、それぞれ単独又は2種以上を混合して用いることが可能である。
また、本発明において非剥離性感圧接着剤の配合量は、乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して100〜150重量部の範囲とすることが望ましい。非剥離性感圧接着剤の配合量が100重量部を下回る場合には、非剥離性感圧接着剤の配合量が少ないために接着力が弱くなり、圧着して封滅処理を行う際に強圧が必要となる。強圧で圧着葉書用紙の封滅処理が行われることで圧着された対向面相互間にも強圧がかかることとなり、再剥離した際に圧着面の印字内容が対向面に転写する虞がある。一方、非剥離性感圧接着剤の配合量が150重量部を上回る場合には、相対的に微粒子充填剤の配合割合が下がるため、感圧接着剤塗工層がインクジェットインクを十分且つ速やかに吸収できないためにインク滴が拡がり、記録画像が滲む虞がある。
本発明において感圧接着剤組成物に配合する微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用いる。これは、非晶質シリカが多孔質で水性顔料インクに対して高い吸収能を有していることから、感圧接着剤組成物に配合した場合に感圧接着剤塗工層のインク吸収性及びインク定着性が向上し、水性顔料インクを速やかに吸収して定着させることが可能となるためである。ここで、非晶質シリカのインク吸収力の度合いは吸油量で評価することができ、吸油量が大きくなるにつれインクジェットインクの吸収性も高くなると考えるのが一般的である。
本発明で用いる非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を用いる。このような沈降法シリカ(A)を適切な範囲で配合することにより、感圧接着剤塗工層のインク吸収性及びインク定着性が良好なものとなり、開封時の印字転移がなく、シーラーの加圧ロールを汚さない上に発色が良好で滲みのない、インクジェット用圧着葉書用紙を得ることができる。なお、これ以降の記載においては、単に「吸油量」と記した場合にはISO 787−5に基づいて測定した吸油量を意味する。
ここで、沈降法シリカ(A)の吸油量が140ml/100gを下回った場合には、微粒子充填剤として適切な範囲の配合量では感圧接着剤塗工層に十分なインク吸収性が付与できず、水性顔料インクの吸収が悪くなることで滲みが発生する虞がある。逆に沈降法シリカ(A)の吸油量が250ml/100gを上回った場合には、感圧接着剤塗工層のインク吸収性が高くなりすぎることにより多くのインクが紙層内部に埋没してしまい、発色濃度が悪化する虞がある。
また、本発明においては、感圧接着剤組成物に非晶質シリカとして、さらに、吸油量が300〜330ml/100gで、且つ水銀圧入法に基づいて測定した細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を配合し、沈降法シリカ(A)と併用してもよい。ゲル法シリカ(B)を適切な範囲で配合することにより、インクの発色濃度をより向上させることができる。発明者等による検討の結果、ゲル法シリカの前記吸油量が300ml/100gを下回る場合、及び/又は、細孔容積が2.0ml/gを下回る場合には、シーラーで封滅処理を行う際にシーラーの加圧ロールにインクが転写されたり感圧接着剤塗工層が剥ぎ取られるなどして加圧ロールを汚す虞がある。
本発明において、沈降法シリカ(A)とゲル法シリカ(b)とを併用する場合には、重量比が沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合することが好ましい。
ここで、ゲル法シリカ(B)の配合量が25:75を上回る場合、即ちゲル法シリカ(B)の配合量が沈降法シリカ(A)の配合量の3倍以上となった場合には、シーラーで封滅処理を行う際にシーラーの加圧ロールにインクが転写されたり感圧接着剤塗工層が剥ぎ取られるなどして加圧ロールが汚れたり、ブロッキングが起こりやすくなったりする虞がある。
なお、言うまでもないことだが、沈降法シリカとゲル法シリカとの適切な配合比率はそれぞれの非晶質シリカの吸油量や細孔容積等にも影響されるため、非晶質シリカの組合せによっては、ゲル法シリカの配合比率が非晶質シリカ100重量部に対して75重量部を上回っても実用上問題ないレベルのインクジェット記録用圧着原紙が得られる可能性はあると考えられる。
本発明において非晶質シリカは、乾燥重量で感圧接着剤組成物100重量%に対して30〜45重量%の範囲で配合することが望ましい。非晶質シリカの配合量が30重量%を下回ると、非晶質シリカの配合量が十分ではないためにインク吸収性に劣り、感圧接着剤塗工層がインクジェットインクを十分且つ速やかに吸収できずに記録画像が滲む虞がある。一方、非晶質シリカの配合量が45重量%を上回ると、感圧接着剤塗工層中の非剥離性感圧接着剤基剤の含有比率が相対的に小さくなりて感圧接着剤塗工層の強度を十分に確保できず、結果として、シーラーの加圧ロールに印字部が取られて加圧ロールを汚すという問題が発生する虞がある。
また、本発明においては、シーラーでの加工中やロールの巻き戻しの際にブロッキングが起こりハンドリングの不具合が生じることを防ぐため、耐ブロッキング対策として、ブロッキング防止剤を添加してもよい。ここでロールの巻き戻しとは、基紙にコータで感圧接着剤組成物を塗工して出来上がった圧着原紙を広幅ロール(基紙の巾)に巻き取った後、この圧着原紙をロールから再び繰り出してスリッターで裁断して小幅のロールに分ける工程において、繰り出して再度ロールに巻き取ることを意味する。
本発明で用いるブロッキング防止剤としては、レーザー回折法による平均粒径約20μmの小麦粉澱粉を配合することが望ましい。小麦粉澱粉を配合することにより、耐ブロッキング性の向上のみならず、インクの定着性もさらに改善されるという知見も得た。これは、小麦粉澱粉を配合することで感圧接着剤塗工層表面に非晶質シリカのみの場合よりも多くの凹凸が生じて水性顔料インクの吸収性が改善されることによるものである。これにより、水成顔料インク中の色材顔料の塗工層表面への定着性が良好となり、シーラーで圧着して封滅後再剥離する際に、印字部の対向面への転写防止がより促進される。
ここで、小麦粉澱粉の配合量は、乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内の範囲であることが望ましい。感圧接着剤塗工層への小麦粉澱粉の配合量が微粒子充填剤100重量部に対して30重量部を上回る場合には、非剥離性感圧接着剤基剤の配合量が相対的に下がるために接着力も低下し、十分な圧着力を得るために封滅処理時の加圧を上げる必要が生じ、圧着用紙を再剥離する際に印字部が対向面に転写する虞がある。
本発明においては、前述の目的を損なわない範囲で非晶質シリカ以外の微粒子充填剤を追加して用いてもよい。このような微粒子充填剤としては、中空ポリマーなどの有機系粒子や、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、シリカ、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウムなどの無機顔料や公知の有機顔料の中から1種又は2種以上を適宜選択することが可能である。
前述の通り、圧着原紙を用いた親展性を有する圧着葉書等は、剥離可能に接着された親展面同士を剥離することにより親展面に印刷された各種情報を確認することが可能なものである。しかしながら、感圧接着剤塗工層の強度が十分でないと、親展面を剥離した際に感圧接着剤塗工層が対向面に剥ぎ取られるなどして親展面に印刷された各種情報が欠落し、情報を正しく認識できない場合がある。そこで本発明のインクジェット記録用圧着原紙においては、感圧接着剤塗工層の強度を上げるために感圧接着剤組成物にはバインダーを配合する。感圧接着剤組成物にバインダーを配合することで、感圧接着剤塗工層の強度が上がり、剥離の際に感圧接着剤塗工層の欠落が生じ難くなる。また、シーラーで加圧し封滅処理する際に、シーラーの加圧ロールに印字部が取られて加圧ロールを汚し、この汚れが蓄積して圧着原紙を汚すことも防げる。
本発明においてバインダーとしては、ポリビニルアルコールを用いる。ここで、用いるポリビニルアルコールの種類は特に限定するものではなく、完全ケン化型ポリビニルアルコールや部分ケン化型ポリビニルアルコール等の中から適宜選択して用いることができる。また、シラノール変性、カルボキシル基変性、アセトアセチル基変性、カチオン変性、などの各種変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
本発明において、ポリビニルアルコールの配合量は、乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲とすることが望ましい。ポリビニルアルコールの配合量が15重量部を下回ると、感圧接着剤塗工層の強度を高める効果に乏しい。一方、ポリビニルアルコールの配合量が30重量部を上回ると、感圧接着剤組成物中の非剥離性感圧接着剤基剤の含有比率が相対的に小さくなり、加圧接着時の接着力のコントロールが難しくなる。
なお、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリビニルアルコール以外のバインダーをさらに加えても良い。このようなバインダーとしては、公知のバインダーを適宜用いることが出来る。
本願発明者等は鋭意検討を行い、その結果、感圧接着剤組成物に所定量の硫酸マグネシウムを添加することでインク発色性の改善、及び、滲み防止効果が得られることがわかった。これは、硫酸マグネシウムが水性顔料インク中の色材顔料を感圧接着剤塗工層表面に定着させ、それと併せてインク溶媒分が塗工層中に吸収されることにより達成されるものである。
本発明において、硫酸マグネシウムは乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合することが必要となる。硫酸マグネシウムの配合量が5重量部を下回ると、硫酸マグネシウムによるインク発色性の向上や滲み防止等の効果が十分に得られず、一方、配合量が15重量部を超えると、顔料インク中の色材顔料が感圧接着剤塗工層表面で凝集し、インク吸収性を悪化させると共に、感圧接着剤組成物の粘度が上昇して、安定的に塗工することが難しくなる虞がある。
本発明の感圧接着剤組成物には、必要に応じて、その他当該技術分野で用いられる公知の添加剤を適宜用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、分散剤、湿潤剤、染料、老化防止剤、防腐剤、等が挙げられる。なお、これらの添加剤を用いる場合には、本発明の目的を損なわないように配合量等を留意する必要がある。
本発明のインクジェット記録用圧着原紙においては、感圧接着剤組成物は、基紙の片面当たり乾燥重量で3〜12g/m2の範囲で塗工することが好ましい。また、基紙に感圧接着剤塗工層を形成するための塗工装置は特に限定されるものではなく、一般の塗工紙製造分野で用いられる公知の塗工装置を適宜使用できる。例えば、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、バーコータ、グラビアコータ、サイズプレスコータ、ビルブレードコータ、等を用いることが可能である。
本発明のインクジェット記録用圧着原紙においては、本発明の要件を充たした感圧接着剤塗工層は少なくとも一方の面に設けられれば良く、他方の面は、同じ構成の感圧接着剤塗工層、異なる構成の感圧接着剤塗工層、塗工層を設けない、等の構成を適宜採用すればよい。
インクジェット記録用圧着原紙の使用形態としては、例えば、固定情報(共通情報)と可変情報(個別情報、親展情報)との印刷を行った上で、可変情報が印刷された面が内面となり可変情報が隠蔽されるように折り畳んでシーラーで封止圧着し、所定の大きさに切断することで、圧着葉書や圧着広告のような圧着印刷物とするのが一般的である。勿論、加工工程を適宜変更しても良いし、その他の用途に用いても良いことは言うまでもない。
また、圧着印刷物とする際の折り畳み方としては、二つ折り、三つ折り、一部分折り返し等の折り畳み方を、記載情報量等に応じて適宜選択すればよい。
以下において、本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙より得られた圧着葉書の具体的な使用例を図1〜4を参照して説明する。図1にはインクジェット記録用圧着原紙を二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙に適用した場合の一例が、図2には図1におけるA−A線断面図が、それぞれ示されている。図1,2において、1は二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙、1aは圧着葉書用紙表面、1bは圧着葉書用紙裏面、2は宛名面、3は圧着面、4は基紙、5は感圧接着剤塗工層、6は親展情報、7は宛名情報である。なお、図2において、基紙4と感圧接着剤塗工層5の厚みについては、実際の厚みと同図に示される厚みとは必ずしも比例するものではない。
二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙1は、水性顔料インクを使用するインクジェット方式のプリンタにより宛名情報7が印字される宛名面2が外側、感圧接着剤塗工層5が内側になるように折り畳まれ、感圧接着剤塗工層5を介して親展情報6が印刷された圧着面3aと圧着面3bとが剥離可能に圧着される。この例では宛名面2側の基紙4表面1aには塗工層等が設けられていないが、各種機能を付与するために、クレーコート層やインク受理層、耐水バリア層などを設けても良い。なお、ここで「親展情報」とは、受取人に送られる情報であって、各種イベントなどの告知、公共料金の請求、督促、その他第三者の目に触れると不都合が生じる虞のある情報のことである。
圧着面3aに親展情報6を、水性顔料インクを使用するインクジェット方式のプリンタを用いて印字し、感圧接着剤塗工層5を介して圧着面3aと圧着面3bとを剥離可能に加圧接着すると、圧着面3aに印字された画像は圧着面3bと接触することになる。圧着面3aに印刷された画像の水性顔料インクの定着が不十分な場合、圧着面3aに印字された画像は圧着面3bに転移する虞があるが、本発明の構成を取ることにより、水性顔料インクの定着が不十分なことによる印刷画像の転移を防ぐことができる。
次に、本発明のインクジェット記録用圧着原紙を、三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙に適用した場合の例について説明する。図3には、圧着用紙を三つ折りタイプの圧着葉書に適用した場合の一例が示されており、同図において図3(a)は表面、図3(b)は裏面、図3(c)は折り畳み状態を示す図である。また、図4には両面に本発明の感圧接着剤塗工層14を設けた場合の図3におけるB−B線断面図が、それぞれ示されている。図3〜4において、10は三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙、10aは圧着葉書用紙表面、10bは圧着葉書用紙裏面、11は宛名面、12a〜12dは各圧着面、13は基紙、14は本願の構成による感圧接着剤塗工層、15は本願の構成とは異なる感圧接着剤塗工層である。なお、図4において、基紙13と感圧接着剤塗工層14,15との厚みについては、実際の厚みと同図に示される厚みとは必ずしも比例するものではない。
本発明の圧着葉書用紙より得られた圧着用紙を三つ折りタイプの新展性を有する圧着葉書用紙10に加工する場合には、基紙13の両面に感圧接着剤塗工層14を設け、宛名面11を外側にして図4のように三つ折りに折り畳み、圧着面12aと圧着面12b、圧着面12cと圧着面12dとをそれぞれ感圧接着剤塗工層14を介して剥離可能に圧着させる。このような三つ折り圧着葉書においては、圧着面12a,12bによる圧着部分と、圧着面12c,12dによる圧着部分の双方を親展面として用いてもよく、いずれか一方の圧着部分を親展面とし他方の圧着部分は広告面もしくは剥離不可としてもよい。
これに対して、一方の面(例えば圧着面12a,12bを有する表面10a)のみに水性顔料インクを使用するインクジェット方式のプリンタにて印刷を行い、他方の面(例えば、圧着面12c,12dを有する裏面10b)にはインクジェット方式のプリンタによる印字を行わない場合には、一方の面のみに本願の構成による感圧接着剤塗工層14を設けた図6の構成を採用してもよい。このような例としては、一方の側(例えば圧着面12a,12b)を親展面とし、もう一方の側(例えば、圧着面12c,12d)を広告面として用いる場合が挙げられる。印刷をインクジェット式プリンタで行わない圧着面12c、圧着面12dに用いる感圧接着剤塗工層15には、一般の圧着用紙に用いられる感圧接着剤組成物塗料を適宜選択して用いることが可能である。
但し、宛名面11と同じ側の面(図中圧着面12c、圧着面12d)を広告面とするために宛名情報17を水性顔料インクのインクジェット方式のプリンタで印字する場合には、感圧接着剤塗工層15に本発明による感圧接着剤組成物塗料を用いることにより、印刷画像の滲みなどが生じないようにすることができる。
また、本発明のインクジェット記録用圧着原紙を適用した三つ折りタイプの親展性を有する葉書においては、圧着用紙の一方の面のみ(例えば圧着面12a,12bを有する表面10a)を親展面とし、もう一方の面(例えば、圧着面12c,12dを有する裏面10b)は剥離を行わない非剥離面とすることもできる。この場合にも、非剥離面となる裏面10bについては本願による感圧接着剤組成物塗料を用いる必要はなく、一般の圧着用紙に用いられる感圧接着剤組成物塗料を適宜選択して用いることが可能である。
以下に本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙の実施例について具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例中の部及び%は、断らない限り乾燥重量部及び重量%を示す。また、各実施例及び比較例中のシリカの吸油量は、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量を表し、各実施例及び比較例中のシリカの細孔容積は、水銀圧入法で測定した細孔容積を表す。
<実施例1>
感圧接着剤組成物の調整:微粒子充填剤として吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ(商品名:カープレックスFPS101/エボニックデグサジャパン社製)100重量部を水に添加して十分に分散した後、バインダーとして完全ケン化型ポリビニルアルコール(以下、「完全ケン化型PVA」と略)(商品名:ポバールV/日本酢ビ・ポバール社製)25重量部、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを重合した天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB943/サイデン化学社製)120重量部を混合し、硫酸マグネシウム10重量部を加えて、感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。
インクジェット記録用圧着原紙の製造:作成した塗料を、エアーナイフコータにて米坪113g/m2のフォーム用紙の両面に各々の面の塗工量が乾燥重量で6.0g/m2となるように塗工し、インクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例2>
実施例1において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカを、吸油量が180ml/100gである沈降法シリカ(商品名:ニップシールE−74P/東ソー・シリカ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例3>
実施例1において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカを、吸油量が250ml/100gである沈降法シリカ(商品名:ニップシールE−170/東ソー・シリカ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例4>
実施例1において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ100重量部を、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ50重量部と吸油量が180ml/100gである沈降法シリカ50重量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例5>
実施例1において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ100重量部を、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ50重量部と吸油量が250ml/100gである沈降シリカ50重量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例6>
感圧接着剤組成物の調整:微粒子充填剤として吸油量が140ml/100gである沈降法シリカを75重量部と、吸油量が300〜330ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカ(商品名:サイロジェットP−407/グレースデビソン社製)25重量部を水に添加して十分に分散した後、バインダーとして完全ケン化型PVA25重量部、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを重合した天然ゴム系ラテックス120重量部を混合し、硫酸マグネシウム10重量部を加えて、感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。
インクジェット記録用圧着原紙の製造:作成した塗料を、エアーナイフコータにて米坪113g/m2のフォーム用紙の両面に各々の面の塗工量が乾燥重量で6.0g/m2となるように塗工し、インクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例7>
実施例6において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカの配合量を50重量部に変更し、吸油量が300〜330ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカの配合量を50重量部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例8>
実施例6において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカの配合量を25重量部に変更し、吸油量が300〜330ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカの配合量を75重量部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例9>
実施例7において、バインダーを完全ケン化型PVAから部分ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217:クラレ社製)25重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例10>
実施例7において、硫酸マグネシウムの配合量を5重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例11>
感圧接着剤組成物の調整:微粒子充填剤として吸油量が140ml/100gである沈降法シリカを50重量部と、吸油量が300〜330ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカ50重量部を水に添加して十分に分散し、ブロッキング防止剤としてレーザー回折法による平均粒径が21μmである小麦粉澱粉8重量部を分散した後、バインダーとして完全ケン化型PVA25重量部、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを重合した天然ゴム系ラテックス120重量部を混合し、硫酸マグネシウム10重量部を加えて、感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。
インクジェット記録用圧着原紙の製造:作成した塗料を、エアーナイフコータにて米坪113g/m2のフォーム用紙の両面に各々の面の塗工量が乾燥重量で6.0g/m2となるように塗工し、インクジェット記録用圧着原紙を得た。
<実施例12>
実施例11において、小麦粉澱粉の配合量を15重量部に変更した以外は、実施例11と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例1>
実施例6において、吸油量が140ml/100gである沈降法シリカの配合量を20重量部に変更し、吸油量が300〜330ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカの配合量を80重量部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例2>
実施例7において、完全ケン化型PVAの配合量を10重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例3>
実施例7において、硫酸マグネシウムの配合量を1重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例4>
実施例1において、微粒子充填剤を吸油量が120ml/100gである沈降法シリカ(商品名:ニップシールE−75/東ソー・シリカ社製)100重量部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙の原紙を得た。
<比較例5>
実施例1において、微粒子充填剤を吸油量が255ml/100gである沈降法シリカ(商品名:カープレックスFPS−1/エボニックデグサジャパン社製)100重量部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙の原紙を得た。
<比較例6>
実施例7において、微粒子充填剤を吸油量が255ml/100gである沈降法シリカ50重量部と、吸油量が300〜330ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカ50重量部とに変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例7>
実施例7において、微粒子充填剤を吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ50重量部と、吸油量が280ml/100gで細孔容積が2.0ml/gであるゲル法シリカ(商品名:ガシルシリカHP39/PQコーポレーション社製)50重量部とに変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例8>
実施例7において、微粒子充填剤を吸油量が140ml/100gである沈降法シリカ50重量部と、吸油量が300ml/100gで細孔容積が1.8ml/gであるゲル法シリカ(商品名:サイロジェットP−508/グレースデビソン社製)50重量部とに変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例9>
実施例7において、硫酸マグネシウムの代わりにポリアミンエピクロルヒドリン樹脂(商品名:DK6850/星光PMC社製)20重量部を配合した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例10>
実施例7において、バインダーを酢酸ビニルとエチレンの共重合体エマルジョン(商品名:スミカフレックス401HQ/住化ケムテックス社製)25重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例11>
実施例7において、バインダーをスチレンとブタジエンの共重合体エマルジョン(商品名:L7063/旭化成社製)25重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
<比較例12>
実施例7において、バインダーをアクリル系樹脂(商品名:サイビノールEK65/サイデン化学社製)25重量部に変更した以外は、実施例7と同様にしてインクジェット記録用圧着原紙を得た。
[耐ブロッキング性についての評価]
各実施例及び比較例において、巻取ったインクジェット記録用圧着原紙を巻戻す際のインクジェット記録用圧着原紙表面と裏面の貼付きの程度を、○、△、×の3段階で官能評価した。
○ 容易に剥がれ、良好である(耐ブロッキングが非常に良好)
△ わずかな貼り付きが感じられるが、実用上問題ない程度に剥がれる
× 剥がれにくく、実用に供し得ない(耐ブロッキング性に劣る)
[物性評価用試料の調製]
各実施例及び比較例で得られたインクジェット用圧着原紙を23℃×50%RHの条件下で24時間調湿して水分含有率が7.0%となるようにした上で、感圧接着剤塗工層を設けた親展面に、インクジェットプリンタ(PX−101/セイコーエプソン株式会社製)にTruepressJet520(大日本スクリーン製造社製)用水性顔料インクを用いてフルカラーインクジェット記録を行った。、インクは、TruepressJet520用水性顔料インクを用いた。その後、10cm×10cmにカットした試験片を3枚重ねてドライシーラ(MS−9200II/大日本印刷株式会社製)にて感圧接着剤塗工層を設けた親展面同士を加圧接着した。
先にも述べたように、本発明のインクジェット記録用圧着原紙においては、水性顔料インクを用いてインクジェット印刷を行った場合であっても対向面にインクが転移しないことを目的の一つとしており、実施例においても対向面へのインク転移の評価を重視している。このため、加圧接着する際に可能な範囲で出来るだけ高い負荷をかけた上で転移の評価を行うものであるが、剥離強度が150g/25mm巾を超えるような高い加圧を加えるとインクジェット記録用圧着原紙が破れる虞がある。この点を考慮して、ドライシーラによる加圧は、接着直後の剥離強度が120〜140g/25mm巾となるようにシーラーギャップを設定して行った。こうして得られた圧着試験片の圧着面同士を剥離し、以下の要領で各種評価を行った。
[滲みについての評価]
印刷直後の圧着面の記録画像の滲みを、○、△、×の3段階で目視にて評価した。なお、発明者等の知見によれば、印刷直後と圧着して剥離した後とで滲み状態に変化が見られることはほとんどない。
○ 滲みが無く良好である
△ やや滲みがあるが、実用上問題がないレベルである
× 滲みがありバーコードの読み取りなどの点で、実用に供し得ない
[発色濃度についての評価]
印刷直後の圧着面の記録画像の発色濃度を、◎、○、△、×の4段階で目視にて評価した。なお、発明者等の知見によれば、印刷直後と圧着して剥離した後とで発色濃度に変化が見られることはほとんどない。
◎ 発色濃度が非常に高く良好である
○ 発色濃度が高く、実用上問題がないレベルである
△ 発色濃度が低く、実用に供し得ない
× 発色濃度が非常に低くバーコードの読み取りなどができず、実用に供し得ない
[対向面への転移についての評価]
剥離後に、一方の圧着面に印刷された記録画像が対向面(もう一方の圧着面)に転移していないかを、◎、○、△、×の4段階で目視にて評価した。
◎ 対向面への転移がまったく見られず、良好である
○ 対向面への転移がごくわずかに見られるが、実用上問題がないレベルである
△ 対向面への転移がはっきり見られ、実用に供し得ない
× 対向面への転移が多く見られ、実用に供し得ない
[加圧ロールの汚れについての評価]
圧着葉書用紙を、ドライシーラを用いて葉書10,000枚相当分を圧着した後、前記シーラの加圧ロールの汚れ具合を、◎、○、△、×の4段階で目視にて評価した。
◎ 加圧ロールの表面に汚れがなく、良好である
○ 加圧ロールの表面が少し曇る程度で、実用上問題がないレベルである
△ 加圧ロールの表面に印字部のインク部分が取られて汚れており、実用に供し得ない
× 加圧ロールの表面に印字部のインク部分が取られて汚れが酷く、圧着原紙に汚れが転写して実用に供し得ない
実施例及び比較例にて得られたインクジェット記録用圧着原紙に用いられた感圧接着剤組成物塗料の配合が図5,6に、実施例及び比較例にて得られたインクジェット記録用圧着原紙の各物性の評価結果が図7に、それぞれ示されている。なお、図5,6のバインダの種類において、「PVA−A」とされているのは完全ケン化型ポリビニルアルコール、「PVA−B」とされているのは部分ケン化型ポリビニルアルコールである。
図7の結果からも明らかなように、実施例1〜12で得られたインクジェット記録用圧着原紙は、何れも、滲み、発色濃度、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性の全てにおいて実用上問題のないものであった。
[(1)沈降法シリカの吸油量についての検証(非晶質シリカについての検証1)]
まず、微粒子充填剤として用いる沈降法シリカの吸油量について検証を行う。実施例1〜5にて得られたインクジェット記録用圧着原紙は、微粒子充填剤として吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカのみを用いたものであり、滲み、発色濃度、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれにおいても実用上問題のないものであった。
一方、比較例4にて得られた、微粒子充填剤として吸油量が120ml/100gである沈降法シリカのみを用いたインクジェット記録用圧着原紙は、滲みが生じバーコードの読み取りなどの点で問題があり、実用上合格レベルに満たないものであった。これは、用いた沈降法シリカの吸油量が140ml/100gを下回っていたため、沈降法シリカの配合量が実施例1〜5の例と同様であるにも関わらず十分なインク吸収性が得られなかったことが原因であると考えられる。
また、比較例5にて得られた、微粒子充填剤として吸油量255ml/100gである沈降法シリカのみを用いたインクジェット記録用圧着原紙は、発色濃度に劣り、バーコードの読み取りなどの点で問題があり、実用上合格レベルに満たないものであった。これは、用いた沈降法シリカの吸油量が250ml/100gを上回っていたため、沈降法シリカの配合量が実施例1〜5の例と同様であるにも関わらずインク吸収性が高くなりすぎ、十分な発色濃度が得られなかったものと考えられる。
さらに、比較例6にて得られた、微粒子充填剤として吸油量255ml/100gである沈降法シリカ50重量部と、吸油量300〜330ml/100gで且つ細孔容積2.0ml/gであるゲル法シリカ50重量部とを用いたインクジェット記録用圧着原紙についても、発色濃度に劣るり実用上合格レベルに満たないものであった。これは、用いた沈降法シリカの吸油量が250ml/100gを上回っていたため、沈降法シリカの配合量と用いたゲル法シリカとその配合量が同様であった実施例7の例と比べてインク吸収性が高くなりすぎ、十分な発色濃度が得られなかったものと考えられる。
以上の結果より、微粒子充填剤として用いる沈降法シリカの吸油量は、140〜250ml/100gの範囲であることが必要だと考えられる。
[(2)ゲル法シリカの吸油量及び細孔容積についての検証(非晶質シリカについての検証2)]
次に、微粒子充填剤として沈降法シリカと併用して用いるゲル法シリカの吸油量及び細孔容積について検証を行う。実施例7で得られたインクジェット記録用圧着原紙は、微粒子充填剤として、吸油量140ml/100gの沈降法シリカ50重量部と、吸油量300〜330ml/100gで且つ細孔容積2.0ml/gであるゲル法シリカ50重量部とを用いたものであり、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれにおいてもが実用上問題がなく、また、発色性に優れ発色濃度が良好なものであった。
一方、比較例7で得られたインクジェット記録用圧着原紙は、実施例7と同様の構成でゲル法シリカのみ吸油量280ml/100g、且つ細孔容積2.0ml/100gであるゲル法シリカ50重量部に変更したものであるが、加圧ロールの表面に印字部のインクが取られて汚れが発生し、実用上合格レベルに満たないものであった。実施例7と比較例7とは、用いたゲル法シリカの吸油量のみが異なるものであるため、上述の問題はゲル法シリカの吸油量が低いことにより発生したものと考えられる。
また、比較例8で得られたインクジェット記録用圧着原紙は、実施例7と同様の構成でゲル法シリカのみ吸油量300ml/100g、且つ細孔容積1.8ml/100gであるゲル法シリカ50重量部に変更したものであるが、圧着面を剥離した際に対向面への転移が発生して実用上合格レベルに満たないものであった。実施例7と比較例8とは、用いたゲル法シリカの吸油量と細孔容積とが異なるものであるが、吸油量はほぼ同程度の値であるため実質的な違いは細孔容積のみであると考えられ、細孔容積が2.0ml/100gを下回ったことにより、十分なインク吸収性が得られずに対向面への転移が発生したものと考えられる。
以上の結果より、沈降法シリカと併用して用いるゲル法シリカとしては、吸油量が300〜330ml/100g、且つ細孔容積が2.0ml/g以上であるものが望ましいと考えられる。
[(3)非晶質シリカの配合比率の検証]
次に、非晶質シリカとして、沈降法シリカとゲル法シリカとを併用する場合の配合比率について検証を行う。実施例6〜8、及び比較例1は、沈降法シリカとゲル法シリカとの適切な配合比率を検証するために両者の配合比率のみを変更して検証を行ったものである。なお、実施例6〜8、及び比較例1では、吸油量140ml/100gの沈降法シリカと、吸油量300〜330ml/100g、且つ細孔容積2.0ml/gであるゲル法シリカとを用いて配合比率の検証を行っている。
ここで、非晶質シリカとして沈降法シリカのみを使用した実施例1〜5により得られたインクジェット記録用圧着原紙において、いずれの物性についても実用上問題ないとの結果が出ていることから、沈降法シリカ:ゲル法シリカ=100:0での配合は、実用上問題のないレベルであると判断される。従って以下の検証は、ゲル法シリカの配合上限を確認するための検証であるとも言える。
実施例6では、沈降法シリカ:ゲル法シリカ=75:25の比率で配合したところ、滲み、発色濃度、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれについても実用上問題のないインクジェット記録用圧着原紙が得られた。
実施例7では、沈降法シリカ:ゲル法シリカ=50:50の比率で配合配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性については実用上問題のないことに加え、発色濃度が良好なインクジェット記録用圧着原紙が得られた。
実施例8では、沈降法シリカ:ゲル法シリカ=25:75の比率で配合したところ、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性については実用上問題のないことに加え、発色濃度が良好なインクジェット記録用圧着原紙が得られたが、滲みについては実用上問題ないレベルではあるものの、実施例7,8にて得られたインクジェット記録用圧着原紙よりも少し劣る傾向であった。
一方、比較例1では、沈降法シリカ:ゲル法シリカ=2080の比率で配合したところ、滲み、発色濃度、対向面への転移については問題なかったが、加圧ロールへ印字部のインクが取られて汚れが発生し、この点で実用上合格レベルに満たないインクジェット記録用圧着原紙となった。これは、沈降法シリカの配合量が少なすぎたため、沈降法シリカによるインク定着性等の効果が十分に得られなかったことによるものと考えられる。

以上の結果より、非晶質シリカとして沈降法シリカとゲル法シリカとを併用する場合には、沈降法シリカ:ゲル法シリカ=100:0〜25:75の範囲で配合することが好ましいと考えられる。
[(4)硫酸マグネシウム配合の有無についての検証]
次に、硫酸マグネシウム配合の有無についての検証を行う。実施例7では、微粒子充填剤100重量部に対して硫酸マグネシウムを10重量部配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性については実用上問題のないことに加えて、発色濃度が良好なインクジェット記録用圧着原紙が得られた。
これに対して、比較例9では、微粒子充填剤100重量部に対してカチオン性樹脂であるポリアミンエピクロロヒドリン樹脂を20重量部配合したところ、対向面への転移と耐ブロッキング性については問題がなかったものの、滲みがやや見られることに加え、発色濃度も低く、また、印字部から加圧ロールに付着したインクが圧着原紙に転写されるなどして実用上合格レベルに満たないものであった。このことから、水性顔料インクを用いてインクジェット印刷を行う場合には、カチオン性樹脂では硫酸マグネシウムの代わりになり得ないと考えられる。
以上の結果より、水性顔料インクによるインクジェット印刷を行う場合には、従来より水性染料インクの定着性を向上させる目的で用いられているカチオン性樹脂では実用に供し得ない結果となるため、硫酸マグネシウムを用いることが望ましいと判明した。
[(5)硫酸マグネシウムの配合量についての検証]
続いて、硫酸マグネシウムの配合量について検証を行う。実施例7では、微粒子充填剤100重量部に対して硫酸マグネシウムを10重量部配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれについても実用上問題がなく、加えて、発色濃度が良好なインクジェット記録用圧着原紙が得られた。
また、実施例10では、微粒子充填剤100重量部に対して硫酸マグネシウムを5重量部を配合したところ、滲み、発色濃度、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれについても実用上問題のないインクジェット記録用圧着原紙が得られた。
一方、比較例3では、微粒子充填剤100重量部に対して硫酸マグネシウム1重量部を配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性については問題なかったものの、発色濃度が悪化し、この点で実用上合格レベルに満たないものであった。これは、硫酸マグネシウムの配合量が少なかったために硫酸マグネシウムによる効果が十分に得られず、発色濃度に劣るものとなったと考えられる。
なお、本発明の実施例に記載はしていないが、本発明者等の検証に依れば、微粒子充填剤100重量部に対して硫酸マグネシウムを15重量部配合した場合には、感圧接着剤組成物の粘度が上昇して、安定的に塗工することが難しくなるという問題があった
以上の結果より、硫酸マグネシウムの配合量としては、微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲であることが望ましいと考えられる。
[(6)バインダーの種類についての検証]
次に、実施例7,9、比較例10〜12に基づいてバインダーの種類についての検証を行う。なお、実施例7,9、及び比較例10〜12では、いずれも微粒子充填剤100重量部に対して25重量部のバインダーを配合している。
実施例7ではバインダーとして完全ケン化型ポリビニルアルコールを用い、また、実施例9ではバインダーとして部分ケン化型ポリビニルアルコールを用いたところ、いずれの実施例で得られたインクジェット記録用圧着原紙についても、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキングについて実用上問題がなく、加えて発色濃度が良好なものであった。
これに対して、比較例10ではバインダーとして酢酸ビニルとエチレンの共重合体エマルジョンを用い、比較例11ではバインダーとしてスチレンとブタジエンの共重合体エマルジョンを用い、比較例12ではバインダーとしてアクリル系樹脂を用いたところ、これらの比較例で得られたインクジェット記録用圧着原紙は、いずれも滲み、発色濃度、耐ブロッキング性の点では問題がなかったものの、対向面への転移と、加圧ロールの汚れが著しく、これらの問題により実用上合格レベルに満たないものであった。
以上の結果より、バインダーの配合量は同じであっても、バインダーがポリビニルアルコールである場合(実施例7,9)は、バインダーがポリビニルアルコール以外である場合(比較例10〜12)よりも、加圧ロールの汚れと対向面への転移の点で優れているため、本発明のインクジェット記録用圧着原紙においては、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いることが望ましい。また、用いるポリビニルアルコールとしては、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコールのいずれであっても問題ない。
[(7)ポリビニルアルコールの配合量についての検証]
続いて、ポリビニルアルコールの配合量についての検証を行う。実施例7では、微粒子充填剤100重量部に対してポリビニルアルコール25重量部を配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれについても実用上問題はないことに加えて、発色濃度が良好なインクジェット記録用圧着原紙が得られた。
一方、比較例2では、微粒子充填剤100重量部に対してポリビニルアルコール10重量部を配合したところ、滲み、発色濃度については実用上問題なかったものの、対向面への転移、加圧ロールの汚れが発生して実用上合格レベルに満たないものとなった。加えて、バインダーの配合量が少なく感圧接着剤塗工層の表面強度が十分に得られないことで接着力の上昇によるブロッキングが発生するという問題もあった。なお、本発明の実施例に記載はしていないが、本発明者等の検証に依れば、微粒子充填剤100重量部に対してポリビニルアルコールの配合量が30重量部を上回った場合には、感圧接着剤組成物中の非剥離性接着剤の配合比率が相対的に低下したために接着力が低下し、加圧接着時の接着力のコントロールが困難になった。
以上の結果より、ポリビニルアルコールの配合量は、微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部であることが望ましいと考えられる。
[(8)小麦粉澱粉の配合量についての検証]
次に、小麦粉澱粉の配合量についての検証を行う。実施例11では、微粒子充填剤100重量部に対して小麦粉澱粉8重量部を配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れ、対向面への転移については実用上問題がないことに加え、発色濃度及び耐ブロッキング性が特に良好なものであった。特に、耐ブロッキング性については、小麦粉澱粉を配合していない以外は同様の構成である実施例7よりも優れていたことから、小麦粉澱粉を配合したことで耐ブロッキング性が向上したものと考えられる。
また、実施例12では、微粒子充填剤100重量部に対して小麦粉澱粉15重量部を配合したところ、滲み、加圧ロールの汚れについては実用上問題のないことに加え、対向面への転移、発色濃度、及び耐ブロッキング性が特に良好なものであった。なお、本発明の実施例には記載していないが、本発明者等の検証に依れば、微粒子充填剤100重量部に対して小麦粉澱粉の配合量が30重量部を上回ると、感圧接着剤組成物中の非剥離性接着剤の配合比率が相対的に低下したことにより接着力が低下し、加圧接着時の接着力のコントロールが困難になった。
以上の結果より、小麦粉澱粉を配合しなくても本発明の目的とするインクジェット記録用圧着原紙が得られるものの、対向面への転移、耐ブロッキング性により優れたものとするためには感圧接着剤組成物に小麦粉澱粉を配合することが好ましく、小麦粉澱粉の配合量は、微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内であることが望ましいものと考えられる。
[実施例及び比較例についてのまとめ]
以上(1)〜(8)の検証の結果より、本発明のインクジェット記録用圧着原紙において感圧接着剤組成物には、微粒子充填剤としては吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を用い、バインダーとしては微粒子充填剤100重量部あたり15〜30重量部のポリビニルアルコールを用い、更に、微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の硫酸マグネシウムを用いることで、滲み、発色濃度、加圧ロールの汚れ、対向面への転移、耐ブロッキング性のいずれについても実用上問題がないインクジェット記録用圧着原紙を得ることが可能であると考えられる。
また、微粒子充填剤として、さらに、吸油量が300〜330ml/100gで且つ細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を加え、沈降法シリカ(A)と前記ゲル法シリカ(B)とを、重量比が、沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合することで、水性顔料インクの発色濃度がより向上する。
更に、微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内の小麦粉澱粉を配合することで、対向面への転移、及び耐ブロッキング性がより良好なインクジェット記録用圧着原紙とすることが可能であると思われる。
以上述べたように、本発明によれば、インクジェット方式のプリンタによる印字において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、バーコードのような繊細画像を好適に印刷することが可能であるインクジェット記録用圧着原紙を提供することが可能となる。
更には、インクとして水性顔料インクを用いた場合であっても、インクの感圧接着剤塗工層への定着性が十分であり、圧着葉書等を形成する際に、圧着時に重ね合わされた親展面に記録された画像がもう一方の親展面へ転移することのないインクジェット記録用圧着原紙を提供することが可能となる。
また、本発明に係るインクジェット記録用圧着原紙は、印刷と所定の加工を施すことで圧着葉書や圧着広告のような圧着印刷物として使用することが出来、またその他の圧着紙に適した用途にも適宜用いることができる。
1 二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙
1a 圧着葉書用紙表面
1b 圧着葉書用紙裏面
2 宛名面
3 圧着面
4 基紙
5 感圧接着剤塗工層
6 親展情報
7 宛名情報
10 三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙
10a 圧着葉書用紙表面
10b 圧着葉書用紙裏面
11 宛名面
12 圧着面
13 基紙
14 本願の構成による感圧接着剤塗工層

Claims (7)

  1. 基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含む感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けてなり、水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙であって、
    前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、
    前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含み、
    前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されており、
    さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されており、
    前記非晶質シリカとして、さらに、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が300〜330ml/100gで且つ水銀圧入法に基づいて測定した細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を含み、
    前記沈降法シリカ(A)と前記ゲル法シリカ(B)とは、重量比が、沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合されている、
    ことを特徴とする水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙。
  2. 前記感圧接着剤組成物には、さらに、ブロッキング防止剤として小麦粉澱粉が、乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内の範囲で配合されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙。
  3. 前記非晶質シリカは、感圧接着剤組成物100重量部に対して30〜45重量部の範囲で配合されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙。
  4. 前記非剥離性感圧接着剤基剤は、微粒子充填剤100重量部に対して乾燥重量で100〜150重量部の範囲で配合されるものであることを特徴とする請求項1に記載の水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙。
  5. 水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙の基紙表面に塗工して用いる感圧接着剤組成物であって、
    非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含み、
    前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、
    前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含み、
    前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されており、
    さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されており、
    前記非晶質シリカとして、さらに、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が300〜330ml/100gで且つ水銀圧入法に基づいて測定した細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を含み、
    前記沈降法シリカ(A)と前記ゲル法シリカ(B)とは、重量比が、沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合されている、
    ことを特徴とする水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙の基紙表面に塗工して用いる感圧接着剤組成物。
  6. ブロッキング防止剤として、小麦粉澱粉が乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して30重量部以内の範囲で配合されている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の感圧接着剤組成物。
  7. 基紙を用意するステップと、
    基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と微粒子充填剤とバインダーとを含む感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けるステップと、を含む水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙の製造方法であって、
    前記微粒子充填剤としては、少なくとも非晶質シリカを用い、
    前記非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が140〜250ml/100gである沈降法シリカ(A)を含み、
    前記バインダーとしては、ポリビニルアルコールが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して15〜30重量部の範囲で配合されており、
    さらに、前記感圧接着剤組成物には、硫酸マグネシウムが乾燥重量で微粒子充填剤100重量部に対して5〜15重量部の範囲で配合されており、
    前記非晶質シリカとして、さらに、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が300〜330ml/100gで且つ水銀圧入法に基づいて測定した細孔容積が2.0ml/g以上であるゲル法シリカ(B)を含み、
    前記沈降法シリカ(A)と前記ゲル法シリカ(B)とは、重量比が、沈降法シリカ(A):ゲル法シリカ(B)=100:0〜25:75の範囲となるように配合されている、
    ことを特徴とする水性顔料用インクジェットプリンタに用いるインクジェット記録用圧着原紙の製造方法。
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