JP3812609B2 - 再剥離性圧着葉書用記録紙 - Google Patents

再剥離性圧着葉書用記録紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の再剥離性圧着葉書用記録紙は、インクジェット方式による記録、並びに水性インクを用いる他のペンプロッター等の記録、印刷、筆記に用いることができ、鉛筆やボールペン等を用いた筆記が可能で、プロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷も可能であり、更に、これら各種の方法を印刷・印字等の用途に於いて兼用可能であり、且つ、印刷・印字等を行った情報の機密性を守ることが出来る再剥離性を有する葉書用記録紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各自治体、社会保険庁、国税庁、水道局等やNTT、電力、ガス会社等の公的及び準公的機関からの使用量通知、請求通知、受領書通知、又は銀行、生命保険会社、証券会社等の金融機関からの利用金額案内、残高通知、督促状、更には学校等からの成績通知や受験(検)合否通知書等の個人的プライバシーに係わる書類の郵送が多く、それらは発送者の判断により封書又は葉書の何れかで郵送されていた。しかし、最近、このようなプライバシーに係わる書類の郵送にはプライバシー保護の観点より、又「プライバシー保護法」の施行と相まって封書が使用されるケースが増えてきた。
【0003】
封書は葉書と比較し、情報の隠蔽化と多量伝達する事が可能ではあるが、郵送料金が葉書50円に対し封書80円(いずれも1回の郵送料)と高いことから、多くのプライバシー書類を扱う公的及び準公的機関や金融機関、学校法人関係等で多額の郵送料金費用が掛かる問題があった。その問題の郵送料金を葉書の形態で行なえるようにし、しかも情報の隠蔽化が可能なようにする種々の葉書用紙が提案されている。その一つに、例えば透明フィルムを介した粘着二つ折り接着葉書(特開昭64−16691号公報)や接合部のエッジ部分の全域或は一部分が非エッジ部分より大きな剥離力を有することを特徴とする再剥離性の感圧接着葉書(特開平2−289393号公報)等がある。これらを含め、従来の再剥離性の接着性葉書は、再剥離比の接着機能を有する塗布を支持体の片面にのみ行っている為、紙等シート状のものによく見られる両端が持ち上がるカールが発生し、印刷加工並びにフォーム加工に於いて作業性の効率を妨げる問題がある。
【0004】
また、カールを防止するために、紙の両面に再剥離性の接着機能を有する塗布が行われている葉書用紙もあるが、過度の温度又は湿度条件下に於いて、巻き取った際に紙の表裏が接着するブロッキングを発生する問題がある。
【0005】
一方、近年、情報システムの発展はめざましく、それにともない各情報システムに適合した記録方式が種々開発されている。コピー、印字スピードの高速化のみならずカラー化に代表される高画質化が進み、これらの実現に大きく寄与する為に複写・印字方式である電子写真記録方式、インクジェット記録方式、感熱記録媒体を使用するサーマルヘッド記録方式が広く採用されている。
【0006】
電子写真方式に用いる転写用紙には、トナーの転写性や定着性、給紙、排紙などの走行性が要求される。この場合、走行性を改良するためには、用紙の寸法安定性を向上させる必要があり、そのために一般にパルプのろ水度を高くする方法が知られている。しかしながら、ろ水度の高いパルプを使用すると紙力が低下し、特に表面強度が低下して紙粉の発生が多くなることが知られている。また、顔料塗布層が形成されていない為、オフセット印刷された場合には画像の鮮明性に欠けるという問題がある。更に、電子写真方式には、印字スピードが遅い、セレンドラムやトナーなどの消耗品費が多くかかるという問題もある。
【0007】
また、インクジェット専用紙は発色性とインク吸収性を確保するために顔料を含む塗布層が設けられるのが一般的である。また、より優れた解像度と諧調性を得るためには、インクの広がりを抑えつつ、インクの吸収性に優れた記録紙が必要である。更に、カラーインクジェットの場合には発色性、耐水性、耐光性なども要求される。これらの性能を満たすために多量のインクを急速に吸収し且つ定着させることが必要となるため、顔料を含んだコート層を厚くせねばならない。その結果、筆記性に乏しい、紙粉が発生しやすい、製造上の負担が大きい、コスト高となる等の問題点を有していた。
【0008】
更に、従来のインクジェット記録用紙は、降雨中の郵便配達時に、宛名面で受理されたインクジェット用インクの耐水性を向上させる為に、カチオン性の染料定着剤や耐水化剤を併用させている。この一例として、記録画像を形成するための受像層に感圧接着剤を含有させ、この塗工層の上にカチオン性樹脂をオーバー塗工させた印刷用シート(特開平9−119094号公報)がある。しかし、オーバー塗工されただけのカチオン性樹脂では、表面での定着性が余り得られず、プロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷の際に、酸性の湿し水に溶出して印刷用版に転移して印刷画像を汚すという印刷適性上の問題がある。
【0009】
サーマルヘッド方式は、コンパクトで且つ騒音が少ないなど色々な面で優れているが、被印字体に印字媒体を重ね、この印字媒体の上から殴打して、紙などの被印字体に印字媒体を強圧接触させることによって印字する、いわゆるインパクト方式の印字機構とは異なり、印字媒体の上からサーマルヘッドを接触させるだけで、殴打強圧する事無く印字媒体上の熱溶触性インク層を紙などの被印字体に熱転写して印字するものであるため、その印字の鮮明度あるいは転写性が被印字体表面の平滑性によって大きく左右されることが知られている。すなわち、表面凹凸の大きい紙(ラフペーパー)などを被印字体とする場合にはサーマルヘッドの接触熱により溶融された熱溶融性インクが、ラフペーパーの凹凸に沿った付着状態とならず、凸部のみに付着するため、印字の端部が、欠けたり抜けたりして、印字が鮮明でなく、印字品質が悪いという問題がある。更に、印字スピードが遅い、インクリボンなどの消耗品費が多くかかるという問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように各々の印刷・印字等の方法に於いて、要求特性が多々混在する中でインクジェット方式でのインクジェット用インクの耐水性とプロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷適正、並びに各種プリンターの記録性と走行性並びに経済性を満足させることのできる再剥離性葉書用記録紙を開発することは極めて困難であった。
【0011】
コンピュータによる電子記録が広く普及していくなかで、インクジェット方式は、ゼログラフィー、レーザービームプリント、フラッシュタイプの印字から移行されつつある。そこで、特にインクジェット記録用として降雨中の郵便配達時の宛名面で受理されたインクジェット用インクの耐水性が改良され、且つプロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷ができる再剥離性葉書用記録紙の開発をする必要性が出てきた。
【0012】
従って、本発明は、再剥離性圧着葉書用記録紙の最大の目的である表裏両面のインクジェット用インクの受理性を向上し、印字適性及び耐水性を改良させると共に、プロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷適性を向上させ、併せてカールの発生及び紙の表面が接着するブロッキングを抑制させた再剥離性圧着葉書用記録紙の提供を行うものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意研究した結果、郵便葉書を二枚並べた大きさのフォーム用紙(非塗工紙)坪量127.9g/m2 の一方の支持体片面(隠蔽情報面側)に、再剥離性圧着塗布層として天然ゴム系エマルジョン、スチレン・アクリル系エマルジョン、合成シリカ、小麦澱粉、非イオン系界面活性剤、サイクロデキストリン、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂の少なくともいずれか一方を混合した混合物からなる接着剤塗布層塗工液を乾燥重量約4〜19g/m2 で塗布形成し、該用紙の他方の支持体片面(宛名面側)、すなわちこの再剥離性圧着塗布層と反対のオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理面に、合成シリカ、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合物、アクリルアマイド系カチオンポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物及びポリアミドポリウレア樹脂を混合した塗工液を乾燥重量で約4〜19g/m2 塗布し、最終米坪151.0g/m2 ±5.0g/m2 、厚さ0.180〜0.195mmになるようにインクジェット用インク剤受理層を形成することにより本発明を完成するに至った。なお、上記の米坪、厚さは一例であり、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明に係る二つ折り用の再剥離性圧着葉書用記録紙を作成する方法としては、支持体として上記のフォーム用紙(非塗工紙)の他に、上質紙、中質紙(非塗工紙)、各種バインダーで含浸された含浸紙及び各種顔料で塗工された塗工紙、アート紙など接着剤塗布液やインクジェット用インク受理剤塗布液を塗布する為に用いられる基材であれば、原紙として使用できる。先ず接着剤塗布液を基材となる原紙に塗布し、乾燥後オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理できる再剥離性の再剥離性圧着塗布層を形成し、次に再剥離性圧着塗布層とは反対となる面にオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理剤の塗布を行い、オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成する順序が望ましいが、この逆の順序でも良く、又2ステージのコーターヘッドで一度に表裏両面塗布しても良い。また、本発明の別の実施形態としてZ状に折り込まれて圧着されるいわゆる三つ折りタイプは支持体の表裏両面に、オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理できる再剥離性の再剥離性圧着塗布層を形成させる事で得られる。
【0015】
その結果、水性インクを用いる他のペンプロッター等の記録、印刷、筆記に用いることができ、鉛筆やボールペン等を用いた筆記が可能で、インクジェット記録用紙として発色性、耐水性が良く、滲みが少なく、且つプロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷で画像の鮮明で印刷作業性の良好であるという特徴を持つ再剥離性圧着葉書用記録紙が得られた。
【0016】
本発明の再剥離性圧着葉書用記録紙のオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層(宛名面側)においてインクジェット方式による発色性、滲み、且つ耐水性並びにプロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷適性を満たすには、主成分となる薬品の選択が重要であり、合成シリカ、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合物、アクリルアマイド系カチオンポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物及びポリアミドポリウレア樹脂を加えたものがその条件を満たすものである。
【0017】
これら塗工液には各種添加剤を含有しても良く、塗工時の作業向上のためレベリング剤や消泡剤・抑泡剤、後加工性を向上させるためにワックス類、視感による白色度向上のため蛍光染料、導電性を付与させるため界面活性剤や無機塩類からなるいわゆる帯電防止剤などを含有させることができる。その他、必要に応じて分散剤、印刷適性向上剤、潤滑剤、撥水剤、浸透剤、増粘剤、紫外線吸収剤、染料、染料定着剤、サイズ剤、紙力増強剤、保水剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤なども目的に応じて併用することが出来る。
【0018】
さらに、印刷強度(表面強度)を向上させる目的において酸化澱粉、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、大豆蛋白、合成蛋白、カゼインなどを並びにスチレン・ブタジェン系、酢酸ビニル系、メチルメタクリレート・ブタジェン系、アクリルニトリル・ブタジェン系ラテックスなどを必要に応じ含有させることができる。
【0019】
上記オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層塗布液の塗工は、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ダイコーター等の一般的なコーターによって塗布されるが、塗布量は乾燥重量で4〜19g/m2 の範囲で調整されるのが望ましい。塗布量を上記範囲に限定した理由は、4g/m2 未満ではインクジェット用インク受理層且つオフセットインキ受理層として、それらの受容力が低下し、印字品位や印刷上がりなどの視感的な面で劣り、更にインクジェット用インクの耐水定着性が低下し、好ましくないためである。また、塗工量が19g/m2 を越えると、印字品位や印刷上がりなどの視感的な見栄えは向上するが、経済的な面から実用性が劣り、筆記性が乏しく、紙粉が発生しやすく、好ましくない。
【0020】
オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層塗工液の有機高分子接着剤として、ポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物の混合物を使用し、ポリビニルアルコールとエチレン・酢酸ビニル共重合物の比は1:2〜1:10の範囲であり、そのポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物の合計量を合成シリカ100重量部に対し、15〜65重量部配合してなることがインクジェット記録方式において発色、滲み、耐水性を有し、且つオフセット印刷の耐刷力を有する為に必要な配合割合であるが、この合成シリカ、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合物の混合物単独ではインクジェット用インクの発色、滲み、耐水性を十分に満たすものではない。
【0021】
前記の合成シリカ、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合物の混合物に合成シリカ100重量部に対し、アクリルアマイド系カチオンポリマーを5〜45重量部、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物を5〜45重量部、ポリアミドポリウレア樹脂を1〜15重量部の範囲となるように添加し、塗工乾燥することにより、インクジェット用インクの発色、滲み、耐水性が十分に満たされる。
【0022】
合成シリカとしてはインクジェット用インクを効率良く吸収させる為に、超微粉含水ケイ酸の二次凝集物であるゲルタイプで、その平均粒径が3μmの物を使用し、二次凝集の細孔にインクジェット用インクを取り込む物が最も好ましいが、これ以外の合成シリカや他の塗工用顔料、例えば酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント、硫酸バリウム、水酸化アルミなどを適宜併用しても良い。
【0023】
ポリビニルアルコールとしてはケン化度が98.5モル%、重合度1750のものが被膜の耐水性が強く、被膜を形成すると合成シリカなどの顔料を支持体に固着させ、更にその水酸基の作用によりインクジェット用インクを表面に吸着させ、印字濃度を高くすることができて発色には好ましいが、他のケン化度、重合度の物を併用あるいは単独で使用しても良い。また、エチレン・酢酸ビニル共重合物としてはその被膜の耐水性が20℃24時間で膨張率20%、溶出率2.7%のものが被膜の耐水性が強く、被膜を形成すると疎水性材質への接着性が強い為、合成シリカなどの顔料を支持体に固着させ、オフセット印刷適性を向上させ、更にそのカルボキシル基の作用によりインクジェット用インクの滲みを小さく制御することができて好ましいが、他の膨張率、溶出率の物を併用あるいは単独で使用しても良い。
【0024】
このようなポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物を混合することにより、発色、滲み、耐水性を調節でき、そのポリビニルアルコールとエチレン・酢酸ビニル共重合物の比は前記の1:2〜1:10の範囲である、またオフセット印刷の耐刷力を有する為に、そのポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物の合計量は合成シリカ100重量部に対し、15〜65重量部配合してなることが必要で、15重量部より少ないとオフセット印刷に使用できる耐刷力に達せず、65重量部より多いとインクジェット用インクの乾燥性が劣る。さらにこれら二種類の有機高分子接着剤は互いの相溶性に優れている為、この有機高分子接着剤系における塗工液は物理的化学的に安定性があり塗工性は良好である。
【0025】
アクリルアマイド系カチオンポリマーは、シリカ系顔料をそのカチオン性によりカチオン活性させ、アニオン性を有するインクジェット用インクをイオン結合により定着させるのに効果があり、耐水性をより改善する。
【0026】
ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物は、そのカチオン性により、アニオン性を有するインクジェット用インクの定着に寄与する。また、その疎水基の働きによりインクジェット用インクの滲みを改善する。
【0027】
ポリアミドポリウレア樹脂は、ポリビニルアルコールの耐水化剤として、その架橋作用により、インクジェット用インクによるポリビニルアルコールの乾燥被膜の膨潤を押さえインクジェット用インク受理層の耐水性をより改善すると共に、プロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷の際に、インクジェット用インク受理層からのカチオン性物質の湿し水への溶出を防止し、印刷適性を改善する。
【0028】
また、本発明の再剥離性圧着葉書用記録紙の接着剤塗布液で形成するオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着層(隠蔽情報面側)においてインクジェット方式による発色性、滲み、且つ耐水性並びにプロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷適性並びに再剥離性を満たすには、主成分となる薬品の選択が重要であり、天然ゴム系エマルジョン、スチレン・アクリル系エマルジョン、合成シリカ、小麦澱粉、非イオン系界面活性剤、サイクロデキストリン、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂の少なくともいずれか一方を加えたものがその条件を満たすものである。
【0029】
これら塗工液には各種添加剤を含有しても良く、塗工時の作業向上のためレベリング剤や消泡剤・抑泡剤、後加工性を向上させるためにワックス類、視感による白色度向上のため蛍光染料、導電性を付与させるため界面活性剤や無機塩類からなるいわゆる帯電防止剤などを含有させることができる。その他、必要に応じて分散剤、印刷適性向上剤、潤滑剤、撥水剤、浸透剤、増粘剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、染料定着剤、サイズ剤、紙力増強剤、保水剤、消臭剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤なども目的に応じて併用することが出来る。
【0030】
さらに、印刷強度(表面強度)を向上させる目的において酸化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、大豆蛋白、合成蛋白、カゼインなどを並びにスチレン・ブタジェン系、酢酸ビニル系、メチルメタクリレート・ブタジェン系、アクリルニトリル・ブタジェン系ラテックスなどを必要に応じ含有させることができる。
【0031】
上記オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着層塗布液の塗工は、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ダイコーター等の一般的なコーターによって塗布されるが、塗布量は乾燥重量で4〜19g/m2 の範囲で調整されるのが望ましい。塗布量を上記範囲に限定した理由は、4g/m2 未満ではインクジェット用インク受理層且つオフセットインキ受理層として、それらの受容力が低下し、印字品位や印刷上がりなどの視感的な面で劣り、更にインクジェット用インクの耐水定着性や接着剤層としての接着力が低下し、好ましくないためである。また、塗工量が19g/m2 を越えると、印字品位や印刷上がりなどの視感的な見栄えは向上するが、経済的な面から実用性が劣り、筆記性が乏しく、紙粉が発生しやすく、接着剤層としての接着力が強すぎて印字面の紙破壊を来し、好ましくない。
【0032】
オフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着層の塗工液として、天然ゴム系エマルジョン100重量部に対し、非イオン系界面活性剤2〜12重量部を配合からなる混合物が再剥離性圧着層の塗工液の調成及び塗工機において塗工液の安定性を付与させるものであるが、この混合物単独ではインクジェット用インクの発色、滲み、耐水性を十分に満たすものではない。
【0033】
この混合物に天然ゴム系エマルジョン100重量部に対し、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂の少なくともいずれか一方を5〜100重量部の範囲となるように添加し、塗工乾燥することにより、インクジェット用インクの発色、滲み、耐水性を十分に満たされる。
【0034】
天然ゴム系エマルジョンとしては、通常封筒用口糊などで用いられている感圧接着剤で良く、天然生ゴム、天然加硫ゴム、メタクリル酸メチル(MMA)やスチレンモノマーなどのグラフト共重合天然ゴムエマルジョンなどやこれらの混合物或いはスチレンブタジェン(SBR)やブタジェン(BR)などの合成ゴムエマルジョン並びにアクリル酸エステル、スチレンアクリルなどのアクリル共重合系エマルジョンなどを適宜併用しても良い。この中で、MMAのグラフト共重合天然ゴムエマルジョンにスチレンアクリル共重合エマルジョンを併用したものが、印刷インキ受理性、表面強度、耐刷力、耐ブロッキング性、耐熱性、顔料の固着性などを向上させるのでより好ましい。
【0035】
非イオン系界面活性剤は通常消泡、湿潤、乳化、分散、洗浄、可溶化、気泡、潤滑、帯電防止剤として利用されているが、本発明においてはアニオン系の天然ゴムエマルジョンとカチオン系のインクジェット用インクの定着性、耐水化剤などを単純に混合するとアニオンとカチオンの反応によりショックを起こし、天然ゴムエマルジョンが凝縮するので、これを防止するため、緩衝剤として使用している。すなわち、アニオン系の天然ゴムエマルジョンと非イオン系界面活性剤を混合することにより、天然ゴムエマルジョンの表面を改質・保護し、疑似的に天然ゴムエマルジョンを非イオン系にさせることにより、カチオン系の定着剤、耐水化剤などを支障なく混合させることが可能となった。この非イオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンオリイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどが挙げられるが、この中で特にポリオキシエチレン(12.8)オリイルエーテルはアニオン系の天然ゴムエマルジョンを粘着性などの品質を疎外せずにマスキング出来ることにより、カチオン系のインクジェット用インクの定着剤、耐水化剤などとの相溶性を向上させ、再剥離性圧着層の塗工液の調成及び塗工機において塗工液の安定性を付与させて、より好ましい。なお、EDTAなどのキレート剤でカチオン物質をマスキングさせても同様な効果が得られ、単独或いは併用しても良い。
【0036】
ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂としては一般的には抄紙用の乾燥・湿潤紙力剤として用いられているが、このポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂がエポキシ環の側鎖を有し、これが塗工、乾燥される際に熱により水に不溶な網目状の架橋構造を取り、合成シリカが受容したインクジェット用インクの耐水性を付与させる。他に、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂なども同様な効果が得られる。また、水溶性変性ポリアミン系樹脂として一般的にポリアミン系樹脂は主として直接染料用の染料固着剤として用いられているが、この染料固着剤分子は多数のカチオン基を持ち、これらに染料分子のアニオン基が結合し、非水溶性の分子が形成され、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂と同様に耐水性が得られる。従って、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂の少なくともいずれか一方を使用することがより好ましい。
【0037】
微粒子状の充填剤として、合成シリカはインクジェット用インクを効率良く吸収させる為に、超微粉含水ケイ酸の二次凝集物であるゲルタイプで、その平均粒径が3μmの物を使用し、二次凝集の細孔にインクジェット用インクを取り込む物が最も好ましいが、これ以外の合成シリカや他の塗工用顔料、例えば酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、プラッスチックピグメント、硫酸バリウム、水酸化アルミなどを適宜併用しても良い。小麦澱粉としてはその平均粒径が20.2μmとの併用により、再剥離性圧着層の表面を二つのピークの異なる凹凸状態を形成し、天然ゴムの自着性を面で無く、点接触させることで耐ブロッキング性と圧着後の再剥離性を付与させるので最も好ましいが、これ以外の澱粉、例えば馬鈴薯、タピオカ、コーンなどを原料とした物でも良い。
【0038】
サイクロデキストリンとしてはブドウ糖がα−1,4−グルコシド結合によりドーナツ状の分子構造を取り、その空洞内に天然ゴム粒子を取り込み、太陽光やUV印刷時の紫外線などによる天然ゴムの接着力劣化を防止させて、より好ましい。他に、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、などの紫外線吸収剤を単独或いは併用させても良い。
【0039】
以上のようにして構成されたオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を設けることにより、特に再剥離性のオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層の耐水定着性の向上が図れ、併せて両面塗布を行うことにより、片面のみの塗布時の乾燥縮みにより発生するカールの矯正が行え、更にブロッキングを抑制し、印刷・印字適性の改良がなされた再剥離性圧着葉書用記録紙が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明を以下の実施例、比較例により更に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例の重量部数はすべて固形分換算での数値で示すものとする。
【0041】
実施例1
合成シリカ(水沢化学工業社製:商品名「ミズカシルP−78A」)の20重量%液を100重量部、ポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名「PVA−117」)の8重量%液を12重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合物(昭和高分子社製:商品名「ポリゾール EVA AD−6」)の56重量%液を40重量部、アクリルアマイド系カチオンポリマー(住友化学工業社製:商品名「スミレッズレジン 1001」)の30重量%液を30重量部、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物(荒川化学工業社製:商品名「KR−850」)の28重量%液を15重量部、ポリアミドポリウレア樹脂(住友化学工業社製:商品名「スミレッズレジン 5004」)の45重量%液を5重量部に水を加えて、十分に撹拌混合して16重量%液の塗布液を得た。この塗布液をフォーム用紙坪量127.9g/m2 の原紙の片面に、乾燥塗布量が9g/m2 となるように塗布、乾燥し再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0042】
比較例1
実施例1のポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名「PVA−117」)の8重量%液を26重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合物(昭和高分子社製:商品名「ポリゾール EVA AD−6」)の56重量%液を26重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0043】
比較例2
実施例1のポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名「PVA−117」)の8重量%液を4重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合物(昭和高分子社製:商品名「ポリゾール EVA AD−6」)の56重量%液を48重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0044】
比較例3
実施例1のポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名「PVA−117」)の8重量%液を3重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合物(昭和高分子社製:商品名「ポリゾール EVA AD−6」)の56重量%液を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0045】
比較例4
実施例1のポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名「PVA−117」)の8重量%液を16重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合物(昭和高分子社製:商品名「ポリゾール EVA AD−6」)の56重量%液を54重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0046】
比較例5
実施例1のアクリルアマイド系カチオンポリマー(住友化学工業社製:商品名「スミレッズレジン 1001」)を抜いた以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0047】
比較例6
実施例1のジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物(荒川化学工業社製:商品名「KR−850」)を抜いた以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0048】
比較例7
実施例1のポリアミドポリウレア樹脂(住友化学工業社製:商品名「スミレッズレジン 5004」)を抜いた以外は、実施例1と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を作成した。
【0049】
再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層の実施例1、比較例1〜7における各特性の評価方法は次の通りである。(良い順に◎、○、△、×、とする)
実施例1、比較例1〜7で得られたサンプルをA4判(縦方向297mm,横方向210mm)の試験片にし、オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層面に、キャノン社製BJC−600Jを使用して印字を行った。
(1)発色性
印字後、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのベタ部の発色性を視感で比較評価した。(発色性の良い順に◎、○、△、×、とする)
(2)滲み
印字後、細線のフェザリングを視感で比較評価した。
(フェザリングの発生しない順に◎、○、△、×、とする)
(3)耐水性(泣き出し法)
印字後、1〜2日放置し、転写用の東洋濾紙5Aを水で濡らし、余分な水分を別の濾紙に吸い取らせ、転写用濾紙に印字面を当て、手漉き用丸型プレス機で2kg/cm2 で5秒間プレスし、転写用濾紙に転写されたインク濃度で評価した。
(インク濃度低い順に◎、○、△、×、とする)
(4)乾燥性
印字後、印字部分を指で触れて汚れなくなる時間により評価した。
(時間が短い順に◎、○、△、×、とする)
(5)オフセット印刷適性
RI−3型印刷適性試験機(明製作所製)を使用して印刷強さを評価した。
(印刷強さが強い順に◎、○、△、×、とする)
【0050】
【表1】
Figure 0003812609
【0051】
実施例2
接着剤として天然ゴム系エマルジョン(レヂテックス社製:商品名「レヂテックスHSX−101」)を100重量部、スチレン・アクリル系エマルジョン(ジョンソンポリマー社製:商品名「ジョンクリルSCX631」)を16重量部、顔料として合成シリカ(水沢化学工業社製:商品名「ミズカシルP−78A」)を78重量部、ブロッキング防止剤として小麦澱粉(ローヌプーラン社製:商品名「アクティサイズG302Z」)を78重量部、耐水化剤としてポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(昭和高分子社製:商品名「ポリフィックス301A」)を62重量部、天然ゴム系エマルジョンの酸化、光劣化防止剤としてサイクロデキストリン(日本食品加工社製:商品名「セルデックスSH−20」)を16重量部、アニオン系の天然ゴムエマルジョンのカチオンショック緩衝剤として非イオン系界面活性剤(花王株式会社製:商品名「エマルゲン420」)を5重量部を混合して水を加えて濃度を28%に調成し、接着剤塗布液とした。この接着剤塗布液をフォーム用紙(坪量127.9g/m2 )の片面に、乾燥塗布量が10g/m2 となるようにエアーナイフコーターにて塗布、乾燥し、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0052】
実施例3
実施例2の原紙をフォーム用紙からコート紙(坪量127.9g/m2 )に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0053】
実施例4
実施例2の非イオン系界面活性剤(花王株式会社製:商品名「エマルゲン420」)を2重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0054】
実施例5
実施例2のポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(昭和高分子社製:商品名「ポリフィックス301A」)の62重量部を水溶性変性ポリアミン系樹脂(日本PMC社製:商品名「S−RD−115」)62重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0055】
比較例8
実施例2の非イオン系界面活性剤(花王株式会社製:商品名「エマルゲン420」)を1重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0056】
比較例9
実施例2の非イオン系界面活性剤(花王株式会社製:商品名「エマルゲン420」)を16重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0057】
比較例10
実施例2のポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(昭和高分子社製:商品名「ポリフィックス301A」)の62重量部をカチオン性4級アンモニウム塩ポリマー(日本油脂社製:商品名「ブレンマーPQWT−40H」)62重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0058】
比較例11
実施例2の天然ゴム系エマルジョン(レヂテックス社製:商品名「レヂテックスHSX−101」)100重量部を天然ゴム系エマルジョン(サイデン化学社製:商品名「加圧接着剤K」)60重量部に、スチレン・アクリル系エマルジョン(ジョンソンポリマー社製:商品名「ジョンクリルSCX631」)16重量部をスチレン・アクリル系エマルジョン(ジョンソンポリマー社製:商品名「ジョンクリルJ−790」)16重量部に、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(昭和高分子社製:商品名「ポリフィックス301A」)62重量部を0重量部に、非イオン系界面活性剤(花王株式会社製:商品名「エマルゲン420」)5重量部を0重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成した。
【0059】
上記各実施例及び各比較例に従って製作した再剥離性圧着葉書用記録紙について、塗布液の調成、塗布液の操業安定性、インクの印字品位、圧着後の剥離強度、耐水性、インクの転写、オフセット印刷適性の各性能試験を行なった。表2に各実施例及び各比較例の処方、及び各性能試験の結果を示す。以下各性能試験の方法とその評価の仕方を示す。
(1)塗布液の調成
実機の塗工調成設備での混合の容易さを評価する。容易な順に◎、○、△、×とした。
(2)塗布液の操業安定性
実機の塗工設備でのロングラン適性を評価する。順調な順に◎、○、△、×とした。
(3)インクの印字品位
インクジェットプリンター(ヒューレットパッカード社製HP DeskJet560J)のインクタンクにサイテックス1007黒インクを注射器で注入し、接着面にテスト印字パターン(文字、線、ベタ)を印字し、視感で評価した。良い順に◎、○、△、×とした。
(4)剥離強度
塗布液を原紙にコートした面(以下、単に接着面と称する)を内側に折り込み、葉書の大きさにカットし、ロール加圧により接着し、その接着力を測定する。ロール加圧には、スウィングシーラーSP−401(日本通信紙株式会社製)を使用した。ロール加圧は、幅10cmの試料をロールシーラーの目盛り3(約150μm)の条件でローラー処理を行う。各実施例及び各比較例の再剥離性圧着葉書用記録紙は上記の条件でロール圧着を行う。本作業は迅速に行い、試料はポリ袋に密封保存するため、試料は実機製造時の水分を維持しているものとする。次に20℃、65%RHの環境下でストログラフM−1型(東洋精機製作製)で速度300mm/分、剥離角90°(T型剥離)で剥離し、その抵抗値を測定する。試料は幅10cmを4等分して測定し、数値を平均して接着力g/25mmを求める。剥離可能な接着力とは、望ましくは60〜120g/25mmである。
(5)耐水性
インクジェットプリンター(ヒューレットパッカード社製HP DeskJet560J)のインクタンクにサイテックス1007黒インクを注射器で注入し、接着面にベタ印字を行う。次に東洋濾紙5Aを水に漬けた後、余分な水分を別の紙に取らせ、この濾紙を印字面に当てて丸型プレス機で2kg/cm2 を5秒間かけた後、濾紙に転写されたインク濃度を視感で評価した。インク濃度の薄い順に◎、○、△、×とした。
(6)再剥離後のインクの転写
インクジェットプリンター(ヒューレットパッカード社製HP DeskJet560J)のインクタンクにサイテックス1007黒インクを注射器で注入し、接着面にテスト印字パターン(文字、線、ベタ)を試料の左半面に印字する。接着面を内側に折り込み、剥離強度の測定と同様にロール加圧を行い、手で再剥離させ、接着面の右半面に転写したインクの濃度を視感で評価した。インク濃度の薄い順に◎、○、△、×とした。
(7)オフセット印刷適性
RI−3型印刷適性試験機(明製作所製)を使用して印刷の上がり、耐刷力を評価した。インクはUVインク(T&K社製、ベストキュアーRNC、藍、PS、T−4)を0.4cc、印刷速度:60rpm、印圧:8.5mm、4回刷り。
視感で評価し、良い順に◎、○、△、×とした。
【0060】
【表2】
Figure 0003812609
【0061】
表2から明らかのように、比較例の8〜11の再剥離性圧着葉書用記録紙は塗布液の調成、ロングラン適性、IJ用再剥離性圧着葉書用記録紙としての物性がバランスのとれたものとなっていない。比較例8は非イオン系界面活性剤が少ないため、カチオン性薬品とアニオン性薬品の混合が難しく、調成時にややショックを発生する。また剥離強度も高くなり、剥離時にインクの転写を起こしてしまう。一方、比較例9は非イオン系界面活性剤が多すぎるため、塗布液の調成は容易だが、泡の発生や剥離強度の急激な低下などが起こる。比較例10は耐水化剤としてポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂ではなく、カチオン性4級アンモニウム塩ポリマーを使用した例であるが、調成は不可能であった。比較例11は非イオン系界面活性剤を使用せずに調成した全く別の系の塗布液である。そのため塗布液は非常に不安定であり、シェアーにより実機の調成設備や塗工機の各所で凝集物を発生させた。また、カチオン性耐水化剤の添加ができず、耐水性が全くないものとなった。これに対して、本発明の実施例2〜5は、塗布液の調成も容易であり、実機塗工設備でのロングラン適性にも優れている。またIJ用再剥離性圧着葉書用記録紙としても印字品位、耐水性、剥離強度、UVインキによるオフセット印刷適性とバランスのとれたものとなっている。
【0062】
【発明の効果】
上記結果から明かな様に、本発明の再剥離性圧着葉書用記録紙は各種情報を親展面にインクジェットプリンターで印字後、親展面を圧着しても、印字の転写が起こることがなく、耐水性に優れ、高速インクジェットの水溶性インクに対する印字適性に最適なものである。
また本発明は、再剥離性圧着葉書用記録紙の表裏両面におけるインクジェット用インクの受理性が向上し、印字適性及び耐水性が改良され、プロセスインキ、UVインキなどによるオフセット印刷適性が向上し、併せてカールの発生及び紙の表面が接着する、いわゆるブロッキング現象を抑制できる。
更に本発明は、再剥離性圧着葉書用記録紙の圧着面用接着剤塗布液において、カチオン性薬品とアニオン性薬品の混合が難しく、調成時にショックを発生し易く、シェアーにより実機の調成設備や塗工機の各所で凝集物を発生し易い現象を抑制することができる。

Claims (6)

  1. 再剥離性圧着葉書用紙の支持体を隠蔽情報面側と宛名面側に分け、隠蔽情報面側の支持体に常温、常圧時の通常では接着することのない接着剤を塗布した接着剤塗布層を形成し、該接着剤塗布層の重ね合せ面同士を接合し、且つ該接合面を剥離することにより、再度、面上の情報を読むことが出来る再剥離性圧着葉書用記録紙において、宛名面側となる支持体に合成シリカ、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合物、アクリルアマイド系カチオンポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物及びポリアミドポリウレア樹脂を混合した塗工液を塗布したオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成したことを特徴とする再剥離性圧着葉書用記録紙。
  2. 前記再剥離性圧着葉書用記録紙の宛名面側となる支持体に形成するオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層用の塗工液の有機高分子接着剤として、ポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物の混合物を使用し、ポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物の比が1:2〜1:10の範囲であり、そのポリビニルアルコール及びエチレン・酢酸ビニル共重合物の合計量を合成シリカ100重量部に対し、15〜65重量部配合してなる請求項1記載の再剥離性圧着葉書用記録紙。
  3. 前記圧着葉書用記録紙の宛名面側となる支持体に形成するオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層用の塗工液として、合成シリカ100重量部に対し、アクリルアマイド系カチオンポリマーを5〜45重量部、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物を5〜45重量部、ポリアミドポリウレア樹脂を1〜15重量部配合してなる請求項1記載の再剥離性圧着葉書用記録紙。
  4. 再剥離性圧着葉書用紙の支持体を隠蔽情報面側と宛名面側に分け、隠蔽情報面側の支持体に常温、常圧時の通常では接着することのない接着剤を塗布した接着剤塗布層を形成し、該接着剤塗布層の重ね合せ面同士を接合し、且つ該接合面を剥離することにより、再度、面上の情報を読むことが出来る再剥離性圧着葉書用記録紙において、隠蔽情報面側となる支持体に天然ゴム系エマルジョン、スチレン・アクリル系エマルジョン、合成シリカ、小麦澱粉、非イオン系界面活性剤、サイクロデキストリン、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂の少なくともいずれか一方を混合した混合物からなる接着剤塗布層塗工液を塗布し、隠蔽情報面側にオフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着層を形成したことを特徴とする再剥離性圧着葉書用記録紙。
  5. 前記再剥離性圧着葉書用記録紙の隠蔽情報面側となる支持体に形成するオフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着層の塗工液として、天然ゴム系エマルジョン100重量部に対し、非イオン系界面活性剤を2〜12重量部を配合してなる請求項4記載の再剥離性圧着葉書用記録紙。
  6. 前記再剥離性圧着葉書用記録紙の隠蔽情報面側となる支持体に形成するオフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着層の塗工液として、天然ゴム系エマルジョン100重量部に対し、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂の少なくともいずれか一方を5〜100重量部を配合してなる請求項4又は5記載の再剥離性圧着葉書用記録紙。
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