[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の形状測定装置1の概観を示す図である。図2は、第1実施形態の形状測定装置1の構成を示す図である。図3は、本実施形態の結像光学系21の物体面P2、像面P3等の位置関係を示す図である。図4は、本実施形態の平均平面P7の定義を示す図である。
図1に示す形状測定装置(形状測定システム)1は、ステージ装置2、光プローブ3、走査装置4、制御装置5、表示装置6、及び入力装置7を備える。本実施形態の形状測定装置1は、CMM(Coordinate Measuring Machine)、画像計測顕微鏡等のように、被検物Qの形状を測定することができる。本実施形態の形状測定装置1は、ステージ装置2上に配置された被検物Qの三次元形状を、光切断法によって測定することができる。
ステージ装置2は、被検物Qがステージ装置2に対して移動しないように、被検物Qを保持する。本実施形態のステージ装置2は、形状測定装置1の設置エリアに対して、固定されている。なお、ステージ装置2は、被検物Qを保持して、光プローブ3に対して移動可能でもよい。また、ステージ装置2は、形状測定装置1の外部の装置であってもよい。例えば、被検物Qは、被検物Q(構造物)の製造システムの製造ライン上を搬送され、形状測定装置1は、製造ライン上の被検物Qに対して測定を行ってもよい。また、形状測定装置1は、例えば地面、机等に載置された被検物Qに対して測定を行ってもよく、この場合にステージ装置2は省略されていてもよい。
光プローブ3は、光源装置8及び撮像装置9を備える。光源装置8は、制御装置5によって制御され、ステージ装置2に配置された被検物Qの表面の一部に光を照射する。撮像装置9は、制御装置5によって制御され、光によって照らされている被検物Qの表面を撮像する撮像処理を実行する。本実施形態において、光源装置8と撮像装置9は、同じ支持体10に支持されている。光源装置8と撮像装置9は、それぞれ、支持体10に交換可能に取り付けられている。
図2に示すように、本実施形態の光源装置8は、光源11、光源駆動部12、及び照明光学系13を備える。光源装置8は、光源駆動部12が光源11を駆動して光源11から発せられた光を、照明光学系13を介して被検物Qに照射する。
本実施形態の光源11は、レーザーダイオードを含む。なお、光源11は、レーザーダイオード以外の発光ダイオード(LED)等の固体光源を含んでいてもよい。光源駆動部12は、制御装置5に制御され、光源11が発光する上で必要な電力を光源11へ供給する。
照明光学系13は、光源11から発せられた光の空間的な光強度分布を調整する。本実施形態の照明光学系13は、シリンドリカルレンズを含む。照明光学系13は、1つの光学素子であってもよいし、複数の光学素子を含んでいてもよい。光源11から発せられた光は、シリンドリカルレンズが正のパワーを有する方向にスポットが広げられて、光源装置8から出射する。図1に示したように、光源装置8から出射する光(以下、ライン光Lという)は、光源装置8からの出射方向に対して直交する面におけるスポットの形状が長手方向を有する光になる。
なお、照明光学系13は、CGH等の回折光学素子を含み、光源11から発せられた光の空間的な光強度分布を回折光学素子によって調整してもよい。また、本実施形態において、空間的な光強度分布が調整された光をパターン光ということがある。ライン光Lは、パターン光の一例である。
本実施形態の撮像装置9は、撮像素子20、及び結像光学系21を備える。光源装置8から被検物Qに照射された光は、被検物Qの表面で反射散乱して、その少なくとも一部が結像光学系21へ入射する。撮像装置9は、光源装置8から被検物Qの表面を経由して結像光学系21へ入射した光を撮像素子20が検出する。本実施形態において、制御装置5は、撮像素子20の撮像タイミング等を制御する。
撮像素子20は、例えばCCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等である。撮像素子20は、例えば、受光面に二次元的に配列された複数の画素を含む。複数の画素のそれぞれは、フォトダイオード等の受光素子を含む。各フォトダイオードは、入射してきた光の光量に応じた電荷を発生する。撮像素子20は、各画素に発生した電荷をCCD等によって読み出すことによって、受光面に入射した光の光量分布を検出することができる。
結像光学系21は、図3に示すように、光源装置8からの光の伝播方向(出射方向)D1、及びスポットSの長手方向D2を含む面P1上の物体面P2と共役な面(像面P3)を、撮像素子20の受光面に形成する。このように、結像光学系21は、光源装置8から被検物Qに照射された光が被検物Q上で描くパターンの像を、撮像素子20の受光面に形成する。なお、面P1は、ライン光Lの伝播方向D1にほぼ平行である。本実施形態において伝播方向D1は、光源装置8から出射されるビームの軸とほぼ同軸であり、スポットSの長手方向D2に対してほぼ垂直である。
光源装置8から照射されて被検物Q上の1点で反射散乱した光は、結像光学系21を通ることによって、撮像素子20の受光面上のほぼ1点に集光する。すなわち、撮像素子20上に形成される像の各点は、結像光学系21の物体面P2と被検物Qとが交差する線上の各点と1対1で対応することになる。このように、撮像装置9の撮像結果を示す情報は、被検物Qの表面における各点の位置を示す情報を含む。
図1に示す走査装置(走査部)4は、ステージ装置2と光プローブ3との相対位置を変化させることができる。すなわち、走査装置4は、ステージ装置2上の被検物Qと光プローブ3との相対位置を変化させることができる。本実施形態の走査装置4は、光プローブ3を交換可能に保持しており、形状測定装置1の設置エリアに固定されたステージ装置2に対して、光プローブ3を移動する。光プローブ3の光源装置8から出射した光は、走査装置4が光プローブ3を移動すると、被検物Qの表面を走査する。
本実施形態の走査装置4は、基台30、複数のアーム部31、複数の関節部(接続部)32、複数の走査駆動部33、及び移動量検出器34を備える。
本実施形態の基台30は、形状測定装置1の設置エリアに固定されており、ステージ装置2との相対位置が固定されている。複数のアーム部31は、関節部32を介して互いに接続されている。互いに接続された複数のアーム部31は、一端側(基端部)が基台30と接続され、他端側(先端部)が光プローブ3と接続されている。
走査駆動部33は、アーム部31の内部又は外部等に取り付けられている。走査駆動部33は、例えば電動モータ等のアクチュエータを含む。走査駆動部33は、関節部32によって互いに接続されている1対のアーム部31の相対位置を、変化させることができる。移動量検出器34は、例えばエンコーダであり、走査駆動部33によるアーム部31の移動量を検出する。
本実施形態の走査装置4は、制御装置5によって制御される。制御装置5は、走査装置4の走査駆動部33を制御することによって、光プローブ3の位置と姿勢の少なくとも一方を制御する。また、制御装置5は、走査装置4の移動量検出器34から光プローブ3の位置情報を取得する。光プローブ3の位置情報は、光プローブ3の位置を示す情報と姿勢を示す情報の少なくとも一方を含む。なお、形状測定装置1は、光プローブ3の位置と姿勢の少なくとも一方を計測する計測器(例えばレーザー干渉計)を備えていてもよく、制御装置5は、この計測器から光プローブ3の位置情報を取得してもよい。
入力装置7は、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール、タッチバッド等の各種入力デバイスによって構成される。入力装置7は、制御装置5への各種情報の入力を受けつける。各種情報は、例えば、形状測定装置1に測定を開始させる指令(コマンド)を示す指令情報、形状測定装置1による測定に関する設定情報、形状測定装置1の少なくとも一部をマニュアルで操作するための操作情報等を含む。
表示装置6は、例えば液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等によって構成される。表示装置6は、形状測定装置1の測定に関する測定情報を表示する。測定情報は、例えば、測定に関する設定を示す設定情報、測定の経過を示す経過情報、測定の結果を示す形状情報等を含む。本実施形態の表示装置6は、測定情報を示す画像データを制御装置5から供給され、この画像データに従って測定情報を示す画像を表示する。
本実施形態の制御装置5は、形状測定装置1の各部を以下のように制御する。制御装置5は、光源装置8の光源11が光を発するタイミング、光源11の出力(光量)等を制御する。制御装置5は、光源装置8から出射した光が被検物Qの表面を走査するように走査装置4を制御する。制御装置5は、被検物Qの表面のうち光源装置8からの光が照射されている部位が走査により時間変化している期間に、撮像装置9に複数フレームの画像を撮像させる。
また、本実施形態の制御装置5は、被検物の形状に関する情報を取得する形状情報取得部35を備える。形状情報取得部35は、撮像装置9による撮像結果(画像データ)を取得し、この撮像結果に基づいて被検物Qの形状に関する情報を取得する。本実施形態の制御装置5は、形状測定装置1の測定情報を示す画像データを表示装置6へ供給し、測定情報を示す画像を表示装置6に表示させる。例えば、制御装置5は、被検物Qの形状に関する測定結果(形状情報)を可視化して、測定結果を示す画像を表示装置6に表示させる。
ところで、一般的な形状測定装置は、結像光学系の物体面と像面とが非平行である場合に、像面に垂直な軸に関して軸非対称な収差が発生することがある。このような収差が発生すると、撮像素子によって検出される明るさ分布のピーク位置は、軸非対称な収差の分だけシフトしてしまう。そのため、測定精度は、被検物の表面の位置が実際の位置からシフトして検出されることによって、低下してしまうことがありえる。
本実施形態の形状測定装置は、次に説明するような軸非対称なレンズ要素を含む結像光学系21を備えることによって、軸非対称な収差の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の結像光学系21について、実施例を示して説明する。実施例の説明に先立ち、結像光学系21のレンズ要素等の位置関係を説明するための各種の軸及び面について説明する。
図3に示すように、本実施形態において、物体面P2は、光源装置8からの光の伝播方向D1及びスポットSの長手方向D2を含む面P1の一部である。すなわち、物体面P2は、伝播方向D1にほぼ平行である。結像光学系21は、物体面P2と共役な像面P3を物体面P2に対して非平行になるように、形成する。
なお、本実施形態において、像面P3を含む面P4と面P1との交線のことを第1軸AX1という。また、第1軸AX1に直交する直交面P5上において伝播方向D1と所定の角度θをなす軸を第2軸AX2という。本実施形態において、図3等に示すXYZ直交座標系を参照して、構成要素の位置関係等を説明することがある。このXYZ直交座標系において、X軸方向は第1軸AX1に平行な方向、Y軸方向は第2軸AX2に平行な方向、Z軸方向はX軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向である。
また、本実施形態において、光学面等の各種面のうち曲面を含む面の向き等について、図4に示すような平均平面を定義して説明することがある。図4において、符号P6は、例えば自由曲面レンズの表面等のように曲面を含む面を示し、符号Rは、面P6のうち結像光学系21によって像を形成する光(以下、結像光束という)が通る領域(以下、有効径Rという)を示す。本実施形態において、平均平面P7は、有効径Rにおける平均平面P7上の各点と面P6との距離dの二乗平均(RMS)が最小となる平面である。
図5は、実施例1の結像光学系の構成を示す二面図である。図6は、実施例1の結像光学系の諸元を示す表1である。図7は、実施例1の第3の光学面の形状パラメータを示す表2である。図8は、実施例1の第4の光学面の形状パラメータを示す表3である。図9は、実施例1の第5の光学面の形状パラメータを示す表4である。図10は、実施例1の第9の光学面の形状パラメータを示す表5である。
なお、本実施形態の各実施例において、結像光学系21の各光学面を面番号と対応付けて、説明することがある。例えば、図6の表1における面番号は、図5に示す物体面P2を起点(0番)として、像面P3に近づくほど昇順する番号である。例えば、面番号1に対応する光学面は、物体面P2から1番目(物体面P2の次)に配置されている光学面である。以下の説明において、第1の光学面を符号A1、第2の光学面を符号A2というように、第nの光学面を符号Anで示す。また、自由曲面の形状パラメータ(例えば、図7から図9参照)は、自由曲面の形状を多項式(Z=f(X,Y))で表した場合の各項の係数を示す。
なお、結像光学系の諸元を示す表(例えば図6の表1)において、材質の項目に示される硝材1は、屈折率が1.5887、設計波長655nmにおける屈折率が1.58016、アッベ数が61.18である。また、硝材2は、屈折率が1.5168、設計波長655nmにおける屈折率が1.514362、アッベ数が64.2である。また、硝材3は、屈折率が1.753696、設計波長655nmにおける屈折率が1.76182、アッベ数が26.5である。また、硝材4は、屈折率が1.693034、設計波長655nmにおける屈折率が1.69680、アッベ数が55.5である。
図5に示すように、本実施例の結像光学系21は、配列軸AX3に関して軸非対称な形状のレンズ要素を含む第1レンズ群50と、配列軸AX3に関して軸対称な形状のレンズ要素を含む第2レンズ群51とを有する。結像光学系21の各レンズ要素は、配列軸AX3に沿って配列されている。本実施例において、像面P3(撮像素子20の受光面)は、物体面P2上の各点から結像光学系21の有効径Rの範囲内を通過して入射してくる結像光束の主光線に対して、ほぼ直交している。なお、配列軸は本結像光学系21での像面の略中心と物体面の略中心とを直線で結んだときの線としている。なお、物体面から像面までの間に、途中反射部材などの光路偏向部材を有しているときには、光路偏向部材の数に応じて複数の線分で配列軸を表すことができる。
なお、本実施例の配列軸AX3は、図3に示した直交面P5上の軸であり、伝播方向D1と所定の角度をなしている。本実施例の配列軸AX3は、図3に示した第2軸AX2とほぼ同軸である。図6の表1に示すように、本実施例の第0の光学面A0(物体面P2)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約−65°の角度をなしている。また、第17の光学面A17(像面P3)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約8.31°の角度をなしている。このように、物体面P2と像面P3は、互いに非平行である。
本実施例において、第1レンズ群50は、第1軸非対称レンズ52、及び第2軸非対称レンズ53を含む。本実施例において、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、いわゆる非球面レンズである。第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、図4を参照して説明した有効径Rの範囲内において、配列軸AX3に関して軸非対称(回転非対称)な形状である。
本実施例の第1軸非対称レンズ52は、結像光学系21に属するレンズ要素のうちで最も像面P3の近くに配置されている。本実施例の第1軸非対称レンズ52は、図3に示した第1軸AX1及び第2軸AX2に平行な面(XY面に平行な面)に関して、面非対称な形状である。また、実施例1の第1軸非対称レンズ52は、有効径Rの範囲内において、直交面P5に関して面対称な形状である。第1軸非対称レンズ52の形状は、有効径Rの範囲内において、図3に示した第1軸AX1から最も遠い部位を含む第1部分と、第1軸AX1から最も近い部位を含む第2部分とについて、第1部分から第2部分に向うにつれて直交面P5上の断面形状の寸法が縮小する形状である。
第1軸非対称レンズ52は、物体面P2側を向く第3の光学面A3と、像面P3側を向く第4の光学面A4とを有する。本実施例において、第3の光学面A3は、有効径Rの範囲内において物体面P2に対して凹面である(図7参照)。また、本実施例において、第4の光学面A4は、有効径Rの範囲内において像面P3に対して凸面である(図8参照)。
なお、本実施形態の各実施例において、自由曲面等を含む光学面の位置や姿勢については、この光学面の平均平面を用いて示す場合がある。例えば、図6に示す表1において、第3から第5の光学面の曲率半径は、平均平面の値(無限;平面)を示している。また、第3から第5の光学面に関する間隔(レンズ厚)は、平均平面の位置に基づく値を示している。例えば、面番号3に関する間隔、レンズ厚は、第3の光学面の平均平面と第4の光学面の平均平面との間の間隔を示す。また、第3から第5の光学面に関して、基準面と軸対称レンズの回転軸の角度は、平均平面の法線方向が配列軸AX3となす角度を示している。
図6の表1に示すように、本実施例において、第3の光学面A3の平均平面(第1平面)は、配列軸AX3に対して約−1.38°の角度をなしている。また、本実施例において、第4の光学面A4の平均平面(第2平面)は、配列軸AX3に対して約29.85°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第3の光学面A3の平均平面に対して第4の光学面A4の平均平面がなす角度θ1は、約31.23°である。また、像面P3に対して配列軸AX3がなす角度θは、約−65°であり、図3に示した伝播方向D1に対して配列軸AX3がなす角度θ(図3参照)は、約25°である。この場合に、θ1/θの値は、約−1.25となり、実施例1において、θ1及びθは、下記の式(1)を満たしている。
0.39≦|θ1/θ|≦1.8・・・(1)
本実施例の第2軸非対称レンズ53は、結像光学系21に属するレンズ要素のうちで第1軸非対称レンズ52の次に像面P3の近くに配置されている。本実施例の第2軸非対称レンズ53は、図3に示した第1軸AX1及び第2軸AX2に平行な面(XY面に平行な面)に関して、面非対称な形状である。また、実施例1の第2軸非対称レンズ53は、有効径Rの範囲内において、直交面P5に関して面対称な形状である。第2軸非対称レンズ53の形状は、有効径Rの範囲内において、図3に示した第1軸AX1から最も遠い部位を含む第3部分と、第1軸AX1から最も近い部位を含む第4部分とについて、第3部分から第4部分に向うにつれて直交面P5上の断面形状の寸法が拡大する形状である。
第2軸非対称レンズ53は、物体面P2側を向く第5の光学面A5と、像面P3側を向く第6の光学面A6とを有する。本実施例において、第5の光学面A5は、有効径Rの範囲内において物体面P2に対して凸面である(図9参照)。また、本実施例において、第6の光学面A6は、有効径Rの範囲内においてほぼ平面である。
図6の表1に示すように、本実施例において、第5の光学面A5の平均平面(第3平面)は、配列軸AX3に対して約25.88°の角度をなしている。また、本実施例において、第6の光学面A6(第4平面)は、配列軸AX3に対して約−14.83°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第5の光学面A5の平均平面に対して第6の光学面A6がなす角度θ2は、約31.23°である。本実施例において、角度θが約25°であるので、θ2/θの値は、約1.63になり、実施例1において、θ2及びθは、下記の式(2)を満たしている。
0.95≦|θ2/θ|≦2.84・・・(2)
以上のような本実施例の第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、上述のようにXY面に平行な面に関して面非対称であり、XY面に平行な面に対して非対称な収差を緩和するように、形状が定められている。
本実施例において、第2レンズ群51は、第1球面レンズ54、非球面レンズ55、第2球面レンズ56、第3球面レンズ57、第4球面レンズ58、及び第5球面レンズ59等のレンズ要素を含む。本実施例において、第2レンズ群51の各レンズ要素の光軸(回転軸)は、配列軸AX3とほぼ同軸である。
第1球面レンズ54は、物体面P2を向く第7の光学面A7と、像面P3を向く第8の光学面A8とを有する。本実施例において、第7の光学面A7及び第8の光学面A8は、有効径Rの範囲内において、ほぼ平面である。すなわち、第1球面レンズ54は、配列軸AX3とほぼ直交する平板状である。
非球面レンズ55は、物体面P2を向く第9の光学面A9と、像面P3を向く第10の光学面A10とを有する。本実施例の第9の光学面A9は、有効径Rの範囲内において、配列軸AX3に関して軸対称な非球面である(図10の表5参照)。なお、図6の表1において、第9の光学面A9の曲率半径は、有効径Rの範囲内における曲率半径の平均値を示している。本実施例の第10の光学面A10は、有効径Rの範囲内において、球面である。このように、本実施例において、第2レンズ群51のうち物体面P2の最も近くに配置されているレンズ要素は、ほぼ平板状の第1球面レンズ54であり、第1球面レンズ54の次に物体面P2の近くに配置されているレンズ要素は、非球面レンズ55である。
第2球面レンズ56は、物体面P2を向く第10の光学面A10と、像面P3を向く第11の光学面A11とを有する。第3球面レンズ57は、物体面P2を向く第11の光学面A11と、像面P3を向く第12の光学面A12とを有する。第4球面レンズ58は、物体面P2を向く第13の光学面A13と、像面P3を向く第14の光学面A14とを有する。第5球面レンズ59は、物体面P2を向く第15の光学面A15と、像面P3を向く第16の光学面A16とを有する。本実施例の第11の光学面A11から第16の光学面A16までの各光学面は、有効径Rの範囲内において、配列軸AX3に関して軸対称な球面である。
次に、結像光束の収差について説明する。図11は、実施例1の結像光学系の収差を示すスポットダイアグラムである。なお、図11のスポットダイアグラムに示すスケールの長さは、50μmである。実施例1において、スポット径の二乗平均(RMS)は、視野のほぼ全域にわたって5μm以下、すなわち撮像素子の画素ピッチと同程度以下になっている。換言すると、本実施形態の形状測定装置1は、結像光学系21における収差を減らすことによって、収差が撮像素子20の検出結果に及ぼす影響を減らすことができるので、測定精度を向上させることができる。
ところで、一般的な形状測定装置は、シャインプルーフの条件を満たすように、アオリの光学系を含む場合がある。この場合に、結像光束の主光線は、撮像素子の受光面に対して非垂直な方向から入射してくることになる。ここで、撮像素子は、受光面へ入射してく光線の入射角が大きくなるほど、感度が低下する傾向がある。また、撮像素子は、受光面よりも入射側にカバーガラス等が設けられることがあり、結像光束の主光線の入射角が大きくなるほどカバーガラス等で発生する収差が大きくなる傾向がある。このように、形状測定装置は、結像光束の主光線が撮像素子に対して斜方から入射する構成である場合に、撮像素子の感度低下、結像光束における収差の発生等によって、測定精度が低下することがありえる。
このような一般的な形状測定装置に対して、本実施形態の形状測定装置1は、撮像素子20の受光面に対してほぼ垂直な方向から結像光束の主光線が入射するように、結像光学系21が構成されている。すなわち、本実施形態において、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、第1軸AX1から最も遠い部位を含む第1部分から、第1軸AX1から最も近い部位を含む第2部分へ向うにつれて、直交面P5上の断面形状の寸法が縮小又は拡大する形状である。そのため、形状測定装置1は、撮像素子20の受光面に対してほぼ垂直な方向から結像光束の主光線が入射するように、像面P3へ入射する結像光束の主光線を第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53によって偏向することができる。結果として、形状測定装置1は、例えば、撮像素子20に対する結像光束の入射角に応じた撮像素子20の感度低下を抑制すること、結像光学系21から撮像素子20の受光面までの間の収差の発生等を抑制すること等ができ、測定精度を向上させることができる。
また、上述のような収差は、開口数(NA)が大きいほど、大きくなる。例えば、コマ収差は、開口数の三乗に比例して大きくなる。一般的な形状測定装置は、収差を閾値以下にするために開口数を小さくすると、撮像素子に形成される像の明るさが不足することがありえる。
本実施形態の形状測定装置1は、収差を減らすことができるので、開口数を小さく設定する必要性が低くなる。結果として、本実施形態の形状測定装置は、撮像素子20によって撮像される像を閾値以上の明るさにすることが容易になり、例えば信号雑音比(S/N比)が高くなることによって、測定精度を向上させることができる。
また、本実施形態において、結像光学系21は、軸対称レンズによって構成された第2レンズ群51を含んでいる。一般的に、軸対称レンズは、軸非対称レンズよりも設計に要するコストが少ないので、本実施形態の形状測定装置1は、結像光学系21の設計に要するコストを下げることができる。また、一般的に、軸対称レンズは、軸非対称レンズよりも材料選択の自由度が高いので、本実施形態の形状測定装置1は、結像光学系21の設計自由度が高くなる。
次に、他の実施例について、説明する。以下の説明において、実施例1に対応する構成要素については、実施例1と同じ符号を付して、実施例1と共通する説明を簡略化又は省略する場合がある。
[実施例2]
図12は、実施例2の結像光学系21の構成を示す二面図である。図13は、実施例2の結像光学系21の諸元を示す表6である。図14は、実施例2の第3の光学面A3の形状パラメータを示す表7である。図8は、実施例2の第4の光学面A4の形状パラメータを示す表8である。図9は、実施例2の第5の光学面A5の形状パラメータを示す表9である。図10は、実施例2の第9の光学面A9の形状パラメータを示す表10である。
図12に示すように、本実施例の結像光学系21は、第1レンズ群50及び第2レンズ群51を有する。本実施例において、像面P3(撮像素子20の受光面)は、物体面P2上の各点から結像光学系21の有効径Rの範囲内を通過して入射してくる結像光束の主光線に対して、ほぼ直交している。図13の表6に示すように、本実施例の第0の光学面(物体面P2)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約−65°の角度をなしている。また、第17の光学面A17(像面P3)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約8.14°の角度をなしている。このように、物体面P2と像面P3は、互いに非平行である。
図13の表6に示すように、本実施例において、第1軸非対称レンズ52の第3の光学面A3の平均平面は、配列軸AX3に対して約24.29°の角度をなしている。また、第4の光学面A4の平均平面は、配列軸AX3に対して約34.15°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第3の光学面A3の平均平面に対して第4の光学面A4の平均平面がなす角度θ1は、約9.86°である。また、図3に示した伝播方向D1に対して配列軸AX3がなす角度θは、約25°である。この場合に、θ1/θの値は、約−0.39となり、実施例2において、θ1及びθは、下記の式(1)を満たしている。
0.39≦|θ1/θ|≦1.8・・・(1)
また、本実施例において、第2軸非対称レンズ53の第5の光学面A5の平均平面は、配列軸AX3に対して約23.06°の角度をなしている。また、本実施例において、第6の光学面A6は、配列軸AX3に対して約−13.11°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第5の光学面A5の平均平面に対して第6の光学面A6がなす角度θ2は、約36.17°である。また、本実施例において、角度θが約25°であるので、θ2/θの値が約1.63になり、θ2及びθは、下記の式(2)を満たしている。
0.95≦|θ2/θ|≦2.84・・・(2)
以上のような本実施例の第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、XY面に平行な面に関して面非対称であり、XY面に平行な面に対して非対称な収差を緩和するように、形状が定められている。
本実施例において、第2レンズ群51は、第1球面レンズ54、非球面レンズ55、第2球面レンズ56、第3球面レンズ57、第4球面レンズ58、及び第5球面レンズ59等のレンズ要素を含む。本実施例において、第2レンズ群51の各レンズ要素の光軸(回転軸)は、配列軸AX3とほぼ同軸である。
次に、結像光束の収差について説明する。図18は、実施例2の結像光学系の収差を示すスポットダイアグラムである。実施例2において、スポット径の二乗平均(RMS)は、視野のほぼ全域にわたって10μm以下である。ここで、撮像素子の画素ピッチが5μmであるとする。この場合に、物体面P2上の1点から結像光学系21へ入射した光の受光面上でのスポットは、2列2行の4画素にほぼ収まることになる。このような場合に、本実施形態の形状測定装置1は、軸非対称な収差の発生が抑制されているので、例えば4画素の出力値の平均値を用いることによって、スポットの光強度分布において光強度がピークとなる位置を検出することができ、測定精度を向上させることができる。
[実施例3]
図19は、実施例3の結像光学系21の構成を示す二面図である。図20は、実施例3の結像光学系21の諸元を示す表11である。図21は、実施例3の第3の光学面A3の形状パラメータを示す表12である。図22は、実施例3の第4の光学面A4の形状パラメータを示す表13である。図23は、実施例3の第5の光学面A5の形状パラメータを示す表14である。図24は、実施例3の第9の光学面A9の形状パラメータを示す表15である。
図19に示すように、本実施例の結像光学系21は、第1レンズ群50及び第2レンズ群51を有する。本実施例において、像面P3は、物体面P2上の各点から結像光学系21の有効径Rの範囲内を通過して入射してくる結像光束の主光線に対して、ほぼ直交している。図20の表11に示すように、本実施例の第0の光学面A0(物体面P2)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約−65°の角度をなしている。また、第17の光学面A17(像面P3)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約4.29°の角度をなしている。このように、物体面P2と像面P3は、互いに非平行である。
図20の表11に示すように、本実施例において、第1軸非対称レンズ52の第3の光学面A3の平均平面は、配列軸AX3に対して約−22.00°の角度をなしている。また、第4の光学面A4の平均平面は、配列軸AX3に対して約23.00°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第3の光学面A3の平均平面に対して第4の光学面A4の平均平面がなす角度θ1は、約45.00°である。また、図3に示した伝播方向D1に対して配列軸AX3がなす角度θは、約25°である。この場合に、θ1/θの値は、約1.8となり、実施例3において、θ1及びθは、下記の式(1)を満たしている。
0.39≦|θ1/θ|≦1.8・・・(1)
また、本実施例において、第2軸非対称レンズ53の第5の光学面A5の平均平面は、配列軸AX3に対して約26.51°の角度をなしている。また、本実施例において、第6の光学面A6は、配列軸AX3に対して約−21.78°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第5の光学面A5の平均平面に対して第6の光学面A6がなす角度θ2は、約48.29°である。また、本実施例において、角度θが約25°であるので、θ2/θの値が約1.93になり、θ2及びθは、下記の式(2)を満たしている。
0.95≦|θ2/θ|≦2.84・・・(2)
以上のような本実施例の第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、XY面に平行な面に関して面非対称であり、XY面に平行な面に対して非対称な収差を緩和するように、形状が定められている。
本実施例において、第2レンズ群51は、第1球面レンズ54、非球面レンズ55、第2球面レンズ56、第3球面レンズ57、第4球面レンズ58、及び第5球面レンズ59等のレンズ要素を含む。本実施例において、第2レンズ群51の各レンズ要素の光軸(回転軸)は、配列軸AX3とほぼ同軸である。
次に、結像光束の収差について説明する。図25は、実施例3の結像光学系の収差を示すスポットダイアグラムである。実施例3において、スポット径の二乗平均(RMS)は、視野のほぼ全域にわたって10μm以下である。ここで、撮像素子の画素ピッチが5μmであるとする。この場合に、物体面P2上の1点から結像光学系21へ入射した光の受光面上でのスポットは、2列2行の4画素にほぼ収まることになる。このような場合に、本実施形態の形状測定装置1は、軸非対称な収差の発生が抑制されているので、測定精度を向上させることができる。
[実施例4]
図26は、実施例4の結像光学系21の構成を示す二面図である。図27は、実施例4の結像光学系21の諸元を示す表16である。図28は、実施例4の第3の光学面A3の形状パラメータを示す表17である。図29は、実施例4の第4の光学面A4の形状パラメータを示す表18である。図30は、実施例4の第5の光学面A5の形状パラメータを示す表19である。図31は、実施例4の第9の光学面A9の形状パラメータを示す表20である。
図26に示すように、本実施例の結像光学系21は、第1レンズ群50及び第2レンズ群51を有する。本実施例において、像面P3は、物体面P2上の各点から結像光学系21の有効径Rの範囲内を通過して入射してくる結像光束の主光線に対して、ほぼ直交している。図27の表16に示すように、本実施例の第0の光学面A0(物体面P2)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約−65°の角度をなしている。また、第17の光学面A17(像面P3)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約−0.73°の角度をなしている。このように、物体面P2と像面P3は、互いに非平行である。
図27の表16に示すように、本実施例において、第1軸非対称レンズ52の第3の光学面A3の平均平面は、配列軸AX3に対して約6.52°の角度をなしている。また、第4の光学面A4の平均平面は、配列軸AX3に対して約31.05°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第3の光学面A3の平均平面に対して第4の光学面A4の平均平面がなす角度θ1は、約−24.53°である。また、図3に示した伝播方向D1に対して配列軸AX3がなす角度θは、約25°である。この場合に、θ1/θの値は、約−0.98となり、実施例4において、θ1及びθは、下記の式(1)を満たしている。
0.39≦|θ1/θ|≦1.8・・・(1)
また、本実施例において、第2軸非対称レンズ53の第5の光学面A5の平均平面は、配列軸AX3に対して約29.95°の角度をなしている。また、本実施例において、第6の光学面A6は、配列軸AX3に対して約6.12°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第5の光学面A5の平均平面に対して第6の光学面A6がなす角度θ2は、約23.83°である。また、本実施例において、角度θが約25°であるので、θ2/θの値が約0.95になり、θ2及びθは、下記の式(2)を満たしている。
0.95≦|θ2/θ|≦2.84・・・(2)
以上のような本実施例の第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、XY面に平行な面に関して面非対称であり、XY面に平行な面に対して非対称な収差を緩和するように、形状が定められている。
本実施例において、第2レンズ群51は、第1球面レンズ54、非球面レンズ55、第2球面レンズ56、第3球面レンズ57、第4球面レンズ58、及び第5球面レンズ59等のレンズ要素を含む。本実施例において、第2レンズ群51の各レンズ要素の光軸(回転軸)は、配列軸AX3とほぼ同軸である。
次に、結像光束の収差について説明する。図32は、実施例4の結像光学系の収差を示すスポットダイアグラムである。実施例4において、スポット径の二乗平均(RMS)は、視野のほぼ全域にわたって10μm以下である。ここで、撮像素子の画素ピッチが5μmであるとする。この場合に、物体面P2上の1点から結像光学系21へ入射した光の受光面上でのスポットは、2列2行の4画素にほぼ収まることになる。このような場合に、本実施形態の形状測定装置1は、軸非対称な収差の発生が抑制されているので、測定精度を向上させることができる。
[実施例5]
図33は、実施例5の結像光学系21の構成を示す二面図である。図34は、実施例5の結像光学系21の諸元を示す表21である。図35は、実施例5の第3の光学面A3の形状パラメータを示す表22である。図36は、実施例5の第4の光学面A4の形状パラメータを示す表23である。図37は、実施例5の第5の光学面A5の形状パラメータを示す表24である。図38は、実施例5の第9の光学面A9の形状パラメータを示す表25である。
図33に示すように、本実施例の結像光学系21は、第1レンズ群50及び第2レンズ群51を有する。本実施例において、像面P3は、物体面P2上の各点から結像光学系21の有効径Rの範囲内を通過して入射してくる結像光束の主光線に対して、ほぼ直交している。図34の表21に示すように、本実施例の第0の光学面A0(物体面P2)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約−65°の角度をなしている。また、第17の光学面A17(像面P3)は、その法線方向が配列軸AX3に対して約0.81°の角度をなしている。このように、物体面P2と像面P3は、互いに非平行である。
図34の表21に示すように、本実施例において、第1軸非対称レンズ52の第3の光学面A3の平均平面は、配列軸AX3に対して約1.20°の角度をなしている。また、第4の光学面A4の平均平面は、配列軸AX3に対して約35.15°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第3の光学面A3の平均平面に対して第4の光学面A4の平均平面がなす角度θ1は、約−33.95°である。また、図3に示した伝播方向D1に対して配列軸AX3がなす角度θは、約25°である。この場合に、θ1/θの値は、約−1.36となり、実施例5において、θ1及びθは、下記の式(1)を満たしている。
0.39≦|θ1/θ|≦1.8・・・(1)
また、本実施例において、第2軸非対称レンズ53の第5の光学面A5の平均平面は、配列軸AX3に対して約33.75°の角度をなしている。また、本実施例において、第6の光学面A6は、配列軸AX3に対して約−37.13°の角度をなしている。すなわち、本実施例において、第5の光学面A5の平均平面に対して第6の光学面A6がなす角度θ2は、約70.89°である。また、本実施例において、角度θが約25°であるので、θ2/θの値が約2.84になり、θ2及びθは、下記の式(2)を満たしている。
0.95≦|θ2/θ|≦2.84・・・(2)
以上のような本実施例の第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、第1軸非対称レンズ52及び第2軸非対称レンズ53は、XY面に平行な面に関して面非対称であり、XY面に平行な面に対して非対称な収差を緩和するように、形状が定められている。
本実施例において、第2レンズ群51は、第1球面レンズ54、非球面レンズ55、第2球面レンズ56、第3球面レンズ57、第4球面レンズ58、及び第5球面レンズ59等のレンズ要素を含む。本実施例において、第2レンズ群51の各レンズ要素の光軸(回転軸)は、配列軸AX3とほぼ同軸である。
次に、結像光束の収差について説明する。図39は、実施例5の結像光学系の収差を示すスポットダイアグラムである。実施例5において、スポット径の二乗平均(RMS)は、視野のほぼ全域にわたって10μm以下である。ここで、撮像素子の画素ピッチが5μmであるとする。この場合に、物体面P2上の1点から結像光学系21へ入射した光の受光面上でのスポットは、2列2行の4画素にほぼ収まることになる。このような場合に、本実施形態の形状測定装置1は、軸非対称な収差の発生が抑制されているので、測定精度を向上させることができる。
なお、本実施形態において、第1レンズ群50は、2つの軸非対称レンズによって構成されているが、3つ以上の軸対称レンズによって構成されていてもよい。また、本実施形態において、結像光学系21は、軸非対称レンズ及び軸対称レンズを含んでいるが、軸非対称レンズのみで構成されていてもよい。また、上記の各実施例において、軸対称レンズの数は、6個であるが、5個以下でもよいし、7個以上でもよい。
また、本実施形態において、走査装置4は、ロボットハンド型の装置であるが、ステージ装置等であってもよい。走査装置4は、互いに直交する3軸(XYZ)の各軸方向の併進(3自由度)、各軸周りの回転(3自由度)の6自由度のうち少なくとも1自由度で、被検物Qと光プローブ3の相対位置を変化可能であればよい。例えば、走査装置4は、ステージ装置2(被検物Q)に対する光プローブ3の姿勢(回転位置)を変化させてもよい。また、走査装置4は、例えばガルバノミラー等の偏向部材を含み、光源装置8から出射するライン光を偏向部材により偏向することによって、ライン光が被検物Q上を走査してもよい。この場合に、位置情報は、偏向部材の回転角を示す情報を含んでいてもよい。また、走査装置4は、1次元的に走査を行ってもよいし、2次元的に走査を行ってもよい。
また、実施例2から実施例5において、結像光学系21は、収差により広がったスポットが2行2列の4画素に収まるように構成されているが、例えば、スポットが3行3列の9画素に収まるように構成されていてもよい。形状測定装置1は、軸非対称な収差を減らすことができるので、例えば各種の補間処理、統計処理等を利用して光量のピーク位置を検出することができ、測定精度を向上させることができる。
また、本実施形態において、形状測定装置1は、光切断法を利用して形状情報を取得するが、SFF(Shape From Focus)法を利用して形状情報を取得してもよいし、共焦点法を利用して形状情報を取得してもよい。
また、本実施形態において、形状測定装置1は、ステージ装置2、表示装置6、入力装置7、及び光源装置8を備えているが、これらの各種装置のうち少なくとも1つの装置を備えていなくてもよい。また、これらの各種装置のうちすくなくとも1つの装置は、形状測定装置1の外部の装置、例えば形状測定装置1が配置される施設の一部であってもよい。
[構造物製造システム]
次に、構造物製造システム、及び構造物製造方法について説明する。
図40は、本実施形態の構造物製造システム200の構成を示す図である。本実施形態の構造物製造システム200は、上記の実施形態において説明したような形状測定装置201と、設計装置202と、成形装置203と、制御装置(検査装置)204と、リペア装置205とを備える。制御装置204は、座標記憶部210及び検査部211を備える。
設計装置202は、構造物の形状に関する設計情報を作製し、作成した設計情報を成形装置203に送信する。また、設計装置202は、作成した設計情報を制御装置204の座標記憶部210に記憶させる。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報を含む。
成形装置203は、設計装置202から入力された設計情報に基づいて、上記の構造物を作製する。成形装置203の成形は、例えば鋳造、鍛造、切削等が含まれる。形状測定装置201は、作製された構造物(測定対象物)の座標を測定し、測定した座標を示す情報(形状情報)を制御装置204へ送信する。
制御装置204の座標記憶部210は、設計情報を記憶する。制御装置204の検査部211は、座標記憶部210から設計情報を読み出す。検査部211は、形状測定装置201から受信した座標を示す情報(形状情報)と、座標記憶部210から読み出した設計情報とを比較する。検査部211は、比較結果に基づき、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、検査部211は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。検査部211は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合に、構造物が修復可能であるか否か判定する。検査部211は、構造物が修復できる場合、比較結果に基づいて不良部位と修復量を算出し、リペア装置205に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。
リペア装置205は、制御装置204から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づき、構造物の不良部位を加工する。
[構造物製造方法]
図41は、本実施形態の構造物製造方法を示すフローチャートである。本実施形態において、図41に示す構造物製造方法の各処理は、構造物製造システム200の各部によって実行される。
構造物製造システム200は、まず、設計装置202が構造物の形状に関する設計情報を作製する(ステップS200)。次に、成形装置203は、設計情報に基づいて上記構造物を作製する(ステップS201)。次に、形状測定装置201は、作製された上記構造物の形状を測定する(ステップS202)。次に、制御装置204の検査部211は、形状測定装置201で得られた形状情報と上記の設計情報とを比較することにより、構造物が誠設計情報通りに作成されたか否か検査する(ステップS203)。
次に、制御装置204の検査部211は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS204)。構造物製造システム200は、作成された構造物が良品であると検査部211が判定した場合(ステップS204 YES)、その処理を終了する。また、検査部211は、作成された構造物が良品でないと判定した場合(ステップS204 NO)、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS205)。
構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できると検査部211が判定した場合(ステップS205 YES)、リペア装置205が構造物の再加工を実施し(ステップS206)、ステップS202の処理に戻る。構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できないと検査部211が判定した場合(ステップS205 No)、その処理を終了する。
本実施形態の構造物製造システム200は、上記の実施形態における形状測定装置201が構造物の座標を正確に測定することができるので、作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
なお、本実施形態におけるリペア装置205が実行するリペア工程は、成形装置203が成形工程を再実行する工程に置き換えられてもよい。その際には、制御装置204の検査部211が修復できると判定した場合、成形装置203は、成形工程(鍛造、切削等)を再実行する。具体的には、例えば、成形装置203は、構造物において本来切削されるべき箇所であって切削されていない箇所を切削する。これにより、構造物製造システム200は、構造物を正確に作成することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態あるいは変形例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要素の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要素は、適宜組み合わせることができる。