JP5980986B2 - ゴルフクラブ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブに関する。詳細には、本発明は、ヘッドとシャフトとの着脱が可能なゴルフクラブに関する。
ヘッドとシャフトとの着脱が可能なゴルフクラブが提案されている。ヘッドとシャフトとの着脱の容易性は、いくつかの理由で、有益である。着脱が容易であれば、ゴルファー自身が容易にヘッドやシャフトを付け替えることができる。例えば、購入したゴルフクラブの性能に満足できないゴルファーが、自分でヘッドやシャフトを付け替えることが容易となる。また、好みのヘッドと好みのシャフトとを組み合わせたオリジナルのゴルフクラブを、ゴルファー自身が容易に組み立てることが可能となる。ゴルファーは、好みのヘッドと好みのシャフトとを購入し、これらを自分で組み立てることができる。また、ゴルフクラブの販売店が、ゴルファーの適正に対応したヘッドとシャフトとの組み合わせを選択して販売することができる。着脱容易なヘッド及びシャフトは、ゴルフクラブのカスタムメイドを容易とする。
特表2008−520274号公報、特表2005−533626号公報及び特開2006−42951号公報は、ヘッドとシャフトとの着脱が容易とされた構造を開示する。
更に、ヘッドとシャフトとの着脱機構において、シャフト軸とホーゼル軸との間に傾斜角度θ1を設けたゴルフクラブが、特開2000−5349号公報、特開2005−270402号公報及びWO2009/009291公報(PCT出願)に開示されている。これらの発明では、シャフトの周方向位置によって、ロフト角、ライ角及びフック角(フェース角)が調整されうる。
一方、撓み(曲げ)と連動して捻れが生ずる性質を有するシャフトが提案されている。この性質が、本願において「異方性」とも称され、この異方性を有するシャフトが、「異方性シャフト」とも称される。この異方性シャフトは、特開平3−227616号公報、特開平11−76480号公報、特開平11−299944号公報及び特開2003−265661号公報に開示されている。これらの異方性シャフトは、フック及びスライスを矯正しうる。
特表2008−520274号公報 特表2005−533626号公報公報 特開2006−42951号 特開2000−5349号公報 特開2005−270402号公報 WO2009/009291公報 特開平3−227616号公報 特開平11−76480号公報 特開平11−299944号公報 特開2003−265661号公報
上記傾斜角度θ1を有するゴルフクラブでは、シャフトの周方向位置を変化させることで、ゴルファーに対応した角度調整が可能である。例えば、フック角(フェース角)の調整が可能である。しかし、上記傾斜角度θ1が大きい場合、外観上、違和感が生じやすい。この違和感に起因して、ゴルファーが構えにくいと感じることがある。この違和感や構えにくさは、スムースなスイングを阻害しうる。
一方、異方性シャフトは、外観上通常のシャフトと同じであるため、違和感は生じない。ただし、異方性発現シートを用いたシャフトの製造では、プリプレグの裁断や貼り合わせに手間を要し、作業工程が増加する。また、異方性発現シートの幅が狭い場合、繊維の連続性が失われ、シャフトの捻れ強度及び曲げ強度が低下しやすい。後述されるように、異方性発現シートは、フープ層用シートと共に用いられるのが通例である。このフープ層用シートは、比較的高価である。
フック及びスライスの矯正効果を高める場合、多くの異方性発現シートをシャフト内に配置する必要がある。しかし、異方性発現シートが多い場合、強度が低下しやすく、且つ、シャフトの製造工程が複雑となる。多くの異方性発現シートを用いるシャフトは、生産性が低く、製造コストが高い。一方、異方性発現シートが少ない場合、曲げ捻れ量が低下しやすい。曲げ捻れ量が小さい場合、フックやスライスの矯正効果が低下する。
本発明の目的は、多様な調整が可能であり、且つ、アドレス時の違和感を抑制しうるゴルフクラブの提供にある。
本発明のゴルフクラブは、ホーゼル孔を有するヘッド4と、シャフト6と、上記ホーゼル孔18と上記シャフト6との間に位置するスリーブ8と、上記ヘッド4と上記スリーブ8との着脱を可能とする着脱機構とを有している。上記着脱機構は、複数のスリーブポジションで、上記シャフト6を上記ヘッド4の上記ホーゼル孔18に固定することを可能としている。上記シャフト6の軸線が、上記ホーゼル孔18の軸線に対して、傾斜角度θ1で傾斜している。上記シャフト6が、撓みと連動して捻れが生ずる異方性を有している。
好ましくは、上記傾斜角度θ1が、0.2°以上1.0°以下である。
好ましくは、上記着脱機構が、上記シャフト6の先端部に固定されたスリーブ8と、このスリーブ8と上記ホーゼル孔18との相対回転を規制する回転防止部と、このスリーブ8と上記ホーゼル孔18との軸方向相対移動を規制する抜け防止部とを有している。好ましくは、これら回転防止部及び抜け防止部において、複数の上記スリーブポジションでの固定が可能とされている。
好ましくは、上記シャフトの曲げ捻れ量が、0.5°以上3.0°以下である。
好ましくは、上記シャフトに上記スリーブが固定されて、シャフト−スリーブ組み立て体が形成されている。好ましくは、上記シャフト−スリーブ組み立て体では、次のクラブポジションa1が可能となるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が設定されている。
[クラブポジションa1]:フック角が最大となる上記スリーブポジションにおいて、シャフトポジションが、トウダウン方向の撓りに起因してヘッドが閉じる方向に捻れるように位置する。
好ましくは、上記シャフトに上記スリーブが固定されて、シャフト−スリーブ組み立て体が形成されている。好ましくは、上記シャフト−スリーブ組み立て体では、次のクラブポジションb1が可能となるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が設定されている。
[クラブポジションb1]:フック角が最小となるスリーブポジションにおいて、シャフトポジションが、トウダウン方向の撓りに起因してヘッドが開く方向に捻れるように位置する。
アドレス時の違和感が少なく、多様な調整が可能なゴルフクラブが得られうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブを示す図である。 図2は、図1の分解図である。 図3は、図1のヘッドのホーゼル近傍における断面図である。 図4は、スリーブの一例を示す斜視図である。 図5は、図4のスリーブの底面図である。 図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図5のVII−VII線に沿った断面図である。 図8は、図5のVIII−VIII線に沿った断面図である。 図9は、図3のF9−F9線に沿った断面図である。 図10は、本発明に係るシャフトの、プリプレグ構成の一例を示す展開図である。 図11は、異方性発現シートがフープ層用シートに貼り合われた状態を示す図である。 図12は、本発明に係るシャフトの、プリプレグ構成の他の一例を示す展開図である。 図13は、異方性発現シートがフープ層用シートに貼り合われた状態を示す図である。 図14は、異方性発現シートの、周方向における配置を示す概念図である。 図15は、本発明に係るシャフトの、プリプレグ構成の他の一例を示す展開図である。 図16は、シャフトポジション及びスリーブポジションを説明するための図である。 図17は、曲げ捻れ量の測定方法を説明するための図である。 図18は、曲げ捻れ量の測定方法を説明するための図である。 図19は、曲げの方向と捻れ角度との関係を示すグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態であるゴルフクラブ2を示す。図1は、ゴルフクラブ2のヘッド近傍のみを示している。図2は、ゴルフクラブ2の分解図である。図3は、ゴルフクラブ2の断面図である。図3は、スリーブ8の中心軸線に沿った断面図である。
ゴルフクラブ2は、ヘッド4、シャフト6、スリーブ8、ネジ10及びフェラル12を有する。シャフト6の先端に、スリーブ8が固定されている。シャフト6の後端には、図示されないグリップが取り付けられている。
ヘッド4は、ヘッド本体14と、係合部材16とを有する。ヘッド本体14は、スリーブ8を挿入するためのホーゼル孔18と、ネジ10を挿通するための通孔19とを有する(図3参照)。通孔19は、ホーゼル孔18の底部を貫通している。またヘッド本体14は、ソールに開口するソール孔20を有する(図3参照)。ソール孔20とホーゼル孔18とは、通孔19によって連続している。ヘッド本体14は、中空部を有している。
ヘッド4のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド4は、ウッド型ゴルフクラブである。ヘッド4は、ハイブリッド型ヘッド、ユーティリティ型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。
シャフト6は、カーボンシャフトが好ましい。
ネジ10は、頭部22と軸部24とを有する(図2参照)。ネジ10は、ソール孔20から、通孔19を通過し、ネジ孔32(後述)に至っている。軸部24は、スリーブ8とネジ結合している(詳細は後述)。頭部22は、レンチ用の凹部26を有する(図3参照)。凹部26に適合したレンチ(六角レンチや専用レンチ等)を用いることにより、ヘッド本体14の内部に位置するネジ10が軸回転されうる。ネジ10を用いたネジ機構は、スリーブ8の着脱を可能とする。
係合部材16は、ヘッド本体14に固定されている(図3参照)。この固定の方法は限定されず、接着、溶接、嵌め込み及びこれらの組み合わせが例示される。係合部材16は、ホーゼル孔18の上側開口から、ホーゼル孔18の内部に入れられる。係合部材16は、ホーゼル孔18の底部に固定されている。
係合部材16は、回転防止部を有する。この回転防止部は、係合部材16の内面に形成されている。この回転防止部については、後述される。
図4は、スリーブ8の斜視図である。図5は、スリーブ8の底面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。図7は、図5のVII−VII線に沿った断面図である。
図8は、図5のVIII−VIII線に沿った断面図である。図8と図6とは互いに左右反転の関係にある。
スリーブ8は、シャフト孔30とネジ孔32とを有する(図6及び図7)。シャフト孔30は、一方側(上側)に開口している。ネジ孔32は、他方側(下側)に開口している。シャフト孔30の下側に、ネジ孔32が配置されている。
更にスリーブ8は、定径円周面34、傾斜面35、露出面36及び回転防止部38を有する。定径円周面34は、外径が一定の部分である。露出面36の下端には、段差面39が存在する。
シャフト装着状態(図1及び図3参照)において、露出面36は、外部に露出している。露出面36の下端の外径は、ホーゼル端面37の外径に略等しい。露出面36の上端の外径は、フェラル12の下端の外径に略等しい。露出面36及びフェラル12が、全体として、従来のフェラルのように見える。露出面36は、外観性を向上させている。
スリーブ8のうち、露出面36よりも下側の部分が、ホーゼル孔18に挿入されている(図3参照)。傾斜面35の形状は、ホーゼル孔18の面取り部41の形状に対応している(図3参照)。
図6が示すように、シャフト孔30の軸線h1は、スリーブの外面の軸線z1に対して傾斜している。この傾斜角度θ1は、軸線h1と軸線z1との成す角度の最大値である。軸線z1は、定径円周面34の中心軸線に一致する。なお軸線z1は、ホーゼル孔18の軸線に実質的に等しい。シャフト孔30の軸線h1は、シャフト6の軸線s1に実質的に等しい。
シャフト6は、シャフト孔30に固定されている。この固定は、接着剤による接着によって達成されている。シャフト6の外面が、シャフト孔30の内面に接着されている。接着以外の手段で固定がなされていてもよい。
スリーブ8の抜け防止は、ネジ結合により達成される。図3が示すように、スリーブ8のネジ孔32は、ネジ10とネジ結合している。このネジ結合により、スリーブ8の抜けが防止される。このネジ結合に起因する軸力が、ホーゼル端面37と段差面39との間の圧力と釣り合っている。この軸力を担保するため、上記ネジ結合が完了した状態において、ネジ10の先端とネジ孔32の底面との間には、隙間K1が存在している(図3参照)。また、上記ネジ結合が完了した状態において、スリーブ8の底面43とヘッド本体14との間には、隙間K2が存在している(図3参照)。
図4が示すように、スリーブ8の回転防止部38は、12個の凸部t2を有する。凸部t2は、周方向に均等に配置されている。凸部t2は、一定角度(30°)おきに配置されている。
回転防止部38は、軸線z1を回転対称軸とした回転対称性を有する。回転対称性とは、その回転対称軸回りに(360/W)度回転させたときに、回転前の形状と一致することを意味する。ただしWは2以上の整数である。回転対称軸回りに(360/W)度回転させたときに、回転前の形状と一致することが、「W回回転対称」とも称される。回転防止部38は、軸線z1に関して12回回転対称である。
図9は、図3のF9−F9線に沿った断面図である。
係合部材16の外面は、一定の外径を有する円周面である。一方、係合部材16の内側には、回転防止部48が設けられている。回転防止部48は、12個の凹部r2によって形成されている。これらの凹部r2は、周方向に均等間隔で配置されている。なお、係合部材16は、ヘッド本体14と一体成形されていてもよい。
回転防止部48は、軸線z1を回転対称軸とした回転対称性を有する。回転防止部48は、軸線z1に関して12回回転対称である。回転防止部48の形状は、回転防止部38の形状に対応している。
ヘッド本体14とは別体とされた係合部材16は、精度良く成形されやすい。例えば、ヘッド本体14とは別体とされた係合部材16は、切削加工が行いやすい。係合部材16がヘッド本体14とは別体とされていることで、係合部材16の回転防止部48の寸法精度が向上しうる。
スリーブ8の回り止めは、回転防止部38と回転防止部48との係合によって達成される。回転防止部38と回転防止部48とが、ヘッド4とシャフト6との相対回転を規制するように係合している。
回転防止部38と回転防止部48との係合が可能な周方向相対位置は、12通りである。この周方向相対位置が変更されると、ロフト角、ライ角及びフック角が変化しうる。これらの角度の変化は、前述した傾斜角度θ1に起因する。本実施形態では、12通りの周方向相対位置に起因して、ロフト角、ライ角及びフック角が調整されうる。各ゴルファーに適合したロフト角、ライ角及びフック角が選択されうる。
係合が可能な上記周方向相対位置の数は、12通りに限定されず、4通り、5通り、6通り、8通り、16通り、24通り等が例示される。
傾斜角度θ1は限定されない。傾斜角度θ1が過大である場合、外観上の違和感が生じやすく、構えにくい。これら違和感及び構えにくさは、スムースなスイングを阻害しうる。違和感及び構えにくさを抑制する観点から、傾斜角度θ1は、1.0°以下が好ましく、0.9°以下がより好ましく、0.8°以下が特に好ましい。フック角、ロフト角及びライ角の調整自由度を高め、打球方向性を改善する観点から、傾斜角度θ1は、0.2°以上が好ましく、0.3°以上がより好ましく、0.4°以上が特に好ましい。
一般的なゴルフクラブでは、シャフトをヘッドから取り外す際には、両者を接着している接着剤を加熱によって破壊する。しかし、このゴルフクラブ2では、接着剤の破壊を伴わずに、ヘッド本体14とシャフト6との着脱が可能である。
本発明において、シャフト6は、異方性を有している。本願において「異方性」とは、撓み(曲げ)と連動して捻れが生ずる性質を意味する。この異方性を有するシャフトの製法や構造については、例えば、前述した特開平11−299944号公報又は特開2003−265661号公報に記載されている。本願のシャフト6も、これらの公報に記載された製造方法によって製造されうる。
図10は、本発明に用いられ得るシャフト6の積層構成の一例(第1積層構成)を示す展開図である。
シャフト6は、いわゆるシートワインディング製法によって製造されている。このシャフト6の製造では、先ず、プリプレグをカットして、図10に示されるプリプレグシートを用意する。図10において記載されている角度は、シャフトの長手方向に対する繊維の配向角度Agを示す。図10の実施形態では、21枚のシートが用いられる。
次に、貼り合わせ工程がなされる。図11は、貼り合わせ工程により得られた合体シートを示している。
この貼り合わせ工程では、シートs5に、シートs3とシートs4とが貼り合わされて、合体シートbs3が得られる。同様に、シートs8に、シートs6とシートs7とが貼り合わされて、合体シートbs6が得られる。同様に、シートs11に、シートs9とシートs10とが貼り合わされて、合体シートbs9が得られる。同様に、シートs14に、シートs12とシートs13とが貼り合わされて、合体シートbs12が得られる。同様に、シートs17に、シートs15とシートs16とが貼り合わされて、合体シートbs15が得られる。
バイアスシートs3は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs4は、単独では、巻回しにくい。単独で巻回されると、繊維方向に沿って裂けやすいからである。そこで、これらは、フープ層用シートであるシートs5に貼り付けられ、合体シートbs3として、巻回される。図11に示すように、シートs5の上に、シートs3とシートs4とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs5の輪郭形状は、シートs3とシートs4とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs3の繊維の配向と、シートs4の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs3が、巻回工程に供される。
バイアスシートs6は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs7は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs8に貼り付けられ、合体シートbs6として、巻回される。図11に示すように、シートs8の上に、シートs6とシートs7とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs8の輪郭形状は、シートs6とシートs7とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs6の繊維の配向と、シートs7の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs6が、巻回工程に供される。
バイアスシートs9は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs10は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs11に貼り付けられ、合体シートbs9として、巻回される。図11に示すように、シートs11の上に、シートs9とシートs10とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs11の輪郭形状は、シートs9とシートs10とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs9の繊維の配向と、シートs10の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs9が、巻回工程に供される。
バイアスシートs12は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs13は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs14に貼り付けられ、合体シートbs12として、巻回される。図11に示すように、シートs14の上に、シートs12とシートs13とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs14の輪郭形状は、シートs12とシートs13とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs12の繊維の配向と、シートs13の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs12が、巻回工程に供される。
バイアスシートs15は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs16は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs17に貼り付けられ、合体シートbs15として、巻回される。図11に示すように、シートs17の上に、シートs15とシートs16とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs17の輪郭形状は、シートs15とシートs16とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs15の繊維の配向と、シートs16の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs15が、巻回工程に供される。
合体シートbs3、合体シートbs6、合体シートbs9、合体シートbs12及び合体シートbs15は、僅かな寸法の違いを除き、同じである。
次に、巻回工程がなされる。この巻回工程では、図10で示されている順で、シートがマンドレルに巻き付けられる。図10で上側に記載されているシートほど、先に巻き付けられる。
次に、ラッピングテープが巻き付けられる。次に、加熱工程がなされる。加熱工程には、加熱炉が用いられる。この加熱工程により、プリプレグのマトリクス樹脂が硬化する。次に、ラッピングテープが除去され、マンドレルが引き抜かれる。次に、先端部と後端部がカットされる。次に、表面研磨がなされる。最後に、塗装がなされる。
上記巻回工程では、合体シートbs3、合体シートbs6、合体シートbs9、合体シートbs12及び合体シートbs15は、同じ周方向位置から巻き付けられる。
シートs3の巻回数は、0.5プライである。即ちシートs3の周方向における設置範囲は、約180°である。シートs4の巻回数は、0.5プライである。シートs6の巻回数は、0.5プライである。シートs7の巻回数は、0.5プライである。シートs9の巻回数は、0.5プライである。シートs10の巻回数は、0.5プライである。シートs12の巻回数は、0.5プライである。シートs13の巻回数は、0.5プライである。シートs15の巻回数は、0.5プライである。シートs16の巻回数は、0.5プライである。これらが0.5プライとされているのは、異方性を効率よく発現させるためである。
図10のシート構成のうち、シートs3、シートs6、シートs9、シートs12及びシートs15からなる第1グループのシートは、同一の周方向位置に配置されている。一方、シートs4、シートs7、シートs10、シートs13及びシートs16からなる第2グループのシートは、同一の周方向位置に配置されている。第1グループに属するシートにおいて、繊維の配向は同一である。第2グループに属するシートにおいて、繊維の配向は同一である。第1グループに属するシートの繊維の配向と、第2グループに属するシートの繊維の配向とは、互いに逆である。そして、上記第1グループのシートと、上記第2グループのシートとは、互いに異なる周方向位置に配置されている。上記第1グループのシートが0°から180°の周方向位置に配置されているとすると、上記第2グループのシートは、180°から360°の周方向位置に配置されている。この構成では、半周おきに、バイアス層の傾斜方向が逆向きである。この構成は、異方性を効率良く発現するのに寄与している。この構成は、曲げ捻れ量の増大に寄与する。
図12は、シャフト6の積層構成の他の一例(第2積層構成)を示す展開図である。この図12の実施形態では、14枚のシートが用いられる。
この図12の実施形態では、図10の実施形態と比較して、異方性を発現するシート(以下、異方性発現シートともいう)が少ない。この図12の実施形態では、図10の実施形態と比較して、フープ層用シートも少ない。この図12の実施形態では、図10の実施形態と比較して、プリプレグをカットする工程及び貼り合わせ工程が少ない。よって、この図12の実施形態は、生産性に優れ、製造コストを低下させうる。
この実施形態でも、0.5プライの異方性発現シートが用いられる。この実施形態でも、異方性発現層は、フープ層用のプリプレグに貼り付けられた状態で、巻回される。図13は、貼り合わせ工程により得られた合体シートを示している。
この実施形態でも、プリプレグをカットする工程の後、貼り合わせ工程がなされる。この貼り合わせ工程では、シートt7に、シートt5とシートt6とが貼り合わされて、合体シートbt5が得られる。同様に、シートt10に、シートt8とシートt9とが貼り合わされて、合体シートbt8が得られる。
この実施形態では、異方性発現シートt3及びt4が用いられている。貼り合わせ工程において、シートt3とシートt4とが貼り合わせられる。シートt4は、裏返されつつ、シートt3に貼り合わせられる。よって、シートt3とシートt4とは、配向角度Agが互いに逆となる。即ち、シートt3の配向角度Agが−30°であるとき、シートt4の配向角度Agは+30°である。図12では、シートt4は、裏返されていない状態で図示されている。
シートt3の巻き始め位置と、シートt4の巻き始め位置とは、略180°相違する。巻き始め位置の相違が略180°となるように、貼り合わせがなされる。
シートt3のプライ数(巻回数)は1.5である。シートt3において、1.5プライのうちの0.5プライが、異方性発現部として機能する。この異方性発現部は、後述される第1グループと同一の周方向位置に配置される。
シートt4のプライ数(巻回数)も1.5である。シートt4において、1.5プライのうちの0.5プライが、異方性発現部として機能する。この異方性発現部は、後述される第2グループと同一の周方向位置に配置される。
シートt3及びシートt4は、1.5プライであるため、0.5プライの異方性発現シートと比較して、繊維が周方向により長い。シートt3及びシートt4は、捻れ強度、曲げ強度及び捻れ剛性に寄与する。シートt3及びシートt4は、異方性を発現しつつ、強度を向上させうる。
巻回工程では、図12で示されている順で、シートがマンドレルに巻き付けられる。図12で上側に記載されているシートから、順次巻き付けられる。この巻回工程では、合体シートbt5及び合体シートbt8は、同じ周方向位置から巻き付けられる。
上記シートt3及びシートt4を除き、異方性発現シートの配置は、上記第1積層構成と似ている。即ち、シートt5及びシートt8からなる第1グループは同一の周方向位置に配置される。シートt6及びシートt9からなる第2グループは、同一の周方向位置に配置されている。そして、上記第1グループのシートと、上記第2グループのシートとは、互いに異なる周方向位置に配置されている。上記第1グループのシートが0°から180°の周方向位置に配置されているとすると、上記第2グループのシートは、180°から360°の周方向位置に配置されている。この構成では、半周おきに、繊維の配向角度Agが逆向きである。この構成は、異方性を効率良く発現するのに寄与している。この構成は、曲げ捻れ量の増大に寄与する。
図14は、図12のシート構成を有するシャフトにおける、異方性発現シートの周方向における配置を示す概念図である。図14では、シートの端が丸く表示されている。この構成では、第1グループの異方性発現シート(シートt5及びシートt8)が0°から180°までの周方向位置に配置され、第2グループの異方性発現シート(シートt6及びシートt9)が、180°から360°までの周方向位置に配置される。第1グループの異方性発現シートと第2グループの異方性発現シートとの間で、繊維の配向は逆である。この構成は、シャフトの長手方向全体に亘って設定されている。
シートt3の異方性発現部t31が、図14において太線で示されている。この異方性発現部t31は、上記第1グループの異方性発現シートと同じ周方向位置に配置されている。異方性発現部t31は、曲げ捻れ量の増大に寄与している。
シートt4の異方性発現部t41が、図14において太線で示されている。この異方性発現部t41は、上記第2グループの異方性発現シートと同じ周方向位置に配置されている。異方性発現部t41は、曲げ捻れ量の増大に寄与している。
図15は、シャフト6の積層構成の他の一例(第3積層構成)を示す展開図である。この図15の実施形態では、11枚のシートが用いられる。
この図15の実施形態では、図12の実施形態と比較して、異方性を発現するシート(以下、異方性発現シートともいう)が更に少ない。この図15の実施形態は、生産性に優れ、製造コストを低下させうる。
この実施形態では、0.5プライの異方性発現シートは用いられていない。この実施形態では、異方性発現シートと貼り合わせられるフープ層が存在しない。この実施形態では、貼り合わせの手間が少ない。更にこの実施形態では、フープ層の使用が抑制される。
この実施形態でも、プリプレグをカットする工程の後、貼り合わせ工程がなされる。この貼り合わせ工程では、シートr3に、シートr4が貼り合わされて、合体シート(図示しない)が得られる。同様に、シートr5に、シートr6が貼り合わされて、合体シートが得られる。
シートr4は、裏返されつつ、シートr3に貼り合わせられる。よって、シートr3とシートr4とは、配向角度Agが互いに逆となる。即ち、シートr3の配向角度Agが−30°であるとき、シートr4の配向角度Agは+30°である。図15では、シートr4は、裏返されていない状態で図示されている。同様に、シートr6は、裏返されつつ、シートr5に貼り合わせられる。
シートr3の巻き始め位置と、シートr4の巻き始め位置とは、略180°相違する。巻き始め位置の相違が略180°となるように、貼り合わせがなされる。同様に、シートr5の巻き始め位置と、シートr6の巻き始め位置とは、略180°相違する。巻き始め位置の相違が略180°となるように、貼り合わせがなされる。
シートr3のプライ数(巻回数)は1.5である。シートr3において、1.5プライのうちの0.5プライが、異方性発現部として機能する。シートr4のプライ数(巻回数)も1.5である。シートr4において、1.5プライのうちの0.5プライが、異方性発現部として機能する。
シートr5のプライ数(巻回数)は1.5である。シートr5において、1.5プライのうちの0.5プライが、異方性発現部として機能する。シートr6のプライ数(巻回数)も1.5である。シートr6において、1.5プライのうちの0.5プライが、異方性発現部として機能する。
シートr3の異方性発現部と、シートr5の異方性発現部とで、周方向位置(位置P1)は同じである。これらは複数の異方性発現層を形成する。複数の異方性発現層は、曲げ捻れ量の増大に寄与する。
シートr4の異方性発現部と、シートr6の異方性発現部とで、周方向位置(位置P2)は同じである。これらは複数の異方性発現層を形成する。複数の異方性発現層は、曲げ捻れ量の増大に寄与する。
上記位置P1と上記位置P2とは、互いに180度相違した周方向位置で配置される。この構成により、曲げ捻れ量が向上する。
シートr3及びシートr4は、1.5プライであるため、0.5プライの異方性発現シートと比較して、繊維が周方向により長い。シートr3及びシートr4は、捻れ強度、曲げ強度及び捻れ剛性に寄与する。シートr3及びシートr4は、異方性を発現しつつ、強度を向上させうる。シートr5及びシートr6も、同様に、異方性を発現しつつ、強度を向上させうる。
以上で説明されたシート構成の他、例えば、前述した特開平11−299944号公報又は特開2003−265661号公報に記載されているシート構成も採用されうる。
図16は、ヘッド4とシャフト6とスリーブ8との関係について説明するための図である。異方性シャフトは、撓る方向によって捻れ角度が相違する。またスリーブ8は、傾斜角度θ1を有しているため、周方向の回転によってシャフト孔30の方向が変化する。したがって、ゴルフクラブ2では、次の相対関係A及び相対関係Bが考慮される。
・[相対関係A]ヘッド4のホーゼル孔18とシャフト6との間の、周方向における相対的な位置関係
・[相対関係B]ヘッド4のホーゼル孔18とスリーブ8との間の、周方向における相対的な位置関係
本願では、上記相対関係Aが、シャフトポジションとも称される。また本願では、上記相対関係Bが、スリーブポジションとも称される。シャフトポジションとスリーブポジションとの組み合わせは無限である。これらの組み合わせは、多様なクラブ調整を可能とする。
ここで、以下の説明を容易とする観点から、ヘッド4に関して、周方向基準位置Ch1が定義される(図16参照)。ヘッド4をそのリアルロフト角及びライ角通りに水平面sh1に接地させたとき、ホーゼル孔の軸線を含み且つ水平面sh1に対して垂直な平面PL1を考える。この平面PL1とホーゼル孔18の内面との交線は2本であるが、このうち、よりトウ側の交線の位置が、周方向基準位置Ch1とされる(図16参照)。ホーゼル孔18を上方(グリップ側)から見たとき、この周方向基準位置Ch1から右回りに90°の位置が、周方向位置Ch2である(図16参照)。ホーゼル孔18を上方(グリップ側)から見たとき、このヘッド周方向基準位置Ch1から右回りに180°の位置が、周方向位置Ch3である。ホーゼル孔18を上方(グリップ側)から見たとき、この周方向基準位置Ch1から右回りに270°の位置が、周方向位置Ch4である。
なお、本願において、「トウダウン方向の撓り」とは、上記周方向基準位置Ch1を真上として、シャフトの先端側が下側へと撓ることを意味する。
更に、以下の説明を容易とする観点から、スリーブ8に関して、周方向基準位置Cv1が定義される(図16参照)。ヘッド4のリアルロフト角が最大となるスリーブポジションにおいて、上記周方向基準位置Ch1に対応する位置が、周方向基準位置Cv1である。即ち、この周方向基準位置Cv1が上記周方向基準位置Ch1と一致するようにスリーブ8をホーゼル孔18に装着したとき、リアルロフト角が最大となる。 リアルロフト角が最大であるとき、フック角も最大である。図16の断面図が示すように、スリーブ8をグリップ側(シャフト孔30が開放している側)から見たとき、周方向基準位置Cv1から右周りに90°の位置が、周方向位置Cv2である。スリーブ8をグリップ側から見たとき、周方向基準位置Cv1から右周りに180°の位置が、周方向位置Cv3である。スリーブ8をグリップ側から見たとき、周方向基準位置Cv1から右周りに270°の位置が、周方向位置Cv4である。
[スリーブポジション]
スリーブの上記傾斜角度θ1に起因して、上記スリーブポジションによってフック角等が変化する。上記実施形態では、12のスリーブポジションが可能である。このスリーブポジションとして、次の7つのポジションが例示される。
(NU):ライ角が最大となるスリーブポジション。換言すれば、上記周方向位置Cv4が、ヘッド周方向基準位置Ch1に一致したスリーブポジション。
(Fa):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のスリーブを左回りに30°回転させて得られるスリーブポジション。
(Fb):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のスリーブを左回りに60°回転させて得られるスリーブポジション。
(Fc):フック角が最大となるスリーブポジション。換言すれば、グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のスリーブを左回りに90°回転させて得られるスリーブポジション。換言すれば、上記周方向位置Cv1が、ヘッド周方向基準位置Ch1に一致したスリーブポジション(図16参照)。
(Sa):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のスリーブを右回りに30°回転させて得られるスリーブポジション。
(Sb):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のスリーブを右回りに60°回転させて得られるスリーブポジション。
(Sc):フック角が最小となるスリーブポジション。換言すれば、グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のスリーブを右回りに90°回転させて得られるスリーブポジション。換言すれば、上記周方向位置Cv3が、ヘッド周方向基準位置Ch1に一致したスリーブポジション。
[曲げ捻れ量]
異方性シャフトでは、撓み(曲げ)に連動して捻れが生ずる。この性質が、「曲げ捻れ量」によって定量的に評価される。図17及び図18は、この曲げ捻れ量の測定方法を説明するための図である。図17は測定の様子を示す側面図であり、図18は、シャフト6の先端Tp側からみた正面図である。図18の上側は錘52を吊り下げる前の状態を示し、図18の下側は錘52を吊り下げた後の状態を示す。
この曲げ捻れ量の測定では、シャフトの後端部を固定する治具100と、真っ直ぐな棒50と、錘52とが用意される。
この曲げ捻れ量の測定では、先ず、シャフト6の後端部が固定される。固定される範囲は、シャフト後端Btから150mmまでの範囲である(図17参照)。次に、シャフト6の周方向の特定位置に、棒50が固定される。この棒50は、シャフト6の周方向における最も上側に固定される(図18参照)。この固定は、例えば接着剤によりなされる。錘52を吊り下げる前の状態において、この棒50は水平とされる(図18参照)。棒50は、シャフト先端Tpから25mm隔てた地点に固定される(図17参照)。なお図18において、棒50は1本の直線である。
次に、錘52が吊り下げられる。撓み量が60mmとなるように、錘52の重量が調整される。この撓み量とは、棒50の鉛直方向における移動距離である(図17及び図18参照)。錘52の位置(荷重点)は、シャフト先端Tpから50mm隔てた地点である(図17参照)。錘52の荷重により、シャフト6が撓る。このシャフト6が撓った状態で静止させ、棒50の傾斜角度θtを読み取る(図18参照)。この傾斜角度θtの最大値が、曲げ捻れ量である。読み取りの精度の観点から、棒50は比較的長いほうがよく、例えば140mmとされる(図18参照)。
なお、曲げ捻れ量は、市販の傾角計を用いて測定することもできる。
曲げ捻れ量の決定では、捻れの方向が考慮される。図17の測定において、シャフト6をグリップ側(シャフト後端Bt側)から見たとき、錘52による撓みに起因して、シャフト6は、右周り又は左周りに捻れる。グリップ側から見たとき、錘52による撓みに起因してシャフト6が左周りに捻れる場合に、捻れ角度θtがプラスとされる。逆に、グリップ側から見たとき、錘52による撓みに起因して、シャフト6が右周りに捻れる場合に、捻れ角度θtがマイナスとされる。図18は、シャフト6をヘッド側から見ているので、捻れ角度θtがマイナスである場合を示している。この捻れ角度θtの最大値が、曲げ捻れ量である。
前述の通り、図16が示すようなシャフト6の周方向位置が定義される。シャフト周方向基準位置Cs1は、その周方向位置を真上として錘をぶら下げたとき、捻れ角度θtが最大となるような、周方向位置である。一方、周方向位置Cs3を真上として測定された場合、捻れ角度θtが最小(マイナスの値)となる。このシャフト周方向基準位置Cs1から周方向に90°隔てた周方向位置Cs2を真上として測定された場合、捻れ角度θtはゼロである。このシャフト周方向基準位置Cs1から周方向に270°隔てた周方向位置Cs4を真上として測定された場合も、捻れ角度θtはゼロである。
捻れ角度θtは、曲げられる方向によって変化する。図19は、曲げられる方向と捻れ角度θtとの関係を示すグラフである。このグラフでは、シャフト周方向基準位置Cs1が、グラフの横軸の「90°」に対応する。このグラフが示すように、シャフト周方向基準位置Cs1を真上として下側に曲げられた場合、捻れ角度θtが最大である。この最大値が、曲げ捻れ量である。
上記傾斜角度θ1を抑制しつつ、打球方向性を高める観点から、曲げ捻れ量は、0.5°以上が好ましく、0.7°以上がより好ましく、0.9°以上がより好ましい。シャフト強度を高めるとともに、生産コストを抑制する観点から、曲げ捻れ量は、3.0°以下が好ましく、2.8°以下がより好ましく、2.6°以下が更に好ましい。
[シャフトポジション]
シャフトポジションによって、インパクトにおけるシャフトの捻れが変化する。このシャフトポジションとして、次の12のポジションが例示される
(N1):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに90°回転させたシャフトポジション。換言すれば、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch2に一致させたシャフトポジション。
(F1):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに60°回転させたシャフトポジション。
(F2):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに30°回転させたシャフトポジション。
(F3):シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch1に一致させたシャフトポジション(図16参照)。
(F4):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、左回りに30°回転させたシャフトポジション。
(F5):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、左回りに60°回転させたシャフトポジション。
(S1):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに120°回転させたシャフトポジション。
(S2):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに150°回転させたシャフトポジション。
(S3):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに180°回転させたシャフトポジション。換言すれば、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch3に一致させたシャフトポジション。
(S4):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、左回りに150°回転させたシャフトポジション。
(S5):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、左回りに120°回転させたシャフトポジション。
(N2):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、左回りに90°回転させたシャフトポジション。換言すれば、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch4に一致させたシャフトポジション。
上記シャフトポジション(N1)及びシャフトポジション(N2)は、トウダウン方向の撓りによって、シャフトの捻れが生じないポジションである。
シャフトポジションとスリーブポジションとの組み合わせは限定されない。この組み合わせにより、多様な調整(フィッティング)が可能となる。シャフトポジションとスリーブポジションとは、例えば、ゴルファーのそれぞれに適するように調整されうる。シャフトポジションとスリーブポジションとを組み合わせることにより、精度の高いカスタムフィッティングが可能である。
上記調整の一例は、弾道の曲がりが少なくなるようにシャフトポジション及びスリーブポジションを決定することである。この調整では、例えば、一人のゴルファーが、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が異なる複数のシャフト−スリーブ組み立て体を用いて、試打を行う。この試打では、ゴルファーは、複数の上記シャフト−スリーブ組み立て体のそれぞれにおいて、複数のスリーブポジションを試すことができる。上記ゴルファーは、最も良い打球結果が得られたシャフトポジション及びスリーブポジションが、そのゴルファーに適している。
本願では、上記シャフトポジション及び上記スリーブポジションに加えて、「クラブポジション」との用語が用いられる。クラブポジションとは、シャフトポジションとスリーブポジションとの組み合わせによって決定される。
上記実施形態では、スリーブ8は、シャフト6に接着されている。好ましくは、このシャフト−スリーブ組み立て体におけるスリーブ8とシャフト6との周方向相対位置は、前述した好ましいシャフトポジション及び好ましいスリーブポジションが達成できるように、決定される。
シャフト−スリーブ組み立て体では、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が固定される。この固定は、シャフトポジションとスリーブポジションとの自由な組み合わせを制約する。
上記ゴルフクラブが市販される場合、上記シャフトと上記スリーブとで、シャフト−スリーブ組み立て体が形成される。そして、典型的には、一つのシャフト−スリーブ組み立て体と一つのヘッドとがセットされて、市販される。一旦接着されたシャフトとスリーブとを分離して再び接着することは、難しいし、手間である。したがって、シャフトとスリーブとの周方向相対位置を変更することは難しい。シャフト−スリーブ組み立て体において、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が好ましい範囲に設定されていることが重要である。
スライスを抑制する観点からは、好ましいゴルフクラブは、以下のクラブポジションa1を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションa1]:フック角が最大となるスリーブポジション(Fc)において、シャフトポジションが、トウダウン方向の撓りに起因してヘッドが閉じる方向に捻れるように位置する。
スライスの矯正を更に高める観点からは、より好ましくは、以下のクラブポジションa2を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションa2]:スリーブポジションがポジション(Fc)のとき、シャフトポジションは、上記ポジション(F5)からポジション(F1)までの範囲内(角度幅が120度の範囲内)である。
スライスの矯正を更に高める観点からは、更に好ましくは、以下のクラブポジションa3を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションa3]:スリーブポジションがポジション(Fc)のとき、シャフトポジションは、上記ポジション(F4)からポジション(F2)までの範囲内(角度幅が60度の範囲内)である。
スライスの矯正を更に高める観点からは、特に好ましくは、以下のクラブポジションa4を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションa4]:スリーブポジションがポジション(Fc)のとき、シャフトポジションは、上記ポジション(F3)±10°の範囲内である。換言すれば、フック角が最大となるスリーブポジション(Fc)において、シャフトポジションが、上記ポジション(F3)を中心とした角度幅20度の範囲内である。
フックを抑制する観点からは、好ましいゴルフクラブでは、以下のクラブポジションb1を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションb1]:フック角が最小となるスリーブポジション(Sc)において、シャフトポジションが、トウダウン方向の撓りに起因してヘッドが開く方向に捻れるように位置する。
フックの矯正を更に高める観点からは、より好ましくは、以下のクラブポジションb2を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションb2]:フック角が最小となるスリーブポジション(Sc)において、シャフトポジションが、上記ポジション(S5)からポジション(S1)までの範囲内(角度幅が120度の範囲内)である。
フックの矯正を更に高める観点からは、更に好ましくは、以下のクラブポジションb3を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションb3]:フック角が最小となるスリーブポジション(Sc)において、シャフトポジションは、上記ポジション(S4)からポジション(S2)までの範囲内(角度幅が60度の範囲内)である。
フックの矯正を更に高める観点からは、特に好ましくは、以下のクラブポジションb4を可能とするように、スリーブとシャフトとが固定(接着)される。
[クラブポジションb4]:フック角が最小となるスリーブポジション(Sc)において、シャフトポジションは、上記ポジション(S3)±10°の範囲内である。換言すれば、フック角が最小となるスリーブポジション(Sc)において、シャフトポジションが、上記ポジション(S3)を中心とした角度幅20度の範囲内である。
前述したように、シャフトとスリーブとの固定は、シャフトポジションとスリーブポジションとの自由な組み合わせを制約する。しかし、この制約の下であっても、単一のシャフト−スリーブ組み立て体が、スライサー用のクラブポジションとフッカー用のクラブポジションの両方を実現しうる。この観点から、次の態様が好ましい。
クラブ調整の自由度を高める観点から、上記クラブポジションa1及び上記クラブポジションb1が可能となるように、スリーブがシャフトに固定(接着)されるのが好ましい。
クラブ調整の自由度を更に高める観点から、上記クラブポジションa2及び上記クラブポジションb2が可能となるように、スリーブがシャフトに固定(接着)されるのが好ましい。
クラブ調整の自由度を更に高める観点から、上記クラブポジションa3及び上記クラブポジションb3が可能となるように、スリーブがシャフトに固定(接着)されるのが好ましい。
クラブ調整の自由度を特に高める観点から、上記クラブポジションa4及び上記クラブポジションb4が可能となるように、スリーブがシャフトに固定(接着)されるのが好ましい。
シャフトポジションは、インパクトにおけるシャフトの曲がりを考慮して決定されうる。インパクトにおけるシャフトの曲がりが意図するシャフトの捻れを生じさせるように、シャフトポジションが決定される。
インパクトにおけるシャフトの曲がりの典型例は、トウダウンに起因するシャフトの曲がりである。トウダウンを考慮することで、多くのゴルファーが、フック又はスライスの矯正効果を得ることができる。
図16では、ヘッド周方向基準位置Ch1に、シャフト周方向基準位置Cs1を一致させる場合が示されている。即ち図16では、シャフトポジション(F3)が示されている。この場合、トウダウン現象に伴うシャフト6の撓みに連動した、フェース面を閉じるような捻れが、最も効果的に生ずる。
図16では、ヘッド周方向基準位置Ch1に、スリーブ周方向基準位置Cv1を一致させる場合が示されている。このスリーブポジションは、フック角を最大とする。即ち図16では、スリーブポジション(Fc)が示されている。
このように図16では、シャフトポジションとしてポジション(F3)が採用され、且つ、スリーブポジションとしてポジション(Fc)が採用されている。この図16の構成は、打球がスライスしやすいゴルファーに適している。
同じゴルファーでも、プレーする日によって球筋(弾道)が異なることがある。例えば、あるゴルファーXにおいて、スライスの度合いが大きい時と、スライスの度合いが小さい時とがありうる。このような場合、シャフトポジション及びスリーブポジションを変更することによって、異方性に起因するスライス矯正効果の度合いを調整することができ、且つ、フック角を調整することができる。
インパクトの際におけるシャフトの曲がり(撓み)としては、いわゆるトウダウン現象による曲がりが考えられるが、それ以外の曲がりも考えられる。このインパクト時の曲がりは、ゴルファーによって相違しうる。ゴルファーは、いくつかのクラブポジションで試打を行うことができる。この試打の結果に基づき、自分に合ったクラブポジションを見つけることができる。
ヘッド本体14の材質は限定されない。好ましい材質として、金属、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)及びそれらの組み合わせが例示され、より好ましくは、金属である。この金属として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びそれらの組み合わせが例示される。ヘッド本体14を構成する各部材の製造方法は限定されず、鍛造、鋳造、プレス及びこれらの組み合わせが例示される。ヘッド本体14は、複数の部材が接合されて形成されてもよい。
シャフト6の材質としては、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)が好ましい。
スリーブ8の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好適である。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。
係合部材16の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。また前述したように、係合部材16は、ヘッド本体と一体成形されてもよい。より好ましくは、係合部材16の固定を確実とする観点から、ヘッド本体14との溶接が可能な材質によって係合部材16が形成されているのがよい。
ネジ10の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金等が例示される。
シャフトの材料として使用可能なプリプレグは、限定されない。下記の表1は、使用可能なプリプレグの例を示す。曲げ捻れ量及びシャフトの強度の観点から、異方性発現シートには、繊維の引張弾性率が40(t/mm)のプリプレグが特に好ましい。
Figure 0005980986

曲げ捻れ量を増加させる観点、及び、捻れ強度を高める観点から、異方性発現シートの繊維配向角度Agの絶対値は、好ましくは、10°以上であり、より好ましくは15°以上である。曲げ捻れ量を増加させる観点、及び、曲げ強度を高める観点から、異方性発現シートの繊維配向角度Agの絶対値は、好ましくは、40°以下であり、より好ましくは35°以下であり、更に好ましくは30°以下である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[シャフトの作製]
以下のようにして、シャフトE1、シャフトE2、シャフトE3、シャフトE4及びシャフトE5が作製された。
[シャフトE1(実施例1用)]
図12に示された積層構成を有するシャフトを作製し、曲げ捻れ量が1.0°のシャフトを得た。曲げ捻れ量は、異方性発現シートの厚さ、異方性発現シートの繊維目付量、バイアス層用シートの厚さ及びバイアス層用シートの繊維目付量に基づいて調整された。シートt3及びシートt4は、バイアス層用シートであり且つ異方性発現シートである。
炭素繊維品番が「TR50S」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、ストレート層用シートに、用いられた。ストレート層用シートは、「0°」との標記が付されたシートである。
炭素繊維品番が「MR40」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、異方性発現シートに用いられた。フープ層用シートとしては、東レ社の商品名「805S−3」が用いられた。シャフトの全長は、1143mmであった。
このシャフトE1における各シートのプライ数(ply数)が、図12に示されている。シートの左側には、バットBtにおけるプライ数が示されている。シートの右側には、チップTpにおけるプライ数が示されている。
[シャフトE2(実施例2用)]
図15に示された積層構成を有するシャフトを作製し、曲げ捻れ量が2.0°のシャフトを得た。曲げ捻れ量は、異方性発現シートの厚さ及び異方性発現シートの繊維目付量に基づいて調整された。異方性発現シートは、シートr3、シートr4、シートr5及びシートr6である。
炭素繊維品番が「TR50S」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、ストレート層用シートに、用いられた。ストレート層用シートは、「0°」との標記が付されたシートである。
炭素繊維品番が「MR40」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、異方性発現シートに用いられた。フープ層用シートとしては、東レ社の商品名「805S−3」が用いられた。シャフトの全長は、1143mmであった。
このシャフトE2における各シートのプライ数(ply数)が、図15に示されている。シートの左側には、バットBtにおけるプライ数が示されている。シートの右側には、チップTpにおけるプライ数が示されている。
[シャフトE3(実施例3用)]
図12に示された積層構成を有するシャフトを作製し、曲げ捻れ量が2.0°のシャフトを得た。曲げ捻れ量は、異方性発現シートの繊維弾性率(引張弾性率)、異方性発現シートの厚さ及び異方性発現シートの繊維目付量を調整して、曲げ捻れ量を2.0°とした他はシャフトE1と同様にして、シャフトE3を得た。
[シャフトE4(比較例1用)]
上記シャフトE1で用いられている異方性発現シートにおいて、周方向における配置が変更された。この配置変更により、異方性が生じないシャフトE4を得た。このシャフトE4では、同一の方向に傾斜した0.5プライのバイアス層が、0°から180°の周方向位置と、180°から360°の周方向位置とに配置された。この配置により、0.5プライのバイアス層同士で異方性が打ち消され、異方性を有しないシャフトE4が得られた。
[シャフトE5(比較例2用)]
図10に示された積層構成を有するシャフトを作製し、曲げ捻れ量が4.0°のシャフトE5を得た。曲げ捻れ量は、異方性発現シートの厚さ、異方性発現シートの繊維目付量、バイアス層用シートの厚さ及びバイアス層用シートの繊維目付量に基づいて調整された。
炭素繊維品番が「TR50S」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、ストレート層用シートに、用いられた。ストレート層用シートは、「0°」との標記が付されたシートである。
炭素繊維品番が「MR40」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、異方性発現シートに用いられた。フープ層用シートとしては、東レ社の商品名「805S−3」が用いられた。シャフトの全長は、1143mmであった。
このシャフトE5における各シートのプライ数(ply数)が、図10に示されている。シートの左側には、バットBtにおけるプライ数が示されている。シートの右側には、チップTpにおけるプライ数が示されている。
なお、シャフトE5は比較例のゴルフクラブに用いられているが、このシャフトE5は、本発明に係るゴルフクラブに用いることも可能である。
[シャフト強度]
各シャフトの強度が測定された。3点曲げ強度試験として、SG式3点曲げ強度試験が採用された。これは、製品安全協会が定める試験である。この試験では、2つの支持点においてシャフトを下方から支持しつつ、荷重点において上方から下方に向かって荷重Fを加える。荷重点の位置は、2つの支持点を二等分する位置である。荷重点が、測定点である。測定点は、T点、A点、B点及びC点である。T点は、チップTpから90mmの点である。A点は、チップTpから175mmの点である。B点は、チップTpから525mmの点である。C点は、バットBtから175mmの点である。シャフトが破損したときの荷重Fの値(ピーク値)が測定された。T点が測定される場合、上記2つの支持点の間隔Sは、150mmとされる。A点、B点及びC点が測定される場合、上記間隔Sは、300mmとされる。この結果が、下記の表2に示される。
捻り破壊強度の測定方法は、SG式ねじり試験が採用された。これも、製品安全協会が定める試験である。この試験では、先ず、シャフトの両端に固定ジグが接着される。そして、バット側のジグを固定した状態でチップ側のジグを回転させることにより、シャフトにトルクが加えられる。シャフトが破損したときのトルク値に捻れ角を乗じた値が、捻り破壊強度である。この結果が、下記の表2に示される。
Figure 0005980986

[実施例1に係るシャフト−スリーブ組み立て体A1]
上記傾斜角度θ1が0.8°であるスリーブが用意された。上記シャフトE1の先端部にこのスリーブを接着して、シャフト−スリーブ組み立て体A1を得た。後述される表が示すシャフトポジション及びスリーブポジションが実現されるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が決定された。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
[実施例2に係るシャフト−スリーブ組み立て体A2]
上記傾斜角度θ1が0.4°であるスリーブが用意された。上記シャフトE2の先端部にこのスリーブを接着して、シャフト−スリーブ組み立て体A2を得た。後述される表が示すシャフトポジション及びスリーブポジションが実現されるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が決定された。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
[実施例3に係るシャフト−スリーブ組み立て体A3]
上記傾斜角度θ1が0.8°であるスリーブが用意された。上記シャフトE3の先端部にこのスリーブを接着して、シャフト−スリーブ組み立て体A3を得た。後述される表が示すシャフトポジション及びスリーブポジションが実現されるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が決定された。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
[比較例1に係るシャフト−スリーブ組み立て体A4]
上記傾斜角度θ1が1.5°であるスリーブが用意された。上記シャフトE4の先端部にこのスリーブを接着して、シャフト−スリーブ組み立て体A4を得た。後述される表が示すシャフトポジション及びスリーブポジションが実現されるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が決定された。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
[比較例2に係るシャフト−スリーブ組み立て体A5]
上記傾斜角度θ1が0°であるスリーブが用意された。即ち、傾斜角度θ1を有さないスリーブが用意された。上記シャフトE5の先端部にこのスリーブを接着して、シャフト−スリーブ組み立て体A5を得た。後述される表が示すシャフトポジション及びスリーブポジションが実現されるように、シャフトとスリーブとの周方向相対位置が決定された。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
[ヘッドの作製]
係合部材とヘッド本体とを溶接して、図1及び図3に示されるヘッドを得た。このヘッドは、いわゆるドライバー(W#1)のヘッドであった。このヘッドの体積は460ccであった。係合部材を所定位置に配置し、この係合部材をヘッド本体に溶接した。溶接方法として、レーザー溶接が用いられた。全ての実施例及び比較例において、同一のヘッドが用いられた。
[実施例及び比較例のゴルフクラブ]
前述したシャフト−スリーブ組み立て体A1からA5のそれぞれと、前述したヘッドとを、ネジを用いて結合して、ゴルフクラブを得た。全ての実施例及び比較例において、一つのヘッドを共通して用いた。
[テスター]
4人のテスター(テスターAからD)が、実際にゴルフボールを打って、評価した。5球の平均値が、下記の表に示される。これら4人のテスターは、全員、右利きのゴルファーである。各テスターの特性は、次の通りである。
[テスターA]:持ち球がスライスであるゴルファー。
[テスターB]:持ち球がスライスであるゴルファー。
[テスターC]:持ち球がフックであるゴルファー。
[テスターD]:持ち球がフックであるゴルファー。
テスターA及びテスターBは、いわゆるスライサーであり、打球をスライスさせやすい。テスターC及びテスターDは、いわゆるフッカーであり、打球をフックさせやすい。
各テスターの特性に応じたクラブポジションを採用し、スライス又はフックの矯正効果が評価された。この矯正効果は、ボールの到達地点により確認した。ボール到達地点の「左右ズレ」が左側であるほど、スライスが矯正されていることを意味する。ボール到達地点の「左右ズレ」が右側であるほど、フックが矯正されていることを意味する。同時に、官能評価として、「構えやすさ」と「左右方向性」とが評価された。この評価は1から5までの5段階評価であり、点数が多いほど評価が高い。
[テスターAによる評価]
スライスしやすいテスターAが、スライスの矯正効果を評価した。クラブポジションは、「ニュートラル」、「フック1」、「フック2」及び「フック3」の4種類とされた。各クラブポジションにおけるスリーブポジション及びシャフトポジションは、表に示す通りである。評価結果が下記の表3及び表4に示される。
[テスターBによる評価]
スライスしやすいテスターBが、スライスの矯正効果を評価した。クラブポジションは、「ニュートラル」、「フック1」、「フック2」及び「フック3」の4種類とされた。各クラブポジションにおけるスリーブポジション及びシャフトポジションは、表に示す通りである。評価結果が下記の表5及び表6に示される。
[テスターCによる評価]
フックしやすいテスターCが、フックの矯正効果を評価した。クラブポジションは、「ニュートラル」、「スライス1」、「スライス2」及び「スライス3」の4種類とされた。各クラブポジションにおけるスリーブポジション及びシャフトポジションは、表に示す通りである。評価結果が下記の表7及び表8に示される。
[テスターDによる評価]
フックしやすいテスターDが、フックの矯正効果を評価した。クラブポジションは、「ニュートラル」、「スライス1」、「スライス2」及び「スライス3」の4種類とされた。各クラブポジションにおけるスリーブポジション及びシャフトポジションは、表に示す通りである。評価結果が下記の表9及び表10に示される。
Figure 0005980986
Figure 0005980986
Figure 0005980986
Figure 0005980986
Figure 0005980986
Figure 0005980986
Figure 0005980986
Figure 0005980986
実施例では、フック又はスライスの矯正効果、構えやすさ及び左右方向性に優れたクラブを得ることができた。また、フック又はスライスの矯正効果、構えやすさ又は左右方向性のいずれを優先するかによって、クラブポジションを選択することも可能である。
これらの実施例では、シャフト−スリーブ組み立て体におけるシャフトとスリーブとの周方向相対位置が、適切に設定されている。この設定の好ましい範囲は、前述した通りである。
上記表3から表10に示されている「左回り角度」は、シャフト−スリーブ組み立て体を、グリップ側から見て、左回りに何度回転させたかを示している。
実施例の全てのクラブポジションにおいて、シャフトとスリーブとの周方向相対位置は、共通である。よって、上記表で示された7つのクラブポジションは、一つのシャフト−スリーブ組み立て体によって実現する。例えば、実施例1について言えば、「ニュートラル」、「フック1」、「フック2」、「フック3」、「スライス1」、「スライス2」及び「スライス3」は、上記シャフト−スリーブ組み立て体A1を回転させることのみによって達成される。実施例のゴルフクラブは、フッカーとスライサーの両方に有効であり、優れた調整性を有する。実施例では、シャフト−スリーブ組み立て体を回転させるだけで、7つのクラブポジションが実現している。したがって、調整が極めて容易である。
以上の表に示されるように、実施例は比較例よりも優れている。本発明の優位性は明らかである。
以上説明された発明は、あらゆるゴルフクラブに適用されうる。
2・・・ゴルフクラブ
4・・・ヘッド
6・・・シャフト
8・・・スリーブ
10・・・ネジ
12・・・フェラル
14・・・ヘッド本体
16・・・係合部材
18・・・ホーゼル孔
19・・・通孔
20・・・ソール孔
22・・・ネジの頭部
24・・・ネジの軸部
30・・・シャフト孔
32・・・ネジ孔
s1からs21・・・裁断されたプリプレグシート
t1からt14・・・裁断されたプリプレグシート
r1からr11・・・裁断されたプリプレグシート
Cs1・・・シャフト周方向基準位置
Ch1・・・ヘッド周方向基準位置

Claims (4)

  1. ホーゼル孔を有するヘッドと、シャフトと、着脱機構とを有しており、
    上記着脱機構が、上記ホーゼル孔と上記シャフトとの間に位置するスリーブを有しており、
    上記ヘッドと上記スリーブとの着脱が可能とされており、
    上記着脱機構が、複数のスリーブポジションで、上記シャフトを上記ヘッドの上記ホーゼル孔に固定することを可能としており、
    上記シャフトの軸線が、上記ホーゼル孔の軸線に対して、傾斜角度θ1で傾斜しており、
    上記シャフトが、撓みと連動して捻れが生ずる異方性を有しており、
    接着剤の破壊を伴わずに、上記ヘッドと上記シャフトとの着脱が可能であり、
    上記ヘッドの上記ホーゼル孔と上記スリーブとの間の、周方向における相対的な位置関係が上記スリーブポジションであり、
    上記ヘッドの上記ホーゼル孔と上記シャフトとの間の、周方向における相対的な位置関係がシャフトポジションであるとき、
    上記シャフトポジションと上記スリーブポジションとの組み合わせによって、クラブポジションが決定されており、
    上記シャフトに上記スリーブが固定されて、シャフト−スリーブ組み立て体が形成されており、
    上記複数のスリーブポジションに起因して、単一の上記シャフト−スリーブ組み立て体が、スライサー用の上記クラブポジション及びフッカー用の上記クラブポジションの両方を実現することができ、
    上記傾斜角度θ1が、0.2°以上1.0°以下であるゴルフクラブ。
  2. 上記着脱機構が、上記スリーブと、このスリーブと上記ホーゼル孔との相対回転を規制する回転防止部と、このスリーブと上記ホーゼル孔との軸方向相対移動を規制する抜け防止部とを有しており、
    これら回転防止部及び抜け防止部において、複数の上記スリーブポジションでの固定が可能とされており、この固定の位置に起因して、ロフト角、ライ角及びフック角が調整される請求項1に記載のゴルフクラブ。
  3. 上記シャフトの曲げ捻れ量が、0.5°以上3.0°以下である請求項1又は2に記載のゴルフクラブ。
  4. 上記スリーブが、シャフト孔を有しており、
    上記シャフトが、上記シャフト孔に固定されており、この固定が、接着剤による接着によって達成されており、上記シャフトの外面が、上記シャフト孔の内面に接着されている請求項1から3のいずれかに記載のゴルフクラブ。
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