JP5977691B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
まず、構成を説明する。図1は、本実施例のブレーキ制御装置(以下、装置1という。)の油圧回路構成を示す。装置1は、液圧式のブレーキ装置であり、車輪を駆動する原動機としてエンジンのほか電動モータ(ジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、電動モータ(ジェネレータ)のみを備えた電気自動車等の、電動車両のブレーキシステムに適用される。装置1は、車両の各車輪FL〜RRに設けられたホイルシリンダ8にブレーキ液を供給してブレーキ液圧(ホイルシリンダ液圧)を発生させることで、各車輪FL〜RRに液圧制動力を付与する。装置1は2系統(プライマリP系統及びセカンダリS系統)の油路を有しており、例えばX配管形式のブレーキ配管を採用している。なお、前後配管等、他の配管形式を採用してもよい。以下、P系統に対応して設けられた部材とS系統に対応する部材とを区別する場合は、それぞれの符号の末尾に添字P,Sを付す。
ステップS1では、センサ異常検出部105がいずれかの系統における電流センサ94の異常状態(故障)の有無を検出し、ステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1でいずれの系統においても電流センサ94の故障が検出されなかった場合はステップS3へ進み、ステップS1でいずれかの系統において電流センサ94の故障が検出された場合にステップS4へ進む。
ステップS3では、両遮断弁21P,21Sを通常通り制御する。
ステップS4では、電流センサ94の故障がP系統であるか否かを判断する。P系統の電流センサ94Pの故障であると判断した場合にステップS5へ進み、P系統の電流センサ94Pの故障でない(S系統の電流センサ94Sの故障である)と判断した場合にステップS6へ進む。
ステップS5では、P系統の遮断弁21Pの電流フィードバック制御を、S系統の遮断弁21Sの電流フィードバック制御用の通電量(PWM信号のデューティ比)を基準として、行う。
ステップS6では、S系統の遮断弁21Sの電流フィードバック制御を、P系統の遮断弁21Pの電流フィードバック制御用の通電量(PWM信号のデューティ比)を基準として、行う。
次に、作用を説明する。図3は、液圧制御(例として倍力制御)を行って制動中に遮断弁21の一方(例として第2遮断弁21S)の電流センサ94の故障が発生した場合の動作を示すタイムチャートであり、各液圧及び両遮断弁21P,21Sに係る各パラメータの時間変化を示す。
時刻t1で、運転者がブレーキペダル2の踏込み操作を開始する。また、両遮断弁21P,21Sの電流センサ94は正常である。よって、踏込み操作によりマスタシリンダ圧が上昇すると共に、倍力制御によりマスタシリンダ圧より高いホイルシリンダ液圧が発生する。両液圧の差の増大に応じて、両遮断弁21P,21Sの目標電流値(電流指令)が増大する。実際の電流値(電流センサ値)が目標電流値に追従するように電流フィードバック制御されることから、両電流センサ94P,94Sにより検出される電流センサ値も増大する。また、電流センサ値と目標電流値との偏差の増大に応じて、両遮断弁21P,21Sに対するPWM信号のデューティ比(PWMデューティ比)も増大する。
時刻t2で、運転者がブレーキペダル2の踏込み操作を停止して踏込み量を一定に保持する。これに伴い、上記各値も一定となる。
時刻t3で、S系統の遮断弁21Sの電流センサ94Sの故障が発生する。図3では電流センサ94Sの検出値がゼロ側に張り付いた例を示す。遮断弁21Sの目標電流値(電流指令)に対して電流センサ値が急激に低くなる。電流センサ値と目標電流値との偏差の急激な拡大に応じて、S系統の遮断弁21Sに対するPWMデューティ比が急激に増大しようとする。
時刻t4で、電流センサ94Sの故障が検出される。正常なP系統の遮断弁21PのPWMデューティ比を基準に、ばらつき分を含めた値を加算してS系統の遮断弁21SのPWMデューティ比を算出する。時刻t4から時刻t5まで、S系統の遮断弁21SのPWMデューティ比を上記算出した値まで徐々に減少させる。
時刻t5以後、S系統の遮断弁21Sが上記算出したPWMデューティ比に基づき駆動制御される。これにより、電流センサ94Sの故障後も、遮断弁21Sの通電量が適切な値(発熱量を抑制しつつ閉弁状態を保つことが可能な値)に制御される。
時刻t5以後、ブレーキペダル2の操作終了が検出されるまで、上記制御を継続する。
時刻t1から時刻t5までは図3と同様であるため、説明を省略する。
時刻t6で、運転者がブレーキペダル2を踏戻し始める。踏戻し操作によりマスタシリンダ圧が低下すると共に、倍力制御によりマスタシリンダ圧より高い値に制御されているホイルシリンダ液圧も低下する。両液圧の差の減少に応じて、両遮断弁21P,21Sの目標電流値(電流指令)が減少する。P系統の遮断弁21Pの電流センサ94Pにより検出される電流センサ値は、電流フィードバック制御により減少する。また、電流センサ94Pの電流センサ値と目標電流値との偏差の減少に応じて、P系統の遮断弁21Pに対するPWMデューティ比も減少する。一方、S系統の遮断弁21Sの電流センサ94Sにより検出される電流センサ値はゼロ側に張り付いたままである。P系統の遮断弁21Pに対するPWMデューティ比の減少に応じて、遮断弁21PのPWMデューティ比を基準に算出されるS系統の遮断弁21Sに対するPWMデューティ比も減少する。
時刻t7で、運転者がブレーキペダル2の踏戻し操作を終了してペダルストロークが略ゼロとなる。これに伴い液圧制御が終了し、マスタシリンダ圧及びホイルシリンダ液圧、両遮断弁21P,21Sの目標電流値(電流指令)、両電流センサ94P,94Sにより検出される電流センサ値、並びに遮断弁21Pに対するPWMデューティ比もゼロとなる。また、遮断弁21Sに対するPWMデューティ比がゼロにリセットされる。
時刻t7以後も電流センサ94Sの故障判断は保持される一方、ブレーキペダル2の操作終了が検出された後は、遮断弁21を閉じ方向に制御して行う液圧制御が中止される。
時刻t8で、運転者がブレーキペダル2の踏込み操作を再開し、時刻t9でこの踏込み操作を停止して踏込み量を保持する。上記のように液圧制御が中止されているため、時刻t8以後、遮断弁21に係る各パラメータはゼロのままである。踏力ブレーキにより、ブレーキ操作に応じた(マスタシリンダ圧と略同じ)ホイルシリンダ液圧が発生する。
以下、本実施例の装置1の効果を列挙する。
(1)運転者のブレーキペダル2(ブレーキ操作部材)の操作によりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ3の第1液室32P(第1室)と前左輪FL及び後右輪RR(第1の車輪)に設けられたホイルシリンダ8a,8d(第1ホイルシリンダ)との間を接続するプライマリP系統の第1油路11Pと、マスタシリンダ3の第2液室32S(第2室)と前右輪FR及び後左輪RL(第2の車輪)に設けられたホイルシリンダ8b,8c(第2ホイルシリンダ)との間を接続するセカンダリS系統の第1油路11Sと、プライマリP系統の第1油路11Pであってホイルシリンダ8a,8dとマスタシリンダ3の第1液室32Pの間に設けられた第1遮断弁21Pと、セカンダリS系統の第2油路11Sであってホイルシリンダ8b,8cとマスタシリン3の第2液室32Sの間に設けられた第2遮断弁21Sと、運転者のブレーキ操作量に応じた液圧を発生するように各ホイルシリンダ8に対してブレーキ液を吐出するポンプ7と、第1遮断弁21Pを制御するために用いられる電流センサ94P(第1制御用センサ)と、電流センサ94Pの異常状態を検出するセンサ異常検出部105(第1センサ異常検出部)と、第2遮断弁21Sを制御するために用いられる電流センサ94S(第2制御用センサ)と、電流センサ94Sの異常状態を検出するセンサ異常検出部105(第2センサ異常検出部)と、各遮断弁21に所定量通電し閉じ方向に駆動すると共にポンプ7を駆動してペダルストローク(運転者のブレーキ操作量)に応じたホイルシリンダ液圧を制御する液圧制御部104と、液圧制御部104による制御中にプライマリP系統及びセカンダリS系統のうち一方の系統においてセンサ異常検出部105により異常状態が検出された場合には、他方の系統の遮断弁21の通電量に基づいて上記一方の系統の遮断弁21の通電量を制御する異常時制御部106とを備えた。
よって、液圧制御部104による上記制御を継続し、ホイルシリンダ8とマスタシリンダ3とを連通させることによる制動力低下等を抑制することができる。
よって、電流センサ94に異常が生じた上記一方の系統の遮断弁21をより確実に閉じ方向に制御することができる。
よって、少なくとも当該ブレーキ操作中は、ホイルシリンダ8とマスタシリンダ3とを連通させることによる制動力低下等を抑制することができる。
よって、フェールセーフ性を向上することができる。
以上、本発明を実現するための形態を、実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、ホイルシリンダ液圧を制御するための各アクチュエータの作動方法は実施例のものに限らず、適宜変更可能である。
2 ブレーキペダル(ブレーキ操作部材)
3 マスタシリンダ
32P 第1液室(第1室)
32S 第2液室(第2室)
7 ポンプ
8a,8d ホイルシリンダ(第1ホイルシリンダ)
8b,8c ホイルシリンダ(第2ホイルシリンダ)
11 第1油路
21P 第1遮断弁
21S 第2遮断弁
94P 電流センサ(第1制御用センサ)
94S 電流センサ(第2制御用センサ)
104 液圧制御部
105 センサ異常検出部(第1,第2センサ異常検出部)
106 異常時制御部
107 操作終了検出部
FL 前左輪(第1の車輪)
FR 前右輪(第2の車輪)
RL 後左輪(第2の車輪)
RR 後右輪(第1の車輪)
Claims (2)
- 運転者のブレーキ操作部材の操作によりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダの第1室と第1の車輪に設けられた第1ホイルシリンダとの間を接続するプライマリ系統の油路と、
前記マスタシリンダの第2室と第2の車輪に設けられた第2ホイルシリンダとの間を接続するセカンダリ系統の油路と、
前記プライマリ系統の油路であって前記第1ホイルシリンダと前記マスタシリンダの前記第1室の間に設けられた第1遮断弁と、
前記セカンダリ系統の油路であって前記第2ホイルシリンダと前記マスタシリンダの前記第2室の間に設けられた第2遮断弁と、
運転者のブレーキ操作量に応じた液圧を発生するように前記各ホイルシリンダに対してブレーキ液を吐出するポンプと、
前記第1遮断弁を制御するために用いられる第1制御用センサと、
前記第1制御用センサの異常状態を検出する第1センサ異常検出部と、
前記第2遮断弁を制御するために用いられる第2制御用センサと、
前記第2制御用センサの異常状態を検出する第2センサ異常検出部と、
前記各遮断弁に所定量通電し閉じ方向に駆動すると共に前記ポンプを駆動して運転者のブレーキ操作量に応じたホイルシリンダ液圧を制御する液圧制御部と、
前記液圧制御部による制御中に前記プライマリ系統及び前記セカンダリ系統のうち一方の系統において前記センサ異常検出部により異常状態が検出された場合には、他方の系統の前記遮断弁の通電量に基づいて前記一方の系統の前記遮断弁の通電量を制御する異常時制御部と、
運転者の前記ブレーキ操作部材の操作の終了を検出する操作終了検出部とを備え、
前記操作終了検出部によって前記ブレーキ操作部材の操作終了が検出されるまで前記異常時制御部による制御を継続し、前記ブレーキ操作部材の操作終了が検出された後は前記液圧制御部による制御を中止する
ことを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記各制御用センサは電流センサであって、
前記各遮断弁はPWM信号で駆動されると共に、
前記異常時制御部は、前記液圧制御部による制御中に前記一方の系統において前記センサ異常検出部により異常状態が検出された場合には、前記他方の系統の前記遮断弁を駆動するPWM信号より高いデューティ比で前記一方の系統の前記遮断弁を駆動することを特徴とするブレーキ制御装置。
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