JP5976602B2 - 防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の画像表示装置における画像表示面には、通常、観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するために、表面に凹凸を有する防眩フィルムや最表面に反射防止層を有する反射防止性フィルムが設けられている。
防眩フィルムは、外光を防眩層の凹凸面で散乱させて観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するものである。防眩フィルムは、主に、光透過性基材と、光透過性基材上に設けられた、凹凸面を有する防眩層とを備えている。
防眩層は、通常、バインダ樹脂と、バインダ樹脂中に存在し、かつ凹凸面を形成するための有機微粒子とを含んでいる。
しかしながら、このような防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合には、防眩層の凹凸面により映像光が散乱し、いわゆるギラツキが生じてしまうおそれがある。このような問題に対し、防眩フィルムの内部ヘイズを高めて、ギラツキを抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年、4K2K(水平画素数3840×垂直画素数2160)と呼ばれる水平画素数が3000以上の超高精細な画像表示装置が開発されている。
このような超高精細な画像表示装置においても、上記の画像表示装置と同様に、画像表示面に防眩フィルムが設けられるが、超高精細な画像表示装置においては、今まで以上の輝度や光透過性が求められている。ここで、防眩フィルムの全ヘイズや内部ヘイズを高めると、輝度や光透過率の低下を引き起こすので、超高精細な画像表示装置においては、上記のようにギラツキを抑制するための手段として、防眩フィルムの内部ヘイズを高めるという手段は採用できない。また、防眩フィルムの内部ヘイズを高めると、映像光が防眩フィルム内で拡散して、一部の映像光が迷光となるおそれがあり、この結果、暗室コントラストが低下し、また画像がぼけてしまうおそれもある。
したがって、現在、超高精細な画像表示装置に組み込まれる防眩フィルムとして、全ヘイズおよび内部ヘイズが低く、ギラツキを抑制でき、かつ映り込む像(例えば、観察者や観察者の背景)の輪郭をぼかすことができる防眩フィルムが望まれている。
特開2010−102186号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、全ヘイズおよび内部ヘイズが低く、ギラツキを抑制でき、かつ映り込む像の輪郭をぼかすことができる防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、前記防眩フィルムの表面が凹凸面となっており、前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100−1000)[μm]としたとき、下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とする、防眩フィルムが提供される。
Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 …(1)
0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm …(2)
本発明の他の態様によれば、前記防眩フィルムと、前記防眩フィルムの前記光透過性基材における前記防眩層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光素子とを備えることを特徴とする、偏光板が提供される。
本発明の他の態様によれば、前記防眩フィルム、または前記偏光板を備える、液晶表示パネルが提供される。
本発明の他の態様によれば、前記防眩フィルム、または前記偏光板を備え、かつ水平画素数が3000以上である、画像表示装置が提供される。
本発明の一の態様の防眩フィルム、および他の態様の偏光板、液晶パネル、および画像表示装置によれば、防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100−1000)[μm]としたとき、上記式(1)および式(2)を満たしているので、全ヘイズおよび内部ヘイズが低く、ギラツキを抑制でき、かつ映り込む像の輪郭をぼかすことができる防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図である。 図1の一部を拡大した図である。 第1の実施形態に係る偏光板の概略構成図である。 第1の実施形態に係る液晶パネルの概略構成図である。 第1の実施形態に係る画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。 第2の実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る防眩フィルムについて、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図であり、図2は図1の一部を拡大した図である。なお、本明細書において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「防眩フィルム」には、「防眩シート」や「防眩板」等と呼ばれる部材も含まれる。
≪防眩フィルム≫
図1に示されるように、防眩フィルム10は、光透過性基材11と、光透過性基材11上に設けられ、かつ凹凸面12Aを有する防眩層12とを備えている。防眩フィルム10は、光透過性基材11における防眩層12の界面付近には、図1に示されるように光透過性基材11と、重量平均分子量が1000以下の光重合性モノマーをモノマー単位として含む樹脂とが混在した混在領域11Aが形成されていることが好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。
防眩フィルム10の表面10Aは、凹凸面となっている。本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩層12の凹凸面12Aが防眩フィルム10の表面10Aとなっている。「機能層」とは、防眩フィルムにおいて、何らかの機能を発揮することを意図された層であり、具体的には、例えば、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮するための層が挙げられる。機能層は、単層のみならず、2層以上積層されたものであってもよい。
防眩フィルム10においては、全ヘイズ値が0%以上5%以下となっており、かつ内部ヘイズ値が0%以上5%以下となっている。全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、防眩フィルム全体として測定したときの値である。例えば、本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩フィルム10の全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、光透過性基材11および防眩層12からなる防眩フィルム10を用いて測定された値である。また、例えば、第2の実施形態のように、防眩層上に低屈折率層等の機能層が設けられている場合には、防眩フィルムの全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、光透過性基材、防眩層、および機能層からなる防眩フィルムを用いて測定された値である。
全ヘイズ値および内部ヘイズ値は、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。具体的には、ヘイズメーターを用いて、JIS K7136に従って防眩フィルムの全ヘイズ値を測定する。その後、防眩フィルムの表面に、透明光学粘着層を介してトリアセチルセルロース基材(富士フイルム社製、TD60UL)を貼り付ける。これによって、防眩フィルムの表面の凹凸形状が潰れ、防眩フィルムの表面が平坦になる。そして、この状態で、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定することで内部ヘイズ値を求める。この内部ヘイズは、防眩フィルムにおける表面の凹凸形状を加味しないものである。
防眩フィルム10の全ヘイズ値は1%以下であることが好ましく、0.3%以上0.5%以下であることがより好ましい。内部ヘイズ値は実質的に0%であることが好ましい。ここで、「内部ヘイズ値が実質的に0%である」とは、内部ヘイズ値が完全に0%である場合に限定されず、内部ヘイズ値が0%を超える場合であっても、測定誤差の範囲内であり、内部ヘイズ値がほぼ0%とみなせる範囲(例えば、0.3%以下の内部ヘイズ値)を含む意味である。
防眩フィルム10の全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、内部ヘイズ値が0%以上5%以下である場合には、防眩フィルム10の表面ヘイズ値は0%以上5%以下となっている。防眩フィルム10の表面ヘイズ値は0%以上1%以下が好ましく、0%以上0.3%以下がより好ましい。表面ヘイズ値は、防眩フィルムにおける表面の凹凸形状のみに起因するものであり、全体ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、防眩フィルムにおける表面の凹凸形状のみに起因する表面ヘイズ値が求められる。
防眩フィルム10においては、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの防眩フィルム10の表面10Aの算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの防眩フィルム10の表面10Aの算術平均粗さをRa(100−1000)[μm]としたとき、下記式(1)および式(2)を満たしている。
Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 …(1)
0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm …(2)
上記「長波長カットオフ波長」とは、防眩フィルムの表面における算術平均粗さを求める際に、このカットオフ波長よりも長い波長の凹凸を除外するために設定される波長である。したがって、Ra(100)の測定に際しては、100μmよりも長い波長の凹凸は除外され、Ra(100−1000)の測定に際しては、1000μmよりも長い波長の凹凸は除外される。また、上記「短波長カットオフ波長」とは、防眩フィルムの表面における算術平均粗さを求める際に、このカットオフ波長よりも短い波長を有する凹凸を除外するために設定される波長である。したがって、Ra(100−1000)の測定に際しては、100μmよりも短い波長の凹凸は除外される。
また、上記「防眩フィルムの表面」とは、防眩層上に低屈折率層等の機能層が形成されている場合には機能層の表面を意味し、防眩層上に低屈折率層等の機能層が形成されていない場合には防眩層の表面を意味する。また、上記「機能層の表面」とは、機能層における光透過性基材側の面(機能層の裏面)とは反対側の面を意味し、上記「防眩層の表面」とは、防眩層における光透過性基材側の面(防眩層の裏面)とは反対側の面を意味するものとする。図1に示される防眩フィルム10においては、防眩層12上に低屈折率層が設けられていないので、防眩フィルム10の表面10Aは防眩層12の表面となっている。
本発明者らは、1000μmより長い波長を有する凹凸は防眩フィルムの全体的なうねりを表し、光学的特性とは直接関係なく、100μm〜1000μmの波長を有する凹凸は人間の目に光学的特性として映る領域であり、防眩性は主にこの範囲の波長を有する凹凸によって決まり、また100μm未満の波長を有する凹凸は直接人間の目には見えないものの、凹凸に微細な歪みをもたらし、ギラツキの原因となることを見出した。すなわち、100μm未満の波長を有する凹凸成分が強い程、ギラツキが発生しやすくなる。なお、凹凸の算術平均粗さが大きくなると、防眩性も強くなるが、ギラツキも強くなる傾向がある。そこで、本発明においては、ギラツキを抑制し、かつ画像表示面に映り込む像の輪郭をぼかすために、Ra(100)/Ra(100−1000)の値を0.5以下とし、かつRa(100−1000)の値を0.04μm以上0.12μm以下としている。Ra(100)/Ra(100−1000)の値を0.5以下としたのは、この値が0.5を超えると、Ra(100)の割合が多いため、ギラツキが発生してしまうおそれがあるからである。また、Ra(100−1000)の値を0.04μm以上0.12μm以下としたのは、Ra(100−1000)の値が0.04μm未満であると、防眩性が弱いので、映り込む像の輪郭をぼかすことができなくなり、またRa(100−1000)の値が0.12μmを超えると、防眩性は強くなるものの、ギラツキが発生してしまうからである。なお、JIS B0601−1994には、算術平均粗さを測定する際のカットオフ値が規定されているが、JIS B0601−1994で規定されているカットオフ値は0.08mm等であるので、本発明のカットオフ波長とは全く異なるものである。
防眩フィルム10の表面10AにおけるRa(100)は、ギラツキをより抑制する観点から、下記式(3)を満たすことが好ましい。Ra(100)は0μmであってもよい。
Ra(100)≦0.03μm …(3)
Ra(100−1000)の下限は、0.045μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。Ra(100−1000)の上限は、0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましい。
防眩フィルムの表面におけるRa(100)およびRa(100−1000)の測定は、防眩フィルムの表面形状を測定することにより得られる。表面形状を測定する装置としては、接触式表面粗さ計や非接触式の表面粗さ計(例えば、干渉顕微鏡、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡等)が挙げられる。これらの中でも、測定の簡便性から干渉顕微鏡が好ましい。このような干渉顕微鏡としては、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。
表面形状を測定する際のサンプリング間隔は4μm以下であることが好ましい。サンプリング間隔が4μmより大きいと、ギラツキに影響を与える微細な歪みが正確に見積もることができなくなるおそれがある。測定面積は広い方が好ましく、少なくとも500μm×500μm以上、より好ましくは2mm×2mm以上の領域で測定されるのがよい。
<光透過性基材>
光透過性基材11としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、セルロースアシレート基材、シクロオレフィンポリマー基材、ポリカーボネート基材、アクリレート系ポリマー基材、ポリエステル基材、またはガラス基材が挙げられる。
セルロースアシレート基材としては、例えば、セルローストリアセテート基材、セルロースジアセテート基材が挙げられる。シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリレート系ポリマー基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス等のガラス基材が挙げられる。
これらの中でも、リタデーションに優れ、かつ偏光子との接着が容易であることからセルロースアシレート基材が好ましく、さらにセルロースアシレート基材の中でもトリアセチルセルロース基材(TAC基材)が好ましい。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
リタデーションおよび耐熱性に優れる面からはシクロオレフィンポリマー基材が好ましく、また機械特性および耐熱性の面からはポリエステル基材が好ましい。
光透過性基材11の厚みは、特に限定されないが、5μm以上1000μm以下とすることが可能であり、光透過性基材11の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。光透過性基材11の厚みの上限は薄膜化の観点から80μm以下であることが好ましい。
<混在領域>
混在領域11Aは、上述したように、光透過性基材1と、重量平均分子量が1000以下の光重合性モノマーをモノマー単位として含む樹脂とが混在した領域である。この光重合性モノマーは、防眩層12の後述するバインダ樹脂14にモノマー単位として含まれている重量平均分子量が1000以下の光重合性モノマーと同じものである。
混在領域11Aの厚みは、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。本実施形態においては、防眩層12の後述する凹凸面12Aによって十分に干渉縞の発生を抑制できるので、混在領域11Aの厚みがこのように薄い場合であっても、干渉縞の発生を抑制できる。なお、従来の反射防止フィルムで形成される混在領域の厚みは、3μm以上であるので、混在領域11Aの厚みは従来の反射防止フィルムで形成される混在領域に比べて十分に薄いと言える。また、混在領域11Aを形成することにより、光透過性基材11と防眩層12との密着性をより向上させることができる。なお、上記したように、防眩層12の凹凸面12Aによって十分に干渉縞の発生を抑制できるので、防眩フィルム10にこのような混在領域11Aを形成しなくともよい。このように混在領域を形成しない場合であっても、干渉縞の発生を抑制できるので、例えば、アクリル基材、シクロオレフィンポリマー基材やポリエステル基材等の混在領域の形成が困難な基材であっても、光透過性基材として用いることができる。
<防眩層>
防眩層12は、防眩性を発揮する層である。防眩層12は、防眩性を発揮するとともに、他の機能を発揮するものであってもよい。具体的には、防眩層12は、防眩性を発揮するとともに、例えば、ハードコート性、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮する層であってもよい。
防眩層12が、防眩性の他に、ハードコート性を発揮する層である場合、防眩層12は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する。
防眩層12の表面は、上記したように凹凸面12Aとなっている。「防眩層の表面」とは、防眩層における光透過性基材側の面(防眩層の裏面)とは反対側の面を意味するものとする。
本実施形態では、防眩フィルム10の表面10Aは防眩層12の凹凸面12Aとなっているので、防眩フィルム10の表面10Aが上記式(1)および式(2)を満たすか否かは、防眩層12の凹凸面12Aの凹凸形状によって決まる。なお、以下、防眩フィルムが上記式(1)および式(2)を満たすような防眩層の凹凸面を「特異な凹凸面」と称する。
特異な凹凸面は、凹凸の数、凹凸の大きさ、または凹凸の傾斜角等を適宜調整することにより形成することができるが、これらを調整する方法としては、例えば、(A)硬化後バインダ樹脂となる光重合性化合物および微粒子を含む防眩層用組成物を用いて凹凸面を形成する方法、(B)金型を用いた転写方法によって凹凸面を形成する方法、(C)サンドブラストにより防眩層の表面を荒すことによって凹凸面を形成する方法、または(D)エンボスロールにより防眩層の表面に凹凸を付与することによって凹凸面を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、製造が容易であることから、上記(A)の方法が好ましい。
上記(A)の方法においては、光重合性化合物が重合(架橋)して、バインダ樹脂となる際に、微粒子が存在しない部分においては、光重合性化合物が硬化収縮を起こすため全体的に収縮する。これに対し、微粒子が存在する部分においては、微粒子は硬化収縮を起こさないため、微粒子の上下に存在する光重合性化合物のみ硬化収縮を起こす。これにより、微粒子が存在する部分は微粒子が存在しない部分に比べて防眩層の膜厚が厚くなるので、防眩層の表面が凹凸面となる。したがって、微粒子の種類や粒径および光重合性化合物の種類を適宜選択し、塗膜形成条件を調整することにより、特異な凹凸面を有する防眩層を形成することができる。
防眩層12は、図2に示されるようにバインダ樹脂14および微粒子15を含んでおり、上記(A)の方法によって形成されている。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)を含むものである。バインダ樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。光重合性化合物は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光重合性化合物を重合する際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。
光重合性化合物としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性ポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光重合性化合物としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。なお、混在領域11Aを形成する場合には、光重合性化合物として少なくとも光重合性モノマーを含ませる。
光重合性モノマー
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000以下のものである。光重合性モノマーの重量平均分子量が1000以下であることによって、光透過性基材11に浸透する溶剤とともに光透過性基材11に光重合性モノマーを浸透させることが可能となる。これにより、光透過性基材11における防眩層12の界面付近に、光透過性基材11と防眩層12との屈折率を緩和するための、光透過性基材11とこの光重合性モノマーをモノマー単位として含む樹脂とが混在した混在領域11Aを形成することができる。なお、このような光重合性モノマーを、1種類のみならず、複数種類用いてもよい。
光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高い防眩層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
光重合性オリゴマー
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000を超え10000以下のものである。
光重合性オリゴマーとしては、光重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性ポリマー
光重合性ポリマーは、重量平均分子量が10000を超えるものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる防眩フィルムの外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、防眩層12を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
(微粒子)
微粒子は、無機微粒子または有機微粒子のいずれであってもよいが、これらの中でも、例えば、シリカ(SiO)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称;ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子が好ましい。無機酸化物微粒子は、防眩層中で凝集体を形成することが可能となり、この凝集体の凝集度合により特異な凹凸面を形成することが可能となる。
有機微粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
有機微粒子は、上述した硬化収縮において、微粒子が有する硬化収縮に対する抵抗力を適度に調整されていることが好ましい。この収縮に対する抵抗力を調整するには、事前に、三次元架橋の程度を変えて作成した、硬さの異なる有機微粒子を含む防眩フィルムを複数作成し、防眩フィルムの表面における凹凸形状を評価することによって、特異な凹凸面となるに適した架橋度合いを選定しておくことが好ましい。
微粒子として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物粒子は表面処理が施されていることが好ましい。無機酸化物微粒子に表面処理を施すことにより、微粒子の機能層12中での分布を好適に制御することができ、また微粒子自体の耐薬品性および耐鹸化性の向上を図ることもできる。
表面処理としては、微粒子の表面を疎水性にする疎水化処理が好ましい。このような疎水化処理は、微粒子の表面にシラン類やシラザン類等の表面処理剤を化学的に反応させることにより、得ることができる。具体的な表面処理剤としては、例えば、ジメチルジクロロシランやシリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ヘキサデシルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。微粒子が無機酸化物微粒子の場合、無機酸化物微粒子の表面には水酸基が存在しているが、上記のような疎水化処理を施すことにより、無機酸化物微粒子の表面に存在する水酸基が少なくなり、無機酸化物微粒子のBET法により測定される比表面積が小さくなるとともに、無機酸化物微粒子が過度に凝集することを抑制でき、特異な凹凸面を有する機能層を形成することができる。
微粒子として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子は非晶質であることが好ましい。これは、無機酸化物粒子が結晶性である場合、その結晶構造中に含まれる格子欠陥により、無機酸化物微粒子のルイス酸塩が強くなってしまい、無機酸化物微粒子の過度の凝集を制御できなくなるおそれがあるからである。
防眩層に対する微粒子の含有量は特に限定されないが、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。微粒子の含有量が0.1質量%以上となっているので、特異な凹凸面をより確実に形成することができ、また微粒子の含有量が5.0質量%以下となっているので、凝集体が過度に生じることもなく、内部拡散および/または機能層の表面に大きな凹凸が生じることを抑制でき、これにより白濁感を抑制できる。微粒子の含有量の下限は0.5質量%以上であることがより好ましく、微粒子の含有量の上限は3.0質量%以下であることがより好ましい。
微粒子は、単粒子状態での形状が球状であることが好ましい。微粒子の単粒子がこのような球状であることにより、光学フィルムを画像表示装置の画像表示面に配置したときに、コントラストに優れた画像を得ることができる。ここで、「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が含まれるが、いわゆる不定形のものは含まれない意味である。
微粒子として有機微粒子を用いる場合、屈折率の異なる樹脂の共重合比率を変えることでバインダ樹脂との屈折率差を小さく、例えば、0.01未満とすることが、微粒子による光の拡散を抑制できる点で好ましい。有機微粒子の平均一次粒径は8.0μm未満であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましい。
図2に示されている防眩層12は、上記(A)の方法の中でも、緩やかな凝集体を形成する微粒子15を用いて形成されたものである。「緩やかな凝集体」とは、微粒子の凝集体が塊状ではなく、一次粒子が連なることによって形成された屈曲部15Aと、屈曲部15Aで挟まれた内側領域15Bとを含む構造を有する凝集体を意味する。ここで、本明細書においては、「屈曲部」とは、湾曲部をも含む概念である。屈曲部15Aを有する形状としては、例えば、V字状、U字状、円弧状、C字状、糸毬状、籠状等が挙げられる。屈曲部15Aの両端は、閉じていてもよく、例えば、微粒子15は、屈曲部15Aを有する環状構造であってもよい。
屈曲部15Aは、一次粒子が連なることによって形成され、かつ屈曲している1本の微粒子の凝集体から構成されていてもよいが、一次粒子が連なることによって形成された幹部と、幹部から分岐し、かつ一次粒子が連なることによって形成された枝部とによって構成されていてもよく、また幹部から分岐し、かつ幹部において連結した2本の枝部によって構成されていてもよい。上記「幹部」とは、微粒子の凝集体において最も長い部分である。
内側領域15Bはバインダ樹脂14で埋められている。屈曲部15Aは、内側領域15Bを防眩層12の厚み方向から挟むように存在していることが好ましい。
塊状に凝集している凝集体は、硬化後にバインダ樹脂となる光重合性化合物の硬化収縮(重合収縮)に際して単一の固体として作用するので、防眩層の凹凸面は凝集体の形状に対応する。これに対し、微粒子15が緩やかに凝集した凝集体は、屈曲部15Aと、屈曲部15Aによって挟まれた内側領域15Bとを有しているので、硬化収縮に際して緩衝作用を有する固体として作用する。したがって、微粒子15が緩やかに凝集した凝集体は硬化収縮の際に、容易に、かつ、均一性を持って潰れる。これにより、凹凸面12Aの形状は、微粒子が塊状に凝集している場合に比べて緩やかであり、また、一部に大きな凹凸が生じにくくなる。
緩やかな凝集体を形成する微粒子としては、例えば、平均一次粒径が1nm以上100nm以下の無機酸化物微粒子が好ましい。微粒子の平均一次粒径が1nm以上となっているので、特異な凹凸面を有する防眩層をより容易に形成することができ、また平均一次粒径が100nm以下となっているので、微粒子による光の拡散を抑制でき、優れた暗室コントラストを得ることができる。微粒子の平均一次粒径の下限は5nm以上であることがより好ましく、微粒子の平均一次粒径の上限は50nm以下であることがより好ましい。なお、微粒子の平均一次粒径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて測定される値である。
緩やかな凝集体を形成する微粒子として無機酸化物微粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子の凝集体の平均粒子径は、100nm以上2.0μm以下であることが好ましい。100nm以上であれば、容易に特異な凹凸面を形成することができ、また2.0μm以下であれば、微粒子の凝集体による光の拡散を抑制でき、暗室コントラストに優れた光学フィルムの画像像表示装置を得ることができる。微粒子の凝集体の平均粒子径は、下限が200nm以上であることが好ましく、上限が1.5μm以下であることが好ましい。
無機酸化物微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)から無機酸化物微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中の無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個の無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。なお、上記「無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径」は、無機酸化物微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、この2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
緩やかな凝集体を形成する微粒子として無機酸化物微粒子を用いる場合、防眩層の凹凸面における凹凸は、無機酸化物微粒子のみに起因して形成されていることが好ましい。「防眩層の凹凸面における凹凸が無機酸化物微粒子のみに起因して形成されている」とは、防眩層の凹凸面における凹凸が、無機酸化物微粒子の他に、無機酸化物微粒子以外の微粒子に起因して形成されている場合は実質的に含まれないという意味である。ここでいう、「実質的に含まれない」とは、防眩層の凹凸面における凹凸を形成しないような微粒子であるか、凹凸を形成するとしても防眩性に影響しないような僅かな量であれば、防眩層は、無機酸化物微粒子以外の他の微粒子を含んでいてもよいことを意味する。
無機酸化物微粒子の中でも、緩やかな凝集体を形成し、容易に特異な凹凸面を形成することができる観点から、フュームドシリカが特に好ましい。フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカであり、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、四塩化ケイ素(SiCl)等のケイ素化合物を酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。フュームドシリカの市販品としては、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R805等が挙げられる。
フュームドシリカには、親水性を示すものと、疎水性を示すものがあるが、これらの中でも、水分吸収量が少なくなり、機能層用組成物中に分散し易くなる観点から、疎水性を示すものが好ましい。疎水性のフュームドシリカは、フュームドシリカの表面に存在するシラノール基に上記のような表面処理剤を化学的に反応させることにより得ることができる。上記のような凝集体を容易に得るという観点からは、フュームドシリカはオクチルシラン処理されていることが最も好ましい。
フュームドシリカのBET比表面積は、100m/g以上200m/g以下が好ましい。フュームドシリカのBET比表面積を100m/g以上とすることにより、フュームドシリカが分散しすぎず、適度な凝集体を形成させやすくなり、またフュームドシリカのBET比表面積が200m/g以下とすることにより、フュームドシリカが過剰に大きな凝集体を形成しにくくなる。フュームドシリカのBET比表面積の下限は、より好ましくは120m/gであり、さらに好ましくは140m/gである。フュームドシリカのBET比表面積の上限は、より好ましくは180m/gであり、さらに好ましくは165m/gである。
このような防眩層12は、例えば、以下の方法によって形成することができる。まず、光透過性基材11の表面に、以下の防眩層用組成物を塗布する。防眩層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
防眩層用組成物は、少なくとも、上記光重合性化合物、上記微粒子を含むものである。その他、必要に応じて、防眩層用組成物に、上記熱可塑性樹脂、上記熱硬化性樹脂、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、防眩層用組成物には、防眩層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
(溶剤)
溶剤は、上記防眩層用組成物を塗布しやすくするために粘度を調整する目的や、蒸発速度や微粒子に対する分散性を調整して、防眩層形成時における微粒子の凝集度合を調整して特異な凹凸面を形成させやすくする目的で使用されうる。溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
また、図1に示されるように、光透過性基材11における防眩層12との界面付近に混在領域11Aを形成する場合には、溶媒として、光透過性基材11に対して浸透性が高く、光透過性基材11を溶解または膨潤させる浸透性溶剤を含むものを用いるとともに、光重合性化合物として、少なくとも重量平均分子量が1000以下の光重合性モノマーを含むものを用いる。浸透性溶剤および光重合性モノマーを用いることにより、光透過性基材11に浸透性溶剤のみならず、光重合性モノマーも浸透するので、光透過性基材11における防眩層12との界面付近に光透過性基材11と、光重合性モノマーをモノマー単位として含む樹脂とが混在した混在領域11Aを形成できる。
浸透性溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、フェノール類(フェノール、オルトクロロフェノール)等が挙げられる。また、これらの混合物であってもよい。光透過性基材としてトリアセチルセルロース基材を用いる場合にあっては、これらの中でも、浸透性溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、また光透過性基材としてポリエステル基材を用いる場合にあっては、オルトクロロフェノールが好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生して光重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、上記バインダ樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
防眩層用組成物における重合開始剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート性能が充分に保つことができ、かつ硬化阻害を抑制できる。
防眩層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
(レベリング剤)
レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、防眩層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する防眩層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
ベナードセル構造は、防眩層の表面の凹凸が大きくなりすぎてしまうおそれがある。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない防眩層が得られるだけでなく、防眩層の表面の凹凸形状の調整も容易となる。
防眩層用組成物の調製方法としては、各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
光透過性基材11の表面に、防眩層用組成物を塗布した後、塗膜状の防眩層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で防眩層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで、溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、微粒子の分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって微粒子の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで微粒子の分布状態を所望の状態に調整することができる。
また、防眩層用組成物を乾燥させると、光透過性基材に浸透した浸透性溶剤は蒸発するが、光重合性化合物は光透過性基材中に残存する。
その後、塗膜状の防眩層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより防眩層用組成物を硬化させて、防眩層12を形成するとともに、混在領域11Aを形成する。
防眩層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
なお、バインダ樹脂を形成する材料として、光重合性化合物と溶剤乾燥型樹脂とを用いることによっても、特異な凹凸面を有する防眩層を形成することができる。具体的には、例えば、光重合性化合物、溶剤乾燥型樹脂、および微粒子を含む防眩層用組成物を用いて、上記と同様の方法により光透過性基材上に防眩層用組成物の塗膜を形成し、上記と同様に防眩層用組成物を硬化させる。バインダ樹脂を形成する材料として、光重合性化合物と溶剤乾燥型樹脂とを併用した場合、光重合性化合物のみを用いた場合に比べて粘度を上昇させることができ、また硬化収縮(重合収縮)を少なくすることができるので、乾燥時および硬化時に、防眩層の凹凸面が微粒子の形状に追随することなく形成され、特異な凹凸面を形成することができる。ただし、防眩層の凹凸面の凹凸形状は、防眩層の膜厚等の影響を受けるので、このような方法で防眩層を形成する場合であっても、防眩層の膜厚等を適宜調整する必要があることは言うまでもない。
また、本実施形態においては、防眩層12は1層構造のものであるが、上記式(1)および式(2)を満たせば、防眩層は、2層以上の多層構造となっていてもよい。具体的には、防眩層は、表面が凹凸面となった下地凹凸層と、下地凹凸層上に形成された表面調整層とからなる2層構造となっていてもよい。下地凹凸層は、防眩層12であってもよい。表面調整層は、下地凹凸層の表面に存在する微細な凹凸を埋めて、滑らかな凹凸面を得るため、および/または凹凸層の表面に存在する凹凸の間隔、大きさ等を調整するための層である。表面調整層は表面が凹凸面となっており、表面調整層の凹凸面が特異な凹凸面となっている。ただし、防眩層が多層構造の場合には、製造工程が複雑となり、また製造工程の管理が1層構造の場合に比べて困難となるおそれがあるので、防眩層は1層構造が好ましい。
表面調整層の膜厚は、凹凸を調整する観点から、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。表面調整層の膜厚の上限は、12μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。表面調整層の膜厚の下限は、3μm以上であることが好ましい。
下地凹凸層および表面調整層からなる防眩層は、防眩層用組成物として、下地凹凸層用組成物および表面調整層用組成物を用いて、以下の方法によって形成することが可能である。
下地凹凸層用組成物としては、上記防眩層用組成物の欄で説明した防眩層用組成物と同様の組成物を用いることができる。また、表面調整層用組成物としては、上記バインダ樹脂の欄で説明した光重合性化合物と同様の光重合性化合物を少なくとも含む組成物を用いることができる。表面調整層用組成物は、光重合性化合物の他、上記防眩層用組成物の欄で説明したレベリング剤や溶剤と同様のレベリング剤や溶剤等が含まれていてもよい。
下地凹凸層および表面調整層からなる防眩層を形成する際には、まず、透過性基材上に下地凹凸層用組成物を塗布して、光透過性基材上に下地凹凸層用組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜を乾燥した後に、塗膜に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより下地凹凸層用組成物を硬化させて、下地凹凸層を形成する。その後、下地凹凸層上に、表面調整層用組成物を塗布し、表面調整層用組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜を乾燥した後、塗膜に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより表面調整層用組成物を硬化させて、表面調整層を形成する。これにより、緩やかな凝集体を形成する微粒子を用いなくとも、特異な凹凸面を有する防眩層を形成することができる。ただし、防眩層の凹凸面の凹凸形状は、塗膜の乾燥条件および下地凹凸層および表面調整層の膜厚等によっても影響を受けるので、このような方法で防眩層を形成する場合であっても、塗膜の乾燥条件および下地凹凸層および表面調整層の膜厚等を適宜調整する必要があることは言うまでもない。
≪防眩フィルムの物性≫
防眩フィルム10においては、0.125mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過像鮮明度をC(0.125)とし、0.25mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過像鮮明度をC(0.25)としたとき、下記式(4)および(5)を満たしていることが好ましい。
C(0.25)−C(0.125)≧2% …(4)
C(0.125)≧65% …(5)
「防眩フィルムの透過像鮮明度」とは、防眩フィルム全体として測定された透過像鮮明度を意味する。本実施形態においては、防眩層12上に低屈折率層等の機能層が設けられていないので、防眩フィルム10の透過像鮮明度は、光透過性基材11および防眩層12からなる防眩フィルム10を用いて測定された透過像鮮明度である。また、例えば、第2の実施形態のように、防眩層上に低屈折率層等の機能層が設けられている場合には、防眩フィルムの透過像鮮明度は、光透過性基材、防眩層、および機能層からなる防眩フィルムを用いて測定された透過像鮮明度である。
C(0.25)の値とC(0.125)の値との差は3%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましい。C(0.125)の値は、75%以上であることが好ましい。C(0.125)の値は、防眩性を担保する上で、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。
上記透過像鮮明度は、JIS K7374の像鮮明度の透過法に準拠した透過像鮮明度測定装置によって測定することができる。このような測定装置としては、スガ試験機社製の写像性測定器ICM−1T等が挙げられる。
防眩フィルム10は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。全光線透過率が85%以上であると、防眩フィルム10を画像表示装置の表面に装着した場合において、色再現性や視認性をより向上させることができる。全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7361に準拠した方法により測定することができる。
防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面10Aを構成する凹凸の平均間隔Smが0.1mm以上0.8mm以下となっていることが好ましく、0.3mm以上0.6mm以下となっていることがより好ましい。防眩フィルムの表面においては、この表面を構成する凹凸の平均傾斜角θaが0.01°以上0.1°以下となっていることが好ましく、0.03°以上0.08°以下となっていることがより好ましい。
防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面10Aを構成する凹凸の最大高さ粗さRyが0.1μm以上0.8μm以下となっていることが好ましく、0.3μm以上0.6μm以下となっていることがより好ましい。防眩フィルム10の表面10Aにおいては、この表面10Aを構成する凹凸の10点平均粗さRzが0.1μm以上0.7μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上0.5μm以下となっていることがより好ましい。
上記「Sm」、「Ry」および「Rz」の定義は、JIS B0601−1994に従うものとする。「θa」の定義は、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。具体的には、θaは下記式(6)で表される。
θa=tan−1Δa …(6)
式中、Δaは傾斜を縦横比率で表したものであり、各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和を基準長さで割った値である。
Sm、θa、Ry、Rzは、例えば、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定を行うことができる。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))
・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
本実施形態によれば、防眩フィルム10の表面10AにおけるRa(100)およびRa(100−1000)が、上記式(1)および式(2)を満たしているので、防眩フィルム10が、0%以上5%以下という低い全ヘイズを有し、かつ0%以上5%以下という低い内部ヘイズを有していたとしても、上述した理由から、ギラツキを抑制することができ、かつ映り込む像の輪郭をぼかすことができる。
本実施形態によれば、0.125mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過像鮮明度をC(0.125)とし、0.25mm幅の光学くしを用いて測定される防眩フィルム10の透過像鮮明度をC(0.25)としたとき、防眩フィルム10が、上記式(4)および式(5)を満たしている場合には、よりギラツキを抑制することができる。
微粒子として、平均一次粒径が1nm以上100nm以下の無機酸化物微粒子(例えば、フュームドシリカ)を用いて、防眩層12を形成した場合には、より低い全ヘイズ値(例えば、1%以下の全ヘイズ値)およびより低い内部ヘイズ値(例えば、実質的に0%の内部ヘイズ値)を有する防眩フィルム10を得ることができる。すなわち、防眩フィルムの全ヘイズおよび内部ヘイズは、防眩フィルムを透過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から2.5度以上逸れた透過光の割合であるので、入射光から2.5度以上逸れた透過光の割合を低下させることができれば、全体ヘイズ値および内部ヘイズは低くなる。一方、平均一次粒径が100nm以下の無機酸化物微粒子が、防眩層12中においては塊状に凝集せずに、緩やかな凝集体を形成するので、防眩層12を透過する光は防眩層12中において拡散しにくい。したがって、平均一次粒径が1nm以上100nm以下の無機酸化物微粒子を用いて、防眩層12を形成した場合には、入射光から2.5度以上逸れた透過光の発生を抑制することができ、これにより、全ヘイズ値および内部ヘイズ値がより低い防眩フィルム10を得ることができる。
防眩層12の凹凸面12Aにおける凹凸を無機酸化物微粒子のみに起因して形成した場合には、防眩性を得ることができる緩やかで均一な凹凸を有する凹凸面12Aを形成しやすくなる。そのため、全ヘイズ値および内部ヘイズ値が低く、かつギラツキをさらに抑制できる防眩フィルム10を得ることができる。
本実施形態によれば、防眩フィルム10は、全ヘイズ値が0%以上5%以下となっており、かつ内部ヘイズ値が0%以上5%以下となっているので、輝度や光透過性の低下を抑制できる。また、防眩フィルム10の内部における映像光の拡散を抑制できるので、一部の映像光が迷光となることもなく、その結果、暗室コントラストが低下するおそれもなく、また画像がぼけてしまうおそれもない。これにより、防眩フィルム10を、4K2K(水平画素数3840×垂直画素数2160)のような水平画素数が3000以上の超高精細な画像表示装置に組み込んで使用することができる。
本実施形態によれば、防眩フィルム10が凹凸面12Aを有する防眩層12を備えているので、光透過性基材11と防眩層12との界面で反射する光と、防眩層12の凹凸面12Aで反射する光との干渉を抑制できる。これにより、干渉縞の発生を抑制できる。また、混在領域11Aを形成した場合には、光透過性基材11と防眩層12との界面での反射を抑制できるので、干渉縞の発生をより抑制できる。
防眩層12の凹凸面12Aにおける凹凸を無機酸化物微粒子のみに起因して形成した場合、凹凸面12Aを構成する凹凸の傾斜角度が大きくならないようにすることも容易となる。これにより、外光の過度な拡散を生ずることもないので、明室コントラストの低下を抑制できる。また、映像光が迷光となることも防止することができるので、良好な暗室コントラストをも得ることができる。さらに、適度な正反射成分を有するので、動画像を表示したとき、画像の照りや輝きが増し、躍動感を得ることができる。これにより、優れたコントラストと躍動感とを兼ね備えた黒彩感を得ることができる。
なお、上記式(1)および(2)を満たす防眩フィルムによって、ギラツキの改善方法を提供することも可能である。
≪偏光板≫
防眩フィルム10は、例えば、偏光板に組み込んで使用することができる。図3は本実施形態に係る防眩フィルムを組み込んだ偏光板の概略構成図である。図3に示されるように偏光板20は、防眩フィルム10と、偏光素子21と、保護フィルム22とを備えている。偏光素子21は、光透過性基材11における防眩層12が形成されている面とは反対側の面に形成されている。保護フィルム22は、偏光素子21の防眩フィルム10が設けられている面とは反対側の面に設けられている。保護フィルム22は位相差フィルムであってもよい。
偏光素子21としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等が挙げられる。防眩フィルム10と偏光素子21とを積層する際には、予め光透過性基材11に鹸化処理を施すことが好ましい。鹸化処理を施すことによって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
≪液晶パネル≫
防眩フィルム10や偏光板20は、液晶パネルに組み込んで使用することができる。図4は本実施形態に係る防眩フィルムを組み込んだ液晶パネルの概略構成図である。
図4に示される液晶パネル30は、光源側(バックライトユニット側)から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等の保護フィルム31、偏光素子32、位相差フィルム33、接着剤層34、液晶セル35、接着剤層36、位相差フィルム37、偏光素子21、防眩フィルム10の順に積層された構造を有している。液晶セル35は、2枚のガラス基材間に、液晶層、配向膜、電極層、カラーフィルタ等を配置したものである。
位相差フィルム33、37としては、トリアセチルセルロースフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。位相差フィルム37は、保護フィルム22と同一であってもよい。接着剤層34、36を構成する接着剤としては、感圧接着剤(PSA)が挙げられる。
また、図4に示される液晶パネル30において、保護フィルム31を、防眩フィルム10に代えることも可能である。この場合、保護フィルム31の代わりの防眩フィルム10は、防眩層12の凹凸面12Aが光源側となるように配置される。
≪画像表示装置≫
防眩フィルム10、偏光板20、液晶パネル30は、例えば、4K2K(水平画素数3840×垂直画素数2160)のような水平画素数が3000以上の超高精細な画像表示装置に組み込んで使用することができる。画像表示装置としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー等が挙げられる。図5は本実施形態に係る防眩フィルムを組み込んだ画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。
図5に示される画像表示装置40は、水平画素数が3000以上の液晶ディスプレイである。画像表示装置40は、バックライトユニット41と、バックライトユニット41よりも観察者側に配置された、防眩フィルム10を備える液晶パネル30とから構成されている。バックライトユニット41としては、公知のバックライトユニットが使用できる。
図5に示される画像表示装置40において、保護フィルム31を、防眩フィルム10に代えることも可能である。この場合、保護フィルム31の代わりの防眩フィルム10は、防眩層12の凹凸面12Aが光源側となるように配置される。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る防眩フィルムについて、図面を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と重複する内容については、特記しない限り、省略するものとする。図6は本実施形態に係る防眩フィルムの概略構成図である。
≪防眩フィルム≫
図6に示されるように、防眩フィルム50は、少なくとも、光透過性基材51と、光透過性基材51上に設けられ、かつ凹凸面52Aを有する防眩層52と、防眩層52上に設けられた機能層53とを備えている。光透過性基材51は第1の実施形態で説明した光透過性基材11と同様のものであるので、本実施形態では説明を省略するものとする。なお、光透過性基材51における防眩層52の界面付近には、図6に示されるように光透過性基材51と防眩層52のバインダ樹脂の成分とが混在した混在領域51Aが形成されていることが好ましい。
防眩フィルム50の表面50Aは、凹凸面となっている。本実施形態においては、防眩層52上に機能層53が設けられているので、機能層53の表面53Aが防眩フィルム50の表面50Aとなっている。
防眩フィルム50においては、全ヘイズ値が0%以上5%以下となっており、かつ内部ヘイズ値が0%以上5%以下となっている。防眩フィルム50の全ヘイズ値は1%以下であることが好ましく、0.3%以上0.5%以下であることがより好ましい。内部ヘイズ値は実質的に0%であることが好ましい。
防眩フィルム50の全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、内部ヘイズ値が0%以上5%以下である場合には、防眩フィルム50の表面ヘイズ値は0%以上5%以下となっている。防眩フィルム50の表面ヘイズ値は0%以上1%以下が好ましく、0%以上0.3%以下がより好ましい。
防眩フィルム50においては、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの防眩フィルム50の表面50Aの算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの防眩フィルム50の表面50Aの算術平均粗さをRa(100−1000)[μm]としたとき、下記式(1)および式(2)を満たしている。
Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 …(1)
0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm …(2)
防眩フィルム50の表面50AにおけるRa(100)は、ギラツキをより抑制する観点から、下記式(3)を満たすことが好ましい。Ra(100)は0μmであってもよい。
Ra(100)≦0.03μm …(3)
Ra(100−1000)の下限は、0.045μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。Ra(100−1000)の上限は、0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましい。
本実施形態においては、防眩フィルム50の表面50Aにおける凹凸形状が上記(1)および(2)を満たしていれば、防眩フィルム50の表面50Aにおける凹凸形状と防眩層52の凹凸面52Aにおける凹凸形状は異なっていてもよい。ここで、機能層53として、低屈折率層を用いた場合には、低屈折率層は膜厚が薄いため、低屈折率層の表面においては、防眩層の凹凸面における凹凸形状がほぼそのまま維持される。したがって、防眩フィルム50の表面50A(機能層53の表面53A)における凹凸形状は、実質的に防眩層52の凹凸面52Aにおける凹凸形状となっている。以下、機能層53として、低屈折率層を用いた場合について説明する。
防眩フィルム50は、上記防眩フィルムの物性の欄で説明した物性と同様の物性を有していることが好ましい。
<防眩層>
本実施形態においては、防眩層52は第1の実施形態で説明した防眩層12と同様のものであるので、本実施形態では説明を省略するものとする。
<低屈折率層>
低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が防眩フィルムの表面にて反射する際に、その反射率を低下させるためのものである。低屈折率層は防眩層よりも低い屈折率を有する。具体的には、例えば、低屈折率は、1.45以下の屈折率を有することが好ましく、1.42以下の屈折率を有することがより好ましい。
低屈折率層の厚みは、限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。低屈折率層の厚みd(nm)は、下記式(7)を満たすものが好ましい。
=mλ/(4n) …(7)
上記式中、nは低屈折率層の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、好ましくは1であり、λは波長であり、好ましくは480nm以上580nm以下の範囲の値である。
低屈折率層は、低反射率化の観点から、下記式(8)を満たすものが好ましい。
120<n<145 …(8)
低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質の薄膜等のいずれかで構成することが可能である。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述した防眩層を構成するバインダ樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、シリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、光重合性官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
光重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等もある。
上記熱硬化する極性基として好ましいのは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカ等の無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。
上記光重合性官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
フッ素系樹脂としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。これらの中でも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
更には、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアネート基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、上記したフッ素原子を持つ重合性化合物や重合体とともに、上記防眩層12に記載したような各バインダ樹脂を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
低屈折率層の形成においては、上述した材料を添加してなる低屈折率層用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5mPa・s(25℃)、好ましくは0.7〜3mPa・s(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止層を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ、密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
低屈折率層用組成物の硬化手段は、第1の実施形態に係る防眩層12で説明したものと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
本実施形態によれば、防眩フィルム10の表面10AにおけるRa(100)およびRa(100−1000)が、上記式(1)および式(2)を満たしているので、防眩フィルム50が、0%以上5%以下という低い全ヘイズを有し、かつ0%以上5%以下という低い内部ヘイズを有していたとしても、上述した理由から、ギラツキを抑制することができ、かつ映り込む像の輪郭をぼかすことができる。
本実施形態によれば、防眩層52上に、機能層53として低屈折率層を形成した場合には、防眩フィルム50における外光反射率を低下させることができる。外光反射率が低下するので、相対的に防眩フィルム50の光透過率が上昇し、これにより防眩フィルム50における光透過率を向上させることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<防眩層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、防眩層用組成物を得た。
(防眩層用組成物1)
・シリカ微粒子(オクチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.5質量部
・シリカ微粒子(メチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.2質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:70質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
(防眩層用組成物2)
・シリカ微粒子(オクチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.7質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:70質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
(防眩層用組成物3)
・球状アクリル=スチレン共重合ビーズ(屈折率1.52、平均一次粒子径5μm、積水化成品社製):4質量部
・イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(製品名「M−215」、東亜合成社製):50質量部
・PMMA樹脂(溶剤乾燥型樹脂、分子量75,000、三菱レイヨン社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):3質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:70質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
(防眩層用組成物4)
(1)下地凹凸層用組成物
・球状アクリル=スチレン共重合ビーズ(屈折率1.52、平均一次粒子径5μm、積水化成品社製):8質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.015質量部
・トルエン:70質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
(2)表面調整層用組成物
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.035質量部
・トルエン:110質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
(防眩層用組成物5)
・シリカ微粒子(オクチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.5質量部
・シリカ微粒子(メチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.2質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:90質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:20質量部
(防眩層用組成物6)
・シリカ微粒子(オクチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.7質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:90質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:20質量部
(防眩層用組成物7)
(1)下地凹凸層用組成物
・球状アクリル=スチレン共重合ビーズ(屈折率1.52、平均一次粒子径5μm、積水化成品社製):12質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.015質量部
・トルエン:70質量部
・イソプロピルアルコール:40質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
(2)表面調整層用組成物
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製):50質量部
・ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製):50質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.035質量部
・トルエン:110質量部
・シクロヘキサノン:40質量部
<低屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、低屈折率層用組成物を得た。
(低屈折率層用組成物)
・中空シリカ微粒子(中空シリカ微粒子の固形分:20質量%、溶液:メチルイソブチルケトン、平均粒径:50nm):40質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製):10質量部
・重合開始剤(イルガキュア127;BASFジャパン社製):0.35質量部
・変性シリコーンオイル(X22164E;信越化学工業社製):0.5質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):320質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):161質量部
<実施例1>
光透過性基材としての厚さ60μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム(富士フイルム社製、TD60UL)を準備し、トリアセチルセルロース樹脂フィルムの片面に、防眩層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.m/sの流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、4μm厚み(硬化時)の防眩層を形成し、実施例1に係る防眩フィルムを作製した。
<実施例2>
実施例2においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例3においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<実施例4>
実施例4においては、光透過性基材としての厚さ60μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム(富士フイルム社製、TD60UL)を準備し、トリアセチルセルロース樹脂フィルムの片面に、防眩層用組成物4の下地凹凸層用組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、1.0m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が50mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、3μm厚み(硬化時)の下地凹凸層を形成した。さらに、下地凹凸層に防眩層用組成物4の表面調整層用組成物を塗布し、塗膜を形成して、1.0m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させ表面調整層を形成し、下地凹凸層および表面調整層の合計の厚みが6μm(硬化時)となるよう防眩層を形成し、実施例4に係る防眩フィルムを作製した。
<実施例5>
実施例5においては、紫外線の積算光量を50mJ/cmとした以外は、実施例1と同様にしてトリアセチルセルロース樹脂フィルムに防眩層を形成した。次いで、防眩層の表面に、低屈折率層用組成物を、乾燥後(40℃×1分)の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cmで紫外線照射を行って硬化させて低屈折率層を形成し、実施例5に係る光学フィルムを作製した。
<比較例1>
比較例1においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物5を用いて、乾燥条件を4.0m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させた以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<比較例2>
比較例2においては、防眩層用組成物1に代えて防眩層用組成物6を用いて、乾燥条件を2.0m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させた以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<比較例3>
比較例3においては、防眩層用組成物4に代えて防眩層用組成物7を用いた以外は、実施例4と同様にして、防眩フィルムを作製した。
<Ra(100)およびRa(100−1000)の測定>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面(低屈折率層が無い場合には防眩層の表面、低屈折率層がある場合には低屈折率層の表面)において、長波長カットオフ波長を100μmとして、算術平均粗さRa(100)を測定した。また、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとして、算術平粗さRa(100−1000)を測定した。
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの防眩層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、ガラス板に貼付してサンプルとし、白色干渉顕微鏡(New View6300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて、防眩フィルムの表面形状の測定・解析を行った。なお、解析ソフトにはMetroPro ver8.3.2のAdvanced Texture Applicationを用いた。
[測定条件]
対物レンズ:2.5倍
Zoom:2倍
データ点数:992×992点
解像度(1点当たりの間隔):2.2μm
[解析条件]
Removed:None
High FFT Filter:Fixed
Low FFT Filter:Fixed
High Filter Wavelen:100μm
Low Filter Wavelen:1000μm
以上の条件で、カットオフ値100μmと1000μmのフィルタが設定される。
Remove spikes: on
Spike Height(xRMS):2.5
以上の条件で、スパイク状のノイズを除去できる。
次に、上記解析ソフト(MetroPro ver8.3.2−Advanced Texture Application)にてThree Band Mapを表示させた。表示画面の「High Band」におけるRaがRa(100)に相当し、「Mid Band」におけるRaがRa(100−1000)に相当する。
<ギラツキ評価(1)>
実施例および比較例で得られた各防眩フィルムにおいて、防眩フィルムの防眩層が形成されていない面にガラス板(厚み3mm)を透明粘着剤で貼りあわせた。さらに、このガラス板における防眩フィルムが貼合されていないガラス面と、350ppiのブラックマトリクス(ガラス厚み0.7mm)のマトリクスが形成されていないガラス面とを水で貼り合わせた。こうして得られた試料に対し、ブラックマトリクス側に白色面光源(HAKUBA製LIGHTBOX、平均輝度1000cd/m)を設置することで、疑似的にギラツキ発生させた。これを防眩フィルム側からCCDカメラ(KP−M1、Cマウントアダプタ、接写リング;PK−11A ニコン、カメラレンズ;50mm,F1.4s NIKKOR)で撮影した。CCDカメラと防眩フィルムの距離は250mmとし、CCDカメラのフォーカスは防眩フィルムに合うように調節した。CCDカメラで撮影した画像をパーソナルコンピュータに取り込み、画像処理ソフト(ImagePro Plus ver.6.2;Media Cybernetics社製)で次のように解析を行った。まず、取り込んだ画像から200×160ピクセルの評価箇所を選び、該評価箇所において、16bitグレースケールに変換した。次に、フィルタコマンドの強調タブからローパスフィルタを選択し3×3、回数3、強さ10の条件でフィルタをかけた。これによりブラックマトリクスパターン由来の成分を除去した。次に、平坦化を選択し、背景:暗い、オブジェクト幅10の条件でシェーディング補正を行った。次に、コントラスト強調コマンドでコントラスト:96、ブライトネス:48としてコントラスト強調を行った。得られた画像を8ビットグレースケールに変換し、その中の150×110ピクセルについてピクセルごとの値のばらつきを標準偏差値として算出することにより、ギラツキを数値化した。この数値化したギラツキ値が小さいほど、ギラツキが少ないと言える。
<ギラツキ評価(2)>
実施例および比較例で得られた各防眩フィルムにおいて、以下のようにしてギラツキを評価した。輝度1500cd/mのライトボックス(白色面光源)、350ppiのブラックマトリクスガラス、防眩フィルムの順に下から重ねた状態にし、30cm程度の距離から上下、左右様々な角度から、被験者15人が目視評価を行った。ギラツキが気になるか否かを判定し、下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が13人以上
○:良好と答えた人が10〜12人
△:良好と答えた人が7〜9人
×:良好と答えた人が6人以下
なお、「△」であれば、ギラツキは気にならないレベルであると判断できる。
<映り込み防止性>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムのトリアセチルセルロース基材における防眩層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、裏面反射を防止するための黒アクリル板を貼りサンプルとした。このサンプルを明室環境下で目視にて、被験者15人により、映り込み防止性を下記の基準により評価した。ここで、「映り込み防止性」は、サンプルに映り込む像の輪郭がぼけているものを良好とした。
○:良好と答えた人が10人以上
×:良好と答えた人が9人以下
<全体ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズ測定>
上記実施例および比較例で得られた各防眩フィルムについて、以下のようにして、全体ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズを測定した。まず、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って防眩フィルムの全体ヘイズ値を測定した。その後、防眩層の表面に、透明光学粘着層を介してトリアセチルセルロース基材(富士フイルム社製、TD60UL)を貼り付けた。これによって、防眩層における凹凸面の凹凸形状が潰れ、防眩フィルムの表面が平坦になった。この状態で、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定して内部ヘイズ値を求めた。そして、全体ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、表面ヘイズ値を求めた。
<Sm、θa、Ry、およびRzの測定>
実施例及び比較例で得られた各防眩フィルムの表面(低屈折率層が無い場合には防眩層の表面、低屈折率層がある場合には低屈折率層の表面)において、Sm、θa、Ra、Ry、およびRzを測定した。Sm、Ra、RyおよびRzの定義は、JIS B0601−1994に従うものとし、θaは表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。
Sm、θa、RyおよびRzは、具体的には、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定された。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))
・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
以下、結果を表1および表2に示す。
Figure 0005976602
Figure 0005976602
表1に示されるように、比較例1〜3においては、Ra(100)/Ra(100−1000)が0.5以下となり、かつRa(100−1000)が0.04μm以上0.12μm以下となる防眩フィルムが得られなかったために、ギラツキを抑制することができず、または良好な映り込み防止性が得られなかった。
これに対し、実施例1〜7においては、Ra(100)/Ra(100−1000)が0.5以下となり、かつRa(100−1000)が0.04μm以上0.12μm以下となる防眩フィルムが得られたために、全ヘイズ値および内部ヘイズが0%以上5%以下の防眩フィルムにおいても、ギラツキを抑制することができ、また良好な映り込み防止性が得られた。
また、ギラツキ評価1の結果は、ギラツキ評価2の結果と対応しているので、ギラツキ評価1で用いた測定方法は信頼性があると判断される。
10、50…防眩フィルム
10A、50A…表面
11、51…光透過性基材
11A、51A…混在領域
12、52…防眩層
12A、52A…凹凸面
14…バインダ樹脂
15…微粒子
20…偏光板
21…偏光素子
30…液晶パネル
40…画像表示装置
53…機能層

Claims (10)

  1. 光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、
    前記防眩フィルムの表面が凹凸面となっており、
    前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、
    長波長カットオフ波長を100μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの前記防眩フィルムの表面の算術平均粗さをRa(100−1000)[μm]としたとき、下記式(1)および式(2)を満たすことを特徴とし、
    Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 …(1)
    0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm …(2)
    前記防眩層が、バインダ樹脂と無機酸化物微粒子とを含んでなり、
    前記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が、1nm以上100nm以下である、防眩フィルム。
  2. 前記Ra(100)が下記式(3)を満たす、請求項1に記載の防眩フィルム。
    Ra(100)≦0.03μm …(3)
  3. 前記防眩層の前記凹凸面が前記防眩フィルムの前記表面となっている、請求項1または2に記載の防眩フィルム。
  4. 前記防眩層上に設けられた機能層をさらに備え、前記機能層の表面が前記防眩フィルムの前記表面となっている、請求項1または2に記載の防眩フィルム。
  5. 前記無機酸化物微粒子は、表面が疎水化処理された無機酸化物微粒子である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  6. 前記無機酸化物微粒子が前記防眩層内で凝集体を形成しており、前記凝集体の平均粒子径が100nm以上2.0μm以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  7. 前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上1%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が実質的に0%である、請求項1ないしのいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  8. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の防眩フィルムと、
    前記防眩フィルムの前記光透過性基材における前記防眩層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光素子とを備えることを特徴とする、偏光板。
  9. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の防眩フィルム、または請求項に記載の偏光板を備える、液晶表示パネル。
  10. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の防眩フィルム、または請求項に記載の偏光板を備え、かつ水平画素数が3000以上である、画像表示装置。
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