JP5976575B2 - 低屈折率膜形成用硬化性組成物、光学部材セットの製造方法及び硬化性組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
〔2〕低屈折率材料が、中空粒子または非中空粒子を含む〔1〕に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔3〕高屈折率材料が、チタニアまたはジルコニアを含む〔1〕または〔2〕に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔4〕さらに、分散剤、界面活性剤、重合性化合物およびその重合物のうち少なくとも1つを含む〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔5〕水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体または下記式(1)で表される高分子化合物分散剤を含有する〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔6〕グラフト共重合体のグラフト鎖のポリマー構造が、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造またはポリエーテル構造である〔5〕に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔7〕グラフト共重合体が、ポリ(炭素数1〜5のアルキレン鎖を含むアルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の、塩基性窒素原子を有する繰り返し単位であって、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する繰り返し単位と原子数40〜10,000の側鎖を有する〔5〕に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔8〕グラフト共重合体が、下記式(I−1)で表される繰り返し単位及び式(I−2)で表される繰り返し単位、又は、式(I−1)で表される繰り返し単位及び式(I−2a)で表される繰り返し単位を含む〔5〕または〔7〕に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔9〕式(1)で表される高分子化合物が、下記式(2)で表される〔5〕に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔10〕フッ素系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を含有する〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔11〕下記式(a)〜(f)のいずれかで表される重合性化合物を含有する〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
〔13〕第1の光学部材と、これに被覆された第2の光学部材とを有してなる光学部材セットの製造方法であって、
〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物を準備する工程、
硬化性組成物を第2の光学部材上に塗布する工程、
硬化性組成物を硬化させて低屈折率膜である第1の光学部材を形成する工程を含む、光学部材セットの製造方法。
〔14〕第1の組成物と第2の組成物を混合して調製する硬化性組成物の製造方法であって、
硬化性組成物が低屈折率膜を形成するための硬化性組成物であり、
第1の組成物が、アッベ数40〜80、屈折率1.2〜1.4を示す低屈折率材料を含み、第2の組成物が、アッベ数5〜40、屈折率1.6〜2を示す高屈折率材料を含み、かつ、
低屈折率材料が、シロキサン樹脂を含み、硬化性組成物中に、シロキサン樹脂を15〜40質量%含有する硬化性組成物の製造方法。
本明細書を通じて屈折率及びアッベ数は特に断らない限り、後記実施例で測定した条件によるものとする。
本発明における硬化性組成物は、低屈折率膜としたときに所望の屈折率と良好な屈折率の波長分布とを実現し、さらに安定性と良好な塗布性を有する。その硬化膜は光透過性を有し、製品に組み込まれて優れた光学性能を発揮する。
上記の優れた性質を有する低屈折率膜を用いて作製した光学部材及びこれを用いた固体撮像素子は、広い波長領域で反射光を好適に抑制・防止した優れた光学性能を発揮する。
また、本発明の製造方法によれば、上記の優れた性能を発揮する硬化性組成物、低屈折率膜、光学部材及び固体撮像素子を好適に製造することができる。
本発明においては、上記特定の低屈折率材料と高屈折率材料とを低屈折率膜をなす材料として採用したことにより上記の光学特性等を同時に実現した。
以下、本発明について、その好ましい実施形態に係る硬化性組成物および低屈折率膜における特定の低屈折率材料と高屈折率材料とを中心に説明する。なお、光学部材セットについてはマイクロレンズユニットを例に、第1の光学部材については低屈折率膜を例に、第2の光学部材についてはマイクロレンズ体を例に説明する。
本実施形態において硬化性組成物は、低屈折率材料と高屈折率材料とを含有する。低屈折率材料および高屈折率材料の組成物中の含有率は個々の材料の説明とともに以下に記載しているが、全体として規定すると、低屈折率材料が組成物の固形分中、40〜99質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましい。高屈折率材料については、1〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましい。両者の配合比としていうと、低屈折率材料100質量部に対して、高屈折率材料を1〜45質量部とすることが好ましく、5〜35質量部とすることがより好ましい。両材料を上記の含有率(配合比)とすることで、所望の屈折率とその分布をより効果的に調整して得られるため好ましい。
本発明の硬化性組成物は定法により製造すればよいが、前記低屈折率材料を含む第1の組成物と、高屈折率材料を第2の組成物とを混合して好適に調製することができる。
なお、本発明では、低屈折率材料がシロキサン樹脂を含み、低屈折率膜形成用硬化性組成物中に、該シロキサン樹脂を15〜40質量%含有する。
低屈折率材料の屈折率は1.45以下であることが好ましく、1.43以下であることがより好ましく、1.41以下であることが更に好ましく、1.40以下であることがさらに好ましく、1.39以下であることがさらに好ましく、1.37以下であることがさらに好ましく、1.35以下であることが特に好ましい。下限値は特にないが、1.2以上であることが実際的である。低屈折率材料の構成成分として特定の樹脂を選択することにより、所望の光学特性を実現し、さらに画素間のバラツキが小さくなり好ましい。あるいは、組成物に含有させる成分として中空粒子もしくは非中空粒子を用いることが好ましい。なお、低屈折率材料とは、低屈折率膜をなすための構成成分(通常固形分)を指す。その同定は、特に断らない限り、後記実施例で採用した溶媒および測定方法により測定した屈折率により評価する。ただし、原料液の溶解・分散性を考慮して溶媒は適宜常用されているものに変更してもよい。このことは、高屈折率材料についても同様である。なお、低屈折率材料は1つの成分で上記屈折率を満たしていてもよいし、2つ以上の成分が組み合わされて上記屈折率を満たしていてもよい。このことは、次に述べるアッベ数についても同様であり、また高屈折率材料についても同様である。
アッベ数の同定は、特に断らない限り、後記実施例で採用した溶媒および測定方法により測定した屈折率により評価する。
ただし、本発明では、低屈折率材料の屈折率は1.2〜1.4であり、アッベ数は40〜80である。
シロキサン樹脂は後述するアルコキシシラン原料を用いて、加水分解反応および縮合反応を介して得ることができる。より具体的には、該化合物は、アルキルトリアルコキシシランの一部または全部のアルコキシ基が加水分解してシラノール基に変換し、生成したシラノール基の少なくとも一部が縮合してSi−O−Si結合を形成したものということができる。シロキサン樹脂はかご型、はしご型、又はランダム型等のいずれのシルセスキオキサン構造を有するシロキサン樹脂であってもよい。なお、前記「かご型」、「はしご型」、及び「ランダム型」は、例えばシルセスキオキサン材料の化学と応用展開(シーエムシー出版)等に記載されている構造を参照することができる。
本実施形態のシロキサン樹脂は下記式(1)で表されるシルセスキオキサン構造を有することが好ましい。
−(R1SiO3/2)n− 式(1)
(上記式(1)中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。nは20〜1000の整数を表す。)
上記R1が示すアルキル基は上記炭素数の範囲であれば特に制限されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。中でもメチル基、エチル基が好ましく、最も好ましいのはメチル基である。また、R1が示すアルキル基は置換基を有さないアルキル基でも置換基を有するアルキル基でもよいが、置換基を有さないアルキル基であることが好ましい。
本実施形態において加水分解縮合物を製造するために、出発原料として、アルキルトリアルコキシシランを含むアルコキシシラン原料を使用することができる。なお、アルコキシシラン原料とは、アルコキシシラン(アルコキシ基を有するケイ素化合物)から構成される出発原料を意図する。原料としてアルキルトリアルコキシシランを使用することにより、得られる加水分解縮合物の構造がよりフレキシブルとなり、さらに有機成分の存在により基板に対する濡れ性を高めることができる。
式(2):R2Si(OR3)3
(R2は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R3はアルキル基を表す。)
アルコキシシラン原料としては上記のトリアルコキシシラン以外に、他のアルコキシシランを使用することができ、なかでもテトラアルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランを含むことにより、加水分解縮合物中の架橋密度が増加し、硬膜して得られる皮膜の電気的絶縁性、耐現像性、耐熱性がより向上する点で好ましい。
式(3):Si(OR4)4
(R4は、それぞれ独立にアルキル基を表す。)
20の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。なかでも、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。特に、加水分解速度の制御が容易である点から、式(3)中のR4がエチル基である、エトキシ基が好ましい。
なお、テトラアルコキシシランとしては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
本実施形態の低屈折率膜形成用樹脂組成物(硬化性組成物)中に含まれるシロキサン樹脂は、上述したアルコキシシラン原料を用いて、加水分解反応および縮合反応を介して得ることができる。
加水分解反応および縮合反応としては公知の方法を使用することができ、必要に応じて、酸または塩基などの触媒を使用してもよい。触媒としてはpHを変更させるものであれば特に制限がなく、具体的には、酸(有機酸、無機酸)としては、例えば硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸など、アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。使用する量は、シロキサン樹脂が所定の分子量を満たせば、特に限定されない。
なお、重量平均分子量は、公知のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定し、標準ポリスチレンに換算したときの値である。特に断らない限り、GPC測定においては、カラムとしてWaters2695およびShodex製GPCカラムKF−805L(カラム3本を直結)を使用し、カラム温度40℃、試料濃度0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液を50μl注入し、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量でフローさせ、RI検出装置(Waters2414)およびUV検出装置(Waters2996)にて試料ピークを検出することで行った。
このため、本発明では、低屈折率膜形成用硬化性組成物中に、シロキサン樹脂を15〜40質量%含有する。
本実施形態の低屈折率膜形成用樹脂組成物(硬化性組成物)は、塗布性をより向上させる観点から、ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤を含有することが好ましい。ポリオキシアルキレン構造とは、アルキレン基と二価の酸素原子が隣接して存在している構造のことをいい、具体的にはエチレンオキサイド(EO)構造、プロピレンオキサイド(PO)構造などが挙げられる。ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤としては、該ポリオキシアルキレン構造を有する限りにおいてフッ素系界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。これらの中でもノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が好ましく、ノニオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤が更に好ましく、アニオン界面活性剤が最も好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同S−141、同S−145、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、ジェムコ(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(花王(株)製のエマルゲン 404等)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、青木油脂工業(株)製のELEBASE BUB−3等が挙げられる。
アニオン界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、クラリアントジャパン(株)製のEMULSOGEN COL−020、EMULSOGEN COA−070、EMULSOGEN COL−080、第一工業製薬(株)製のプライサーフ A208B等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」、GELEST製「DBE−224」、「DBE−621」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
式(4):R5O(R6O)mR7
(上記式中、R5は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R6は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R7は水素原子、カルボキシル基、又は−PO3H2を表す。mは1〜8の整数を表す。)
より具体的には、式(4)中のR5としては、直鎖状または分岐状のアルキル基であってよい。なかでも、炭素数5〜20が好ましく、炭素数12〜18がより好ましい。式(4)中のR6としては、直鎖状または分岐状のアルキレンン基であってよく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基などが挙げられる。中でもエチレン基、イソプロピレン基(隣接するO原子とエチレンオキサイド構造、又はプロピレンオキサイド構造を形成する基)が好ましい。式(4)中のR7としては、水素原子、又はカルボキシル基が好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。
式(5):Si(OR51)n−4(R52)n
ここで、R51は前記R4と同義の基である。R52は炭素数4〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキル基であることがより好ましい。nは1〜3の整数である。
ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤と併用する界面活性剤の配合量は任意に調整すればよいが、例えば、ポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤100質量部に対して、併用する界面活性剤を0.01〜100質量部で用いることが好ましく、1〜100質量部で用いることがより好ましく、10〜100質量部で用いることがより好ましい。
前記硬化性組成物ないしそれを硬化した硬化膜は、中空粒子を含むことが好ましい。中空粒子としては、中空構造はもちろん多孔質の微粒子を使用してもよい。中空粒子は、内部に空洞を有する構造のものであり、外郭に包囲された空洞を有する粒子を指し、多孔質粒子は、多数の空洞を有する多孔質の粒子を指す。以下、中空粒子又は多孔質粒子を、適宜「特定粒子」と称する。特定粒子は、有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。
特定粒子の中でも、屈折率を低下しやすい観点から、中空粒子であることがより好ましい。例えば、中空粒子をシリカで構成した場合には、中空シリカ粒子は、屈折率の低い空気(屈折率=1.0)を有しているため、その屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.6)と比較して著しく低くなる。
ここでの特定粒子の平均一次粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均一次粒子径とする。本明細書における平均一次粒子径は、300個以上の粒子について投影面積を測定して、円相当径を求めて算出する。
特定粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは、1.15〜1.35、最も好ましくは1.15〜1.30である。
本明細書において屈折率は粒子全体として屈折率を表し、粒子が中空粒子である場合、中空粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。粒子が多孔質粒子である場合、多孔質粒子の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる(測定温度25℃,波長633nm)。
これらの無機粒子の平均一次粒子径は、1nm〜100nmであることが好ましく、1nm〜60nmであることがより好ましい。
無機粒子は、必要な空隙率を満たす限りにおいて、結晶系は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒子径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球形状が最も好ましいが、数珠状、長径と短径の比が1以上の形状、あるいは不定形状であってもよい。
無機粒子の比表面積は、10m2/g〜2000m2/gであることが好ましく、20m2/g〜1800m2/gであることがさらに好ましく、50m2/g〜1500m2/gであることが最も好ましい。
すなわち、無機粒子がシリカ粒子であり、カップリング剤がシラン化合物である場合、シラン化合物とシラノール基との反応により、オルガノシリル基(モノオルガノシリル、ジオルガノシリル、トリオルガノシリル基)がシリカ粒子の表面に結合するものである。表面処理されたシリカ粒子がその表面に有する有機基としては、飽和又は不飽和の炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。
上記カップリング剤は、無機粒子の表面処理剤として低屈折率膜用塗布液の調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられても、塗布液調製時にさらに添加剤として添加してもよい。
無機粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
シリカからなる特定粒子としては市販されているものを好ましく用いることができる。
例えば、日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズ(中空粒子、イソプロパノール(IPA)分散、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)分散など。例えばスルーリア2320など。)、OSCALシリーズ、日産化学(株)製スノーテックスシリーズ(多孔質粒子、IPA分散、エチレングリコール分散、メチルエチルケトン(MEK)分散、ジメチルアセトアミド分散、MIBK分散、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メタノール分散、酢酸エチル分散、酢酸ブチル分散、キシレン−n−ブタノール分散、トルエン分散など。例えばMIBK−SD−L、MIBK−STなど。)、日鉄鉱業(株)製シリナックス(多孔質粒子)、扶桑化学工業(株)製PLシリーズ(多孔質粒子、IPA分散、トルエン分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メチルエチルケトン分散など。例えばPL−1−IPA、PL−2L−PGMEなど。)、EVONIK社製アエロジルシリーズ(多孔質粒子、プロピレングリコールアセテート分散、エチレングリコール分散、MIBK分散など)などのシリカ粒子を用いることができる。
硬化性組成物を用いて膜を形成する場合、特定粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。1mg/m2以上であることによって、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果を確実に得ることができるとともに、100mg/m2以下であることによって、硬化膜の表面に微細な凹凸ができて積分反射率が悪化することを抑制できる。
前記硬化性組成物ないしそれを硬化した硬化膜は、フッ素系樹脂を含むことが好ましい。例えば特開2004−21036号公報に記載のフッ素系のシロキサンポリマーが挙げられる。
中でもポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましく、更にはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体も好ましく用いられる。
また、アモルファスフッ素樹脂も好ましく用いられ、市販品としてはCYTOP(旭硝子製)などが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂分子量は10万〜1000万の範囲のものが好ましく、とくに10万〜100万の範囲のものがより好ましく、押出成形性と難燃性にとくに効果がある。ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル(株)製の“テフロン(登録商標)”6−J、“テフロン(登録商標)”6C−J、“テフロン(登録商標)”62−J、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製の“フルオン”CD1やCD076などが市販されている。また、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の市販品としては、三菱レイヨン(株)から、“メタブレン(登録商標)”Aシリーズとして市販され、“メタブレン(登録商標)”A−3000、“メタブレン(登録商標)”A−3800などが市販されている。
フッ素系樹脂の添加量は、特に限定されないが、前記シロキサン樹脂と同様の観点から、低屈折率膜形成用硬化性組成物中で前記シロキサン樹脂と同様の含有率の範囲であることが好ましい。
本実施形態の低屈折率膜形成用樹脂組成物は、さらに硬化剤を含有しても良い。硬化剤としては、Al、Mg、Mn、Ti、Cu、Co、Zn、Hf及びZrよりなる硬化剤が好ましく、これらを併用することもできる。
本実施形態の低屈折率膜形成用樹脂組成物(硬化性組成物)は、一般には、有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤は、各成分の溶解性や低屈折率膜形成用樹脂組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本実施形態における低屈折率膜形成用樹脂組成物を調製する際には、2種類の有機溶剤を含んでもよい。
特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートである。
なお、本発明の硬化性組成物の溶媒は、前記のもの以外に後記高屈折率材料を含む分散組成物の溶媒であってもよく、あるいはこれらの混合溶媒であってもよい。
本実施形態の低屈折率膜形成用樹脂組成物は、厚みのある良好な透過膜を形成する観点から、その粘度が調節されていることが好ましい。具体的な粘度の範囲は特に限定されないが、1〜20cPであることが好ましく、2〜15cPであることがより好ましく、4〜6cPであることが特に好ましい。本明細書における粘度の値は、特に断らない限り、後記の測定方法によるものとする。
・測定方法
E型粘度計「TV−20形粘度計・コーンプレートタイプ TVE−20L」(東機産業製)を用いて、室温(約25℃)で測定する。サンプリングは100秒ごとに5回粘度を測定した値の平均とする。
本実施形態の硬化性組成物は、高屈折率材料を含有する。高屈折率材料が呈する屈折率は1.45超であることが好ましく、1.46以上であることがより好ましく、1.50以上であることがさらに好ましく、1.55以上であることがさらに好ましく、1.6以上であることがさらに好ましく、1.7以上であることがさらに好ましく、1.8以上であることがさらに好ましく、1.85以上であることが特に好ましい。上限値としては、2以下であることが好ましく、1.97以下であることがより好ましく、1.95以下であることがさらに好ましく、1.93以下であることが特に好ましい。
アッベ数の同定は、特に断らない限り、後記実施例で採用した溶媒および測定方法により測定した屈折率により評価する。
ただし、本発明では、高屈折率材料の屈折率は1.6〜2であり、アッベ数は5〜40である。
なお、本発明においては、後記実施形態の樹脂組成物のほか、市販の硬化性樹脂を好適に用いることができる。以下にその商品名(製品番号)を列記しておく。
(1)超高屈折率、高耐熱コーティング材料:UR−108、UR−202、UR−501、HR−102(日産化学工業社製)
(2)厚膜用高屈折率コーティング材料:UR−108、UR−204、HR−201(日産化学工業社製)
(3)チオエポキシ樹脂LPH1101(三菱ガス化学社製)
(4)エピスルフィド樹脂MR−174(三井化学社製)
(5)チオウレタン樹脂MR−7(三井化学社製)
(分散組成物I)
分散組成物Iとは、一次粒子径が1nm〜100nmである金属酸化物粒子(A)と、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体(B)と、溶媒(C)とを含有する分散組成物であって、金属酸化物粒子(A)の含有量が分散組成物の全固形分に対して50質量%以上90質量以下である分散組成物を指す。
金属酸化物粒子としては、屈折率の高い無機粒子であり、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)又はマグネシウム(Mg)の酸化物粒子が挙げられ、二酸化チタン(TiO2)粒子、二酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子又は二酸化珪素(SiO2)粒子であることが好ましく、中でも二酸化チタン粒子(以下、単に「二酸化チタン」ということもある)であることがより好ましい。
無色又は透明な二酸化チタン粒子としては、化学式TiO2で表すことができ、純度が70%以上であることが好ましく、純度80%以上であることがより好ましく、純度85%以上であることが更に好ましい。式TinO2n−1(nは2〜4の数を表す。)で表される低次酸化チタン、酸窒化チタン等は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
金属酸化物粒子は、一次粒子径が1nm〜100nmであれば特に制限はなく、例えば、市販の金属酸化物粒子から適宜選択して用いることができる。金属酸化物粒子の一次粒子径は1nm〜80nmであることが好ましく、1nm〜50nmであることが特に好ましい。金属酸化物粒子の一次粒子径が100nmを超えると屈折率及び透過率が低下することがある。また1nm未満の場合には、凝集により分散性や分散安定性が低下する場合がある。
また金属酸化物粒子の一次粒子径は、金属酸化物粒子の平均粒子径として得られる。金属酸化物粒子の平均粒子径は、金属酸化物粒子を含む混合液又は分散液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで80倍に希釈し、得られた希釈液について動的光散乱法を用いて測定することにより得られた値のことを言う。
ここでの平均粒子径の測定は、日機装株式会社製マイクロトラックUPA−EX150を用いて行って得られた数平均粒子径のこととする。以下の実施例においても同様である。
また金属酸化物粒子の比表面積は、10m2/g〜400m2/gであることが好ましく、20m2/g〜200m2/gであることが更に好ましく、30m2/g〜150m2/gであることが最も好ましい。
また金属酸化物粒子の形状には特に制限はない。例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることができる。
表面処理は、1種単独の表面処理剤でも、2種類以上の表面処理剤を組み合わせて実施してもよい。
また金属酸化物粒子の表面が、アルミニウム、ケイ素、ジルコニアなどの酸化物により覆われていることもまた好ましい。これにより、より耐候性が向上する。
二酸化チタン粒子の市販物としては、例えば石原産業(株)製TTOシリーズ(TTO−51(A)、TTO−51(C)など)、TTO−S、Vシリーズ(TTO−S−1、TTO−S−2、TTO−V−3など)、テイカ(株)製MTシリーズ(MT−01、MT−05など)などを挙げることができる。
二酸化ジルコニウム粒子の市販物としては、例えば、UEP(第一稀元素化学工業(株)製)、PCS(日本電工(株)製)、JS−01、JS−03、JS−04(日本電工(株)製)、UEP−100(第一稀元素化学工業(株)製)などを挙げることができる。
二酸化珪素粒子の市販物としては、例えば、OG502−31クラリアント社(Clariant Co.)製などを挙げることができる。
金属酸化物粒子は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の分散組成物は、グラフト共重合体(以下、「特定樹脂」ともいう)を含むものである。本実施形態のグラフト共重合体は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有している。この場合のグラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元(主鎖から枝分かれしている基において主鎖に結合する原子)から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。分散組成物において、この特定樹脂は、金属酸化物粒子に分散性を付与する分散樹脂であり、グラフト鎖による溶媒との親和性を有するために、金属酸化物粒子の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。また、分散組成物としたとき、グラフト鎖と溶媒とが良好な相互作用を示すことにより、塗布膜における膜厚の均一性が悪化することが抑制されるものと考えられる。
なお、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数とは、主鎖を構成する高分子鎖に結合している根元の原子から、主鎖から枝分かれしている枝ポリマーの末端までに含まれる水素原子以外の原子の数である。またグラフト共重合体にグラフト鎖が2種以上含まれる場合、少なくとも1種のグラフト鎖の水素原子を除いた原子数が上記要件を満たしていればよい。
式(1)〜式(4)において、W1、W2、W3、及び、W4はそれぞれ独立に酸素原子或いはNHを表し、特に酸素原子が好ましい。
式(3)中、R3は、分岐若しくは直鎖のアルキレン基(炭素数は1〜10が好ましく、2又は3であることがより好ましい)を表し、分散安定性の観点から、−CH2−CH(CH3)−で表される基、又は、−CH(CH3)−CH2−で表される基が好ましい。
また、式(3)中のR3としては特定樹脂中に構造の異なるR3を2種以上混合して用いても良い。
式(1)〜式(4)において、Y1、Y2、Y3、及び、Y4はそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及び、qはそれぞれ1〜500の整数である。
式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。
式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
また、式(4)中のR4としては特定樹脂中に構造の異なるR4を2種以上混合して用いても良い。
式(2A)中、X2、Y2、Z2及びmは、式(2)におけるX2、Y2、Z2及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
酸基を有する構造単位の含有量が、特定樹脂の総質量に対し90質量%超過であると、上記グラフト鎖の特定樹脂への導入量が不十分となって分散安定性が悪くなり、同様に、ウエハーの中心部と周辺部での膜厚差が小さい膜を形成しにくくなる。
また、酸基を有する構造単位の含有量が上記範囲内であることにより、特定樹脂の酸価を下記の好ましい範囲内に好適に調整できる。
前記酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられ、金属酸化物粒子への吸着力と、分散性・分散安定性の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、カルボン酸基が特に好ましい。
更に、酸基構造は、樹脂構造の主鎖より5原子分以上離れている構造が好ましい。更に酸基としては、芳香環に結合したカルボン酸が最も好ましい。
前記酸基としては、これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記特定樹脂の酸価は、70mgKOH/g以上350mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは80mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の範囲、更に好ましくは100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の範囲である。酸価を上記範囲とすることにより、分散組成物が大サイズ(例えば12インチ)のウエハーに塗布された場合でも、ウエハーの中心部と周辺部での膜厚差が小さい膜をより確実に得ることができる。
特定樹脂の酸価は、例えば、特定樹脂中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、特定樹脂を構成する酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
前記塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などが挙げられる。特に好ましいものは、金属酸化物粒子への吸着力が良好で、かつ、分散性・分散安定性が高い第3級アミノ基である。前記塩基性基としては、これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定樹脂は、塩基性基を有する構造単位(繰り返し単位)を含有してもしなくても良いが、含有する場合、塩基性基を有する構造単位の含有量は、特定樹脂の総質量に対し0.1質量%以上50質量%以下であり、特に好ましくは、0.1質量%以上30質量%以下である。
前記配位性基、反応性を有する基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物残基、酸塩化物残基などが挙げられる。特に好ましいものは、金属酸化物粒子への吸着力が良好で、分散性・分散安定性が高いアセチルアセトキシ基である。前記配位性基、反応性を有する基としては、これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定樹脂は、配位性基又は反応性を有する基を有する構造単位(繰り返し単位)を含有してもしなくても良いが、含有する場合、配位性基又は反応性を有する基を有する構造単位の含有量は、特定樹脂の総質量に対し0.1質量%以上50質量%以下であり、特に好ましくは、0.1質量%以上30質量%以下である。
R1、R2、及びR3は、より好ましくは水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。R2、及びR3は、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
上記式(iii)中、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R4、R5、及びR6としては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
また、上記式(ii)で表される単量体として、R1が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。また、上記式(iii)で表される単量体として、R4、R5、及びR6が水素原子又はメチル基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
分散組成物(I)の全固形分に対する特定樹脂の含有量は、分散性、分散安定性の観点から、10〜50質量%の範囲が好ましく、11〜40質量%の範囲がより好ましく、12〜30質量%の範囲が更に好ましい。
分散組成物(I)には、金属酸化物粒子の分散性を調整する等の目的で、上記特定樹脂以外の分散樹脂(以下、「その他の分散樹脂」と称する場合がある)が含有されていてもよい。
本発明に用いることができるその他の分散樹脂としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
その他の分散樹脂は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
これらのその他の樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
分散組成物(I)は溶媒を含むが、該溶媒は種々の有機溶剤を用いて構成することができる。
ここで使用できる有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの有機溶剤は、単独あるいは混合して使用することができる。分散組成物(I)における固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
(D)重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合、エポキシ基、オキセタニル基などの重合性基を有する付加重合性化合物であり、重合性基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物は当該技術分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体などの多量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいは不飽和カルボン酸アミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいは不飽和カルボン酸アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物;更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいは不飽和カルボン酸アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性モノマー等として、特開2010−160418、特開2010−129825、特許4364216等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルドポリマーも使用することが可能である。
また、特開平10−62986号公報において式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性モノマーとして用いることができる。
mは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
Rは、
上記式(MO−1)〜(MO−6)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸価が上記範囲に入るように調製することが必須である。
カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン変性構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(1)で表されるカプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体が好ましい。
本発明において、カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、式(i)又は式(ii)中の−((CH2)yCH2O)−又は−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
重合性モノマー等の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
本発明の第三の好ましい態様は、重合性化合物として、エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物を用いてもよい。エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物としては、具体的には側鎖にエポキシ基を有するポリマー、および分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合性モノマーまたはオリゴマーがあり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
これらの化合物は、市販品を用いてもよいし、ポリマーの側鎖へエポキシ基を導入することによっても得られる。
エポキシ不飽和化合物としてはグリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基としてグリシジル基を有するものも使用可能であるが、好ましいものは脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物である。このようなものとしては例えば以下の化合物を例示することができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
下記式(V)中、R7及びR8はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、硬化性組成物に含有される他の成分(例えば、重合開始剤、金属酸化物粒子等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の他の成分の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
この範囲内であると、屈折率を低下させることなく、硬化性が良好で好ましい。
(E)重合開始剤は、(D)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、45℃までは安定であるが高温加熱時の重合開始能が良好であることが好ましい。
また、前記重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより
好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
また、重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
これらの具体例として、特開2010−106268号公報段落[0135](対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0163])以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。
また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819、ダロキュア4265、DAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、Journal of Applied Polymer Science(2012年)pp.725−731、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
さらに、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
前記式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(OX−2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
オキシム開始剤としては、特開2012−208494号公報段落0513(対応する米国特許出願公開第2012/235099号明細書の[0632])以降の式(OX−1)、(OX−2)または(OX−3)で表される化合物の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
また、オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01、及び、IRGACURE OXE02などの市販品(いずれも、BASF社製)も好適に使用できる。
製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な重合を阻止するために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、N−オキシド化合物類、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、ジアゾニウム化合物類、及びカチオン染料類、スルフィド基含有化合物類、ニトロ基含有化合物類、FeCl3、CuCl2等の遷移金属化合物類が挙げられる。重合禁止剤としては、具体的には、特開2010−106268号公報段落0260〜0280(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0284]〜[0296])の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
上記範囲とすることで、非画像部における硬化反応抑制及び画像部における硬化反応促進が充分おこなわれ、画像形成性及び感度が良好となる。
本実施形態の分散組成物は、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。
前記バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特開2002−309057号、特開2002−311569号等の各公報に記載の化合物を挙げる事ができる。
エーテルダイマーの具体例としては、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみ使用してもよいし、2種以上使用してもよい。また、前記式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他のモノマーを共重合させてもよい。
また、酸基を導入するための単量体は、重合後に酸基を付与しうる単量体であってもよく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有する単量体等が挙げられる。ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体を用いる場合、重合後に酸基を付与しうる単量体を用いる場合、重合後に酸基を付与する処理を行う必要がある。重合後に酸基を付与する処理は、単量体の種類によって異なり、例えば、次の処理が挙げられる。水酸基を有する単量体を用いる場合であれば、例えば、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させる処理が挙げられる。エポキシ基を有する単量体を用いる場合であれば、例えば、N−メチルアミノ安息香酸、N−メチルアミノフェノール等のアミノ基と酸基を有する化合物を付加させか、又は、例えば(メタ)アクリル酸のような酸を付加させた後に生じた水酸基に、例えば、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させる処理が挙げられる。イソシアネート基を有する単量体を用いる場合であれば、例えば、2−ヒドロキシ酪酸等の水酸基と酸基を有する化合物を付加させる処理が挙げられる。
式(ED)で表される化合物を含む単量体成分を重合してなる重合体が、エポキシ基を導入するための単量体を含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中、5〜70質量%が好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
また、式(ED)で表される化合物を含む単量体成分を重合してなる重合体が酸基を有する場合には、酸価が、好ましくは30〜500mgKOH/g、より好ましくは50〜400mgKOH/gであるのがよい。
式(ED)で表される化合物を含む単量体成分を重合してなる重合体の合成に適用される重合方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種重合方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。詳細には、例えば、特開204−300204号公報に記載されるポリマー(a)の合成方法に準じて、式(ED)で表される化合物を含む単量体成分を重合してなる重合体を合成することができる
本発明で用いる重合体は、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×105であることが好ましく、2000〜1×105であることがより好ましく、5000〜5×104であることがさらに好ましい。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、特開2001−318463号公報等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーも、膜強度に優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
本実施形態の分散組成物(I)は各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。特にフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。界面活性剤の具体例としては、低屈折率膜形成用樹脂組成物で説明してものと同様のものが使用でき、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
分散組成物での界面活性剤の添加量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
更に、分散組成物に対しては、可塑剤や感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーを使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
本実施形態の分散組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤としては、共役ジエン系化合物である下記式(I)で表される化合物が特に好ましい。
前記式(I)で示される紫外線吸収剤の置換基の説明は、WO2009/123109号公報段落0024〜0033(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の[0040]〜[0057])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。前記式(I)で表される化合物の好ましい具体例は、WO2009/123109号公報段落0034〜0039(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の[0060])の例示化合物(1)〜(14)の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、高屈折率材料を含む組成物としては以下説明する分散組成物IIであってもよい。
分散組成物IIとは、一次粒子径が1nm〜100nmである金属酸化物粒子(A)と、特定分散樹脂(B)と、溶媒(C)とを含有する分散組成物を指す。ここで、特定分散樹脂(B)以外の他の成分は前記分散組成物Iと同様である。
高屈折率粒子分散用分散剤として、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤を用いることが好ましい。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、原子数40〜10,000の側鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する分散樹脂(以下、適宜「特定分散樹脂(B)」と称する。)が好ましい。ここで、塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。
特定樹脂(B)としては、前記部分構造X等と対をなす部分構造Wを有していてもよく、部分構造WはpKb14以下の窒素原子を有する構造部であることが好ましく、pKb10以下の窒素原子を有する構造を含有することがより好ましい。塩基強度pKbとは、水温25℃でのpKbをいい、塩基の強さを定量的に表すための指標のひとつであり、塩基性度定数と同義である。塩基強度pKbと、後述の酸強度pKaとは、pKb=14−pKaの関係にある。なお、部分構造Xと部分構造Wとが対になって塩構造を形成しているときには、それぞれが解離した構造を想定し、そこにプロトン(H+)ないし水酸化物イオン(OH−)がイオン結合した化合物として、そのpKaおよびpKbを評価する。部分構造Xについては、さらにその詳細を後記にて説明する。
R8及びR9はR1と同義の基である。
Lは単結合、アルキレン基(炭素数1〜6が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2〜6が好ましい)、アリーレン基(炭素数6〜24が好ましい)、ヘテロアリーレン基(炭素数1〜6が好ましい)、イミノ基(炭素数0〜6が好ましい)、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基である。なかでも、単結合もしくは−CR5R6−NR7−(イミノ基がXもしくはYの方になる)であることが好ましい。ここで、R5R6は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。R7は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
LaはCR8CR9とNとともに環構造形成する構造部位であり、CR8CR9の炭素原子と合わせて炭素数3〜7の非芳香族複素環を形成する構造部位であることが好ましい。さらに好ましくはCR8CR9の炭素原子及びN(窒素原子)を合わせて5〜7員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、より好ましくは5員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、ピロリジンを形成する構造部位であることが特に好ましい。ただし、当該構造部位はさらにアルキル基等の置換基を有していてもよい。
XはpKa14以下の官能基を有する基を表す。
Yは原子数40〜10,000の側鎖を表す。
なお、上記式(I−2)の共重合比に関する説明は、式(I−2a)、式(I−4)、式(I−5)で表される繰り返し単位についても同義であり、両者を含むときにはその総量を意味する。
上記各式中の部分構造Xは、水温25℃でのpKaが14以下の官能基を有する。ここでいう「pKa」とは、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載されている定義のものである。「pKa14以下の官能基」は、物性がこの条件を満たすものであれば、その構造などは特に限定されず、公知の官能基でpKaが上記範囲を満たすものが挙げられるが、特にpKaが12以下である官能基が好ましく、pKaが11以下である官能基が特に好ましい。下限値は特にないが、−5以上であることが実際的である。部分構造Xとして具体的には、例えば、カルボン酸基(pKa:3〜5程度)、スルホン酸(pKa:−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa:8〜10程度)、−COCH2CN(pKa:8〜11程度)、−CONHCO−、フェノール性水酸基、−RFCH2OH又は−(RF)2CHOH(RFはペルフルオロアルキレン基もしくはペルフルオロアルキル基を表す。pKa:9〜11程度)、スルホンアミド基(pKa:9〜11程度)等が挙げられ、特にカルボン酸基(pKa:3〜5程度)、スルホン酸基(pKa:−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa:8〜10程度)が好ましい。
また、生産性の観点から、dは1が好ましく、また、eは0が好ましい。
・側鎖Y
Yとしては、特定分散樹脂(B1)の主鎖部と連結できるポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の公知のポリマー鎖が挙げられる。Yにおける特定分散樹脂(B1)との結合部位は、側鎖Yの末端であることが好ましい。
Yは、前記塩基性窒素原子を有する繰り返し単位の前記窒素原子とアミド結合、又はカルボン酸塩としてイオン結合していることが好ましい。
また、Yの数平均分子量はGPC法によるポリスチレン換算値により測定することができる。このとき、Yは樹脂に組み込む前の状態でその分子量を測定することが実際的である。Yの数平均分子量は、特に1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000が分散性・分散安定性・現像性の観点から最も好ましい。Yの分子量は、Yの原料となる高分子化合物から特定することができ、その測定方法は後記GPCによる測定条件に順ずるものとする。
Yで示される側鎖構造は、主鎖連鎖に対し、樹脂1分子中に、2つ以上連結していることが好ましく、5つ以上連結していることが特に好ましい。
ZBは、水素原子又は1価の有機基を表す。ZBが有機基であるとき、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリール基、複素環基などが好ましい。ZBはさらに置換基を有していてもよく、当該置換基としては、炭素数6〜24のアリール基、炭素数3〜24の複素環基が挙げられる。
LBは、アルキレン基(炭素数1〜6が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2〜6が好ましい)、アリーレン基(炭素数6〜24が好ましい)、ヘテロアリーレン基(炭素数1〜6が好ましい)、イミノ基(炭素数0〜6が好ましい)、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基である。なかでも、アルキレン基(炭素数1〜6が好ましい)、エーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基であることが好ましい。アルキレン基は分岐でも直鎖であってもよい。アルキレン基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アルキル基(好ましい炭素数1〜6)、アシル基(好ましい炭素数2〜6)、アルコキシ基(好ましい炭素数1〜6)、またはアルコキシカルボニル基(好ましい炭素数2〜8)である。nBは5〜100,000の整数である。nB個のLBはそれぞれ異なる構造であってもよい。
本発明の感光性組成物において、高屈折率粒子用分散剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<分散組成物III>
分散組成物IIIとは、一次粒子径が1nm〜100nmの金属酸化物粒子(A)と、下記式(1)で表される高分子化合物分散剤(B)と、溶媒(C)とを含有する分散組成物を指す。ここで、下記式(1)で表される高分子化合物(B)以外の他の成分は前記分散組成物IおよびIIと同様である。
)、複素環基(pKa 12〜30程度)等が挙げられる。 上記の中では、前記A1として、酸基、フェノール基、アルキル基、アリール基、アルキレンオキシ鎖を有する基、水酸基、ウレア基、ウレタン基、スルホンアミド基、イミド基及び配位性酸素原子を有する基よりなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基であることが好ましい。
X1は水素原子或いは1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、或いは炭素数1〜12のアルキル基であり、水素原子或いはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
R10は水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基である。該R10がアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。式(L)中に構造の異なるR10を2種以上有していても良い。
R11及びR12は、分岐若しくは直鎖のアルキレン基(炭素数は1〜10が好ましく、2〜8であることがより好ましく、3〜6であることが更に好ましい。)を表す。各式中に構造の異なるR11又はR12を2種以上有していても良い。
k1、k2、k3は、それぞれ独立に、5〜140の数を表す。
観点から、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜35質量%の範囲がより好ましく、12〜30質量%の範囲が更に好ましい。
本発明の分散組成物は溶媒を含むが、該溶媒は種々の有機溶剤を用いて構成することができる。
ここで使用できる有機溶剤としては、前記分散組成物IおよびIIと同様のものを用いることができ、好適な範囲も同様である。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜2.5μm程度、さらに好ましくは0.01〜1.5μm程度である。この範囲とすることにより、溶解した顔料等に混入しており、後工程において均一及び平滑な硬化性組成物の調製を阻害する、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.5〜7.0μm程度が適しており、好ましくは2.5〜7.0μm程度、さらに好ましくは4.5〜6.0μm程度である。この範囲とすることにより、混合液に含有されている成分粒子を残存させたまま、混合液に混入しており、後工程でおいて均一及び平滑な硬化性組成物の調製を阻害する異物を除去することができる。
例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタリングを行ってもよい。
本発明における光透過性硬化膜は、前記特定の低屈折率材料と高屈折率材料とを溶媒に含有させた硬化性組成物により形成することができる。
本発明に係る低屈折率膜は、優れた低屈折率性を示す。具体的には、低屈折率膜の屈折率は、1.5以下であり、1.46以下であることがより好ましく、1.43以下であることが更に好ましく、1.42以下であることが特に好ましい。下限値としては、1.3以上であり、1.32以上であることが特に好ましい。上記範囲内であると、後述する反射防止膜として有用である。前記反射防止膜は、これが付与形成される光学部材(例えば光学レンズ体など)の屈折率より低いことが好ましい。これにより、効果的な反射防止効果が得られる。
高屈折率膜の厚さは特に制限されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがより好ましい。厚さの上限は、6μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。なお、レンズ体としたときの特に好ましい範囲は後述する。
本発明の好ましい実施形態に係る光学部材セットの一例として、異なる第1の光学部材および第2の光学部材を組み合わせた構造体があげられる。
以下、光学部材セットについてマイクロレンズユニットを例に、第1の光学部材については光透過性硬化膜を例に、第2の光学部材についてはマイクロレンズ体を例に説明する。
マイクロレンズユニットは、固体撮像素子に組み込まれ、マイクロレンズ体とこれを被覆する光透過性硬化膜とを有する。なお、マイクロレンズ体の語は、マイクロレンズアレイの意味を含み、単にレンズ体(lens member、lens members)と総称して言うことがある。マイクロレンズアレイがマイクロレンズ体として用いられる場合、マイクロレンズ体同士の間隙である溝部は光透過性硬化膜に隙間なく埋め込まれ、空隙(ボイド)等が全く発生していないことが理想的である。このような態様では、マイクロレンズユニットは該ユニットを通過する光にボイド由来のノイズを発生させることがなく、良好な品質性能を奏する。
本実施形態に係る第1の光学部材の一例として、光透過性硬化膜がある。光透過性硬化膜は、前記硬化性組成物の硬化膜で構成される。
本実施形態に係る第2の光学部材の一例として、マイクロレンズ体がある。マイクロレンズ体の形状としては特に限定されないが、凸レンズが好ましく用いられる。本発明において凸レンズとは、特に断らない限り、平凸レンズ、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ等を含み、少なくとも一方向に膨出した部位を有するレンズを指す。具体的な凸レンズの形状としては多面体状、球面状、及び非球面状(自由曲面で形成される球面収差のない形状)などが挙げられる。前記多面体の形状には、正多面体状、半正多面体状、円柱状、及びシリンドリカル形状などがあげられる。また、集光効果があればフレネルレンズ等も本発明における凸レンズに含まれる。
本発明に係る低屈折率膜と組み合わせる相性の観点では、さらに高屈折率膜のアッベ数が、5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましく、10以上であることが特に好ましい。上限は、90以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、70以下であることがさらに好ましく、50以下であることがさらに好ましく、40以下であることが特に好ましい。
レンズ体の高さ(厚さ)は特に限定されないが、200〜1000nmであることが実際的である。レンズ体の幅は特に限定されないが、下のカラーフィルターサイズに対し、70〜80%あることが実際的である(例えば、カラーフィルターサイズが1400nmの場合、980〜1190nmとなる。)。ここで言うレンズ体の高さとは、レンズ体の最長点の高さをさす。
なお、レンズ体が凸レンズであるときその曲率半径は、所望の効果を奏する範囲内であれば特に限定されない。
本発明において光学部材セットの実施態様としては特に制限はなく、用途、目的に応じて適宜選択することができる。具体的な態様として下記があげられるが、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。なお、本明細書で「被覆」というときには、対象物に直接当接して被覆する場合のみならず、他の層を介して被覆することを包含するものとする。
第一の態様:第2の光学部材が第1の光学部材で直接被覆されてなる態様
第二の態様:第2の光学部材がオーバーコート層で被覆されてなり、更に第1の光学部材で被覆されてなる態様
第三の態様:第2の光学部材と半導体受光ユニットの間に第1の光学部材の層が形成される態様
上記の中でも、第一の態様が好ましい。以下、第一の態様についてその製造方法を詳しく説明する。
本実施形態の硬化性組成物は、反射防止膜や低屈折率膜の形成材料として用いることが好ましい。硬化膜を形成するためにレンズ体等の被加工物に塗布する方法は特に限定されないが、適宜の公知の塗布方法を適用することができる。例えば、スピンコート法、ディップコート法、ローラーブレード法、スプレー法などを適用することができる。必要に応じて、塗布された塗膜には加熱処理などを施し、塗膜中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。
塗布量としては、硬化後の膜厚として好ましくは3μm以下となる条件であり、より好ましくは2.5μm以下となる条件であり、さらに好ましくは2μm以下となる条件である。下限値は特に限定されないが、0.1μm以上となる条件が好ましく、0.2μm以上となる条件がより好ましく、0.5μm以上となる条件が特に好ましい。被加工物が例えば固体撮像素子において凸レンズを多数配列した凹凸形状である場合、そのトレンチ状部分の間隙幅(V字状溝ならその中腹の幅)はおよそ100〜300nmであることが典型的である。
光透過性硬化膜形成用樹脂組成物を被加工物上に適用し、その後に、溶媒除去して硬化膜を形成することが好ましい。そのために、塗布後の塗膜を好ましくは60〜200℃、より好ましくは100〜150℃の条件下に、好ましくは1〜10分、より好ましくは1〜5分静置することにより行う。なお、該溶媒除去は、異なる条件で2回以上にわたって実施してもよい。
上記加熱処理により得られる硬化膜は、主に有機酸化ケイ素(SiOC)により構成されている。これにより、必要により、例えば微細パターンであっても、被加工物や硬化膜を精度良くエッチング加工することができ、微小な固体撮像素子の製造工程にも好適に対応することができる。
上述した本発明に係る組成物を用いて得られる硬化膜の好適な使用態様として、反射防止膜が挙げられる。特に、固体撮像素子等を用いた光学デバイス、例えば、イメージセンサー用マイクロレンズ、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスなど用の反射防止膜として好適である。反射防止膜として使用した場合の反射率は低いほど好ましい。具体的には、400〜700nmの波長領域での鏡面平均反射率が3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。なお、反射率は小さければ小さいほど好ましく、最も好ましくは0である。
反射防止膜のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。なお、反射率は小さければ小さいほど好ましく、最も好ましくは実質的に0である。
本発明の好ましい実施形態に係る固体撮像素子は、半導体受光ユニット上にマイクロレンズユニットを有し、マイクロレンズ体とカラーフィルタが接するように組み込まれる。受光素子は光透過性硬化膜、レンズ体、及びカラーフィルタの順に通過する光を受光し、イメージセンサーとして機能する。具体的には、光透過性硬化膜が反射防止膜として機能し、レンズ体の集光効率を向上させ、レンズ体によって効率的に集められた光がカラーフィルタを介して受光素子に検知される。これらがRGBそれぞれに対応する光を検知する素子の全般に渡って機能するため、受光素子とレンズ体とが高密度に配列されている場合でも、極めて鮮明な画像を得ることができる。
Glass)等による層間絶縁膜、パッシベーション膜及びアクリル系樹脂等による低屈折率の透明平坦化膜が積層され、その上に、R.G.B.が組み合わされたカラーフィルタが形成されている。さらに保護膜を介して、受光領域である光電変換部の上方に位置するようにマイクロレンズが多数配列して形成されてなる。
本願明細書において、「実質的に同一方向」とは、膨出方向が完全に一致しなくても、所望の効果を奏する範囲内で、膨出方向に方向の不一致等のずれがあってもよいことを許容する趣旨である。一方、「実質的に隙間無く」とは、所望の効果を奏する範囲内で第一の光学部材と第2の光学部材との間に、微小な間隙があってもよいことを許容する趣旨である。
(加水分解縮合物の合成)
組成物A02の調製例を代表例として示す。メチルトリエトキシシランを用いて、加水分解・縮合反応を行った。このときに用いた溶媒はエタノールである。得られた加水分解縮合物A−1は重量平均分子量約10,000であった。なお、上記重量平均分子量は先に説明の手順に沿ってGPCにより確認した。下記組成1の成分を攪拌機で混合して、組成物A02を調製した。その他の組成物は以下の表Aに示した量の成分を用いた以外A02と同様にして調製した。
加水分解縮合物(A−1) ・・・10部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(PGMEA)・・・72部
3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP) ・・・18部
EMULSOGEN−COL−020
(クラリアントジャパン製)・・・2部
スルーリア2320 ・・・25部
上記で得られた組成物A02を、シリコンウエハー上に塗布後、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して塗布膜を形成させた。
得られた膜の屈折率をエリプソメータ(J.Aウーラム製VUV−vase[商品名])で測定した(波長633nm、測定温度25℃)。アッベ数は当該測定装置で同様に測定した屈折率の値から算出した。算出式は下記による。
ただし
nD:フラウンホーファーのD線(589.3nm)に対する屈折率
nF:フラウンホーファーのF線(486.1nm)に対する屈折率
nC:フラウンホーファーのC線(656.3nm)に対する屈折率
配合量:質量部
(シロキサン樹脂原料)
MTES・・・メチルトリエトキシシラン
TEOS・・・テトラエトキシシラン
γ−GP−TMS:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
TFP−TMS:トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
TDFO−TMS:トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン
(界面活性剤)
EMUL−020・・・EMULSOGEN COL−020
(アニオン界面活性剤、クラリアント(株)製)
(フッ素樹脂)
CYTOP: 商品名・旭硝子製
(シリカ粒子)
スルーリア2320
・・・スルーリア2320: 日揮触媒化成社製の中空シリカの20質量%分散液
SD−L
・・・スノーテックス MIBK−SD−L: 日産化学社製の多孔質シリカの
30質量%分散
ST
・・・スノーテックス MIBK−ST: 日産化学社製の多孔質シリカの
20質量%分散液
PL−1
・・・PL−1−IPA: 扶桑化学社製の多孔質シリカの12.5質量%分散液
PL−2L
・・・PL−2L−PGME: 扶桑化学社製の多孔質シリカの20質量%分散液
[二酸化チタン分散液(分散組成物)の調製]
下記組成の混合液に対し、循環型分散装置(ビーズミル)として、シンマルエンタープライゼス株式会社製NPMを用いて、以下のようにして分散処理を行い、分散組成物として二酸化チタン分散液を得た。
〜組成〜
・二酸化チタン(石原産業(株)製 TTO−51(C)) : 150.0部
・下記分散樹脂1(固形分20%PGMEA溶液) : 165.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 142.5部
・ビーズ径:φ0.05mm
・ビーズ充填率:60体積%
・周速:10m/sec
・ポンプ供給量:30Kg/hour
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:1.0L
・分散処理する混合液量:10kg
平均粒子径は分散時間(パス回数)とともに減少していったが、次第にその変化量が少なくなっていった。分散時間を30分間延長したときの平均粒子径変化が5nm以下となった時点で分散を終了した。尚、この分散液中の二酸化チタン粒子の平均粒子径は40nmであった。
また得られた分散液に含まれる二酸化チタン粒子の平均粒径は40nmであった。
この測定は、日機装株式会社製マイクロトラックUPA−EX150を用いて行った。
・上記で調製した二酸化チタン分散液(分散組成物) ・・・80.5部
・溶剤:プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート ・・・15部
・重合性化合物:KAYARAD DPHA
(日本化薬(株)製) ・・・3.6部
・重合開始剤:IRGACURE OXE 01(商品名)BASF社製
・・・0.10部
・ポリマー:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比:80/20(wt%)、重量平均分子量:12,000)
(FFFC社製)・・・0.5部
・界面活性剤:メガファックF781(DIC(株)製)・・・0.30部
前記二酸化チタン含有硬化性組成物をシリコンウエハー上に塗布後、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して硬化膜B−1を作成した。この塗膜を、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製エリプソメトリーを用いて屈折率を測定したところ、633nmでの屈折率は1.91であった。
配合量:質量部
157S65・・・JER157S65(ジャパンエポキシレジン(株)製)
JER−157S65:ジャパンエポキシレジン(株)製
ZrO2:酸化ジルコニウム(日本電工(株)製 PCS)
二酸化チタン含有硬化性組成物(B01)をガラス基板上に塗布後、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して下地膜D−1を作成した。下地膜(高屈折率膜)は、屈折率1.91であり、アッベ数は13.6であった。下地膜の厚さは1.2μmであった。
A02とB01を下記のように混合して硬化性組成物AB01を作成した。
・A02 ・・・80部
・B01 ・・・20部
その他の硬化性組成物は以下の表1に示した量の成分を用いた以外AB01と同様にして調製した。
上記で調製した硬化性組成物AB01を下地膜D−1上に塗布後、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して反射防止性の低屈折率膜を形成した。低屈折率膜の厚さは0.1μmであった。
日立製作所製分光光度計U−4100を用いて測定した。基板の垂直方向に対して、5度方向に光を入射させ、膜から反射する光の強度を、下地膜を有する前記基板を置かないブランクの値と比較した。波長は450nm、550nm、650nmを使用した。結果を表1に示す。
MP1:旭硝子社製 サイトップ(商品名) [フッ素系樹脂]
MP2:JSR社製オプスターJN(商品名)
[フッ素系有機無機ハイブリット材料]
MP3:DIC社製ディフェンサOP(商品名)
[光学用UV硬化型樹脂]
(二酸化チタンレス高屈折率材料組成物)
屈折率(1.68)の層を形成するために、下記組成物を調製した。なお、下記組成物C01を用いる場合には、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して硬化膜を形成する。
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・15部
シクロヘキサノン ・・・30部
樹脂:日産化学工業社製超高屈折率コーティング材料UR202 ・・・32部
硬化促進剤:SB−A(三菱ガス化学) ・・・5部
エポキシ樹脂:157S65(三菱化学社製) ・・・17.5部
界面活性剤:メガファックF−781(DIC) ・・・0.5部
試験体201の高屈折率材料C01のUR202を、チオエポキシ樹脂LPH1101(三菱ガス化学社製)に変えたこと以外は、試験体201と同様にして試験体301を得た。試験体301について、試験体101と同様に、450〜650nmの範囲の反射率を評価し、良好な結果であることを確認した。
試験体201の高屈折率材料C01のUR202を、エピスルフィド樹脂MR−174(三井化学社製)に変えたこと以外は、試験体201と同様にして試験体401を得た。試験体401について、試験体101と同様に、450〜650nmの範囲の反射率を評価し、良好な結果であることを確認した。
試験体201の高屈折率材料C01のUR202を、チオウレタン樹脂MR−7(三井化学社製)に変えたこと以外は、試験体201と同様にして試験体501を得た。試験体501について、試験体101と同様に、450〜650nmの範囲の反射率を評価し、良好な結果であることを確認した。
高屈折率膜(下地膜)と低屈折率膜の厚さを下記のように変えた以外同様にして各波長の反射率の測定を行った。その結果、上記実施例1と同様に可視光領域で均一な反射防止性能が得られることを確認した。
――――――――――――――――――――
試験 高屈折率膜 低屈折率膜
――――――――――――――――――――
101 1.2μm 0.1μm
601 1.5μm 0.15μm
602 0.75μm 0.075μm
603 1.25μm 0.2μm
604 2.0μm 0.3μm
――――――――――――――――――――
得られた膜の厚さをエリプソメータ(J.Aウーラム製VUV−vase[商品名])で測定した。
Claims (14)
- アッベ数40〜80、屈折率1.2〜1.4を示す低屈折率材料およびアッベ数5〜40、屈折率1.6〜2を示す高屈折率材料を含む低屈折率膜形成用硬化性組成物であって、該低屈折率材料がシロキサン樹脂を含み、該低屈折率膜形成用硬化性組成物中に、該シロキサン樹脂を15〜40質量%含有する低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 前記低屈折率材料が、中空粒子または非中空粒子を含む請求項1に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 前記高屈折率材料が、チタニアまたはジルコニアを含む請求項1または2に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- さらに、分散剤、界面活性剤、重合性化合物およびその重合物のうち少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 前記グラフト共重合体のグラフト鎖のポリマー構造が、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造またはポリエーテル構造である請求項5に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 前記グラフト共重合体が、ポリ(炭素数1〜5のアルキレン鎖を含むアルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の、塩基性窒素原子を有する繰り返し単位であって、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する繰り返し単位と原子数40〜10,000の側鎖を有する請求項5に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 前記グラフト共重合体が、下記式(I−1)で表される繰り返し単位及び式(I−2)で表される繰り返し単位、又は、式(I−1)で表される繰り返し単位及び式(I−2a)で表される繰り返し単位を含む請求項5または7に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- フッ素系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 重合開始剤としてオキシム化合物を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物。
- 第1の光学部材と、これに被覆された第2の光学部材とを有してなる光学部材セットの製造方法であって、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の低屈折率膜形成用硬化性組成物を準備する工程、
該硬化性組成物を第2の光学部材上に塗布する工程、
該硬化性組成物を硬化させて低屈折率膜である第1の光学部材を形成する工程を含む、光学部材セットの製造方法。 - 第1の組成物と第2の組成物を混合して調製する硬化性組成物の製造方法であって、
該硬化性組成物が低屈折率膜を形成するための硬化性組成物であり、
該第1の組成物が、アッベ数40〜80、屈折率1.2〜1.4を示す低屈折率材料を含み、該第2の組成物が、アッベ数5〜40、屈折率1.6〜2を示す高屈折率材料を含み、かつ、
該低屈折率材料が、シロキサン樹脂を含み、該硬化性組成物中に、該シロキサン樹脂を15〜40質量%含有する硬化性組成物の製造方法。
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