JP5975569B2 - 電子レンジ調理用生中華麺及びその調理方法 - Google Patents
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しかし、電子レンジを使用した調理方法は、麺類の調理方法としては、一般的には好ましくなく、麺類の食感を向上させるための試みがなされている。
例えば、糊化開始温度が50〜60℃の化工澱粉を粉原料中、10〜50重量%およびグリアジンを主成分とする小麦蛋白質を0.5〜5重量%となる量、粉原料に添加して麺帯を形成することを特徴とする電子レンジ調理用生麺類の製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
従って、本発明は、小麦粉100質量部に対し、エーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉を20質量部以上70質量部以下、α化小麦粉を2質量部以上20質量部以下、バイタルグルテンを4質量部以上12質量部以下、及び、かんすいを0.1質量部以上2質量部以下含む原料を使用した電子レンジ調理用生中華麺である。
また、前記電子レンジ調理用生麺及びゼラチンスープを容器に収容しこれを電子レンジで加熱調理する電子レンジ調理用生中華麺の調理方法である。
また、前記電子レンジ調理用生麺及びゼラチンスープを容器に収容した電子レンジ調理用生中華麺セットである。
本発明において、電子レンジ調理用生中華麺とは、電子レンジ調理に適するように調製された未加熱の中華麺をいう。
電子レンジ調理とは、容器に麺とスープを収容し電子レンジで加熱調理する調理方法をいう。
電子レンジ調理は、簡便ではあるがガスなどの火力のある加熱手段を使用して十分な量の茹で湯で調理する場合にくらべ調理方法としては劣り優れた食感の麺を得難い。
さらに、本発明では、麺本来の食感を得るため生麺を使用しているが、一般に生麺は即席麺にくらべ喫食状態にするのに時間がかかる傾向がある。
本発明では、電子レンジを使用した加熱調理方法でも短時間で良好な食感の中華麺を得るために、小麦粉に加工タピオカ澱粉、α化小麦粉、バイタルグルテン、かんすいを特定量配合している。
例えば、強力小麦粉、準強力小麦粉、中力粉などを挙げることができる。
これらの小麦粉は適宜組み合わせて使用するができる。
これらの澱粉は、タピオカ澱粉をエーテル化、アセチル化、リン酸架橋処理した加工澱粉であり市販品も使用することができる。
エーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉として、例えば、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉、アセチル化タピオカ澱粉としてアセチル化リン酸架橋澱粉を挙げることができる。
加工タピオカ澱粉の使用量は小麦粉100質量部に対し、20質量部以上70質量部以下である。
使用量が20質量部未満では、レンジ調理時間が長くなる傾向があり不適である。
また、使用量が70質量部を超えると製麺時の麺帯のつながりが悪くなる傾向があり作業性の点で劣り食感も悪くなりため不適である。
これを解消する方法として製麺時の加水量を増やすことが考えられるが麺の食感を改善することはできない。
α化度は80%(βアミラーゼ・プルラナーゼ法による測定値)以上であれば十分であり原料である小麦粉の種類に限定はない。
使用量は小麦粉100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下である。
使用量が2質量部未満では、茹で時間の短縮という効果が十分に得られず不適である。
また、使用量が20質量部を超えると風味が劣り食感も悪くなりため不適である。
なお、α化小麦澱粉を使用した場合は、茹で上がりが遅く、また食感も悪くなる為、本発明の効果を得ることができない。
使用量が4質量部未満では、製麺時の麺帯のつながりが悪くなる傾向があり作業性の点で劣り喫食時にのび易く食感も悪くなるので不適である。
また、使用量が12質量部を超えると、麺の食感が硬くなりすぎるので不適である。
使用量は小麦粉100質量部に対し、0.1質量部以上2質量部以下である。
使用量が0.1質量部未満では、効果が得られず不適である。
また、使用量が2質量部を超えるとかんすい臭が強く不快臭となり、さらに麺の食感が硬くなりすぎるので不適である。
例えば、前記原料に加水してミキシングして生地を得、これを製麺ロールにより整形、複合、圧延することにより麺帯とし切歯で切り出し麺線とすることで電子レンジ調理用生中華麺を得ることができる。
例えば、耐熱性の容器に電子レンジ調理用生中華麺と液体スープを収容しこれを電子レンジで加熱する方法、耐熱性の容器に電子レンジ調理用生中華麺と水又は湯を収容しこれを電子レンジで加熱し、濃縮スープや粉末スープを添加する方法などを挙げることができる。
簡便さの点ではスープをゼラチンで固めたゲル状のゼラチンスープを電子レンジ調理用生中華麺とともに耐熱性の容器に収容しておき、これを電子レンジで加熱する喫食方法が好ましい。
電子レンジで加熱することでゲル状のゼラチンスープが液体スープとなり喫食状態となる。
ゼラチンスープは、従来から電子レンジ調理に使用されている麺類用のゼラチンスープであれば特に限定なく使用できる。
例えば、とんこつや鶏がら等から抽出したエキスに塩や調味料等を加え調製したスープ100質量部に1質量部以上5質量部以下のゼラチンを加え固化したゼラチンスープが使用できる。
ふきこぼれを防止するため、ゼラチンスープには乳化剤などの消泡性物質を配合してもよい。
容器への収容方法は、ゼラチンスープを使用した場合、ゼラチンスープの上に直接電子レンジ調理用生中華麺を載置する方法や耐熱性シートを介して載置する方法が使用できる。
また、かやく、野菜、肉等の具材を同時に収容する場合は、さらに、電子レンジ調理用生中華麺の上に載置することができる。
これらを収容した容器は蓋をして又は蓋をしないでフィルムなどで包装することができる。
電子レンジでの加熱時は破裂しないよう容器内を密閉状態とせず蓋をして加熱する場合であっても容器内の圧力を逃がせる状態で加熱を行う。
[実施例1〜3、比較例1〜8]
準強力1等粉(蛋白質含有量11%)100質量部及び表1に示す配合割合でその他の原料を配合し、これらの原料合計100質量部に対して60質量部の水を加えて5分間ミキシングして生地を得た。
前記生地を製麺ロールにより整形1回、複合2回、圧延4回行い、最終の麺帯の厚みを1.5mmとし、20番の切歯で麺線の長さが約25cmとなるように切り出し電子レンジ調理用生中華麺を得た。
調味済みの中華麺スープを加熱して、調味済みの中華麺スープ100質量部に顆粒状のゼラチン2質量部及び消泡剤としてシヨ糖脂肪酸エステルを0.1質量部加えてよく溶かし冷却してゼラチンスープを得た。
得られた電子レンジ調理用生中華麺100gとゼラチンスープ300gを電子レンジ対応容器に収容した。
これを、出力1500Wの電子レンジで2分間加熱して喫食状態とし、10名のパネラーにより以下に示す評価基準により評価した。
・食感
5点・・・硬さと弾力のバランスが非常に良い
4点・・・硬さと弾力のバランスが良い
3点・・・普通
2点・・・硬さと弾力のバランスがやや悪い
1点・・・硬さと弾力のバランスが悪い
得られた評価結果(平均値)を表1に示す。
*表中、加工澱粉はヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉である。
*表中、バイグルはバイタルグルテンの略である。
*表中、α化小麦粉はASW(オーストラリア・スタンダード・ホワイト)原料由来の1等粉をα化度90%に湿熱処理したものである。
*表中、かんすいは炭酸カリウム5質量%、炭酸ナトリウム95質量%の混合物である。
本発明の配合割合を一つでも外れた場合は良好な食感の中華麺を得ることができなかった。
Claims (3)
- 小麦粉100質量部に対し、エーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉を20質量部以上70質量部以下、α化小麦粉を2質量部以上20質量部以下、バイタルグルテンを4質量部以上12質量部以下、及び、かんすいを0.1質量部以上2質量部以下含む原料を使用した電子レンジ調理用生中華麺。
- 請求項1に記載の電子レンジ調理用生麺及びゼラチンスープを容器に収容しこれを電子レンジで加熱調理する電子レンジ調理用生中華麺の調理方法。
- 請求項1に記載の電子レンジ調理用生麺及びゼラチンスープを容器に収容した電子レンジ調理用生中華麺セット。
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